説明

成形品及びその製造方法

【課題】外観や強度に優れた曲げ加工時の応力に耐えうるハニカム構造を持つ成形品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】成形品Aは、塑性を有する1枚のシートが所定の形状に成形されてなるシート材を、内部に多角柱状又は円柱状をなす複数のセルSが並設されるように折り畳み成形したコア層と、コア層の上下両面に配されるスキン層とを有する構造体に曲げ加工による曲げ部Mが形成されているためコア層に存在する接合部分がスキン層が存在することにより剥がれにくくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
構造体を曲げ加工してなる成形品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に多角柱状又は円柱状をなす複数のセルが並設される板状の構造体として、例えば、ハニカム構造体が知られている。そして、ハニカム構造体を1枚のシートから製造する方法としては、例えば、特許文献1に記載される製造方法が知られている。
【0003】
特許文献1の製造方法では、塑性を有するシートに対して、所定形状の膨出部を複数設けてシート材を成形した後、そのシート材を複数の折り線で折り畳むとともに、当接する部位同士と接合させることにより、ハニカム構造体を形成している。具体的には、1つの膨出部を折り畳むことによって、折り線方向に並設される複数のセルを有する角柱状の1つの区画体が形成されるとともに、同区画体が折り線方向と直交する方向に複数並設される。そして、隣り合う区画体同士を互いに接合することにより板状のハニカム構造体が形成される。
【0004】
ところで、上記ハニカム構造体は、単に板材として用いられるばかりでなく、曲げ加工を施されて、三次元形状を有する成形品として用いられることがある。こうした曲げ加工を施されてなる成形品としては、例えば、図6に示すようなパレットボックスを構成する各部材(例えば、底壁部分)が挙げられる(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002−531287号公報
【特許文献2】特開2004−010129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のハニカム構造体では、隣り合う区画体同士は、上壁部分又は下壁部分を除く全面を接合面として互いに接合された状態となっている。そのため、特許文献1の構造体を曲げ加工して得られる成形品には、上記区画体同士の接合部分(接合面)が、曲げ加工時の曲げ応力に耐え切れずに剥がれて、成形品の表面に裂け目が形成されることがある。こうした裂け目は成形品の外観や強度といった面で成形品の品質を低下させる要因となる。
【0007】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、その外観や強度に優れた成形品及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の成形品は、塑性を有する1枚のシートが所定の形状に成形されてなるシート材を、内部に多角柱状又は円柱状をなす複数のセルが並設されるように折り畳み成形したコア層と、該コア層の上下両面に配されるスキン層とを有する構造体に曲げ加工による曲げ部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、コア層の上下両面にスキン層が設けられているため、コア層のみからなる構造体を曲げ加工して曲げ部を形成した成形品と比較して、その強度が高められる。また、曲げ加工時において、コア層に存在する接合部分を剥がれさせるような曲げ応力が加わった場合にも、コア層の上下両面にスキン層が存在することにより、上記接合部分の剥がれ難くなり、引いては、成形品の表面に裂け目が生じることを抑制することがきる。
【0010】
請求項2に記載の成形品は、請求項1に記載の発明において、前記構造体の前記コア層において、前記セルの一方の端面は、2層構造の上壁又は下壁により閉塞されるとともに、他方の端面は一層構造の下壁又は上壁により閉塞され、前記セルの一方の端面を閉塞する上壁又は下壁には開口部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、構造体のコア層の上壁及び下壁には、2層で形成される部分(セルの一方の端面)と、1層で形成される部分(セルの他方の端面)と、上壁及び下壁が存在しない部分(開口部)がセル単位で形成されることになる。そして、スキン層を含めると、構造体の上下各面にはセル単位で1層、2層、3層の部分がそれぞれ形成されることになる。このような構造体を曲げ加工した成形品では、1層の部分は変形を許容して積極的に伸びるとともに、3層の部分は変形を許容せず、セルの構造を維持するように機能する。そして、2層の部分は1層の部分と3層の部分との中間的な役割を担う。
【0012】
このように、セル単位で変形を積極的に許容する部分と、変形を許容せずセル構造を維持する部分とが設けられることにより、曲げ加工を行なった成形品の状態においても、セル構造をより確実に維持することができる。これにより、より滑らかな凹凸形状の少ない曲面形状を有する成形品を得ることができるとともに、成形品の強度を高めることができる。
