説明

情報表示用パネルの製造方法および製造装置

【課題】強度および表示品質を向上させた情報表示用パネルの製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一方が透明な2枚の基板間の表示媒体を電気的に制御して駆動させて情報を表示する情報表示用パネルの製造方法において、下ステージ上に載置した一方の基板に形成された隔壁の上面に第1の接合材である接着剤を配置する工程と、前記2枚の基板の少なくとも一方の基板の外周部に第2の接合材であるシール材を配置する工程と、上ステージ上に載置した可撓性を有する基板を、前記第1の接合材である接着剤および前記第2の接合材であるシール材を介して、前記下ステージ上に載置された基板に対向させて載置する工程と、前記下ステージおよび前記上ステージによって、前記2枚の基板の全体を押圧する工程と、前記上ステージを前記2枚の基板と水平な方向に移動させる工程と、接合材硬化手段により、前記第1の接合材である接着剤および前記第2の接合材であるシール材を硬化させる工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の隔壁で形成されたセル内に配置した表示媒体を電気的に制御して駆動させて情報を表示する情報表示用パネルであって、2枚の基板のうち、少なくとも一方が可撓性を有する基板である情報表示パネルの製造方法およびその製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した情報表示用パネルの従来の製造方法としては、図7(a)に示すように、回転型ローラを基板に押し付けながら、基板の一端から他端まで移動させることにより、2枚の基板を貼り合わせる方法、また、図7(b)に示すように、基板以上の大きさの平板を基板全体に押し付けることにより、2枚の基板を貼り合わせる方法が開示されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−139569号公報
【特許文献2】実開平5−36425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一方の貼り合わせる側の基板(図7(a)で上側に配置されている基板)に樹脂製の可とう性基板を採用しようとすると、回転型ローラを用いた場合、回転型ローラと基板とは線により接触され、回転型ローラによる押圧力が基板全体に均一にかからないため、押圧力の弱い部分では接着剤による接着効果が十分に発現されないという問題、または、基板間距離(ギャップ)が不均一になるという問題が生じていた。
また、図7(b)に示すように平板を用いた場合、平板と基板とは面により接触されるものの、情報表示用パネルの基板が大きい場合や、情報表示用パネルの基板複数枚分の大きさを有するマザー基板により製造する場合のように、貼り合わせる対象となる基板が大きいと、該基板と同程度の大面積の平板全面に均一な圧力が掛かりにくくなる。すると、基板全体に均一な押圧力をかけることが困難となり、やはり、押圧力の弱い部分では接着剤による接着効果が十分に発現されないという問題、または、基板間距離(ギャップ)が不均一になるという問題が生じていた。
接着剤による接着効果が十分に発現されていないと、情報表示用パネルの強度(特に2枚の基板をともに可とう性を有する基板とした、全体がフレキシブルな情報表示用パネルの場合は曲げ強度)が低下するという問題につながってしまう。また、基板間距離が不均一になると、基板間にかかる電界が不均一となり、表示領域で表示媒体の駆動状態に差を生じてしまい、駆動しない表示媒体が部分的に存在し、表示コントラストがばらつく等、情報表示用パネルの表示品質の低下につながってしまう。
そこで、本発明は、上述した問題点を解消し、強度および表示品質を向上させた情報表示用パネルの製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の情報表示用パネルの製造方法は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間の隔壁で形成されたセル内に配置した表示媒体を電気的に制御して駆動させて情報を表示する情報表示用パネルであって、前記2枚の基板のうち、少なくとも一方が可撓性を有する基板である情報表示パネルの製造方法において、前記方法は、下ステージ上に載置した一方の基板に形成された隔壁の上面に第1の接合材である接着剤を配置する工程と、前記2枚の基板の少なくとも一方の基板の外周部に第2の接合材であるシール材を配置する工程と、
上ステージ上に載置した可撓性を有する基板を、前記第1の接合材である接着剤および前記第2の接合材であるシール材を介して、前記下ステージ上に載置された基板に対向させて載置する工程と、前記下ステージおよび前記上ステージによって、前記2枚の基板の全体を押圧する工程と、前記上ステージを前記2枚の基板と水平な方向に移動させる工程と、接合材硬化手段により、前記第1の接合材である接着剤および前記第2の接合材であるシール材を硬化させる工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0006】
本発明の情報表示用パネルの製造方法は、前記第2の接合材であるシール材が、前記上ステージ上に載置した背面側基板の外周部に配置されること、前記上ステージ上に、多孔質シートを介して載置した背面側基板を、前記第1の接合材である接着剤および前記第2の接合材であるシール材を介して、観察側基板に対向させて載置することが好適である。
【0007】
本発明の情報表示用パネルの製造装置は、透明な観察側基板と可撓性を有する背面側基板とからなる2枚の基板間の隔壁で形成されたセル内に配置した表示媒体を電気的に制御して駆動させて情報を表示する情報表示用パネルの製造装置において、前記装置は、観察側基板を載置する下ステージと、観察側基板に形成された隔壁の上面に第1の接合材である接着剤を配置する手段と、前記2枚の基板の少なくとも一方の基板の外周部に第2の接合材であるシール材を配置する手段と、背面側基板を、前記第1の接合材である接着剤および前記第2の接合材であるシール材を介して、観察側基板に対向させて、前記下ステージと協働して前記2枚の基板の全体を押圧するとともに、水平な方向に自身が移動する上ステージと、前記第1の接合材である接着剤および前記第2の接合材であるシール材を硬化させる接合材硬化手段と、を含むことを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】電気的に制御して駆動できる表示媒体として帯電性粒子を含んだ粒子群を用いた情報表示用パネルの一例を説明するための図である。
