成形品の溶着方法及びパレットの溶着方法
【課題】、見栄えの向上を図ることが容易である成形品及びパレットの溶着方法を提供する。
【解決手段】パレット10は、上下一対のパレット10a,10bにおける筒状桁部14同士が溶着されて構成されている。そして、パレット10a(10b)においては、外部に露出する部位を構成する隅桁部14A及び中間桁部14Bの表面壁23(断面二層構造をなす部位)の溶着部側端面28が付加層20bのみから構成されている。すなわち、その溶着部側端面28上に母材層20aが存在することがない。
【解決手段】パレット10は、上下一対のパレット10a,10bにおける筒状桁部14同士が溶着されて構成されている。そして、パレット10a(10b)においては、外部に露出する部位を構成する隅桁部14A及び中間桁部14Bの表面壁23(断面二層構造をなす部位)の溶着部側端面28が付加層20bのみから構成されている。すなわち、その溶着部側端面28上に母材層20aが存在することがない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、積荷等をフォークリフトによって運搬するために使用される成形品の溶着方法及びパレットの溶着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の成形品としては、以下に示すものが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。すなわち、図11に示すように、この特許文献1に記載の成形品(パレット100)は、上下一対のパレット形成部材101を有している。図11及び図12に示すように、各パレット形成部材101は、平板状のボード102と、その内側における両端部及び中間部に形成されてなる筒状桁部103と、前記ボード102の内側において縦横に交差して設けられてなる補強リブ群104とを有して構成されている。そして、同パレット100は、各パレット形成部材101における筒状桁部103同士を溶着することにより、パレット形成部材101同士が固着されて構成されている。
【0003】
図12に示すように、このパレット100における各筒状桁部103には、桁補強構造部105が設けられている。桁補強構造部105は、筒状桁部103の略中央部に設けられて環状をなす補強リブ105aと、同補強リブ105aの外周から放射状に延びる放射状リブ105bとを備えている。そして、図13に示すように、この桁補強構造部105(補強リブ105a)の高さHは、筒状桁部103の周縁部103aの高さhよりも僅かに高く形成されている。このため、上下一対のパレット形成部材101同士を固着する際には、図14に示すように、両桁補強構造部105(補強リブ105a)の端面(突き合わせ面)から溶融樹脂が外側にはみ出してバリ106となるが、このバリ106はいずれも筒状桁部103の内部に存在していて外部から視認できないため、製品の見栄えに影響を及ぼすことはない。さらに、両パレット形成部材101の筒状桁部103における周縁部103a間には隙間Sが形成されており、これら筒状桁部103の周縁部103a同士については溶着が起こりにくい。したがって、筒状桁部103の外側にバリが露出することがほとんどなく、見栄えの低下が極力抑制される。
【特許文献1】特開平11−124137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来のパレット100においては、両パレット形成部材101の筒状桁部103における周縁部103a同士を一部溶着した場合、図14に示すように隙間Sの内部にバリ108が形成される。たしかに、このバリ108は、筒状桁部103の外側に突出するものではないが、パレット100の側壁側においては外部から容易に視認される。このため、上記従来のパレット100は、見栄えの向上が充分に図られているとは云えず、この点において改善の余地を残すものとなっている。
【0005】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、見栄えの向上を図ることが容易である成形品の溶着方法及びパレットの溶着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の成形品の溶着方法は、対対向して配置された一対の成形部材の溶着部同士が溶着されることにより双方の成形部材が連結される成形品の溶着方法において、少なくとも一方の成形部材における溶着部の少なくとも一部は、母材からなる母材層と、同母材層の表面側に付加されるとともに同母材層とは色調又は材質の異なる付加層との断面複数層をなすように構成され、前記一対の成形部材の溶着部同士を対向させ、それら対向する溶着部の端面において前記断面複数層をなす溶着部の端面に前記付加層が形成され、前記溶着部同士を熱溶着することによって前記一対の成形部材を一体化することを要旨とする。
【0007】
通常、こうした一対の成形部材の溶着部同士を溶着する場合には、成形部材の溶着部(端面を含む部位)に対する加熱によって突き合わせ部分(溶着部分)が側方に向けて溶出する。当該部位が溶融し、溶融した当該部位同士が相当の押し付け力によって押し付けられる関係上、溶着部分が前記押し付け力の押し付け方向と直交する方向へさらに溶出することになる。すなわち、一対の成形部材の溶着部は、成形部材の他部位に比べて表面に溶出することになるのである。例えば、溶着部の端面を、母材層の表面側に付加層が付加されている断面複数層をなすように構成した場合においては、母材層の溶出によりその溶出部分が付加層の表面に露出することが考えられる。このような場合、付加層の表面上に、同付加層の色調又は材質とは異なる母材層が局所的に溶出することとなり、見栄えが低下する。
【0008】
これに対して、本発明では、断面複数層をなす溶着部の端面の少なくとも一部を付加層で構成している。こうした場合、両成形部材の溶着部同士を熱溶着するに際して各成形部材の溶着部の端面を溶融する場合には、付加層に熱量が加えられて溶融された溶着部同士を押し付けることで、表面の付加層が溶出する。このとき、付加層に熱量が加えられる分、母材層の溶出量が低減する。その結果、付加層の溶出した部分を取り除いても母材層が付加層の表面上に溶出することがない。したがって、付加層の色調又は材質で統一された、平坦で見栄えの良い成形品が得られる。
【0009】
請求項2に記載の発明のパレットの溶着方法は、対向して配置された上板状材及び下板状材と、各板状材において他方の板状材に向けて延設される複数の筒状桁部とを有し、前記上板状材及び前記下板状材における筒状桁部の溶着部同士が溶着されることにより双方の板状材が連結されるパレットの溶着方法において、前記筒状桁部における溶着部の少なくとも一部は、母材からなる母材層と、同母材層の表面側に付加されるとともに同母材層とは色調又は材質の異なる付加層との断面複数層をなすように構成され、一方の板状材に設けられた筒状桁部における前記断面複数層の溶着部と、他方の板状材に設けられた筒状桁部における前記断面複数層の溶着部とを互いに対向させ、それら対向する溶着部の端面に前記付加層が形成され、前記一対の板状材に設けられた筒状桁部の溶着部同士を熱溶着することによって前記一対の板状材を一体化することを要旨とする。
【0010】
通常、こうした筒状桁部の溶着部同士を溶着する場合には、筒状桁部の溶着部(端面を含む部位)に対する加熱によって突き合わせ部分(溶着部分)が側方に向けて溶出する。当該部位が溶融し、溶融した当該部位同士が相当の押し付け力によって押し付けられる関係上、溶着部分が前記押し付け力の押し付け方向と直交する方向へさらに溶出することになる。筒状桁部の溶着部は、筒状桁部の他部位に比べて表面に溶出することになるのである。例えば、溶着部の端面を、母材層の表面側に付加層が付加されている断面複数層をなすように構成した場合においては、母材層の溶出によりその溶出部分が付加層の表面に露出することが考えられる。このような場合、付加層の表面上に、同付加層の色調又は材質とは異なる母材層が局所的に溶出することとなり、見栄えが低下する。
