情報表現方法、情報表現パターンが形成された物品、情報出力装置、及び、情報表現装置
【課題】撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる情報表現方法を提供する。
【解決手段】第1仮想円の中心を規定する第1形状パターンを配置し、前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置し、前記第1仮想円内であって前記第1形状パターンを中心とした所定半径で規定される第2仮想円上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することにより、前記第1形状パターンから前記第2形状パターンに向かう方向及び距離に基づいて、半径方向に関する情報を補正することができ、前記仮想円の歪みを補正することが可能になる。
【解決手段】第1仮想円の中心を規定する第1形状パターンを配置し、前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置し、前記第1仮想円内であって前記第1形状パターンを中心とした所定半径で規定される第2仮想円上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することにより、前記第1形状パターンから前記第2形状パターンに向かう方向及び距離に基づいて、半径方向に関する情報を補正することができ、前記仮想円の歪みを補正することが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表現方法、情報表現パターンが形成された物品、情報出力装置、及び、情報表現装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物に印刷されたバーコードや2次元コードを利用して様々な情報を記録する方法が用いられている。しかしながら、これらのようなコードはコード自体が大きくならざるを得ず、紙面の一部を占有するため、紙面上に専用の領域を設けなければならないという問題があった。
これに対し、特許文献1には、ドットによってパターンを形成し、このドットパターンを用いた情報入出力方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2004/084125号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される手法では、ドットパターンが矩形領域に配置される。これらドットパターンは、撮像装置によって取り込まれる。ところが、撮像装置の光学的性質上、レンズの中央から離れるほど収差が大きくなる。そのため、収差による歪みを解消するために、取り込んだ画像の座標変換が必要となる。しかしながら、矩形領域に配置されたドットパターンであると、画像の歪みは矩形領域の四隅で特に大きくなることから、歪んだ矩形領域を正常な形状に補正する座標変換処理が複雑なものとなる。すなわち、撮像装置に取り込まれた後のデータ処理が複雑となっていた。よって、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることが望まれる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
第1仮想円の中心を規定する第1形状パターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円内であって前記第1形状パターンを中心とした所定半径で規定される第2仮想円上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法である。
【0007】
また、
第1仮想円の中心を規定する第1形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円内であって前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角の仮想放射線上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法である。
【0008】
また、
第1仮想円の中心を規定する第1形状パターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円外であって前記第1形状パターンを中心とした所定半径で規定される第2仮想円上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法である。
【0009】
また、
上記のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンが形成された物品である。
【0010】
また、
上記のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンを読み取る読み取り部と、
読み取った前記情報表現パターンの画像データに基づいて、該情報表現パターンに含まれた情報を出力する出力部と、
を備える情報出力装置である。
【0011】
また、
上記のいずれかに記載の情報表現方法で表される情報表現パターンを生成する制御部と、
生成した前記第1形状パターンと前記第2形状パターンと前記第3形状パターンとを媒体に形成する情報形成部と、
を備える情報表現装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、仮に、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、半径方向に関する情報を補正することにより仮想円の歪みを補正することができる。また、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、中心角に関する情報を補正することにより仮想放射線の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態における情報表現パターン1の説明図である。
【図2】情報ドット30の配置例の説明図である。
【図3】仮想線を不可視にしたときの情報表現パターンを示す図である。
【図4】2ビットの情報と情報ドット30の配置パターンとの関係の説明図である。
【図5】表される情報と16本の仮想放射線との対応の説明図である。
【図6】含ませる情報に対応するドットパターンの説明図である。
【図7】情報を含ませた情報表現パターンの一例の説明図である。
【図8】情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときのデータの配置を説明する表である。
【図9】各仮想放射線が表すビットと各ビットの対応番号とを表す表である。
【図10】情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときの情報表現パターンの一例である。
【図11】情報出力装置のブロック図である。
【図12】情報表現パターン1の生成方法のフローチャートである。
【図13】情報表現パターンからの情報を抽出する方法を説明するためのフローチャートである。
【図14】仮想放射線の数を増やしたときにおける情報表現パターンの説明図である。
【図15】第2実施形態における情報ドット130の配置例の説明図である。
【図16】第2実施形態において仮想線を不可視にしたときの説明図である。
【図17】第3実施形態における中央ポジションマーク210の説明図である。
【図18】第4実施形態における最外周ポジションマークの説明図である。
【図19】仮想放射線を用いないときにおける情報表現パターン410の説明図である。
【図20】仮想円を用いないときにおける情報表現パターンの説明図である。
【図21】第7実施形態における情報表現パターンの説明図である。
【図22】第8実施形態における情報表現パターンの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0015】
第1仮想円の中心を規定する第1形状パターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円内であって前記第1形状パターンを中心とした所定半径で規定される第2仮想円上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法。
このようにすることで、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、半径方向に関する情報を補正することにより仮想円の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。
【0016】
また、かかる情報表現方法であって、前記第3形状のパターンは、前記第1仮想円内であって前記第1形状パターンを中心とした複数の所定半径で規定される複数の第2仮想円上に配置されることが望ましい。
このようにすることによって、複数の仮想円上に第3形状のパターンを配置することが可能となるので、より多くの情報を含ませることができる。
【0017】
また、前記第3形状のパターンが配置される位置は、前記第2仮想円と、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角の仮想放射線と、の交点により規定されることが望ましい。
このようにすることによって、仮想円と仮想放射線との交点により第3形状のパターンが配置される位置を規定することができる。
【0018】
また、前記第3形状のパターンが配置される位置は、前記第2仮想円と、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角おきに規定される複数の仮想放射線と、の交点により規定されることが望ましい。
このようにすることによって、仮想円と複数の仮想放射線との交点により第3形状のパターンが配置される位置を規定することができるようになり、さらに多くの情報を含ませることができる。
【0019】
また、各前記仮想放射線には1個の前記第3形状パターンが配置され、各前記仮想放射線における前記第3形状パターンの配置位置は前記含ませる情報に基づいて求められることが望ましい。
このようにすることによって、各仮想放射線に規定された複数の第3形状のパターンの配置可能位置のうち1箇所に第3形状のパターンを配置したときの組み合わせに基づいて、情報を含ませることができる。
【0020】
また、各前記仮想放射線には同じ個数の前記第3形状パターンが配置され、各前記仮想放射線における前記第3形状パターンの配置位置は前記含ませる情報に基づいて求められることとしてもよい。
このようにすることによって、各仮想放射線に規定された複数の第3形状のパターンの配置可能位置のうち、複数箇所に第3形状のパターンを配置したときの組み合わせに基づいて、情報を含ませることができる。
【0021】
また、
第1仮想円の中心を規定する第1形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円内であって前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角の仮想放射線上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法。
このようにすることによって、撮像装置によってこれら情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、中心角に関する情報を補正することにより仮想放射線の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。
【0022】
また、前記第3形状のパターンは、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角おきに規定される複数の仮想放射線上に配置されることが望ましい。
このようにすることによって、複数の仮想放射線上に第3形状のパターンを配置することが可能となるので、より多くの情報を含ませることが可能となる。
【0023】
また、
第1仮想円の中心を規定する第1形状パターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円外であって前記第1形状パターンを中心とした所定半径で規定される第2仮想円上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法。
このようにすることで、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、半径方向に関する情報を補正することにより仮想円の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。
【0024】
また、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンと前記第3形状のパターンは、それぞれ異なる形状のパターンであることが望ましい。
このようにすることによって、それぞれの形状のパターンを特定することができるようになる。
【0025】
また、前記第1形状のパターンは前記第2形状のパターンより大きく、前記第2形状のパターンは前記第3形状のパターンより大きいことが望ましい。
このようにすることによって、効率的に、第1形状のパターン、第2形状のパターン、及び、第3形状のパターンを配置することができる。
【0026】
また、前記第1形状のパターンは中心が同一のドットと円形のパターンとからなるパターンであり、前記第2形状のパターンは円形のパターンであり、前記第3形状のパターンはドットからなるパターンであることが望ましい。
このようにすることによって、より効率的に第1形状のパターンから第3形状のパターンを配置することができる。
【0027】
また、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンと前記第3形状のパターンは、それぞれ同じ形状の要素からなるパターンであってもよい。
このようにすることによって、第三者による情報の抽出をより困難にすることができる。
【0028】
また、前記第1形状のパターン及び前記第2形状のパターンの少なくともいずれか一方は、前記第1仮想円の半径方向の伸縮率を取得するためのパターンを含むことが望ましい。
このようにすることによって、第1仮想円の半径方向の伸縮率に基づいて第2仮想円の形状を適切に補正することができる。そして、半径方向に関する第3形状のパターンの配置位置をより確実に特定することができる。
【0029】
また、上記のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンが形成された物品。
このようにすることによって、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、半径方向に関する情報を補正することで仮想円の歪みを補正することができる。また、中心角に関する情報を補正することにより仮想放射線の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。
【0030】
また、上記のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンを読み取る読み取り部と、
読み取った前記情報表現パターンの画像データに基づいて、該情報表現パターンに含まれた情報を出力する出力部と、
を備える情報出力装置。
