扉の回転支持装置
【課題】 扉取付枠の高さが低い扉であっても使用できる扉の回転支持装置を提供する。
【解決手段】 軸受部に主軸が嵌入することにより、扉取付枠に対して扉を回転自在に支持するとともにコネクタを電気的に嵌合接続する扉の回転支持装置において、保持部材に設けられる位置決め体と、開口端部を有する主軸と、前記主軸の内壁側に設けられ、前記位置決め体を主軸の開口端部から内側に収容するように案内する案内部と、前記位置決め体が主軸の内側に収容された状態で電気的に嵌合接続されるように設けられたコネクタと、を備え、主軸が軸受部に嵌入されて、位置決め体が案内部に案内されることにより保持部材が回転し、保持部材に設けられたコネクタと主軸に設けられたコネクタとが嵌合接続される扉の回転支持装置とする。
【解決手段】 軸受部に主軸が嵌入することにより、扉取付枠に対して扉を回転自在に支持するとともにコネクタを電気的に嵌合接続する扉の回転支持装置において、保持部材に設けられる位置決め体と、開口端部を有する主軸と、前記主軸の内壁側に設けられ、前記位置決め体を主軸の開口端部から内側に収容するように案内する案内部と、前記位置決め体が主軸の内側に収容された状態で電気的に嵌合接続されるように設けられたコネクタと、を備え、主軸が軸受部に嵌入されて、位置決め体が案内部に案内されることにより保持部材が回転し、保持部材に設けられたコネクタと主軸に設けられたコネクタとが嵌合接続される扉の回転支持装置とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気錠等を備えた扉を扉取付枠に回転自在に取り付ける、扉の回転支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気錠等を備えた扉を扉取付枠に吊込む場合、扉内部への電気配線が必要である。この電気配線は、扉を支持する主軸と軸受部の中に通される。従来の電気配線の敷設では、扉取付枠と扉とに作業穴を設けておき、軸受部に主軸を嵌入した後に前記作業穴から手を入れて、軸受部と主軸とに電気配線を通す作業を行なっていた。しかし、この敷設の方法では作業に手数が掛るという問題があった。このため本願出願人により、電気配線の敷設作業を容易に行なうことのできる扉の回転支持装置が提案されている。
【0003】
前記従来の扉の回転支持装置は、扉取付枠または扉のいずれか一方に設けられた進退自在の主軸61と、他方に設けられて前記主軸61を嵌入させる筒状の軸受部と、前記軸受部の内側に回転自在に設けられる筒状部材63と、前記主軸61の内側と前記筒状部材63の内側とに設けられるコネクタとを備え、前記軸受部に主軸61が嵌入することにより、扉取付枠に対して扉を回転自在に支持するとともにコネクタを電気的に嵌合接続する扉の回転支持装置である(特許文献1、図10、図11参照)。
【0004】
前記従来の扉の回転支持装置では、図10に示すように、主軸61の先端部には溝部62が設けられている。また、図11に示すように、筒状部材63には突出片64が設けられている。この突出片64は前記主軸61の溝部62に嵌入して主軸61に対する筒状部材63の位置決めをするための部材であり、突出片64と溝部62にはテーパー部65、66が形成されている。主軸61を軸受部に嵌入させると、軸受部の内部に設けられた筒状部材63の突出片64に主軸61の溝部62が当接し、テーパー部65、66がガイドとなって、溝部62と突出片64の位置が合うまで筒状部材63が回転する。また、主軸61及び筒状部材63に設けられたコネクタは、溝部62と突出片64とが合う位置において嵌合接続するように位置決めされている。よって、溝部62と突出片64の位置が合うと、軸受部に主軸61が嵌入されるとともにコネクタが嵌合し電気的に接続される。この扉の回転支持装置によれば、扉内部への電気配線作業を容易に行なうことができる。
【特許文献1】実用新案登録第2502263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記従来の扉の回転支持装置では、主軸61の先端部に溝部62が設けられており、前記溝部62を設けた部分は軸受部によって支持することができない部分である。軸受部によって支持される部分は溝部62より上となる。主軸61は、軸受部によって支持される部分を溝部62とは別の位置に確保しなければならない。このため、主軸61の長さを長くする必要がある。主軸61の長さが長いことにより扉の回転支持装置の高さを低くすることができず、扉取付枠の高さが低い扉には、扉の回転支持装置を使用することができないという問題があった。
【0006】
また、前記従来の扉の回転支持装置では、主軸61の先端部に溝部62が設けられている。このため、扉を吊込む場合に、前記溝部62に軸受部の周囲の部分等が挟まってしまう場合があり、主軸61と軸受部とを嵌入させる扉の吊込作業に手数を要していた。
【0007】
また、前記従来の扉の回転支持装置では、主軸61に設けられるコネクタの後端部分からは、コネクタを嵌合接続する方向に沿って電気配線が取り出されている。電気配線がコネクタを嵌合接続する方向に沿って取り出されることにより、電気配線が突出し扉の回転支持装置の高さが高くなるという問題があった。
【0008】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、扉取付枠の高さが低い扉であっても使用できる扉の回転支持装置の提供を第1の目的とする。また、主軸の先端部を円滑にし、主軸と軸受部とを嵌入させる扉の吊込作業を容易にした扉の回転支持装置の提供を第2の目的とする。さらに、コネクタの高さを低くして、扉取付枠の低い扉であっても使用できる扉の回転支持装置の提供を第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
扉取付枠または扉のいずれか一方に設けられた進退自在の主軸と、
他方に設けられて前記主軸を嵌入させる軸受部と、
前記軸受部の内側に回転自在に設けられる保持部材と、
