説明

急速冷凍及び分配された流動性食品の製造方法

【課題】ディップ又はソースのような流動性の食品を、互いに付着させることなく、製造装置を汚すことなく製造する食品の冷凍方法を提供する。
【解決手段】流動性食品を冷凍し、かつ該冷凍食品を個別片に製造する方法であって、a)水又は食塩水を冷凍表面に噴霧して、該表面に薄く均一な氷層を形成し、b)前記氷層上に、流動性食品を堆積し、c)該食品を冷凍することを含む方法。さらに、水又は食塩水を食品の露出表面に噴霧し、該食品表面に氷層を形成することを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して食品産業の分野の製品に関する。特に、本発明は、急速冷凍及び個別片に分離された流動性食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
急速冷凍された食品が、ディップ又はソースを伴ったパスタ、ライス、肉、魚などのベースの食材を含む最初の一品又はメインディッシュの形態で、長い間市販されている。そのディップ又はソースは、都合よくペレット、プレート又は滴の形態で、小さなポーションで提供され、食品をフライパン、オーブン又は電子レンジで加熱した際に急速に解凍するという利点を有する。
【0003】
小さなポーションの急速冷凍されたディップ又はソースの製造については、種々の方法が知られており、それらのうち最も広く用いられている方法は、冷凍装置(例えば、冷凍トンネル)の冷却されたコンベヤーベルトにソースを堆積させて冷凍する方法などである。
ソースは、冷却されたベルトに一定厚さの層の形をして堆積され、最終的に冷凍ソースの層を得、その後、それを、切断する工程に付し、多くの小さなプレート形のポーションを得る。
【0004】
しかし、この方法は、欠点がないわけではない。その最も重要なものは、コンベヤーベルト(それは掻取り式装置にたよることを必要にする)から最終的に凍った部分を分離する際の困難さである。つまり、製品の残留物、特に油脂が、ベルト上に付着したままになり、その後のソース堆積の前に、きれいに洗浄しなければならない。
このような不都合は、ソースが小さな滴状のポーションで、冷却されたベルト上に堆積される際にも起こる。
【0005】
この不都合を回避するために、国際特許出願10/54513号には、液体を連続冷凍し、冷凍材料を個々の片に切断するための装置が示されている。その装置では、プラスティックの変形する順応性のあるフィルムを、冷却された表面と堆積された液体との間に介在させるように用いる。その問題のフィルムは、確かに、冷凍された製品を分離することを助けるが、その隔離するという性質のために、熱交換効率を減少させる。さらに、使い捨てなので、大量の非生物分解性廃棄物の生産を招くことになる。
【0006】
冷凍された製品を分離する際の困難さの問題を回避するために、先行技術(欧州特許第835615号)において示された他の解決策は、別個の装備によって、その粘性を増加させるために、冷却されたベルト上に堆積されたソースを部分的にのみ冷凍し、かつ小球に成型し、最終的に冷凍する方法である。しかし、この場合、より多くの工程及びより多くの機械類を必要とするため、総合的な方法としては、より複雑となることは明らかである。
【0007】
結局、上述した方法で得られたすべての冷凍ソース・ポーションが共有する欠点は、適切に低温で維持されるものの、それらは互いに付着し、引っ付く傾向があるという事実に帰着し、特に、それらは大きな容器の底に蓄えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するものであり、例えば、ディップ又はソースのような流動性の食品を個別片として製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、水又は食塩水を冷凍表面に噴霧して、薄くて均一な氷層を冷凍表面に形成し、前記氷層上に流動性の食品を堆積させ、該食品を冷凍することを含む方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、冷凍表面に形成された氷層は、片自体に付着するが、冷凍表面には付着せず、完全にきれいに離れるために、個々の冷凍食品片の最終的な分離を大いに助けるとともに、続く稼動サイクルに備えることができることが予想外にも見出された。
これによって、当該分野で用いられているようなプラスティックフィルムにたよることを回避し、その使用の伴う全ての問題を解決することができる。
【0011】
また、氷層の上への流動性食品の堆積が、個別のポーションの形態で行われる場合においても、流動性食品が一旦冷凍されると、それらの下表面に付着する氷層とともに、例えば、適当な掻取り手段によって、コンベアーベルトから容易に分離することができる。冷凍食品の種々のポーション間に介在する氷層は、掻取り手段によって分離することができ、簡便な選別手段によって冷凍食品のポーションから分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上述した流動性のある食品は、均一な厚さの層状の上述した表面に堆積することができ、この場合、本発明の方法は、さらに、切断工程によって、得られた冷凍食品を片に分割する工程を含む。
あるいは、流動性のある食品を、分離したポーション状の氷層に堆積してもよい。
また、任意に、水又は食塩水を食品の露出した表面に噴霧して、その食品の表面にも氷層を形成してもよい。
氷層の厚みは特に限定されることなく、例えば、2mm程度以下、0.1mm程度以上、0.2mm程度以上、あるいは0.3〜1mm程度であることが適している。
【0013】
水又は食塩水を噴霧する冷凍表面の温度は、特に限定されないが、通常、約−10℃から約−100℃であり、さらに、約−20℃から約−40℃であることが好ましい。
そのような冷凍表面は、冷凍設備の部材の表面、例えば、コンベヤーベルトの表面等であることが好ましい。
上述した食塩水は、約1から約26w/v%の濃度の塩化ナトリウム溶液からなることが好ましい。
水又は食塩水の食品の露出表面への噴霧は、約−5℃以下の温度にその表面を冷却した後に行うことが好ましい。
【0014】
本発明の方法は、最終的な冷凍の前に、押し出し又はペレット成型工程にたよることなく、広く市販された装置に用いることができる。