このようにすることによって、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、半径方向に関する情報を補正することで仮想円の歪みを補正することができる。また、中心角に関する情報を補正することにより仮想放射線の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。
【0031】
また、上記のいずれかに記載の情報表現方法で表される情報表現パターンを生成する制御部と、
生成した前記第1形状パターンと前記第2形状パターンと前記第3形状パターンとを媒体に形成する情報形成部と、
を備える情報表現装置。
このように生成された情報表現パターンは、撮像装置によって歪んで読み取られたとしても、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、半径方向に関する情報を補正することで仮想円の歪みを補正することができる。また、中心角に関する情報を補正することにより仮想放射線の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。
【0032】
===第1実施形態===
<<<情報表現パターンについて>>>
図1は、第1実施形態における情報表現パターン1の説明図である。情報表現パターン1は、中央ポジションマーク10と、最外周ポジションマーク20と、情報ドット30を含む。また、図には、情報表現パターン1の各パターンの位置の基準を規定する仮想線が示されている。仮想線は全て破線で示されている。これらの仮想線は、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20と情報ドット30の位置を規定するテンプレートとなる。テンプレートは、複数の円形仮想線と複数の仮想放射線を含む。これら円形仮想線及び仮想放射線は、仮想的なものであって実際には印刷(又は表示)されない。
【0033】
中央ポジションマーク10(第1形状のパターンに相当する)は、情報表現パターン1の中央を規定するマークである。中央ポジションマーク10は、中央ドット11と円12からなる。中央ドット11の中心と円12の中心は一致している。また、これらの中心と、円形仮想線の中心は一致している。
【0034】
最外周ポジションマーク20(第2形状のパターンに相当する)は、最外周円形仮想線21(第1仮想円に相当する)上に形成される円である。最外周円形仮想線21は、第1円形仮想線31から第4円形仮想線34のいずれの円形仮想線よりも大きな円である。尚、中央ポジションマーク10の中心と最外周ポジションマーク20の中心とを結ぶ仮想線分22は、後述する仮想放射線の中心角の基準となる。
【0035】
円形仮想線は、最外周円形仮想線21、第1円形仮想線31、第2円形仮想線32、第3円形仮想線33、及び、第4円形仮想線34を含む(第1円形仮想線31、第2円形仮想線32、第3円形仮想線33、及び、第4円形仮想線34は、第2仮想円に相当する)。これらの円形仮想線の中心は一致している。また、仮想放射線は、16本の仮想放射線1a、1b、2a、2b、3a、3b、4a、4b、5a、5b、6a、6b、7a、7b、8a、8bを含む。
【0036】
仮想放射線は、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20とを結ぶ仮想線分22を中心角の基準とする。そして、最初の仮想放射線1aは、π/16の中心角に設けられる。残りの仮想放射線2b〜8bは、π/8おきに等間隔に設けられる。
【0037】
情報ドット30(第3形状のパターンに相当する)は、円形仮想線(第1円形仮想線31から第4円形仮想線34)と仮想放射線(放射線1aから放射線8b)との交点に配置される。すなわち、円形仮想線と仮想放射線は、その交点により情報ドット30が配置される位置を規定する。このような構成により、情報ドット30が配置される可能性のある位置は、64箇所になる。尚、図1では、説明のために、配置される可能性のある位置の全てにおいて情報ドット30を配置しているが、実際には全ての位置に配置されない。
【0038】
中央ポジションマーク10のサイズは、最外周ポジションマーク20のサイズよりも大きい。また、最外周ポジションマーク20のサイズは、情報ドット30のサイズよりも大きい。このように、中央ポジションマーク10、最外周ポジションマーク20、及び、情報ドット30の配置位置とサイズについて説明したが、このような構成にしたのは、次のような理由による。
【0039】
情報ドット30は、最も多くの数が配置される可能性のあるパターンである。そのため、情報密度を高めるために最も小さいパターンであるべきである。また、中央付近に複数の情報ドット30を配置しようとすると、これらは重なり合ってしまうおそれがある。このため、中央付近には情報ドット30を配置せず、中央の周辺に配置することが望ましいことになる。
【0040】
中央ポジションマーク10は、情報表現パターン1の中心を規定するマークであることから、最も大きなサイズのパターンであることが望ましい。よって、中央に配置される最も大きなサイズのパターンとなる。
【0041】
最外周ポジションマーク20は、情報表現パターン1の領域を規定する最外周の半径を規定するためのパターンである。よって、情報表現パターン1の最外周に配置されるものとなる。また、最外周ポジションマーク20は、仮にサイズを最も大きくしてしまった場合には、第4円形仮想線34の情報ドット30(具体的には、円形仮想線34と仮想放射線1a、8bとの交点の情報ドット30)と接触してしまうおそれがある。よって、最外周ポジションマーク20のサイズは、中央ポジションマーク10のサイズよりも小さく、情報ドット30のサイズよりも大きいものとなる。
【0042】
このような組み合わせで表されることにより、情報表現パターン1は、効率的に面積を利用することができる。そして、全体として小さいサイズのパターンとすることができる。
【0043】
尚、ここでいう中央ポジションマーク10の「サイズ」とは、中央ポジションマーク10の実効面積の大きさをいう。例えば、仮に、中央ポジションマーク10が複数のドットで形成される場合には、これら複数のドットによって囲まれる領域の実効面積の大きさを指す。最外周ポジションマーク20のサイズについても同様であり、このサイズは最外周ポジションマーク20の実効面積の大きさをいう。
【0044】
また、情報表現パターン1の大きさについては撮像装置が読み取り可能であれば特段制限はない。特に、情報表現パターン1のサイズが大きいものの場合については原理上の制約はない。例えば、最外周円形仮想線21の直径を30mm〜40mmにしてもよい。また、最外周円形仮想線21の直径を1.5mm程度にし、情報ドット30のドット径を0.05mm程度にしてもよい。
【0045】
図2は、情報ドット30の配置例の説明図である。図に示されるように、1本の仮想放射線上に1個の情報ドット30を配置することによって、所望の情報を表現することができる。このように、1本の仮想放射線上に1個の情報ドット30を配置することにより情報を表現する手順については、後述する。
【0046】
図3は、仮想線を不可視にしたときの情報表現パターンを示す図である。実際に、カードなどの物品に本情報表現パターンが印刷されるときには、円形仮想線及び仮想放射線は印刷されず、図3のように、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20と情報ドット30のみが印刷される。
【0047】
このように、円形仮想線及び仮想放射線が不可視にされると、情報表現パターン1は、ドット及び円によって表現されたパターンとなる。そのため、一見、規則性のないパターンとして表されることとなり、この情報表現パターン1の構成を知らない第三者は情報を抽出することが困難となる。
【0048】
一方、情報表現パターン1のテンプレートを知っているユーザは、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20とに基づいて、不可視の円形仮想線と仮想放射線の位置を把握することができる。そして、これらの位置に基づいて、円形仮想線と仮想放射線との交点を把握することができる。すなわち情報を表現する情報ドット30の位置を把握することができ、情報表現パターン1から情報を容易に抽出することができる。
【0049】
また、情報表現パターン1において情報を表現する情報ドット30の配置位置は円周上である。よって、仮に、半径方向に収差を生じやすいレンズで情報表現パターン1を読み取る場合であっても、撮像装置のレンズの中央に中央ポジションマーク10が位置するようにするように読み取らせることで、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20との位置に基づいて、半径方向に関する情報を容易に補正することができる。そして、情報ドット30が配置される円形仮想線の歪みを容易に補正することができる。
【0050】
また、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20との位置に基づいて、中心角に関する情報を補正することができる。そして、情報ドットが配置される仮想放射線の歪みを適切に補正することができる。
【0051】
さらに、撮像装置のレンズの中央に中央ポジションマーク10が位置しない場合であっても、中央ポジションマーク10の円12の変形形状に基づいて、円周の各方向に関してどの程度の比率で円形仮想線が歪んでいるかを推定することができる。すなわち、円12の半径方向の変形比率に基づいて、どの程度、円形仮想線の半径を補正すればよいのかを推定することができる。よって、情報ドット30が配置される円形仮想線の座標を適切に補正して、的確に情報ドット30の位置を把握することができる。
【0052】
<<<情報表現パターンの第1のデータ構造について>>>
図4は、2ビットの情報と情報ドット30の配置パターンとの関係の説明図である。図には、X番目の2本の仮想放射線Xa、Xbの組が抜き出されて示されている。
【0053】
情報ドット30が配置される位置として、Xa1からXa4、及び、Xb1からXb4が仮想放射線Xa、Xb上に示されている。「a」又は「b」に後続する数字は、円形仮想線の番号を示す。例えば、仮想放射線1aと第4円形仮想線34との交点は、「1a4」として表されることになる。すなわち、これら3文字によって、情報ドット30が配置されている位置を表すことができる。
【0054】
1本の仮想放射線には1個の情報ドット30のみが必ず配置されるという前提になっている。図4には、情報ドット30の配置パターンに対応する2ビットの情報が示されている。例えば、Xa1の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「00」が対応する。また、Xa2の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「01」が対応する。また、Xa3の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「10」が対応する。また、Xa4の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「11」が対応する。
【0055】
尚、符号に「a」が含まれている仮想放射線と「b」が含まれている仮想放射線とでは、配置パターンと2ビットの情報との関係が異ならせてある。符号に「b」が含まれている仮想放射線では、例えば、Xb1の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「11」が対応する。また、Xb2の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「10」が対応する。また、Xb3の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「01」が対応する。また、Xb4の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「00」が対応する。
【0056】
尚、ここでは、上述のような対応関係に設定したが、これら情報ドット30の位置と2ビットの情報との関係はこれに限られず任意に設定することができる。
【0057】
図5は、表される情報と16本の仮想放射線との対応の説明図である。図に示されるように、最上位2ビットは、仮想放射線1aによって表される。後続する2ビットは、仮想放射線2bによって表される。このように、図に示されるように1本の仮想放射線によって表される2ビットが連続して並び、最下位2ビットは仮想放射線8bによって表される。
【0058】
次に、上述の対応関係における情報表現パターン1の形成について具体的に説明する。ここでは、16進数の「D3 4D 78 EB」の情報を情報表現パターン1に含ませる手順を説明する。
【0059】
図6は、含ませる情報に対応するドットパターンの説明図である。
上記16進数「D3 4D 78 EB」は、ビット表現すると、最上位から順に、「11 01 00 11 01 00 11 01 01 11 10 00 11 10 10 11」となる。これらのデータは2ビットずつ、1本の仮想放射線に割り当てられる。すなわち、1本の仮想放射線は2ビットを表現している。
【0060】
最上位2ビットは、1aの仮想放射線に割り当てられる。後続する2ビットのデータは、1bの仮想放射線に割り当てられる。このように、2ビットずつのデータは、順次、時計回りで仮想放射線に割り当てられる。
【0061】
再度、図4を参照すると、最上位2ビット「11」を仮想放射線1aで表現したとき、その配置パターンは「a4」となる。よって、仮想放射線1a上にa4の配置パターンで配置される。すなわち、情報ドット30は、仮想放射線1aと第4円形仮想線34との交点に配置される。
【0062】
また、後続する2ビット「01」を仮想放射線1bで表現したとき、その配置パターンは、「b3」となる。よって、情報ドット30は、仮想放射線1b上にb3の配置パターンで配置される。すなわち、情報ドット30は、仮想放射線1bと第3円形仮想線33との交点に配置される。
【0063】
また、さらに後続する2ビット「00」を仮想放射線2aで表現したとき、その配置パターンは、「a1」となる。よって、情報ドット30は、仮想放射線2a上にa1の配置パターンで配置される。すなわち、情報ドット30は、仮想放射線2aと第1円形仮想線31との交点に配置される。
【0064】
このようにして、仮想放射線a1からb8までにかけて情報ドット30を配置する位置を特定していく。そして、特定した通りに情報ドット30を配置する。
【0065】
図7は、情報を含ませた情報表現パターン1の説明図である。図には、上述のようにして、生成された情報「D3 4D 78 EB」に対応する情報表現パターン1が示されている。尚、ここでは、理解の容易のために、本来は不可視であるすべての仮想線についても可視化して表している。また、情報ドット30が配置されていない位置を白円で表している。このようにすることによって、含ませたい情報を情報表現パターン1に変換することができる。
一方、上記手順と逆の手順により、情報表現パターン1から情報を抽出することもできる。その場合、次のようにして求めることができる。
【0066】
まず、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20とによって規定される仮想線分22を基準としてそれぞれの仮想放射線の位置を求める。また、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20との距離に基づいて、各円形仮想線の半径を求める。そして、この半径に基づいて各円形仮想線の半径を求める。
【0067】
