説明

情報処理装置およびその制御方法、並びにプログラム

【課題】複数のオブジェクトを選択して処理が対応付けられたアイコンにドロップした際に、複数のオブジェクトの中にアイコンに対応する処理を実行できないオブジェクトが含まれていた場合、ユーザは何が原因で処理が受け付けられないのかが分からなかった。
【解決手段】アイテムに対して処理を実行するための条件を定義する定義手段と、複数のアイテムの選択を受け付ける選択手段と、前記定義手段にて定義された処理が関連付けられたアイコンを表示するアイコン表示手段と、前記選択手段にて複数のアイテムが選択され、かつ、前記アイコン表示手段が表示するアイコンの指定を受け付けた場合、前記アイコンに関連付けられた処理の実行が不可であるアイテムが、前記選択された複数のアイテムに含まれているか否か判定する判定手段と、前記処理の実行が不可であるアイテムが前記選択されたアイテムに含まれる場合、当該処理の実行が不可であるアイテムを識別可能に表示する表示手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびその制御方法、並びにプログラムに関し、特に、ファイル操作を行う時のUI制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文書管理アプリケーション等のアイテム(文書ファイル、フォルダ、ごみ箱など)の表示や管理を行うシステムにおいて、指定されたアイテムに対し印刷や外部アプリの起動などの処理を行うものがある。そのようなシステムの中には、少ない操作で容易に処理の実行を可能とするために、画面上に処理実行のためのアイコン等のユーザインタフェース(UI)を表示するものがある。例えば、ユーザがアイテムをアイコン上にドラッグアンドドロップする、または、アイテムを選択した状態でアイコンをクリックするなどにより、アイコンに関連付けられた処理がアイテムに対して実行される。
【0003】
この種の機能としては、特許文献1に開示されている技術がある。かかる技術では、ユーザがアイテムをアイコン上にドラッグしたときに、アイテムをアイコンにドロップした後の処理内容をテキストで表示することにより、ユーザが意図しない処理が実行されることを防ぐことが可能となる。また、ユーザがアイテムをアイコン上にドラッグしたときに、アイテムがアイコンに関連付けられた処理を実行できない場合には、処理を実行できない旨をテキストや記号で表示し、ユーザの操作ミスを防ぐことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7665028号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザが複数のアイテムを選択した状態で、アイコンに関連付けられた処理をアイテムに対して実行する場合、選択したアイテムのいずれかに対して処理を実行できない場合がある。特許文献1では、ユーザが選択したアイテムのいずれかに対して処理を実行できない場合でも、処理を実行できない旨をテキストや記号で表示する。そのため、ユーザは、どのアイテムが原因で処理を実行できないのかがわからないという課題がある。
【0006】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、ユーザが複数のアイテムを選択した状態で、アイコンに関連付けられた処理を実行するときに、処理が実行できない原因となるアイテムを判別可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明は以下の構成を有する。すなわち、アイテムに対して処理を実行するための条件を定義する定義手段と、複数のアイテムの選択を受け付ける選択手段と、前記定義手段にて定義された処理が関連付けられたアイコンを表示するアイコン表示手段と、前記選択手段にて複数のアイテムが選択され、かつ、前記アイコン表示手段が表示するアイコンの指定を受け付けた場合、前記アイコンに関連付けられた処理の実行が不可であるアイテムが、前記選択された複数のアイテムに含まれているか否か判定する判定手段と、前記処理の実行が不可であるアイテムが前記選択されたアイテムに含まれる場合、当該処理の実行が不可であるアイテムを識別可能に表示する表示手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
複数のアイテムを選択した状態で画面上のアイコンを指定することでアイコンに関連付けられた処理を実行させる際に、複数のアイテムのいずれかが原因となって処理が実行できない場合、ユーザは、原因となるアイテムを判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】システムの全体構成を示す図。