【0011】
これに対して、本発明では、筒状桁部において断面複数層をなす溶着部の端面の少なくとも一部を付加層で構成している。こうした場合、筒状桁部の溶着部同士を熱溶着するに際して各筒状桁部の溶着部の端面を溶融する場合には、付加層に熱量が加えられて溶融された溶着部同士を押し付けることで、表面の付加層が溶出する。このとき、付加層に熱量が加えられる分、母材層の溶出量が低減する。その結果、付加層の溶出した部分を取り除いても母材層が付加層の表面上に溶出することがない。したがって、付加層の色調又は材質で統一された、平坦で見栄えの良いパレットが得られる。
【0012】
請求項3に記載の発明のパレットの溶着方法は、請求項2に記載の発明において、前記複数の筒状桁部の端面は、同一平面上に位置していることを要旨とする。
このように、各板状材に設けられた複数の筒状桁部の端面を同一平面上に位置させる、すなわち付加層が形成された複数の筒状桁部を全て同一の高さに形成することで、両板状材における筒状桁部の端面同士を溶着するに際し、両端面間に隙間が形成されることなく、複数の筒状桁部のすべてにわたって面接触による溶着が可能となる。このため、双方の溶着面積が充分に確保され、溶着後の筒状桁部における耐衝撃性を確保することが容易となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の成形品の溶着方法及びパレットの溶着方法によれば、見栄えの向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の溶着方法を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、成形品としてのパレットについて簡単に説明する。本実施形態のパレットの母材は、再生材料の合成樹脂から形成されている。図1及び図2に示すように、同パレット10は、上下一対のパレット10a,10b(成形部材10a,10b)が溶着により一体化して構成されている。なお本明細書においては、これら一対のパレット10a,10bのうち上側に位置するものを上側パレット10aとし、下側に位置するものを下側パレット10bとする。また、パレット10a,10bにおいて、前記母材より形成される部位を母材層とする。
【0015】
同パレット10は、上側パレット10aの上壁を構成する上板状材11と、下側パレット10bの下壁を構成する下板状材12と、これら両板状材11,12を連結する複数の筒状桁部14とを有する。上板状材11及び下板状材12は、ともに荷を載置する機能を果たす。なお、下側パレット10bは上側パレット10aを180°回転させたものであって両者は同一の構成を有しているため、本明細書においては上側パレット10aの構成についてのみ説明する。
【0016】
図2〜図5に示すように、上側パレット10aは、略四角板状をなす上板状材11と、同上板状材11において下方に延設されてなる四角筒状の筒状桁部14と、上板状材11の側縁において下方に垂設されるとともに隣接する筒状桁部14間を連繋する側壁リブ15とを有している。そして、上板状材11の裏面には、複数の桟16が全体にわたって網目状に延設されており、これらの桟16により上板状材11の表面強度が高められている。
【0017】
図3に示すように、筒状桁部14は、上板状材11の四隅に配置されている隅桁部14Aと、上板状材11の側縁において各隅桁部14Aの間の中央に配置されている中間桁部14Bと、上板状材11の中央に配置されてなる中央桁部14Cとを備えている。そして、図6に示すように、上側パレット10a及び下側パレット10bを上下に対向するように配置し、それぞれのパレット10a,10bの各桁部14A,14B,14C同士を位置合わせしてそれらを熱溶着することにより、両板状材11,12が互いに連結されてパレット10が構成される。この状態で、各隅桁部14Aと中間桁部14Bとの間にはそれぞれフォーク挿入孔21が設けられている(図2参照)。なお、上側パレット10aの各桁部14A,14B,14Cの下端部、及び下側パレット10bの各桁部14A,14B,14Cの上端部は、双方の溶着に寄与する部位であることから、本明細書において「溶着部」と定義する。また、図6では桟16の図示を省略している。
【0018】
これら複数の筒状桁部14のうち隅桁部14A及び中間桁部14Bは、図3に示すように、パレット10の周壁20の一部を構成する表面壁23と、前記フォーク挿入孔21と同方向(表面壁23と直交する方向)に延設される裏面壁24と、これら表面壁23と裏面壁24との間に設けられてフォーク挿入孔21の左右間の間隔をその開孔端から徐々に小さくさせる傾斜壁25とを有している。
【0019】
図4及び図5に示すように、パレット10の周壁20(隅桁部14Aの表面壁23、中間桁部14Bの表面壁23、及び側壁リブ15)には、その全体にわたって凹部27が形成されている。この凹部27には、バージン材料の合成樹脂からなる付加層20bが形成されている。付加層20bに用いられるバージン材料は着色材によって着色され、周壁20の母材層20aとは色調が異なっている。したがって、パレット10の周壁20全体は、上板状材11から一体で延設される母材層20aとその母材層20aに凹設された凹部27に付加される付加層20bとの断面二層構造(断面複数層構造)をなすように構成されている。なお、ここでいう「断面」とは、上板状材11(下板状材12)に対して平行な断面を意味する。
【0020】
図5及び図6に示すように、隅桁部14A及び中間桁部14Bの各表面壁23(断面二層構造をなす部位)においては、母材層20aは、先端(溶着部側の端面、以下、溶着部側端面28という。)に向かうにつれて断面積が縮小されている。そして、図3及び図6に示すように、隅桁部14A及び中間桁部14Bの各表面壁23においては、その溶着部側端面28が付加層20bのみから構成されている。すなわち、隅桁部14A及び中間桁部14Bの表面壁23における溶着部においては母材層20aの端面Tが全体にわたって付加層20bにより被覆されており、その溶着部側端面28上に母材層20aが存在することがない。
【0021】
また、図6に示すように、両パレット10a,10b同士の溶着を好適なものにするといった観点から、上側パレット10aにおける各筒状桁部14A,14B,14Cの端面は同一平面P上に位置していることが好ましい。すなわち、各筒状桁部14A,14B,14Cの高さは全て同一となるように設定されていることが好ましい。
【0022】
以下、本実施形態のパレット10a,10bの成形方法及び溶着方法について順次説明する。
まず、パレット10a,10bにおいて断面二層構造をなす部位(隅桁部14A及び中間桁部14Bの表面壁23)の成形方法について説明する。同パレット10a,10bは、図示しない射出成形機による二色成形法によって成形される。ここでは、射出成形により、付加層20bが形成される前の上側パレット10a(下側パレット10b)の周壁20が母材層20aからなる段階からその母材層20aに付加層20bを付加する段階までの成形方法について図7を用いて説明する。この二色成形法は、固定型31、可動型32及びスライドコア33を用いて行われる。
【0023】
固定型31には、母材層20aを形成する1次熱可塑性材(再生材料の合成樹脂)を流通させる図示しない第1ゲートと、付加層20bを形成する2次熱可塑性材(着色材が添加されたバージン材料の合成樹脂)を流通させる第2ゲート35の一部(固定型側第2ゲート35a)とが形成されている。また、スライドコア33には、同スライドコア33を所定方向へスライドさせることで前記固定型側第2ゲート35aに連通可能となるコア側第2ゲート35bが形成されている。なお、所望の二色成形が可能であれば、これら各種金型31,32,33の構成は特に限定されるものではない。
【0024】
