説明

扉のラッチ装置

【課題】把手を、上下、左右のいずれの方向から操作しても、ラッチを確実に解除操作することができるとともに、構造が簡単で、円滑に作動しうるようにした扉のラッチ装置を提供する。
【解決手段】扉4に、上下および左右のいずれの方向からも操作可能とした操作部60eを設けた把手60を、ほぼ垂直の不作動位置から、中央部の支点を中心として、上下または左右のいずれの方向にも傾動可能として装着するとともに、把手60が嵌合する窓孔72を設けた作動板73の一縁部を枢着し、把手60の外周部に、この把手60が不作動位置からいずれの方向に傾動させられたときにも、作動板73を、不作動位置から作動位置へ押動しうるようにした突片71を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の前面開口部に開閉自在に装着した扉に、閉止時に筐体の被係合部と係脱しうるラッチを設け、このラッチを、扉の前面に設けた把手の操作により、被係合部と係脱させうるようにした扉のラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の扉のラッチ装置は、扉に枢着した把手を手前に引くことにより、把手を一方向に回動させて、ラッチを解除させるようにしたものが一般的である(例えば特許文献1参照)。
また、把手を、左右または上下のいずれの方向に回動させても、ラッチを解除できるようにしたものもある(例えば特許文献2、および3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−266348号公報
【特許文献2】特開2004−332504号公報
【特許文献3】実開昭63−96177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の従来のものは、いずれも、把手の操作方向が、1方向か2方向に制限されているため、それ以外の方向に把手を操作しても、ラッチを解除することができない。
それに対して、例えば、多数のキャビネットやロッカー等を、上下に積み重ね、かつ左右に並べて配設した収納システムにおいては、キャビネット等の扉に設けられた高所にある把手は下方から、低所にある把手は上方から操作することによって、また中間にある把手は左右いずれの方向から操作しても、ラッチを解除しうることが望まれており、しかも、すべての把手を同一デザインの同一構造とすることが望まれている。
このような要求を満足するためには、把手を、上下、左右のいずれの方向から操作しても、ラッチを解除操作しうるようにすることが必要である。
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、把手を、上下、左右のいずれの方向から操作しても、ラッチを確実に解除操作することができるとともに、構造が簡単で、円滑に作動しうるようにした扉のラッチ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 筐体の前面開口部に開閉自在に装着された扉に設けられ、閉扉時に前記筐体の被係合部と係脱しうるラッチと、このラッチを被係合部から離脱させる操作をする把手とを備える扉のラッチ装置において、前記扉に設けた前面が開口する把手収容部に、把手を、不作動位置と作動位置とに移動可能として収容するとともに、前記把手を不作動位置に向けて付勢する付勢手段を設け、前記把手の前部に、上下および左右のいずれの方向からも把手を作動位置側へ操作可能な操作部を設け、さらに、前記把手の作動位置側への移動に連動して、前記ラッチを、筐体の被係合部から離脱する非係合位置へ移動させる連係手段をもって、前記把手とラッチとを連係する。
【0007】
(2) 上記(1)項において、把手収容部に、把手を、前方の作動位置と後方の不作動位置とに亘って、前後方向に移動可能として収容し、付勢手段により、把手を、後方の不作動位置に向かって常時付勢する。
【0008】
(3) 上記(2)項において、把手の前部を筒状とし、その前部に、内方を向く指掛け用の操作部を設ける。
【0009】
(4) 上記(1)項において、把手収容部に、把手を、前方の不作動位置と後方の作動位置とに亘って、前後方向に移動可能として収容し、かつ把手を、付勢手段により、前方の不作動位置に向かって常時付勢する。
【0010】
(5) 上記(4)項において、把手収容部の前端部内面に、内方を向く指掛け部を設け、この指掛け部に指先を掛けた指の第1関節または第2関節部分により、把手の前端における操作部を、後方へ押動しうるようにする。
【0011】
(6) 上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、連係手段を、一端が把手に、他端がラッチにそれぞれ止着され、把手の作動位置側への移動に連動して、前記ラッチを、非係合位置へ牽引する索条とする。
【0012】
(7) 上記(1)項において、把手収容部に、把手を、扉の前面と平行をなす不作動位置と、把手中央部を挟んで相対する1対の縁のいずれか一方が他方より前方に位置するように傾動した作動位置とに移動可能として収容する。
【0013】
(8) 上記(7)項において、把手を、前後方向を向く短寸の筒部の後端部外周に拡大鍔部を設け、かつ前記筒部の前端部に内向きの操作部を設けたものとし、把手収容部を、前記把手の拡大鍔部が後端面に当接しうるとともに、前記把手の拡大鍔部とほぼ補形をなし、かつ前端開口部に、前記把手の傾動を所要範囲に制限する内向き鍔部を設けた短寸の角孔とする。
【0014】
(9) 上記(8)項において、連係手段を、扉における把手収容部の近傍に枢着され、かつ両端に、把手の上下部または左右両側部における拡大鍔部の前面に当接する把手押え片を有する作動杆を備え、前記把手を、不作動位置へ傾動させることにより、いずれかの把手押え片が、前記拡大鍔部により前方に押動させられて、作動杆が回動し、前記作動杆に連係されたラッチが、非係合位置へ移動させるようにする。
【0015】
(10) 上記(9)項において、1対の作動杆を、扉における把手を挟む上下部または左右両側部に配設し、各作動杆の把手押え片の先端部を、把手における四隅の拡大鍔部の前面に当接させ、いずれかの作動杆を、拡大鍔部により回動させることによって、各作動杆に連係されたラッチを、非係合位置へ移動させるようにする。
【0016】
(11) 上記(9)または(10)項において、付勢手段を、作動杆に巻回され、かつ作動杆に、把手押え片の先端部が把手の拡大鍔部を後方に押動する方向の回動付勢力を付与するようにしたねじりコイルばねとする。
【0017】
(12) 上記(9)〜(11)項のいずれかにおいて、連係手段を、ラッチと一体となって回動するようにして扉に枢設したラッチ軸、または、一端に設けた折曲片により、ラッチを非係合位置に押動しうるようにして扉に枢設した作動軸の一部にアームを設け、このアームを、作動杆の把手押え片、または作動杆に設けた突片が押動することにより、前記ラッチ軸または作動軸を回動させて、ラッチを非係合位置に移動させるものとする。
【0018】
(13) 上記(7)または(8)項において、連係手段を、一端が把手の中央部に、かつ他端がラッチに連結され、前記把手の作動位置側への移動により牽引されて、前記ラッチを非係合位置側に移動させるようにした索条とする。
【0019】