【図2】情報処理装置のハードウェア構成を示す図。
【図3】UIの構成の一例を示す図。
【図4】アイコンの処理実行に対する提示方法の一例を示す図。
【図5】ソフトウェア構成を示す図。
【図6】アイテムの属性情報の一例を示す図。
【図7】アイコンの処理実行可否の定義情報の一例を示す図。
【図8】処理定義部に格納される処理定義情報の一例を示す図。
【図9】処理実行可否の判定フローを示す図。
【図10】処理実行可能なアイテムのみに対して処理を行うフローを示す図。
【図11】アイコンの処理実行が不可となる原因アイテムを提示する一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0011】
<第1実施形態>
[システム構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係るシステム構成の一例を示す図である。本実施形態に係るシステムは、情報処理装置101と、文書記憶装置102とを含む。なお、システムに含まれる装置の数および構成は図1に限定するものではない。
【0012】
情報処理装置101および文書記憶装置102は、ネットワーク103で接続されている。なお、各装置をつなぐネットワークの形態は図1に限定するものではない。情報処理装置101と文書記憶装置102が物理的に同一の装置から構成されていても構わない。また、ネットワーク103は、有線/無線のいずれであっても構わない。情報処理装置101は、ユーザの操作に応じてネットワーク103を介して、文書記憶装置102に格納されたアイテム(ファイル等)の取得や表示を行う。そして、情報処理装置101は、取得したアイテムに対して印刷、外部アプリケーションでの起動などの処理を実行することができる。本明細書において、「アイテム」とは、ファイルやファイルを含むフォルダなどを示す。
【0013】
[情報処理装置のハードウェア構成]
図2は、情報処理装置101のハードウェア構成を示す図である。なお、特に断らない限り、本発明の機能が実行されるのであれば、情報処理装置101は、単体の機器であっても、複数の機器からなるシステムであっても、本発明を適用できることは言うまでもない。
【0014】
図2において、CPU201は、記憶媒体であるHDD205からRAM202にロードされたOSやアプリケーションなどのプログラムを実行し、後述するフローチャートの手順を実現する。またCPU201は、システムバス206に接続される各ハードウェアを総括的に制御する。
【0015】
RAM202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。I/O204は、キーボードやポインティングデバイスなどの入力装置(不図示)からの入力を制御する。Network I/F203は、接続された文書記憶装置との間の信号の交換を制御する。
【0016】
[ユーザインタフェース]
図3は、本実施形態に係るユーザインタフェース(UI)の一例を示す図である。また、本実施形態において、本発明が適用可能な例として、アプリケーションが提供するUIを例にとって説明するが、これに限定するものではない。例えば、OSや、各種サービスがWEBブラウザなどを介して提供する画面上で実現する構成であってもかまわない。
【0017】
UI301は、文書記憶装置102から取得したアイテムを表示する領域302と、アイテムに対して印刷、外部アプリケーションでの起動などの処理を実行するためのアイコン表示を行う領域303を有している。ユーザは、アイテムを表示する領域302に表示されたアイテムを任意に選択可能である。また、領域303に表示されるアイコンは、ユーザが任意に追加/削除できるようにしても構わない。
【0018】
ユーザが、アイテムを表示する領域302内のアイテムのうち一部または全部を選択した状態で、アイコンを表示する領域303内のアイコンをクリックする。このクリック操作により、UI301を提供するアプリケーションは、アイコンに関連付けられた処理を選択されたアイテムに対して実行する。また、ユーザがアイテムを表示する領域302内のアイテムを選択した状態で、ユーザがアイコンを表示する領域303内のアイコンにマウスオーバーする。この操作により、UI301を提供するアプリケーションは、アイコンに関連付けられた処理が選択されたアイテムに対して実行可能か判定を行う。マウスオーバーイベントは、例えば、マイクロソフト社が提供するWPF(Windows Presentation Foundation:登録商標)の仕組みを利用して検出することができる。アプリケーションは、そのイベントの検出をトリガーにして各種処理を行う。