【図2】電気的に制御して駆動できる表示媒体として帯電性粒子を含んだ粒子群を用いた情報表示用パネルの他の例を説明するための図である。
【図3】電気的に制御して駆動できる表示媒体として帯電性粒子を含んだ粒子群を用いた情報表示用パネルの他の例を説明するための図である。
【図4】電気的に制御して駆動できる表示媒体として帯電性粒子を含んだ粒子群を用いた情報表示用パネルの他の例を説明するための図である。
【図5】本発明の情報表示用パネルの製造方法を説明するための図である。
【図6】本発明の情報表示用パネルの製造方法を説明するための図である。
【図7】従来の情報表示用パネルの製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本発明を用いて製造する情報表示用パネルのうち、電気的に制御して駆動できる表示媒体として帯電性粒子を含んだ粒子群を用いる情報表示用パネルの一例について説明する。
この情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間の空間に封入した表示媒体(粒子群)に電界が付与される。付与された電界方向に沿って、粒子群が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、粒子群が電界方向の変化によって移動することにより、画像等の情報表示がなされる。従って、粒子群が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示情報を書き換える時あるいは表示情報を継続して表示する時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。帯電性粒子を含んだ粒子群で構成した表示媒体は表示メモリー性を有するので、表示情報を書換えた後で給電を断っても表示情報が保持される。
まず、情報表示用パネルのうち、電気的に制御して駆動できる帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として用いる情報表示用パネルの例を、図1〜図4に基づき説明する。
【0010】
図1に示す例では、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セル7において、背面側の基板1に設けた電極5(ストライプ電極)と観察側の透明な基板2に設けた透明電極6(ストライプ電極)とが対向交差(好ましくは対向直交交差)して形成する画素電極対の間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と略垂直に移動させる。そして、図1(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を、あるいは、図1(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を、画素ごとに白黒を制御してドットマトリックス表示できるようにしている。ここでは、セルと画素(ドット)とが1対1に対応する例を示している。また、セル内を空気で満たしているが、他の気体で満たしたり、真空としたりしてもよい。また、絶縁液体を満たしてもよい。なお、隔壁4と基板1とは接着剤10を介して接着されている。
【0011】
図2に示す例では、少なくとも光学的反射率および帯電性を有する粒子を含んだ粒子群として構成した少なくとも2種類の表示媒体(ここでは負帯電性白色粒子3Waを含んだ粒子群として構成した白色表示媒体3Wと正帯電性黒色粒子3Baを含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体3Bを示す)を、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(TFT(薄膜トランジスタ)付き画素電極)と透明な基板2に設けた透明電極6(共通電極)との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2との間で略垂直に移動させる。そして、図2(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を、あるいは、図2(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を、画素ごとに白黒を制御してドットマトリックス表示できるようにしている。ここでは、セルと画素(ドット)とが1対1に対応する例を示している。また、セル内を空気で満たしているが、他の気体で満たしたり、真空としたりしてもよい。また、絶縁液体を満たしてもよい。なお、隔壁4と基板1とは接着剤10を介して接着されている。
【0012】
図3に示す例では、白色負帯電性粒子を含んだ粒子群である白色表示媒体3Wおよび黒色正帯電性粒子を含んだ粒子群である黒色表示媒体3Bを、透明な絶縁液体8とともにカプセル9内に封止したマイクロカプセル型の電気泳動方式(帯電粒子液体中移動方式)の情報表示用パネルとしている。この構成では、カプセル9が隔壁4の役割を果たすため、セルを形成するための隔壁は設けずに基板間距離を確保するための隔壁4を設けている。図示例では、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。2種の表示媒体を反転させて黒色表示媒体3Bを観察者に視認させれば黒色の表示をすることができる。画素ごとに白黒を制御してドットマトリックス表示することが可能である。電極の構成は図2の例と同様であるので、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0013】
