情報処理装置および方法、プログラム、並びにプログラム記録媒体
【課題】ユーザの操作を妨げることなく、HTMLコンテンツに視覚効果を加えることができるようにする。
【解決手段】表示制御部が、視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、視覚効果エレメントを非表示にして、視覚効果対象エレメントにマウスイベントを送信する。本技術は、HTMLコンテンツを表示するコンピュータに適用することができる。
【解決手段】表示制御部が、視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、視覚効果エレメントを非表示にして、視覚効果対象エレメントにマウスイベントを送信する。本技術は、HTMLコンテンツを表示するコンピュータに適用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理装置および方法、プログラム、並びにプログラム記録媒体に関し、特に、ユーザの操作を妨げることなく、HTMLコンテンツに視覚効果を加えることができるようにした情報処理装置および方法、プログラム、並びにプログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットブラウザを対象とした文書記述方式として、HTML(Hyper Text Markup Language)がある。また、HTMLファイルに記載されたDOM(Document Object Model)エレメントを操作するJavaScriptがあり、これにより、ユーザの入力に対して反応するインタラクティブな文書が作成できる。以下、このような文書をWebアプリケーションと称する。
【0003】
Webアプリケーションにおいては、特定のDOMエレメントにマウスが移動した場合や、マウスクリックした場合に、DOMエレメントの色を変更したり、変形させたり、指定されたURL(Uniform Resource Locator)にジャンプするといった機能が利用されている。
【0004】
また、HTMLコンテンツの画面表示内容の組み合わせを多様化するため、ソフトウエアの構造上は下層にあるエレメントを、画面表示上は手前に見せたい場合に、上層のエレメントを透明にすることで下層のエレメントを表示する情報処理装置もある。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−15521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、視覚効果を付加する対象となるDOMエレメント(以下、視覚効果対象エレメントと称する)に、他のDOMエレメントを重ねて、視覚効果を描画することができなかった。なぜなら、ブラウザのマウスイベント伝搬モデルである、バブリングおよびキャプチャリングはDOMツリーの親子間で伝搬するが、視覚的に上に重ねたDOMエレメントが受け取ったマウスイベントを、その下(DOMツリーの親子関係ではなく、スクリーン座標的に下)のDOMエレメントに伝搬する方法がサポートされていないからである。よって、単純に視覚効果を表示するDOMエレメント(以下、視覚効果エレメントと称する)を視覚効果対象エレメントの上に重ねると、視覚効果エレメントの下にある視覚効果対象エレメントによりマウスイベントが実行されず、ユーザの操作を妨げてしまう。
【0007】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザの操作を妨げることなく、HTMLコンテンツに視覚効果を加えることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の一側面の情報処理装置は、視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御部を備える。
【0009】
前記視覚効果エレメントは、前記視覚効果表示イベントの発生に応じて動的に生成されることができる。
【0010】
前記マウスイベントに対応する処理が終了した場合、前記視覚効果エレメントを再表示することができる。
【0011】
本技術の一側面である情報処理装置の情報処理方法、プログラムおよびプログラム記録媒体のそれぞれは、上述した本技術の情報処理装置に対応する情報処理方法、プログラムおよびプログラム記録媒体のそれぞれである。
【0012】
本技術の一側面においては、視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントが重ねて表示され、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントが非表示にされ、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントが送信される。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、ユーザの操作を妨げることなく、HTMLコンテンツに視覚効果を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本技術の一実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】CPUの機能的構成例を示すブロック図である。
【図3】視覚効果対象表示処理について説明するフローチャートである。
【図4】視覚効果対象エレメントの表示例を示す図である。
【図5】視覚効果エレメントの表示例を示す図である。
【図6】視覚効果エレメントの表示例を示す図である。
【図7】視覚効果対象エレメントに視覚効果エレメントが重ねられた状態の表示例を示す図である。
【図8】視覚効果対象エレメントに視覚効果エレメントが重ねられた状態の表示例を示す図である。
【図9】マウスイベント(クリック)が発生する場合の表示例を示す図である。
【図10】視覚効果非対象表示処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本技術の実施の形態について説明する。
【0016】
[情報処理装置の構成例]
図1は、本技術の一実施形態に係る情報処理装置1の構成例を示す図である。
【0017】
情報処理装置1において、CPU11,ROM(Read Only Memory)12,RAM(Random Access Memory)13は、バス14により相互に接続されている。
【0018】
バス14には、さらに、入出力インタフェース15が接続されている。入出力インタフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19、ドライブ20、およびリムーバブルメディア21が接続されている。
【0019】