前記主軸の内側と前記保持部材の内側とに設けられるコネクタと、
を備え、前記軸受部に主軸が嵌入することにより、扉取付枠に対して扉を回転自在に支持するとともにコネクタを電気的に嵌合接続する扉の回転支持装置において、
前記保持部材に設けられる位置決め体と、
開口端部を有する主軸と、
前記主軸の内壁側に設けられ、前記位置決め体を主軸の開口端部から内側に収容するように案内する案内部と、
前記位置決め体が主軸の内側に収容された状態で電気的に嵌合接続されるように設けられたコネクタと、
を備え、
主軸が軸受部に嵌入されて、位置決め体が案内部に案内されることにより保持部材が回転し、保持部材に設けられたコネクタと、主軸に設けられたコネクタとが嵌合接続されることを特徴とする扉の回転支持装置とした。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、
位置決め体は、軸受部の内壁との間に間隙を確保して設けられ、
案内部は、前記位置決め体に摺接して保持部材を回転させる摺接部と、位置決め体を主軸の内側に収容する凹部と、を有することとした。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1から2のいずれか1項に記載の発明において、
主軸又は軸受部に設けられるコネクタのうち、少なくとも扉取付枠に設けられるコネクタは、コネクタの側方へ電気配線が取り出されており、
前記主軸又は軸受部には、前記電気配線を取り出すための電気配線取出部が設けられることとした。
【0012】
(作用)
従って、請求項1に記載の発明では、主軸が軸受部に嵌入されると、主軸の内壁側に設けられた案内部に位置決め体が案内される。保持部材は、位置決め体と案内部の位置が合うまで回転する。前記位置決め体が主軸の内側に収容された状態になると、保持部材に設けられたコネクタと、主軸に設けられたコネクタとが電気的に嵌合接続される。また、主軸は軸受部に支持され、扉取付枠に対して扉が回転自在に支持される。
【0013】
請求項2に記載の発明では、主軸が軸受部に嵌入されると、案内部の摺接部は位置決め体に摺接して保持部材を回転させる。保持部材は、位置決め体と案内部の位置が合うまで回転する。保持部材の位置決め体は案内部の凹部に収容されるとともに、凹部は位置決め体と軸受部の内壁との間の間隙に嵌入される。前記位置決め体が凹部に収容された状態になると、保持部材に設けられたコネクタと、主軸に設けられたコネクタとが電気的に嵌合接続される。また、主軸は軸受部に支持され、扉取付枠に対して扉が回転自在に支持される。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、主軸が軸受部に嵌入されると、主軸の内壁側に設けられた案内部に位置決め体が案内される。保持部材は、位置決め体と案内部の位置が合うまで回転する。前記位置決め体が主軸の内側に収容された状態になると、保持部材に設けられたコネクタと、主軸に設けられたコネクタとが電気的に嵌合接続される。また、主軸は軸受部に支持され、扉取付枠に対して扉が回転自在に支持される。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の扉の回転支持装置によれば、主軸の内壁側に案内部を設けたため、軸受部によって支持される部分と案内部とを主軸の先端部の内側と外側に設けることができ、主軸の長さを短くすることができる。このため、扉の回転支持装置の高さを低くすることができ、扉取付枠の高さが低い扉であっても扉の回転支持装置を使用することができる。
【0016】
また、主軸の内壁側に案内部を設け、主軸の先端部を円滑にしたことにより、扉を吊込む場合に、軸受部に主軸が円滑に嵌入される。従って、主軸と軸受部とを嵌入させる扉の吊込作業が容易となる。
【0017】
請求項2に記載の扉の回転支持装置によれば、主軸の内壁側に案内部を設けたため、軸受部によって支持される部分と案内部とを主軸の先端部の内側と外側に設けることができ、主軸の長さを短くすることができる。このため、扉の回転支持装置の高さを低くすることができ、扉取付枠の高さが低い扉であっても扉の回転支持装置を使用することができる。
【0018】
また、主軸の内壁側に案内部を設け、主軸の先端部を円滑にしたことにより、扉を吊込む場合に、軸受部に主軸が円滑に嵌入される。従って、主軸と軸受部とを嵌入させる扉の吊込作業が容易となる。
【0019】
請求項3に記載の扉の回転支持装置によれば、主軸の内壁側に案内部を設けたため、軸受部によって支持される部分と案内部とを主軸の先端部の内側と外側に設けることができ、主軸の長さを短くすることができる。このため、扉の回転支持装置の高さを低くすることができ、扉取付枠の高さが低い扉であっても扉の回転支持装置を使用することができる。
【0020】
また、主軸の内壁側に案内部を設け、主軸の先端部を円滑にしたことにより、扉を吊込む場合に、軸受部に主軸が円滑に嵌入される。従って、主軸と軸受部とを嵌入させる扉の吊込作業が容易となる。
【0021】
また、主軸あるいは軸受部に設けられるコネクタのうち、少なくとも扉取付枠に設けられるコネクタは、コネクタの側方へ電気配線が取り出されているため、扉の回転支持装置の高さを低くすることができ、扉取付枠の高さが低い扉であっても扉の回転支持装置を使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を具体化した実施形態について図1から図6に従って説明する。
【実施例1】
【0023】
本実施例に係る扉の回転支持装置1は、主軸2、軸受部3、保持部材4及びコネクタ5を有する。以下では、扉取付枠Wに主軸2を設け、扉Dに軸受部3を設ける場合について説明する。
【0024】
図1に示すように、前記主軸2は、扉Dに設けられた前記軸受部3に嵌入され、扉Dを扉取付枠Wに対して回転自在に支持する部材である。主軸2は、扉取付枠Wに設けられたトップピボット11に進退自在に設けられている。図4に示すように、主軸2の形状は略円筒形状である。主軸2の端部は開口端となっている。主軸2は案内部21と、雄側コネクタ51を設ける空間とを有している。