図4に示す例では、白色負帯電性粒子を含んだ粒子群である白色表示媒体3Wを、青色絶縁液体である青色表示媒体8BLとともに、隔壁4で形成された各セル内に封止したマイクロカップ型の電気泳動方式(帯電粒子液体中移動方式)の情報表示用パネルとしている。図示例では、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。白色表示媒体3Wを基板1側に移動させた場合は、青色絶縁液体8BLを観察者に視認させて青色の表示をすることができる。画素ごとに白青を制御してドットマトリックス表示することが可能である。電極の構成は図2の例と同様であるので、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0014】
次に、図5を用いて、本発明の情報表示用パネルの製造方法を説明する。図1の構成の情報表示用パネルを例として示し、同一の部材に関しては、同一の参照符号を付してその説明を省略する。なお、図1の構成に限定されることはない。
最初に、図5(a)に示すように、平板状の下ステージ21上に載置した、すでに表示媒体が配置された可撓性を有する透明な観察側の基板2の隔壁4の上面、すなわち、可撓性を有する背面側の基板1に接続される面に熱硬化型の接着剤10(第1の接合材)を、ディスペンサーで配置する。ここでは、2枚の基板1、2をともに可撓性を有する基板としたが、下ステージ21上に載置される観察側の基板2は、可撓性を有さなくてもよい。
次に、図5(b)に示すように、基板2の外周部(表示媒体が配置された領域の外側)に熱硬化型のシール材11(第2の接合材)を、ディスペンサーで配置する。なお、接着剤10の配置と、シール材11の配置とはその順番を逆にしてもよい。
図5(a)(b)の工程と並行して、図5(c)に示すように、平板状の上ステージ22上に基板1を載置する。なお、図5(a)(b)と図5(c)との工程を並行して行うことにより、情報表示用パネルを効率的に製造することができるので好ましい。
次に、図5(d)に示すように、上ステージ22の吸着手段(図示せず)によって可撓性基板1を吸着しながら、上ステージ回転手段23によって上ステージ22を回転させ、可撓性基板1を基板2に対向させた後、上ステージ22を降下させ、接着剤10およびシール材11を介して2枚の基板を重ね合わせる。
次に、図5(e)に示すように、下ステージ21および上ステージ22の協働によって、基板1および基板2の全体を押圧する。また、接合材硬化手段の一例である加熱平板としての上ステージ22から加えた熱で接着剤10およびシール材11の硬化を始めて、基板1と基板2との接着を開始する。
次に、図5(f)に示すように、上ステージ22により基板1を押圧するとともに加熱しながら、上ステージ22を基板1と水平な方向に基板2の一端から他端まで移動させる。この間に接着剤10およびシール材11の硬化を進めさせて、基板1と基板2とを接着する。なお、上ステージ22を基板1上でスライドさせる前に、基板1の吸着を停止する。
【0015】
本発明の製造方法により、基板1の全面を押圧した後、基板1を押圧するとともに加熱しながら、上ステージ22を基板1上でスライドさせるため、隔壁4と基板1との間に配置された接着剤10を確実に硬化させて情報表示用パネルの強度を向上させるとともに、均一な基板間距離を確保して情報表示用パネルの表示品質を向上することができる。
基板1の全面を押圧および加熱している間に接着剤10の硬化を始め、基板1と基板2とを接着するとともに、上ステージ22を基板1上でスライドさせている間に接着剤10およびシール材11の硬化をさらに進めて、基板1と基板2とを接着するので、基板1が可撓性を有していても、可撓性基板1がよれたり、ずれたりするおそれはない。
図5(f)に示す上ステージ22による押圧力は、図5(e)に示す上ステージ22による押圧力よりも弱く設定することにより、可撓性基板1のよれ、ずれ等が防止できるので、より好ましい。
【0016】
次に、図6を用いて、本発明の情報表示用パネルの他の製造方法を説明する。図1の構成の情報表示用パネルを例として示し、同一の部材に関しては、同一の参照符号を付してその説明を省略する。なお、図1の構成に限定されることはない。
最初に、図6(a)に示すように、平板状の下ステージ21上に載置した、すでに表示媒体が配置された可撓性を有する透明な観察側の基板2の隔壁4の上面、すなわち、可撓性を有する背面側の基板1に接続される面に紫外線硬化型の接着剤10を、ディスペンサーで配置する。ここでは、2枚の基板1、2をともに可撓性を有する基板としたが、下ステージ21上に載置される観察側の基板2は、可撓性を有さなくてもよい。
図6(a)の工程と並行して、図6(b)に示すように、平板状の上ステージ22上に載置した基板1の外周部に紫外線硬化型のシール材11を、ディスペンサーで配置する。なお、図6(a)と図6(b)との工程を並行して行うことにより、情報表示用パネルを効率的に製造することができるので好ましい。
次に、図6(c)に示すように、上ステージ22の吸着手段(図示せず)によって可撓性基板1を吸着しながら、上ステージ回転手段23によって上ステージ22を回転させ、基板1を基板2に対向させた後、上ステージ22を降下させ、接着剤10およびシール材11を介して2枚の基板を重ね合わせる。
次に、図6(d)に示すように、下ステージ21および上ステージ22の協働によって、基板1および基板2の全体を押圧する。また、接合材硬化手段の一例である紫外線照射ユニット24によって紫外線を照射し、接着剤10およびシール材11を硬化させ、基板1と基板2との接着を開始する。
次に、図6(e)に示すように、上ステージ22により基板1を押圧しながら、上ステージ22を基板1と水平な方向に基板1の一端から他端まで移動させる。また、紫外線照射ユニット24によって紫外線を照射し、接着剤10およびシール材11の硬化を進めさせ、基板1と基板2とを接着する。なお、上ステージ22を基板1上でスライドさせる前に、基板1の吸着を停止する。
【0017】
本発明の製造方法により、基板1の全面を押圧した後、基板1を押圧しながら、上ステージ22を基板1上でスライドさせる間、紫外線照射を行うため、隔壁4と基板1との間に配置された接着剤10を確実に硬化させて情報表示用パネルの強度を向上させるとともに、均一な基板間距離を確保して情報表示用パネルの表示品質を向上することができる。