入力部16は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部17は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部18は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部19は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ20は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア21を駆動する。
【0020】
以上のように構成される情報処理装置1では、CPU11が、例えば、記憶部18に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース15およびバス14を介して、RAM13にロードして実行することにより、一連の処理が行われる。
【0021】
情報処理装置1のCPU11が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア21に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0022】
情報処理装置1では、プログラムは、リムーバブルメディア21をドライブ20に装着することにより、入出力インタフェース15を介して、記憶部18にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部19で受信し、記憶部18にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM12や記憶部18に、予めインストールしておくことができる。
【0023】
図2は、CPU11の機能的構成例を示すブロック図である。
【0024】
図2において、CPU11は、ブラウザ31、アニメーションループ32、視覚効果エレメント33、視覚効果対象エレメント34、および視覚効果非対象エレメント35を含むように構成されている。
【0025】
ブラウザ31は、通信部19を介してHTMLコンテンツ(以下、単にコンテンツとも称する)を読み込み、出力部17を構成するディスプレイの画面に表示する。具体的には、ブラウザ31は、視覚効果対象エレメント34および視覚効果非対象エレメント35に、読み込んだコンテンツを表示する。また、ブラウザ31は、ユーザにより入力部16に入力された操作(例えば、キーボードやマウスの操作)を検出する。例えば、ブラウザ31は、ユーザによりマウスを動かす操作がされたことにより、マウスカーソルが移動されたことを検出する。また、ブラウザ31は、ユーザにより、画面上の所定の位置でマウスがクリックされたことを検出する。また、ブラウザ31は、視覚効果を表示させるイベント(以下、視覚効果表示イベントと称する)を検出すると、アニメーションループ32に視覚効果の作成を指示する。
【0026】
アニメーションループ32は、ブラウザ31の指示により、視覚効果エレメント33に視覚効果を表示させるためのアニメーションを作成し、視覚効果エレメント33に書き込む。
【0027】
視覚効果エレメント33は、視覚効果対象エレメント34に重ねられるDOMエレメント(以下、単にエレメントと称する)である。視覚効果エレメント33は、視覚効果を描画するエレメント(HTMLのグラフィック要素であるCanvas)である。視覚効果エレメント33は、DOMツリーの任意の場所に接続され、ブラウザ31の指示によりアニメーションループ32によって描画される。視覚効果エレメント33は、視覚効果対象エレメント34よりも手前側に表示されるように、即ち、視覚効果対象エレメント34の上に重ねて表示されるようにDOMツリーの最後に追加される。または、視覚効果エレメント33は、視覚効果対象エレメント34に重ねて表示されるように、CSS(Cascading Style Sheet:段階スタイルシート)で、エレメントの重なりの順序を指定するz-indexが調整される。視覚効果エレメント33の例については、図5および図6を参照して後述する。
【0028】
視覚効果対象エレメント34は、視覚効果エレメント33を重ねて表示する対象となるエレメントである。視覚効果対象エレメント34は、視覚効果表示イベント(例えば、視覚効果対象エレメント34の上にマウスカーソルが移動する等のイベント)が発生すると、視覚効果対象エレメント34の上に視覚効果エレメント33が重ねて表示される。視覚効果対象エレメント34の例については、図4を参照して後述する。
【0029】
視覚効果非対象エレメント35は、視覚効果エレメント33を重ねる対象となっていないエレメントである。即ち、視覚効果非対象エレメント35に対して、視覚効果対象エレメント34における視覚効果表示イベントが発生しても、視覚効果エレメント33は重ねられない。
【0030】
[情報処理装置の動作]
図3は、視覚効果対象エレメント34に対して、視覚効果表示イベントおよびマウスイベントが発生する場合にCPU11が実行する処理(以下、視覚効果対象表示処理と称する)について説明するフローチャートである。
【0031】
また、図4乃至図9は、視覚効果対象表示処理実行時の各エレメントの表示例を示す図である。以下、図4乃至図9を参照して、図3のフローチャートの処理について説明する。
【0032】
ステップS11において、ブラウザ31は、コンテンツを読み込む。ステップS12において、ブラウザ31は、視覚効果対象エレメント34に対し、コンテンツの表示を指示する。
【0033】
ステップS41において、視覚効果対象エレメント34は、ブラウザ31からの指示を受信する。ステップS42において、視覚効果対象エレメント34は、コンテンツを表示する。図4は、視覚効果対象エレメント34の表示例を示す図である。図4に示されるように、コンテンツが、視覚効果対象エレメント34として図示せぬ画面上に表示される。
【0034】
ステップS13において、ブラウザ31が視覚効果対象エレメント34上へのカーソルの移動を検出する。即ち、ブラウザ31は、ユーザによりマウスが操作され、視覚効果対象エレメント34上にマウスカーソルが移動された場合、それを検出する。図3を参照して説明する視覚効果対象表示処理においては、この視覚効果対象エレメント34上へのマウスカーソルの移動が視覚効果表示イベントであるとする。なお、視覚効果表示イベントが発生するまでは、ステップS14以降の視覚効果対象表示処理は実行されない。つまり、単にコンテンツが視覚効果対象エレメント34に表示されている。
【0035】
ステップS14において、ブラウザ31は、アニメーションループ32に対し、視覚効果の作成を指示する。即ち、ブラウザ31は、視覚効果表示イベントが発生したことを認識したので、視覚効果の作成を指示する。
【0036】
ステップS21において、アニメーションループ32は、ブラウザ31からの指示を受信する。ステップS22において、アニメーションループ32は、視覚効果を作成する。視覚効果は、一連のアニメーションとして表現される。アニメーションループ32により作成されたアニメーションの具体例については、図5乃至図8を参照して後述する。ステップS23において、アニメーションループ32は、視覚効果エレメント33に、作成した視覚効果を書き込む。