(14) 筐体の前面開口部に開閉自在に装着された扉に設けられ、閉扉時に前記筐体の被係合部と係脱しうるラッチと、このラッチを被係合部から離脱させる操作をする把手とを備える扉のラッチ装置において、前記扉に、上下および左右のいずれの方向からも操作可能とした操作部を設けた把手を、ほぼ垂直の不作動位置から、中央部の支点を中心として、上下または左右のいずれの方向にも傾動可能として装着するとともに、前記把手が嵌合する窓孔を設けた作動板の一縁部を枢着し、前記把手の外周部に、この把手が不作動位置からいずれの方向に傾動させられたときにも、前記作動板を、不作動位置から作動位置へ押動しうるようにした突片を設け、前記把手と作動板とを、不作動位置に向けて付勢する付勢手段を設け、さらに、前記作動板の作動位置側への移動に連動して、前記ラッチを、筐体の被係合部から離脱する非係合位置へ移動させる連係手段をもって、前記作動板とラッチとを連係する。
【0020】
(15) 上記(14)項において、把手を、中央部の支点から全放射方向へ傾動可能とする。
【0021】
(16) 上記(14)または(15)項において、把手の中央部を、球面軸受をもって、扉に枢設する。
【0022】
(17) 上記(14)〜(16)項のいずれかにおいて、把手に、上下および左右に突出する複数の突片を設け、前記把手と作動板とが不作動位置に位置しているとき、上下および左右の突片が、作動板に当接するようにする。
【0023】
(18) 上記(14)〜(17)項のいずれかにおいて、連係手段が、ラッチと一体となって回動するようにして扉に枢設されたラッチ軸、または、一端に設けた折曲片により、ラッチを非係合位置に押動しうるようにして扉に枢設された作動軸と、前記ラッチ軸または作動軸の一部に設けられ、作動板の不作動位置から作動位置への回動時に、前記作動板の遊端部により回動させられて、前記ラッチ軸または作動軸を介して、前記ラッチを非係合位置へ回動させるようにしたアームとを備えるものとする。
【0024】
(19) 上記(14)〜(18)項のいずれかにおいて、付勢手段を、作動板を不作動位置に向けて付勢するばねとし、かつ前記作動板を介して、把手の突片を押圧することにより、把手を、不作動位置に向けて付勢するようにする。
【0025】
(20) 上記(7)〜(19)項のいずれかにおいて、操作部を、前面に開口部を設けた把手における前記開口部の全内周縁に沿って内向きに設ける。
【0026】
(21) 上記(7)〜(19)項のいずれかにおいて、操作部を、把手の前端部の全外周縁より放射状に突出させて設ける。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
上記(1)項記載の発明によると、把手における操作部を、上下、左右のいずれの方向から操作しても、把手が不作動位置から作動位置へ移動させられ、それに伴って、ラッチが非係合位置へ移動させられ、ラッチを確実に解除操作することができるので、使い勝手がよい。
特に、多数のキャビネットやロッカー等を、上下に積み重ね、かつ左右に並べて配設した収納システムにおいて、操作する方向が異なるすべての把手の構造および形状を同一とすることができるので、デザインの統一を図ることができる。
【0028】
上記(2)項記載の発明によると、上下、左右のいずれの方向からでも、手を把手に近づけ、指先で把手を手前に引くだけで、ラッチを確実に解除操作することができるので、使い勝手がよい。
【0029】
上記(3)項記載の発明によると、把手の前部を筒状とし、その前部に内方を向く指掛け用の操作部を設けてあるので、任意の方向から、把手の内側の操作部の任意の部分に手を掛けて、手前に引くだけで操作でき、また、上下、左右からだけでなく、それらの中間の斜めの方向からも操作することができ、操作性がよい。
【0030】
上記(4)項記載の発明によると、上下、左右のいずれの方向からでも、手を把手に近づけ、指にて把手を後方に押すだけで、ラッチを確実に解除操作することができるので、使い勝手がよい。
【0031】
上記(5)項記載の発明によると、把手収容部の前端部内面における指掛け部に指先をかけ、その指の第1関節または第2関節の部分により、把手の前端における操作部を後方に押動することにより、てこの原理を利用して、ラッチを簡単かつ確実に解除操作することができる。
【0032】
上記(6)項記載の発明によると、連係手段の構造を簡素化および小型化することができるとともに、円滑に作動しうるようにすることができる。
【0033】
上記(7)項記載の発明によると、把手における操作部を、上下、左右のいずれの方向から操作しても、把手が傾動し、それによってラッチが非係合位置へ移動させられ、ラッチを確実に解除操作することができるので、使い勝手がよく、上記(1)項記載の発明と同様の効果を奏することができる。
【0034】
上記(8)項記載の発明によると、把手と把手収容部の構造を簡素化しうるとともに、把手を、把手収容部内において円滑に傾動しうるようにすることができる。
【0035】
上記(9)項記載の発明によると、把手のあらゆる方向の傾動運動を、構造が簡単な作動杆により、ラッチの非係合位置方向への運動に、簡単かつ円滑に変換することができる。
【0036】
上記(10)項記載の発明によると、作動杆を1対とし、しかも各作動杆の把手押え片の先端部を、把手における四隅の拡大鍔部の前面に当接させてあるので、把手のあらゆる方向の傾動を確実に捉えて、ラッチを正確に非係合位置方向へ移動させることができる。
【0037】
上記(11)項記載の発明によると、付勢手段を、ねじりコイルばねで簡単に構成することができるとともに、作動杆とともに、扉内にコンパクトに収容することができる。
【0038】
上記(12)項記載の発明によると、連係手段の構造を簡素化することができるとともに、円滑に作動しうるようにすることができる。
【0039】
上記(13)項記載の発明によると、連係手段の構造を簡素化および小型化することができるとともに、円滑に作動しうるようにすることができる。
【0040】
上記(14)項記載の発明によると、把手の操作部を、上下、左右のいずれの方向から操作しても、把手が傾動し、それに伴って、突片により、作動板が不作動位置から作動位置へ回動させられ、それによって、ラッチを確実に解除操作することができるので、使い勝手がよい。
また、把手と作動板との組み合わせにより、把手は、その中央部の支点を中心として傾動できるので、バランスがよい。
【0041】
上記(15)項記載の発明によると、把手を、中央部の支点からすべての放射方向に傾動可能としてあるので、把手を、上下、左右からだけでなく、それらの中間の斜めの方向からも操作することができ、操作性がよい。
【0042】
上記(16)項記載の発明によると、把手を、その中央部で、球面軸受をもって、扉に安定して支持することができるとともに、中央部を支点として、円滑に傾動することができる。
【0043】
上記(17)項記載の発明によると、把手と作動板とを互いに同一面内に配設して、操作部分の薄型化を図ることができ、薄型の扉にも適用することができる。
【0044】
上記(18)項記載の発明によると、連係手段の構造を簡素化することができるとともに、円滑に作動しうるようにすることができる。
【0045】
上記(19)項記載の発明によると、付勢手段を、ばねで簡単に構成することができるとともに、単一のばねで、作動板と把手とを不作動位置に向けて付勢することができ、構造を簡素化することができる。
【0046】
上記(20)項記載の発明によると、操作部を、前面に開口部を設けた把手における前記開口部の全内周縁に沿って内向きに設けてあるので、把手の開口部に手を入れ、指を任意の方向の操作部に掛けて、手前に引くだけで操作でき、また、上下、左右からだけでなく、それらの中間の斜めの方向からも操作することができ、操作性がよい。
