説明

感光材料処理装置、及び、スクイズ手段洗浄方法

【課題】 効率のよいタイミングで洗浄液を噴射して、汚れの付着したスクイズ手段を洗浄することの可能なスクイズ手段洗浄方法、及び、感光材料処理装置を提供する。
【解決手段】 ステップS10で記録紙Sが通過するまで待機する。記録紙Sが通過すると、ステップS12で、洗浄可能フラグがONかどうか、すなわち、記録紙Sの間隔が所定時間間隔T以上かどうかを判断する。洗浄可能フラグがONの場合には、ステップS14で枚数フラグがONかどうかを判断し、ONの場合には、ステップS16で洗浄指示をポンプPへ出力する。これにより、ポンプPが作動され、所定の噴射時間TFの間各噴射口から洗浄水が噴射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗処理の終了した感光材料の表面に付着した水分を接触により除去するスクイズ手段の洗浄方法、及び、このスクイズ手段洗浄方法を実施する感光材料処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像の露光された印画紙等の感光材料は、現像液、漂白定着液等の処理液によって現像処理された後、水洗水によって処理液が洗い落とされた後に、乾燥処理される。このように、感光材料を現像、漂白定着、水洗処理した後に乾燥処理する場合には、通常、感光材料を乾燥処理する前に、感光材料の表面に付着している水洗水の除去がスクイズ部で行なわれる。
【0003】
ところで、一般的にスクイズ部は、複数のローラ対によって構成され、これらのローラ対によって、感光材料が挟持搬送されると共に感光材料の表面に付着している水滴が接触により除去される。この水滴には、残留した処理液成分が含まれおり、ローラ対には処理液やその他の汚れが付着してしまうが、付着している汚れが感光材料に転写されると、感光材料に乾燥ムラ、処理液成分の析出、汚れによる画質の低下等の仕上がり不良を引き起こしてしまう。
【0004】
そこで、ローラ対に付着した汚れを除去するために、ローラ対を洗浄する必要が生じる。この洗浄の方法として、特許文献1には、ローラ対を構成する1のローラの外周下側部を常時洗浄水に浸し、回転によりローラ外周面に付着した汚れを洗い落とす技術が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ローラは常時洗浄水に浸されているため、ローラから洗浄水を掻き落としても、ローラにはかなりの洗浄水が含まれている。したがって、感光材料に対して充分なスクイズを行なうことができない。
【0006】
そこで、ローラ対を浸水させておくのではなく、所定のタイミングでローラ対へ洗浄水を噴射することによりローラに付着した汚れを洗い流す方法が考えられるが、どのようなタイミングで洗浄を行なうべきかが問題となる。
【特許文献1】特開平7−281378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実を考慮してなされたものであり、効率のよいタイミングで洗浄液を噴射して、汚れの付着したスクイズ手段を洗浄することの可能なスクイズ手段洗浄方法、及び、このスクイズ手段洗浄方法を実施可能な感光材料処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の感光材料処理装置は、水洗処理後の感光材料を乾燥部へ向けて搬送すると共に前記感光材料の表面に付着した水を接触により除去するスクイズ手段と、前記スクイズ手段へ洗浄液を噴射して洗浄する洗浄手段と、一のプリント処理後、次のプリント処理の開始までに所定の時間間隔があり、かつ、以下の1及び2の少なくとも一方の条件が満たされている場合に、前記次のプリント処理に、前記洗浄手段から所定の噴射時間洗浄液が噴射されるように前記洗浄手段を制御する制御手段と、を備えている。
【0009】
1.前回の洗浄後に処理された感光材料の枚数が予め設定されている枚数を超えている場合
2.前回の洗浄後に、搬送される感光材料の幅、列数、位置の少なくとも1つが変更されている場合
請求項1の感光材料処理装置のスクイズ手段は、水洗処理後の感光材料を乾燥部へ向けて搬送すると共に、感光材料の表面に付着した水を接触により除去する。スクイズ手段には感光材料との接触により汚れが付着するため、洗浄手段から洗浄液を噴射して洗浄する。
