説明

情報読取装置

【目的】従来に比べて大きな高さを有した情報読取り開口がガイド部の一方の側壁に形成された情報読取装置において、ガイド部に挿入されたシート状の情報記録媒体をガイド部中を走行させられている間に上記媒体の走行方向前縁が情報読取り開口に引っ掛かけることがなく、これによる上記媒体の破損や上記媒体からの情報の読み取り不可能を防止することである。
【構成】バーコード付きカード40をスリット状にした案内溝42内に走行させ、カードに記録されている情報を案内溝内に形成された情報読取り開口44中に具備された結像装置50a,50bによって読取る情報読取装置であって、案内溝中の情報読取り開口において案内溝内を走行するカードの走行方向の前方側に位置する縁45bの形状を案内溝内を走行するカードの前縁が2点以上で同時に接触することを防止する形状としたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、シート状の情報記録媒体をスリット状にしたガイド部内に走行させ、情報記録媒体に記録されている情報をガイド部内に形成された開口中に具備された読取部によって読取る情報読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上述した如き情報読取装置は、例えば実開平4−74363号公報により知られている。この公報により知られている情報読取装置は、カード上に記されたバーコードからバーコード情報を読み取る為の固定設置式のカード読取装置である。
【0003】図9の(A)には、この従来の情報読取装置10の外観が示されている。情報読取装置10の外装ハウジング12にはスリット状のガイド部14が形成されていて、ガイド部14の一方の側壁には外装ハウジング12中に内蔵された図示しないバーコード読取り装置の為のバーコード読取り開口16が形成されている。
【0004】図9の(B)には、図9の(A)の情報読取装置10においてバーコード情報が読み取られるバーコード18が記されたカード20が示されている。バーコード18はカード20の表面の所定の位置において情報読取装置10のガイド部14中でのカード20の所定の走行方向にバーコード読み取り方向を合致させている。
【0005】この従来の情報読取装置10でバーコード情報が読み取られるバーコード18はいわゆる一次元バーコードであり、バーコード読み取り方向において一列に配置されたバーとスペースの種々の組み合わせにより構成されている。このような一次元バーコードを読み取る為のバーコード読取り開口16の高さは一次元バーコードの高さの範囲内にあれば良く、非常に小さい。
【0006】このため情報読取装置10のガイド部14に挿入されるカード20が高さ方向においてバーコード読取り開口16の側に凸に湾曲していたり、あるいは走行方向においてバーコード読取り開口16の側に凹に湾曲していたりしても、カード20がガイド部14中を走行させられている間にカード20の走行方向前縁がバーコード読取り開口16に引っ掛かることはなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年では、図8の(A)に示す如く、身分証明用の個人写真22が添付されたり、その他の所定の図案が記されたカード24が出現しており、このようなカード24では個人写真22や所定の図案を損なうことがないようカード24上の種々の位置(実線以外に例えば2点鎖線で示す如く)にバーコード18を配置することが求められている。
【0008】また図8の(B)に示す如く、バーコード読み取り方向において複数列に配置されたバーとスペースの種々の組み合わせにより構成されているいわゆる二次元バーコード26も出現しており、二次元バーコード26が記されたカード28もまた出現している。
【0009】二次元バーコード26は種々の形式が提案されているが、例えばPDF417と呼ばれる二次元バーコードは日本工業出版株式会社が発行している雑誌である「月刊バーコード」の1992年7,8,9月号に「本格的な二次元バーコード」と題されて菊池貞夫氏により紹介されている。
【0010】図8の(A)に示された個人写真22が添付されたり所定の図案が記されて種々の位置にバーコード18が配置されたカード24からバーコード情報を読み取る際には、バーコード18の種々の位置に対応してバーコード読取り開口がガイド部の一方の側壁に形成されている種々の情報読取装置を準備することは非効率的であり、カード24の高さに略匹敵する高さを有したバーコード読取り開口をガイド部の一方の側壁に形成した一種類の情報読取装置のみを準備して種々の位置にバーコード18が配置されたカード24からバーコード情報を読み取ることが望まれる。