【0047】
上記(21)項記載の発明によると、操作部を、把手の前端部の全外周縁より放射状に突出させて設けてあるので、任意の方向から、把手の外側の操作部の任意の部分に手を掛けて、手前に引くだけで操作でき、また、上下、左右からだけでなく、それらの中間の斜めの方向からも操作することができ、操作性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の扉のラッチ装置を備える3個のキャビネット(A)(B)(C)を順次積み重ねた収納システムを示す斜視図である。
【図2】本発明の前提となる参考例1を示すもので、図1のII−IIに沿う拡大横断平面図である。
【図3】同じく、キャビネット(B)の扉の把手部分の拡大正面図である。
【図4】同じく、要部の斜視図である。
【図5】同じく、要部の分解斜視図である。
【図6】同じく、図1のVI−VIに沿う概略拡大縦断側面図であって、(a)は非操作時、(b)は把手の下部を引いたとき、(c)は把手の上部を引いたとき、のそれぞれの状態を示す図である。
【図7】同じく、図1のVII−VIIに沿う概略拡大横断平面図であって、(a)は非操作時、(b)は把手の左部を引いたとき、(c)は把手の右部を引いたとき、のそれぞれの状態を示す図である。
【図8】本発明の前提となる参考例2を示すもので、キャビネット(A)の引出しの前面板における把手部分の拡大正面図である。
【図9】同じく、図8のIX−IXに沿う概略拡大縦断側面図であって、(a)は非操作時、(b)は把手の下部を引いたとき、(c)は把手の上部を引いたとき、のそれぞれの状態を示す図である。
【図10】同じく、図8のX−Xに沿う概略拡大横断平面図であって、(a)は非操作時、(b)は把手の左部を引いたとき、(c)は把手の右部を引いたとき、のそれぞれの状態を示す図である。
【図11】本発明の前提となる参考例3における扉の把手部分の正面図である。
【図12】同じく、図11のXII−XIIに沿う概略拡大縦断側面図である。
【図13】同じく、図12の状態から、把手の上部を引いたときの状態を示す、図12と同様の概略拡大縦断側面図である。
【図14】本発明の前提となる参考例4における扉の把手部分の横断平面図である。
【図15】本発明の前提となる参考例5における扉の把手部分の縦断側面図である。
【図16】本発明の前提となる参考例6における扉の把手部分の縦断側面図である。
【図17】本発明の前提となる参考例7における扉の把手部分の縦断側面図である。
【図18】本発明の前提となる参考例8における扉の把手部分の縦断側面図である。
【図19】本発明の第1の実施形態における、図3と同様の扉の把手部分の拡大正面図である。
【図20】同じく、要部の分解斜視図である。
【図21】図19のXXI−XXIに沿う概略拡大縦断側面図であって、(a)は非操作時、(b)は把手の下部を引いたとき、(c)は把手の上部を引いたときの状態を示す図である。
【図22】図19のXXII−XXIIに沿う概略拡大横断平面図であって、(a)は非操作時、(b)は把手の左部を引いたとき、(c)は把手の右部を引いたときの状態を示す図である。
【図23】本発明の第2の実施形態における要部の横断平面図であって、(a)は非操作時、(b)は把手の左側部を後方に押したときの状態を示す図である。
【図24】本発明の第3の実施形態における要部の横断平面図であって、(a)は非操作時、(b)は把手の左側部を後方に押したときの状態を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の扉のラッチ装置を備える3個のキャビネット(A)(B)(C)を順次積み重ねた収納システムを示す。
これらのキャビネット(A)(B)(C)に設けたすべての把手(1)は、構造およびデザインを同一としてあり、その把手(1)を含むラッチ装置の構造は、各キャビネット(A)(B)(C)の構造に合わせて、互いに異ならせてある。
【0050】
キャビネット(A)は、3段引出し型のもので、各引出し(2)の前面板(本発明における扉)(3)の中央に把手(1)が設けられている。
キャビネット(B)は、両開き扉付きのもので、左右の扉(4)(4)のうち、右方のもののみに把手(1)が設けられている。
キャビネット(C)は、両開き扉付きの上置き型のもので、キャビネット(B)と同様に、左右の扉(5)(5)のうち、右方のもののみに把手(1)が設けられている。
【0051】
次に、キャビネット(B)に設けられたラッチ装置(D)を、本発明の扉のラッチ装置の前提となる参考例1として、図2〜図7を参照して詳細に説明し、その後、キャビネット(A)に設けられたラッチ装置(E)を、本発明の扉のラッチ装置の前提となる参考例2として、図8〜図10を参照して詳細に説明する。
キャビネット(C)に設けられたラッチ装置は、キャビネット(B)に設けられたラッチ装置(D)と、一部の寸法が異なるだけで、ほぼ同一構造であるため、説明を省略する。
【0052】
図2〜図5に示すように、キャビネット(B)における筐体(6)の前面開口部の右側部に蝶番(図示略)をもって開閉自在に枢着された右方の扉(4)の左側部内には、上下方向を向く角軸よりなるラッチ軸(7)が、その軸芯回りに回転自在に配設されている。ラッチ軸(7)の上下の端部には、ラッチ(8)の基端部が固着されている。
【0053】
図2に示すように、ラッチ(8)は、扉(4)の後方に突出し、その後端部は、左方を向く鉤形をなし、扉(4)の閉止時に、筐体(6)の上かまち(6a)(下方のラッチ(8)は下かまち(図示略))の前面に設けた係合孔(9)内に進入して、係合孔(9)の左縁部である被係合部(10)に係脱しうるようになっている。
【0054】
図3〜図7に示すように、右方の扉(4)の左側中位部の前面には、把手(1)操作用の正方形の開口(11)が設けられており、その後方には、前面が開口する箱状の把手収容ケース(12)が設けられている。把手収容ケース(12)の前端開口部の上下寸法および左右寸法は、開口(11)の上下寸法および左右寸法より大とし、把手収容ケース(12)を扉(4)内の定位置に取り付けたとき、扉(4)の開口(11)縁部が、把手収容ケース(12)の前端開口部より内方に突出する内向き鍔部(13)をなしている。
この内向き鍔部(13)と把手収容ケース(12)とにより、把手(1)を、その後端面が把手収容ケース(12)の奥端面に当接する不作動位置と、把手(1)の中央部を挟んで相対する1対の縁のいずれか一方が他方より前方に位置するように傾動した作動位置とに移動可能として収容する、奥部が広い角孔状の把手収容部(14)が形成されている。
【0055】
把手(1)は、前後方向を向く短寸の角筒部(1a)の後端部外周に、把手収容ケース(12)の内面形状とほぼ補形をなす拡大鍔部(1b)が設けられ、角筒部(1a)の前端開口部に、内向き突片(1c)と、その内端から前方を向く短寸の角筒状の突縁(1d)とからなる操作部(1e)が設けられたものよりなっている。
また、角筒部(1a)の四隅には、前半部を斜めに切り欠くことにより、拡大鍔部(1b)の一部となるコーナー段部(1f)が形成されている。
【0056】
把手収容ケース(12)の下方には、左右方向を向く作動杆(15)が、その軸芯回りに回動自在に枢支されている。作動杆(15)の両端より上向きに折曲形成された左右1対の把手押え片(16)(16)の上端部は、把手(1)における下方の両側部のコーナー段部(1f)の前面に当接されている。