母材層20aを成形する場合は、図7(a)に示すように、固定型31、可動型32及びスライドコア33によって形成された第1キャビティK1内に、第1ゲートを通じて1次熱可塑性材を射出する(第1工程)。この第1工程においては、第2ゲート35の先端(コア側第2ゲート35の先端)が可動型32により封鎖されている。このように第1キャビティK1内に1次熱可塑性材を射出した後、従来公知の保圧工程及び冷却工程を経て、周壁が母材層20aのみから構成された中間成形体が成形される。
【0025】
その後、母材層20aの側面と密着するスライドコア33を図示しない駆動手段によって同母材層20aから離間する方向(矢印X方向)へ移動させることで、図7(b)に示す第2キャビティK2が現出される。その際、上述したように、第1工程においてはスライドコア33に形成された第2ゲート35の先端が可動型32により封鎖されているため、第1キャビティK1内に射出された1次熱可塑性材が同第2ゲート35の先端内部に潜り込むおそれがなく、スライドコア33のスムーズな移動が可能となる。このように、スライドコア33を所定方向Xに移動させるといった単純な操作で第2ゲート35が形成される本実施形態においては、例えばバルブゲートや複数のスライドコアを用いて同第2ゲートを形成する場合に比べ、構成の著しい簡略化が図られる。
【0026】
次いで、図7(c)に示すように、この第2キャビティK2内に、第2ゲート35を通じて2次熱可塑性材を射出し、付加層20bを成形する(第2工程)。その結果、所定の筒状桁部(隅桁部14A及び中間桁部14B)の表面壁23が断面二層構造とされる。この第2工程の後、従来公知の保圧工程及び冷却工程を経て、可動型32及びスライドコア33を移動させることで型開きを行い、射出成形品である上側パレット10a(下側パレット10b)を取り出す。
【0027】
次に、パレット10a,10bの溶着方法について説明する。
さて、上記のように成形された上側パレット10aと下側パレット10bとは、図6に示すように各筒状桁部14A,14B,14Cの端面同士を熱溶着することで連結される。これら両パレット10a,10bを連結する場合には、まず図8(a)に示すように、各パレット10a,10bの筒状桁部14の端面同士を対向させて位置決めを行う。
【0028】
次いで、図8(b)に示すように、各パレット10a,10bを位置決めした状態において、各パレット10a,10bの筒状桁部14間に熱盤37を挿入する。そして、この熱盤37による加熱により、各筒状桁部14の端面を溶融する。その際、図8(c)に示すように、各筒状桁部14の端面は側方(同図における左右方向)に向けて溶出する。
【0029】
ここで、本実施形態においては、外部に露出する部位(パレット10の周壁20)を構成する隅桁部14A及び中間桁部14Bの表面壁23(断面二層構造をなす部位)における端面28が付加層20bのみから構成されている。換言すると、母材層20aの端面T(上側パレット10aにおいては下端面、下側パレット10bにおいては上端面)が全面にわたって付加層20bにより被覆されている。そのため、本実施形態においては、例えば表面壁23(断面二層構造をなす部位)の端面28が付加層20bと母材層20aの双方で構成されている場合に比べ、母材層20aの端部に加わる熱量が低減する。これにより、母材層20aの溶出量の低減が図られる。
【0030】
次に、図8(d)に示すように、各筒状桁部14の溶着部を溶融した状態で、両パレット10a,10bの筒状桁部14同士を連結させる。このとき、筒状桁部14の溶着部同士を相当の押し付け力によって押し付けたとしても、付加層20b側への母材層20aの溶出量が低減されているため、母材層20aの溶出部分が付加層20bの内部で止められるようになる。したがって、付加層20bの表面に母材層20aの溶融部分が溶出することがない。その後、図8(e)に示すように、所定の筒状桁部14A,14Bにおける付加層20bの外方に溶出したビート41を、爪の付いたビート取り機で除去する。ちなみに、各筒状桁部14A,14Bの表面壁23(断面二層構造をなす部位)において、母材層20aから内方に突き出るビート42は、外部から視認されないものであるため、除去する必要はない。これらの結果、母材層20aが外部に溶出せず、周壁20全体が付加層20bのみにより構成された、平坦で見栄えの良いパレット10が得られる。
【0031】
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
パレット10は、上下一対のパレット10a,10bにおける筒状桁部14同士が溶着されて構成されている。そして、パレット10a(10b)においては、外部に露出する部位を構成する隅桁部14A及び中間桁部14Bの表面壁23(断面二層構造をなす部位)の端面28が付加層20bのみから構成されている。そのため、本実施形態においては、母材層20aの端部に加わる熱量が低減し、同母材層20aの溶出量を少なくすることが可能となる。これにより、たとえ各パレット10a,10bの筒状桁部14における溶着部同士を相当の押し付け力によって押し付けたとしても、付加層20bの表面に母材層20aの溶融部分が溶出することがなく、付加層20bの色調又は材質で統一された見栄えの良いパレット10を得ることができる。
【0032】
また、上側パレット10a(下側パレット10b)における各筒状桁部14A,14B,14Cの端面は同一平面P上に位置していることが好ましい。これによれば、筒状桁部14A,14B,14Cの端面同士を溶着するに際して筒状桁部14A,14B,14Cのすべてにわたって面接触による溶着が可能となり、双方の溶着面積が充分に確保される。その結果、筒状桁部の端面間に隙間が形成される従来のパレットに比べ、本実施形態のパレットにおいては、溶着後の筒状桁部14A,14B,14Cにおける充分な耐衝撃性及び強度を確保することが容易となる。
【0033】
・ 隅桁部14A及び中間桁部14Bの各表面壁23(断面二層構造をなす部位)においては、母材層20aは、先端(溶着部側の端面28)に向かうにつれて断面積が縮小されている。これによれば、同母材層20aの端部に加わる熱量が一層低減されることとなり、母材層20aの溶出量をさらに少なくすることが可能となる。その結果、付加層20bの表面に母材層20aの溶融部分が溶出するといった問題をより効果的に回避することができる。
【0034】
・ パレット10a,10bにおいて断面二層構造をなす部位(隅桁部14A及び中間桁部14Bの表面壁23)を成形するに際し、第1キャビティK1内に1次熱可塑性材を射出する工程においては、第2ゲート35の先端が可動型32により封鎖されている。そのため、1次熱可塑性材が第2ゲート35の先端内部に潜り込むおそれがなく、スライドコア33をスムーズに移動させることができる。
【0035】
・ 周壁20は、母材層20aと付加層20bとの断面二層構造となるように構成され、母材層20aと付加層20bとは色が異なるように形成されている。母材層20aと付加層20bとは色が異なるため、周壁20とフォーク挿入孔21の内域との区別がしやすい。したがって、フォークを誤って周壁20にぶつけることは抑制され、フォークをフォーク挿入孔21へより確実に挿入させることが可能となる。
【0036】
・ 母材層20aは、再生材料の合成樹脂によって構成され、付加層20bは、バージン材料の合成樹脂によって構成されており、同付加層20bは母材層20aの外側に配置されている。この付加層20bはバージン材料の合成樹脂によって構成されているため、母材層20aよりも着色効果が発揮されやすく、容易に周壁20の存在、又はフォーク挿入孔21の存在を際立たせることを可能にする。また、付加層20bを再生材料の合成樹脂よりも強度の高いバージン材料の合成樹脂によって構成することで、周壁20の耐衝撃性が高められている。
【0037】
・ パレット10全体としては再生材料の合成樹脂によって構成され、しかも、付加層20bは周壁20に設けられているのみである。したがって、パレット1の製造コストをより安価に抑えつつ、本発明の効果を得ることができる。
【0038】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ パレット10a,10b同士の溶着が充分になされるのであれば、各筒状桁部14A,14B,14Cの高さは全て同一でなくともよい。