【0037】
ステップS31において、視覚効果エレメント33は、視覚効果を表示する。即ち、視覚効果エレメント33が、視覚効果対象エレメント34の上に重ねられて表示される。このようにして、ブラウザ31は、視覚効果表示イベントの発生に応じて視覚効果エレメント33を動的に生成し、表示させる。
【0038】
図5および図6は、視覚効果エレメント33の表示例を示す図である。例えば、図5に示される視覚効果エレメント33の一例としての視覚効果エレメント33−1は、様々なサイズのパーティクルが乱れ飛ぶ視覚効果を表している。即ち、視覚効果エレメント33−1は、単にパーティクルが表示されているのではなく、様々なサイズのパーティクルが次々に画面上に現れては消えていくという、所定の時間連続して表示されるアニメーションとして表現される。
【0039】
また、図6に示される視覚効果エレメント33の一例としての視覚効果エレメント33−2は、エレメントの左上から右下にかけて、発光体が輝く視覚効果を表している。即ち、視覚効果エレメント33−2は、単に発光体が表示されているのではなく、発光体が左上から右下に流れるように輝くという、所定の時間連続で表示されるアニメーションとして表現される。
【0040】
図7は、図4に示された視覚効果対象エレメント34の上に、図5に示された視覚効果エレメント33−1が重ねられた表示例を示している。図7に示されるように、視覚効果エレメント33−1は、パーティクル部分以外は透明色であり、また、パーティクルは次々と現れては消えていくので、ユーザによる視覚効果対象エレメント34の視認を妨げない。
【0041】
図8は、図4に示された視覚効果対象エレメント34の上に、図6に示された視覚効果エレメント33−2が重ねられた表示例を示している。図8に示されるように、視覚効果エレメント33−2は、発光体部分以外は透明色であり、また、発光体は左上から右下に流れていくので、ユーザによる視覚効果対象エレメント34の視認を妨げない。
【0042】
このようにして、視覚効果エレメント33は、視覚効果対象エレメント34に対して視覚効果を付加することができる。
【0043】
上述したように、視覚効果エレメント33は、所定の時間連続で表示されるアニメーションであるので、所定の時間が経過すると、視覚効果エレメント33は、非表示状態になる。具体的には、視覚効果エレメント33が不可視状態になるか、画面の表示領域外に出ることで、ユーザが視認できないようにする。
【0044】
ステップS15において、ブラウザ31は、視覚効果対象エレメント34上でのクリックを検出する。即ち、ブラウザ31は、視覚効果エレメント33のアニメーションが表示されている間に、ユーザによりマウスが操作され、視覚効果対象エレメント34上でクリックされた(以下、マウスイベント(クリック)とも称する)場合、それを検出する。
【0045】
図9は視覚効果エレメント33−2が重ねて表示された視覚効果対象エレメント34に対し、マウスイベント(クリック)が発生する場合の表示例を示す図である。図9に示されるように、視覚効果エレメント33−2が重ねて表示された視覚効果対象エレメント34が、マウスカーソル51によりクリックされる。
【0046】
なお、視覚効果対象エレメント34上でマウスがクリックされるまでは、ステップS16以降の視覚効果対象表示処理は実行されない。また、アニメーションが終了した後にステップS15の処理が実行された場合、ステップS16以降の処理は実行されない。この場合、上述したように、すでに視覚効果エレメント33は非表示になっているためである。つまり、ステップS16以降の処理は、視覚効果エレメント33が視覚効果対象エレメント34上に表示され、一連のアニメーションが表示されている間にクリックが検出された場合に限り、実行される処理である。
【0047】
ステップS16において、ブラウザ31は、視覚効果エレメント33に対し、視覚効果エレメント33の非表示を指示する。即ち、マウスイベント(クリック)を受け取ったのは、視覚効果対象エレメント34の上に重ねられた視覚効果エレメント33(最前面のエレメント)であるが、ユーザは、その下の視覚効果対象エレメント34に対してクリックを行ったものである。マウスイベント(クリック)を視覚効果対象エレメント34に送信するためには、DOMの仕様に基づいて、視覚効果エレメント33を非表示にする必要がある。よって、ブラウザ31は、視覚効果エレメント33の非表示を指示する。
【0048】
ステップS32において、視覚効果エレメント33は、指示を受信する。即ち、視覚効果エレメント33は、ブラウザ31からの視覚効果エレメント33の非表示の指示を受信する。そして、ステップS33において、視覚効果エレメント33は、非表示状態になる。具体的には、視覚効果エレメント33が不可視状態になるか、画面の表示領域外に出ることで、ユーザが視認できないようにする。
【0049】
ステップS17において、ブラウザ31は、マウスイベント(クリック)を視覚効果対象エレメント34に送信する。即ち、視覚効果エレメント33上でマウスイベント(クリック)がなされると、視覚効果エレメント33のマウスイベントハンドラが起動される。視覚効果エレメント33は、マウスイベントハンドラ内でマウスイベント(クリック)を保存し、マウスの座標を参照できるようにする。ブラウザ31は、マウス座標を参照することで、視覚効果対象エレメント34に対してマウスイベント(クリック)がなされたことを特定する。
【0050】
具体的には、ブラウザ31がエレメントの座標を参照するgetElementByPosition(x,y)のようなインタフェースを持っている場合は、これを利用して視覚効果対象エレメント34を特定する。ブラウザ31がgetElementByPosition(x,y)のようなインタフェースを持っていない場合は、DOMツリーをトラバース(移動)しながら、検出したマウスの座標x,yを含むエレメントを探索する。その結果、ブラウザ31は、視覚効果対象エレメント34を特定する。ブラウザ31は、特定された視覚効果対象エレメント34に対して、視覚効果エレメント33が保存したイベント、即ちマウスイベント(クリック)を送信する。
【0051】
ステップS43において、視覚効果対象エレメント34は、マウスイベント(クリック)を受信する。視覚効果対象エレメント34は、ステップS44においてマウスイベント(クリック)に対応する処理を実行する。なお、マウスイベント(クリック)に対応する処理が、指定されたURLへのジャンプであった場合は、ステップS11のコンテンツを読み込むところから視覚効果対象表示処理が改めて実行される。
【0052】
ブラウザ31は、視覚効果対象エレメント34の処理が実行されると、ステップS18において、視覚効果エレメント33の表示を指示する。