基板1の全面を押圧している間にシール材11の硬化を始め、基板1と基板2とを接着するとともに、上ステージ22を基板1上でスライドさせている間に接着剤10およびシール材11の硬化をさらに進め、基板1と基板2とを接着するので、基板1が可撓性を有していても、可撓性基板1がよれたり、ずれたりするおそれはない。
図6(e)に示す上ステージ22による押圧力は、図6(d)に示す上ステージ22による押圧力よりも弱く設定することにより、可撓性基板1のよれ、ずれ等が防止できるので、より好ましい。
図6の例では1個の紫外線照射ユニット24を用いているが、複数の紫外線照射ユニット24を用いて、基板1の外周部に配置したシール材11を一括して硬化させることもできる。
【0018】
上ステージ22となる平板の大きさは、シール材11を配置した領域が、完全に納まる面積以上の面積のものが好ましい。これにより、2枚の基板1、2を重ね合せた後、上ステージ22を、上面側の基板1の全面に亘って水平方向にスライド移動できるようになり、良好な基板貼り合せを達成できる。また、スライド移動時に先頭となる平板のエッジ部分は角部に丸みを付与すると、移動時に引っ掛かって基板1がずれたり、基板1を傷付けたりすることがないので好ましい。また、上ステージ22には、吸引による吸着手段が設けられていることが好ましい。これにより、一方の基板1を、他方の、下ステージ21に載置されている基板2に対して対面させても、基板1が上ステージ22から落ちないようにすることができる。
【0019】
また、上ステージ22上に、摺動性、耐摩耗性に優れた多孔質シートを介して可撓性を有する基板1を載置することが好ましい。多孔質シートを介することにより、上ステージ22を水平方向にスライド移動する際に、基板1に対する摺動性が向上するとともに、金属製の上ステージ22が基板1に直接当たることによって基板1を傷付けることを防止することができる。また、多孔質シートを用いることにより、上ステージ22の吸引による吸着手段によって基板1を確実に吸引吸着して、基板1を上ステージ22に固定することができる。
【0020】
多孔質シートとして、焼成法により、超高分子量ポリエチレン粉末の焼結多孔質成形体を作製し、これを切削することで実現した超高分子量ポリエチレン多孔質シートを用いることが好ましい。この多孔質シートは、耐摩耗性にすぐれ、摩擦係数の低い超高分子量ポリエチレンを多孔質化することで、優れた摺動性を発揮するものである。また、このような多孔質シートは、樹脂製の可撓性を有する基板1を用いた場合、滑る際の摩擦により基板1が帯電するのを防止する効果もあり、帯電した基板1が移動している上ステージ22にまとわりついて良好な貼り合せを阻害することを抑制するので好ましい。多孔質シートには、具体的には、サンマップLC−T(日東電工製)が好適に用いられる。
なお、多孔質シートの厚さは、50μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0021】
図5の例では、熱硬化型の接着剤10を、加熱平板である上ステージ22からの加熱により硬化させる例を説明し、接着剤10は、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤などのうち、少なくとも熱硬化が可能なタイプを用いることが好ましい。また、この場合も、接着剤10は、紫外線硬化成分も含み、紫外線硬化および熱硬化の二段階硬化が可能なものがより好ましい。
図6の例では、紫外線硬化型の接着剤10を、紫外線照射ユニット24からの紫外線により硬化させる例を説明し、接着剤10は、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤などのうち、少なくとも紫外線硬化が可能なタイプを用いることが好ましい。また、接着剤10は、熱硬化成分も含み、紫外線硬化および熱硬化の二段階硬化が可能なものがより好ましい。ただし、紫外線硬化型の接着剤10を用いた場合、紫外線を照射する側の基板は透明である必要がある。
【0022】
接着剤10を隔壁4の上面に配置する方法としては、シリンダーから押し出した接着剤10を隔壁4上に塗布するディスペンサー方式、ローラなどの表面に形成した接着剤10の層を隔壁4上に転写する転写方式やスクリーンを通して印刷するスクリーン印刷方式などを用いることができる。いずれの方式においても、隔壁4上に配置した接着剤10が隔壁4上から隔壁4側面に液だれしないようにする。
【0023】
シール材11を、情報表示用パネルの外周部に配置する方法としては、シリンダーから押し出したシール材11を基板1上に塗布するディスペンサー方式、ローラなどの表面に形成したシール材11の層を基板1上に転写する転写方式やスクリーンを通して印刷するスクリーン印刷方式などを用いることができる。配置したシール材11は、情報表示用パネルの外周領域を完全に囲まずに隙間を残すようにする。2枚の基板1、2を貼り合せる際に配置したシール材11で囲まれた領域内の気体や、接着剤10やシール材11が硬化する時に発生する反応ガスの逃げ道を確保して、シール材11が破損するのを防止するためである。この残されたシール材11の配置されていない部分は、パネルとした後、封口剤を配置して塞ぐ。封口剤にはシール材11と同一の材料を用いてもよいし、他の材料を用いてもよい。シール材11と同様に、外部環境から水分やガスが滲入しにくく、シール性に優れた材料を選んで用いる。例えば、エポキシ樹脂系接着剤を封口剤として用いることができる。
シール材11は、2枚の基板1、2を貼り合せた基板間距離よりも高くなるように配置する。基板間距離を30μm〜50μmにする場合には、シール材11は、100μm〜200μmの高さで配置する。配置されたシール材11が上述した範囲の高さを保持できるように、シール材11には適度な粘性を付与しておく。
【0024】
図1〜図6の例では、接着剤10を、背面側の基板1と隔壁4との間に塗布する例を説明したが、接着剤10を、観察側の基板2と隔壁4との間に塗布することもできる。
図5および図6の例では、上ステージ22を基板1の一端から他端までスライドさせる例を説明したが、上ステージ22は、少なくとも、基板1の一端から基板1の中央までスライドさせればよい。ただし、上ステージ22を基板1の一端から他端までスライドさせた後、さらに、基板1の他端から一端までスライドさせることにより、往復のスライドをさせると(ラミネート2回)、後述する実施例で確認したとおり、基板間距離のばらつきがより低減するので好ましい。