【0039】
・ 上側パレット10a(下側パレット10b)において隅桁部14A及び中間桁部14B双方の表面壁23(断面二層構造)の溶着部側端面28に母材層20aが含まれていてもよい。
【0040】
・ 図9に示すように、母材層20aの端面Tの一部分のみが付加層20bにより被覆されている構成を採用してもよい。
・ 付加層20bの表面上における母材層20aの溶出が抑制されるのであれば、例えば、先端(溶着部側端面28)に向かうにつれて断面積が一定である又は拡大する母材層20aを採用してもよい。なお、ここでいう「断面」とは、上板状材11(下板状材12)に対して平行な断面を意味する。
【0041】
・ 図10(a)に示すように、上側パレット10aの周壁の下端部、及び下側パレット10bの周壁の上端部をそれぞれ長手方向Nに沿って帯状に断面二層構造としてもよい。また、例えば、図10(b)に示すように、フォーク挿入孔21の短縁に沿って部分的に断面二層構造を形成してもよい。これらの場合、パレット10の周壁20のうち断面二層構造をなす部位以外は、母材層20aのみから形成されることとなる。
【0042】
・ 成形品の形状は特に限定されるものではなく、縦長状及び横長状のいずれであってもよい。そして、成形品の溶着に関しては、縦長状の成形品同士の溶着、横長状の成形品同士の溶着、及び縦長状の成形品と横長状の成形品との溶着のうちいずれであってもよい。
【0043】
・ 本実施形態では、まず、板状材11(12)と筒状桁部14とが一体化されている成形部材(上側パレット10a)を一対成形し、その後でこれら一対の成形部材を溶着する方法によりパレット10を製造したが、同パレット10の製造方法はこれに限定されるものではない。すなわち、互いに溶着される成形部材の形状はこれに限定されるものではない。この種の製造方法としては、他に以下に示すものが挙げられる。例えば、一方の成形部材の溶着部を母材層20aと付加層20bとで成形するとともに同母材層20aの端面28に付加層20bを設け、他方の成形部材の溶着部を付加層20bを形成する材料のみで成形し、これら二つの成形部材を溶着したとしても、他方の成形部材の付加層20bの表面に、一方の成形部材の母材層20aが溶出することがないので、美観を損ねることがない。
【0044】
・ 母材層20aをバージン材料の合成樹脂、付加層20bを再生材料の合成樹脂で構成して色調が異なるようにしてもよいし、母材層20a及び付加層20bともに、再生材料の合成樹脂又はバージン材の合成樹脂の同一材料によって構成して色調が異なるようにしてもよい。また、付加層20bは母材層20aとまったく異なる材料(たとえばエラストマー等)にて構成するようにしてもよい。
【0045】
・ 耐衝撃性や導電性等の所定の物性を有する材料により母材層20a及び付加層20bを形成してもよい。この場合、仮に、付加層20bの厚みを母材層20aよりも薄くしたとしても、一方の成形部材と他方の成形部材とを溶着するに際しては付加層20bの表面に母材層20aが溶出せずに付加層20bのみで統一されるため、同付加層20bの物性を充分に発揮させることができる。
【0046】
・ 母材層20aと付加層20bとを形成する材料が異なるのであれば、これら母材層20a及び付加層20bは同一の色調であってもよい。例えば、母材層20aを再生材料より形成するとともに付加層20bを導電性材料より形成した場合、双方の色調は黒色となる。
【0047】
・ 付加層20bを複数層にして断面二層以上の構成としてもよい。
・ 母材層20aに着色材を入れて構成し、パレット10の周壁20とフォーク挿入孔21の内域の色とが異なるようにしてもよい。
【0048】
・ 桁部14A,14Bの傾斜壁25を断面二層構造に形成してもよい。さらには、裏面壁24を断面二層構造に形成してもよい。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0049】
・ 前記断面複数層をなす溶着部の端面は、前記付加層のみで形成されていることを特徴とする成形品の溶着方法。これによれば、母材層の溶出量がさらに低減され、付加層の表面に母材層の溶融部分が溶出するといった問題をより効果的に回避することができる。
【0050】
・ 前記母材層は、前記溶着部の前記端面に向かうにつれて断面積が縮小されることを特徴とする成形品の溶着方法。これによれば、母材層の溶出量がさらに低減され、付加層の表面に母材層の溶融部分が溶出するといった問題をより効果的に回避することができる。
【0051】
・ 前記付加層の表面上に前記母材層が露出しないことを特徴とする成形品。これによれば、見栄えの良い成形品を得ることができる。
・ 固定型と可動型と独立したスライドコアとにより形成される第1キャビティ内に、第1ゲートを通じて1次熱可塑性材を射出して前記母材層を成形する第1工程と、前記スライドコアを前記母材層から離間するように移動させることで形成される第2キャビティ内に、前記固定型及び前記スライドコアに設けられた第2ゲートを通じて2次熱可塑性材を射出して前記付加層を成形する第2工程とを備え、前記第1工程時においては、前記第2ゲートの先端を前記可動型により封鎖することを特徴とする成形品の成形方法。これによれば、第1キャビティ内に射出された1次熱可塑性材が第2ゲートの先端の周囲に吸着するおそれがなく、スライドコアを容易且つ迅速に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態のパレットを示す側面図。
【図2】同パレットを示す側断面図。
【図3】上側パレットを示す底面図。
【図4】図3におけるA−A線断面図。
【図5】図3におけるB−B線断面図。
【図6】上側パレットと下側パレットとを溶着する際の状態を示す側断面図。
【図7】(a)〜(c)は上側パレットの成形方法を示す説明図。
【図8】(a)〜(e)は上側パレットと下側パレットとを溶着する際の状態を示す部分拡大断面図。
【図9】別例の表面壁を示す部分拡大断面図。
【図10】(a)及び(b)は別例のパレットを示す側面図。
【図11】従来のパレットを示す側面図。
【図12】図11における12−12線断面図。
【図13】同パレットの筒状桁部を示す部分拡大断面図。
【図14】同パレットにおいて筒状桁部同士を溶着した際の状態を示す部分拡大断面図。
【符号の説明】
【0053】
11…上板状材、12…下板状材、14…筒状桁部、14A…隅桁部、14B…中間桁部、14C…中央桁部、20a…母材層、20b…付加層、28…端面としての溶着部側端面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、積荷等をフォークリフトによって運搬するために使用される成形品の溶着方法及びパレットの溶着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の成形品としては、以下に示すものが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。すなわち、図11に示すように、この特許文献1に記載の成形品(パレット100)は、上下一対のパレット形成部材101を有している。図11及び図12に示すように、各パレット形成部材101は、平板状のボード102と、その内側における両端部及び中間部に形成されてなる筒状桁部103と、前記ボード102の内側において縦横に交差して設けられてなる補強リブ群104とを有して構成されている。そして、同パレット100は、各パレット形成部材101における筒状桁部103同士を溶着することにより、パレット形成部材101同士が固着されて構成されている。
【0003】