【0025】
前記主軸2の案内部21は、保持部材4に設けられる後記位置決め体41を案内して、案内部21と位置決め体41の位置が合うまで保持部材4を回転させる部分である。案内部21は凹部22と摺接部23とを有する。前記凹部22は、保持部材4の位置決め体41が収容される部分である。図4(b)に示すように、凹部22は主軸2の壁の厚さを薄くしている。前記凹部22は、図4(b)に示すように、主軸2の内壁側に対向して設けられる。また、図4(a)に示すように、凹部22は主軸2の開放端部より内側に設けられる。従って、凹部22は主軸2の外側には形成されない。凹部22は主軸2の内壁に沿って、軸方向に設けられる。
【0026】
図4に示すように、凹部22の側方には摺接部23が形成される。摺接部23は保持部材4の位置決め体41に摺接して位置決め体41と凹部22の位置が合うまで保持部材4を回転させる部分であり、位置決め体41を凹部22に収容するように案内する部分である。図4(a)に示すように、摺接部23には、主軸2の開放端部に近い部分ではテーパー部24が形成されている。従って、主軸2の開放端部に近い部分では、前記凹部22の幅は広げられており、位置決め体41を凹部22に導入しやすくしている。
【0027】
図4(a)に示すように、主軸2の側壁の図示上端部には、電気配線取出部25が設けられる。電気配線取出部25は主軸2に設けられる後記雄側コネクタ51の電気配線53を取り出す部分である。電気配線取出部25は電気配線53が通る幅を有する切り欠き部である。
【0028】
また、図2及び図4(a)に示すように、主軸2の側壁には、係合孔26が形成される。係合孔26はトップピボット11の後記アーム13先端が係合する部分である。
【0029】
次に、前記軸受部3は、前記主軸2が嵌入して扉Dを扉取付枠Wに対して回転自在に支持する部材である。図1に示すように、軸受部3は扉Dに取付られる受け金具17に設けられる。図2に示すように、軸受部3の内部にはブッシュ31、32が設けられる。ブッシュ31、32は、前記主軸2と接触して主軸2を回転自在に支持するとともに、保持部材4を回転自在としつつ、保持部材4の抜脱を防止する部材である。
【0030】
次に、前記保持部材4は雌側コネクタ52を内部に設け、その雌側コネクタ52を前記主軸2に設けられた雄側コネクタ51と接続する部材である。図5に示すように、保持部材4の形状は略円筒形状である。保持部材4の図示上端部は開口端となっており、その開口部の周囲に位置決め体41が設けられている。
【0031】
前記位置決め体41は、前記主軸2の案内部21により、位置決め体41と凹部22の位置が合うまで保持部材4を回転させる部分であり、主軸2に対する保持部材4の位置決めをする部材である。図5に示すように、位置決め体41の形状は、前記主軸2の凹部22に収容される形状であり、先端部にはテーパー部42が形成されている。位置決め体41が形成される位置は、前記主軸2の案内部21に収容されるように案内部21に対応した位置である。位置決め体41は開口部の周縁部であって、保持部材4のやや中心寄りの位置に対向して設けられている。位置決め体41は保持部材4のやや中心寄りの位置に設けられているため、保持部材4が軸受部3に設けられると、位置決め体41と軸受部3(ブッシュ31、32)との間に間隙が確保される。この間隙は、図2及び図3に示すように、案内部21の凹部22に位置決め体41を収容するための間隙である。
【0032】
前記保持部材4の内部には雌側コネクタ52を設ける空間を有している。また、外壁の周方向には突条43が形成される。前記保持部材4は、図2に示すように、軸受部3の内側に回転自在に設けられる。前記突条43の上下は前記ブッシュ31、32で保持されており、軸受部3からの抜脱が防止される。また、軸受部3と保持部材4との間にはパッキン44が設けられており、保持部材4が過度に回転することを防止する。
【0033】
前記主軸2及び保持部材4に設けられるコネクタ5は、雌雄1対となって電気的に嵌合接続される。図2に示すように、主軸2には雄側コネクタ51が設けられ、保持部材4には雌側コネクタ52が設けられる。コネクタ5は、主軸2部が軸受部3に嵌入され、主軸2部の凹部22に位置決め体41が収容された状態において電気的に嵌合接続するように回転方向の位置及び軸方向の位置が決められている。コネクタ5の構造については詳しい説明は省略するが、雄側コネクタ51は、図6に示すように、電気配線53が側方に取り出されている。このため、雄側コネクタ51の後端部分から電気配線53が突出しない。雄側コネクタ51は、図2に示す主軸2の図示上方から取付られる。電気配線53は、主軸2に設けられた電気配線取出部25としての切り欠き部から取り出される。雄側コネクタ51は主軸2に対して固定手段により固定される。固定手段の一例として、主軸2の側方から雄側コネクタ51に達するピン54を挿入して固定する手段を用いる。
【0034】
前記保持部材4には雌側コネクタ52が設けられる。雌側コネクタ52は、図2に示す保持部材4の図示下方から取付られる。雄側コネクタ51は主軸2に対して固定手段により固定される。固定手段の一例として、保持部材4の側方から雌側コネクタ52に達するピン55を挿入する手段を用いる。
【0035】
次に主軸2を上下方向に進退させる構成について説明する。図1に示すように、本実施例における主軸2はトップピボット11に設けられている。トップピボット11は扉取付枠Wに取付られる部材である。トップピボット11の基板12には一端近傍部が水平軸14で枢支されたアーム13が設けられている。このアーム13の一端には円弧状に歯部15が形成される。この歯部15と噛み合うようにウオームギア16が設けられる。主軸2は基板12に対して上下方向に進退自在に支持されており、前記主軸2の係合孔26には前記アーム13の他端が係合する。前記ウオームギア16を端部側から回すと、ウオームギア16に噛み合った歯部15が上下し、アーム13が前記軸の周りで回転して主軸2が上下方向に進退する(特願2004−63300参照。)。