このようにすることによって、各円形仮想線と各仮想放射線との交点を求めることができる。次に、それぞれの交点に情報ドット30が形成されているか否かを求める。これにより、各仮想放射線における情報ドット30の配置パターンを得ることができる。そして、図4の表を参照することによって、仮想放射線ごとに配置パターンに応じた2ビットを得ることができる。
【0068】
このようにして得られた2ビットの情報を、仮想放射線1aから8bにかけて順番に最上位ビットから並べていく。そうすることによって、情報表現パターン1に含まれた情報を抽出することができる。
【0069】
<<<情報表現パターンの第2のデータ構造について>>>
図8は、情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときのデータの配置を説明する表である。図9は、各仮想放射線が表すビットと各ビットの対応番号とを表す表である。図10は、情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときの情報表現パターン1の一例である。以下、これらの図を参照しつつ、情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときの情報表現パターン1について説明する。
【0070】
ここで表現されるのは、20ビットの第1データと4ビットの第2データである。すなわち、計24ビットのデータを表現することになる。また、パリティビットとして、8ビットが割り当てられる。尚、ここでは、奇数パリティを用いることにする。
【0071】
図8で示される表において、1つのセルは1ビットを表す。よって、表の1列は4ビット(nibble)を表現する。表には、nibble1からnibble6が示されている。このうち、nibble1からnibble5は、前述の第1データを表す。また、nibble6は第2データを表す。また、表に示される1つのnibbleにおいて、上のセルがMSB(Most significant bit)であり、下のセルがLSB(Least significant bit)である。
【0072】
また、表の下部には、1バイトごとのパリティビットが示されている。また、表の右側には、行ごとのパリティビットが示されている。さらに、パリティのパリティが1ビット設けられている。
【0073】
図8において、それぞれのセルには対応番号が割り当てられている。これら対応番号は、図9の左表において示されている対応番号に対応するものである。前述の通り、1本の仮想放射線は、2ビットを表現可能であった。そのため、図7では、1本の仮想放射線に1つの上位ビットと1つの下位ビットが割り当てられる。そして、これら各ビットには、対応する対応番号が割り当てられる。
【0074】
例えば、図8において示された対応番号「5」で特定されるセルのビットは、仮想放射線2aが示すデータのうちの上位ビットが対応することになる。また、図8において示された対応番号「15」で特定されるセルのビットは、仮想放射線4bが示すデータのうち上位ビットが対応することになる。このようにして、図8に示す表のセルと図9の左表のセルとが対応番号で関連づけられている。尚、図8において、理解の容易のために、各セルには括弧書きで各セルが表現するビットの情報が示されている。
【0075】
ここで、図9の表において対応番号が規則的に並べられているのに対して、図8の表では対応番号がランダムに割り振られている。これは、ランダムに割り振ることにより、仮に、情報表現パターンの一部にデータの欠損が生じた場合において、ある特定の箇所にエラーが集中しないようにするためである。また、この情報表現パターンを利用する第三者によって、データ構造が解析されにくくするためでもある。
【0076】
次に、パリティビットを付加した場合における、具体的なデータの変換方法について説明する。ここでは、第1データを「00 00 00 00 00 00 00 00 00 01」とし、第2データを「00 01」とする。これらのデータによると、第1データは、最下位ビットのみ「1」であり、他は全て「0」である。また、第2データも、最下位ビットのみ「1」であり、他は全て「0」である。
【0077】
そのようにした場合、図9を参照すると、対応番号「1」「4」「7」「8」「16」「19」「20」「23」「30」のセルのビットは「1」であり、他のセルのビットは「0」ということになる。すなわち、図9の右表が示すようなビット情報となる。
【0078】
このようにして得られたビット情報に対応する情報ドット30の配置パターンを各仮想放射線に割り当てる。例えば、仮想放射線「1a」では、「10」を示すために「a3」の配置パターン(図4参照)となる。また、例えば、仮想放射線「1b」では、「01」を示すために「b3」の配置パターンとなる。同様にして、仮想放射線「8b」までの情報ドット30の配置パターンが決定される。
【0079】
図10に示される情報表現パターンには、求められた配置パターンで情報ドット30が配置されている。勿論、この情報表現パターンにはパリティビットの情報も付加されている。したがって、仮に、この情報表現パターンにおいて何らかの原因により情報ドット30の欠損などが生じてしまった場合であっても、パリティビットに基づいてエラーの発生を検出することができる。
【0080】
尚、ここでは、パリティビットを情報として含ませることとして説明を行ったが、パリティを用いる代わりにCRC(Cyclic Redundancy Check)符号やリード・ソロモン符号を用いることとしてもよい。
【0081】
また、上記と逆の手順により情報表現パターン1に含まれた情報を抽出することができる。まず、中央ポジションパターン10と最外周ポジションパターン20に基づいて、情報ドット30が配置される位置を特定した後、配置パターンに基づいて図9のように各仮想線が表現する2ビットに展開する。そうすることで、これら各2ビットの情報は前述の対応番号に基づいて、図8に示されるような表のデータで表される。図8に示される表のデータが得られた後、nibble1からnibble5までの各セルのビットを順次並べることで第1データを得ることができる。また、nibble6の各セルのビットを順次並べることで第2データを得ることができる。
【0082】
<<<情報表現パターンの第3のデータ構造について>>>
上述の情報表現パターン1では、1本の仮想放射線には情報ドット30が1つだけ必ず割り当てられるという前提となっていた。しかしながら、情報表現パターン1のデータ構造としてはこれに限られない。
【0083】
例えば、1本の仮想放射線上にはm箇所の情報ドット30の配置可能位置があり、そのm箇所のうちn箇所に情報ドット30を配置すると仮定する。このようにした場合、1本の仮想放射線が表現可能な情報量は、m箇所からn箇所を選び出す組み合わせになるから、mCnとして表現することができる。
【0084】
そして、k本の仮想放射線が用いられる場合、情報量は、(mCn)kとして表される。例えば、前述のように16本の仮想放射線と4つの円形仮想線との交点に情報ドットを配置する場合において、各仮想放射線に2個のドットを配置するものとした場合には、(4C2)16通りの情報を表現することが可能であり、その数はおよそ2兆8千億通りにものぼる。
【0085】
<<<情報入出力装置>>>
図11は、情報入出力装置1000のブロック図である。情報入出力装置1000(情報出力装置、及び、情報表現装置に相当する)は、コンピュータ1010(情報表現パターンに含まれる情報を出力する情報部、又は、制御部に相当する)、表示装置1020、入力装置1030、出力装置1050(情報形成部に相当する)、及び、撮像装置1060を含む。コンピュータ1010は、中央演算装置(CPU)1013、インタフェース1012、メモリ1014、及び、記録再生装置1040を含む。
【0086】
インタフェース1012は、撮像装置1060との接続をするためのインタフェースである。CPU1013は、情報の演算、特に上述のような情報表現パターン1の形成や情報表現パターン1からの情報の抽出を行うための演算を行う。メモリ1014は、上述の図4、図5、図6、図8、図9に示されたデータを記憶したり、情報表現パターン1の形成や情報表現パターン1からの情報の抽出において一時的に演算結果を記憶するために用いられる。記録再生装置1040は、形成された情報表現パターン1をCR−ROMなどの記録媒体に記録したり、記録媒体から情報表現パターン1を読み出したりすることに用いられる。また、記録再生装置は、情報表現パターン1を形成するためのプログラムや情報表現パターン1から情報を抽出するためのプログラムを読み出すために用いられることとしてもよい。
【0087】
表示装置1020は、液晶モニタなどの表示装置である。入力装置1030は、マウスやキーボードなどの入力装置である。出力装置1050は、情報表現パターン1を印刷するプリンタなどの出力装置である。撮像装置1060は、情報表現パターン1を光学的に読み取るための装置である。
【0088】
尚、コンピュータ1010及び撮像装置1060の機能をペン型デバイスに一体的に構成することとしてもよい。この場合、ペン型デバイスは、情報表現パターン1を読み取り、抽出した情報を出力する機能を有することとすることができる。
【0089】
<<<情報表現パターンの生成方法>>>
図12は、情報表現パターン1の生成方法のフローチャートである。
最初に、情報表現パターン1に含ませる情報をビット表現として用意する(S802)。例えば、図6のような「11 01 00 11 01 00 11 01 01 11 10 00 11 10 10 11」が用意される。
【0090】
次に、用意されたビット表現に対応する配置パターンを求める(S804)。配置パターンは、前述のように図4の対応に基づいて求めることができる。次に、求めた配置パターンに応じて情報ドット30を配置して情報表現パターン1を形成する(S806)。これにより、図7に示されるような情報表現パターン1が生成される。
最後に、情報表現パターン1から仮想線を除去し、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20と情報ドット30のみを印刷又は表示する(S808)。このようにすることで、情報表現パターン1を得ることができる。
【0091】
<<<情報表現パターンからの情報の抽出方法>>>
図13は、情報表現パターンから情報を抽出する方法を説明するためのフローチャートである。
最初に、印刷物等に印刷された情報表現パターン1を撮像装置1060によって取り込む(S902)。次に、取り込むことで得られた画像データに基づいて、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20の位置を特定する(S904)。
【0092】
次に、中央ポジションマーク10の位置及び最外周ポジションマーク20の位置に基づいて、円形仮想線と仮想放射線の位置を求め、これらの交点を特定する(S906)。次に、これらの交点において情報ドット30が配置されている位置を画像データから特定する(S908)。
次に、情報ドット30が配置されている位置に基づいて、各仮想放射線における情報ドット30の配置パターンを求める。そして、図4を参照することにより、配置パターンから各ビットを求める(S910)。情報としてパリティビットが含まれているようなデータ構造の場合、このパリティビットに基づいて情報の正確性を検証する(S912)。
このようにすることによって、情報表現パターン1に含まれた情報を抽出することができる。
【0093】
===第2実施形態===
図14は、仮想線の数を増やしたときにおける情報表現パターンの説明図である。本図における符号は、第1実施形態において使用された符号の百の位に1を付して表現している。例えば、第2実施形態における最外周ポジションマークは120の符号が付されている。
【0094】
第2実施形態において、情報表現パターン101の仮想放射線の数は32本となっている。また、円形仮想線も8個に増加している。そして、「a」の符号が付された仮想放射線上の情報ドット30を配置可能な位置は、内側から数えて奇数番目の円形仮想線(第1円形仮想線131、第3円形仮想線133、第5円形仮想線135、第7円形仮想線137)との交点に設定される。また、「b」の符号が付された仮想放射線上の情報ドット130を配置可能な位置は、内側から数えて偶数番目の円形仮想線(第2円形仮想線132、第4円形仮想線134、第6円形仮想線136、第8円形仮想線138)との交点に設定される。また、仮想線分122と仮想放射線1aは重なるような配置となっている。
【0095】
このような配置とした場合であっても、前述の第1実施形態における第1のデータ構造から第3のデータ構造を用いて情報を情報表現パターン1に含ませることができる。
【0096】
また、このようにすることで、情報ドット130を配置することができる位置が増加するので、より多くの情報量を表現することができるようになる。また、隣接する仮想放射線間において情報ドットは互い違いになるように配置されることになる。このため、より密に情報ドット30を配置することができる。また、最外周ポジションマーク120は、仮想放射線1a上に設けられる。そして、仮想放射線1aと第7円形仮想線137との交点は、隣接する仮想放射線1b、16bと第8円形仮想線138との交点よりも内側になるので、最外周ポジションマーク20を比較的中央寄りに配置することができる。これにより、効率的に、最外周ポジションマーク120を配置することができる。
【0097】
図15は、第2実施形態における情報ドット130の配置例の説明図である。このような情報表現パターンにおいても、上述と同様の手法により、1本の仮想放射線上には必ず1個の情報ドットが形成されることを前提として情報を含ませることができる。
【0098】
図16は、第2実施形態において仮想線を不可視にしたときの説明図である。このように、より密に情報ドット130を配置した場合には、一見してより規則性のないようなパターンとして表現されることとなるので、この情報表現パターン101の構成を知らない第三者は情報を抽出することがより困難となる。
【0099】
===第3実施形態===
図17は、第3実施形態における中央ポジションマーク210の説明図である。本図における符号は、第1実施形態において使用された符号の百の位に2を付して表現している。例えば、第3実施形態における最外周ポジションマークは220の符号が付されている。
【0100】
前述の実施形態における情報表現パターンでは、中央ポジションマークの形状は、1つの中央ドット11と、この中央ドット11と中心が一致する円12とで構成されていたが、これには限られない。図17に示されるように、仮想線分222の中心角をπ/2としたとき、中央ドット211に加えて、中心角0の位置と中心角πの位置にそれぞれドット212、213を配置して中央ポジションマーク210としてもよい。
【0101】
このようにすることによっても、中央ポジションマーク210の全体的な形状のパターンを、最外周ポジションパターン220及び情報ドット30と異なるものとして区別することができる。尚、中央ポジションマーク210の形状のパターンと情報ドット230の形状のパターンとの区別を確実なものとするために、中央ポジションマーク210には、情報ドット230とは異なる大きさのドットを用いることとしてもよいし、情報ドット230間のドット間隔では生じ得ないドット間隔で中央ポジションマーク210を構成することができる。
【0102】
===第4実施形態===
図18は、第4実施形態における最外周ポジションマークの説明図である。本図における符号は、第1実施形態において使用された符号の百の位に3を付して表現している。例えば、第4実施形態における最外周ポジションマークは320の符号が付されている。