【0057】
作動杆(15)の中間部に巻回された、付勢手段であるねじりコイルばね(17)の巻線の一方の端末を、作動杆(15)の中間部に固着した係止片(18)に係止し、かつ巻線の他方の端末を、把手収容ケース(12)の下縁に係止させることにより、作動杆(15)は、このねじりコイルばね(17)により、把手押え片(16)(16)の先端部が把手(1)の下方のコーナー段部(1f)(1f)を後方に押動する方向に回動するように付勢されている。
【0058】
したがって、把手(1)は、非操作時には、把手押え片(16)(16)により後方に押動されて、拡大鍔部(1b)が把手収容部(14)の後端面に当接した不作動位置に保持されている。
【0059】
ラッチ軸(7)の中間部には、右方を向く3個のアーム(19)(20)(21)が、互いに上下方向に離間するようにして固着されている。
上方のアーム(19)の先端部は、把手(1)の左上隅のコーナー段部(1f)の前面に当接させられており、中間のアーム(20)の先端部は、左方の把手押え片(16)の前面に当接させられている。
【0060】
ラッチ軸(7)は、図示を省略したねじりコイルばね等の付勢手段により、アーム(19)(20)で把手(1)を直接、または把手押え片(16)を介して間接的に、不作動位置に押動する方向に回動付勢されており、把手(1)が不作動位置に位置しているときは、図2に実線で示すように、ラッチ(8)が被係合部(10)と係合する係合位置に位置している。
【0061】
このときのアーム(21)の先端部前方には、扉(4)の前面に設けたシリンダ錠(22)に、キー(図示略)を挿入して回動させることにより、シリンダ錠(22)の後部から左方に進退するようにしたデッドボルト(23)の左端部が、アーム(21)の先端部の回動軌跡内に進入したり(施錠)、その回動軌跡から離れたり(解錠)するように配設されている。
【0062】
この例においては、把手押え片(16)(16)を備える作動杆(15)と、アーム(19)(20)を備えるラッチ軸(7)とにより、把手(1)の作動位置側への移動に連動して、ラッチ(8)を、筐体(6)の被係合部(10)から離脱する非係合位置へ移動させるように、把手(1)とラッチ(8)とを連係する連係手段(24)が形成されている。また、ラッチ(8)、連係手段(24)、把手収容ケース(12)、把手(1)、ねじりコイルばね(17)等により、ラッチ装置(D)が形成されている。
【0063】
次に、この参考例1の作用について説明する。
把手(1)の非操作時には、把手(1)は、図6(a)および図7(a)に示すように、不作動位置に位置し、かつラッチ(8)とラッチ軸(7)とは、図2に実線で示すように、係合位置に位置している。
【0064】
この状態から、図6(b)に示すように、把手(1)の下側の操作部(1e)を手前に引くと、把手(1)は、その角筒部(1a)の下端部前面が開口(11)の下方の内向き鍔部(13)の後面に当接するまで、後上端を支点として下端部が前方に移動するように傾動し、下方の縁が上方の縁より前方に位置する作動位置に達する。
【0065】
このときの把手(1)の下部の前方への移動により、左右の把手押え片(16)(16)は、把手(1)の下隅のコーナー段部(1f)(1f)により、ねじりコイルばね(17)の付勢力に抗して、前下方へ回動させられ、このときの左方の把手押え片(16)の回動により、中間のアーム(20)が前方へ回動させら、ラッチ(8)とそのラッチ軸(7)とは、図2に想像線で示すように、被係合部(10)から離脱する非係合位置へ回動させられ、扉(4)を開くことができる。
【0066】
図7(b)に示すように、把手(1)の左側部の操作部(1e)を手前に引いたとき、および図7(c)に示すように、把手(1)の右側部の操作部(1e)を手前に引いたときは、把手(1)は、その左右の傾斜の向きが異なるだけで、その角筒部(1a)の左右の端部の前面が開口(11)の内向き鍔部(13)の後面に当接するまで、左右いずれか一方の縁が、他方の縁より前方に位置するように傾動し、各図に示すような作動位置に達する。
【0067】
このときの把手(1)の傾動により、左右いずれかの把手押え片(16)が、把手(1)の下隅の左右いずれかのコーナー段部(1f)によって、前下方へ回動させられ、その後は、図6(b)の場合と同様の作用で、ラッチ(8)は、非係合位置へ回動させられ、扉(4)を開くことができる。
【0068】
図6(c)に示すように、把手(1)の上側の操作部(1e)を手前に引いたときは、把手(1)は、その角筒部(1a)の上端部前面が開口(11)の上方の内向き鍔部(13)の後面に当接するまで、後下端を支点として上端部が前方に移動するように傾動し、上方の縁が下方の縁より前方に位置する作動位置に達する。
【0069】
この場合は、把手(1)の左上隅のコーナー段部(1f)により、上方のアーム(19)の先端部が前方に回動させられ、ラッチ軸(7)とラッチ(8)とが非係合位置へ回動させられ、扉(4)を開くことができる。
【0070】
したがって、把手(1)における上下、左右の操作部(1e)のいずれを、手前に引いても、把手(1)が傾動し、それによってラッチ(8)が非係合位置へ移動させられるので、把手(1)を、上下、左右のいずれの方向から操作しても、ラッチ(8)を確実に解除操作することができ、使い勝手がよい。
【0071】
図8〜図10に示すように、キャビネット(A)に設けられた各引出し(2)の前面板(3)には、参考例2であるラッチ装置(E)が設けられている。
このラッチ装置(E)は、参考例1であるラッチ装置(D)におけるのと同一の構成部材を備えており、それらについては、同一の符号をもって図示するに止めて詳細な説明は省略し、異なる構成についてのみ詳細に説明することとする。また、参考例3以後において、それより先行する参考例におけるのと同一の構成部材には、同一の符号をもって図示し、それらについての重複した説明は省略することとする。
【0072】
このラッチ装置(E)においては、前面板(3)のほぼ中央に開口(11)を設けるとともに、その後方に把手収容ケース(12)を設けて、奥部が広い角孔状の把手収容部(14)を形成し、その中に、把手(1)を、不作動位置と作動位置とに傾動可能として収容し、前面板(3)における把手(1)の左右両側方に、上下方向を向く1対の作動杆(15)(15)と付勢手段であるねじりコイルばね(17)(17)とを配設して、各作動杆(15)の上下端より内方に向かって延出する上下1対の把手押え片(16)(16)の先端部を、把手(1)における四隅のコーナー段部(1f)の前面に当接させてある。
左右の作動杆(15)(15)のやや下部には、外側方を向く突片(25)(25)が固着されている。
【0073】
前面板(3)における把手収容ケース(12)の下方には、両端部に下方を向く折曲片(26a)(26a)を備える左右方向を向く作動軸(26)が、その軸芯回りに回動可能として装着されている。
作動軸(26)の中央部には、先端部が両突片(25)(25)の後方に位置するようにした上方向く左右1対のアーム(27)(27)が突設されている。
【0074】
前面板(3)の両側部(一方の側部のみとしてもよい)には、前面板(3)より後方に向かって突出し、先端部側面に係合孔(28)が設けられたラッチ(29)が、上下方向を向く軸(30)をもって枢着されている。