【0036】
本実施例に係る扉の回転支持装置1を用いて扉Dを吊込む場合について説明する。まず図2に示すように、扉取付枠Wに設けた主軸2と、扉Dに設けた軸受部3とを対向させた状態でウオームギア16を回転させ、主軸2を軸受部3に嵌入させる。主軸2が軸受部3に嵌入されると、軸受部3の内部に設けられた保持部材4の位置決め体41に主軸2の案内部21が当接し、テーパー部24、42がガイドとなって、案内部21と位置決め体41の位置が合うまで保持部材4が回転する。図3に示すように、案内部21に位置決め体41が収容されることにより、主軸2は軸受部3に回転自在に支持される。また、主軸2及び保持部材4に設けられたコネクタ5は、案内部21と位置決め体41とが合う位置において電気的に嵌合接続するように位置決めされているため、主軸2が軸受部3に回転自在に支持されると同時に、コネクタ5の電気的な嵌合接続が完了する。
【0037】
この実施例によれば、以下の効果を有する。
【0038】
主軸2の内壁側に案内部21を設けたため、軸受部3によって支持される部分と案内部21とを主軸2の先端部の内側と外側に設けることができ、主軸2の長さを短くすることができる。このため、扉の回転支持装置1の高さを低くすることができ、扉取付枠Wの高さが低い扉Dであっても扉の回転支持装置1を使用することができる。
【0039】
主軸2の内壁側に案内部21を設け、外側には案内部21が形成されないようにして主軸2の先端部を円滑にしたことにより、扉Dを吊込む場合に、案内部21が軸受部3の周囲の部分等と干渉することを防止することができる。従って、扉Dを吊込む場合に、軸受部3に主軸2が円滑に嵌入され、主軸2と軸受部3とを嵌入させる扉Dの吊込作業が容易となる。
【0040】
また、主軸2に設けられるコネクタ5は、コネクタ5の側方へ電気配線53が取り出されているため、電気配線53が扉の回転支持装置1の上方に向けて突出しない。このため、扉の回転支持装置1の高さを低くすることができ、扉取付枠Wの低い扉Dであっても扉の回転支持装置1を使用することができる。
【0041】
主軸2の内部にコネクタ5が収容され、コネクタ5が主軸2の側部から露出しない。このため、主軸2が軸受部3の周囲の部分等と接触してもコネクタ5が損傷しない。
【0042】
なお、実施の形態は上記に限定されるものではない。例えば次のように変更してもよい。
【0043】
扉の回転支持装置1は、扉取付枠Wに軸受部3を設け、扉Dに主軸2を設けてもよい。
【0044】
コネクタ5は、主軸2に雄側コネクタ51を設け、保持部材4に雌側コネクタ52を設けたが、主軸2に雌側コネクタ52を設け、保持部材4に雌側コネクタ51を設けてもよい。
【0045】
凹部22は、保持部の位置決め体41を収容する部分であり、主軸2の壁の厚さを内壁側から薄くした部分であればよく、凹部22の形状は溝形状に限定されない。凹部22は、周囲より壁の厚さを薄くした部分であって、主軸2の軸方向に沿って形成されていればよい。図7のように単数でもよく、または3以上設けてもよい。
【0046】
位置決め体41の形状は、主軸2の凹部22に収容され、かつ保持部材4の位置決めをすることができる形状であればよい。従って、位置決め体41の形状及び位置決め体41を設ける位置は、主軸2の案内部21の形状及び形成される位置に対応したものであればよい。保持部材4の中心軸に対して対称位置でなくてもよい。位置決め体41は1対でなくてもよい。図8のように単数でもよく、または3以上設けてもよい。
【0047】
主軸2に案内部21を形成する手段として、切削手段を用いて主軸2の内壁部の一部を切削してもよく、図9に示すように、筒状の部材27に切り欠き部を形成して、摺接部23を形成し、外側に他の筒状の部材28を嵌めて溶接手段等で固定することにより、主軸2の内部に案内部21を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例に係る扉の回転支持装置1の一部を破断した側面図である。
【図2】扉の回転支持装置1のうち、主軸2が軸受部3とが分離した状態の拡大断面図である。
【図3】扉の回転支持装置1のうち、主軸2が軸受部3に嵌入した状態の拡大断面図である。
【図4】主軸2の拡大斜視図(a)と、拡大斜視図のA―A線における拡大断面図(b)である。
【図5】保持部材4の拡大斜視図(a)と、拡大斜視図のB―B線における拡大断面図(b)である。
【図6】雄側コネクタ51の拡大斜視図である。
【図7】他の実施例に係る主軸2の拡大斜視図(a)と、拡大斜視図のC―C線における拡大断面図(b)である。
【図8】他の実施例に係る保持部材4の拡大断面図(a)と、拡大斜視図のD―D線における拡大断面図(b)である。
【図9】筒状の部材27、28を嵌めることにより形成される主軸2の分解斜視図である。
【図10】従来の扉の回転支持装置における主軸2の拡大斜視図である。
【図11】従来の扉の回転支持装置における保持部材4の拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
W 扉取付枠
D 扉
1 扉の回転支持装置
11 トップピボット
12 基板
13 アーム
14 水平軸
15 歯部
16 ウオームギア
17 受け金具
2 主軸
21 案内部
22 凹部
23 摺接部
24 テーパー部
25 電気配線取出部
26 係合孔
27、28 筒状の部材
3 軸受部
31、32 ブッシュ
4 保持部材
41 位置決め体
42 テーパー部
43 突条
44 パッキン
5 コネクタ
51 雄側コネクタ
52 雌側コネクタ
53 電気配線
54、55 ピン
61 主軸
62 溝部
63 筒状部材
64 突出片