【0053】
ステップS34において、視覚効果エレメント33は、指示を受信する。即ち、視覚効果エレメント33は、ブラウザ31からの視覚効果エレメント33の表示の指示を受信する。ステップS35において、視覚効果エレメント33は、表示状態になる。即ち、ステップS33において非表示にされた視覚効果エレメント33が、再表示される。
【0054】
このようにして、視覚効果対象表示処理は終了する。
【0055】
以上、視覚効果対象エレメント34を対象として、マウスカーソルの移動やクリックに対応する視覚効果対象表示処理について、図3のフローチャートを参照して説明した。それに対して、視覚効果非対象エレメント35を対象として、マウスカーソルの移動やクリックに対応する視覚効果非対象表示処理について、図10を参照して説明する。
【0056】
ステップS61において、ブラウザ31は、コンテンツを読み込む。ステップS62において、ブラウザ31は、視覚効果非対象エレメント35に対し、コンテンツの表示を指示する。
【0057】
ステップS71において、視覚効果非対象エレメント35は、ブラウザ31からの指示を受信する。ステップS72において、視覚効果非対象エレメント35は、コンテンツを表示する。
【0058】
ステップS63において、ブラウザ31が視覚効果非対象エレメント35上へのカーソルの移動を検出する。即ち、ブラウザ31は、ユーザによりマウスが操作され、視覚効果非対象エレメント35上にマウスカーソルが移動された場合、それを検出する。しかしながら、視覚効果非対象エレメント35は、視覚効果を表示する対象ではないので、特に何の処理も実行されない。
【0059】
ステップS64において、ブラウザ31は、視覚効果非対象エレメント35上でのクリックを検出する。即ち、ブラウザ31は、ユーザによりマウスが操作され、視覚効果非対象エレメント35上でクリックされた場合、それを検出する。なお、ブラウザ31がクリックを検出するまでは、ステップS65以降の視覚効果非対象表示処理は実行されない。
【0060】
ステップS65において、ブラウザ31は、視覚効果非対象エレメント35に対して、マウスイベント(クリック)を送信する。
【0061】
ステップS73において、視覚効果非対象エレメント35は、マウスイベント(クリック)を受信する。そして、ステップS74において、視覚効果非対象エレメント35は、マウスイベント(クリック)に対応する処理を実行し、視覚効果非対象表示処理は終了する。
【0062】
このように、視覚効果非対象エレメント35は、視覚効果を表示する対象ではないので、マウスイベント(クリック)を受信しても、図3を参照して説明した視覚効果対象表示処理のように、視覚効果エレメント33を非表示にしたり、表示状態に戻す必要はない。
【0063】
このように、本技術によれば、視覚効果対象エレメント34に対して視覚効果エレメント33を重ねて表示することで、コンテンツにインタラクティブな効果を与えることができる。また、視覚効果エレメント33を表示中に、ユーザがマウスをクリックするなどのマウスイベントが発生した場合においても、ブラウザ31はマウスイベントに対応する処理を実行することができるので、ユーザの操作を妨げない。
【0064】
さらに、本技術によれば、ブラウザ31は、コンテンツのエレメントに対し、視覚効果対象エレメント34と視覚効果非対象エレメント35のように、視覚効果を与える対象を指定できる。よって、効果的にHTMLコンテンツにインタラクティブな効果を与えると同時に、ユーザにとって重要と思われるエレメント(例えば、警告表示等)には視覚効果を表示しないなどの対応が可能となる。
【0065】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアとしての情報処理装置1に組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0066】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0067】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0068】
なお、本技術は、以下のような構成もとることができる。
(1)
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御部
を備える情報処理装置。
(2)
前記視覚効果エレメントは、前記視覚効果表示イベントの発生に応じて動的に生成される
(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記マウスイベントに対応する処理が終了した場合、前記視覚効果エレメントを再表示する
(1)または(2)に記載の情報処理装置。
(4)
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御ステップ
を含む情報処理方法。
(5)
コンピュータに、
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御ステップ
を実行させるプログラム。
(6)
コンピュータに、
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御ステップ
を実行させるプログラムが記録されているコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【符号の説明】
【0069】
1 情報処理装置, 11 CPU, 12 ROM, 13 RAM, 14 バス, 15 入出力インタフェース, 16 入力部, 17 出力部, 18 記憶部, 19 通信部, 20 ドライブ, 21 リムーバブルメディア, 31 ブラウザ, 32 アニメーションループ, 33 視覚効果エレメント, 34 視覚効果対象エレメント, 35 視覚効果非対象エレメント, 51 マウスカーソル
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理装置および方法、プログラム、並びにプログラム記録媒体に関し、特に、ユーザの操作を妨げることなく、HTMLコンテンツに視覚効果を加えることができるようにした情報処理装置および方法、プログラム、並びにプログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットブラウザを対象とした文書記述方式として、HTML(Hyper Text Markup Language)がある。また、HTMLファイルに記載されたDOM(Document Object Model)エレメントを操作するJavaScriptがあり、これにより、ユーザの入力に対して反応するインタラクティブな文書が作成できる。以下、このような文書をWebアプリケーションと称する。
【0003】