【0013】
請求項3に記載の成形品は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記構造体の前記コア層には、隣り合う前記セル間を連通する連通部が形成されていることを特徴とする。
【0014】
一般に、構造体の曲げ加工は構造体を加熱した状態で型にはめ込むことにより行なわれる。そのため、構造体の各セルが個々に完全に密閉された状態であると、セル内の空気が熱膨張してセル内の内圧が過大に高まることがある。このような状態において、成形品を型から取り出すと、型による押さえが無くなってしまうために、セル内の内圧によってセルが予期せぬ形状に変形する(とくに、曲げ加工により薄く伸ばされた上壁や下壁部分が膨らむように変形する)という問題があった。こうしたセルの変形は、構造体に曲げ加工を施して得られる成形品の表面に細かな突出部分として現れることから、成形品の品質を低下させる原因となる。
【0015】
こうした問題に対して、上記構成によれば、内圧の高まった状態にあるセル内の空気が連通部を介して他のセルに流れるため、セル内の空気が熱膨張することによるセル内の内圧の高まりを複数のセルに分散させることができる。これにより、セル内の内圧の過大な高まりを抑制することができるとともに、内圧の過大な高まりにより生じるセルの予期せぬ変形を抑制することができる。
【0016】
請求項4に記載の成形品の製造方法は、帯状をなす平面領域及び膨出領域がその幅方向に交互に配置されるシート材であって、前記膨出領域に、前記幅方向と直交する方向に延びるとともに同方向における断面形状が下向きの溝状をなす第1膨出部、及び該第1膨出部に交差するように形成され、前記幅方向に延びるとともに同方向における断面形状が多角形状又は半円状をなす複数の第2膨出部を有するシート材を、塑性を有する1枚のシートから成形する成形工程と、前記シート材を、前記平面領域と前記膨出領域との境界線を谷折りするとともに、前記膨出領域における前記第1膨出部の上面と側面との境界線を山折りして折り畳むことにより、第2膨出部により区画形成される筒状をなす複数のセルが立設されたコア層を形成する折り畳み工程と、前記平面領域と前記第2膨出部の端面とから形成される一対の重ね合わせ部により閉塞される前記セルの一方の端面において、一対の重ね合わせ部間に開口部を形成する開口形成工程と、前記コア層の上下両面にスキン層を接合して構造体を形成する接合工程と、前記構造体を曲げ加工して曲げ部を形成する加工工程とを備えることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の成形品の製造方法は、請求項4に記載の発明において、前記開口形成工程は、前記コア層を加熱することにより、前記一対の重ね合わせ部を熱収縮させて開口部を形成する工程であることを特徴とする。
【0018】
請求項4及び請求項5に記載の成形品の製造方法によれば、請求項1及び請求項2に記載の成形品を容易に製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の成形品によれば、その外観や強度を高めることができる。また、本発明の製造方法によれば、外観や強度に優れた成形品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態の成形品の斜視図。
【図2】(a)は構造体の斜視図、(b)は(a)のα―α線断面図、(c)は(a)のβ―β線断面図。
【図3】(a)はシート材の斜視図、(b)はシート材の折り畳み途中の状態を示す斜視図、(c)はシート材を折り畳んだ状態を示す斜視図。
【図4】製造装置の一例を示す模式図。
【図5】成形品としての車両の座席シートのサイドカバーを示す斜視図。
【図6】成形品としてのパレットボックスを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面に基づいて説明する。
図2(a)〜(c)に示すように、本実施形態の成形品を形成するための構造体1は、六角柱状のセルSが縦横に並設されたハニカム構造を形成するコア層2と、同コア層2の上下両面に接合されるスキン層3、4とから構成されている。
【0022】
図2(b)、(c)に示すように、コア層2は、例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂製のシートを所定形状に成形した1枚のシート材を折り畳んで形成されている。そして、コア層2は、上壁21と下壁22と、上壁21及び下壁22の間に立設され、六角筒状の筒部を並設する中間壁23とから構成されるとともに、上壁21、下壁22、中間壁23によって、コア層2の内部に六角柱状のセルSが区画形成されている。
【0023】
コア層2の内部に区画形成されるセルSには、構成の異なる第1セルS1と第2セルS2とが存在する。図2(b)に示すように、第1セルS1は、その上端が2層構造の上壁21によって閉塞されるとともに、同下端が1層構造の下壁22によって閉塞されている。この2層構造の上壁21の各層は互いに接合されている。そして、第1セルS1の上端における上壁21の中央部分には、開口部24が形成されている。開口部24は、六角形状をなす第1セルS1の端面において、中心を通る一つの対角線に沿って形成されるとともに、その形状が略楕円状に形成されている(図2(a)参照)。