【0011】また図8の(B)に示された二次元バーコード26が記されたカード28からバーコード情報を読み取る為にも、二次元バーコード26の高さに略匹敵する高さを有したバーコード読取り開口をガイド部の一方の側壁に形成した情報読取装置を準備する必要がある。
【0012】しかしながら、このように前述した従来に比べて比較的大きな高さを有したバーコード読取り開口がガイド部の一方の側壁に形成された情報読取装置では、情報読取装置のガイド部に挿入されるカードが高さ方向においてバーコード読取り開口の側に凸に湾曲していたり、あるいは走行方向においてバーコード読取り開口の側に凹に湾曲していたりすると、カードがガイド部中を走行させられている間にカードの走行方向前縁がバーコード読取り開口に引っ掛かりカードが破損したりバーコード情報の読み取りを行うことが出来なくなってしまうことがある。
【0013】この発明は上記事情の下でなされ、この発明の目的は、従来に比べて比較的大きな高さを有したバーコード読取り開口の如き情報読取り開口がガイド部の一方の側壁に形成された情報読取装置においても、ガイド部に挿入されたバーコード付きカードの如きシート状の情報記録媒体をガイド部中を走行させられている間に情報記録媒体の走行方向前縁が情報読取り開口に引っ掛かけることがなく、これによる情報記録媒体の破損や情報記録媒体からの情報の読み取り不可能を防止することが出来る情報読取装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従った情報読取装置は、シート状の情報記録媒体をスリット状にしたガイド部内に走行させ、情報記録媒体に記録されている情報をガイド部内に形成された開口中に具備された読取部によって読取る情報読取装置であって、ガイド部内に形成された開口においてガイド部内を走行する情報記録媒体の走行方向の前方側に位置する縁の形状をガイド部内を走行する情報記録媒体の前縁が2点以上で同時に接触することを防止する形状とした、ことを特徴としている。
【0015】
【作用】上述した如く構成されたことを特徴としているこの発明に従った情報読取装置では、ガイド部内に形成された開口においてガイド部内を走行する情報記録媒体の走行方向の前方側に位置する縁の形状がガイド部内を走行する情報記録媒体の前縁が2点以上で同時に接触することを防止することにより、情報記録媒体の走行方向前縁が上記開口に引っ掛かることを防止している。
【0016】
【実施例】以下、この発明の種々の実施例を添付の図面中の図1乃至図7を参照して詳細に説明する。図1の(A)にはこの発明の一実施例に従った情報読取装置の平面図が覆いを取り除いた状態で概略的に示されており、図1の(B)には図1の(A)の情報読取装置において使用され情報読取り開口が形成された情報記録媒体案内板の正面図が示されており、そして図2には図1の(A)の線II−IIに沿った情報読取装置の縦断面が概略的に示されている。
【0017】上記一実施例の情報読取装置30の外装ハウジング32の上面の左右両端部からは1対の側壁が34,36が上方に向かい突出されており、上記上面で一方の側壁34から所定距離だけ他方の側壁36に接近した位置には情報記録媒体案内板38が上方に向かい突出した状態で例えば固定ねじ39により固定されている。
【0018】一方の側壁34及び情報記録媒体案内板38の夫々の相互に対向した対向表面34a,38aは平行状態で所定距離Dだけ相互に離間しており、これらの間にバーコード付きのカード40が挿入され走行されるスリット状の案内溝42を構成している。
【0019】カード40上のバーコードは前述した二次元バーコードまたは一次元バーコードであり、一次元バーコードの場合にはカード40は図8の(A)に示された如く個人写真22が添付されたり所定の図案が記されてこれらを損なわぬよう種々の高さ方向位置に一次元バーコードが配置されたカードである。
【0020】案内溝42の底面は平坦であり、カード40が挿入される一方の入口を構成している一方の側壁34の対向表面34aの一方の側縁及び情報記録媒体案内板38の対向表面38aの一方の側縁はカード40の挿入を容易とするよう面取りされている。