【0019】
本実施形態において、マウスオーバーによる指示に伴う判定の結果、実行不可であると判定された場合、アイコンに関連付けられた処理が選択されたアイテムに対して実行不可である旨のメッセージがUI301に表示される。選択されたアイテムが複数ある場合は、処理が実行できない原因となるアイテムがわかるようにUI301に表示する。
【0020】
UIにおける表示の一例を図4(A)に示す。この例は、選択されたアイテムの中にごみ箱(不要なファイル等を格納するためのフォルダ)のアイコンが含まれているために処理を実行できない場合を示している。UI401は、処理が実行できない旨と、当該処理を実行できない原因となるアイコンを特定し、ツールチップ402に記載して表示を行っている。ツールチップ402を表示する方法には、例えば、マイクロソフト社のWPF(登録商標)を使用して表示することが出来る。また、図4(A)に示す例においては、マウスカーソル403の表示を変更し、処理の実行が不可である旨を示している。
【0021】
また、ユーザが指定したアイコンに関連付けられた処理は、必ず成功するとは限らない。例えば、アイコンに関連付けられた処理が印刷処理の場合、印刷を行うプリンタが故障しているときは、印刷に失敗する。このようにアイコンに関連付けられた処理が失敗すると、アプリケーションにはエラーが通知される。このときアプリケーションは、例えば図4(B)のUI501に示すように、実行不可の原因となるアイテムを表示するツールチップ402と同じ場所に、エラー内容を示すツールチップ502表示する。これにより、エラー関連の表示方法が統一され、ユーザビリティの向上が可能となる。
【0022】
本実施形態では、選択されたアイテムの中に処理が実行不可なアイテムが含まれており、実行不可の旨の表示がされている場合でも、アイコンをクリックすることで、処理が実行可能なアイテムに対してのみ処理を実行することを可能にする。このときの処理の詳細については後述する。
【0023】
[ソフトウェア構成]
図5は、本実施形態に係る情報処理装置101におけるソフトウェア構成の例を示す図である。UI制御部601は、入力装置であるマウスやキーボードの値の受信、マウスオーバーイベント等のWPF(登録商標)等の仕組みで検出する各種イベントの受信、UI表示の制御などを行う。UI表示の制御としては、選択されたアイテムの識別、選択されたアイテムを示す表示(ハイライト表示等)などがある。UI制御部601は、アイテムが選択された状態でマウスオーバーイベントを受信すると、処理実行可否判定部602を呼び出す。
【0024】
処理実行可否判定部602は、マウスカーソル下のアイコンに関連付けられた処理が、ユーザに選択されたアイテムに対して実行可能か否かの判定をする。そして、実行不可である場合は、処理実行可否判定部602は、実行不可の原因となるアイテムを識別する。処理実行可否判定部602は、アイテム情報取得部603から取得したアイテムの属性情報と、処理実行可否共通定義部604およびアイコン情報管理部605から取得したアイコンの処理実行可否の定義情報とをもとに判定を行う。
【0025】
アイテム情報取得部603は、ネットワーク103を介して文書記憶装置102からアイテムの情報を取得する。取得するアイテムの属性情報701の一例を図6に示す。アイテムの属性情報701は、属性とその値とで構成される。属性としては、例えば、「種別」、「種類」、「名前」、「場所」、「サイズ」、「親アイテム」などがある。「種別」属性がとりうる値は、ファイル、フォルダ、ごみ箱などアイテムの種別を示す情報である。「種類」属性がとりうる値は、jpg、txt、bmpなど、アイテムがファイルである場合のファイル形式である。「場所」属性は、アイテムが文書記憶装置102などにおいて格納先となる場所を表している。「親アイテム」属性は、アイテムが格納されている場所の一つ上の階層のアイテムを表し、取りうる値は、フォルダ、チェックアウトフォルダ、ルートフォルダなどである。このとき、「チェックアウトフォルダ」とは、チェックアウト中の文書を格納するフォルダである。「ルートフォルダ」は、フォルダ階層の最も上位にあるフォルダを示す。なお、アイテムの属性情報に含まれる属性は、上記に示したものに限定するものではなく、作成日時等、他の属性を用いるようにしても構わない。
【0026】