ラッチ(29)の前端部には、ラッチ(29)と一体となって回動する内向きのアーム(31)が設けられており、このアーム(31)が、作動軸(26)の折曲片(26a)により、前方に回動させられることにより、ラッチ(29)は、図10(a)に示すように、係合孔(28)が、筐体(32)の側板(32a)の内面に固着された、被係合部である楔形の突片(33)に係合する係合位置から、図10(b)に示すように、係合孔(28)が突片(33)から離脱した非係合位置へ回動させられるようになっている。
また、ラッチ(29)は、図示を省略したばねにより、係合位置に向けて常時付勢されている。
【0075】
参考例2においては、把手押え片(16)(16)と突片(25)とを備える左右1対の作動杆(15)と、アーム(27)(27)と折曲片(26a)(26a)とを備える作動軸(26)とにより、把手(1)の作動位置側への移動に連動して、ラッチ(29)を、筐体(32)の被係合部である突片(33)から離脱する非係合位置へ移動させるように、把手(1)とラッチ(29)とを連係する連係手段(34)が形成されている。また、ラッチ(29)、連係手段(34)、把手収容ケース(12)、把手(1)、ねじりコイルばね(17)等により、ラッチ装置(E)が形成されている。
【0076】
次に、ラッチ装置(E)の作用について説明する。
把手(1)の非操作時には、把手(1)は、図9(a)および図10(a)に示すように、不作動位置に位置し、かつラッチ(29)は、突片(33)に係合した係合位置に位置している。
【0077】
この状態から、図9(b)に示すように、把手(1)の下側の操作部(1e)を手前に引くと、把手(1)は、その角筒部(1a)の下端部前面が開口(11)の下方の内向き鍔部(13)の後面に当接するまで、後上端を支点として下端部が前方に移動するように傾動し、下方の縁が上方の縁より前方に位置する作動位置に達する。
【0078】
このときの把手(1)の下部の前方への移動により、左右の下方の把手押え片(16)(16)は、把手(1)の下隅のコーナー段部(1f)(1f)により、ねじりコイルばね(17)の付勢力に抗して、前方へ回動させられる。このときの左右の作動杆(15)(15)の回動により、左右の突片(25)(25)が、左右のアーム(27)(27)の上端部を後方に押動し、作動軸(26)は、左右の折曲片(26a)(26a)の下端が前方に出るように回動させられる。
【0079】
このときの折曲片(26a)の前方への回動により、ラッチ(29)のアーム(31)が前方に押動され、各ラッチ(29)は、非係合位置へ回動させられ(図10(b)の右側部参照)、引出し(2)を前方に引き出すことができる。
【0080】
図9(c)に示すように、把手(1)の上部の操作部(1e)を手前に引いたときは、把手(1)の上隅のコーナー段部(1f)(1f)により、左右の作動杆(15)(15)の上方の把手押え片(16)(16)が前方へ回動させられることによって、図10(b)に示すように、把手(1)の左側部の操作部(1e)を手前に引いたときは、把手(1)の左方の上下のコーナー段部(1f)(1f)により、左方の作動杆(15)の上下の把手押え片(16)(16)が前方へ回動させられることによって、また、図10(c)に示すように、把手(1)の右側部の操作部(1e)を手前に引いたときは、把手(1)の右方の上下のコーナー段部(1f)(1f)により、右方の作動杆(15)の上下の把手押え片(16)(16)が前方へ回動させられることによって、左右いずれかのアーム(27)が、左右いずれかの作動杆(15)の突片(25)により後方へ押動させられ、その後は、いずれの場合も、図9(b)について説明したのと同様の作用で、各ラッチ(29)は、非係合位置へ回動させられ、引出し(2)を前方に引き出すことができる。
【0081】
図11〜図13は、本発明の前提となる参考例3を備える扉を示す。
扉(40)の前面には、円形の開口(41)が設けられ、その後方に、短寸の有底円筒体を前方に向けた形状の把手収容ケース(42)を設けることにより、奥部が広い円形の把手収容部(43)が形成されている。
【0082】
把手収容ケース(42)内には、前後方向を向く短寸の円筒部(44a)の後端に、把手収容ケース(42)の内面形状とほぼ補形をなす円板状の後端板(44b)を固着し、かつ円筒部(44a)の前端に内向き突片(44c)を設けることにより、これを操作部(44d)とした把手(44)が、円筒部(44a)の前端部を開口(41)に臨ませ、かつ後端板(44b)が把手収容ケース(42)の後壁に密接する不作動位置から、扉(40)の前面に沿うすべての放射方向に若干傾動可能として収容されている。
【0083】
後端板(44b)の後面中央には、把手収容ケース(42)の中央に設けた開口(45)を通して、ワイヤーとした索条(46)の一端が止着されている。索条(46)の他端は、回動式のラッチ(47)の中間部に止着されている。ラッチ(47)は、図12に示す作動位置と、図13に示す不作動位置との間を回動可能であり、図示を省略した付勢手段により、常時作動位置に向けて付勢されている。
【0084】
この例では、索条(46)により、把手(44)とラッチ(47)とを連係する連係手段が形成されており、把手(44)を不作動位置から、上記放射方向のいずれの方向に傾斜させたときにも、索条(46)が牽引されて、ラッチ(47)が図12に示す作動位置から、図13に示す不作動位置へ回動させられるようになっている。
【0085】
図14は、本発明の前提となる参考例4を備える扉を示す。
この例では、把手(1)の拡大鍔部(1b)を、把手収容ケース(12)内に設けた付勢手段である圧縮コイルばね(48)(48)により前方に向けて付勢し、把手(1)の前端に設けた方形板状(または円板状)の操作部(1e)の上下、左右のいずれかの縁部を後方に押動することにより、操作部(1e)および拡大鍔部(1b)が扉(4)の前面と平行をなす不作動位置から、想像線で示すように、拡大鍔部(1b)の上下または左右のいずれか一方の縁が他方の縁より前方に位置する作動位置に傾動し、後方に移動した拡大鍔部(1b)の縁が、ラッチ軸(7)のアーム(20)または作動杆(15)の把手押え片(16)(図3〜図5参照)を後方に回動させて、ラッチを解除させるようにしてある。
この場合は、ラッチ軸(7)が図7に示したものとは逆方向に回動することにより、ラッチか解除されるようにしてある。
【0086】
図15は、本発明の前提となる参考例5を備える扉を示す。
この例では、参考例3における把手(44)を、前後方向を向く短寸の軸部(49a)の後端に、把手収容ケース(42)の内面形状とほぼ補形をなす円板状の後端板(49b)を固着し、かつ軸部(49a)の前端部の全外周縁より放射状に突出する円板状の操作部(49c)を設けた把手(49)と置き換えてある。
【0087】
図16は、本発明の前提となる参考例6を備える扉を示す。
この例では、参考例3における把手(44)を、前後方向を向く短寸の円筒部(50a)の後端に、把手収容ケース(42)の内面形状とほぼ補形をなす円板状の後端板(50b)を固着し、かつ円筒部(50a)の前端に内向き突片(50c)と外向き突片(50d)とを設けることにより、これらを内向きおよび外向きの操作部(50e)(50f)とした把手(50)と置き換えてある。
その他の構成は、参考例3におけるのと同一である。
【0088】
図17は、本発明の前提となる参考例7を備える扉を示す。
この例では、参考例3における把手(44)を、把手(51)と置換してある。