【0103】
前述の実施形態における情報表現パターンでは、最外周ポジションマークの形状は円形状となっていたが、これには限られない。図18に示されるように、最外周円形仮想線321と仮想放射線1a、5a、13aとの交点にドット323、326、327を配置し、さらに仮想放射線1aの方向を規定するために、最外周円形仮想線321と仮想放射線1aとの交点に隣接させて最外周円形仮想線上に2個のドット324、325を配置することで最外周ポジションマークを構成してもよい。
【0104】
このようにすることによっても、最外周ポジションマーク320の全体的な形状のパターンを、中央ポジションマーク310及び情報ドット330と異なるものとして区別することができる。尚、この場合も、最外周ポジションマーク320の形状のパターンと情報ドット330の形状のパターンとの区別を確実なものとするために、最外周ポジションマーク320には、情報ドット330とは異なる大きさのドットを用いることとしてもよいし、情報ドット330間のドット間隔では生じ得ないドット間隔で最外周ポジションマーク320を構成することができる。
【0105】
さらに、撮像装置1060によってこの情報表現パターン301が歪んで読み取られたと仮定する。そして、中央ポジションマーク310とドット326との距離が、中央ポジションマーク310とドット327との距離よりも離れていたとする。その場合、中央からドット327へ向かう方向よりも、中央からドット326へ向かう方向の方がより歪み量が大きいことが分かる。そして、どの程度距離が異なっているかによっても中心角毎の歪み量を推定することができる。よって、推定した歪み量に基づいて、より適切に円形仮想線及び仮想放射線の位置を補正することができ、情報ドット330の配置位置をより確実に特定することができる。
【0106】
===第5実施形態===
前述の実施形態における情報表現パターンでは、情報ドット30を配置する位置が、円形仮想線と仮想放射線との交点に限定されていた。しかしながら、これらの交点に情報ドット30の位置を限定しないこととしても情報を情報表現パターンに含ませることができる。
【0107】
図19は、仮想放射線を用いないときにおける情報表現パターン401の説明図である。本図における符号は、第1実施形態において使用された符号の百の位に4を付して表現している。例えば、第5実施形態における最外周ポジションマークは420の符号が付されている。
【0108】
図19には、中央ポジションマーク410と、最外周ポジションマーク420が示されている。また、第1円形仮想線431、第2円形仮想線432、第3円形仮想線433、第4円形仮想線434が示され、これらの円形仮想線上に情報ドット430が複数配置されている。
【0109】
仮に、各円形仮想線上に最大で16個の情報ドットを配置することができるとする。この場合、1つの円形仮想線では16通りの情報を表現することができるが、円形仮想線は4個用意されているので、164=65536通りの情報を表現することができる。
【0110】
このような情報表現パターン401の構成としても、中央ポジションマーク410と最外周ポジションマーク420との距離に基づいて、第1円形仮想線431、第2円形仮想線432、第3円形仮想線433、及び、第4円形仮想線434のそれぞれの位置を求めることができる。それにより、各円形仮想線に情報ドット430がいくつ配置されているかを特定して、情報を抽出することができる。
【0111】
===第6実施形態===
図20は、円形仮想線を用いないときにおける情報表現パターンの説明図である。本図における符号は、第1実施形態において使用された符号の百の位に5を付して表現している。例えば、第6実施形態における最外周ポジションマークは520の符号が付されている。
図20には、中央ポジションマーク510と、最外周ポジションマーク520が示されている。また、16本の仮想放射線が示され、これらの仮想放射線上に情報ドット530が複数配置されている。
【0112】
仮に、各仮想放射線上に最大で4個の情報ドットを配置することができるとする。この場合、1つの仮想放射線では4通りの情報を表現することができるが、仮想放射線は16本用意されているので、416=4294967296通りの情報を表現することができる。
このような情報表現パターン501の構成としても、中央ポジションマーク510と最外周ポジションマーク520の位置に基づいて、各仮想放射線の位置を求めることができる。それにより、各仮想放射線の情報ドット30がいくつ配置されているかを特定して、情報を抽出することができる。
【0113】
===第7実施形態===
図21は、第7実施形態における情報表現パターンの説明図である。図21には、中央ポジションマーク610を構成する要素の形状と、最外周ポジションマーク620を構成する要素の形状と、情報ドット630の形状と、を同形状にした場合の情報表現パターン601が示されている。尚、本図における符号も、第1実施形態において使用された符号の百の位に6を付して表現している。例えば、第7実施形態における中央ポジションマークは610の符号が付されている。
【0114】
第7実施形態では、中央ポジションマーク610は、中央付近に配置された3つのドット611、612、613で構成される。1つのドット611は、第1円形仮想線631の内側であって、仮想線分622上に設けられる。また、他の1つのドット612は、仮想線分622の中心角をπ/2としたときにおける中心角πの位置であって、第1円形仮想線631の内側に設けられる。また、もう一つのドット613は、中心角0の位置であって、第1円形仮想線631の内側に設けられる。
これらの3つのドット611、612、613の各頂点を結ぶと直角二等辺三角形を構成するように、それぞれのドットが配置される。
【0115】
また、第7実施形態において、最外周ポジションマーク620は、最外周円形仮想線621上に配置された7つのドット623、624、625、626、627、628、629で構成される。1つのドット623は、仮想線分622上に設けられる。もう一つのドット624は、仮想線分622と仮想放射線1aとの間に設けられる。もう一つのドット625は、仮想線分622と仮想放射線8bとの間に設けられる。
【0116】
また、ドット626は、中心角πの角度と仮想放射線2bとの間に設けられる。ドット627は、中心角πの角度と仮想放射線3aとの間に設けられる。ドット628は、中心角0の角度と仮想放射線7aとの間に設けられる。ドット629は、中心角0の角度と仮想放射線6bとの間に設けられる。
【0117】
このように構成された中央ポジションマーク610における各ドットの相対的な位置関係は、情報ドット630における相対的な位置関係では生じ得ない位置関係で構成される。また、最外周ポジションマークにおける各ドットの相対的な位置関係も、情報ドット630における相対的な位置関係では生じ得ない位置関係で構成される。
【0118】
このように、中央ポジションマーク610を構成する要素の形状と、最外周ポジションマーク620を構成する要素の形状と、情報ドット630の形状と、を同形状にした場合であっても、上記のような相対的な位置関係にしているため、各ドットがいずれのポジションマークを構成するドットであるのか、又は、情報ドット630を構成するドットであるのかを判別することができる。その一方で、これらの要素の形状が同一形状であるので、第三者による情報の抽出をより困難にすることができる。
【0119】
===第8実施形態===
図22は、第8実施形態における情報表現パターンの説明図である。本図における符号も、第1実施形態において使用された符号の百の位に7を付して表現している。例えば、第8実施形態における中央ポジションマークは710の符号が付されている。
第8実施形態では、中央ポジションマーク710、及び、情報ドット730の配置は、第7実施形態とほぼ同様の配置となっている。
【0120】
第8実施形態において特徴的であるのは、前述の最外周円形仮想線は用いず、その代わりに、最内周円形仮想線721を用いることである。そして、この最内周円形仮想線721を基準として、最内周ポジションマーク720を配置する。最内周ポジションマーク720は、最内周円形仮想線721上に配置された4つのドット723、724、725、726で構成される。1つのドット723は、仮想線分722上に設けられる。もう一つのドット724は、中心角πの位置に設けられる。ドット725は、中心角3π/2の位置に設けられる。ドット726は、中心角0の位置に設けられる。
【0121】
このように構成された最内周ポジションマーク720における各ドットの相対的な位置関係は、情報ドット730における相対的な位置関係では生じない位置関係で構成される。また、中央ポジションマーク720における各ドットの相対的な位置関係も、情報ドット730における相対的な位置関係では生じ得ない位置関係で構成される。
【0122】
このようにすることによっても、最内周ポジションマーク720に基づいて、情報ドット730の位置を的確に把握することができる。尚、ここでは、最内周ポジションマーク720を4つのドットで構成することとしたが、他の形状のパターンを用いることとしてもよい。例えば、第1実施形態における円形状などによって構成して、最内周ポジションマーク720の実効面積を中央ポジションマーク720よりも小さい構成とすることができる。
【0123】
===その他の実施形態===
上述において、情報表現パターンにおける中央ポジションマークと最外周ポジションマークの例を複数示したが、中央ポジションマークと最外周ポジションマークの配置及び形状はこれらに限られない。例えば、直角二等辺三角形の3つの頂点に相当する位置にドットを配置して、これを中央ポジションマークとして用いることもできる。また、中央ポジションマーク、最外周ポジションマーク、及び、情報ドットの形状を、トランプのスペード、ダイヤ、ハート、クローバーなどの形状や、星形の形状にしてもよい。
【0124】
上記の情報表現パターンは、極めて小さく構成することができるため、媒体上の図柄に影響を与えることなく配置することができるが、さらに印刷する際に赤外線吸収インキやカーボンを含むインキを用いて印刷されることとしてもよい。このようにすることによって、肉眼では不可視とすることができ、より図柄に影響を与えないように印刷することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 情報表現パターン、
10 中央ポジションマーク、
20 最外周ポジションマーク、21 最外周円形仮想線、
30 情報ドット、
31 第1円形仮想線、32 第2円形仮想線、
33 第3円形仮想線、34 第4円形仮想線、
1a〜8b 仮想放射線
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表現方法、情報表現パターンが形成された物品、情報出力装置、及び、情報表現装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物に印刷されたバーコードや2次元コードを利用して様々な情報を記録する方法が用いられている。しかしながら、これらのようなコードはコード自体が大きくならざるを得ず、紙面の一部を占有するため、紙面上に専用の領域を設けなければならないという問題があった。
これに対し、特許文献1には、ドットによってパターンを形成し、このドットパターンを用いた情報入出力方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2004/084125号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される手法では、ドットパターンが矩形領域に配置される。これらドットパターンは、撮像装置によって取り込まれる。ところが、撮像装置の光学的性質上、レンズの中央から離れるほど収差が大きくなる。そのため、収差による歪みを解消するために、取り込んだ画像の座標変換が必要となる。しかしながら、矩形領域に配置されたドットパターンであると、画像の歪みは矩形領域の四隅で特に大きくなることから、歪んだ矩形領域を正常な形状に補正する座標変換処理が複雑なものとなる。すなわち、撮像装置に取り込まれた後のデータ処理が複雑となっていた。よって、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることが望まれる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
第1仮想円の中心を規定する第1形状パターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円内であって前記第1形状パターンを中心とした所定半径で規定される第2仮想円上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法である。
【0007】
また、
第1仮想円の中心を規定する第1形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円内であって前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角の仮想放射線上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法である。
【0008】
また、
第1仮想円の中心を規定する第1形状パターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円外であって前記第1形状パターンを中心とした所定半径で規定される第2仮想円上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法である。
【0009】
また、
上記のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンが形成された物品である。
【0010】
また、
上記のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンを読み取る読み取り部と、
読み取った前記情報表現パターンの画像データに基づいて、該情報表現パターンに含まれた情報を出力する出力部と、
を備える情報出力装置である。
【0011】
また、
上記のいずれかに記載の情報表現方法で表される情報表現パターンを生成する制御部と、
生成した前記第1形状パターンと前記第2形状パターンと前記第3形状パターンとを媒体に形成する情報形成部と、
を備える情報表現装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、仮に、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、半径方向に関する情報を補正することにより仮想円の歪みを補正することができる。また、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、中心角に関する情報を補正することにより仮想放射線の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態における情報表現パターン1の説明図である。
【図2】情報ドット30の配置例の説明図である。
【図3】仮想線を不可視にしたときの情報表現パターンを示す図である。
【図4】2ビットの情報と情報ドット30の配置パターンとの関係の説明図である。
【図5】表される情報と16本の仮想放射線との対応の説明図である。
【図6】含ませる情報に対応するドットパターンの説明図である。
【図7】情報を含ませた情報表現パターンの一例の説明図である。