図12に示すように、このパレット100における各筒状桁部103には、桁補強構造部105が設けられている。桁補強構造部105は、筒状桁部103の略中央部に設けられて環状をなす補強リブ105aと、同補強リブ105aの外周から放射状に延びる放射状リブ105bとを備えている。そして、図13に示すように、この桁補強構造部105(補強リブ105a)の高さHは、筒状桁部103の周縁部103aの高さhよりも僅かに高く形成されている。このため、上下一対のパレット形成部材101同士を固着する際には、図14に示すように、両桁補強構造部105(補強リブ105a)の端面(突き合わせ面)から溶融樹脂が外側にはみ出してバリ106となるが、このバリ106はいずれも筒状桁部103の内部に存在していて外部から視認できないため、製品の見栄えに影響を及ぼすことはない。さらに、両パレット形成部材101の筒状桁部103における周縁部103a間には隙間Sが形成されており、これら筒状桁部103の周縁部103a同士については溶着が起こりにくい。したがって、筒状桁部103の外側にバリが露出することがほとんどなく、見栄えの低下が極力抑制される。
【特許文献1】特開平11−124137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来のパレット100においては、両パレット形成部材101の筒状桁部103における周縁部103a同士を一部溶着した場合、図14に示すように隙間Sの内部にバリ108が形成される。たしかに、このバリ108は、筒状桁部103の外側に突出するものではないが、パレット100の側壁側においては外部から容易に視認される。このため、上記従来のパレット100は、見栄えの向上が充分に図られているとは云えず、この点において改善の余地を残すものとなっている。
【0005】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、見栄えの向上を図ることが容易である成形品の溶着方法及びパレットの溶着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の成形品の溶着方法は、対対向して配置された一対の成形部材の溶着部同士が溶着されることにより双方の成形部材が連結される成形品の溶着方法において、少なくとも一方の成形部材における溶着部の少なくとも一部は、母材からなる母材層と、同母材層の表面側に付加されるとともに同母材層とは色調又は材質の異なる付加層との断面複数層をなすように構成され、前記一対の成形部材の溶着部同士を対向させ、それら対向する溶着部の端面において前記断面複数層をなす溶着部の端面に前記付加層が形成され、前記溶着部同士を熱溶着することによって前記一対の成形部材を一体化することを要旨とする。
【0007】
通常、こうした一対の成形部材の溶着部同士を溶着する場合には、成形部材の溶着部(端面を含む部位)に対する加熱によって突き合わせ部分(溶着部分)が側方に向けて溶出する。当該部位が溶融し、溶融した当該部位同士が相当の押し付け力によって押し付けられる関係上、溶着部分が前記押し付け力の押し付け方向と直交する方向へさらに溶出することになる。すなわち、一対の成形部材の溶着部は、成形部材の他部位に比べて表面に溶出することになるのである。例えば、溶着部の端面を、母材層の表面側に付加層が付加されている断面複数層をなすように構成した場合においては、母材層の溶出によりその溶出部分が付加層の表面に露出することが考えられる。このような場合、付加層の表面上に、同付加層の色調又は材質とは異なる母材層が局所的に溶出することとなり、見栄えが低下する。
【0008】
これに対して、本発明では、断面複数層をなす溶着部の端面の少なくとも一部を付加層で構成している。こうした場合、両成形部材の溶着部同士を熱溶着するに際して各成形部材の溶着部の端面を溶融する場合には、付加層に熱量が加えられて溶融された溶着部同士を押し付けることで、表面の付加層が溶出する。このとき、付加層に熱量が加えられる分、母材層の溶出量が低減する。その結果、付加層の溶出した部分を取り除いても母材層が付加層の表面上に溶出することがない。したがって、付加層の色調又は材質で統一された、平坦で見栄えの良い成形品が得られる。
【0009】
請求項2に記載の発明のパレットの溶着方法は、対向して配置された上板状材及び下板状材と、各板状材において他方の板状材に向けて延設される複数の筒状桁部とを有し、前記上板状材及び前記下板状材における筒状桁部の溶着部同士が溶着されることにより双方の板状材が連結されるパレットの溶着方法において、前記筒状桁部における溶着部の少なくとも一部は、母材からなる母材層と、同母材層の表面側に付加されるとともに同母材層とは色調又は材質の異なる付加層との断面複数層をなすように構成され、一方の板状材に設けられた筒状桁部における前記断面複数層の溶着部と、他方の板状材に設けられた筒状桁部における前記断面複数層の溶着部とを互いに対向させ、それら対向する溶着部の端面に前記付加層が形成され、前記一対の板状材に設けられた筒状桁部の溶着部同士を熱溶着することによって前記一対の板状材を一体化することを要旨とする。
【0010】
通常、こうした筒状桁部の溶着部同士を溶着する場合には、筒状桁部の溶着部(端面を含む部位)に対する加熱によって突き合わせ部分(溶着部分)が側方に向けて溶出する。当該部位が溶融し、溶融した当該部位同士が相当の押し付け力によって押し付けられる関係上、溶着部分が前記押し付け力の押し付け方向と直交する方向へさらに溶出することになる。筒状桁部の溶着部は、筒状桁部の他部位に比べて表面に溶出することになるのである。例えば、溶着部の端面を、母材層の表面側に付加層が付加されている断面複数層をなすように構成した場合においては、母材層の溶出によりその溶出部分が付加層の表面に露出することが考えられる。このような場合、付加層の表面上に、同付加層の色調又は材質とは異なる母材層が局所的に溶出することとなり、見栄えが低下する。
【0011】
これに対して、本発明では、筒状桁部において断面複数層をなす溶着部の端面の少なくとも一部を付加層で構成している。こうした場合、筒状桁部の溶着部同士を熱溶着するに際して各筒状桁部の溶着部の端面を溶融する場合には、付加層に熱量が加えられて溶融された溶着部同士を押し付けることで、表面の付加層が溶出する。このとき、付加層に熱量が加えられる分、母材層の溶出量が低減する。その結果、付加層の溶出した部分を取り除いても母材層が付加層の表面上に溶出することがない。したがって、付加層の色調又は材質で統一された、平坦で見栄えの良いパレットが得られる。
【0012】
請求項3に記載の発明のパレットの溶着方法は、請求項2に記載の発明において、前記複数の筒状桁部の端面は、同一平面上に位置していることを要旨とする。
このように、各板状材に設けられた複数の筒状桁部の端面を同一平面上に位置させる、すなわち付加層が形成された複数の筒状桁部を全て同一の高さに形成することで、両板状材における筒状桁部の端面同士を溶着するに際し、両端面間に隙間が形成されることなく、複数の筒状桁部のすべてにわたって面接触による溶着が可能となる。このため、双方の溶着面積が充分に確保され、溶着後の筒状桁部における耐衝撃性を確保することが容易となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の成形品の溶着方法及びパレットの溶着方法によれば、見栄えの向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の溶着方法を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、成形品としてのパレットについて簡単に説明する。本実施形態のパレットの母材は、再生材料の合成樹脂から形成されている。図1及び図2に示すように、同パレット10は、上下一対のパレット10a,10b(成形部材10a,10b)が溶着により一体化して構成されている。なお本明細書においては、これら一対のパレット10a,10bのうち上側に位置するものを上側パレット10aとし、下側に位置するものを下側パレット10bとする。また、パレット10a,10bにおいて、前記母材より形成される部位を母材層とする。
【0015】