把手(51)は、把手収容ケース(42)の内面形状とほぼ補形をなす外形とした前後方向を向く円筒部(51a)の後端を、後端板(51b)をもって閉塞し、円筒部(51a)の前端に内向き突片(51c)を設けることにより、これを操作部(51d)とし、後端板(51b)の後面中央に突設した軸部(51e)を、把手収容ケース(42)の後端中央に設けた開口(45)を通して後方に突出させ、その軸部(51e)の後部に設けたばね受け片(51f)と把手収容ケース(42)の後端面との間に縮設した付勢手段である圧縮コイルばね(52)により、常時後方に向かって付勢されるようにし、さらに、軸部(51e)の後端に、連係手段であるワイヤーとした索条(46)の一端を止着したものとしてある。
【0089】
これによると、上下、左右のいずれの方向からでも、手を把手(51)に近づけ、指先で把手(51)の操作部(51d)である内向き突片(51c)を手前に引くだけで、把手(51)を、圧縮コイルばね(52)の付勢力に抗して、図17に実線で示す後方の不作動位置から、同じく想像線で示す前方の作動位置まで、前方に移動させて、索条(46)を牽引し、ラッチを確実に解除操作することができる。
【0090】
図18は、本発明の前提となる参考例8を備える扉を示す。
この例では、参考例3における把手(44)を、把手(53)と置換してある。
把手(53)は、把手収容ケース(42)の内面形状とほぼ補形をなす外形とした前後方向を向く円筒部(53a)の前端を、前端板(53b)により閉塞して、この前端板(53b)を操作部(53c)とし、前端板(53b)の後面中央に突設した軸部(53d)を、把手収容ケース(42)の後端中央に設けた開口(45)を通して後方に突出させ、その軸部(51d)の後端に設けた後端板(53e)の前面に、連係手段であるワイヤーとした索条(46)の一端を止着し、かつ前端板(531b)の後面と把手収容ケース(42)の奥端面との間に縮設した付勢手段である圧縮コイルばね(54)により、常時後方に向かって付勢されるようにしてある。
【0091】
把手収容ケース(42)の前端部内面には、内方を向く円形鍔状の指掛け部(55)が設けられ、この指掛け部(55)に指先を掛けた指の第1関節または第2関節部分で、把手(53)の前端における操作部(53c)を、後方に押動しうるようにしてある。
その他の構成は、参考例3におけるのと同一である。
【0092】
これによると、上下、左右のいずれの方向からでも、手を把手(53)に近づけ、把手収容ケース(42)の前端部内面における指掛け部(55)に指先をかけ、その指の第1関節または第2関節の部分で、把手(53)の前端における操作部(53c)を後方に押動することにより、てこの原理を利用して、把手(53)を、圧縮コイルばね(54)の付勢力に抗して、図18に実線で示す前方の不作動位置から、同じく想像線で示す後方の作動位置まで、後方に移動させて、索条(46)を牽引し、ラッチを確実に解除操作することができる。
【0093】
図19〜図22は、本発明の第1の実施形態を備える扉を示す。
図19に示す扉(4)は、図3に示すものと同様のものであり、図1に示すキャビネット(B)における筐体(6)の前面開口部の右側部に蝶番(図示略)をもって開閉自在に枢着された右方の扉(4)である。
この扉(4)には、図2に示すラッチ軸(7)およびラッチ(8)と同様のものが装着されているが、その図示および詳細な説明は、参考例1と重複するので、省略する。
【0094】
図19〜図22に示すように、右方の扉(4)の左側中位部の前面には、把手(60)操作用の正方形の開口(61)が設けられており、その後方には、ほぼ中央部に、前後方向に貫通する正方形の開口(63)を有する薄い箱状の把手収容ケース(62)が設けられている。
【0095】
把手収容ケース(62)における開口(63)の前縁には、後方を向く角筒状の案内枠(64)が連設されており、案内枠(64)における各辺には、それぞれ2個ずつの方形の切欠き(65)(65)が、後縁より前方に向けて切設されている。
案内枠(64)の後端には、垂直板状の閉塞板(66)が、四隅をねじ止めすることにより固着されており、この閉塞板(66)の前面中央には、球頭部(67)が設けられている。
扉(4)の開口(61)と、把手収容ケース(62)と、閉塞板(66)とにより、把手収容部(68)が形成されている。
【0096】
把手(60)は、中央部の肉厚を大とした正方形の垂直板状の基部(60a)と、この基部(60a)の外周縁より前方を向く角筒部(60b)と、角筒部(60b)の前端から内方を向く内向き突片(60c)と、その内端から前方を向く短寸の角筒状の突縁(60d)とからなり、そのうちの内向き突片(60c)と突縁(60d)とにより、操作部(60e)が形成されている。
【0097】
基部(60a)の中央の厚肉部の後面には、球頭部(67)と補形をなす球面孔(69)が設けられている。この球頭部(67)と、それに嵌合された球面孔(69)とにより、球面軸受(70)が形成され、把手(60)は、基部(60a)がほぼ垂直方向を向く不作動位置から、球頭部(67)の中心を支点として、上下、左右だけでなく、すべての放射方向に傾動しうるように扉(4)に枢支されている。把手(60)がすべての放射方向に同一角度だけ傾動しうるようにするため、把手(60)の後端面は、球面孔(69)の開口部から前方に向かって拡開する円錐形としてある。
なお、球頭部(67)を把手(60)の基部(60a)の後面に設け、かつ球面孔(69)を閉塞板(66)の前面中央に設けてもよい。
【0098】
把手(60)における角筒部(60b)の上下、左右の外周面には、案内枠(64)の2個の切欠き(65)(65)を通って外方に突出する2個ずつの突片(71)(71)が設けられている。
【0099】
把手(60)に近接する把手収容ケース(62)の右側部には、案内枠(64)およびその中に収容された把手(60)が遊嵌された正方形の窓孔(72)が設けられた作動板(73)の右側部が、上下方向を向く軸(74)(74)をもって枢着されている。
【0100】
作動板(73)の左端部には、平面視前向き鉤形の上下1対の係合片(73a)(73a)が設けられており、この係合片(73a)(73a)は、把手収容ケース(62)の左端部に軸受された上下方向を向くラッチ軸(7)の中間部右側面に突設した、平面視後向き鉤形の上下1対のアーム(75)(75)の後面に当接しうるようになっている。
【0101】
作動板(73)の後面には、把手(60)における上下、左右の突片(71)(71)の先端部が当接しうるようになっており、把手(60)が不作動位置に位置しているときは、作動板(73)は、把手(60)の基部(60a)と平行をなして、すべての突片(71)の先端部が後面に当接する不作動位置に位置している。
この状態から、把手(60)の上下、左右またはその中間の操作部(60e)を前方に引くことにより、把手(60)を、任意の方向の作動位置まで傾動させると、作動板(73)は、いずれかの突片(71)により、作動位置まで前方に回動させられ、そのときの係合片(73a)(73a)の移動により、アーム(75)(75)が前方に押動させられて、ラッチ軸(7)とラッチ(8)とが、図2に想像線で示すように、筐体(6)の被係合部(10)から離脱する非係合位置まで回動させられるようになっている。
【0102】