【図8】情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときのデータの配置を説明する表である。
【図9】各仮想放射線が表すビットと各ビットの対応番号とを表す表である。
【図10】情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときの情報表現パターンの一例である。
【図11】情報出力装置のブロック図である。
【図12】情報表現パターン1の生成方法のフローチャートである。
【図13】情報表現パターンからの情報を抽出する方法を説明するためのフローチャートである。
【図14】仮想放射線の数を増やしたときにおける情報表現パターンの説明図である。
【図15】第2実施形態における情報ドット130の配置例の説明図である。
【図16】第2実施形態において仮想線を不可視にしたときの説明図である。
【図17】第3実施形態における中央ポジションマーク210の説明図である。
【図18】第4実施形態における最外周ポジションマークの説明図である。
【図19】仮想放射線を用いないときにおける情報表現パターン410の説明図である。
【図20】仮想円を用いないときにおける情報表現パターンの説明図である。
【図21】第7実施形態における情報表現パターンの説明図である。
【図22】第8実施形態における情報表現パターンの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0015】
第1仮想円の中心を規定する第1形状パターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円内であって前記第1形状パターンを中心とした所定半径で規定される第2仮想円上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法。
このようにすることで、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、半径方向に関する情報を補正することにより仮想円の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。
【0016】
また、かかる情報表現方法であって、前記第3形状のパターンは、前記第1仮想円内であって前記第1形状パターンを中心とした複数の所定半径で規定される複数の第2仮想円上に配置されることが望ましい。
このようにすることによって、複数の仮想円上に第3形状のパターンを配置することが可能となるので、より多くの情報を含ませることができる。
【0017】
また、前記第3形状のパターンが配置される位置は、前記第2仮想円と、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角の仮想放射線と、の交点により規定されることが望ましい。
このようにすることによって、仮想円と仮想放射線との交点により第3形状のパターンが配置される位置を規定することができる。
【0018】
また、前記第3形状のパターンが配置される位置は、前記第2仮想円と、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角おきに規定される複数の仮想放射線と、の交点により規定されることが望ましい。
このようにすることによって、仮想円と複数の仮想放射線との交点により第3形状のパターンが配置される位置を規定することができるようになり、さらに多くの情報を含ませることができる。
【0019】
また、各前記仮想放射線には1個の前記第3形状パターンが配置され、各前記仮想放射線における前記第3形状パターンの配置位置は前記含ませる情報に基づいて求められることが望ましい。
このようにすることによって、各仮想放射線に規定された複数の第3形状のパターンの配置可能位置のうち1箇所に第3形状のパターンを配置したときの組み合わせに基づいて、情報を含ませることができる。
【0020】
また、各前記仮想放射線には同じ個数の前記第3形状パターンが配置され、各前記仮想放射線における前記第3形状パターンの配置位置は前記含ませる情報に基づいて求められることとしてもよい。
このようにすることによって、各仮想放射線に規定された複数の第3形状のパターンの配置可能位置のうち、複数箇所に第3形状のパターンを配置したときの組み合わせに基づいて、情報を含ませることができる。
【0021】
また、
第1仮想円の中心を規定する第1形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円内であって前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角の仮想放射線上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法。
このようにすることによって、撮像装置によってこれら情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、中心角に関する情報を補正することにより仮想放射線の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。
【0022】
また、前記第3形状のパターンは、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角おきに規定される複数の仮想放射線上に配置されることが望ましい。
このようにすることによって、複数の仮想放射線上に第3形状のパターンを配置することが可能となるので、より多くの情報を含ませることが可能となる。
【0023】
また、
第1仮想円の中心を規定する第1形状パターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円外であって前記第1形状パターンを中心とした所定半径で規定される第2仮想円上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法。
このようにすることで、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、半径方向に関する情報を補正することにより仮想円の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。
【0024】
また、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンと前記第3形状のパターンは、それぞれ異なる形状のパターンであることが望ましい。
このようにすることによって、それぞれの形状のパターンを特定することができるようになる。
【0025】
また、前記第1形状のパターンは前記第2形状のパターンより大きく、前記第2形状のパターンは前記第3形状のパターンより大きいことが望ましい。
このようにすることによって、効率的に、第1形状のパターン、第2形状のパターン、及び、第3形状のパターンを配置することができる。
【0026】
また、前記第1形状のパターンは中心が同一のドットと円形のパターンとからなるパターンであり、前記第2形状のパターンは円形のパターンであり、前記第3形状のパターンはドットからなるパターンであることが望ましい。
このようにすることによって、より効率的に第1形状のパターンから第3形状のパターンを配置することができる。
【0027】
また、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンと前記第3形状のパターンは、それぞれ同じ形状の要素からなるパターンであってもよい。
このようにすることによって、第三者による情報の抽出をより困難にすることができる。
【0028】
また、前記第1形状のパターン及び前記第2形状のパターンの少なくともいずれか一方は、前記第1仮想円の半径方向の伸縮率を取得するためのパターンを含むことが望ましい。
このようにすることによって、第1仮想円の半径方向の伸縮率に基づいて第2仮想円の形状を適切に補正することができる。そして、半径方向に関する第3形状のパターンの配置位置をより確実に特定することができる。
【0029】
また、上記のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンが形成された物品。
このようにすることによって、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、半径方向に関する情報を補正することで仮想円の歪みを補正することができる。また、中心角に関する情報を補正することにより仮想放射線の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。
【0030】
また、上記のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンを読み取る読み取り部と、
読み取った前記情報表現パターンの画像データに基づいて、該情報表現パターンに含まれた情報を出力する出力部と、
を備える情報出力装置。
このようにすることによって、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、半径方向に関する情報を補正することで仮想円の歪みを補正することができる。また、中心角に関する情報を補正することにより仮想放射線の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。
【0031】
また、上記のいずれかに記載の情報表現方法で表される情報表現パターンを生成する制御部と、
生成した前記第1形状パターンと前記第2形状パターンと前記第3形状パターンとを媒体に形成する情報形成部と、
を備える情報表現装置。
このように生成された情報表現パターンは、撮像装置によって歪んで読み取られたとしても、中心を表す第1形状のパターンから第2形状のパターンに向かう方向及び距離に基づいて、半径方向に関する情報を補正することで仮想円の歪みを補正することができる。また、中心角に関する情報を補正することにより仮想放射線の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。
【0032】
===第1実施形態===
<<<情報表現パターンについて>>>
図1は、第1実施形態における情報表現パターン1の説明図である。情報表現パターン1は、中央ポジションマーク10と、最外周ポジションマーク20と、情報ドット30を含む。また、図には、情報表現パターン1の各パターンの位置の基準を規定する仮想線が示されている。仮想線は全て破線で示されている。これらの仮想線は、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20と情報ドット30の位置を規定するテンプレートとなる。テンプレートは、複数の円形仮想線と複数の仮想放射線を含む。これら円形仮想線及び仮想放射線は、仮想的なものであって実際には印刷(又は表示)されない。
【0033】
中央ポジションマーク10(第1形状のパターンに相当する)は、情報表現パターン1の中央を規定するマークである。中央ポジションマーク10は、中央ドット11と円12からなる。中央ドット11の中心と円12の中心は一致している。また、これらの中心と、円形仮想線の中心は一致している。
【0034】
最外周ポジションマーク20(第2形状のパターンに相当する)は、最外周円形仮想線21(第1仮想円に相当する)上に形成される円である。最外周円形仮想線21は、第1円形仮想線31から第4円形仮想線34のいずれの円形仮想線よりも大きな円である。尚、中央ポジションマーク10の中心と最外周ポジションマーク20の中心とを結ぶ仮想線分22は、後述する仮想放射線の中心角の基準となる。
【0035】
円形仮想線は、最外周円形仮想線21、第1円形仮想線31、第2円形仮想線32、第3円形仮想線33、及び、第4円形仮想線34を含む(第1円形仮想線31、第2円形仮想線32、第3円形仮想線33、及び、第4円形仮想線34は、第2仮想円に相当する)。これらの円形仮想線の中心は一致している。また、仮想放射線は、16本の仮想放射線1a、1b、2a、2b、3a、3b、4a、4b、5a、5b、6a、6b、7a、7b、8a、8bを含む。
【0036】
仮想放射線は、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20とを結ぶ仮想線分22を中心角の基準とする。そして、最初の仮想放射線1aは、π/16の中心角に設けられる。残りの仮想放射線2b〜8bは、π/8おきに等間隔に設けられる。
【0037】
情報ドット30(第3形状のパターンに相当する)は、円形仮想線(第1円形仮想線31から第4円形仮想線34)と仮想放射線(放射線1aから放射線8b)との交点に配置される。すなわち、円形仮想線と仮想放射線は、その交点により情報ドット30が配置される位置を規定する。このような構成により、情報ドット30が配置される可能性のある位置は、64箇所になる。尚、図1では、説明のために、配置される可能性のある位置の全てにおいて情報ドット30を配置しているが、実際には全ての位置に配置されない。
【0038】
中央ポジションマーク10のサイズは、最外周ポジションマーク20のサイズよりも大きい。また、最外周ポジションマーク20のサイズは、情報ドット30のサイズよりも大きい。このように、中央ポジションマーク10、最外周ポジションマーク20、及び、情報ドット30の配置位置とサイズについて説明したが、このような構成にしたのは、次のような理由による。
【0039】
情報ドット30は、最も多くの数が配置される可能性のあるパターンである。そのため、情報密度を高めるために最も小さいパターンであるべきである。また、中央付近に複数の情報ドット30を配置しようとすると、これらは重なり合ってしまうおそれがある。このため、中央付近には情報ドット30を配置せず、中央の周辺に配置することが望ましいことになる。
【0040】
中央ポジションマーク10は、情報表現パターン1の中心を規定するマークであることから、最も大きなサイズのパターンであることが望ましい。よって、中央に配置される最も大きなサイズのパターンとなる。
【0041】
最外周ポジションマーク20は、情報表現パターン1の領域を規定する最外周の半径を規定するためのパターンである。よって、情報表現パターン1の最外周に配置されるものとなる。また、最外周ポジションマーク20は、仮にサイズを最も大きくしてしまった場合には、第4円形仮想線34の情報ドット30(具体的には、円形仮想線34と仮想放射線1a、8bとの交点の情報ドット30)と接触してしまうおそれがある。よって、最外周ポジションマーク20のサイズは、中央ポジションマーク10のサイズよりも小さく、情報ドット30のサイズよりも大きいものとなる。
【0042】
このような組み合わせで表されることにより、情報表現パターン1は、効率的に面積を利用することができる。そして、全体として小さいサイズのパターンとすることができる。
【0043】
尚、ここでいう中央ポジションマーク10の「サイズ」とは、中央ポジションマーク10の実効面積の大きさをいう。例えば、仮に、中央ポジションマーク10が複数のドットで形成される場合には、これら複数のドットによって囲まれる領域の実効面積の大きさを指す。最外周ポジションマーク20のサイズについても同様であり、このサイズは最外周ポジションマーク20の実効面積の大きさをいう。
【0044】
また、情報表現パターン1の大きさについては撮像装置が読み取り可能であれば特段制限はない。特に、情報表現パターン1のサイズが大きいものの場合については原理上の制約はない。例えば、最外周円形仮想線21の直径を30mm〜40mmにしてもよい。また、最外周円形仮想線21の直径を1.5mm程度にし、情報ドット30のドット径を0.05mm程度にしてもよい。