【0024】
一方、図2(c)に示すように、第2セルS2は、その上端が1層構造の上壁21によって閉塞されるとともに、同下端が2層構造の下壁22によって閉塞されている。この2層構造の下壁22の層間は互いに接合されている。そして、第2セルS2の下端における下壁22の中央部分には、第1セルS1に設けられる開口部24と同様の開口部24が形成されている。
【0025】
図2(a)に示すように、第1セルS1及び第2セルS2は、X方向において第1セル同士又は第2セルS2同士が隣接して列を形成するように配置されている。そして、X方向に直交するY方向において、第1セルS1の列と第2セルS2の列とが交互に配置されている。
【0026】
図2(b)、(c)に示すように、隣接する第1セルS1同士の間、及び隣接する第2セルS2同士の間は、上壁21及び下壁22に対して垂直に形成される2層構造の中間壁23によって区画されている。中間壁23が上壁21及び下壁22に対して垂直に形成されているため、構造体1の厚み方向の力に対して強い構造となり、圧縮強度が高められている。さらに、中間壁23が2層構造に構成されているため、構造体1の圧縮強度がより高められている。
【0027】
また、この2層構造の中間壁23の層間は互いに接するのみで、離間可能に形成されている。そのため、曲げ加工を施した際の予熱によりセルS内の内圧が高められたような場合には、中間壁23は、その内圧によって層間が押し広げられて層間に連通部23aを形成する(図2(b)、(c)の破線部分参照。)。この連通部23aは、Y方向において隣接する第1セルS1同士、又は第2セルS2同士を連通する。
【0028】
スキン層3、4は、例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂製のシートからなり、コア層2の上壁21の上面及び下壁22の下面にそれぞれ接合されている。なお、熱溶着によりコア層2とスキン層3、4とを容易に接合できるという観点から、スキン層3、4を構成するシートには、コア層2のシート材を構成するシートと同じ材質のシートを用いることが好ましい。
【0029】
また、図2(b)、(c)に示すように、構造体1の上面はコア層2の上壁21とスキン層3とから構成されるとともに、構造体1の下面はコア層の下壁22とスキン層4とから構成される。そのため、構造体1の上面には、開口部24に対応して形成される、スキン層3のみで構成される1層部分L1と、1層構造の上壁21及びスキン層3から構成される2層部分L2と、2層構造の上壁21及びスキン層3から構成される3層部分L3とが設けられている。
【0030】
これら1層部分L1、2層部分L2及び3層部分L3は、構造体1の上面に対して、第1セルS1及び第2セルS2の配置位置に対応して規則的に配置されている。具体的には、第1セルS1の列に対応した位置に1層部分L1及び3層部分L3が配置されるとともに、第2セルS2の列に対応した位置に2層部分L2が配置される。そして、3層部分L3は1層部分L1を囲むように配置され、1層部分L1同士が互いに連続しないように配置されている。セル単位で見ると、第1セルS1の端面の中央部分に対応した位置に1層部分L1が配置されるとともに、第1セルS1の端面の周縁部分に対応した位置に3層部分L3が配置されている。
【0031】
また、構造体1の下面についても、上面と同様に1層部分L1、2層部分L2及び3層部分L3が形成されている。そして、構造体1の下面では、上面において1層部分L1及び3層部分L3であった部位に2層部分L2が配置されるとともに、上面において2層部分L2であった部位に1層部分L1及び3層部分L3が配置されている。
【0032】
図1は、本実施形態の成形品Aを示している。成形品Aは上記構造体1に対して曲げ加工を施したものであり、成形品Aには曲げ加工により形成された曲げ部Mが設けられている。図1に示すように、曲げ部Mの表面は、平面部の表面と比較して、1層部分L1、2層部分L2、3層部分L3の順でその形状が大きく変形している。具体的には、1層部分L1及び2層部分L2は積極的に変形を許容してその面積を大きく広げている。一方、3層部分L3は、その面積を殆ど広げることはなく、セルSの端面周縁に集まるように位置している。このように変形を積極的に許容する1層部分L1及び2層部分L2が設けられることにより、曲げ部Mの曲面形状は滑らかなものとなる。また、3層部分L3がセルの端面周縁に集まることによりセル骨格が補強され、セル構造の維持に寄与する。これにより、本実施形態の成形品Aの曲げ部Mは、滑らかな曲面構造を有するとともに強度の高いものとなっている。
【0033】
また、本実施形態の構造体1は、その上面及び下面が同じ構造を有しており、上下両面に方向性がない。そのため、構造体1から得られる成形品Aは、曲げ部Mにおいて、その凸面側(外面側)も凹面側(内面側)も略同様の表面形状及び強度を有している。よって、本実施形態の成形品Aは、曲げ部Mの凸面側を表面とする成形品として利用することもできるし、曲げ部Mの凹面側を表面とする成形品として利用することもできる。なお、本実施形態の成形品Aは、例えば、図5に示すような車両の座席のサイドカバーや、図6に示すような物品運搬用のパレットボックスを構成する各部材(例えば、底壁部分)として適用することができる。