図22に示すように、作動板(73)における軸(74)よりやや左方の前面と、それに対向する把手収容ケース(62)の前片(62a)との間には、付勢手段である圧縮コイルばね(76)が縮設されており、この圧縮コイルばね(76)により、作動板(73)は常時不作動位置に向けて付勢され、また、この作動板(73)の後面が把手(60)のすべての突片(71)を後方に向けて押圧することにより、把手(60)も不作動位置に向けて付勢されている。
すなわち、単一の圧縮コイルばね(76)により、作動板(73)と把手(60)とは、ともに不作動位置に向けて付勢されている。
【0103】
また、把手収容ケース(62)の左側部には、ラッチ軸(7)を介して、ラッチ(8)を、図2に実線で示すように、被係合部(10)と係合する係合位置に向けて常時付勢するとともに、作動板(73)を常時不作動位置に向けて付勢する付勢手段でもあるねじりコイルばね(77)が設けられている。
【0104】
ラッチ軸(7)におけるアーム(75)の下方の右側面には、別のアーム(78)が突設されている。このアーム(78)の先端部前方には、前端面が扉(4)の前面に露呈するようにして、把手収容ケース(62)に装着されたシリンダ錠(79)に、キー(図示略)を挿入して回動させることにより、シリンダ錠(79)の後部から左方に進退するようにしたデッドボルト(80)の左端部が、アーム(78)の先端部の回動軌跡内に進入したり(施錠)、その回動軌跡から離れたり(解錠)するように配設されている。
【0105】
この実施形態においては、アーム(75)(75)が突設されたラッチ軸(7)により、作動板(73)とラッチ(8)とを、作動板(73)の作動位置側への移動に連動して、ラッチ(8)が、筐体(6)の被係合部(10)から離脱する非係合位置へ移動させられるように連係する連係手段(81)が形成されている。また、ラッチ(8)、連係手段(81)、把手収容ケース(62)、把手(60)、作動板(73)等により、ラッチ装置(D)が形成されている。
【0106】
次に、第1の実施形態の作用について説明する。
把手(60)の非操作時には、把手(60)は、図21(a)および図22(a)に示すように、不作動位置に位置し、かつラッチ(8)とラッチ軸(7)とは、図2に実線で示すように、係合位置に位置している。
【0107】
この状態から、図21(b)に示すように、把手(60)の下側の操作部(60e)を手前に引くと、把手(60)は、球頭部(67)を中心として後傾し、そのときの把手(60)の下端の右方の突片(71)により、作動板(73)が軸(74)を中心として作動位置まで回動させられ、そのときの係合片(73a)(73a)の移動により、アーム(75)(75)が前方に押動させられて、ラッチ軸(7)とラッチ(8)とが、図2に想像線で示す非係合位置まで回動させられ、扉(4)を開くことができる。
【0108】
また、図21(c)に示すように、把手(60)の上側の操作部(60e)を手前に引いたときは、把手(60)は、球頭部(67)を中心として前傾し、そのときの把手(60)の上端の右方の突片(71)により、作動板(73)が軸(74)を中心として作動位置まで回動させられ、そのときの係合片(73a)(73a)の移動により、アーム(75)(75)が前方に押動させられて、ラッチ軸(7)とラッチ(8)とが、図2に想像線で示す非係合位置まで回動させられ、扉(4)を開くことができる。
【0109】
図22(b)に示すように、把手(60)の左側部の操作部(60e)を手前に引いたときは、把手(60)は、球頭部(67)を中心として平面視おいて反時計廻りに、また、図22(c)に示すように、把手(60)の右側部の操作部(60e)を手前に引いたときは、把手(60)は、球頭部(67)を中心として平面視おいて時計廻りに、それぞれ回動し、そのときの把手(60)の左側部の突片(71)、また把手(60)の右側部の突片(71)により、作動板(73)が軸(74)を中心として作動位置まで押動させられ、そのときの係合片(73a)(73a)の移動により、アーム(75)(75)が前方に押動させられて、ラッチ軸(7)とラッチ(8)とが、図2に想像線で示す非係合位置まで回動させられ、扉(4)を開くことができる。
【0110】
したがって、把手(60)における上下、左右の操作部(60e)のいずれを、手前に引いても、把手(60)が傾動し、それによってラッチ(8)が非係合位置へ移動させられるので、把手(60)を、上下、左右のいずれの方向から操作しても、ラッチ(8)を確実に解除操作することができ、使い勝手がよい。
【0111】
図23は、本発明の第2の実施形態を備える扉を示す。
この例では、図23(a)に示すように、把手収容ケース(62)内に設けた付勢手段である圧縮コイルばね(82)により、作動板(73)を前方に向けて付勢するとともに、作動板(73)の前面に当接するようにした上下、および左右(上下のみでもよい)の突片(71)を介して、把手(60)を前方に向けて付勢することにより、常時は、把手(60)は、その前端部に設けた拡大鍔部(83)が、扉(4)の前面に設けた開口(61)の縁部の裏面に当接して、把手(60)の前端面および拡大鍔部(83)が扉(4)の前面と平行をなす不作動位置に位置し、把手(60)の前端面である方形(または円形)の操作部(60e)の上下または左右のいずれかの縁を後方に押動して、把手(60)をその方向に傾動させ、図23(b)に示すような作動位置とすることにより、いずれかの突片(71)(図示の場合は左側方のもの)で、作動板(73)を、圧縮コイルばね(82)の付勢力に抗して、後方に回動させ、そのときの作動板(73)の左側端で、アーム(75)とラッチ軸(7)とを図23(a)の反時計回りに回動させて、ラッチを解除させるようにしてある。
この場合は、ラッチ軸(7)が図22に示したものとは逆方向に回動することにより、ラッチか解除されるようにしておく。
【0112】
図24は、本発明の第3の実施形態(請求項1〜4、および6〜8記載の発明の実施形態)を備える扉を示す。
この例では、第2の実施形態における把手(60)を、図24(a)(b)に示すように、基部(60a)と同様の基部(90a)の前面に、前後方向を向く短寸の円筒部(90b)を設け、この円筒部(90b)の前端に内向き突片(90c)と外向き突片(90d)とを設けることにより、これらを内向きおよび外向きの操作部(90e)(90f)とした把手(90)と置き換えてある。
【0113】
また、作動板(73)の遊端部とラッチ(8)とを、索条(91)をもって連結し、作動板(73)が、把手(90)の操作により、図24(a)に示す不作動位置から図24(b)に示すような作動位置へ回動させられたとき、索条(91)が牽引されて、ラッチ(8)が図24(a)に示す係合位置から、図24(b)に示す非係合位置へ回動させられるようにしてある。
その他の構成は、第1の実施形態におけるのと同一とする。
【0114】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で、次のような変形した態様で、実施することもできる。
(a) 参考例1における左右の把手押え片(16)(16)を、上方に延出させた後、後方に折曲して、その後端を、把手(1)の両側部の拡大鍔部(1b)における上下方向の中間部に当接させる。このようにすると、把手(1)を上下、左右のいずれの方向に傾動させたときにも、左右いずれかの把手押え片(16)を、拡大鍔部(1b)により前方に押動させることができ、上方のアーム(19)を省略することができる。
【0115】
(b) 参考例1および2における開口(11)、および把手(1)の少なくとも操作部(1e)を円形として、操作部(1e)を、把手(1)の前面開口部の全内周に設け、把手(1)を、上下、左右からだけでなく、それらの中間の斜めの方向からも操作することができるようにする。