【0045】
図2は、情報ドット30の配置例の説明図である。図に示されるように、1本の仮想放射線上に1個の情報ドット30を配置することによって、所望の情報を表現することができる。このように、1本の仮想放射線上に1個の情報ドット30を配置することにより情報を表現する手順については、後述する。
【0046】
図3は、仮想線を不可視にしたときの情報表現パターンを示す図である。実際に、カードなどの物品に本情報表現パターンが印刷されるときには、円形仮想線及び仮想放射線は印刷されず、図3のように、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20と情報ドット30のみが印刷される。
【0047】
このように、円形仮想線及び仮想放射線が不可視にされると、情報表現パターン1は、ドット及び円によって表現されたパターンとなる。そのため、一見、規則性のないパターンとして表されることとなり、この情報表現パターン1の構成を知らない第三者は情報を抽出することが困難となる。
【0048】
一方、情報表現パターン1のテンプレートを知っているユーザは、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20とに基づいて、不可視の円形仮想線と仮想放射線の位置を把握することができる。そして、これらの位置に基づいて、円形仮想線と仮想放射線との交点を把握することができる。すなわち情報を表現する情報ドット30の位置を把握することができ、情報表現パターン1から情報を容易に抽出することができる。
【0049】
また、情報表現パターン1において情報を表現する情報ドット30の配置位置は円周上である。よって、仮に、半径方向に収差を生じやすいレンズで情報表現パターン1を読み取る場合であっても、撮像装置のレンズの中央に中央ポジションマーク10が位置するようにするように読み取らせることで、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20との位置に基づいて、半径方向に関する情報を容易に補正することができる。そして、情報ドット30が配置される円形仮想線の歪みを容易に補正することができる。
【0050】
また、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20との位置に基づいて、中心角に関する情報を補正することができる。そして、情報ドットが配置される仮想放射線の歪みを適切に補正することができる。
【0051】
さらに、撮像装置のレンズの中央に中央ポジションマーク10が位置しない場合であっても、中央ポジションマーク10の円12の変形形状に基づいて、円周の各方向に関してどの程度の比率で円形仮想線が歪んでいるかを推定することができる。すなわち、円12の半径方向の変形比率に基づいて、どの程度、円形仮想線の半径を補正すればよいのかを推定することができる。よって、情報ドット30が配置される円形仮想線の座標を適切に補正して、的確に情報ドット30の位置を把握することができる。
【0052】
<<<情報表現パターンの第1のデータ構造について>>>
図4は、2ビットの情報と情報ドット30の配置パターンとの関係の説明図である。図には、X番目の2本の仮想放射線Xa、Xbの組が抜き出されて示されている。
【0053】
情報ドット30が配置される位置として、Xa1からXa4、及び、Xb1からXb4が仮想放射線Xa、Xb上に示されている。「a」又は「b」に後続する数字は、円形仮想線の番号を示す。例えば、仮想放射線1aと第4円形仮想線34との交点は、「1a4」として表されることになる。すなわち、これら3文字によって、情報ドット30が配置されている位置を表すことができる。
【0054】
1本の仮想放射線には1個の情報ドット30のみが必ず配置されるという前提になっている。図4には、情報ドット30の配置パターンに対応する2ビットの情報が示されている。例えば、Xa1の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「00」が対応する。また、Xa2の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「01」が対応する。また、Xa3の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「10」が対応する。また、Xa4の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「11」が対応する。
【0055】
尚、符号に「a」が含まれている仮想放射線と「b」が含まれている仮想放射線とでは、配置パターンと2ビットの情報との関係が異ならせてある。符号に「b」が含まれている仮想放射線では、例えば、Xb1の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「11」が対応する。また、Xb2の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「10」が対応する。また、Xb3の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「01」が対応する。また、Xb4の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「00」が対応する。
【0056】
尚、ここでは、上述のような対応関係に設定したが、これら情報ドット30の位置と2ビットの情報との関係はこれに限られず任意に設定することができる。
【0057】
図5は、表される情報と16本の仮想放射線との対応の説明図である。図に示されるように、最上位2ビットは、仮想放射線1aによって表される。後続する2ビットは、仮想放射線2bによって表される。このように、図に示されるように1本の仮想放射線によって表される2ビットが連続して並び、最下位2ビットは仮想放射線8bによって表される。
【0058】
次に、上述の対応関係における情報表現パターン1の形成について具体的に説明する。ここでは、16進数の「D3 4D 78 EB」の情報を情報表現パターン1に含ませる手順を説明する。
【0059】
図6は、含ませる情報に対応するドットパターンの説明図である。
上記16進数「D3 4D 78 EB」は、ビット表現すると、最上位から順に、「11 01 00 11 01 00 11 01 01 11 10 00 11 10 10 11」となる。これらのデータは2ビットずつ、1本の仮想放射線に割り当てられる。すなわち、1本の仮想放射線は2ビットを表現している。
【0060】
最上位2ビットは、1aの仮想放射線に割り当てられる。後続する2ビットのデータは、1bの仮想放射線に割り当てられる。このように、2ビットずつのデータは、順次、時計回りで仮想放射線に割り当てられる。
【0061】
再度、図4を参照すると、最上位2ビット「11」を仮想放射線1aで表現したとき、その配置パターンは「a4」となる。よって、仮想放射線1a上にa4の配置パターンで配置される。すなわち、情報ドット30は、仮想放射線1aと第4円形仮想線34との交点に配置される。
【0062】
また、後続する2ビット「01」を仮想放射線1bで表現したとき、その配置パターンは、「b3」となる。よって、情報ドット30は、仮想放射線1b上にb3の配置パターンで配置される。すなわち、情報ドット30は、仮想放射線1bと第3円形仮想線33との交点に配置される。
【0063】
また、さらに後続する2ビット「00」を仮想放射線2aで表現したとき、その配置パターンは、「a1」となる。よって、情報ドット30は、仮想放射線2a上にa1の配置パターンで配置される。すなわち、情報ドット30は、仮想放射線2aと第1円形仮想線31との交点に配置される。
【0064】
このようにして、仮想放射線a1からb8までにかけて情報ドット30を配置する位置を特定していく。そして、特定した通りに情報ドット30を配置する。
【0065】
図7は、情報を含ませた情報表現パターン1の説明図である。図には、上述のようにして、生成された情報「D3 4D 78 EB」に対応する情報表現パターン1が示されている。尚、ここでは、理解の容易のために、本来は不可視であるすべての仮想線についても可視化して表している。また、情報ドット30が配置されていない位置を白円で表している。このようにすることによって、含ませたい情報を情報表現パターン1に変換することができる。
一方、上記手順と逆の手順により、情報表現パターン1から情報を抽出することもできる。その場合、次のようにして求めることができる。
【0066】
まず、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20とによって規定される仮想線分22を基準としてそれぞれの仮想放射線の位置を求める。また、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20との距離に基づいて、各円形仮想線の半径を求める。そして、この半径に基づいて各円形仮想線の半径を求める。
【0067】
このようにすることによって、各円形仮想線と各仮想放射線との交点を求めることができる。次に、それぞれの交点に情報ドット30が形成されているか否かを求める。これにより、各仮想放射線における情報ドット30の配置パターンを得ることができる。そして、図4の表を参照することによって、仮想放射線ごとに配置パターンに応じた2ビットを得ることができる。
【0068】
このようにして得られた2ビットの情報を、仮想放射線1aから8bにかけて順番に最上位ビットから並べていく。そうすることによって、情報表現パターン1に含まれた情報を抽出することができる。
【0069】
<<<情報表現パターンの第2のデータ構造について>>>
図8は、情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときのデータの配置を説明する表である。図9は、各仮想放射線が表すビットと各ビットの対応番号とを表す表である。図10は、情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときの情報表現パターン1の一例である。以下、これらの図を参照しつつ、情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときの情報表現パターン1について説明する。
【0070】
ここで表現されるのは、20ビットの第1データと4ビットの第2データである。すなわち、計24ビットのデータを表現することになる。また、パリティビットとして、8ビットが割り当てられる。尚、ここでは、奇数パリティを用いることにする。
【0071】
図8で示される表において、1つのセルは1ビットを表す。よって、表の1列は4ビット(nibble)を表現する。表には、nibble1からnibble6が示されている。このうち、nibble1からnibble5は、前述の第1データを表す。また、nibble6は第2データを表す。また、表に示される1つのnibbleにおいて、上のセルがMSB(Most significant bit)であり、下のセルがLSB(Least significant bit)である。
【0072】
また、表の下部には、1バイトごとのパリティビットが示されている。また、表の右側には、行ごとのパリティビットが示されている。さらに、パリティのパリティが1ビット設けられている。
【0073】
図8において、それぞれのセルには対応番号が割り当てられている。これら対応番号は、図9の左表において示されている対応番号に対応するものである。前述の通り、1本の仮想放射線は、2ビットを表現可能であった。そのため、図7では、1本の仮想放射線に1つの上位ビットと1つの下位ビットが割り当てられる。そして、これら各ビットには、対応する対応番号が割り当てられる。
【0074】
例えば、図8において示された対応番号「5」で特定されるセルのビットは、仮想放射線2aが示すデータのうちの上位ビットが対応することになる。また、図8において示された対応番号「15」で特定されるセルのビットは、仮想放射線4bが示すデータのうち上位ビットが対応することになる。このようにして、図8に示す表のセルと図9の左表のセルとが対応番号で関連づけられている。尚、図8において、理解の容易のために、各セルには括弧書きで各セルが表現するビットの情報が示されている。
【0075】
ここで、図9の表において対応番号が規則的に並べられているのに対して、図8の表では対応番号がランダムに割り振られている。これは、ランダムに割り振ることにより、仮に、情報表現パターンの一部にデータの欠損が生じた場合において、ある特定の箇所にエラーが集中しないようにするためである。また、この情報表現パターンを利用する第三者によって、データ構造が解析されにくくするためでもある。
【0076】
次に、パリティビットを付加した場合における、具体的なデータの変換方法について説明する。ここでは、第1データを「00 00 00 00 00 00 00 00 00 01」とし、第2データを「00 01」とする。これらのデータによると、第1データは、最下位ビットのみ「1」であり、他は全て「0」である。また、第2データも、最下位ビットのみ「1」であり、他は全て「0」である。
【0077】
そのようにした場合、図9を参照すると、対応番号「1」「4」「7」「8」「16」「19」「20」「23」「30」のセルのビットは「1」であり、他のセルのビットは「0」ということになる。すなわち、図9の右表が示すようなビット情報となる。
【0078】
このようにして得られたビット情報に対応する情報ドット30の配置パターンを各仮想放射線に割り当てる。例えば、仮想放射線「1a」では、「10」を示すために「a3」の配置パターン(図4参照)となる。また、例えば、仮想放射線「1b」では、「01」を示すために「b3」の配置パターンとなる。同様にして、仮想放射線「8b」までの情報ドット30の配置パターンが決定される。
【0079】
図10に示される情報表現パターンには、求められた配置パターンで情報ドット30が配置されている。勿論、この情報表現パターンにはパリティビットの情報も付加されている。したがって、仮に、この情報表現パターンにおいて何らかの原因により情報ドット30の欠損などが生じてしまった場合であっても、パリティビットに基づいてエラーの発生を検出することができる。
【0080】
尚、ここでは、パリティビットを情報として含ませることとして説明を行ったが、パリティを用いる代わりにCRC(Cyclic Redundancy Check)符号やリード・ソロモン符号を用いることとしてもよい。
【0081】
また、上記と逆の手順により情報表現パターン1に含まれた情報を抽出することができる。まず、中央ポジションパターン10と最外周ポジションパターン20に基づいて、情報ドット30が配置される位置を特定した後、配置パターンに基づいて図9のように各仮想線が表現する2ビットに展開する。そうすることで、これら各2ビットの情報は前述の対応番号に基づいて、図8に示されるような表のデータで表される。図8に示される表のデータが得られた後、nibble1からnibble5までの各セルのビットを順次並べることで第1データを得ることができる。また、nibble6の各セルのビットを順次並べることで第2データを得ることができる。
【0082】
<<<情報表現パターンの第3のデータ構造について>>>
上述の情報表現パターン1では、1本の仮想放射線には情報ドット30が1つだけ必ず割り当てられるという前提となっていた。しかしながら、情報表現パターン1のデータ構造としてはこれに限られない。
【0083】