【0010】
ここで、洗浄のタイミングとしては、スクイズ手段の乾燥性を確保するために、一のプリント処理後、次のプリント処理の開始までに所定の時間間隔があることが要求される。また、感光材料の画質の低下が問題になる汚れが予想される場合に実施される必要がある。感光材料の画質の低下が問題になるのは、処理枚数が多くなり、前回の洗浄後から予め設定されている枚数を超えている場合、搬送される感光材料の幅、列数、位置の少なくとも1つが変更されて感光材料の端部にあたる部分に付着している汚れが、次処理の感光材料の表面に付着してしまう場合がある。
【0011】
そこで、本発明の感光材料処理装置の制御手段では、一のプリント処理後、次のプリント処理の開始までに所定の時間間隔があり、かつ、前回の洗浄後に処理された感光材料の枚数が予め設定されている枚数を超えている場合、及び、一のプリント処理後、次のプリント処理の開始までに所定の時間間隔があり、かつ、前回の洗浄後に、搬送される感光材料の幅、列数、位置の少なくとも1つが変更されている場合、の少なくとも一方の条件が満たされている場合に、次のプリント処理前に、前記洗浄手段から所定の噴射時間洗浄液が噴射されるように前記洗浄手段を制御する。
【0012】
上記のタイミングでスクイズ手段を洗浄することにより、効率よくスクイズ手段を洗浄することができる。
【0013】
なお、請求項1に記載の所定の時間間隔は、スクイズ手段の乾燥性を確保するために、35秒以上であることが好ましい。
【0014】
請求項3の発明の感光材料処理装置は、水洗処理後の感光材料を乾燥部へ向けて搬送すると共に前記感光材料の表面に付着した水を除去するスクイズ手段と、前記スクイズ手段へ洗浄液を噴射する洗浄手段と、感光材料を処理するための処理液の状態を確認するためのコンスト処理の開始指示後の所定時間内で、コンスト処理の開始前に、前記洗浄手段から所定の噴射時間洗浄液が噴射されるように前記洗浄手段を制御する制御手段と、を備えている。
【0015】
請求項3の感光材料処理装置のスクイズ手段は、水洗処理後の感光材料を乾燥部へ向けて搬送すると共に、感光材料の表面に付着した水を接触により除去する。スクイズ手段には感光材料との接触により汚れが付着するため、洗浄手段から洗浄液を噴射して洗浄する。
【0016】
ところで、感光材料を処理するための処理液の濃度などの状態は、所定の状態に確保されている必要があるため、処理液の状態を確認するために、定期的にコンスト処理が行なわれる。このコンスト処理では、処理液に対して所定の反応を示すテストペーパーが感光材料と同様の搬送経路で搬送され、スクイズ手段も経由する。したがって、スクイズ手段が汚れていては、正しい処理液の状態を確認することができない。
【0017】
そこで、本発明の感光材料処理装置の制御手段では、コンスト処理の開始指示後の所定時間内で、コンスト処理の開始前に、前記洗浄手段から所定の噴射時間洗浄液が噴射されるように前記洗浄手段を制御する。
【0018】
上記のタイミングでスクイズ手段を洗浄することにより、コンスト処理を正確に実施することができる。
【0019】
なお、請求項1乃至請求項3に記載の洗浄水の噴射時間は、洗浄性と乾燥性とを考慮して、0.4秒以上3秒以下であることが好ましい。
【0020】
請求項5に記載のスクイズ手段洗浄方法は、一のプリント処理後、次のプリント処理の開始までに所定の時間間隔があり、かつ、以下の1及び2の少なくとも一方の条件が満たされている場合に、前記次のプリント処理前に、感光材料の表面に付着した水を接触により除去するスクイズ手段へ所定の噴射時間洗浄液を噴射して、このスクイズ手段を洗浄するものである。
【0021】
1.前回の洗浄後に処理された感光材料の枚数が予め設定されている枚数を超えている場合
2.前回の洗浄後に、搬送される感光材料の幅、列数、位置の少なくとも1つが変更されている場合