図5および図6の例では、1個の情報表示用パネルを製造する例を説明したが、複数個の情報表示用パネルを製造するためのマザー基板を使用しマザーパネルを製造する場合にも、本発明の方法を同様に適用することができる。
【0025】
以下、情報表示用パネルの各部材について説明する。
基板1、2は、ガラス基板であってもよいし、樹脂基板であってもよい。本発明の製造方法では、隔壁が形成された基板に対して貼り合わせる側の基板が可撓性を有する樹脂基板であっても好適に2枚の基板を貼り合わせることができるので、少なくとも一方の基板を可撓性樹脂基板で構成したい場合であってもこの可撓性樹脂基板を上ステージ側で取り扱うことで良好な貼り合わせが行なわれた情報表示用パネルを得ることができる。可撓性樹脂基板を上ステージ側で取り扱う場合、基板の厚さは、25μm〜2000μmの範囲が好ましく、可撓性樹脂基板の材料としてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)などの樹脂が好適に用いられる。観察側とする基板は、透明な材料で構成する必要がある。2枚の基板1、2をともに可撓性を有する(フレキシブルな)樹脂基板とすることにより、情報表示用パネル全体をフレキシブルに構成することができる。樹脂基板はガラス基板に比べて水分透過性が高いので、樹脂基板を、水分バリア性の高い材料層を積層した積層基板とすることが好ましい。水分バリア性の高い材料層としてはSiOx薄膜、ガラスフィルムなどが挙げられる。
下ステージ側で取り扱う基板は、厚さや材質に特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アクリル等の有機高分子材料シートやガラス基板、絶縁膜で表面を被覆した金属基板などを、厚さ25μm〜2000μmの範囲で用いることができる。全体を薄型で可撓性を有する情報表示用パネルとする場合には、厚さや材質を目的に応じて設計することになる。上記の材料を用いて、厚さを25μm〜500μmの範囲で、好ましくは25μm〜200μmの範囲で設計すれば、可撓性基板が得られる。
【0026】
情報表示用パネルにおけるセル開口の大きさは、長方形であれば、1辺の長さが50μm〜1000μm程度、好ましくは100μm〜300μm程度であり、ハニカム(六角形)形状の場合は、向かい合う頂点の距離が100μm〜1000μm程度、好ましくは100μm〜300μm程度である。
基板間空間をセルに仕切るための隔壁4の配置は格子状、ハニカム状、網目状などにすることができる。セルの横断面形状は、四角形、三角形、六角形、階段型八角形等の多角形や、円形、楕円形、レーストラック形等いずれでも良いし、複数の形状を組み合わせても良い。非表示部となる隔壁の占める割合を小さくできる点からは四角形、階段型八角形や六角形が好ましく、表示媒体を構成する粒子を移動しやすくできる点からは曲線を有する形状が好ましい。前記二つの点から角丸付きの四角形や角丸付きの六角形、角丸付きの階段型八角形が好ましく用いられる。
隔壁4の形成材料としては、レジスト材が好適であり、液状レジスト材やドライフィルムレジスト材を用いて、フォトリソグラフィー技術で隔壁を形成することができる。ドライフィルムレジスト材の一例として、アルフォNIT2(ニチゴーモートン社製)やPDF300(新日鐵化学社製)を使用することができる。
【0027】
必要に応じて配置する電極用の導電膜としては、観察側の基板2の透明な情報表示画面領域には透明な導電膜を設ける必要があり、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化インジウム、亜鉛添加酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の透明導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、poly (3, 4-ethylenedioxythiophene)-poly-(styrenesulfonate)(PEDOT:PSS)等のポリチオフェン類などの透明導電性高分子類で形成した導電膜が挙げられ、必要に応じてパターニングして用いる。
情報表示画面領域外や背面側の基板1に設ける電極用の導電膜は透明であってもよいし、透明でなくてもよく、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、酸化インジウム、亜鉛添加酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、poly (3, 4-ethylenedioxythiophene)-poly-(styrenesulfonate)
(PEDOT:PSS)等のポリチオフェン類などの導電性高分子類や、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の金属や、これらの金属を主成分とする合金が挙げられ、必要に応じてパターニングして用いる。
【0028】
電極用の導電膜の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や金属箔(例えば圧延銅箔)をラミネートする方法、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。パターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、観察側基板の透明な情報表示画面領域に設ける透明な導電膜の厚さは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、0.01μm〜10μmが好ましく、0.05μm〜5μmがより好ましい。また、情報表示画面領域外や背面側基板に設ける導電膜の厚さは、導電性が確保できれば良く、0.01μm〜10μmが好ましく、0.05μm〜5μmがより好ましい。