65、66 テーパー部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気錠等を備えた扉を扉取付枠に回転自在に取り付ける、扉の回転支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気錠等を備えた扉を扉取付枠に吊込む場合、扉内部への電気配線が必要である。この電気配線は、扉を支持する主軸と軸受部の中に通される。従来の電気配線の敷設では、扉取付枠と扉とに作業穴を設けておき、軸受部に主軸を嵌入した後に前記作業穴から手を入れて、軸受部と主軸とに電気配線を通す作業を行なっていた。しかし、この敷設の方法では作業に手数が掛るという問題があった。このため本願出願人により、電気配線の敷設作業を容易に行なうことのできる扉の回転支持装置が提案されている。
【0003】
前記従来の扉の回転支持装置は、扉取付枠または扉のいずれか一方に設けられた進退自在の主軸61と、他方に設けられて前記主軸61を嵌入させる筒状の軸受部と、前記軸受部の内側に回転自在に設けられる筒状部材63と、前記主軸61の内側と前記筒状部材63の内側とに設けられるコネクタとを備え、前記軸受部に主軸61が嵌入することにより、扉取付枠に対して扉を回転自在に支持するとともにコネクタを電気的に嵌合接続する扉の回転支持装置である(特許文献1、図10、図11参照)。
【0004】
前記従来の扉の回転支持装置では、図10に示すように、主軸61の先端部には溝部62が設けられている。また、図11に示すように、筒状部材63には突出片64が設けられている。この突出片64は前記主軸61の溝部62に嵌入して主軸61に対する筒状部材63の位置決めをするための部材であり、突出片64と溝部62にはテーパー部65、66が形成されている。主軸61を軸受部に嵌入させると、軸受部の内部に設けられた筒状部材63の突出片64に主軸61の溝部62が当接し、テーパー部65、66がガイドとなって、溝部62と突出片64の位置が合うまで筒状部材63が回転する。また、主軸61及び筒状部材63に設けられたコネクタは、溝部62と突出片64とが合う位置において嵌合接続するように位置決めされている。よって、溝部62と突出片64の位置が合うと、軸受部に主軸61が嵌入されるとともにコネクタが嵌合し電気的に接続される。この扉の回転支持装置によれば、扉内部への電気配線作業を容易に行なうことができる。
【特許文献1】実用新案登録第2502263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記従来の扉の回転支持装置では、主軸61の先端部に溝部62が設けられており、前記溝部62を設けた部分は軸受部によって支持することができない部分である。軸受部によって支持される部分は溝部62より上となる。主軸61は、軸受部によって支持される部分を溝部62とは別の位置に確保しなければならない。このため、主軸61の長さを長くする必要がある。主軸61の長さが長いことにより扉の回転支持装置の高さを低くすることができず、扉取付枠の高さが低い扉には、扉の回転支持装置を使用することができないという問題があった。
【0006】
また、前記従来の扉の回転支持装置では、主軸61の先端部に溝部62が設けられている。このため、扉を吊込む場合に、前記溝部62に軸受部の周囲の部分等が挟まってしまう場合があり、主軸61と軸受部とを嵌入させる扉の吊込作業に手数を要していた。
【0007】
また、前記従来の扉の回転支持装置では、主軸61に設けられるコネクタの後端部分からは、コネクタを嵌合接続する方向に沿って電気配線が取り出されている。電気配線がコネクタを嵌合接続する方向に沿って取り出されることにより、電気配線が突出し扉の回転支持装置の高さが高くなるという問題があった。
【0008】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、扉取付枠の高さが低い扉であっても使用できる扉の回転支持装置の提供を第1の目的とする。また、主軸の先端部を円滑にし、主軸と軸受部とを嵌入させる扉の吊込作業を容易にした扉の回転支持装置の提供を第2の目的とする。さらに、コネクタの高さを低くして、扉取付枠の低い扉であっても使用できる扉の回転支持装置の提供を第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
扉取付枠または扉のいずれか一方に設けられた進退自在の主軸と、
他方に設けられて前記主軸を嵌入させる軸受部と、
前記軸受部の内側に回転自在に設けられる保持部材と、
前記主軸の内側と前記保持部材の内側とに設けられるコネクタと、
を備え、前記軸受部に主軸が嵌入することにより、扉取付枠に対して扉を回転自在に支持するとともにコネクタを電気的に嵌合接続する扉の回転支持装置において、
前記保持部材に設けられる位置決め体と、
開口端部を有する主軸と、
前記主軸の内壁側に設けられ、前記位置決め体を主軸の開口端部から内側に収容するように案内する案内部と、
前記位置決め体が主軸の内側に収容された状態で電気的に嵌合接続されるように設けられたコネクタと、
を備え、
主軸が軸受部に嵌入されて、位置決め体が案内部に案内されることにより保持部材が回転し、保持部材に設けられたコネクタと、主軸に設けられたコネクタとが嵌合接続されることを特徴とする扉の回転支持装置とした。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、
位置決め体は、軸受部の内壁との間に間隙を確保して設けられ、
案内部は、前記位置決め体に摺接して保持部材を回転させる摺接部と、位置決め体を主軸の内側に収容する凹部と、を有することとした。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1から2のいずれか1項に記載の発明において、
主軸又は軸受部に設けられるコネクタのうち、少なくとも扉取付枠に設けられるコネクタは、コネクタの側方へ電気配線が取り出されており、
前記主軸又は軸受部には、前記電気配線を取り出すための電気配線取出部が設けられることとした。
【0012】
(作用)