【0116】
(c) 参考例3における開口(41)、および把手(44)の少なくとも操作部(44d)を方形とする。
【0117】
(d) 第1の実施形態においては、把手(60)の左側部の操作部(60e)を手前に引いたときと、把手(60)の右側部の操作部(60e)を手前に引いたときとでは、作動板(73)を軸(74)を中心として作動位置まで回動させる際の、把手(60)の力点から軸(74)までの距離、すなわちモーメントが著しく相違し、ラッチ解除のための把手(60)の操作力に差が出るので、このような差を小さくするため、例えば、把手(60)における左右の突片(71)(71)を省略し、把手(60)の左側部の操作部(60e)を手前に引いたときは、把手(60)の上下における左方の突片(71)(71)により、また把手(60)の右側部の操作部(60e)を手前に引いたときは、把手(60)の上下における右方の突片(71)(71)により、作動板(73)を前方に押動するようにする。
【0118】
(e) 第1の実施形態における開口(61)、および把手(60)の少なくとも操作部(60e)を円形として、操作部(60e)を、把手(60)の前面開口部の全内周に設け、把手(60)を、上下、左右からだけでなく、それらの中間の斜めの方向からも操作することができるようにする。
【0119】
(f) キャビネット(A)における引出し(2)のラッチ装置においては、連係手段を、上述のラッチ(8)と一体となって回動するようにして扉に枢設されたラッチ軸(7)に代えて、一端に設けた折曲片により、ラッチを非係合位置に押動しうるようにして前面板(3)に枢設された左右方向を向く作動軸と、この作動軸の一部に設けられ、作動板の不作動位置から作動位置への回動時に、作動板の遊端部により回動させられて、作動軸を介して、ラッチを非係合位置へ回動させるようにしたアームとを備えるものとする。
【符号の説明】
【0120】
(A)(B)(C)キャビネット
(D)(E)ラッチ装置
(1)把手
(1a)角筒部(筒部)
(1b)拡大鍔部
(1c)内向き突片
(1d)突縁
(1e)操作部
(1f)コーナー段部
(2)引出し
(3)前面板(扉)
(4)(5)扉
(6)筐体
(6a)上かまち
(7)ラッチ軸
(8)ラッチ
(9)係合孔
(10)被係合部
(11)開口
(12)把手収容ケース
(13)内向き鍔部
(14)把手収容部
(15)作動杆
(16)把手押え片
(17)ねじりコイルばね(付勢手段)
(18)係止片
(19)(20)(21)アーム
(22)シリンダ錠
(23)デッドボルト
(24)連係手段
(25)突片
(26)作動軸
(27)アーム
(28)係合孔
(29)ラッチ
(30)軸
(31)アーム
(32)筐体
(32a)側板
(33)突片(被係合部)
(34)連係手段
(40)扉
(41)開口
(42)把手収容ケース
(43)把手収容部
(44)把手
(44a)円筒部(筒部)
(44b)後端板
(44c)内向き突片
(44d)操作部
(45)開口
(46)索条(連係手段)
(47)ラッチ
(48)圧縮コイルばね(付勢手段)
(49)把手
(49a)軸部
(49b)後端板
(49c)操作部
(50)把手
(50a)円筒部
(50b)後端板
(50c)内向き突片
(50d)外向き突片
(50e)(50f)操作部
(60)把手
(60a)基部
(60b)角筒部
(60c)内向き突片
(60d)突縁
(60e)操作部
(61)開口
(62)把手収容ケース
(62a)前片
(63)開口
(64)案内枠
(65)切欠き
(66)閉塞板
(67)球頭部
(68)把手収容部
(69)球面孔
(70)球面軸受
(71)突片
(72)窓孔
(73)作動板
(73a)係合片
(74)軸
(75)アーム
(76)圧縮コイルばね(付勢手段)
(77)ねじりコイルばね(付勢手段)
(78)アーム
(79)シリンダ錠
(80)デッドボルト
(81)連係手段
(82)圧縮コイルばね(付勢手段)
(83)拡大鍔部
(90)把手
(90a)基部
(90b)円筒部
(90c)(90d)突片
(90e)(90f)操作部
(91)索条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の前面開口部に開閉自在に装着された扉に設けられ、閉扉時に前記筐体の被係合部と係脱しうるラッチと、このラッチを被係合部から離脱させる操作をする把手とを備える扉のラッチ装置において、
前記扉に、上下および左右のいずれの方向からも操作可能とした操作部を設けた把手を、ほぼ垂直の不作動位置から、中央部の支点を中心として、上下または左右のいずれの方向にも傾動可能として装着するとともに、前記把手が嵌合する窓孔を設けた作動板の一縁部を枢着し、前記把手の外周部に、この把手が不作動位置からいずれの方向に傾動させられたときにも、前記作動板を、不作動位置から作動位置へ押動しうるようにした突片を設け、前記把手と作動板とを、不作動位置に向けて付勢する付勢手段を設け、さらに、前記作動板の作動位置側への移動に連動して、前記ラッチを、筐体の被係合部から離脱する非係合位置へ移動させる連係手段をもって、前記作動板とラッチとを連係したことを特徴とする扉のラッチ装置。
【請求項2】
把手を、中央部の支点から全放射方向へ傾動可能とした請求項1記載の扉のラッチ装置。
【請求項3】
把手の中央部を、球面軸受をもって、扉に枢設した請求項1または2記載の扉のラッチ装置。
【請求項4】
把手に、上下および左右に突出する複数の突片を設け、前記把手と作動板とが不作動位置に位置しているとき、上下および左右の突片が、作動板に当接するようにした請求項1〜3のいずれかに記載の扉のラッチ装置。
【請求項5】
連係手段が、ラッチと一体となって回動するようにして扉に枢設されたラッチ軸、または、一端に設けた折曲片により、ラッチを非係合位置に押動しうるようにして扉に枢設された作動軸と、前記ラッチ軸または作動軸の一部に設けられ、作動板の不作動位置から作動位置への回動時に、前記作動板の遊端部により回動させられて、前記ラッチ軸または作動軸を介して、前記ラッチを非係合位置へ回動させるようにしたアームとを備えている請求項1〜4のいずれかに記載の扉のラッチ装置。
【請求項6】
付勢手段を、作動板を不作動位置に向けて付勢するばねとし、かつ前記作動板を介して、把手の突片を押圧することにより、把手を、不作動位置に向けて付勢するようにした請求項1〜5のいずれかに記載の扉のラッチ装置。
【請求項7】
操作部を、前面に開口部を設けた把手における前記開口部の全内周縁に沿って内向きに設けた請求項1〜6のいずれか記載の扉のラッチ装置。
【請求項8】
操作部を、把手の前端部の全外周縁より放射状に突出させて設けた請求項1〜7のいずれか記載の扉のラッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−62751(P2012−62751A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253482(P2011−253482)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【分割の表示】特願2007−544142(P2007−544142)の分割
【原出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)