スクイズ手段には感光材料との接触により汚れが付着するため、洗浄手段から洗浄液を噴射して洗浄する必要があるが、洗浄のタイミングとしては、スクイズ手段の乾燥性を確保するために、一のプリント処理後、次のプリント処理の開始までに所定の時間間隔があることが要求される。また、感光材料の画質の低下が問題になる汚れが予想される場合に実施される必要がある。感光材料の画質の低下が問題になるのは、処理枚数が多くなり、前回の洗浄後から予め設定されている枚数を超えている場合、搬送される感光材料の幅、列数、位置の少なくとも1つが変更されて感光材料の端部にあたる部分に付着している汚れが、次処理の感光材料の表面に付着してしまう場合がある。
【0022】
そこで、本発明のスクイズ手段洗浄方法では、一のプリント処理後、次のプリント処理の開始までに所定の時間間隔があり、かつ、前回の洗浄後に処理された感光材料の枚数が予め設定されている枚数を超えている場合、及び、一のプリント処理後、次のプリント処理の開始までに所定の時間間隔があり、かつ、前回の洗浄後に、搬送される感光材料の幅、列、位置の少なくとも1つが変更されている場合、の少なくとも一方の条件が満たされている場合に、次のプリント処理前に、スクイズ手段へ所定の噴射時間洗浄液を噴射して、このスクイズ手段を洗浄する。
【0023】
上記のタイミングでスクイズ手段を洗浄することにより、効率よくスクイズ手段を洗浄することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は上記構成としたので、効率のよいタイミングで洗浄液を噴射して、汚れの付着したスクイズ手段を洗浄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
まず、本発明を実施したプリンタプロセッサ10の概略構成について説明する。
【0026】
図1に示すように、プリンタプロセッサ10は、画像入力装置12、画像処理装置13、プリンタ15及びプロセッサ16を備えている。プリンタプロセッサ10を構成する各部は、図示しない配線を介して制御部17に接続されており、この制御部17によってプリンタプロセッサ10全体の動作が制御される。
【0027】
画像入力装置12は、写真フィルムに記録された画像の投影光をCCDイメージセンサなどの撮像素子を用いて光電的に読み取ることで画像データを生成し、あるいはメモリカードなどの記録媒体に記録された画像データを読み出すことで1画像データを取得する。この画像データは画像処理装置13に送られ、カラーバランス補正や濃度補正などの画像処理が行われる。画像処理が行われた画像データはプリンタ15に送られ、画像記録時に用いられる。
【0028】
プリンタ15は、所定長にカットされたカット記録紙(以下単に「記録紙S」という)を搬送しながら、画像データに基づいて強度変調された記録光にて画像記録を行うものであり、搬送方向の上流側から、供給部20、裏印字部22、レジスト部24、画像記録部26、副走査受け部28、振分部30、及び搬出部32を備える。各部位には、駆動ローラとニップローラとから構成される搬送ローラ対が、記録紙Sの搬送路Rに沿って複数設けられている。
【0029】
供給部20には、ロール状に着かれた長尺の感光性記録紙34を収納するマガジン20a、20bがセットされる。各マガジン20a、20bには、感光性記録紙34を引き出して裏印字部22に向けて搬送するための引出ローラ対21a、21bが設けられている。本実施例では2つのマガジン20a、20bが設けられているが、マガジンは1個でもよいし、3個以上でもよい。
【0030】
マガジン20a、20bの出口から所定長だけ離れた位置に、感光性記録紙34を切断するためのカッタ36が備えられている。カッタ36は、制御部17からの制御信号を受けて駆動し、プリントサイズに合わせて所定長だけ送り出された感光性記録紙34を切断して記録紙Sを形成する。プリントサイズとしては、例えば、L(89×127)(単位:mm、以下同じ)、パノラマ(89×254)、2L(127×178)、8切(165×216)、6切(203×254)、4切(254×305)などがある。本実施形態では、搬送方向と直交する方向のプリント幅が152mm以下であれば2列で搬送し、152mmを超えれば1列で搬送することとする。
【0031】
裏印字部22は、写真の撮影日、プリント日、コマ番号、各種IDなどのプリント情報を、記録紙Sの非記録面(露光面と反対側の面)に記録する裏印字ヘッド38を備える。裏印字ヘッド38としては、ドットインパクトヘッド、インクジェットヘッド、熱転写プリントヘッドなどの公知のプリントヘッドを用いることができる。