【0021】案内溝42に上記一方の入口から挿入されたカード40は図2に良く示す如く案内溝42の底面上で一方の側縁を摺動させながら人力により案内溝42中を走行される。
【0022】情報記録媒体案内板38の対向表面38aの中央部には等脚台形状の情報読取り開口44が形成されている。情報記録媒体案内板38が外装ハウジング32の上面の所定に固定されている状態でのスリット状の案内溝42の底面から情報読取り開口44の上端までの高さHは、案内溝42に挿入され上述した如く案内溝42中を走行されるカード40上の上記摺動する一方の側縁からの二次元バーコードの高さH´[図8の(B)参照]または一次元バーコードが配置される種々の高さ方向位置の範囲H´´[図8の(A)参照]よりも僅かに広く設定されている。
【0023】これによりカード40上の二次元バーコードまたは種々の高さ方向位置に配置される一次元バーコードはカード40が案内溝42に挿入され上述した如く案内溝42中を走行される際には必ず全体が情報読取り開口44を通過し、二次元バーコード及び一次元バーコードの読取り方向はカード40の上記走行方向である。
【0024】図1の(A)及び(B)によく示す如く、情報読取り開口44の上下方向に延出した1対の側縁45a,45bは対向表面38a側の周囲が僅かに面取りされていて、また対向表面38aとは反対側における上記1対の側縁45a,45bの周囲は大きく面取りされており、さらに1対の側縁45a,45bの夫々の稜線は丸められてなだらかな曲面にされている。
【0025】外装ハウジング32の上面上で情報記録媒体案内板38と他方の側壁36との間には、情報読取り開口44の1対の側縁45a,45bの近傍において夫々が上下方向に複数の発光素子(LED)46を保持した1対の照明装置48が配置されている。1対の照明装置48の夫々の複数の発光素子(LED)46は対応する上記側縁45a,45bの大きな面取りに沿い情報読取り開口44に光を照射しており、1対の照明装置48からの光はカード40の上記走行方向における情報読取り開口44の中心を通過して上下方向に伸びる高さ方向中心線に沿い万便なく配光される。
【0026】即ち、情報読取り開口44を通過する際にカード40上の二次元バーコードまたは一次元バーコードは必ず1対の照明装置48により照明される。外装ハウジング32の上面上で情報記録媒体案内板38と他方の側壁36との間には、情報読取り開口44に対応してバーコード結像装置のレンズ50a及び上下方向に延出した細長い光センサ50bが配置されており、このバーコード結像装置は少なくとも案内溝42の幅Dを含む範囲内に焦点深度を有している。
【0027】従って案内溝42中を前述した如く走行するカード40が情報記録媒体案内板38の対向表面38aに摺接している場合でも一方の側壁34の対向表面34aに摺接している場合でもカード40上の二次元バーコードまたは一次元バーコードが情報読取り開口44を通過する際に、細長い光センサ50b上に1対の照明装置48に照明された二次元バーコードまたは一次元バーコードからの反射光を受光させることが出来、これにより細長い光センサ50bは受光した反射光の濃淡(即ち、二次元バーコードまたは一次元バーコードのパターン)に対応したバーコードパターン対応電気信号を発する。
【0028】なおこのようなバーコード結像装置の構成は広く知られており、これ以上の説明は省略する。外装ハウジング32の上面上で1対の照明装置48やバーコード結像装置のレンズ50a及びた細長い光センサ50bが配置されている領域は通常は図2に示す如く開閉自在な覆い49に外部空間から遮蔽されている。
【0029】上述した実施例においては、情報読取装置30の案内溝42に挿入されるカード40が高さ方向において情報読取り開口44の側に凸に湾曲していたり、あるいはカード40の走行方向において情報読取り開口44の側に凹に湾曲していたりしても、カード40の走行方向において前方に位置している情報読取り開口44の一方の側縁45bがカード40の走行方向前縁に対して傾斜しているので、カード40の走行方向前縁は情報読取り開口44の一方の側縁45bと常に一点でしか当接せず、よって上記走行方向前縁は一方の側縁45bに食い込んで引っ掛かることがなく、これによるカード40の破損やカード40の二次元バーコードまたは一次元バーコードからの情報の読み取り不可能を防止することが出来る。