従って、請求項1に記載の発明では、主軸が軸受部に嵌入されると、主軸の内壁側に設けられた案内部に位置決め体が案内される。保持部材は、位置決め体と案内部の位置が合うまで回転する。前記位置決め体が主軸の内側に収容された状態になると、保持部材に設けられたコネクタと、主軸に設けられたコネクタとが電気的に嵌合接続される。また、主軸は軸受部に支持され、扉取付枠に対して扉が回転自在に支持される。
【0013】
請求項2に記載の発明では、主軸が軸受部に嵌入されると、案内部の摺接部は位置決め体に摺接して保持部材を回転させる。保持部材は、位置決め体と案内部の位置が合うまで回転する。保持部材の位置決め体は案内部の凹部に収容されるとともに、凹部は位置決め体と軸受部の内壁との間の間隙に嵌入される。前記位置決め体が凹部に収容された状態になると、保持部材に設けられたコネクタと、主軸に設けられたコネクタとが電気的に嵌合接続される。また、主軸は軸受部に支持され、扉取付枠に対して扉が回転自在に支持される。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、主軸が軸受部に嵌入されると、主軸の内壁側に設けられた案内部に位置決め体が案内される。保持部材は、位置決め体と案内部の位置が合うまで回転する。前記位置決め体が主軸の内側に収容された状態になると、保持部材に設けられたコネクタと、主軸に設けられたコネクタとが電気的に嵌合接続される。また、主軸は軸受部に支持され、扉取付枠に対して扉が回転自在に支持される。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の扉の回転支持装置によれば、主軸の内壁側に案内部を設けたため、軸受部によって支持される部分と案内部とを主軸の先端部の内側と外側に設けることができ、主軸の長さを短くすることができる。このため、扉の回転支持装置の高さを低くすることができ、扉取付枠の高さが低い扉であっても扉の回転支持装置を使用することができる。
【0016】
また、主軸の内壁側に案内部を設け、主軸の先端部を円滑にしたことにより、扉を吊込む場合に、軸受部に主軸が円滑に嵌入される。従って、主軸と軸受部とを嵌入させる扉の吊込作業が容易となる。
【0017】
請求項2に記載の扉の回転支持装置によれば、主軸の内壁側に案内部を設けたため、軸受部によって支持される部分と案内部とを主軸の先端部の内側と外側に設けることができ、主軸の長さを短くすることができる。このため、扉の回転支持装置の高さを低くすることができ、扉取付枠の高さが低い扉であっても扉の回転支持装置を使用することができる。
【0018】
また、主軸の内壁側に案内部を設け、主軸の先端部を円滑にしたことにより、扉を吊込む場合に、軸受部に主軸が円滑に嵌入される。従って、主軸と軸受部とを嵌入させる扉の吊込作業が容易となる。
【0019】
請求項3に記載の扉の回転支持装置によれば、主軸の内壁側に案内部を設けたため、軸受部によって支持される部分と案内部とを主軸の先端部の内側と外側に設けることができ、主軸の長さを短くすることができる。このため、扉の回転支持装置の高さを低くすることができ、扉取付枠の高さが低い扉であっても扉の回転支持装置を使用することができる。
【0020】
また、主軸の内壁側に案内部を設け、主軸の先端部を円滑にしたことにより、扉を吊込む場合に、軸受部に主軸が円滑に嵌入される。従って、主軸と軸受部とを嵌入させる扉の吊込作業が容易となる。
【0021】
また、主軸あるいは軸受部に設けられるコネクタのうち、少なくとも扉取付枠に設けられるコネクタは、コネクタの側方へ電気配線が取り出されているため、扉の回転支持装置の高さを低くすることができ、扉取付枠の高さが低い扉であっても扉の回転支持装置を使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を具体化した実施形態について図1から図6に従って説明する。
【実施例1】
【0023】
本実施例に係る扉の回転支持装置1は、主軸2、軸受部3、保持部材4及びコネクタ5を有する。以下では、扉取付枠Wに主軸2を設け、扉Dに軸受部3を設ける場合について説明する。
【0024】
図1に示すように、前記主軸2は、扉Dに設けられた前記軸受部3に嵌入され、扉Dを扉取付枠Wに対して回転自在に支持する部材である。主軸2は、扉取付枠Wに設けられたトップピボット11に進退自在に設けられている。図4に示すように、主軸2の形状は略円筒形状である。主軸2の端部は開口端となっている。主軸2は案内部21と、雄側コネクタ51を設ける空間とを有している。
【0025】
前記主軸2の案内部21は、保持部材4に設けられる後記位置決め体41を案内して、案内部21と位置決め体41の位置が合うまで保持部材4を回転させる部分である。案内部21は凹部22と摺接部23とを有する。前記凹部22は、保持部材4の位置決め体41が収容される部分である。図4(b)に示すように、凹部22は主軸2の壁の厚さを薄くしている。前記凹部22は、図4(b)に示すように、主軸2の内壁側に対向して設けられる。また、図4(a)に示すように、凹部22は主軸2の開放端部より内側に設けられる。従って、凹部22は主軸2の外側には形成されない。凹部22は主軸2の内壁に沿って、軸方向に設けられる。
【0026】
図4に示すように、凹部22の側方には摺接部23が形成される。摺接部23は保持部材4の位置決め体41に摺接して位置決め体41と凹部22の位置が合うまで保持部材4を回転させる部分であり、位置決め体41を凹部22に収容するように案内する部分である。図4(a)に示すように、摺接部23には、主軸2の開放端部に近い部分ではテーパー部24が形成されている。従って、主軸2の開放端部に近い部分では、前記凹部22の幅は広げられており、位置決め体41を凹部22に導入しやすくしている。
【0027】
図4(a)に示すように、主軸2の側壁の図示上端部には、電気配線取出部25が設けられる。電気配線取出部25は主軸2に設けられる後記雄側コネクタ51の電気配線53を取り出す部分である。電気配線取出部25は電気配線53が通る幅を有する切り欠き部である。
【0028】