【0032】
レジスト部24は、画像記録部26における露光位置・角度ズレを防止するために、記録紙Sの傾き及び幅方向の位置を調整するレジスト用ローラ対40と、このレジスト用ローラ対40の前後に配置される複数の搬送ローラ対から構成される。レジスト用ローラ対40による傾き及び幅方向位置を調整する方法は、チルトレジスト、トップレジスト、及びサイドレジストなどの公知の方法を用いることができる。
【0033】
画像記録部26は、露光ユニット42、副走査ロ―ラ対44、46と、記録紙Sの通過を検出する記録紙センサ45とから構成され、制御部17によって動作制御される。露光ユニット42は、画像処理装置13と接続されており、記録紙Sの先端が通過したことを記録紙センサ45が検出すると、画像データに基づいて強度変調された赤、緑、青の光ビームLBを主走査方向(搬送方向と直交する方向)に走査して、記録紙Sに画像を記録する。副走査ロ―ラ対44、46は、光ビームLBによる露光位置を挟むように搬送方向の上流側及び下流側に配置され、記録紙Sを所定の速度で副走査方向(搬送方向と平行な方向)に搬送する。なお、副走査ロ―ラ対44、46のニップローラは、記録紙Sを挟持する位置と記録紙Sから離れる位置との間で切り替え可能とされており、図示しない位置センサで記録紙Sの先端または後端を検出したときに切り替えられる。これにより、記録紙Sの先端が下流側の副走査ローラ対46に突き当たったり、後端が上流側の副走査ロ―ラ対44から抜け出ることで、記録紙Sに過度の衝撃が加わることを防止する。
【0034】
副走査受け部28は、画像記録中に画像記録部26から送り出される記録紙Sの先端部を保持する複数のローラ対を備えており、画像記録部26による搬送速度と同一の速度にて記録紙Sを下流側に送り出す。副走査受け部28の各ローラ対は、駆動ローラと、ニップ解除可能なニップローラとからなり、画像記録中の記録紙Sの先端が通過した後に記録紙Sを挟持する。これにより、記録紙Sの先端が突き当たって搬送速度が変動することを防止する。
【0035】
振分部30は、単列で搬送された記録紙Sを予め定められた第1速度で搬送しながら、これを主走査方向に2列に振り分けるものである。また、搬出部32は、振分部30から送られる記録紙Sを、プロセッサ16の処理速度に対応する第2速度にて搬送し、プロセッサ16へ送る。振分部30と搬出部32には、記録紙Sの在否を検出するためのセンサ部48とセンサ部50とがそれぞれに設けらる。このセンサ部48、50は、例えば、発光ダイオードとフォトダイオードとからなる光学センサであり、記録紙Sが通過する間はその出力が変化する。これにより、記録紙Sの先端又は後端の通過を検出することができる。
【0036】
プロセッサ16は、現像処理部60、乾燥処理部61、振戻部62、およびソータ63から構成される。現像処理部60には、搬送方向の上流側から順に、現像槽70、漂白定着槽71と、第1水洗槽73、第2水洗槽74、第3水洗槽75、第4水洗槽76からなる水洗槽72とが設けられている。現像槽70には現像液が、漂白定着槽71には漂白定着液が(現像液、漂白定着液をまとめて「処理液」という)、また、第1水洗槽73〜第4水洗槽76には洗浄水が、それぞれ所定量貯蔵されている。記録紙Sが、現像槽70、漂白定着槽71、および第1水洗槽73〜第4水洗槽76内を順に搬送され、現像・漂白定着・洗浄の各処理が行われる。
【0037】
乾燥処理部61は各処理槽70〜72の上方に配置されており、搬送ベルトと送風ダクトとから構成されている。送風ダクトは搬送ベルトに向けてヒータで熱せられた乾燥風を吹き出して、記録紙Sを搬送ベルト側に押し付ける。この状態で送風ダクトの上を通過させることで、記録紙Sに付着した洗浄水が除去される。
【0038】
乾燥処理部61を通過した記録紙Sは、振戻部62に向けて送られる。振戻部62では、2列で搬送された記録紙Sが単列に振り戻される。ソータ63は、振戻部62から送られた複数の記録紙Sをプリントジョブ毎にまとめて出力する。
【0039】
次に、現像処理部60と乾燥処理部61との間に設けられた、スクイズ部80について説明する。
【0040】