【0030】この利点はカード40がいわゆるテレホンカードのように比較的厚さが薄い場合に特に有効である。またさらに、一方の側縁45bの対向表面38a側の小さな面取りは上記引っ掛かりをさらに良く阻止することが出来、カード40がいわゆるテレホンカードよりもさらに薄いペラペラのシート状であった場合に特に有効である。
【0031】上述した実施例の如く案内溝42中におけるカード40の走行方向が一定している場合には、少なくともカード40の走行方向において前方に位置している情報読取り開口44の一方の側縁45bのみがカード40の走行方向前縁に対して傾斜していれば良く、他方の側縁45aは垂直に延出していても良い。
【0032】なお図1の(B)に示す如く情報読取り開口44の両方の側縁45a,45bがカード40の走行方向前縁に対して傾斜していれば、カード40を上述したのとは反対の方向において案内溝42中を走行させた場合にも上述したのと同じ効果を得ることが出来る。
【0033】図3の(A)及び(B)には、図1の(B)の情報記録媒体案内板38の変形例の正面図及び平面図が示されている。この変形例の情報記録媒体案内板38´は、図1の(B)の情報記録媒体案内板38と比較して情報読取り開口44の正面形状が上下逆であることのみが異なるだけである。この場合にも、上述した一実施例の情報記録媒体案内板38と同じ効果を得ることが出来る。
【0034】さらにこの他には、図1の(B)の情報記録媒体案内板38の情報読取り開口44の1対の側縁45a,45bの夫々の正面形状を小さな曲率を有した弧の一部により形成することも出来るし、案内溝42内を走行するカード40の走行方向の前方側に位置する側縁45aまたは45bの形状は案内溝42内を走行するカード40の走行方向前縁が2点以上で同時に接触することを防止する形状であればどのような形状とすることも出来る。
【0035】図4の(A)及び(B)には、この発明の第2の実施例に従った情報読取装置において使用される情報記録媒体案内板51の正面図及び平面図が示されている。
【0036】第2の実施例の構造は情報記録媒体案内板51を除き図1及び図2に示されていた第1の実施例の情報読取装置30の構造と同じであり、よって第2の実施例については情報記録媒体案内板51の構造のみを以下に詳細に説明する。において前述の情報記録媒体案内板38に代わり使用される情報記録媒体案内板この実施例の情報記録媒体案内板51においてカード40の走行方向における中央部に形成されている情報読取り開口52は正面形状が縦長の長方形状をしており、よつて上記走行方向における1対の側縁54a,54bが略垂直方向に相互に平行に延出している。
【0037】1対の側縁54a,54bにおいて、図1の(A)や図2に示されているバーコード結像装置のレンズ50a及び細長い光センサ50bの側の周囲は前述の情報記録媒体案内板38の場合と同様に、図1の(A)や図2に示されている1対の照明装置48の為に比較的大きく面取りされているが、図1の(A)や図2に示されている情報読取装置30の外装ハウジング32の一方の側壁34側の周囲は前述の情報記録媒体案内板38の場合とは異なり全く面取りされていない。
【0038】情報読取り開口52の高さIは、図1の(A)や図2に示されている情報読取装置30の外装ハウジング32のスリット状の案内溝42の底面に摺接した際のカード40上の二次元バーコードBCの上縁から下縁までの高さ、またはカード40上ので一次元バーコードが配置される種々の高さ方向位置の範囲I´よりも僅かに大きく設定されている。
【0039】情報読取り開口52の上縁の上方及び下縁の下方には図1の(A)や図2に示されている情報読取装置30の外装ハウジング32のスリット状の案内溝42中に突出した1対のカード逸らせ突起56a,56bが形成されている。
【0040】1対のカード逸らせ突起56a,56bの夫々の突出端面は滑らかに連続しており、案内溝42中に挿入されたカード40の走行方向前縁は1対のカード逸らせ突起56a,56bに摺接することにより情報読取り開口52から逸らせられ、情報読取り開口52の1対の側縁54a,54bに対する引っ掛かりを生じさせない。よってこれによるカード40の破損やカード40の二次元バーコードまたは一次元バーコードからの情報の読み取り不可能を防止することが出来る。