処理実行可否共通定義部604に格納される全アイコン共通の処理実行可否の定義情報801の一例を図7(A)に示す。この定義情報801は、全アイコンに共通して、実行が不可である場合の条件を定義している。つまり、各アイコンに対応するいずれの処理であっても、定義情報801に該当するアイテムについては、処理を実行できないこととなる。全アイコン共通の処理実行可否の定義情報801は、アイテム属性と、処理実行不可な値とで構成されている。アイテム属性は、アイテム情報取得部603で取得するアイテムの情報の属性に対応している。この例の場合では、「種別」属性がフォルダもしくはごみ箱か、「親アイテム」属性がチェックアウトフォルダであるアイテムは、全アイコンの処理を実行することは不可能であることを表している。なお、処理実行可否共通定義部604に格納される全アイコン共通の処理実行可否の定義情報は、予め定義されていてもよいし、必要に応じてユーザが変更/追加するように構成してもよい。また、各アイテム属性の条件間の関係は、AND条件であってもよいし、OR条件であっても構わない。
【0027】
アイコン情報管理部605は、処理実行可否個別定義部606から、アイコン個別の処理実行可否の定義情報を取得する。処理実行可否個別定義部606に格納されるアイコン個別の処理実行可否の定義情報901の一例を図7(B)に示す。この定義情報901は、各アイコンに対して個別に設定される条件を示している。この定義情報901に該当するアイテムについては、当該アイコンに対応する処理を実行できないこととなる。アイコン個別の処理実行可否の定義情報901は、アイテム属性と、処理実行不可な値とで構成されている。アイテム属性は、アイテム情報取得部603で取得するアイテムの情報の属性に対応している。この例の場合では、「種類」属性がtiff以外のアイテムは、このアイコンに対応する処理を実行することは不可能であることを表している。なお、処理実行可否個別定義部606に格納されるアイコン個別の処理実行可否の定義情報901は、アイコン作成時にユーザが定義する。
【0028】
UI制御部601は、処理実行可否判定部602の判定の結果、マウスオーバーされているアイコンに関連付けられた処理が、選択されたアイテムに対して実行不可能と判定された場合、実行不可の原因となるアイテムが分かるようにUI301上に表示する。
【0029】
UI制御部601は、処理実行可否判定部602の判定の結果、アイコンに関連付けられた処理が選択されたアイテムに対して実行可能と判定された場合、アイコン情報管理部605からアイコンに関連付けられた処理内容を取得し、その旨を表示する。
【0030】
処理定義部607に格納される処理定義情報1001の一例を図8に示す。処理定義情報1001は、アイコンと処理との対応関係を示す。処理定義情報1001は、アイコン名とその処理内容とから構成される。処理内容は、処理を実行するアプリケーションのパス、もしくは処理コマンド名の値をとる。例えば、アイコンAの処理内容「c:¥program¥appA.exe」はアプリケーションのパスであり、アイコンAをクリックすると、選択されたアイテムに対してアプリケーション「c:¥program¥appA.exe」を実行することを表す。アイコンBの処理内容「print」は、処理コマンド名であり、アイコンBをクリックすると、選択されたアイテムに対して印刷処理(print)を実行することを表す。
【0031】
[処理実行可否の判定フロー]
図9に、アイコンに関連付けられた処理が選択されたアイテムに対して実行可能か判定を行うときの処理フローを示す。なお、本願の処理フローは、情報処理装置101が備えるCPU201が、記憶部であるHDD205等に格納されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0032】
本処理フローは、ユーザによって1以上のアイテムが選択され、処理が対応付けられたアイコン上にマウスオーバーされた時点で処理が開始される。処理実行可否判定部602は、選択されたアイテムの属性情報をアイテム情報取得部603から取得する(S1101)。次に、処理実行可否判定部602は、処理実行可否共通定義部604とアイコン情報管理部605とから処理実行可否の定義情報801、901を取得する(S1102)。
【0033】