【0034】
次に成形品Aの製造方法について説明する。
成形品Aの製造方法は、塑性を有するシートからシート材100を成形する成形工程と、そのシート材100を折り畳むことによりコア層2を形成する折り畳み工程と、コア層2に開口部24を形成する開口形成工程と、コア層2の上下両面にスキン層3、4を接合して構造体1を形成する接合工程と、その構造体1を曲げ加工して曲げ部Mを設ける加工工程とを含む。
【0035】
成形工程では、1枚の熱可塑性樹脂製のシートを所定の形状に加熱成形することによりシート材100が形成される。図3(a)に示すように、シート材100には、帯状をなす平面領域110及び膨出領域120がその幅方向(X方向)に交互に配置されている。膨出領域120には、上面と一対の側面とからなる断面下向溝状をなす第1膨出部121が膨出領域120の延びる方向(Y方向)の全体にわたって形成されている。なお、第1膨出部121の上面と側面とのなす角は90度であることが好ましく、その結果として、第1膨出部121の断面形状は下向コ字状となる。また、第1膨出部121の幅(上面の短手方向の長さ)は平面領域110の幅と等しく、かつ第1膨出部121の膨出高さ(側面の短手方向の長さ)の2倍の長さとなるように設定されている。
【0036】
また、膨出領域120には、その断面形状が正六角形を最も長い対角線で二分して得られる台形状をなす複数の第2膨出部122が、第1膨出部121に直交するように形成されている。第2膨出部122の膨出高さは第1膨出部121の膨出高さと等しくなるように設定されている。また、隣り合う第2膨出部122間の間隔は、第2膨出部122の上面の幅と等しくなっている。
【0037】
こうした第1膨出部121及び第2膨出部122は、シートの塑性を利用してシートを部分的に上方に膨出させることにより形成されている。また、シート材100は、真空成形法や圧縮成形法等の周知の成形方法によって1枚のシートから成形することができる。
【0038】
折り畳み工程では、図3(a)、(b)に示すように、シート材100を、平面領域110と膨出領域120との境界線Pにて谷折りするとともに、第1膨出部121の上面と側面との境界線Qにて山折りしてX方向に圧縮する。そして、第1膨出部121の上面と側面とが折り重なるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なることによって、一つの膨出領域120に対して一つのY方向に延びる角柱状の区画体130が形成される(図3(c)参照)。こうした区画体130がX方向に連続して形成されていくことにより板状のコア層2が形成される。
【0039】
このとき、第1膨出部121の上面と側面とによってコア層2の上壁21が形成されるとともに、第2膨出部122の端面と平面領域110とによってコア層2の下壁22が形成される。また、第2膨出部122の上面及び側面によって中間壁23が形成される。なお、上壁21における第1膨出部121の上面と側面とが折り重なって2層構造を形成する部分、及び下壁22における第2膨出部122の端面と平面領域110とが折り重なって2層構造を形成する部分がそれぞれ重ね合わせ部131となる(図3(c)参照)。
【0040】
また、第2膨出部122が折り畳まれて区画形成される六角柱状の領域が第2セルS2となるとともに、隣り合う一対の区画体130間に区画形成される六角柱状の領域が第1セルS1となる。第1セルS1では、一対の重ね合わせ部131によってその上端が閉塞され、第2セルS2では、一対の重ね合わせ部131によってその下端が閉塞されている。
【0041】
なお、こうした折り畳み工程を実施するに際して、シート材100を加熱処理して軟化させた状態としておくことが好ましが、加熱処理を行なうことなく折り畳み工程を実施することも可能である。
【0042】
開口形成工程では、コア層2の折り畳み状態を保持したままの状態で、その上面及び下面が所定の温度にて加熱される。そして、ベルトコンベア等によりコア層2の厚み方向(図2(b)、(c)における上下方向)に押圧されることにより、2層構造の重ね合わせ部131が熱溶着して接合される。同時に各重ね合わせ部131が熱収縮して、第1セルS1の上端及び第2セルS2の下端を区画する一対の重ね合わせ部131間に開口部24としての隙間が形成される(図2参照)。なお、折り畳み工程の際にシート材100を加熱処理していた場合には、開口部24をより容易に形成するという観点から、開口形成工程における加熱処理は、折り畳み工程時の加熱処理時の温度よりも高い温度で行なうことが好ましい。また、重ね合わせ部131が収縮しつつも、2層構造の中間壁23間が熱溶着して接合されない条件で行なわれる。
【0043】
接合工程は、開口形成工程を経て得られたコア層2の上面及び下面にそれぞれスキン層3、4を接合することで、図2に示す構造体1を得る工程である。本実施形態では、スキン層3、4として、コア層2を構成する熱可塑性樹脂と同一の熱可塑性樹脂製のシートを用いている。スキン層3、4はコア層2に熱溶着されることでコア層2に接合されている。なお、スキン層3、4を構成するシートとコア層2を構成するシート材100とを同じ材質のシートを用いた場合には、スキン層3、4とコア層2とを熱溶着により接合することができる。そのため、接着剤を使用してスキン層3、4とコア層2とを接合する場合と比較して簡単な構成で接合工程を行なうことができる。
