説明

戸車

【課題】レールとの接触音を低減できると共に、レールと接する部分にひび割れが発生することを確実に防止できる戸車とする。
【解決手段】金属製の本体10の外周溝10aに、樹脂製のレール接触部材20を成形することで、そのレール接触部材20がレールに接して接触音を低減する。前記本体10の底壁部11の外周面11aとレール接触部材20の内周面20bとに、相互に係止してレール接触部材20が軸方向に変位しないようにする軸方向係止部11bと軸方向係止受部20dを形成し、本体10の鍔部12の内側面12aとレール接触部材20の外側面20aとに、相互に係止してレール接触部材20が周方向に変位しないようにする周方向係止部12bと周方向係止受部20eを形成して、レール接触部材20の荷重による変形を抑制してひび割れの発生を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアの扉を吊り下げしてレール上を走行する戸車などとして用いる戸車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動ドアとしては、扉の上部に戸車を取付け、この戸車を無目に取付けたレールに走行可能に接触し、電動モータを利用して扉を開き位置と閉じ位置に移動するものが知られている。
前述のように、レールに走行可能に接触した戸車は、レール上を回転しながら走行するが、その際にレールとの接触音が発生する問題がある。
このために、戸車におけるレールと接触する外周側部分を柔らかい樹脂とすることで、レールとの接触音を低減する戸車が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、金属製車輪の外周部に形成された円環状の溝に、ウレタン樹脂を射出成形法で注入してゴム製車輪とした戸車が開示されている。
この戸車であれば、ゴム製車輪がレールに走行可能に接触するので、レールとの接触音が低減する。
【0004】
また、特許文献2には、金属製ホイールの外周溝に、接着材を塗布した後にポリウレタン樹脂を射出成形法で注入して硬化することで合成樹脂の外周部分とした戸車(輪状物)が開示されている。
この戸車であれば、合成樹脂の外周部分がレールに走行可能に接触するので、レールとの接触音が低減する。
【0005】
【特許文献1】特開平4−309682号公報
【特許文献2】特開平5−104566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来の戸車においては、戸車のレールに接触する外周側部分がゴム製、合成樹脂であるから、その外周側部分におけるレールに接触する箇所は、その戸車を取付けた扉の荷重等によって凹み変形し、その凹み変形部は戸車の回転によって周方向に順次移動する。
前述の特許文献1に開示された戸車においては、金属製車輪とゴム製車輪とが密着されていないので、ゴム製車輪が金属製車輪の溝内において扉の荷重等に見合うだけ凹み変形するから、その凹み変形が過度となり、ゴム製車輪の内部、または外部にひび割れが発生してしまうことがある。
このように、レールに接触するゴム製車輪にひび割れが発生すると、以後の回転時に振動又は音を発生する原因となる。
【0007】
前述の特許文献2に開示された戸車においては、金属製ホイールと合成樹脂の外周部分とが接着剤で接着されているので、両者が密着しており、扉の荷重等による外周部分の凹み変形を低減してレールに接触する外周部分にひび割れの発生を防止することが可能である。
しかし、接着剤を全面に亘って均一に塗布することは困難で、接着剤の塗布にムラが生じることがある。このように、接着剤の塗布にムラがあると、金属製ホイールと外周部分との一部分の密着が完全でなくなり、その部分からひび割れを起こしてしまうことがあるので、レールに接触する外周部分にひび割れが発生することを確実に防止できない。
また、接着剤を塗布する工程が必要であるから、製造工程が複雑で、戸車の製造が面倒で時間がかかることになる。
【0008】
本発明の目的は、レールとの接触音を低減できると共に、レールと接触する部分にひび割れが発生することを確実に防止でき、しかも簡単に製造できるようにした戸車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、軸穴10bを有する底壁部11と、この底壁部11の軸方向両側に設けられた一対の鍔部12,12とで外周溝10aを形成した金属製の本体10と、
前記本体10の外周溝10a内に成形され、外周面20aと前記底壁部11の外周面11aに接した内周面20bと、前記一対の鍔部12の内側面12aに接した一対の外側面20cを有した略筒形状で樹脂製のレール接触部材20とを備え、