【0041】なお1対のカード逸らせ突起56a,56bの夫々の突出端から情報記録媒体案内板51と協働して図1の(A)や図2に示されている情報読取装置30において案内溝42を構成する外装ハウジング32の一方の側壁34の対向表面34aまでの距離は情報読取装置30において使用されるカード40の厚さよりは大きく設定しておなかければならない。
【0042】上記距離が情報読取装置30において使用されるカード40の厚さに近ければ近いほど、1対のカード逸らせ突起56a,56bはこれに走行方向前縁を摺接されたカード40が高さ方向において情報読取り開口52の側に凸に湾曲していたり、あるいはカード40の走行方向において情報読取り開口52の側に凹に湾曲していたりしてもこれらの湾曲を外装ハウジング32の一方の側壁34の対向表面34aに向かい強制的に押圧してこれらの湾曲の曲率を大きくする効果がある。これにより、湾曲したカード40の表面上から二次元バーコードまたは一次元バーコードを図1の(A)や図2に示されているバーコード結像装置のレンズ50aが細長い光センサ50b上に結像させる際に上述した湾曲の影響で誤りが生じる可能性が小さくなる。
【0043】また、1対のカード逸らせ突起56a,56bを例えば合成樹脂や板ばねの如き弾性を有した材料で形成すれば、1対のカード逸らせ突起56a,56bの夫々の突出端から外装ハウジング32の一方の側壁34の対向表面34aまでの前述した距離を情報読取装置30において使用されるカード40の厚さよりは幾分小さく設定することが出来、この場合には1対のカード逸らせ突起56a,56bによる上述した如きカード40の湾曲補正機能をより良く発揮させることが出来る。
【0044】図5の(A)及び(B)には、この発明の第3の実施例に従った情報読取装置において使用される情報記録媒体案内板60の正面図及び平面図が示されている。
【0045】第3の実施例の構造は情報記録媒体案内板60を除き図1及び図2に示されていた第1の実施例の情報読取装置30の構造と同じであり、よって第3の実施例については情報記録媒体案内板60の構造のみを以下に詳細に説明する。
【0046】この情報記録媒体案内板60においてもカード40の走行方向における中央部に形成されている情報読取り開口62は正面形状が縦長の長方形状をしており、よつて上記走行方向における1対の側縁64a,64bが略垂直方向に相互に平行に延出している。
【0047】1対の側縁64a,64bにおいて、図1の(A)や図2に示されているバーコード結像装置のレンズ50a及び細長い光センサ50bの側の周囲は前述の情報記録媒体案内板38の場合と同様に、図1の(A)や図2に示されている1対の照明装置48の為に比較的大きく面取りされているが、図1の(A)や図2に示されている情報読取装置30の外装ハウジング32の一方の側壁34側の周囲は前述の情報記録媒体案内板38の場合とは異なり全く面取りされていない。
【0048】情報読取り開口62の高さは、図1の(A)や(B)に示されている前述の情報記録媒体案内板38の情報読取り開口44における高さHと同じに設定されている。そしてこの実施例では、情報記録媒体案内板60において図1の(B)に示されている前述の情報記録媒体案内板38の情報読取り開口44における高さHと同じに設定されている。そしてこの実施例では、情報記録媒体案内板60において図1の(A)や図2に示されている情報読取装置30の外装ハウジング32の一方の側壁34側の対向表面66は例えばガラスや合成樹脂の如き光を透過する材料で形成された覆い板68により覆われている。
【0049】覆い板68は例えば接着剤により情報記録媒体案内板60の対向表面66に固定されるが、図1の(A)や図2に示されている情報読取装置30の外装ハウジング32の一方の側壁34の対向表面34aと協働して案内溝42を構成する情報記録媒体案内板60の対向表面66上の覆い板68の外側面を摺接するカード40の走行方向における走行方向前縁が引っ掛かる恐れを生じさせる凸部や凹部を上記外側面に生じさせない限り、どのような固定手段をも採用することが出来る。
【0050】また覆い板68は情報記録媒体案内板60の対向表面66の全体ではなく、情報読取り開口62に埋め込むことも出来る。この場合にも情報読取り開口62の周縁と覆い板68の周縁との間にいかなる凸部や凹部を生じさせないことが必要な条件となる。