同パレット10は、上側パレット10aの上壁を構成する上板状材11と、下側パレット10bの下壁を構成する下板状材12と、これら両板状材11,12を連結する複数の筒状桁部14とを有する。上板状材11及び下板状材12は、ともに荷を載置する機能を果たす。なお、下側パレット10bは上側パレット10aを180°回転させたものであって両者は同一の構成を有しているため、本明細書においては上側パレット10aの構成についてのみ説明する。
【0016】
図2〜図5に示すように、上側パレット10aは、略四角板状をなす上板状材11と、同上板状材11において下方に延設されてなる四角筒状の筒状桁部14と、上板状材11の側縁において下方に垂設されるとともに隣接する筒状桁部14間を連繋する側壁リブ15とを有している。そして、上板状材11の裏面には、複数の桟16が全体にわたって網目状に延設されており、これらの桟16により上板状材11の表面強度が高められている。
【0017】
図3に示すように、筒状桁部14は、上板状材11の四隅に配置されている隅桁部14Aと、上板状材11の側縁において各隅桁部14Aの間の中央に配置されている中間桁部14Bと、上板状材11の中央に配置されてなる中央桁部14Cとを備えている。そして、図6に示すように、上側パレット10a及び下側パレット10bを上下に対向するように配置し、それぞれのパレット10a,10bの各桁部14A,14B,14C同士を位置合わせしてそれらを熱溶着することにより、両板状材11,12が互いに連結されてパレット10が構成される。この状態で、各隅桁部14Aと中間桁部14Bとの間にはそれぞれフォーク挿入孔21が設けられている(図2参照)。なお、上側パレット10aの各桁部14A,14B,14Cの下端部、及び下側パレット10bの各桁部14A,14B,14Cの上端部は、双方の溶着に寄与する部位であることから、本明細書において「溶着部」と定義する。また、図6では桟16の図示を省略している。
【0018】
これら複数の筒状桁部14のうち隅桁部14A及び中間桁部14Bは、図3に示すように、パレット10の周壁20の一部を構成する表面壁23と、前記フォーク挿入孔21と同方向(表面壁23と直交する方向)に延設される裏面壁24と、これら表面壁23と裏面壁24との間に設けられてフォーク挿入孔21の左右間の間隔をその開孔端から徐々に小さくさせる傾斜壁25とを有している。
【0019】
図4及び図5に示すように、パレット10の周壁20(隅桁部14Aの表面壁23、中間桁部14Bの表面壁23、及び側壁リブ15)には、その全体にわたって凹部27が形成されている。この凹部27には、バージン材料の合成樹脂からなる付加層20bが形成されている。付加層20bに用いられるバージン材料は着色材によって着色され、周壁20の母材層20aとは色調が異なっている。したがって、パレット10の周壁20全体は、上板状材11から一体で延設される母材層20aとその母材層20aに凹設された凹部27に付加される付加層20bとの断面二層構造(断面複数層構造)をなすように構成されている。なお、ここでいう「断面」とは、上板状材11(下板状材12)に対して平行な断面を意味する。
【0020】
図5及び図6に示すように、隅桁部14A及び中間桁部14Bの各表面壁23(断面二層構造をなす部位)においては、母材層20aは、先端(溶着部側の端面、以下、溶着部側端面28という。)に向かうにつれて断面積が縮小されている。そして、図3及び図6に示すように、隅桁部14A及び中間桁部14Bの各表面壁23においては、その溶着部側端面28が付加層20bのみから構成されている。すなわち、隅桁部14A及び中間桁部14Bの表面壁23における溶着部においては母材層20aの端面Tが全体にわたって付加層20bにより被覆されており、その溶着部側端面28上に母材層20aが存在することがない。
【0021】
また、図6に示すように、両パレット10a,10b同士の溶着を好適なものにするといった観点から、上側パレット10aにおける各筒状桁部14A,14B,14Cの端面は同一平面P上に位置していることが好ましい。すなわち、各筒状桁部14A,14B,14Cの高さは全て同一となるように設定されていることが好ましい。
【0022】
以下、本実施形態のパレット10a,10bの成形方法及び溶着方法について順次説明する。
まず、パレット10a,10bにおいて断面二層構造をなす部位(隅桁部14A及び中間桁部14Bの表面壁23)の成形方法について説明する。同パレット10a,10bは、図示しない射出成形機による二色成形法によって成形される。ここでは、射出成形により、付加層20bが形成される前の上側パレット10a(下側パレット10b)の周壁20が母材層20aからなる段階からその母材層20aに付加層20bを付加する段階までの成形方法について図7を用いて説明する。この二色成形法は、固定型31、可動型32及びスライドコア33を用いて行われる。
【0023】
固定型31には、母材層20aを形成する1次熱可塑性材(再生材料の合成樹脂)を流通させる図示しない第1ゲートと、付加層20bを形成する2次熱可塑性材(着色材が添加されたバージン材料の合成樹脂)を流通させる第2ゲート35の一部(固定型側第2ゲート35a)とが形成されている。また、スライドコア33には、同スライドコア33を所定方向へスライドさせることで前記固定型側第2ゲート35aに連通可能となるコア側第2ゲート35bが形成されている。なお、所望の二色成形が可能であれば、これら各種金型31,32,33の構成は特に限定されるものではない。
【0024】
母材層20aを成形する場合は、図7(a)に示すように、固定型31、可動型32及びスライドコア33によって形成された第1キャビティK1内に、第1ゲートを通じて1次熱可塑性材を射出する(第1工程)。この第1工程においては、第2ゲート35の先端(コア側第2ゲート35の先端)が可動型32により封鎖されている。このように第1キャビティK1内に1次熱可塑性材を射出した後、従来公知の保圧工程及び冷却工程を経て、周壁が母材層20aのみから構成された中間成形体が成形される。
【0025】
その後、母材層20aの側面と密着するスライドコア33を図示しない駆動手段によって同母材層20aから離間する方向(矢印X方向)へ移動させることで、図7(b)に示す第2キャビティK2が現出される。その際、上述したように、第1工程においてはスライドコア33に形成された第2ゲート35の先端が可動型32により封鎖されているため、第1キャビティK1内に射出された1次熱可塑性材が同第2ゲート35の先端内部に潜り込むおそれがなく、スライドコア33のスムーズな移動が可能となる。このように、スライドコア33を所定方向Xに移動させるといった単純な操作で第2ゲート35が形成される本実施形態においては、例えばバルブゲートや複数のスライドコアを用いて同第2ゲートを形成する場合に比べ、構成の著しい簡略化が図られる。
【0026】
次いで、図7(c)に示すように、この第2キャビティK2内に、第2ゲート35を通じて2次熱可塑性材を射出し、付加層20bを成形する(第2工程)。その結果、所定の筒状桁部(隅桁部14A及び中間桁部14B)の表面壁23が断面二層構造とされる。この第2工程の後、従来公知の保圧工程及び冷却工程を経て、可動型32及びスライドコア33を移動させることで型開きを行い、射出成形品である上側パレット10a(下側パレット10b)を取り出す。
【0027】
次に、パレット10a,10bの溶着方法について説明する。
さて、上記のように成形された上側パレット10aと下側パレット10bとは、図6に示すように各筒状桁部14A,14B,14Cの端面同士を熱溶着することで連結される。これら両パレット10a,10bを連結する場合には、まず図8(a)に示すように、各パレット10a,10bの筒状桁部14の端面同士を対向させて位置決めを行う。
【0028】
次いで、図8(b)に示すように、各パレット10a,10bを位置決めした状態において、各パレット10a,10bの筒状桁部14間に熱盤37を挿入する。そして、この熱盤37による加熱により、各筒状桁部14の端面を溶融する。その際、図8(c)に示すように、各筒状桁部14の端面は側方(同図における左右方向)に向けて溶出する。
【0029】