前記本体10の底壁部11の外周面に軸方向係止部11bが形成され、前記レール接触部材20の内周面20bには、前記軸方向係止部11bに係止して当該レール接触部材20の軸方向の変位を阻止する軸方向係止受部20dが形成され、
前記本体10の一対の鍔部12の内側面12aに複数の周方向係止部12bが形成され、前記レール接触部20の一対の外側面20cには、前記周方向係止部12bに係止して当該レール接触部材20の周方向の変位を阻止する周方向係止受部20eが形成されていることを特徴とする戸車である。
【0010】
本発明においては、本体10の鍔部12に、孔16を周方向に間隔を置いて複数形成することで周方向係止部とし、
レール接触部材20の外側面20bに、前記孔16に嵌まり合う突起24を設けることで周方向係止受部とすることができる。
【0011】
このようにすれば、本体10の外周溝10aに樹脂を注入してレール接触部材20を成形する際に、その樹脂の一部が孔16に入り込んで突起24を形成するので、樹脂を注入してレール接触部材20を成形することによって、そのレール接触部材20が本体10に対して周方向に変位しないようにできる。
【0012】
本発明においては、本体10の底壁部11の外周面11aに凹部13と突条14を形成して軸方向係止部とし、
レール接触部材20の内周面20bに、前記凹部13、突条14に嵌まり合う突条21、凹部22を形成して軸方向係止受部とし、
前記各凹部13,22、突条14,21は周方向に連続している構成にできる。
【0013】
このようにすれば、各凹部13,22と各突条14,21がそれぞれ嵌まり合うことで、レール接触部材20が本体10に対して軸方向に変位しないようにできる。
また、各凹部13,22、各突条14,21は周方向にそれぞれ連続しているので、周方向(回転方向)に段差がなく、レール接触部材20がレールに接触しながら回転する時に音が発生しにくくなる。
【0014】
本発明においては、レール接触部材20は、外周面20aが円弧状に凹んで形成され、鍔部12側の肉厚が、軸方向中央の肉厚よりも厚くすることができる。
【0015】
このようにすれば、レール接触部材20の外周面20aは円弧形状に凹んで形成され、鍔部12側の肉厚が軸方向中央の肉厚よりも厚いから、レール接触部材20が形状として安定した塊状とでき、本体10の鍔部12の周方向係止部12bに係止した状態を維持し易くなる。また、鍔部12の周方向係止部12bに係止する位置をなるべく底壁部11に接近させることができる。
【0016】
本発明においては、レール接触部材20の外周面20aは、凹部20a´と鍔部12の内側面12aとの間に平端部20a″を備えたものにできる。
【0017】
このようにすれば、レール接触部材20の外周面20aは、鍔部12側に平端部20a″を備えているから、鍔部12側の加工が行いやすくなり、かつレール接触部材20の鍔部12側での形状を安定して保つことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、樹脂製のレール接触部材20がレールに接触しながら回転するので、レールとの接触音を低減できる。
また、本体10に対してレール接触部材20が周方向及び軸方向に変位できないから、レール接触部材20の荷重による変形が抑制され、過度の変形が防止されるので、ひび割れが発生することを確実に防止できる。
また、底壁部11と一対の鍔部12との間に樹脂を注入してレール接触部材20が成形するので、そのレール接触部材20の形態を安定させることができると共に、周方向係止部12bと周方向係止受部20e及び軸方向係止部11bと軸方向係止受部20dがしっかりと係止するから、戸車を簡単に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は自動ドアの扉取付部の説明図で、扉1に連結具2が固着してあり、その連結具2に軸3がボルト4で取付けてある。
この軸3に戸車5が軸受6を介在して回転自在に取付けられ、その戸車5が図示しない無目などに設けたレール7に走行可能に接触している。
そして、図示しない電動モータを駆動することで扉1が開き位置と閉じ位置に移動するようにしてある。
【0020】
前記戸車5は、金属製の本体10と、この本体10の外周溝10aに成形した樹脂製のレール接触部材20を備えている。
前記本体10の軸穴10bが軸受6を介在して軸3に回転自在に取付けられる。前記レール接触部材20は本体10よりも柔らかく、その外周面20aがレール7に接触している。
これによって、レール7との接触音を低減できるようにしてある。
【0021】