処理実行可否共通定義部604から取得する処理実行可否の定義情報801は、全アイコン共通の定義情報のため、マウスオーバーされているアイコンに依存せず同じ定義情報が取得される。処理実行可否個別定義部606から取得する処理実行可否の定義情報901は、アイコン毎に個別で定義されているため、マウスオーバーされているアイコンに応じて異なる定義情報が取得される。ここでは、処理実行可否判定部602は、UI制御部601からマウスオーバーされているアイコンの識別子(アイコンA等)を受け取る。そして、処理実行可否判定部602は、その識別子をアイコン情報管理部605に渡し、マウスオーバーされているアイコンに対応した処理の実行可否の定義情報を取得する。
【0034】
処理実行可否判定部602は、S1101で取得したアイテムの属性情報と、S1102で取得した処理実行可否の定義情報を比較し、アイコンに関連付けられた処理が選択されたアイテムに対して実行可能か否かの判定を行う(S1103)。アイコンに関連付けられた処理が選択されたアイテムに対して実行可能であれば(S1103にてNO)、判定処理を終了する。アイコンに関連付けられた処理が選択されたアイテムに対して実行不可能であれば(S1103にてYES)、S1104へ進む。
【0035】
S1104にて、処理実行可否判定部602は、UI制御部601に実行不可能である旨と、実行不可能である原因となるアイテムの情報を送信する。そして、UI制御部601は、マウスカーソルを実行不可表示に設定する。S1105にて、UI制御部601は、選択されたアイテムが複数あるか判断する。選択されたアイコンが一つである場合(S1105にてNO)、本処理フローを終了する。選択されたアイコンが複数ある場合(S1105にてYES)、S1106へ進む。S1106にて、UI制御部601は、実行不可能である原因となるアイテムがユーザに識別できるようにUI表示する。そして、本処理フローを終了する。
【0036】
なお、S1106において、各アイテムに対してまとめてUIの表示するようにしたが、これに限定するものではなく、例えば、実行が不可であると判定されたアイコンから順次表示されるようにしても構わない。この場合には、例えば、各アイテムに対し、実行が不可であるとの判定が行われるごとに、ツールチップの表示を更新する。
【0037】
また、S1104にてマウスカーソルの表示を実行不可表示とする処理を行ったが、表示形式については、どのようなものであっても構わない。また、選択されたアイテム全てに対して処理の実行が不可である場合に、表示形式やメッセージ内容を変更するようにしても構わない。
【0038】
以上の処理フローにより、ユーザがアイコンの上にマウスカーソルを移動させ、マウスオーバーすると、選択されたアイテムに対してアイコンに関連付けられた処理が実行可能か否かが表示される。さらに実行不可の場合は、実行不可の原因となるアイテムが、ユーザが認識できるように識別可能に表示される。
【0039】
[実行可能なアイテムに対してのみの処理の実行]
図10に、選択されたアイテムの中に処理が実行不可なアイテムが含まれ、実行不可の旨の表示がされている状態でアイコンをクリックされた場合、処理が実行可能なアイテムに対してのみ処理を実行するときの処理フローを示す。
【0040】
UI制御部601は、選択されたアイテムの中に処理が実行不可なアイテムが含まれているか判断する(S1201)。この判断方法は、図9を用いて前述した処理実行可否の判定フローの方法と同様である。選択されたアイテムの中に処理が実行不可なアイテムが含まれていない場合(S1201にてNO)、UI制御部601は、選択されたアイテムに対して、アイコンに関連付けられた処理を実行する(S1206)。
【0041】
選択されたアイテムの中に処理が実行不可なアイテムが含まれている場合(S1201にてYES)、UI制御部601は、選択されたアイテムの中に処理が実行可能なアイテムが含まれているか判断を行う(S1202)。選択されたアイテムの中に処理が実行可能なアイテムが含まれていない場合(全てのアイテムが実行不可な場合:S1202にてNO)、本処理フローを終了する。
【0042】
選択されたアイテムの中に処理が実行可能なアイテムが含まれている場合(S1202にてYES)、UI制御部601は、「実行不可のアイテムの選択を解除して、アイコンの処理を実行するか」を確認するダイアログを表示する(S1203)。UI制御部601は、ダイアログに対するユーザの入力結果が「処理を実行する」か「処理を実行しない」かの判断をする(S1204)。ユーザの入力結果が「処理を実行しない」であれば(S1204にてNO)、UI制御部601は、処理フローを終了する。ユーザの入力結果が「処理を実行する」であれば(S1204にてYES)、UI制御部601は、実行不可のアイテムの選択を解除し、実行不可のアイテム以外に対してアイコンに関連付けられた処理を実行する(S1205)。そして、本処理フローを終了する。なお、本実施形態では、S1204においてユーザの指示を受け付けて処理を実行するか否かを決めていたが、ユーザの指示を受け付けることなく、実行不可のアイコンの選択を解除してアイコンの処理が実行されても良い。