図2に示すように、スクイズ部80には、下側に配置された現像処理部60から乾燥処理部61へ架けての弧状の搬送路Rに沿って、搬送方向の上流側から順に、第1上流側ローラ対82、第2上流側ローラ対84、第1下流側ローラ対86、及び、第2下流側ローラ対88が配置されている。これらのローラ対は各々、2つの回転ローラ82A、82B、回転ローラ84A、84B、回転ローラ86A、86B、回転ローラ88A、88Bで構成されており、各回転ローラの回転軸は、搬送方向と直交する方向に沿って配置されている。第1上流側ローラ対82、第2上流側ローラ対84、及び、第1下流側ローラ対86の各々は、2つの回転ローラの間で記録紙Sを挟持しつつ記録紙Sを下流側へ搬送する方向に回転する。第2下流側ローラ対88は、片側のローラ88Bに記録紙Sを接触させつつ記録紙Sを下流側へ搬送する方向に回転する。
【0041】
第1上流側ローラ対82の上部の搬送路Rから外れた位置には第1上流側洗浄手段92が、第2上流側ローラ対84の上部の搬送路Rから外れた位置には第2上流側洗浄手段94が、第1下流側ローラ対86の上部の搬送路Rから外れた位置には第1下流側洗浄手段96が、第2下流側ローラ対88の上部の搬送路Rから外れた位置には第2下流側洗浄手段98が、各々配置されている。第1上流側洗浄手段92、第2上流側洗浄手段94、第1下流側洗浄手段96、及び第2下流側洗浄手段98は、スクイズ部80の筐体80Aに固定されて、パイプ91と接続されており(図3参照)、図示しない洗浄水タンクからの洗浄水がポンプPを介して供給される。各洗浄手段は、スクイズ部80のプロセッサ16に固定された筐体80Aに固定されているので、保守点検時にローラ対が取り外されても、各洗浄手段はプロセッサ16側に残り、取り外しのための複雑な構成は不要となっている。
【0042】
第1上流側洗浄手段92は、図3に示すように、噴射口92Bが形成されたパイプ92Aで構成されている。噴射口92Bは、パイプ92Aの中央部に2カ所、両脇部に各2カ所ずつ、計6カ所形成されている。各噴射口92Bからは、第1上流側ローラ対82へ洗浄水が噴射される。噴射された洗浄水は、直接第1上流側ローラ対82のニップ部分へ当てられる。
【0043】
第2上流側洗浄手段94も、第1上流側洗浄手段92と同様に、噴射口94Bが形成されたパイプ94Aで構成されている。噴射口94Bの個数、及び形成位置、及び、洗浄水の噴射位置は、第1上流側洗浄手段92と同様である。
【0044】
第1下流側洗浄手段96は、図3に示すように、噴射口96Bが形成されたパイプ96Aで構成されている。噴射口96Bは、パイプ92Aの中央部に5カ所、両脇部に各3カ所ずつ、計11カ所に形成されている。ローラ対86の上部にはガイド部材87が配置されており、各噴射口96Bからは、ガイド部材87へ向かって洗浄水が噴射される。噴射された洗浄水は、一旦ガイド部材87へ当てられ、軸方向に拡散されて第1下流側ローラ対96へ供給される。
【0045】
第2下流側洗浄手段98も、第1下流側洗浄手段96と同様に、噴射口98Bが形成されたパイプ98Aで構成されている。噴射口98Bの個数、及び形成位置は、第1下流側洗浄手段96と同様である。ローラ対88の上部にはガイド部材89が配置されており、各噴射口98Bからは、ガイド部材89へ向かって洗浄水が噴射される。噴射された洗浄水は、一旦ガイド部材89へ当てられ、軸方向に拡散されて第2下流側ローラ対98へ供給される。
【0046】
図4に、各洗浄手段へ洗浄水を供給するための制御に係る各部についての概略ブロック図を示す。
【0047】
プリント枚数カウント部101は、制御部17と接続されており、プリンタプロセッサ10で処理されたプリント枚数をカウントする。カウントは、後述する洗浄処理が実行される毎に0枚にリセットされ、洗浄処理後の枚数がカウントされる。ユーザーは、図示しない入力部からプリント枚数カウント部101へ、何枚のプリント処理で洗浄を行なうかを指示するための洗浄要求処理枚数を入力することができる。プリント枚数カウント部101でのカウントが入力された洗浄要求処理枚数に達した場合には、処理枚数超過信号SBが制御部17へ出力され、制御部17の枚数フラグをONにする。
【0048】
幅変更通知部102は、制御部17と接続されており、搬送される記録紙Sの幅、搬送パターン、搬送位置、が変更された場合に、幅変更信号信号SHを制御部17へ出力する。