Webアプリケーションにおいては、特定のDOMエレメントにマウスが移動した場合や、マウスクリックした場合に、DOMエレメントの色を変更したり、変形させたり、指定されたURL(Uniform Resource Locator)にジャンプするといった機能が利用されている。
【0004】
また、HTMLコンテンツの画面表示内容の組み合わせを多様化するため、ソフトウエアの構造上は下層にあるエレメントを、画面表示上は手前に見せたい場合に、上層のエレメントを透明にすることで下層のエレメントを表示する情報処理装置もある。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−15521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、視覚効果を付加する対象となるDOMエレメント(以下、視覚効果対象エレメントと称する)に、他のDOMエレメントを重ねて、視覚効果を描画することができなかった。なぜなら、ブラウザのマウスイベント伝搬モデルである、バブリングおよびキャプチャリングはDOMツリーの親子間で伝搬するが、視覚的に上に重ねたDOMエレメントが受け取ったマウスイベントを、その下(DOMツリーの親子関係ではなく、スクリーン座標的に下)のDOMエレメントに伝搬する方法がサポートされていないからである。よって、単純に視覚効果を表示するDOMエレメント(以下、視覚効果エレメントと称する)を視覚効果対象エレメントの上に重ねると、視覚効果エレメントの下にある視覚効果対象エレメントによりマウスイベントが実行されず、ユーザの操作を妨げてしまう。
【0007】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザの操作を妨げることなく、HTMLコンテンツに視覚効果を加えることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の一側面の情報処理装置は、視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御部を備える。
【0009】
前記視覚効果エレメントは、前記視覚効果表示イベントの発生に応じて動的に生成されることができる。
【0010】
前記マウスイベントに対応する処理が終了した場合、前記視覚効果エレメントを再表示することができる。
【0011】
本技術の一側面である情報処理装置の情報処理方法、プログラムおよびプログラム記録媒体のそれぞれは、上述した本技術の情報処理装置に対応する情報処理方法、プログラムおよびプログラム記録媒体のそれぞれである。
【0012】
本技術の一側面においては、視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントが重ねて表示され、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントが非表示にされ、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントが送信される。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、ユーザの操作を妨げることなく、HTMLコンテンツに視覚効果を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本技術の一実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】CPUの機能的構成例を示すブロック図である。
【図3】視覚効果対象表示処理について説明するフローチャートである。
【図4】視覚効果対象エレメントの表示例を示す図である。
【図5】視覚効果エレメントの表示例を示す図である。
【図6】視覚効果エレメントの表示例を示す図である。
【図7】視覚効果対象エレメントに視覚効果エレメントが重ねられた状態の表示例を示す図である。
【図8】視覚効果対象エレメントに視覚効果エレメントが重ねられた状態の表示例を示す図である。
【図9】マウスイベント(クリック)が発生する場合の表示例を示す図である。
【図10】視覚効果非対象表示処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本技術の実施の形態について説明する。
【0016】
[情報処理装置の構成例]
図1は、本技術の一実施形態に係る情報処理装置1の構成例を示す図である。
【0017】
情報処理装置1において、CPU11,ROM(Read Only Memory)12,RAM(Random Access Memory)13は、バス14により相互に接続されている。
【0018】
バス14には、さらに、入出力インタフェース15が接続されている。入出力インタフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19、ドライブ20、およびリムーバブルメディア21が接続されている。
【0019】
入力部16は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部17は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部18は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部19は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ20は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア21を駆動する。
【0020】
以上のように構成される情報処理装置1では、CPU11が、例えば、記憶部18に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース15およびバス14を介して、RAM13にロードして実行することにより、一連の処理が行われる。
【0021】
情報処理装置1のCPU11が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア21に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0022】
情報処理装置1では、プログラムは、リムーバブルメディア21をドライブ20に装着することにより、入出力インタフェース15を介して、記憶部18にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部19で受信し、記憶部18にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM12や記憶部18に、予めインストールしておくことができる。
【0023】
図2は、CPU11の機能的構成例を示すブロック図である。
【0024】