【0043】
以上の処理フローにより、選択されたアイテムの中に処理が実行不可なアイテムが含まれ、実行不可の旨の表示がされている状態でアイコンをクリックされた場合、処理が実行可能なアイテムに対してのみ処理が実行される。したがって、ユーザは実行不可と表示されているアイテムの選択を個別に手動で解除せずとも、選択中のアイテムのうち実行可能なアイテムのみに対して処理を実行することが可能となる。
【0044】
<第2実施形態>
図4(A)では、選択されたアイテムの中に処理が実行不可なアイテム(ごみ箱)が含まれており、実行不可の旨をツールチップ402に記載して表示を行っている例を使って説明した。しかし、UIの表示方法はこの例に限定するものではない。
【0045】
他の例としては、実行不可の原因となるアイテムを、図11(A)のUI1301に示すように、アイテムを表示する領域1303内に提示する方法がある。図11(A)の例では、実行不可の原因となるごみ箱のアイテム1302の背景色を、他のアイテムの背景色とは異なる色で表示している。
【0046】
実行不可の原因となるアイテムを、当該アイテムを表示する領域302内に提示する他の表示方法としては、背景色を異なる色にする以外であっても構わない。例えば、その他の表示方法として、アイテムの表示名のフォントの装飾(強調表示、取り消し線、斜体など)を変える方法、アイテムの表示領域の点滅などがある。上記アイテムの表示方法の変更は、UI制御部601が、例えば、WPF(登録商標)の仕組みを利用して行う。また、第1実施形態にて示したツールチップ402の表示形式と本実施形態の表示形式を組み合わせるようにしても構わない。
【0047】
なお、システム構成、ハードウェア構成、アプリケーション構成、各種情報データの構造、および処理フローについては、第1実施形態と同じため説明を省略する。
【0048】
以上により、第1実施形態と同様の効果を有することとなる。
【0049】
<第3実施形態>
図4(A)では、選択されたアイテムの中に処理が実行不可なアイテム(ごみ箱)が含まれており、実行不可の旨をツールチップ402に記載して表示を行っている例を使って説明した。しかし、UIの表示方法はこの例に限定するものではない。
【0050】
他の例としては、実行不可の原因となるアイテムを、図11(B)のUI1401に示すように、タイトルバー1402やステータスバー1403に提示する方法がある。図11(B)の例では、実行不可の旨と実行不可の原因となるアイテム(ここでは「ごみ箱」)を、タイトルバー1402とステータスバー1403に表示しているが、どちらか一方にのみ表示をしてもよい。上記タイトルバーやステータスバーの表示の変更は、UI制御部601が、マイクロソフトのWPF(登録商標)の仕組みを利用して行う。また、第2実施形態の表示方法と組み合わせるような構成であっても構わない。
【0051】
なお、システム構成、ハードウェア構成、アプリケーション構成、各種情報データの構造、処理フローについては、第1実施形態と同じため説明を省略する。
【0052】
以上により、第1実施形態と同様の効果を有することとなる。
【0053】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイテムに対して処理を実行するための条件を定義する定義手段と、
複数のアイテムの選択を受け付ける選択手段と、
前記定義手段にて定義された処理が関連付けられたアイコンを表示するアイコン表示手段と、
前記選択手段にて複数のアイテムが選択され、かつ、前記アイコン表示手段が表示するアイコンの指定を受け付けた場合、前記アイコンに関連付けられた処理の実行が不可であるアイテムが、前記選択された複数のアイテムに含まれているか否か判定する判定手段と、