【0044】
続く加工工程は、構造体1に対して、加熱処理を施して軟化状態とし、例えばプレス加工等の曲げ加工を施すことによって曲げ部Mを形成して成形品Aを得る工程である。図1に示す成形品Aでは、半球面状の曲げ部Mを設けている。なお、加工工程における加熱温度をコア層2及びスキン層3、4を構成するシートの軟化温度に設定し、構造体1を軟化状態としておくことにより、コア層2とスキン層3、4とが溶着(溶融)状態で曲げ加工が行なわれる。これにより、曲げ加工時におけるコア層2とスキン層3、4との接合部分の剥がれや裂け目の形成が抑制される。
【0045】
また、加工工程において、加熱処理の予熱により成形品AのセルSの内圧が高まった状態となる。このとき、セルS内の内圧によって、2層構造の中間壁23の層間が押し広げられて層間に連通部23aが形成される(図2(b)、(c)参照)。そして、連通部23aを介してセルS内の内圧が中間壁23を挟んで隣接する他のセルSへと分散される。なお、本実施形態では、コア層2を形成するシート材100が熱可塑性樹脂から形成されている。そのため、曲げ加工後の冷却時に樹脂が収縮することによって、押し広げられた状態にある中間壁23の各層が元の2層構造の状態に戻ることもある。また、中間壁23は、曲げ加工時の力やセルS内の内圧によって、左右に広がることが多いので、方向性がなく、強度低下にも繋がらない。
【0046】
図4は、構造体1を連続して製造する装置の概略を示している。図4に示す装置において、左側が上流側であり右側が下流側である。上流側に配置されるシートロール30は、コア層2の原材料となる熱可塑性樹脂製のシートが巻回されたものである。シートロール30の下流側には真空成形用ドラム31が配置されている。この真空成形用ドラム31は、回転駆動可能に軸支されるとともに所定の温度に加熱可能に構成されている。さらに、真空成形用ドラム31の外周部には、円筒状をなす成形金型が取着されており、成形金型に形成されている貫通孔を通じた真空引きが可能に構成されている(図示略)。成形金型の外周面には、その周方向に対してシート材100のX方向が沿うように、シート材100の平面領域110及び膨出領域120からなる凹凸形状と同様の凹凸形状が形成されている。
【0047】
真空成形用ドラム31の下流側には、それぞれ上下一対の第1のコンベヤ32及び第2のコンベヤ33が順に配置されている。第2のコンベヤ33による搬送速度は第1のコンベヤ32による搬送速度よりも遅くなるように設定されている。また、第2のコンベヤ33には、第2のコンベヤ33間の温度を所定の温度に加熱するための加熱装置33aが設けられている。
【0048】
また、第2のコンベヤ33の下流側には、上下一対の第3のコンベヤ34が配置されている。第3のコンベヤ34には、第3のコンベヤ34間の温度を所定の温度に加熱するための加熱装置34aが設けられている。なお、第3のコンベヤ34による搬送速度は第2のコンベヤ33による搬送速度と等しくなるように設定されている。また、第3のコンベヤ34の搬入口近傍には、スキン層3、4の原材料となる熱可塑性樹脂製のシートが巻回されたシートロール35、36がそれぞれ配置されている。
【0049】
次に、図4に示す装置によって構造体1を形成する態様について説明する。まず、シートロール30からシートが繰り出され、真空成形用ドラム31に供される。そして、真空成形用ドラム31にてシートに所定の凹凸形状が形成されてシート材100が成形される(成形工程)。成形されたシート材100は、第1のコンベヤ32及び第2のコンベヤ33によって、その上下方向の移動を規制された状態で下流側へと搬送される。このとき、第2のコンベヤ33による搬送速度は第1のコンベヤ32による搬送速度よりも遅くなるように設定されているため、シート材100は第1のコンベヤ32から第2のコンベヤ33に搬送されるに際して、下流方向へ圧縮されて折り畳まれ、コア層2が形成される(折り畳み工程)。
【0050】
また、形成されたコア層2は、第2のコンベヤ33の加熱装置33aによって加熱されるとともに、第2のコンベヤ33によって押圧される。これにより、コア層2の重ね合わせ部131が熱溶着されるとともに、収縮してコア層2に開口部24が形成される(開口形成工程)。そして、コア層2は第3のコンベヤ34へと搬送される。コア層2が第3のコンベヤ34に搬送されるに際して、コア層2の上下両面と第3のコンベヤ34との間には、シートロール35、36から繰り出されたスキン層3、4が挿入される。そして、第3のコンベヤ34の加熱装置34aによって、スキン層3、4及びコア層2の上下両面が加熱される。この加熱により、コア層2の上下両面にスキン層3、4が熱溶着され、構造体1が得られる(接合工程)。
【0051】
このように板状の構造体1を連続して製造することができる。そして、第3のコンベヤ34より搬出された構造体1は用途に応じた大きさに切断されるとともに、曲げ部Mを形成する加工工程を経て成形品Aとなる。
【0052】
次に本実施形態における作用効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態の成形品Aは、塑性を有する1枚のシートから形成されてなるシート材を、六角柱状をなす複数のセルSが並設されるように折り畳み成形したコア層2と、コア層2の上下両面に配されるスキン層3、4とを有する構造体1に曲げ加工による曲げ部Mが形成されている。