図2において、CPU11は、ブラウザ31、アニメーションループ32、視覚効果エレメント33、視覚効果対象エレメント34、および視覚効果非対象エレメント35を含むように構成されている。
【0025】
ブラウザ31は、通信部19を介してHTMLコンテンツ(以下、単にコンテンツとも称する)を読み込み、出力部17を構成するディスプレイの画面に表示する。具体的には、ブラウザ31は、視覚効果対象エレメント34および視覚効果非対象エレメント35に、読み込んだコンテンツを表示する。また、ブラウザ31は、ユーザにより入力部16に入力された操作(例えば、キーボードやマウスの操作)を検出する。例えば、ブラウザ31は、ユーザによりマウスを動かす操作がされたことにより、マウスカーソルが移動されたことを検出する。また、ブラウザ31は、ユーザにより、画面上の所定の位置でマウスがクリックされたことを検出する。また、ブラウザ31は、視覚効果を表示させるイベント(以下、視覚効果表示イベントと称する)を検出すると、アニメーションループ32に視覚効果の作成を指示する。
【0026】
アニメーションループ32は、ブラウザ31の指示により、視覚効果エレメント33に視覚効果を表示させるためのアニメーションを作成し、視覚効果エレメント33に書き込む。
【0027】
視覚効果エレメント33は、視覚効果対象エレメント34に重ねられるDOMエレメント(以下、単にエレメントと称する)である。視覚効果エレメント33は、視覚効果を描画するエレメント(HTMLのグラフィック要素であるCanvas)である。視覚効果エレメント33は、DOMツリーの任意の場所に接続され、ブラウザ31の指示によりアニメーションループ32によって描画される。視覚効果エレメント33は、視覚効果対象エレメント34よりも手前側に表示されるように、即ち、視覚効果対象エレメント34の上に重ねて表示されるようにDOMツリーの最後に追加される。または、視覚効果エレメント33は、視覚効果対象エレメント34に重ねて表示されるように、CSS(Cascading Style Sheet:段階スタイルシート)で、エレメントの重なりの順序を指定するz-indexが調整される。視覚効果エレメント33の例については、図5および図6を参照して後述する。
【0028】
視覚効果対象エレメント34は、視覚効果エレメント33を重ねて表示する対象となるエレメントである。視覚効果対象エレメント34は、視覚効果表示イベント(例えば、視覚効果対象エレメント34の上にマウスカーソルが移動する等のイベント)が発生すると、視覚効果対象エレメント34の上に視覚効果エレメント33が重ねて表示される。視覚効果対象エレメント34の例については、図4を参照して後述する。
【0029】
視覚効果非対象エレメント35は、視覚効果エレメント33を重ねる対象となっていないエレメントである。即ち、視覚効果非対象エレメント35に対して、視覚効果対象エレメント34における視覚効果表示イベントが発生しても、視覚効果エレメント33は重ねられない。
【0030】
[情報処理装置の動作]
図3は、視覚効果対象エレメント34に対して、視覚効果表示イベントおよびマウスイベントが発生する場合にCPU11が実行する処理(以下、視覚効果対象表示処理と称する)について説明するフローチャートである。
【0031】
また、図4乃至図9は、視覚効果対象表示処理実行時の各エレメントの表示例を示す図である。以下、図4乃至図9を参照して、図3のフローチャートの処理について説明する。
【0032】
ステップS11において、ブラウザ31は、コンテンツを読み込む。ステップS12において、ブラウザ31は、視覚効果対象エレメント34に対し、コンテンツの表示を指示する。
【0033】
ステップS41において、視覚効果対象エレメント34は、ブラウザ31からの指示を受信する。ステップS42において、視覚効果対象エレメント34は、コンテンツを表示する。図4は、視覚効果対象エレメント34の表示例を示す図である。図4に示されるように、コンテンツが、視覚効果対象エレメント34として図示せぬ画面上に表示される。
【0034】
ステップS13において、ブラウザ31が視覚効果対象エレメント34上へのカーソルの移動を検出する。即ち、ブラウザ31は、ユーザによりマウスが操作され、視覚効果対象エレメント34上にマウスカーソルが移動された場合、それを検出する。図3を参照して説明する視覚効果対象表示処理においては、この視覚効果対象エレメント34上へのマウスカーソルの移動が視覚効果表示イベントであるとする。なお、視覚効果表示イベントが発生するまでは、ステップS14以降の視覚効果対象表示処理は実行されない。つまり、単にコンテンツが視覚効果対象エレメント34に表示されている。
【0035】
ステップS14において、ブラウザ31は、アニメーションループ32に対し、視覚効果の作成を指示する。即ち、ブラウザ31は、視覚効果表示イベントが発生したことを認識したので、視覚効果の作成を指示する。
【0036】
ステップS21において、アニメーションループ32は、ブラウザ31からの指示を受信する。ステップS22において、アニメーションループ32は、視覚効果を作成する。視覚効果は、一連のアニメーションとして表現される。アニメーションループ32により作成されたアニメーションの具体例については、図5乃至図8を参照して後述する。ステップS23において、アニメーションループ32は、視覚効果エレメント33に、作成した視覚効果を書き込む。
【0037】
ステップS31において、視覚効果エレメント33は、視覚効果を表示する。即ち、視覚効果エレメント33が、視覚効果対象エレメント34の上に重ねられて表示される。このようにして、ブラウザ31は、視覚効果表示イベントの発生に応じて視覚効果エレメント33を動的に生成し、表示させる。
【0038】
図5および図6は、視覚効果エレメント33の表示例を示す図である。例えば、図5に示される視覚効果エレメント33の一例としての視覚効果エレメント33−1は、様々なサイズのパーティクルが乱れ飛ぶ視覚効果を表している。即ち、視覚効果エレメント33−1は、単にパーティクルが表示されているのではなく、様々なサイズのパーティクルが次々に画面上に現れては消えていくという、所定の時間連続して表示されるアニメーションとして表現される。
【0039】
また、図6に示される視覚効果エレメント33の一例としての視覚効果エレメント33−2は、エレメントの左上から右下にかけて、発光体が輝く視覚効果を表している。即ち、視覚効果エレメント33−2は、単に発光体が表示されているのではなく、発光体が左上から右下に流れるように輝くという、所定の時間連続で表示されるアニメーションとして表現される。
【0040】
図7は、図4に示された視覚効果対象エレメント34の上に、図5に示された視覚効果エレメント33−1が重ねられた表示例を示している。図7に示されるように、視覚効果エレメント33−1は、パーティクル部分以外は透明色であり、また、パーティクルは次々と現れては消えていくので、ユーザによる視覚効果対象エレメント34の視認を妨げない。
【0041】