【0051】覆い板68を使用する第3の実施例の情報記録媒体案内板60では、図1の(A)や図2に示されている如く外装ハウジング32の上面上で1対の照明装置48やバーコード結像装置のレンズ50a及び細長い光センサ50bが配置されていて通常は開閉自在な覆い49により外部空間から遮蔽されている空間へ情報読取り開口62を介して埃や水分やその他の微少な異物が侵入することを効果的に防止することが出来る。
【0052】なお覆い板68は完全に透明である必要はなく、要は覆い板68を介して情報記録媒体案内板60の情報読取り開口62の前を通過するカード40上の二次元バーコードまたは一次元バーコードのバーコードパターンを図1の(A)や図2に示されているバーコード結像装置のレンズ50aが細長い光センサ50b上に正確に結像させることが出来る程度の透明度を有していれば着色されていても何等問題はない。
【0053】図6の(A)にはこの発明の第4の実施例に従った情報読取装置70の縦断面が概略的に示されており、図6の(B)には図6の(A)の情報読取装置70において使用されている情報記録媒体案内板72の正面図が示されており、図6の(C)と(D)には第4の実施例の2つの変形例の主要部が拡大された状態で示されている。
【0054】この実施例の情報読取装置70の構成の大部分は図1の(A)及び図2に示されたこの発明の一実施例に従った情報読取装置30の構成の大部分と共通であり、共通の部材には前述の情報読取装置30の説明において使用した参照符号と同じ参照符号を記し詳細な説明は省略する。そして、前述の情報読取装置30と異なる構成部材のみ詳細に説明する。
【0055】この実施例の情報読取装置70の情報記録媒体案内板72においてカード40の走行方向における中央部に形成されている情報読取り開口74は、図6の(B)に良く示されている如く、正面形状が縦長の長方形状をしており、よつて上記走行方向における1対の側縁76a,76bが略垂直方向に相互に平行に延出している。
【0056】1対の側縁76a,76bにおいて、図1の(A)や図2に示されているバーコード結像装置のレンズ50a及び細長い光センサ50bの側の周囲は前述の情報記録媒体案内板38の場合と同様に、図1の(A)や図2に示されている1対の照明装置48の為に比較的大きく面取りされているが、情報読取装置70の外装ハウジング32の一方の側壁34側の周囲は前述の情報記録媒体案内板38の場合とは異なり全く面取りされていない。
【0057】この実施例の情報読取装置70において、情報記録媒体案内板72と外装ハウジング32の一方の側壁34との間に構成されている幅Dの案内溝42の底面42aは情報記録媒体案内板72の対向表面72aから一方の側壁34の対向表面34aへと向かうにつれて下方に向かい傾斜されている。
【0058】この実施例では、案内溝42中をカード40が走行中に案内溝42の傾斜した底面42aにカード40の所定の一側縁を摺接させることにより、カード40は傾斜した底面42a上で情報記録媒体案内板72の対向表面72aから離れて一方の側壁34の対向表面34aに向かうよう滑り、図6の(A)に示す如く、一方の側壁34の対向表面34aに摺接させられる。
【0059】これによってカード40の走行方向前縁は情報読取り開口74の1対の側縁76a,76bから常に離間し、よって上記走行方向前縁は1対の側縁76a,76bに食い込んで引っ掛かることがなく、これによるカード40の破損やカード40の二次元バーコードまたは一次元バーコードからの情報の読み取り不可能を防止することが出来る。
【0060】また案内溝42中のカード40は走行中に情報記録媒体案内板72の対向表面72aから離れ情報読取り開口74の1対の側縁76a,76bに走行方向前縁を接触させることはないので、1対の側縁76a,76bの正面形状を自由に決めることが出来る。
【0061】案内溝42のこのように傾斜した底面42aはまた、カード40がカード40の走行方向において情報読取り開口74の側に凹に湾曲している場合に、カード40の走行中に所定の一側縁を案内溝42の傾斜した底面42aに比較的強く、しかし高さ方向の湾曲は生じさせない程度に、押圧することにより、上記湾曲を外装ハウジング32の一方の側壁34の対向表面34aに強制的に向かわせてこの湾曲の曲率を大きくする効果がある。これにより、湾曲したカード40の表面上から二次元バーコードまたは一次元バーコードをバーコード結像装置のレンズ50aが細長い光センサ50b上に結像させる際に上述した湾曲の影響で誤りが生じる可能性が小さくなる。