次に、各部の具体形状を図2〜図5に基づいて説明する。なお、前記軸穴10bの中心軸の方向を軸方向とし、軸3を中心に回転する方向を周方向として説明する。
前記戸車5の本体10は、前記軸穴10bを囲む底壁部11と、この底壁部11の軸方向両側から外周に向けて張り出した一対の鍔部12を備え、この一対の鍔部12が対向する側を内側面12aとし、この一対の鍔部12の内側面12aと前記底壁部11とが略直交して矩形状を呈するようにして、この一対の鍔部12と前記底壁部11とでレール接触部材20が成形可能な前述の外周溝10aを形成している。
前記底壁部11は円筒形状で、その内周面が前記軸穴10bであると共に、内周面の反対面である外周面11aが外周溝10aの底面であり、レール接触部材20が成形された際に、レール接触部材20と対面する面である。
【0022】
前記底壁部11の外周面11aに、前記レール接触部材20が係止して底壁部11に対して軸方向に変位(移動)しないように支持する軸方向係止部11bが形成してある。
例えば、周方向に連続した環状の凹部13と周方向に連続した環状の突条14が軸方向に間隔を置いて複数形成してある。
この軸方向係止部11bは前述の凹部13のみ、又は突条14のみでも良い。
要するに、軸方向係止部11bは、軸方向とほぼ直交する方向に向かう係止部15を有する形状とすれば良く、その軸方向係止部11bは1つでも良いし、複数であっても良い。
前記係止部15は、凹部13または突条14の端縁である。すなわち、凹部13の場合は、凹部13の底面(底壁部11の肉厚が薄い部分)から、底壁部11の肉厚が厚い部分となる境界部である。突条14の場合は、突条14の頂面(底壁部11の肉厚が厚い部分)から、底壁部11の肉厚が薄い部分となる境界部である。
【0023】
図3に示すように、凹部13と突条14とを形成した場合には、凹部13の底面は突条14でいう底壁部11の肉厚が薄い部分であり、凹部13の肉厚が厚い部分は突条14でいう頂面である。
凹部13は2つ以上あることが好ましく、突条14は1つ以上あることが好ましく、図3には両鍔部12の間に、3つの突条14と4つの凹部13とが形成される例を表している。
詳細に述べると、本体10の軸方向中央上に突条14を形成し、かつ軸方向中央と鍔部12の内側面12aとの間に突条14を形成し、その両側に凹部13が形成され、軸方向中央に対称に形成される。
【0024】
前記一対の鍔部12の内側面12aには、前記レール接触部材20が鍔部12に対して周方向に変位(移動)しないように支持する周方向係止部12bが、周方向に間隔を置いて複数形成してある。
例えば、孔16が周方向に間隔を置いて複数形成してある。この孔6は鍔部12の内外を貫通して形成され、30度ごとに12個設けられている。
この周方向係止部12bは、凹部又は凸部を周方向に間隔を置いて複数形成したものでも良いし、図5に示すようにリブ状突部17を周方向に間隔を置いて放射状に複数設けたものでも良い。また、孔16は真円形状に限らず、楕円形や四角形でもよい。
要するに、周方向係止部12bは凹凸形状であれば良い。
前記周方向係止部12bは、回転方向の円周上で、かつその円周の接線に直交する線上で、レール接触部材20の一部と係止するようになっている。これにより、回転時にレール接触部材20が回転方向に移動することを阻止できる。
【0025】
前記孔16や凹部、凸部、リブ状突部17などは、底壁部11に近いほうに形成することが好ましく、底壁部11に形成することが一番好ましい。
しかし、底壁部11に形成すると、その部分が音を発生させる原因となる。つまり、底壁部11に孔16、凹部、凸部、リング状突部17などを形成すると、底壁部11の厚さが周方向に亘って均一にならずに厚い部分と薄い部分が生じるので、レール接触部材20がレール7に接触した時の凹み変形量が周方向で不均一となるから、レール7に接触しながら回転することで音が発生することになる。
【0026】
また、前述の孔16、凹部、凸部、リブ状突部17などはレール接触部材20の断面積が大きいところに対向した位置に形成することが好ましい。
例えば、前記レール接触部材20の外周面20aは軸方向に向けて円弧形状で凹んでいるので、そのもっとも低い部分(軸方向中央部)よりも内側(軸穴10b)寄りが断面積が大きいので、その外周面20aの最も低い部分よりも内側寄りと対向した径方向の位置に形成することが好ましい。
【0027】
前記軸受6は軸穴10b内に挿入され、その軸方向一端部が軸穴10bの軸方向一端寄りの段部10cに当接し、底壁部11の軸方向他端部における周方向の複数個所をカシメして軸受6の軸方向他端部に押し付けて抜け止めしてある。
【0028】
前記本体10はアルミダイキャスト製であるから、前述のような複雑形状とすることが容易である。