透明導電膜として好適なITO等の金属酸化物系材料は、金属材料に比べて可とう性が小さい。ITO等の金属酸化物系材料でライン状の導電膜を構成する場合には、透明導電膜中での断線防止のため、金属細線と併用することが好ましい。この金属細線の幅は、1μm〜10μmとすれば表示視認性の妨げとならないので好ましい。情報表示画面領域外や背面側基板に設ける導電膜は光透過性を考慮する必要がないので電気抵抗が小さく、可とう性にも優れた前記金属材料が好適に用いられる。また、情報表示画面領域外や背面側基板に設ける導電膜の厚さは電気抵抗および生産性、コストの観点から、0.01μm〜10μmに設計される。
【0029】
情報表示用パネルの表示媒体として帯電性粒子を用いる場合には、帯電性粒子は平均粒子径d(0.5)が、1μm〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
【0030】
さらに、粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、帯電性粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体としての移動が可能となる。
【0031】
さらにまた、帯電極性の異なる2種類の帯電性粒子を表示媒体として使用する場合には、平均粒子径d(0.5)が大きい帯電性粒子の平均粒子径d(0.5)に対する、平均粒子径d(0.5)が小さい帯電性粒子の平均粒子径d(0.5)の比を10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電極性の異なる帯電性粒子が動くので、互いの粒子サイズを同程度にすることで表示媒体として容易に移動できるようになるので好適であり、それがこの範囲となる。
【0032】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0033】
さらに、帯電性粒子を含んだ粒子群として構成する表示媒体を気体中(真空中を含む)空間で駆動させる方式とする場合には、基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図1、図2において、対向する基板1、2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板の内側に設けた場合)、表示媒体3の占有部分、隔壁4の占有部分、パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるようにパネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0034】
また、基板間の気体中(真空中を含む)空間における表示媒体の体積占有率は5%〜70%が好ましく、さらに好ましくは5%〜60%である。70%を超える場合には表示媒体としての粒子の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれだけに限定されるものではない。
発明例および比較例の情報表示用パネルとして、図1に示す構造であって、表示画面の対角サイズが4インチの情報表示用パネルを用意した。なお、情報表示用パネルが6枚取れるマザー基板を使用しマザーパネルを作製した後、このマザーパネルを分断して情報表示用パネルを6枚得る方法で作製した。背面側の基板1および観察側の基板2ともに、一方の面にITOストライプ電極が形成された、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いて構成した。
背面側の基板1となる、一方のマザー基板の表示画面領域には、表示媒体とする粒子群を収納するセル(300μm×300μm)を形成するために、高さ50μmの隔壁4を幅20μmで正方格子状に設けた。この隔壁4は、厚さ50μmのフォトレジストドライフィルムPDF300(新日鐵化学社製)を用いてフォトリソグラフィー法を用いて形成した。このセルの中に表示媒体とする後述の2種類の粒子群を配置し、この隔壁の上にエポキシ系接着剤CML−61(協立化学産業(株)製)をディスペンサーで塗布してから貼り合せ工程を実施した。
観察側の基板2となる、他方のマザー基板には、各情報表示用パネルの外周に対応する領域にシール材11を厚さ約100μmで配置しておいたものを用いた。シール材11には、水素添加型スチレンブタジエンゴム(水添SBRと称する)を用いた。水添SBRは、下記化1〜化4で示される構造の化合物を主成分として含んだ紫外線硬化型および熱硬化型の二段階硬化型のシール性材料である。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【0036】
発明例1−1〜1−6は、本発明の製造方法(平板移動方式)により、紫外線照射ユニットを備えている製造装置を用い、多孔質シートの有無および多孔質シートの厚さを変化させて製造した。
発明例2−1〜2−6は、本発明の製造方法(平板移動方式)により、上ステージが加熱平板を備えている製造装置を用い、多孔質シートの有無および多孔質シートの厚さを変化させて製造した。
発明例3−1〜3−6、4−1〜4−6は、発明例1−1〜1−6に示した方法と同様の方法で、それぞれラミネート回数を1回(発明例3−1〜3−6)、ラミネート回数を2回(発明例4−1〜4−6)として実行した。以下、発明例の情報表示用パネルの製造方法を説明する。
【0037】
(発明例1−1〜1−6)
(I)貼り合せ装置の下ステージ21に、隔壁4上にディスペンサーで接着剤10が塗布され、セル内に表示媒体となる粒子群が配置されたマザー基板をセットした。この下ステージ21には吸引式吸着装置が設けられており、マザー基板を吸引吸着して下ステージ21に固定した。貼り合せ装置の上ステージ22に、シール材11が配置されたマザー基板をセットした。この上ステージ22には吸引式吸着手段が設けられており、マザー基板を吸引吸着して上ステージ22に固定した。下ステージ21は大きさが330mm×350mmであり、上ステージ22は大きさが252mm×300mm、材質はともにステンレス鋼(SUS)である。