【0053】
コア層2の上下両面にスキン層3、4が設けられているため、コア層2のみからなる構造体に曲げ加工による曲げ部Mを形成して得られる成形品と比較して、その強度が高められている。また、曲げ加工時において、コア層2に存在する接合部分(とくに、区画体130間の接合部分)を剥がす方向の曲げ応力が加わった場合にも、コア層2の上下両面にスキン層3、4が存在することにより、上記接合部分が剥がれ難くなる。そして、上記接合部分の剥がれに起因して成形品の表面に裂け目が生じることを抑制することができる。
【0054】
(2)コア層2において、第1セルS1の上端は2層構造の上壁21により閉塞されるとともに下端は1層構造の下壁22により閉塞され、また、2層構造の上壁21には開口部24が形成されている。一方、第2セルS2の上端は1層構造の上壁21により閉塞されるとともに下端は2層構造の下壁22により閉塞され、また、2層構造の下壁22には開口部24が形成されている。
【0055】
これにより、構造体1の上下各面には、スキン層3、4を含めて、開口部24に対応する1層部分L1と、1層構造の上壁及び下壁に対応する2層部分L2と、2層構造の上壁及び下壁に対応する3層部分L3とがそれぞれセル単位で形成される。この構造体1に対して曲げ加工による曲げ部Mを形成して得られる成形品Aでは、1層部分L1は変形を許容して積極的に伸びるとともに、3層部分L3は変形を許容せず、セルSの構造を維持するように機能する。そして、2層部分L2は1層部分L1と3層部分L3との中間的な役割を担う。
【0056】
このように、セル単位で変形を積極的に許容する部分と、変形を許容せずセル構造を維持する部分とが設けられることにより、その形状が変形される曲げ部Mにおいてもセル構造をより確実に維持することができる。曲げ部Mにおける各セルSのセル構造が維持されることにより、曲げ部Mの曲面形状を滑らかな形状にすることができるとともに、曲げ部Mの強度を高めることができる。
【0057】
また、本実施形態では、セル単位で大きく変形する1層部分L1と殆ど変形しない3層部分L3とが設けられるとともに、1層部分L1の周囲の略全体を囲むように3層部分L3が位置するように設けられている。これにより、伸び変形された曲げ部Mに意図しない膨出部分やシワ等が形成されることが抑制されるとともに、曲げ部Mの強度低下を抑制することができる。また、3層部分L3に隣接して2層部分L2を位置させることにより、曲げ部Mの強度低下をさらに抑制することができる。
【0058】
(3)構造体1のコア層2には、Y方向に隣接する第1セルS1間及び第2セルS2間を連通する連通部23aが形成されている。一般に、構造体1の曲げ加工は構造体1を加熱した状態で型にはめ込むことにより行なわれる。そのため、構造体の各セルが個々に完全に密閉された状態であると、セル内の空気が熱膨張してセル内の内圧が過大に高まることがある。このような状態において、成形品を型から取り出すと、成形品に対する型による押さえが無くなってしまうために、セル内の内圧によってセルSが予期せぬ形状に変形する(とくに、曲げ加工により薄く伸ばされた上壁21や下壁22部分が膨らむように変形する)ことがある。しかしながら、上記構成によれば、内圧の高まった状態にあるセルS内の空気が連通部23aを介して他のセルSに流れるため、セルS内の空気が熱膨張することによるセルS内の内圧の高まりを複数のセルSに分散させることができる。これにより、セルS内の内圧の過大な高まりを抑制することができるとともに、内圧の過大な高まりにより生じるセルSの予期せぬ変形を抑制することができる。
【0059】
(4)本実施形態の成形品の中間壁23は2層構造に形成されている。そして、その層間は互いに接するのみで離間可能に形成されている。これにより、成形品に対して、その厚み方向に圧縮する力が過大に作用した場合に、中間壁23は、その各層が離間するように押し広げられた状態となることができる。また、押し広げられた状態となった中間壁23は、上記力が弱まるにつれて樹脂の特性により元の状態に復元しようとする。こうした成形品の厚み方向に作用する力に対して中間壁23が変形を許容することができるため、成形品は上記力に対して優れた衝撃吸収性(クッション性)を発揮する。つまり、中間壁23は衝撃吸収部として機能することができる。
【0060】
(5)本実施形態の成形品の製造方法は、一対の重ね合わせ部131により閉塞されるセルSの一方の端面において、一対の重ね合わせ部131間に開口部24を形成する開口形成工程を備えている。開口形成工程を備えることにより、構造体1の上面及び下面には、2層部分L2及び3層部分L3に加えて、開口部24に対応した1層部分L1がセル単位で形成されることになる。1層部分L1、2層部分L2、及び3層部分L3を備えた構造体1に曲げ部Mを設けて得られる成形品Aは、曲げ部Mにおいてもセル構造が維持されやすくなるため、曲げ部Mの曲面形状が滑らかで、かつ全体として強度の高いものとなる。
【0061】
(6)本実施形態の成形品の製造方法における開口形成工程では、コア層2を加熱することにより、一対の重ね合わせ部131を熱収縮させて開口部24を形成している。この構成によれば、複数のセルSに対して同時かつ短時間で開口部24を形成することができる。