幅変更信号信号SHが入力されると、制御部17では幅変更フラグがONにされる。なお、搬送パターンとは、記録紙Sの搬送を何列(本実施形態では1列か2列)で行なうかのパターンをいう。
【0049】
出口センサ50は、1の記録紙Sの通過後、予め定められた所定の時間経過しても、次の記録紙Sが搬送されてこない場合、すなわち、記録紙Sの間隔が所定時間間隔T以上の場合には、洗浄可能信号SAを制御部17へ出力する。洗浄可能信号SAが入力されると、制御部17では洗浄可能フラグがONにされる。なお、所定時間間隔Tは、各スクイズ部の乾燥性を考慮して35秒以上とするのが好ましい。
【0050】
洗浄シーケンス記憶部104は制御部17と接続されており、洗浄シーケンス記憶部104には、後述する洗浄処理を実行するための洗浄シーケンスが記憶されている。制御部17は、洗浄シーケンスにしたがって洗浄処理を実行する。
【0051】
コンスト処理入力部105は制御部17と接続されており、ユーザーは、ここからコンスト処理の実行指示を入力することができる。コンスト処理は、所定のテストペーパーを記録紙Sと同様にして処理液に浸した後、乾燥させ、テストペーパーの変色度により処理液の濃度などを確認するための処理である。
【0052】
上記構成のスクイズ部80での記録紙Sの水分除去は、以下の手順で行なわれる。まず、第1上流側ローラ対82が記録紙Sをニップしつつ回転し、記録紙Sの表面に付着した水分を搾り取りながら、記録紙Sを第2上流側ローラ対84側へ搬送する。記録紙Sは、第2上流側ローラ対84、第1下流側ローラ対86に順次ニップされて水分が搾り取られつつ下流側へ搬送される。第2下流側ローラ対88は、記録紙Sを挟持せず、片側のローラ88Bに記録紙Sを接触させることで、記録紙Sの後端に残る液滴を除去する。第2下流側ローラ対88を通過した記録紙Sは、乾燥部61へ搬送されて乾燥処理が行なわれる。
【0053】
制御部17では、図5に示す洗浄処理が実行される。ステップS10で記録紙Sが通過するまで待機する。記録紙Sが通過すると、ステップS12で、洗浄可能フラグがONかどうか、すなわち、記録紙Sの間隔が所定時間間隔T以上かどうかを判断する。洗浄可能フラグがOFFの場合には、ステップS10へ戻って次の記録紙Sの通過を待つ。洗浄可能フラグがONの場合には、ステップS14で枚数フラグがONかどうかを判断し、ONの場合には、ステップS16で洗浄指示をポンプPへ出力する。ポンプPは、所定の噴射時間TFの間、スクイズ手段の各噴射口から洗浄水が噴射されるように、制御される。これにより、ポンプPが作動され、所定の噴射時間TFの間各噴射口から洗浄水が噴射される。なお、噴射時間TFは、洗浄性を考慮して0.4秒以上3秒以下が好ましい。また、スクイズ手段の乾燥性を高めるため、すなわち、洗浄後、記録紙Sがスクイズ部80へ搬送されるまでの時間を十分に確保するため、記録紙Sの通過確認後からポンプPの作動までの時間は短い方が好ましい。
【0054】
枚数フラグがOFFの場合には、ステップS18で幅変更フラグがONかどうかを判断し、ONの場合には、ステップS16へ進み、上記と同様の処理を実行する。幅変更フラグがOFFの場合には、ステップS19で洗浄可能フラグをOFFにして、ステップS10へ戻る。
【0055】
ステップS16の処理実行後、ステップS20で、洗浄可能フラグ、枚数フラグ、及び幅変更フラグをOFFにし、ステップS22で、プリント枚数カウント部101でカウントされているプリント枚数をリセットして0にする。そして、ステップS10へ戻って上記の処理を繰り返す。
【0056】
上記の洗浄処理によれば、プリント処理後、次のプリント処理までに所定の時間間隔T以上ある場合にスクイズ手段の洗浄が行なわれるので、スクイズ手段が常時浸水されている場合と比較して、スクイズ手段の乾燥性を確保することができる。また、所定枚数のプリント処理が行なわれている場合、または、記録紙Sの幅、搬送パターン、搬送位置が変更されている場合、にスクイズ手段の洗浄が行なわれるので、記録紙Sの画質に影響を与える汚れを洗浄することができる。
【0057】
ユーザーがコンスト処理入力部からコンスト処理の指示を入力すると、制御部17では、図6に示すコンスト前洗浄処理が実行される。