ここで、本実施形態においては、外部に露出する部位(パレット10の周壁20)を構成する隅桁部14A及び中間桁部14Bの表面壁23(断面二層構造をなす部位)における端面28が付加層20bのみから構成されている。換言すると、母材層20aの端面T(上側パレット10aにおいては下端面、下側パレット10bにおいては上端面)が全面にわたって付加層20bにより被覆されている。そのため、本実施形態においては、例えば表面壁23(断面二層構造をなす部位)の端面28が付加層20bと母材層20aの双方で構成されている場合に比べ、母材層20aの端部に加わる熱量が低減する。これにより、母材層20aの溶出量の低減が図られる。
【0030】
次に、図8(d)に示すように、各筒状桁部14の溶着部を溶融した状態で、両パレット10a,10bの筒状桁部14同士を連結させる。このとき、筒状桁部14の溶着部同士を相当の押し付け力によって押し付けたとしても、付加層20b側への母材層20aの溶出量が低減されているため、母材層20aの溶出部分が付加層20bの内部で止められるようになる。したがって、付加層20bの表面に母材層20aの溶融部分が溶出することがない。その後、図8(e)に示すように、所定の筒状桁部14A,14Bにおける付加層20bの外方に溶出したビート41を、爪の付いたビート取り機で除去する。ちなみに、各筒状桁部14A,14Bの表面壁23(断面二層構造をなす部位)において、母材層20aから内方に突き出るビート42は、外部から視認されないものであるため、除去する必要はない。これらの結果、母材層20aが外部に溶出せず、周壁20全体が付加層20bのみにより構成された、平坦で見栄えの良いパレット10が得られる。
【0031】
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
パレット10は、上下一対のパレット10a,10bにおける筒状桁部14同士が溶着されて構成されている。そして、パレット10a(10b)においては、外部に露出する部位を構成する隅桁部14A及び中間桁部14Bの表面壁23(断面二層構造をなす部位)の端面28が付加層20bのみから構成されている。そのため、本実施形態においては、母材層20aの端部に加わる熱量が低減し、同母材層20aの溶出量を少なくすることが可能となる。これにより、たとえ各パレット10a,10bの筒状桁部14における溶着部同士を相当の押し付け力によって押し付けたとしても、付加層20bの表面に母材層20aの溶融部分が溶出することがなく、付加層20bの色調又は材質で統一された見栄えの良いパレット10を得ることができる。
【0032】
また、上側パレット10a(下側パレット10b)における各筒状桁部14A,14B,14Cの端面は同一平面P上に位置していることが好ましい。これによれば、筒状桁部14A,14B,14Cの端面同士を溶着するに際して筒状桁部14A,14B,14Cのすべてにわたって面接触による溶着が可能となり、双方の溶着面積が充分に確保される。その結果、筒状桁部の端面間に隙間が形成される従来のパレットに比べ、本実施形態のパレットにおいては、溶着後の筒状桁部14A,14B,14Cにおける充分な耐衝撃性及び強度を確保することが容易となる。
【0033】
・ 隅桁部14A及び中間桁部14Bの各表面壁23(断面二層構造をなす部位)においては、母材層20aは、先端(溶着部側の端面28)に向かうにつれて断面積が縮小されている。これによれば、同母材層20aの端部に加わる熱量が一層低減されることとなり、母材層20aの溶出量をさらに少なくすることが可能となる。その結果、付加層20bの表面に母材層20aの溶融部分が溶出するといった問題をより効果的に回避することができる。
【0034】
・ パレット10a,10bにおいて断面二層構造をなす部位(隅桁部14A及び中間桁部14Bの表面壁23)を成形するに際し、第1キャビティK1内に1次熱可塑性材を射出する工程においては、第2ゲート35の先端が可動型32により封鎖されている。そのため、1次熱可塑性材が第2ゲート35の先端内部に潜り込むおそれがなく、スライドコア33をスムーズに移動させることができる。
【0035】
・ 周壁20は、母材層20aと付加層20bとの断面二層構造となるように構成され、母材層20aと付加層20bとは色が異なるように形成されている。母材層20aと付加層20bとは色が異なるため、周壁20とフォーク挿入孔21の内域との区別がしやすい。したがって、フォークを誤って周壁20にぶつけることは抑制され、フォークをフォーク挿入孔21へより確実に挿入させることが可能となる。
【0036】
・ 母材層20aは、再生材料の合成樹脂によって構成され、付加層20bは、バージン材料の合成樹脂によって構成されており、同付加層20bは母材層20aの外側に配置されている。この付加層20bはバージン材料の合成樹脂によって構成されているため、母材層20aよりも着色効果が発揮されやすく、容易に周壁20の存在、又はフォーク挿入孔21の存在を際立たせることを可能にする。また、付加層20bを再生材料の合成樹脂よりも強度の高いバージン材料の合成樹脂によって構成することで、周壁20の耐衝撃性が高められている。
【0037】
・ パレット10全体としては再生材料の合成樹脂によって構成され、しかも、付加層20bは周壁20に設けられているのみである。したがって、パレット1の製造コストをより安価に抑えつつ、本発明の効果を得ることができる。
【0038】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ パレット10a,10b同士の溶着が充分になされるのであれば、各筒状桁部14A,14B,14Cの高さは全て同一でなくともよい。
【0039】
・ 上側パレット10a(下側パレット10b)において隅桁部14A及び中間桁部14B双方の表面壁23(断面二層構造)の溶着部側端面28に母材層20aが含まれていてもよい。
【0040】
・ 図9に示すように、母材層20aの端面Tの一部分のみが付加層20bにより被覆されている構成を採用してもよい。
・ 付加層20bの表面上における母材層20aの溶出が抑制されるのであれば、例えば、先端(溶着部側端面28)に向かうにつれて断面積が一定である又は拡大する母材層20aを採用してもよい。なお、ここでいう「断面」とは、上板状材11(下板状材12)に対して平行な断面を意味する。
【0041】
・ 図10(a)に示すように、上側パレット10aの周壁の下端部、及び下側パレット10bの周壁の上端部をそれぞれ長手方向Nに沿って帯状に断面二層構造としてもよい。また、例えば、図10(b)に示すように、フォーク挿入孔21の短縁に沿って部分的に断面二層構造を形成してもよい。これらの場合、パレット10の周壁20のうち断面二層構造をなす部位以外は、母材層20aのみから形成されることとなる。
【0042】
・ 成形品の形状は特に限定されるものではなく、縦長状及び横長状のいずれであってもよい。そして、成形品の溶着に関しては、縦長状の成形品同士の溶着、横長状の成形品同士の溶着、及び縦長状の成形品と横長状の成形品との溶着のうちいずれであってもよい。
【0043】
・ 本実施形態では、まず、板状材11(12)と筒状桁部14とが一体化されている成形部材(上側パレット10a)を一対成形し、その後でこれら一対の成形部材を溶着する方法によりパレット10を製造したが、同パレット10の製造方法はこれに限定されるものではない。すなわち、互いに溶着される成形部材の形状はこれに限定されるものではない。この種の製造方法としては、他に以下に示すものが挙げられる。例えば、一方の成形部材の溶着部を母材層20aと付加層20bとで成形するとともに同母材層20aの端面28に付加層20bを設け、他方の成形部材の溶着部を付加層20bを形成する材料のみで成形し、これら二つの成形部材を溶着したとしても、他方の成形部材の付加層20bの表面に、一方の成形部材の母材層20aが溶出することがないので、美観を損ねることがない。
【0044】