【0062】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ コア層2及びスキン層3、4を構成するシートは、塑性を有するものであれば、どのような材質ものであってもよい。例えば、繊維結合材料製のシート、紙製のシートや金属製のシートであってもよい。また、コア層2及びスキン層3、4は、互いに異なる材質のシートから構成されていてもよい。
【0063】
さらに、スキン層3、4を構成するシートとして合成樹脂製の延伸シートのような分子配向を有するシートが用いられる場合がある。このような場合には、スキン層3、4におけるシートの配向方向と、コア層2における区画体130が延びる方向(Y方向)とを異ならせるように構成することが好ましい。このように構成した場合には、上記両方向を揃えた場合と比較して、X方向に沿った曲げに対する構造体1(成形品A)の強度を高めることができる。
【0064】
・ 本実施形態の成形品では、コア層2の内部に六角柱状のセルSが区画形成されていたが、セルSの形状は特に限定されるものでなく、例えば、四角柱状、八角柱状等の多角柱状や円柱状としてもよい。その際、第1セルS1と第2セルS2の形状が異なっていてもよいし、第1セルS1及び第2セルS2の一方のみが設けられるように構成してもよい。
【0065】
・ 本実施形態の成形品では、開口部24を全てのセルSに設けていたが、特定のセルSのみに開口部24を設ける構成としてもよい。例えば、第1セルS1及び第2セルS2の一方のみに開口部24を設ける構成としてもよい。また、開口部24を設けない構成としてもよい。
【0066】
・ 開口部24の形状は特に限定されるものではなく、円形状、多角形状等の如何なる形状であってもよい。
・ 本実施形態の成形品では、連通部23aは、図2におけるY方向に隣接する第1セルS1同士の間、及び第2セルS2同士の間を連通するように設けられていたが、隣接するセルS間のいずれを連通するように設けてもよい。つまり、X方向に隣接する第1セルS1(第2セルS2)同士の間や第1セルS1と第2セルS2との間を連通する連通部23aを設けてもよい。また、全てのセルSに連通部23aを設けるのではなく、特定のセルSのみに部分的に連通部23aを設ける構成としてもよい。この場合、少なくとも曲げ応力が作用する部位(曲げ部Mとその周辺部分に位置するセルS)には連通部23aを設けておくことが好ましい。さらに、連通部23aを設けない構成としてもよい。
【0067】
・ 図1に示す成形品Aは、構造体1の平面に対して上方向に膨らむ曲げ部Mのみが形成されていたが、上方向に膨らむ曲げ部Mと下方向に膨らむ曲げ部Mとがそれぞれ設けられる成形品Aであってもよい。
【0068】
・ 本実施形態では、2層構造の中間壁23の層間は全面的に互いに接するのみで離間可能に形成していたが、2層構造の中間壁23の層間に連通部23aを形成可能な構成であれば、同層間に部分的に接合部分を設けてもよい。例えば、中間壁23において、コア層2及びスキン層3、4の積層方向における両端部側を接合し、同中央側に各層が離間可能な非接着部を設けるように構成してもよい。上記構成は、例えば、接合工程におけるコア層2の加熱処理時に中間壁23の両端部が軟化する程度に加熱することによって形成することができる。
【0069】
・ 本実施形態の成形品では、セルS内の内圧が高まったときに2層の中間壁23の各層が離間して連通部23aが形成されるように構成していたが、中間壁23の層間に連通部23aとしての溝や隙間等を設けて、常時、セルS間を連通状態とするように構成してもよい。
【0070】
・ 本実施形態の成形品の製造方法における開口形成工程では、加熱処理を行うことによって一対の重ね合わせ部131を熱収縮させることにより、一対の重ね合わせ部131間に開口部24を形成していたが、開口形成工程はこれに限られるものではない。例えば、開口形成工程を、一対の重ね合わせ部131に開口部24を穿設する工程としてもよい。
【0071】
・ 本実施形態の成形品の製造方法における開口形成工程では、開口形成工程と接合工程とを別々に行なっていたが、これらを同時に行なうようにしてもよい。つまり、一対の重ね合わせ部131の熱収縮による開口部24の形成と、コア層2に対するスキン層3、4の熱溶着とを、一度の加熱処理によって同時に行なうようにしてもよい。
【0072】
・ 本実施形態の成形品の製造方法における接合工程では、スキン層3、4はコア層2に熱溶着されることでコア層2に接合されていたが、接着剤によってスキン層3、4をコア層2に接合するように構成してもよい。この場合、続く加工工程において構造体1が加熱処理された際に、接着剤が液化状態になって接合部が剥がれることを防止するために、コア層2及びスキン層3、4を構成するシートの軟化温度よりも液化温度の高い接着剤を使用することが好ましい。
【0073】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