【0062】案内溝42の底面42aはまた、図6の(C)に示す如く、情報記録媒体案内板72の対向表面72aから一方の側壁34の対向表面34aに向かい離れるにつれて下方に傾斜した傾斜面と一方の側壁34の対向表面34aに沿った領域で上記傾斜面の下端よりも下方に配置された水平面との組み合わせにより構成することも出来る。
【0063】この場合には、上記水平面の幅をカード40の厚さよりもわずかに大きくしておけば、底面42aの断面形状による上述した如きカード40の湾曲補正機能をより良く発揮することが出来る。
【0064】案内溝42の底面42aはまた、図6の(D)に示す如く、情報記録媒体案内板72の対向表面72aから一方の側壁34の対向表面34aに向かい離れるにつれて下方に傾斜した下降傾斜面と上記傾斜面の下端において水平になった水平面と一方の側壁34の対向表面34aの側における上記水平面の側縁から一方の側壁34の対向表面34aに向かうにつれて上方に向かい傾斜した上方傾斜面との組み合わせにより構成することも出来る。
【0065】この場合でも、上記水平面の幅をカード40の厚さよりもわずかに大きくしておけば、底面42aの断面形状による上述した如きカード40の湾曲補正機能をより良く発揮することが出来る。
【0066】図7の(A)及び(B)には、この発明の第5の実施例に従った情報読取装置において使用される情報記録媒体案内板80の正面図及び平面図が示されている。
【0067】第5の実施例の構造は情報記録媒体案内板80を除き図1の(A)や図2に示されていた第1の実施例の情報読取装置30の構造と同じであり、よって第5の実施例については情報記録媒体案内板80の構造のみを以下に詳細に説明する。
【0068】この情報記録媒体案内板80においてもカード40の走行方向における中央部に形成されている情報読取り開口82は正面形状が縦長の長方形状をしており、よつて上記走行方向における1対の側縁84a,84bが略垂直方向に相互に平行に延出している。
【0069】情報記録媒体案内板80の対向表面は2段に分けて構成されている。即ち、情報読取り開口82においてカード40の走行方向において前方に位置する側縁84bよりもカード40の走行方向における上流側に位置する上記対向表面の領域80aは側縁84bよりもカード40の走行方向における下流側に位置する上記対向表面の領域80bよりも図1や図3に示されている情報読取装置30の外装ハウジング32の一方の側壁34側に突出している。
【0070】この実施例の場合には、カード40は情報記録媒体案内板80の対向表面の突出した領域80aの側からしか情報記録媒体案内板80の対向表面に沿い走行させることが出来ないが、カード40の走行方向前縁は情報記録媒体案内板80の対向表面の突出した領域80aにより情報読取り開口82においてカード40の走行方向において前方に位置する側縁84bから強制的に遠ざけられるので、上記走行方向前縁は上記側縁84bに食い込んで引っ掛かることがなく、これによるカード40の破損やカード40の二次元バーコードまたは一次元バーコードからの情報の読み取り不可能を防止することが出来る。
【0071】突出した領域80aはまた、図4に示された第2の実施例に使用される情報記録媒体案内板51における1対のカード逸らせ突起56a,56bと同様な効果を発揮することも出来る。
【0072】即ち、突出した領域80aから情報記録媒体案内板80と協働して図1の(A)や図2に示されている情報読取装置30において案内溝42を構成する外装ハウジング32の一方の側壁34の対向表面34aまでの距離を情報読取装置30において使用されるカード40の厚さに近づけることにより、突出した領域80aはこれに走行方向前縁を摺接されたカード40が高さ方向において情報読取り開口82の側に凸に湾曲していたり、あるいはカード40の走行方向において情報読取り開口82の側に凹に湾曲していたりしてもこれらの湾曲を外装ハウジング32の一方の側壁34の対向表面34aに向かい強制的に押圧してこれらの湾曲の曲率を大きくする効果がある。これにより、湾曲したカード40の表面上から二次元バーコードまたは一次元バーコードを図1の(A)や図2に示されているバーコード結像装置のレンズ50aが細長い光センサ50b上に結像させる際に上述した湾曲の影響で誤りが生じる可能性が小さくなる。
【0073】前述した種々の実施例では、シート状の情報記録媒体としてバーコード付きカード40を使用し、情報読取装置をバーコード読取装置として説明したが、シート状の情報記録媒体を磁気カードや光カードとして情報読取装置を磁気情報読取装置や光情報読取装置としても良い。