・ 母材層20aをバージン材料の合成樹脂、付加層20bを再生材料の合成樹脂で構成して色調が異なるようにしてもよいし、母材層20a及び付加層20bともに、再生材料の合成樹脂又はバージン材の合成樹脂の同一材料によって構成して色調が異なるようにしてもよい。また、付加層20bは母材層20aとまったく異なる材料(たとえばエラストマー等)にて構成するようにしてもよい。
【0045】
・ 耐衝撃性や導電性等の所定の物性を有する材料により母材層20a及び付加層20bを形成してもよい。この場合、仮に、付加層20bの厚みを母材層20aよりも薄くしたとしても、一方の成形部材と他方の成形部材とを溶着するに際しては付加層20bの表面に母材層20aが溶出せずに付加層20bのみで統一されるため、同付加層20bの物性を充分に発揮させることができる。
【0046】
・ 母材層20aと付加層20bとを形成する材料が異なるのであれば、これら母材層20a及び付加層20bは同一の色調であってもよい。例えば、母材層20aを再生材料より形成するとともに付加層20bを導電性材料より形成した場合、双方の色調は黒色となる。
【0047】
・ 付加層20bを複数層にして断面二層以上の構成としてもよい。
・ 母材層20aに着色材を入れて構成し、パレット10の周壁20とフォーク挿入孔21の内域の色とが異なるようにしてもよい。
【0048】
・ 桁部14A,14Bの傾斜壁25を断面二層構造に形成してもよい。さらには、裏面壁24を断面二層構造に形成してもよい。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0049】
・ 前記断面複数層をなす溶着部の端面は、前記付加層のみで形成されていることを特徴とする成形品の溶着方法。これによれば、母材層の溶出量がさらに低減され、付加層の表面に母材層の溶融部分が溶出するといった問題をより効果的に回避することができる。
【0050】
・ 前記母材層は、前記溶着部の前記端面に向かうにつれて断面積が縮小されることを特徴とする成形品の溶着方法。これによれば、母材層の溶出量がさらに低減され、付加層の表面に母材層の溶融部分が溶出するといった問題をより効果的に回避することができる。
【0051】
・ 前記付加層の表面上に前記母材層が露出しないことを特徴とする成形品。これによれば、見栄えの良い成形品を得ることができる。
・ 固定型と可動型と独立したスライドコアとにより形成される第1キャビティ内に、第1ゲートを通じて1次熱可塑性材を射出して前記母材層を成形する第1工程と、前記スライドコアを前記母材層から離間するように移動させることで形成される第2キャビティ内に、前記固定型及び前記スライドコアに設けられた第2ゲートを通じて2次熱可塑性材を射出して前記付加層を成形する第2工程とを備え、前記第1工程時においては、前記第2ゲートの先端を前記可動型により封鎖することを特徴とする成形品の成形方法。これによれば、第1キャビティ内に射出された1次熱可塑性材が第2ゲートの先端の周囲に吸着するおそれがなく、スライドコアを容易且つ迅速に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態のパレットを示す側面図。
【図2】同パレットを示す側断面図。
【図3】上側パレットを示す底面図。
【図4】図3におけるA−A線断面図。
【図5】図3におけるB−B線断面図。
【図6】上側パレットと下側パレットとを溶着する際の状態を示す側断面図。
【図7】(a)〜(c)は上側パレットの成形方法を示す説明図。
【図8】(a)〜(e)は上側パレットと下側パレットとを溶着する際の状態を示す部分拡大断面図。
【図9】別例の表面壁を示す部分拡大断面図。
【図10】(a)及び(b)は別例のパレットを示す側面図。
【図11】従来のパレットを示す側面図。
【図12】図11における12−12線断面図。
【図13】同パレットの筒状桁部を示す部分拡大断面図。
【図14】同パレットにおいて筒状桁部同士を溶着した際の状態を示す部分拡大断面図。
【符号の説明】
【0053】
11…上板状材、12…下板状材、14…筒状桁部、14A…隅桁部、14B…中間桁部、14C…中央桁部、20a…母材層、20b…付加層、28…端面としての溶着部側端面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された一対の成形部材の溶着部同士が溶着されることにより双方の成形部材が連結される成形品の溶着方法において、
少なくとも一方の成形部材における溶着部の少なくとも一部は、母材からなる母材層と、同母材層の表面側に付加されるとともに同母材層とは色調又は材質の異なる付加層との断面複数層をなすように構成され、
前記一対の成形部材の溶着部同士を対向させ、それら対向する溶着部の端面において前記断面複数層をなす溶着部の端面に前記付加層が形成され、前記溶着部同士を熱溶着することによって前記一対の成形部材を一体化することを特徴とする成形品の溶着方法。
【請求項2】
対向して配置された上板状材及び下板状材と、各板状材において他方の板状材に向けて延設される複数の筒状桁部とを有し、前記上板状材及び前記下板状材における筒状桁部の溶着部同士が溶着されることにより双方の板状材が連結されるパレットの溶着方法において、
前記筒状桁部における溶着部の少なくとも一部は、母材からなる母材層と、同母材層の表面側に付加されるとともに同母材層とは色調又は材質の異なる付加層との断面複数層をなすように構成され、
一方の板状材に設けられた筒状桁部における前記断面複数層の溶着部と、他方の板状材に設けられた筒状桁部における前記断面複数層の溶着部とを互いに対向させ、それら対向する溶着部の端面に前記付加層が形成され、前記一対の板状材に設けられた筒状桁部の溶着部同士を熱溶着することによって前記一対の板状材を一体化することを特徴とするパレットの溶着方法。
【請求項3】
前記複数の筒状桁部の端面は、同一平面上に位置していることを特徴とする請求項2に記載のパレットの溶着方法。
【請求項1】
対向して配置された一対の成形部材の溶着部同士が溶着されることにより双方の成形部材が連結される成形品の溶着方法において、
少なくとも一方の成形部材における溶着部の少なくとも一部は、母材からなる母材層と、同母材層の表面側に付加されるとともに同母材層とは色調又は材質の異なる付加層との断面複数層をなすように構成され、
前記一対の成形部材の溶着部同士を対向させ、それら対向する溶着部の端面において前記断面複数層をなす溶着部の端面に前記付加層が形成され、前記溶着部同士を熱溶着することによって前記一対の成形部材を一体化することを特徴とする成形品の溶着方法。
【請求項2】
対向して配置された上板状材及び下板状材と、各板状材において他方の板状材に向けて延設される複数の筒状桁部とを有し、前記上板状材及び前記下板状材における筒状桁部の溶着部同士が溶着されることにより双方の板状材が連結されるパレットの溶着方法において、
前記筒状桁部における溶着部の少なくとも一部は、母材からなる母材層と、同母材層の表面側に付加されるとともに同母材層とは色調又は材質の異なる付加層との断面複数層をなすように構成され、
一方の板状材に設けられた筒状桁部における前記断面複数層の溶着部と、他方の板状材に設けられた筒状桁部における前記断面複数層の溶着部とを互いに対向させ、それら対向する溶着部の端面に前記付加層が形成され、前記一対の板状材に設けられた筒状桁部の溶着部同士を熱溶着することによって前記一対の板状材を一体化することを特徴とするパレットの溶着方法。
【請求項3】
前記複数の筒状桁部の端面は、同一平面上に位置していることを特徴とする請求項2に記載のパレットの溶着方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−223110(P2007−223110A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45268(P2006−45268)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】
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