(II)下ステージ21に固定されたマザー基板と、上ステージ22に固定されたマザー基板とを互いに対面させた後、上ステージ22を所定の位置まで水平にしたまま下ろして2枚のマザー基板位置をアライメントした。さらに上ステージ22を水平にしたまま下げて、2枚のマザー基板をプレスして重ねた。その後、上ステージ22の吸着をはずし、上ステージ22を2mm/secのスピードで水平方向にスライド移動させて貼り合せ工程を実行した。上ステージ22を水平にしたまま下げて、2枚のマザー基板をプレスして重ねるのと同時に、紫外線照射ユニット24からの紫外線(UV)照射を開始して接着剤10およびシール材11を硬化させ始め、その後、上ステージ22の吸着をはずし、上ステージ22を水平方向にスライド移動させている間も紫外線照射ユニット24からの紫外線(UV)照射を続けて貼り合わせ工程(一次貼り合せ)を終了した。
(III)その後、加熱加圧装置(オートクレーブ)を用いて、110℃、0.17MPaで、接着剤10およびシール材11の硬化を完了させる貼り合せ工程(二次貼り合せ)を終了した。作製したマザーパネルを分断して6枚の情報表示用パネルを得た。
【0038】
(発明例2−1〜2−6)
上述した(I)の後、下ステージ21に固定されたマザー基板と、上ステージ22に固定されたマザー基板とを互いに対面させた。そして、上ステージ22を所定の位置まで水平にしたまま下ろして2枚のマザー基板位置をアライメントした後、さらに上ステージ22を水平にしたまま下げて、2枚のマザー基板をプレスして重ねた。その後、上ステージ22の吸着をはずし、上ステージ22を2mm/secのスピードで水平方向にスライド移動させて貼り合せ工程を実行した。上ステージ22は加熱型平板となっており、この上ステージからの熱で接着剤10およびシール材11を硬化させ始め、その後、上ステージ22の吸着をはずし、上ステージ22を水平方向にスライド移動させている間も上ステージ22からの加熱を続けて貼り合わせ工程(一次貼り合せ)を終了した。
その後、上述した(III)を行った。
【0039】
比較例1−1は、図7(a)に示す従来の製造方法(ローラ移動方式)により製造した。具体的には、上述した(I)の後、下ステージ21に固定されたマザー基板と、上ステージ22に固定されたマザー基板とを互いに対面させた。そして、上ステージ22を所定の位置まで水平にしたまま下ろして2枚のマザー基板位置をアライメントした後、さらに上ステージ22を水平にしたまま下げて、2枚のマザー基板をプレスして重ねた。2枚のマザー基板を重ねた後、上ステージ22の吸着をはずし、上ステージ22を移動させてマザー基板から外した。次に、回転型ローラ(Φ28mm、材質:シリコーンゴム、JIS−A硬度90°)を基板2となる上面のマザー基板に押し当てながら2mm/secのスピードで水平方向に移動させて貼り合せ工程を実行した。回転型ローラを水平方向に移動させるのと同時に、紫外線照射ユニット24からの紫外線(UV)照射を開始して接着剤10およびシール材11を硬化させ始め、回転型ローラの移動の終了とともに貼り合わせ工程(一次貼り合せ)を終了した。
その後、上述した(III)を行った。
【0040】
比較例1−2は、図7(b)に示す従来の製造方法(平板押圧方式)により製造した。具体的には、上述した(I)の後、下ステージ21に固定されたマザー基板の上に、もう一方のマザー基板を、アライメントをとって載せ、平板を加熱していない上ステージ22を下ろして2枚のマザー基板をプレスして重ねた。2枚のマザー基板をプレスした後、上ステージ22を上昇させ、貼り合わされたマザーパネルを別の場所に移動させて、紫外線照射ユニット24からの紫外線(UV)照射を行い、接着剤10およびシール材11を硬化させて貼り合わせ工程(一次貼り合せ)を終了した。
その後、上述した(III)を行った。
【0041】
比較例2−1は、図6(a)に示す従来の製造方法(ローラ移動方式)により製造した。具体的には、上述した(I)の後、下ステージ21に固定されたマザー基板と、上ステージ22に固定されたマザー基板とを互いに対面させた。そして、上ステージ22を所定の位置まで水平にしたまま下ろして2枚のマザー基板位置をアライメントした後、さらに上ステージ22を水平にしたまま下げて、2枚のマザー基板をプレスして重ねた。2枚のマザー基板を重ねた後、上ステージ22の吸着をはずし、上ステージ22を移動させてマザー基板から外した。次に、表面が加熱層となっている回転型ローラ(Φ28mm、材質:シリコーンゴム、JIS−A硬度90°)を加熱した状態で、基板2となる上面のマザー基板に押し当てながら2mm/secのスピードで水平方向に移動させて貼り合せ工程を実行した。回転型ローラの移動の終了とともに貼り合わせ工程(一次貼り合せ)を終了した。
その後、上述した(III)を行った。
【0042】
比較例2−2は、図6(b)に示す従来の製造方法(平板押圧方式)により製造した。具体的には、上述した(I)の後、下ステージ21に固定されたマザー基板の上に、もう一方のマザー基板を、アライメントをとって載せた、平板を加熱した上ステージ22を下ろして2枚のマザー基板をプレスして重ねた。2枚のマザー基板をそのまま1分間プレスして、接着剤10およびシール材11を硬化させて貼り合わせ工程(一次貼り合せ)を終了した。
その後、上述した(III)を行った。
【0043】
なお、発明例および比較例において、以下に説明する黒色粒子群および白色粒子群を用いた。
(黒色粒子群)
メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40重量部(約25mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、及び、黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5重量部をサンドミルにより分散させ、(アクリル系及びメタクリル系)樹脂−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディパーF600:日本油脂製)5重量部を溶解させた後、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いて平均粒子径9.2μmの正帯電性黒色粒子群を得た。この黒色粒子群を黒色表示媒体として用いた。
【0044】
(白色粒子群)