○ 1枚のシートを成形してなり、帯状をなす平面領域及び膨出領域がその幅方向に交互に配置されるシート材であって、前記膨出領域に、前記幅方向と直交する方向に延びるとともに同方向における断面形状が下向の溝状をなす第1膨出部、及び該第1膨出部に交差するように形成され、前記幅方向に延びるとともに同方向における断面形状が多角形状又は半円状をなす複数の第2膨出部を有するシート材を、前記平面領域と前記膨出領域との境界線を谷折りするとともに、前記膨出領域における前記第1膨出部の上面と側面との境界線を山折りして折り畳むことにより形成したコア層の上下両面にスキン層を配した構造体に曲げ加工による曲げ部が形成されていることを特徴とする成形品。
【0074】
○ 前記コア層は、前記第2膨出部により区画形成される筒状をなす複数のセルを備え、該セルの一方の端面は前記平面領域と前記第2膨出部の端面とから形成される一対の重ね合わせ部により閉塞されるとともに、他方の端面は前記第1膨出部の上面により閉塞され、前記セルの一方の端面における一対の重ね合わせ部間には、開口部が形成されていることを特徴とする成形品。
【0075】
○ 塑性を有する1枚のシートが所定の形状に成形されてなるシート材を、内部に多角筒状又は円筒状をなす複数のセルが並設されるように折り畳み成形したコア層と、該コア層の上下両面に配されるスキン層とを有することを特徴とする構造体。
【0076】
○ 帯状をなす平面領域及び膨出領域がその幅方向に交互に配置されるシート材であって、前記膨出領域に、前記幅方向と直交する方向に延びるとともに同方向における断面形状が下向の溝状をなす第1膨出部、及び該第1膨出部に交差するように形成され、前記幅方向に延びるとともに同方向における断面形状が多角形状又は半円状をなす複数の第2膨出部を有するシート材を、塑性を有する1枚のシートから成形する成形工程と、前記シート材を、前記平面領域と前記膨出領域との境界線を谷折りするとともに、前記膨出領域における前記第1膨出部の上面と側面との境界線を山折りして折り畳むことにより、第2膨出部により区画形成される筒状をなす複数のセルが立設されたコア層を形成する折り畳み工程と、前記平面領域と前記第2膨出部の端面とから形成される一対の重ね合わせ部により閉塞される前記セルの一方の端面において、一対の重ね合わせ部間に開口部を形成する開口形成工程と、前記コア層の上下両面にスキン層を接合して構造体を形成する接合工程とを備えることを特徴とする構造体の製造方法。
【符号の説明】
【0077】
A…成形品、M…曲げ部、P,Q…境界線、S…セル、S1…第1セル、S2…第2セル、L1…1層部分、L2…2層部分、L3…3層部分、1…構造体、2…コア層、3,4…スキン層、21…上壁、22…下壁、24…開口部、100…シート材、110…平面領域、120…膨出領域、121…第1膨出部、122…第2膨出部、131…重ね合せ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塑性を有する1枚のシートが所定の形状に成形されてなるシート材を、内部に多角柱状又は円柱状をなす複数のセルが並設されるように折り畳み成形したコア層と、該コア層の上下両面に配されるスキン層とを有する構造体に曲げ加工による曲げ部が形成されていることを特徴とする成形品。
【請求項2】
前記構造体の前記コア層において、前記セルの一方の端面は、2層構造の上壁又は下壁により閉塞されるとともに、他方の端面は一層構造の下壁又は上壁により閉塞され、前記セルの一方の端面を閉塞する上壁又は下壁には開口部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の成形品。
【請求項3】
前記構造体の前記コア層には、隣り合う前記セル間を連通する連通部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の成形品。
【請求項4】
帯状をなす平面領域及び膨出領域がその幅方向に交互に配置されるシート材であって、前記膨出領域に、前記幅方向と直交する方向に延びるとともに同方向における断面形状が下向きの溝状をなす第1膨出部、及び該第1膨出部に交差するように形成され、前記幅方向に延びるとともに同方向における断面形状が多角形状又は半円状をなす複数の第2膨出部を有するシート材を、塑性を有する1枚のシートから成形する成形工程と、
前記シート材を、前記平面領域と前記膨出領域との境界線を谷折りするとともに、前記膨出領域における前記第1膨出部の上面と側面との境界線を山折りして折り畳むことにより、第2膨出部により区画形成される筒状をなす複数のセルが立設されたコア層を形成する折り畳み工程と、
前記平面領域と前記第2膨出部の端面とから形成される一対の重ね合わせ部により閉塞される前記セルの一方の端面において、一対の重ね合わせ部間に開口部を形成する開口形成工程と、
前記コア層の上下両面にスキン層を接合して構造体を形成する接合工程と、
前記構造体を曲げ加工して曲げ部を形成する加工工程とを備えることを特徴とする成形品の製造方法。
【請求項5】
前記開口形成工程は、前記コア層を加熱することにより、前記一対の重ね合わせ部を熱収縮させて開口部を形成する工程であることを特徴とする請求項4に記載の成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−247448(P2010−247448A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100026(P2009−100026)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】