例えば、1本の仮想放射線上にはm箇所の情報ドット30の配置可能位置があり、そのm箇所のうちn箇所に情報ドット30を配置すると仮定する。このようにした場合、1本の仮想放射線が表現可能な情報量は、m箇所からn箇所を選び出す組み合わせになるから、mCnとして表現することができる。
【0084】
そして、k本の仮想放射線が用いられる場合、情報量は、(mCn)kとして表される。例えば、前述のように16本の仮想放射線と4つの円形仮想線との交点に情報ドットを配置する場合において、各仮想放射線に2個のドットを配置するものとした場合には、(4C2)16通りの情報を表現することが可能であり、その数はおよそ2兆8千億通りにものぼる。
【0085】
<<<情報入出力装置>>>
図11は、情報入出力装置1000のブロック図である。情報入出力装置1000(情報出力装置、及び、情報表現装置に相当する)は、コンピュータ1010(情報表現パターンに含まれる情報を出力する情報部、又は、制御部に相当する)、表示装置1020、入力装置1030、出力装置1050(情報形成部に相当する)、及び、撮像装置1060を含む。コンピュータ1010は、中央演算装置(CPU)1013、インタフェース1012、メモリ1014、及び、記録再生装置1040を含む。
【0086】
インタフェース1012は、撮像装置1060との接続をするためのインタフェースである。CPU1013は、情報の演算、特に上述のような情報表現パターン1の形成や情報表現パターン1からの情報の抽出を行うための演算を行う。メモリ1014は、上述の図4、図5、図6、図8、図9に示されたデータを記憶したり、情報表現パターン1の形成や情報表現パターン1からの情報の抽出において一時的に演算結果を記憶するために用いられる。記録再生装置1040は、形成された情報表現パターン1をCR−ROMなどの記録媒体に記録したり、記録媒体から情報表現パターン1を読み出したりすることに用いられる。また、記録再生装置は、情報表現パターン1を形成するためのプログラムや情報表現パターン1から情報を抽出するためのプログラムを読み出すために用いられることとしてもよい。
【0087】
表示装置1020は、液晶モニタなどの表示装置である。入力装置1030は、マウスやキーボードなどの入力装置である。出力装置1050は、情報表現パターン1を印刷するプリンタなどの出力装置である。撮像装置1060は、情報表現パターン1を光学的に読み取るための装置である。
【0088】
尚、コンピュータ1010及び撮像装置1060の機能をペン型デバイスに一体的に構成することとしてもよい。この場合、ペン型デバイスは、情報表現パターン1を読み取り、抽出した情報を出力する機能を有することとすることができる。
【0089】
<<<情報表現パターンの生成方法>>>
図12は、情報表現パターン1の生成方法のフローチャートである。
最初に、情報表現パターン1に含ませる情報をビット表現として用意する(S802)。例えば、図6のような「11 01 00 11 01 00 11 01 01 11 10 00 11 10 10 11」が用意される。
【0090】
次に、用意されたビット表現に対応する配置パターンを求める(S804)。配置パターンは、前述のように図4の対応に基づいて求めることができる。次に、求めた配置パターンに応じて情報ドット30を配置して情報表現パターン1を形成する(S806)。これにより、図7に示されるような情報表現パターン1が生成される。
最後に、情報表現パターン1から仮想線を除去し、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20と情報ドット30のみを印刷又は表示する(S808)。このようにすることで、情報表現パターン1を得ることができる。
【0091】
<<<情報表現パターンからの情報の抽出方法>>>
図13は、情報表現パターンから情報を抽出する方法を説明するためのフローチャートである。
最初に、印刷物等に印刷された情報表現パターン1を撮像装置1060によって取り込む(S902)。次に、取り込むことで得られた画像データに基づいて、中央ポジションマーク10と最外周ポジションマーク20の位置を特定する(S904)。
【0092】
次に、中央ポジションマーク10の位置及び最外周ポジションマーク20の位置に基づいて、円形仮想線と仮想放射線の位置を求め、これらの交点を特定する(S906)。次に、これらの交点において情報ドット30が配置されている位置を画像データから特定する(S908)。
次に、情報ドット30が配置されている位置に基づいて、各仮想放射線における情報ドット30の配置パターンを求める。そして、図4を参照することにより、配置パターンから各ビットを求める(S910)。情報としてパリティビットが含まれているようなデータ構造の場合、このパリティビットに基づいて情報の正確性を検証する(S912)。
このようにすることによって、情報表現パターン1に含まれた情報を抽出することができる。
【0093】
===第2実施形態===
図14は、仮想線の数を増やしたときにおける情報表現パターンの説明図である。本図における符号は、第1実施形態において使用された符号の百の位に1を付して表現している。例えば、第2実施形態における最外周ポジションマークは120の符号が付されている。
【0094】
第2実施形態において、情報表現パターン101の仮想放射線の数は32本となっている。また、円形仮想線も8個に増加している。そして、「a」の符号が付された仮想放射線上の情報ドット30を配置可能な位置は、内側から数えて奇数番目の円形仮想線(第1円形仮想線131、第3円形仮想線133、第5円形仮想線135、第7円形仮想線137)との交点に設定される。また、「b」の符号が付された仮想放射線上の情報ドット130を配置可能な位置は、内側から数えて偶数番目の円形仮想線(第2円形仮想線132、第4円形仮想線134、第6円形仮想線136、第8円形仮想線138)との交点に設定される。また、仮想線分122と仮想放射線1aは重なるような配置となっている。
【0095】
このような配置とした場合であっても、前述の第1実施形態における第1のデータ構造から第3のデータ構造を用いて情報を情報表現パターン1に含ませることができる。
【0096】
また、このようにすることで、情報ドット130を配置することができる位置が増加するので、より多くの情報量を表現することができるようになる。また、隣接する仮想放射線間において情報ドットは互い違いになるように配置されることになる。このため、より密に情報ドット30を配置することができる。また、最外周ポジションマーク120は、仮想放射線1a上に設けられる。そして、仮想放射線1aと第7円形仮想線137との交点は、隣接する仮想放射線1b、16bと第8円形仮想線138との交点よりも内側になるので、最外周ポジションマーク20を比較的中央寄りに配置することができる。これにより、効率的に、最外周ポジションマーク120を配置することができる。
【0097】
図15は、第2実施形態における情報ドット130の配置例の説明図である。このような情報表現パターンにおいても、上述と同様の手法により、1本の仮想放射線上には必ず1個の情報ドットが形成されることを前提として情報を含ませることができる。
【0098】
図16は、第2実施形態において仮想線を不可視にしたときの説明図である。このように、より密に情報ドット130を配置した場合には、一見してより規則性のないようなパターンとして表現されることとなるので、この情報表現パターン101の構成を知らない第三者は情報を抽出することがより困難となる。
【0099】
===第3実施形態===
図17は、第3実施形態における中央ポジションマーク210の説明図である。本図における符号は、第1実施形態において使用された符号の百の位に2を付して表現している。例えば、第3実施形態における最外周ポジションマークは220の符号が付されている。
【0100】
前述の実施形態における情報表現パターンでは、中央ポジションマークの形状は、1つの中央ドット11と、この中央ドット11と中心が一致する円12とで構成されていたが、これには限られない。図17に示されるように、仮想線分222の中心角をπ/2としたとき、中央ドット211に加えて、中心角0の位置と中心角πの位置にそれぞれドット212、213を配置して中央ポジションマーク210としてもよい。
【0101】
このようにすることによっても、中央ポジションマーク210の全体的な形状のパターンを、最外周ポジションパターン220及び情報ドット30と異なるものとして区別することができる。尚、中央ポジションマーク210の形状のパターンと情報ドット230の形状のパターンとの区別を確実なものとするために、中央ポジションマーク210には、情報ドット230とは異なる大きさのドットを用いることとしてもよいし、情報ドット230間のドット間隔では生じ得ないドット間隔で中央ポジションマーク210を構成することができる。
【0102】
===第4実施形態===
図18は、第4実施形態における最外周ポジションマークの説明図である。本図における符号は、第1実施形態において使用された符号の百の位に3を付して表現している。例えば、第4実施形態における最外周ポジションマークは320の符号が付されている。
【0103】
前述の実施形態における情報表現パターンでは、最外周ポジションマークの形状は円形状となっていたが、これには限られない。図18に示されるように、最外周円形仮想線321と仮想放射線1a、5a、13aとの交点にドット323、326、327を配置し、さらに仮想放射線1aの方向を規定するために、最外周円形仮想線321と仮想放射線1aとの交点に隣接させて最外周円形仮想線上に2個のドット324、325を配置することで最外周ポジションマークを構成してもよい。
【0104】
このようにすることによっても、最外周ポジションマーク320の全体的な形状のパターンを、中央ポジションマーク310及び情報ドット330と異なるものとして区別することができる。尚、この場合も、最外周ポジションマーク320の形状のパターンと情報ドット330の形状のパターンとの区別を確実なものとするために、最外周ポジションマーク320には、情報ドット330とは異なる大きさのドットを用いることとしてもよいし、情報ドット330間のドット間隔では生じ得ないドット間隔で最外周ポジションマーク320を構成することができる。
【0105】
さらに、撮像装置1060によってこの情報表現パターン301が歪んで読み取られたと仮定する。そして、中央ポジションマーク310とドット326との距離が、中央ポジションマーク310とドット327との距離よりも離れていたとする。その場合、中央からドット327へ向かう方向よりも、中央からドット326へ向かう方向の方がより歪み量が大きいことが分かる。そして、どの程度距離が異なっているかによっても中心角毎の歪み量を推定することができる。よって、推定した歪み量に基づいて、より適切に円形仮想線及び仮想放射線の位置を補正することができ、情報ドット330の配置位置をより確実に特定することができる。
【0106】
===第5実施形態===
前述の実施形態における情報表現パターンでは、情報ドット30を配置する位置が、円形仮想線と仮想放射線との交点に限定されていた。しかしながら、これらの交点に情報ドット30の位置を限定しないこととしても情報を情報表現パターンに含ませることができる。
【0107】
図19は、仮想放射線を用いないときにおける情報表現パターン401の説明図である。本図における符号は、第1実施形態において使用された符号の百の位に4を付して表現している。例えば、第5実施形態における最外周ポジションマークは420の符号が付されている。
【0108】
図19には、中央ポジションマーク410と、最外周ポジションマーク420が示されている。また、第1円形仮想線431、第2円形仮想線432、第3円形仮想線433、第4円形仮想線434が示され、これらの円形仮想線上に情報ドット430が複数配置されている。
【0109】
仮に、各円形仮想線上に最大で16個の情報ドットを配置することができるとする。この場合、1つの円形仮想線では16通りの情報を表現することができるが、円形仮想線は4個用意されているので、164=65536通りの情報を表現することができる。
【0110】
このような情報表現パターン401の構成としても、中央ポジションマーク410と最外周ポジションマーク420との距離に基づいて、第1円形仮想線431、第2円形仮想線432、第3円形仮想線433、及び、第4円形仮想線434のそれぞれの位置を求めることができる。それにより、各円形仮想線に情報ドット430がいくつ配置されているかを特定して、情報を抽出することができる。
【0111】
===第6実施形態===
図20は、円形仮想線を用いないときにおける情報表現パターンの説明図である。本図における符号は、第1実施形態において使用された符号の百の位に5を付して表現している。例えば、第6実施形態における最外周ポジションマークは520の符号が付されている。
図20には、中央ポジションマーク510と、最外周ポジションマーク520が示されている。また、16本の仮想放射線が示され、これらの仮想放射線上に情報ドット530が複数配置されている。
【0112】
仮に、各仮想放射線上に最大で4個の情報ドットを配置することができるとする。この場合、1つの仮想放射線では4通りの情報を表現することができるが、仮想放射線は16本用意されているので、416=4294967296通りの情報を表現することができる。
このような情報表現パターン501の構成としても、中央ポジションマーク510と最外周ポジションマーク520の位置に基づいて、各仮想放射線の位置を求めることができる。それにより、各仮想放射線の情報ドット30がいくつ配置されているかを特定して、情報を抽出することができる。
【0113】
===第7実施形態===
図21は、第7実施形態における情報表現パターンの説明図である。図21には、中央ポジションマーク610を構成する要素の形状と、最外周ポジションマーク620を構成する要素の形状と、情報ドット630の形状と、を同形状にした場合の情報表現パターン601が示されている。尚、本図における符号も、第1実施形態において使用された符号の百の位に6を付して表現している。例えば、第7実施形態における中央ポジションマークは610の符号が付されている。
【0114】
第7実施形態では、中央ポジションマーク610は、中央付近に配置された3つのドット611、612、613で構成される。1つのドット611は、第1円形仮想線631の内側であって、仮想線分622上に設けられる。また、他の1つのドット612は、仮想線分622の中心角をπ/2としたときにおける中心角πの位置であって、第1円形仮想線631の内側に設けられる。また、もう一つのドット613は、中心角0の位置であって、第1円形仮想線631の内側に設けられる。
これらの3つのドット611、612、613の各頂点を結ぶと直角二等辺三角形を構成するように、それぞれのドットが配置される。
【0115】
また、第7実施形態において、最外周ポジションマーク620は、最外周円形仮想線621上に配置された7つのドット623、624、625、626、627、628、629で構成される。1つのドット623は、仮想線分622上に設けられる。もう一つのドット624は、仮想線分622と仮想放射線1aとの間に設けられる。もう一つのドット625は、仮想線分622と仮想放射線8bとの間に設けられる。
【0116】
また、ドット626は、中心角πの角度と仮想放射線2bとの間に設けられる。ドット627は、中心角πの角度と仮想放射線3aとの間に設けられる。ドット628は、中心角0の角度と仮想放射線7aとの間に設けられる。ドット629は、中心角0の角度と仮想放射線6bとの間に設けられる。
【0117】