また、図2及び図4(a)に示すように、主軸2の側壁には、係合孔26が形成される。係合孔26はトップピボット11の後記アーム13先端が係合する部分である。
【0029】
次に、前記軸受部3は、前記主軸2が嵌入して扉Dを扉取付枠Wに対して回転自在に支持する部材である。図1に示すように、軸受部3は扉Dに取付られる受け金具17に設けられる。図2に示すように、軸受部3の内部にはブッシュ31、32が設けられる。ブッシュ31、32は、前記主軸2と接触して主軸2を回転自在に支持するとともに、保持部材4を回転自在としつつ、保持部材4の抜脱を防止する部材である。
【0030】
次に、前記保持部材4は雌側コネクタ52を内部に設け、その雌側コネクタ52を前記主軸2に設けられた雄側コネクタ51と接続する部材である。図5に示すように、保持部材4の形状は略円筒形状である。保持部材4の図示上端部は開口端となっており、その開口部の周囲に位置決め体41が設けられている。
【0031】
前記位置決め体41は、前記主軸2の案内部21により、位置決め体41と凹部22の位置が合うまで保持部材4を回転させる部分であり、主軸2に対する保持部材4の位置決めをする部材である。図5に示すように、位置決め体41の形状は、前記主軸2の凹部22に収容される形状であり、先端部にはテーパー部42が形成されている。位置決め体41が形成される位置は、前記主軸2の案内部21に収容されるように案内部21に対応した位置である。位置決め体41は開口部の周縁部であって、保持部材4のやや中心寄りの位置に対向して設けられている。位置決め体41は保持部材4のやや中心寄りの位置に設けられているため、保持部材4が軸受部3に設けられると、位置決め体41と軸受部3(ブッシュ31、32)との間に間隙が確保される。この間隙は、図2及び図3に示すように、案内部21の凹部22に位置決め体41を収容するための間隙である。
【0032】
前記保持部材4の内部には雌側コネクタ52を設ける空間を有している。また、外壁の周方向には突条43が形成される。前記保持部材4は、図2に示すように、軸受部3の内側に回転自在に設けられる。前記突条43の上下は前記ブッシュ31、32で保持されており、軸受部3からの抜脱が防止される。また、軸受部3と保持部材4との間にはパッキン44が設けられており、保持部材4が過度に回転することを防止する。
【0033】
前記主軸2及び保持部材4に設けられるコネクタ5は、雌雄1対となって電気的に嵌合接続される。図2に示すように、主軸2には雄側コネクタ51が設けられ、保持部材4には雌側コネクタ52が設けられる。コネクタ5は、主軸2部が軸受部3に嵌入され、主軸2部の凹部22に位置決め体41が収容された状態において電気的に嵌合接続するように回転方向の位置及び軸方向の位置が決められている。コネクタ5の構造については詳しい説明は省略するが、雄側コネクタ51は、図6に示すように、電気配線53が側方に取り出されている。このため、雄側コネクタ51の後端部分から電気配線53が突出しない。雄側コネクタ51は、図2に示す主軸2の図示上方から取付られる。電気配線53は、主軸2に設けられた電気配線取出部25としての切り欠き部から取り出される。雄側コネクタ51は主軸2に対して固定手段により固定される。固定手段の一例として、主軸2の側方から雄側コネクタ51に達するピン54を挿入して固定する手段を用いる。
【0034】
前記保持部材4には雌側コネクタ52が設けられる。雌側コネクタ52は、図2に示す保持部材4の図示下方から取付られる。雄側コネクタ51は主軸2に対して固定手段により固定される。固定手段の一例として、保持部材4の側方から雌側コネクタ52に達するピン55を挿入する手段を用いる。
【0035】
次に主軸2を上下方向に進退させる構成について説明する。図1に示すように、本実施例における主軸2はトップピボット11に設けられている。トップピボット11は扉取付枠Wに取付られる部材である。トップピボット11の基板12には一端近傍部が水平軸14で枢支されたアーム13が設けられている。このアーム13の一端には円弧状に歯部15が形成される。この歯部15と噛み合うようにウオームギア16が設けられる。主軸2は基板12に対して上下方向に進退自在に支持されており、前記主軸2の係合孔26には前記アーム13の他端が係合する。前記ウオームギア16を端部側から回すと、ウオームギア16に噛み合った歯部15が上下し、アーム13が前記軸の周りで回転して主軸2が上下方向に進退する(特願2004−63300参照。)。
【0036】
本実施例に係る扉の回転支持装置1を用いて扉Dを吊込む場合について説明する。まず図2に示すように、扉取付枠Wに設けた主軸2と、扉Dに設けた軸受部3とを対向させた状態でウオームギア16を回転させ、主軸2を軸受部3に嵌入させる。主軸2が軸受部3に嵌入されると、軸受部3の内部に設けられた保持部材4の位置決め体41に主軸2の案内部21が当接し、テーパー部24、42がガイドとなって、案内部21と位置決め体41の位置が合うまで保持部材4が回転する。図3に示すように、案内部21に位置決め体41が収容されることにより、主軸2は軸受部3に回転自在に支持される。また、主軸2及び保持部材4に設けられたコネクタ5は、案内部21と位置決め体41とが合う位置において電気的に嵌合接続するように位置決めされているため、主軸2が軸受部3に回転自在に支持されると同時に、コネクタ5の電気的な嵌合接続が完了する。
【0037】
この実施例によれば、以下の効果を有する。
【0038】
主軸2の内壁側に案内部21を設けたため、軸受部3によって支持される部分と案内部21とを主軸2の先端部の内側と外側に設けることができ、主軸2の長さを短くすることができる。このため、扉の回転支持装置1の高さを低くすることができ、扉取付枠Wの高さが低い扉Dであっても扉の回転支持装置1を使用することができる。
【0039】
主軸2の内壁側に案内部21を設け、外側には案内部21が形成されないようにして主軸2の先端部を円滑にしたことにより、扉Dを吊込む場合に、案内部21が軸受部3の周囲の部分等と干渉することを防止することができる。従って、扉Dを吊込む場合に、軸受部3に主軸2が円滑に嵌入され、主軸2と軸受部3とを嵌入させる扉Dの吊込作業が容易となる。