【0058】
ステップS30で、コンスト処理の指示入力を受信し、ステップS32で洗浄指示をポンプPへ出力する。これにより、ポンプPが作動され、洗浄水が各洗浄手段へ供給される。そして、ステップS34で、コンスト処理の開始指示を出力する。
【0059】
上記コンスト前洗浄処理によれば、コンスト処理前にスクイズ手段が洗浄されるので、正確に処理液の状態を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態のプリンタプロセッサを示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態のスクイズ部を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態の洗浄手段を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態の洗浄処理に係る制御系の概略ブロック図である。
【図5】本発明の洗浄処理のフローチャートである。
【図6】本発明のコンスト前洗浄処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
10 プリンタプロセッサ(感光材料処理装置)
17 制御部(制御手段)
80 スクイズ部(感光材料スクイズ装置)
82 第1上流側ローラ対(スクイズ手段)
84 第2上流側ローラ対(スクイズ手段)
86 第1下流側ローラ対(スクイズ手段)
88 第2下流側ローラ対(スクイズ手段)
92 上流側洗浄手段
S 記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗処理後の感光材料を乾燥部へ向けて搬送すると共に前記感光材料の表面に付着した水を接触により除去するスクイズ手段と、
前記スクイズ手段へ洗浄液を噴射して洗浄する洗浄手段と、
一のプリント処理後、次のプリント処理の開始までに所定の時間間隔があり、かつ、以下の1及び2の少なくとも一方の条件が満たされている場合に、前記次のプリント処理前に、前記洗浄手段から所定の噴射時間、洗浄液が噴射されるように前記洗浄手段を制御する制御手段と、
を備えた感光材料処理装置。
1.前回の洗浄後に処理された感光材料の枚数が予め設定されている枚数を超えている場合
2.前回の洗浄後に、搬送される感光材料の幅、列数、位置の少なくとも1つが変更されている場合
【請求項2】
前記所定の時間間隔が35秒以上であることを特徴とする請求項1に記載の感光材料処理装置。
【請求項3】
水洗処理後の感光材料を乾燥部へ向けて搬送すると共に前記感光材料の表面に付着した水を除去するスクイズ手段と、
前記スクイズ手段へ洗浄液を噴射して洗浄する洗浄手段と、
感光材料を処理するための処理液の状態を確認するためのコンスト処理の開始指示後の所定時間内で、コンスト処理の開始前に、前記洗浄手段から所定の噴射時間、洗浄液が噴射されるように前記洗浄手段を制御する制御手段と、
を備えた感光材料処理装置。
【請求項4】
前記噴射時間が0.4秒以上3秒以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の感光材料処理装置。
【請求項5】
一のプリント処理後、次のプリント処理の開始までに所定の時間間隔があり、かつ、以下の1及び2の少なくとも一方の条件が満たされている場合に、前記次のプリント処理前に、感光材料の表面に付着した水を接触により除去するスクイズ手段へ所定の噴射時間、洗浄液を噴射して、このスクイズ手段を洗浄する、スクイズ手段洗浄方法。
1.前回の洗浄後に処理された感光材料の枚数が予め設定されている枚数を超えている場合
2.前回の洗浄後に、搬送される感光材料の幅、列数、位置の少なくとも1つが変更されている場合

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−39297(P2006−39297A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−220311(P2004−220311)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】