なお、本体10はアルミダイキャスト製に限ることはない。
【0029】
前記レール接触部材20は、外周面20aと内周面20bと軸方向両側の一対の外側面20cを有した略筒形状である。前記内周面20bが底壁部11の外周面11aに接して成形され、外側面20cが鍔部12の内側面12aに接して成形されている。外周面20aがレール7と接触する。
このレール接触部材20は、本体10の外周溝10aに樹脂、例えば熱可塑性のウレタン樹脂を注入して成形される、つまり、射出成形で成形される。
例えば、図3に仮想線で示すように本体10を成形型30にセットし、外周溝10aと成形型30とで環状空間部31を形成し、その環状空間部31にウレタン樹脂を注入して環状形状の樹脂成形体とし、その外周面を軸方向中央に向かって円弧形状に凹んだ形状に凹部20a´を加工してレール接触部材とする。
この環状空間部31において、底壁部11の外周面11aによってレール接触部材20の内周面20bが形成され、一対の鍔部12の内側面12aよってレール接触部材20の外側面20cが形成され、レール接触部材の外周面20aは、成形型に対面する側を加工して形成される。
【0030】
また、外周面20aの円弧形状は、図2に表すように鍔部12の内側面12aと、円弧形状の端部との間に、平坦状の平端部20a″が形成されるようにして加工される。つまり、外周面20aの鍔部12側は、鍔部21の先端と同じ平面上となる部分を有し、その部分を経て凹むように加工されている。
これにより、鍔部12側の加工が行いやすくなり、かつレール接触部材20の鍔部12側での形状を安定して保つことができる。特に射出成形で形成されるものであるため、レール接触部材20が外周溝10a内で接着剤のようなもので接着されるものではないことから、この平端部20a″を備えることが好ましい。
【0031】
前述するように外周面20aは、円弧形状に凹んでいるから、外周溝10aの矩形状とは異なる断面形状であり、レール接触部材20は鍔部12に接する側の樹脂が厚くなっている。これは、鍔部12側の樹脂が厚いことで、レール接触部材20が形状として安定した塊状とでき、鍔部12の周方向係止め部12bに係止めした状態を維持しやすくなる。また、鍔部12の周方向係止部12bに係止めする位置をなるべく底壁部11に近接させることができるようになる。
【0032】
前記レール接触部材20の内周面20bには、前記軸方向係止部11bに係止する軸方向係止受部20dが形成してある。
例えば、前記凹部13と突条14とそれぞれ嵌まり合う突条21と凹部22が周方向に連続して形成してある。
この軸方向係止受部20dは突条21のみ、又は凹部22のみで良い。
要するに、この軸方向係止受部20dは前記軸方向係止部11bの係止部15に係止する係止受部23を有するものである。
【0033】
前記レール接触部材20の各外側面20cには、前記周方向係止部12bに係止する周方向係止受部20eが形成してある。
例えば、前記孔16に嵌まり合う突起24が周方向に間隔を置いて複数形成してある。
要するに、この周方向係止受部20e(突起24)、前記軸方向係止受部20d(突条21、凹部22)は、本体10の外周溝10aに樹脂を注入して成形する際に、注入した樹脂が本体10の軸方向係止部11b(凹部13、突条14)、周方向係止部12b(孔16)に倣って成形されることでそれぞれ形成される。
例えば、凹部13、孔16に樹脂が入り込んで突条21、突起24を形成する。
【0034】
したがって、周方向係止受部20e、軸方向係止受部20dを形成する作業が不要で、樹脂を注入してレール接触部材20を形成するのと同時に形成されるから、戸車の製造が簡単である。
しかも、周方向係止受部20e、軸方向係止受部20dは、本体10の周方向係止部12b、軸方向係止部11bにそれぞれしっかりと係止した状態で形成されるので、レール接触部材20が本体10に対して周方向(つまり、回転方向)及び軸方向に変位することを確実に阻止することができる。
【0035】
このようであるから、図6に示すようにレール接触部材20の外周面20aがレール7に接触して、そのレール接触部材20に軸方向と直角の荷重Fのみが掛かる場合には、レール接触部材20が、その荷重Fによって軸方向と直角方向に凹み変形しながらレール7に対して回転するが、レール接触部材20の突起24が本体10の鍔部12の孔16に嵌まり合って係止していることで、そのレール接触部材20が本体10の鍔部12に対して周方向に変位できないから、前述の荷重による凹み変形が抑制され、レール接触部材20の過度の変形を防止できる。
【0036】