【0074】またカード40を情報読取り開口の前を通過させるには手動でも良いし自動でも良い。さらに情報記録媒体はいわゆるカードに限られることがなく、種々の厚さや堅さや寸法を有したシート状の媒体にバーコードや磁気情報が付されたものであっても良い。
【0075】
【発明の効果】以上詳述した如く、この発明に従った情報読取装置では、従来に比べて比較的大きな高さを有した情報読取り開口がガイド部の一方の側壁に形成されていても、ガイド部に挿入された情報記録媒体をガイド部中を走行させられている間に情報記録媒体の走行方向前縁が情報読取り開口に引っ掛かけることがなく、これによる情報記録媒体の破損や情報記録媒体からの情報の読み取り不可能を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の一実施例に従った情報読取装置を覆いを取り除いた状態で概略的に示すの平面図であり、(B)は図1の情報読取装置において使用され情報読取り開口が形成された情報記録媒体案内板の正面図である。
【図2】図1の(A)の線II−IIに沿った情報読取装置の概略的な縦断面図である。
【図3】(A)及び(B)は、図1の(B)の情報記録媒体案内板の変形例の正面図及び平面図である。
【図4】(A)及び(B)は、この発明の第2の実施例に従った情報読取装置において使用される情報記録媒体案内板の正面図及び平面図である。
【図5】(A)及び(B)は、この発明の第3の実施例に従った情報読取装置において使用される情報記録媒体案内板の正面図及び平面図である。
【図6】(A)はこの発明の第4の実施例に従った情報読取装置の概略的な縦断面図であり、(B)は(A)の情報読取装置において使用される情報記録媒体案内板の正面図であり、(C)及び(D)は(A)の情報読取装置の2つの変形例の主要部の拡大図である。
【図7】(A)及び(B)は、この発明の第5の実施例に従った情報読取装置において使用される情報記録媒体案内板の正面図及び平面図である。
【図8】(A)は写真が添付され写真を損なわないよう一次元バーコードが種々の位置に記されるバーコード付きのカードを示す平面図であり、(B)は二次元バーコード付きのカードを示す平面図である。
【図9】(A)は従来の情報読取装置の外観を示す斜視図であり、(B)は(A)の情報読取装置においてバーコード情報が読み取られるバーコードが記されたカードを示す斜視図である。
【符号の説明】
30…情報読取装置、32…外装ハウジング、34,36…側壁、34a…対向表面、38,38´…情報記録媒体案内板、38a…対向表面、39…固定ねじ、40…カード、42…案内溝、42a…底面、44…情報読取り開口、45a,45b…側縁、46…発光素子、48…照明装置、49…覆い、50a…レンズ、50b…光センサ、51…情報記録媒体案内板、52…情報読取り開口、54a,54b…側縁、56a,56b…カード逸らせ突起、60…情報記録媒体案内板、62…情報読取り開口、64a,64b…側縁、66…対向表面、68…覆い板、70…情報読取装置、72…情報記録媒体案内板、72a…対向表面、74…情報読取り開口、76a,76b…側縁、80…情報記録媒体案内板、80a,80b…領域、82…情報読取り開口、84a,84b…側縁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 シート状の情報記録媒体をスリット状にしたガイド部内に走行させ、情報記録媒体に記録されている情報をガイド部内に形成された開口中に具備された読取部によって読取る情報読取装置であって、ガイド部内に形成された開口においてガイド部内を走行する情報記録媒体の走行方向の前方側に位置する縁の形状をガイド部内を走行する情報記録媒体の前縁が2点以上で同時に接触することを防止する形状とした、ことを特徴とする情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【公開番号】特開平7−57031
【公開日】平成7年(1995)3月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−200827
【出願日】平成5年(1993)8月12日
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)