このように構成された中央ポジションマーク610における各ドットの相対的な位置関係は、情報ドット630における相対的な位置関係では生じ得ない位置関係で構成される。また、最外周ポジションマークにおける各ドットの相対的な位置関係も、情報ドット630における相対的な位置関係では生じ得ない位置関係で構成される。
【0118】
このように、中央ポジションマーク610を構成する要素の形状と、最外周ポジションマーク620を構成する要素の形状と、情報ドット630の形状と、を同形状にした場合であっても、上記のような相対的な位置関係にしているため、各ドットがいずれのポジションマークを構成するドットであるのか、又は、情報ドット630を構成するドットであるのかを判別することができる。その一方で、これらの要素の形状が同一形状であるので、第三者による情報の抽出をより困難にすることができる。
【0119】
===第8実施形態===
図22は、第8実施形態における情報表現パターンの説明図である。本図における符号も、第1実施形態において使用された符号の百の位に7を付して表現している。例えば、第8実施形態における中央ポジションマークは710の符号が付されている。
第8実施形態では、中央ポジションマーク710、及び、情報ドット730の配置は、第7実施形態とほぼ同様の配置となっている。
【0120】
第8実施形態において特徴的であるのは、前述の最外周円形仮想線は用いず、その代わりに、最内周円形仮想線721を用いることである。そして、この最内周円形仮想線721を基準として、最内周ポジションマーク720を配置する。最内周ポジションマーク720は、最内周円形仮想線721上に配置された4つのドット723、724、725、726で構成される。1つのドット723は、仮想線分722上に設けられる。もう一つのドット724は、中心角πの位置に設けられる。ドット725は、中心角3π/2の位置に設けられる。ドット726は、中心角0の位置に設けられる。
【0121】
このように構成された最内周ポジションマーク720における各ドットの相対的な位置関係は、情報ドット730における相対的な位置関係では生じない位置関係で構成される。また、中央ポジションマーク720における各ドットの相対的な位置関係も、情報ドット730における相対的な位置関係では生じ得ない位置関係で構成される。
【0122】
このようにすることによっても、最内周ポジションマーク720に基づいて、情報ドット730の位置を的確に把握することができる。尚、ここでは、最内周ポジションマーク720を4つのドットで構成することとしたが、他の形状のパターンを用いることとしてもよい。例えば、第1実施形態における円形状などによって構成して、最内周ポジションマーク720の実効面積を中央ポジションマーク720よりも小さい構成とすることができる。
【0123】
===その他の実施形態===
上述において、情報表現パターンにおける中央ポジションマークと最外周ポジションマークの例を複数示したが、中央ポジションマークと最外周ポジションマークの配置及び形状はこれらに限られない。例えば、直角二等辺三角形の3つの頂点に相当する位置にドットを配置して、これを中央ポジションマークとして用いることもできる。また、中央ポジションマーク、最外周ポジションマーク、及び、情報ドットの形状を、トランプのスペード、ダイヤ、ハート、クローバーなどの形状や、星形の形状にしてもよい。
【0124】
上記の情報表現パターンは、極めて小さく構成することができるため、媒体上の図柄に影響を与えることなく配置することができるが、さらに印刷する際に赤外線吸収インキやカーボンを含むインキを用いて印刷されることとしてもよい。このようにすることによって、肉眼では不可視とすることができ、より図柄に影響を与えないように印刷することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 情報表現パターン、
10 中央ポジションマーク、
20 最外周ポジションマーク、21 最外周円形仮想線、
30 情報ドット、
31 第1円形仮想線、32 第2円形仮想線、
33 第3円形仮想線、34 第4円形仮想線、
1a〜8b 仮想放射線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1仮想円の中心を規定する第1形状パターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円内であって前記第1形状パターンを中心とした所定半径で規定される第2仮想円上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法。
【請求項2】
前記第3形状のパターンは、前記第1仮想円内であって前記第1形状パターンを中心とした複数の所定半径で規定される複数の第2仮想円上に配置される、請求項1に記載の情報表現方法。
【請求項3】
前記第3形状のパターンが配置される位置は、前記第2仮想円と、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角の仮想放射線と、の交点により規定される、請求項1又は2に記載の情報表現方法。
【請求項4】
前記第3形状のパターンが配置される位置は、前記第2仮想円と、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角おきに規定される複数の仮想放射線と、の交点により規定される、請求項1〜3のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項5】
各前記仮想放射線には1個の前記第3形状パターンが配置され、各前記仮想放射線における前記第3形状パターンの配置位置は前記含ませる情報に基づいて求められる、請求項4に記載の情報表現方法。
【請求項6】
各前記仮想放射線には同じ個数の前記第3形状パターンが配置され、各前記仮想放射線における前記第3形状パターンの配置位置は前記含ませる情報に基づいて求められる、請求項4に記載の情報表現方法。
【請求項7】
第1仮想円の中心を規定する第1形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円内であって前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角の仮想放射線上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法。
【請求項8】
前記第3形状のパターンは、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角おきに規定される複数の仮想放射線上に配置される、請求項7に記載の情報表現方法。
【請求項9】
第1仮想円の中心を規定する第1形状パターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円外であって前記第1形状パターンを中心とした所定半径で規定される第2仮想円上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法。
【請求項10】
前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンと前記第3形状のパターンは、それぞれ異なる形状のパターンである、請求項1〜9のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項11】
前記第1形状のパターンは前記第2形状のパターンより大きく、前記第2形状のパターンは前記第3形状のパターンより大きい、請求項1〜10のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項12】
前記第1形状のパターンは中心が同一のドットと円形のパターンとからなるパターンであり、前記第2形状のパターンは円形のパターンであり、前記第3形状のパターンはドットからなるパターンである、請求項1〜11のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項13】
前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンと前記第3形状のパターンは、それぞれ同じ形状の要素からなるパターンである、請求項1〜9のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項14】
前記第1形状のパターン及び前記第2形状のパターンの少なくともいずれか一方は、前記第1仮想円の半径方向の伸縮率を取得するためのパターンを含む、請求項1〜13のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンが形成された物品。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンを読み取る読み取り部と、
読み取った前記情報表現パターンの画像データに基づいて、該情報表現パターンに含まれた情報を出力する出力部と、
を備える情報出力装置。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれかに記載の情報表現方法で表される情報表現パターンを生成する制御部と、
生成した前記第1形状パターンと前記第2形状パターンと前記第3形状パターンとを媒体に形成する情報形成部と、
を備える情報表現装置。
【請求項1】
第1仮想円の中心を規定する第1形状パターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円内であって前記第1形状パターンを中心とした所定半径で規定される第2仮想円上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法。
【請求項2】
前記第3形状のパターンは、前記第1仮想円内であって前記第1形状パターンを中心とした複数の所定半径で規定される複数の第2仮想円上に配置される、請求項1に記載の情報表現方法。
【請求項3】
前記第3形状のパターンが配置される位置は、前記第2仮想円と、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角の仮想放射線と、の交点により規定される、請求項1又は2に記載の情報表現方法。
【請求項4】
前記第3形状のパターンが配置される位置は、前記第2仮想円と、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角おきに規定される複数の仮想放射線と、の交点により規定される、請求項1〜3のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項5】
各前記仮想放射線には1個の前記第3形状パターンが配置され、各前記仮想放射線における前記第3形状パターンの配置位置は前記含ませる情報に基づいて求められる、請求項4に記載の情報表現方法。
【請求項6】
各前記仮想放射線には同じ個数の前記第3形状パターンが配置され、各前記仮想放射線における前記第3形状パターンの配置位置は前記含ませる情報に基づいて求められる、請求項4に記載の情報表現方法。
【請求項7】
第1仮想円の中心を規定する第1形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円内であって前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角の仮想放射線上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法。
【請求項8】
前記第3形状のパターンは、前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを結ぶ仮想線分から所定中心角おきに規定される複数の仮想放射線上に配置される、請求項7に記載の情報表現方法。
【請求項9】
第1仮想円の中心を規定する第1形状パターンを配置することと、
前記第1仮想円上に第2形状のパターンを配置することと、
前記第1仮想円外であって前記第1形状パターンを中心とした所定半径で規定される第2仮想円上に、含ませる情報に基づいて求められた個数の第3形状のパターンを配置することと、
を含む、情報表現方法。
【請求項10】
前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンと前記第3形状のパターンは、それぞれ異なる形状のパターンである、請求項1〜9のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項11】
前記第1形状のパターンは前記第2形状のパターンより大きく、前記第2形状のパターンは前記第3形状のパターンより大きい、請求項1〜10のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項12】
前記第1形状のパターンは中心が同一のドットと円形のパターンとからなるパターンであり、前記第2形状のパターンは円形のパターンであり、前記第3形状のパターンはドットからなるパターンである、請求項1〜11のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項13】
前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンと前記第3形状のパターンは、それぞれ同じ形状の要素からなるパターンである、請求項1〜9のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項14】
前記第1形状のパターン及び前記第2形状のパターンの少なくともいずれか一方は、前記第1仮想円の半径方向の伸縮率を取得するためのパターンを含む、請求項1〜13のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンが形成された物品。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンを読み取る読み取り部と、
読み取った前記情報表現パターンの画像データに基づいて、該情報表現パターンに含まれた情報を出力する出力部と、
を備える情報出力装置。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれかに記載の情報表現方法で表される情報表現パターンを生成する制御部と、
生成した前記第1形状パターンと前記第2形状パターンと前記第3形状パターンとを媒体に形成する情報形成部と、
を備える情報表現装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−253440(P2011−253440A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128123(P2010−128123)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【特許番号】特許第4625139号(P4625139)
【特許公報発行日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(500521153)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【特許番号】特許第4625139号(P4625139)
【特許公報発行日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(500521153)
【Fターム(参考)】
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