図8は、図4に示された視覚効果対象エレメント34の上に、図6に示された視覚効果エレメント33−2が重ねられた表示例を示している。図8に示されるように、視覚効果エレメント33−2は、発光体部分以外は透明色であり、また、発光体は左上から右下に流れていくので、ユーザによる視覚効果対象エレメント34の視認を妨げない。
【0042】
このようにして、視覚効果エレメント33は、視覚効果対象エレメント34に対して視覚効果を付加することができる。
【0043】
上述したように、視覚効果エレメント33は、所定の時間連続で表示されるアニメーションであるので、所定の時間が経過すると、視覚効果エレメント33は、非表示状態になる。具体的には、視覚効果エレメント33が不可視状態になるか、画面の表示領域外に出ることで、ユーザが視認できないようにする。
【0044】
ステップS15において、ブラウザ31は、視覚効果対象エレメント34上でのクリックを検出する。即ち、ブラウザ31は、視覚効果エレメント33のアニメーションが表示されている間に、ユーザによりマウスが操作され、視覚効果対象エレメント34上でクリックされた(以下、マウスイベント(クリック)とも称する)場合、それを検出する。
【0045】
図9は視覚効果エレメント33−2が重ねて表示された視覚効果対象エレメント34に対し、マウスイベント(クリック)が発生する場合の表示例を示す図である。図9に示されるように、視覚効果エレメント33−2が重ねて表示された視覚効果対象エレメント34が、マウスカーソル51によりクリックされる。
【0046】
なお、視覚効果対象エレメント34上でマウスがクリックされるまでは、ステップS16以降の視覚効果対象表示処理は実行されない。また、アニメーションが終了した後にステップS15の処理が実行された場合、ステップS16以降の処理は実行されない。この場合、上述したように、すでに視覚効果エレメント33は非表示になっているためである。つまり、ステップS16以降の処理は、視覚効果エレメント33が視覚効果対象エレメント34上に表示され、一連のアニメーションが表示されている間にクリックが検出された場合に限り、実行される処理である。
【0047】
ステップS16において、ブラウザ31は、視覚効果エレメント33に対し、視覚効果エレメント33の非表示を指示する。即ち、マウスイベント(クリック)を受け取ったのは、視覚効果対象エレメント34の上に重ねられた視覚効果エレメント33(最前面のエレメント)であるが、ユーザは、その下の視覚効果対象エレメント34に対してクリックを行ったものである。マウスイベント(クリック)を視覚効果対象エレメント34に送信するためには、DOMの仕様に基づいて、視覚効果エレメント33を非表示にする必要がある。よって、ブラウザ31は、視覚効果エレメント33の非表示を指示する。
【0048】
ステップS32において、視覚効果エレメント33は、指示を受信する。即ち、視覚効果エレメント33は、ブラウザ31からの視覚効果エレメント33の非表示の指示を受信する。そして、ステップS33において、視覚効果エレメント33は、非表示状態になる。具体的には、視覚効果エレメント33が不可視状態になるか、画面の表示領域外に出ることで、ユーザが視認できないようにする。
【0049】
ステップS17において、ブラウザ31は、マウスイベント(クリック)を視覚効果対象エレメント34に送信する。即ち、視覚効果エレメント33上でマウスイベント(クリック)がなされると、視覚効果エレメント33のマウスイベントハンドラが起動される。視覚効果エレメント33は、マウスイベントハンドラ内でマウスイベント(クリック)を保存し、マウスの座標を参照できるようにする。ブラウザ31は、マウス座標を参照することで、視覚効果対象エレメント34に対してマウスイベント(クリック)がなされたことを特定する。
【0050】
具体的には、ブラウザ31がエレメントの座標を参照するgetElementByPosition(x,y)のようなインタフェースを持っている場合は、これを利用して視覚効果対象エレメント34を特定する。ブラウザ31がgetElementByPosition(x,y)のようなインタフェースを持っていない場合は、DOMツリーをトラバース(移動)しながら、検出したマウスの座標x,yを含むエレメントを探索する。その結果、ブラウザ31は、視覚効果対象エレメント34を特定する。ブラウザ31は、特定された視覚効果対象エレメント34に対して、視覚効果エレメント33が保存したイベント、即ちマウスイベント(クリック)を送信する。
【0051】
ステップS43において、視覚効果対象エレメント34は、マウスイベント(クリック)を受信する。視覚効果対象エレメント34は、ステップS44においてマウスイベント(クリック)に対応する処理を実行する。なお、マウスイベント(クリック)に対応する処理が、指定されたURLへのジャンプであった場合は、ステップS11のコンテンツを読み込むところから視覚効果対象表示処理が改めて実行される。
【0052】
ブラウザ31は、視覚効果対象エレメント34の処理が実行されると、ステップS18において、視覚効果エレメント33の表示を指示する。
【0053】
ステップS34において、視覚効果エレメント33は、指示を受信する。即ち、視覚効果エレメント33は、ブラウザ31からの視覚効果エレメント33の表示の指示を受信する。ステップS35において、視覚効果エレメント33は、表示状態になる。即ち、ステップS33において非表示にされた視覚効果エレメント33が、再表示される。
【0054】
このようにして、視覚効果対象表示処理は終了する。
【0055】
以上、視覚効果対象エレメント34を対象として、マウスカーソルの移動やクリックに対応する視覚効果対象表示処理について、図3のフローチャートを参照して説明した。それに対して、視覚効果非対象エレメント35を対象として、マウスカーソルの移動やクリックに対応する視覚効果非対象表示処理について、図10を参照して説明する。
【0056】
ステップS61において、ブラウザ31は、コンテンツを読み込む。ステップS62において、ブラウザ31は、視覚効果非対象エレメント35に対し、コンテンツの表示を指示する。
【0057】
ステップS71において、視覚効果非対象エレメント35は、ブラウザ31からの指示を受信する。ステップS72において、視覚効果非対象エレメント35は、コンテンツを表示する。
【0058】
ステップS63において、ブラウザ31が視覚効果非対象エレメント35上へのカーソルの移動を検出する。即ち、ブラウザ31は、ユーザによりマウスが操作され、視覚効果非対象エレメント35上にマウスカーソルが移動された場合、それを検出する。しかしながら、視覚効果非対象エレメント35は、視覚効果を表示する対象ではないので、特に何の処理も実行されない。
【0059】
ステップS64において、ブラウザ31は、視覚効果非対象エレメント35上でのクリックを検出する。即ち、ブラウザ31は、ユーザによりマウスが操作され、視覚効果非対象エレメント35上でクリックされた場合、それを検出する。なお、ブラウザ31がクリックを検出するまでは、ステップS65以降の視覚効果非対象表示処理は実行されない。