ポリメチルペンテンポリマー(TPX−R18;三井化学社製)100重量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR−90:石原産業社製)100重量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部とを2軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS−LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS−2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR−10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化して得た、平均粒子径が、9.5μmの負帯電性の白色粒子群を得た。この白色粒子群を白色表示媒体として用いた。
【0045】
(曲げ強度試験)
発明例1−1〜1−6、2−1〜2−6および比較例1−1、1−2、2−1、2−2において作製した情報表示用パネルについて、曲げ強度試験を以下の手順により行った。
(1)間隔可変式の保持具に情報表示用パネルを装着する。
(2)保持具の一方を、パネル長の66%まで移動させて情報表示用パネルを曲げた後、また、元の位置に戻して、情報表示用パネルを元に戻す。
(3)上記(2)の工程を10回繰り返し、基板において、接着剤接合面やシール材接合面にはがれが生じていないかどうかを目視で観察する。
(4)発明例および比較例の各々について、18枚の情報表示用パネルを製造し、そのうち、不具合が生じた枚数を、発明例1−1〜1−6、比較例1−1、1−2については、表1の結果に示し、発明例2−1〜2−6、比較例2−1、2−2については、表2の結果に示す。
【0046】
表1および表2より、発明例では、曲げ強度試験後に不具合が発生したものはなく、本発明の製造方法により、曲げ強度が向上したことが確認できた。なお、ラミネート回数は曲げ強度には影響しなかった。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
(基板間距離のばらつきの測定)
発明例3−1〜3−6、4−1〜4−6について、6枚の情報表示用パネルを製造し、各情報表示用パネルのそれぞれについて、対角の四隅および中央の計5箇所の基板間距離を測定した。
基板間距離の測定には膜厚測定器FF8(システムロード社製)を用いた。基板間距離の測定結果および上記5箇所における基板間距離の測定結果のばらつき(σ)を表3に示す。
【0050】
表3より、ラミネート回数を2回とした発明例4−1〜4−6について、ラミネート回数を1回とした発明例3−1〜3−6より、基板間距離のばらつきが減少していることが分かる。
【0051】
【表3】

【符号の説明】
【0052】
1 基板
2 基板
3W 白色表示媒体
3Wa 白色粒子
3B 黒色表示媒体
3Ba 黒色粒子
4 隔壁(スペーサー)
5 電極
6 電極
7 セル
8 絶縁液体
8BL 青色絶縁液体
9 カプセル
10 接着剤
11 シール材
21 下ステージ
22 上ステージ
23 上ステージ回転手段
24 紫外線照射ユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明な2枚の基板間の隔壁で形成されたセル内に配置した表示媒体を電気的に制御して駆動させて情報を表示する情報表示用パネルであって、
前記2枚の基板のうち、少なくとも一方が可撓性を有する基板である情報表示パネルの製造方法において、
前記方法は、
下ステージ上に載置した一方の基板に形成された隔壁の上面に第1の接合材である接着剤を配置する工程と、
前記2枚の基板の少なくとも一方の基板の外周部に第2の接合材であるシール材を配置する工程と、
上ステージ上に載置した可撓性を有する基板を、前記第1の接合材である接着剤および前記第2の接合材であるシール材を介して、前記下ステージ上に載置された基板に対向させて載置する工程と、
前記下ステージおよび前記上ステージによって、前記2枚の基板の全体を押圧する工程と、
前記上ステージを前記2枚の基板と水平な方向に移動させる工程と、
接合材硬化手段により、前記第1の接合材である接着剤および前記第2の接合材であるシール材を硬化させる工程と、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記第2の接合材であるシール材が、前記上ステージ上に載置した背面側基板の外周部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記上ステージ上に、多孔質シートを介して載置した背面側基板を、前記第1の接合材である接着剤および前記第2の接合材であるシール材を介して、観察側基板に対向させて載置することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項4】
透明な観察側基板と可撓性を有する背面側基板とからなる2枚の基板間の隔壁で形成されたセル内に配置した表示媒体を電気的に制御して駆動させて情報を表示する情報表示用パネルの製造装置において、前記装置は、
観察側基板を載置する下ステージと、
観察側基板に形成された隔壁の上面に第1の接合材である接着剤を配置する手段と、
前記2枚の基板の少なくとも一方の基板の外周部に第2の接合材であるシール材を配置する手段と、
背面側基板を、前記第1の接合材である接着剤および前記第2の接合材であるシール材を介して、観察側基板に対向させて、前記下ステージと協働して前記2枚の基板の全体を押圧するとともに、水平な方向に自身が移動する上ステージと、
前記第1の接合材である接着剤および前記第2の接合材であるシール材を硬化させる接合材硬化手段と、
を含むことを特徴とする製造装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−168447(P2012−168447A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30937(P2011−30937)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】