また、図7に示すように戸車5がレール7に対して傾いた状態、例えば自動ドアの扉1が強風雨などで押された場合においては、レール接触部材20に掛かる荷重Fは戸車の軸方向と直角方向に対して斜め方向になり、そのレール接触部材20に掛かる荷重は、そのレール接触部を境として右側20−1よりも左側20−2が大きくなる。
このために、レール接触部材20の左側20−2が圧縮され、右側20−1は延びることになるが、レール接触部材20の突条21、凹部22が本体10の底壁部11の凹部13、突条14に嵌まり合ってレール接触部材20が本体10の底壁部11に対して軸方向に変位しないので、レール接触部材20の前述の荷重による変形が抑制され、レール接触部材20の過度の変形を防止できる、
【0037】
要するに、前述のように、レール接触部材20におけるレール7との接触部を境として左側と右側に掛かる荷重にばらつきがあると、そのレール接触部20は荷重の大きい方が圧縮変形し、小さい方が延び変形しようとする。つまり、レール接触部材20が本体10に対して軸方向に変位して圧縮、延び変形することになる。
しかし、本発明は、前述のようにレール接触部材20が本体10に対して軸方向に変位しないので、前述の圧縮変形、延び変形が抑制され、過度の変形を防止できる。
【0038】
したがって、本発明の戸車であれば、レール接触部材20の外周面20aがレール7に接触して回転する際に、そのレール接触部材20に掛かる荷重で変形することが抑制され、過度の変形を防止できるから、レール接触部材20にひび割れが発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】自動ドアの扉取付部の説明図である。
【図2】戸車の拡大断面図である。
【図3】本体の断面図である。
【図4】本体の一部破断側面図である。
【図5】本体の周方向係止部の他の例を示す一部断面図である。
【図6】戸車の動作説明図である。
【図7】戸車の動作説明図である。
【符号の説明】
【0040】
10…本体、10a…外周溝、10b…軸穴、11…底壁部、11a…外周面、11b…軸方向係止部、12…鍔部、12a…内側面、12b…周方向係止受部、13…凹部、14…突条、20…レール接触部材、20a…外周面、20b…内周面、20c…外周面、20d…軸方向係止受部、20e…周方向係止受部、21…突条、22…凹部、24…突起。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸穴10bを有する底壁部11と、この底壁部11の軸方向両側に設けられた一対の鍔部12,12とで外周溝10aを形成した金属製の本体10と、
前記本体10の外周溝10a内に成形され、外周面20aと前記底壁部11の外周面11aに接した内周面20bと、前記一対の鍔部12の内側面12aに接した一対の外側面20cを有した略筒形状で樹脂製のレール接触部材20とを備え、
前記本体10の底壁部11の外周面に軸方向係止部11bが形成され、前記レール接触部材20の内周面20bには、前記軸方向係止部11bに係止して当該レール接触部材20の軸方向の変位を阻止する軸方向係止受部20dが形成され、
前記本体10の一対の鍔部12の内側面12aに複数の周方向係止部12bが形成され、前記レール接触部20の一対の外側面20cには、前記周方向係止部12bに係止して当該レール接触部材20の周方向の変位を阻止する周方向係止受部20eが形成されていることを特徴とする戸車。
【請求項2】
本体10の鍔部12に、孔16を周方向に間隔を置いて複数形成することで周方向係止部とし、
レール接触部材20の外側面20cに、前記孔16に嵌まり合う突起24を設けることで周方向係止受部とした請求項1記載の戸車。
【請求項3】
本体10の底壁部11の外周面11aに凹部13と突条14を形成して軸方向係止部とし、
レール接触部材20の内周面20bに、前記凹部13、突条14に嵌まり合う突条21、凹部22を形成して軸方向係止受部とし、
前記各凹部13,22、突条14,21は周方向に連続している請求項1又は2記載の戸車。
【請求項4】
レール接触部材20は、外周面20aが円弧状に凹んで形成され、鍔部12側の肉厚が、軸方向中央の肉厚よりも厚い請求項1記載の戸車。
【請求項5】
レール接触部材20の外周面20aは、凹部20a´と鍔部12の内側面12aとの間に平端部20a″を備えている請求項1記載の戸車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−13623(P2009−13623A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174892(P2007−174892)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】