【0060】
ステップS65において、ブラウザ31は、視覚効果非対象エレメント35に対して、マウスイベント(クリック)を送信する。
【0061】
ステップS73において、視覚効果非対象エレメント35は、マウスイベント(クリック)を受信する。そして、ステップS74において、視覚効果非対象エレメント35は、マウスイベント(クリック)に対応する処理を実行し、視覚効果非対象表示処理は終了する。
【0062】
このように、視覚効果非対象エレメント35は、視覚効果を表示する対象ではないので、マウスイベント(クリック)を受信しても、図3を参照して説明した視覚効果対象表示処理のように、視覚効果エレメント33を非表示にしたり、表示状態に戻す必要はない。
【0063】
このように、本技術によれば、視覚効果対象エレメント34に対して視覚効果エレメント33を重ねて表示することで、コンテンツにインタラクティブな効果を与えることができる。また、視覚効果エレメント33を表示中に、ユーザがマウスをクリックするなどのマウスイベントが発生した場合においても、ブラウザ31はマウスイベントに対応する処理を実行することができるので、ユーザの操作を妨げない。
【0064】
さらに、本技術によれば、ブラウザ31は、コンテンツのエレメントに対し、視覚効果対象エレメント34と視覚効果非対象エレメント35のように、視覚効果を与える対象を指定できる。よって、効果的にHTMLコンテンツにインタラクティブな効果を与えると同時に、ユーザにとって重要と思われるエレメント(例えば、警告表示等)には視覚効果を表示しないなどの対応が可能となる。
【0065】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアとしての情報処理装置1に組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0066】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0067】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0068】
なお、本技術は、以下のような構成もとることができる。
(1)
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御部
を備える情報処理装置。
(2)
前記視覚効果エレメントは、前記視覚効果表示イベントの発生に応じて動的に生成される
(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記マウスイベントに対応する処理が終了した場合、前記視覚効果エレメントを再表示する
(1)または(2)に記載の情報処理装置。
(4)
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御ステップ
を含む情報処理方法。
(5)
コンピュータに、
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御ステップ
を実行させるプログラム。
(6)
コンピュータに、
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御ステップ
を実行させるプログラムが記録されているコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【符号の説明】
【0069】
1 情報処理装置, 11 CPU, 12 ROM, 13 RAM, 14 バス, 15 入出力インタフェース, 16 入力部, 17 出力部, 18 記憶部, 19 通信部, 20 ドライブ, 21 リムーバブルメディア, 31 ブラウザ, 32 アニメーションループ, 33 視覚効果エレメント, 34 視覚効果対象エレメント, 35 視覚効果非対象エレメント, 51 マウスカーソル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御部
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記視覚効果エレメントは、前記視覚効果表示イベントの発生に応じて動的に生成される
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記マウスイベントに対応する処理が終了した場合、前記視覚効果エレメントを再表示する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御ステップ
を含む情報処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御ステップ
を実行させるプログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御ステップ
を実行させるプログラムが記録されているコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御部
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記視覚効果エレメントは、前記視覚効果表示イベントの発生に応じて動的に生成される
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記マウスイベントに対応する処理が終了した場合、前記視覚効果エレメントを再表示する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御ステップ
を含む情報処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御ステップ
を実行させるプログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
視覚効果を付加する対象となる視覚効果対象エレメントに、視覚効果を表示する視覚効果表示イベントが発生した場合、視覚効果を表示する視覚効果エレメントを重ねて表示し、前記視覚効果エレメント表示中にマウスイベントが発生した場合、前記視覚効果エレメントを非表示にして、前記視覚効果対象エレメントに前記マウスイベントを送信する表示制御ステップ
を実行させるプログラムが記録されているコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−256157(P2012−256157A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128200(P2011−128200)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]