さらに、この方法で最終的に得られた冷凍食品は、その露出表面の少なくとも一部に氷層が現れ、つやだし効果を得ることができる。例えば、プレート状片又は平板滴状の食品は、少なくともその一表面に氷層が表れる。これによって、大きなバルク状の保存の後においても、冷凍食品は、互いに良好に分離されたままの片とすることができる。さらに、氷層が、プレート状冷凍食品の片の両表面又は冷凍食品(塊状、滴状など)の好ましくは全露出表面に得られる場合には、上述したような種々の片の付着又は固着に対する保護をより高めることができる。
【0015】
本発明の方法に付される流動性の食品は、特に限定されるものではなく、主に、米、パスタ、肉、魚などの固形の食品に伴って使用されることを意図するものであり、実質的に液体又はクリーム状のものなどであることが適当である。あるいは、比較的粘度の低い液体、均一な液体等であってもよいが、粘稠なペースト状(例えば、クリーム、ジャム、ハチミツなど)のものであってもよい。また、必ずしも均一な稠度でなくても、トマトソース、カレーソース、デミグラス、パスタソース、シチュー、ドレッシング等のように、食品中に固まり状の材料が含まれていてもよい。なかでも、ソースであることが好ましい。
また、少なくともその表面の一部に氷層が形成された冷凍ソースの個別片は、さらに、本発明の対象である。
【0016】
本発明を、以下の具体的な実施例によって、限定されることなく、さらに詳しく説明する。
【実施例】
【0017】
実施例1
当該分野で公知の方法によって、以下のレシピのトマトソースを準備する。
トマト・パルプ 80%
玉ねぎ 8%
オリーブオイル 10%塩
塩及び香辛料 2%
【0018】
次いで、準備されたソースを以下の方法で冷凍に付す。
冷凍工場のコンベアーベルト上を、約−30℃に冷却し、氷層が約0.5mm厚となる量で水をベルトの冷却表面に噴霧する。
この時点で、ベルト上に形成された氷層の上に、トマトソースを、約10mm厚の平坦な層を形成するように堆積する。
続いて、ベルトを、約−40℃の温度の冷凍トンネルに送り出す。次いで、ベルトがトンネルから出てきたら、得られた冷凍食品を切断し、約3×2cmの大きさを有する四角形のプレート状の冷凍ソースを得る。得られたプレート状の冷凍ソースは、ベルトから容易に分離し、その後は何も残らず、完全にきれいである。
冷凍ソースの各プレートは、その一表面に氷層が表れた。
【0019】
実施例2
実施例1と同様のトマトソースを、以下の方法で冷凍に付した。
実施例1と同様のコンベアーベルト上を、約−35℃に冷却し、氷層が約0.5mm厚となる量で水をベルトの冷却表面に噴霧する。
この時点で、ベルト上に形成された氷層の上に、トマトソースを、約8mm厚の平坦な層を形成するように堆積する。
【0020】
約−35℃に冷却されたベルト上にソース層を、約3分間載置し、ソース層の露出表面を固化させる。この時点で、約−7℃の温度で、氷層の厚さが約0.5mmとなるように量で、ソース層の露出表面に水を噴霧する。
ソース層の露出表面の低い温度によって、自然に氷層が形成される。氷層の形成が不十分又は非常に遅い場合には、低温(例えば、約−40℃)の気流をソース表面に供給することができる。
【0021】
次いで、ベルトを、約−45℃の温度の急速冷凍トンネルに送り出す。ベルトがトンネルから出てきたら、得られた急速冷凍食品を切断し、約3×2cmの大きさを有する四角形のプレート状の冷凍ソースを得る。得られたプレート状の冷凍ソースは、ベルトから容易に分離し、その後は何も残らず、完全にきれいである。
冷凍ソースの各プレートは、その両面に氷層が表れた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性食品を冷凍し、かつ該冷凍食品を個別片に形成する方法であって、
a)水又は食塩水を冷凍表面に噴霧して、該表面に薄く均一な氷層を形成し、
b)前記氷層上に、流動性食品を堆積し、
c)該食品を冷凍することを含む方法。
【請求項2】
さらに、d)切断工程によって、冷凍食品を個別片に分離することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
流動性食品を、個別のポーション状で氷層上に堆積する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
水又は食塩水を、食品の露出表面に噴霧し、該食品表面に氷層を形成する請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
冷凍表面の温度を−10から−100℃の温度範囲に設定する請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
冷凍表面の温度を−20から−40℃の温度範囲に設定する請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
冷凍表面は、急速冷凍設備のコンベアーベルトの表面である請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
食塩水が、1から26w/v%の濃度の塩化ナトリウム水溶液からなる請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
水又は食塩水の食品の露出表面への噴霧は、該表面を少なくとも−5℃に冷却した後に行う請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
食品がソースである請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
プレート状の個別片状の冷凍ソースであって、プレート状片は少なくとも一表面が薄い氷層を有する冷凍ソース。
【請求項12】
プレート状片の両面が薄い氷層を有する請求項10に記載の冷凍ソース。
【請求項13】
氷層の厚みが少なくとも0.2mmである請求項10又は11に記載の冷凍ソース。
【請求項14】
氷層の厚みが0.3から1mmの範囲である請求項12に記載の冷凍ソース。

【公開番号】特開2006−271383(P2006−271383A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80071(P2006−80071)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(506098642)バリッラ ジ.エ エッレ.フラテッリ ソシエタ ペル アッツィオニ (1)
【氏名又は名称原語表記】Barilla G.e R.Fratelli S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Riccardo e Pietro Barilla,3/a I−43100 Parma Italy
【Fターム(参考)】