前記処理の実行が不可であるアイテムが前記選択されたアイテムに含まれる場合、当該処理の実行が不可であるアイテムを識別可能に表示する表示手段と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記定義手段は、アイテムが有する属性情報を用いて、当該アイテムに対して処理を実行するための条件を定義することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記属性情報は、種別、ファイル形式、名前、格納先、サイズ、およびアイテムが格納されているフォルダの種類の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記選択手段にてアイテムが選択された状態で、前記アイコンに対してマウスオーバーが行われた場合に、当該アイコンを指定したとみなすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記処理の実行が不可であるアイテムが前記選択されたアイテムに含まれる場合、前記アイコンに対してマウスオーバーをしているカーソルを実行不可である旨を示す形式に変更して表示することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記表示手段は、処理の実行が不可である旨と当該処理の実行が不可であるアイテムを表示する場合、ツールチップにて表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示手段は、選択されたアイテムが複数である場合において、前記判定手段にて処理の実行が不可であると判定されたアイテムから順次、前記ツールチップの内容を更新して表示していくことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示手段は、処理の実行が不可である旨と当該処理の実行が不可であるアイテムを表示する場合、当該処理の実行が不可であるアイテムの表示形式を変更して表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記表示手段は、処理の実行が不可である旨と当該処理の実行が不可であるアイテムを表示する場合、ユーザインタフェースにおけるタイトルバーもしくはステータスバーの少なくともいずれかにおいて表示することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記アイコンに関連付けられた処理を実行する実行手段を更に有し、
前記実行手段は、前記選択された複数のアイテムのうち、実行が可能であるアイテムに対して当該処理を実行し、実行が不可であるアイテムに対して当該処理を実行しないように制御することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記表示手段は、アイコンに関連付けられた処理が失敗した場合に、失敗した旨とその内容を、前記処理が不可である旨と当該処理の実行が不可であるアイテムを表示する際と同じ形式で表示することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
定義手段が、アイテムに対して処理を実行するための条件を定義する定義工程と、
選択手段が、複数のアイテムの選択を受け付ける選択工程と、
アイコン表示手段が、前記定義工程にて定義された処理が関連付けられたアイコンを表示するアイコン表示工程と、
判定手段が、前記選択工程にて複数のアイテムが選択され、かつ、前記アイコン表示工程にて表示するアイコンの指定を受け付けた場合、前記アイコンに関連付けられた処理の実行が不可であるアイテムが、前記選択された複数のアイテムに含まれているか否か判定する判定工程と、
表示手段が、前記処理の実行が不可であるアイテムが前記選択されたアイテムに含まれる場合、当該処理の実行が不可であるアイテムを識別可能に表示する表示工程と
を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、
アイテムに対して処理を実行するための条件を定義する定義手段、
複数のアイテムの選択を受け付ける選択手段、
前記定義手段にて定義された処理が関連付けられたアイコンを表示するアイコン表示手段、
前記選択手段にて複数のアイテムが選択され、かつ、前記アイコン表示手段が表示するアイコンの指定を受け付けた場合、前記アイコンに関連付けられた処理の実行が不可であるアイテムが、前記選択された複数のアイテムに含まれているか否か判定する判定手段、
前記処理の実行が不可であるアイテムが前記選択されたアイテムに含まれる場合、当該処理の実行が不可であるアイテムを識別可能に表示する表示手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−105460(P2013−105460A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251020(P2011−251020)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】