【0040】
また、主軸2に設けられるコネクタ5は、コネクタ5の側方へ電気配線53が取り出されているため、電気配線53が扉の回転支持装置1の上方に向けて突出しない。このため、扉の回転支持装置1の高さを低くすることができ、扉取付枠Wの低い扉Dであっても扉の回転支持装置1を使用することができる。
【0041】
主軸2の内部にコネクタ5が収容され、コネクタ5が主軸2の側部から露出しない。このため、主軸2が軸受部3の周囲の部分等と接触してもコネクタ5が損傷しない。
【0042】
なお、実施の形態は上記に限定されるものではない。例えば次のように変更してもよい。
【0043】
扉の回転支持装置1は、扉取付枠Wに軸受部3を設け、扉Dに主軸2を設けてもよい。
【0044】
コネクタ5は、主軸2に雄側コネクタ51を設け、保持部材4に雌側コネクタ52を設けたが、主軸2に雌側コネクタ52を設け、保持部材4に雌側コネクタ51を設けてもよい。
【0045】
凹部22は、保持部の位置決め体41を収容する部分であり、主軸2の壁の厚さを内壁側から薄くした部分であればよく、凹部22の形状は溝形状に限定されない。凹部22は、周囲より壁の厚さを薄くした部分であって、主軸2の軸方向に沿って形成されていればよい。図7のように単数でもよく、または3以上設けてもよい。
【0046】
位置決め体41の形状は、主軸2の凹部22に収容され、かつ保持部材4の位置決めをすることができる形状であればよい。従って、位置決め体41の形状及び位置決め体41を設ける位置は、主軸2の案内部21の形状及び形成される位置に対応したものであればよい。保持部材4の中心軸に対して対称位置でなくてもよい。位置決め体41は1対でなくてもよい。図8のように単数でもよく、または3以上設けてもよい。
【0047】
主軸2に案内部21を形成する手段として、切削手段を用いて主軸2の内壁部の一部を切削してもよく、図9に示すように、筒状の部材27に切り欠き部を形成して、摺接部23を形成し、外側に他の筒状の部材28を嵌めて溶接手段等で固定することにより、主軸2の内部に案内部21を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例に係る扉の回転支持装置1の一部を破断した側面図である。
【図2】扉の回転支持装置1のうち、主軸2が軸受部3とが分離した状態の拡大断面図である。
【図3】扉の回転支持装置1のうち、主軸2が軸受部3に嵌入した状態の拡大断面図である。
【図4】主軸2の拡大斜視図(a)と、拡大斜視図のA―A線における拡大断面図(b)である。
【図5】保持部材4の拡大斜視図(a)と、拡大斜視図のB―B線における拡大断面図(b)である。
【図6】雄側コネクタ51の拡大斜視図である。
【図7】他の実施例に係る主軸2の拡大斜視図(a)と、拡大斜視図のC―C線における拡大断面図(b)である。
【図8】他の実施例に係る保持部材4の拡大断面図(a)と、拡大斜視図のD―D線における拡大断面図(b)である。
【図9】筒状の部材27、28を嵌めることにより形成される主軸2の分解斜視図である。
【図10】従来の扉の回転支持装置における主軸2の拡大斜視図である。
【図11】従来の扉の回転支持装置における保持部材4の拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
W 扉取付枠
D 扉
1 扉の回転支持装置
11 トップピボット
12 基板
13 アーム
14 水平軸
15 歯部
16 ウオームギア
17 受け金具
2 主軸
21 案内部
22 凹部
23 摺接部
24 テーパー部
25 電気配線取出部
26 係合孔
27、28 筒状の部材
3 軸受部
31、32 ブッシュ
4 保持部材
41 位置決め体
42 テーパー部
43 突条
44 パッキン
5 コネクタ
51 雄側コネクタ
52 雌側コネクタ
53 電気配線
54、55 ピン
61 主軸
62 溝部
63 筒状部材
64 突出片
65、66 テーパー部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉取付枠または扉のいずれか一方に設けられた進退自在の主軸と、
他方に設けられて前記主軸を嵌入させる軸受部と、
前記軸受部の内側に回転自在に設けられる保持部材と、
前記主軸の内側と前記保持部材の内側とに設けられるコネクタと、
を備え、前記軸受部に主軸が嵌入することにより、扉取付枠に対して扉を回転自在に支持するとともにコネクタを電気的に嵌合接続する扉の回転支持装置において、
前記保持部材に設けられる位置決め体と、
開口端部を有する主軸と、
前記主軸の内壁側に設けられ、前記位置決め体を主軸の開口端部から内側に収容するように案内する案内部と、
前記位置決め体が主軸の内側に収容された状態で電気的に嵌合接続されるように設けられたコネクタと、
を備え、
主軸が軸受部に嵌入されて、位置決め体が案内部に案内されることにより保持部材が回転し、保持部材に設けられたコネクタと、主軸に設けられたコネクタとが嵌合接続されることを特徴とする扉の回転支持装置。
【請求項2】
位置決め体は、軸受部の内壁との間に間隙を確保して設けられ、
案内部は、前記位置決め体に摺接して保持部材を回転させる摺接部と、位置決め体を主軸の内側に収容する凹部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の扉の回転支持装置。
【請求項3】
主軸又は軸受部に設けられるコネクタのうち、少なくとも扉取付枠に設けられるコネクタは、コネクタの側方へ電気配線が取り出されており、
前記主軸又は軸受部には、前記電気配線を取り出すための電気配線取出部が設けられていることを特徴とする請求項1から2のうちいずれか1項に記載の扉の回転支持装置。
【請求項1】
扉取付枠または扉のいずれか一方に設けられた進退自在の主軸と、
他方に設けられて前記主軸を嵌入させる軸受部と、
前記軸受部の内側に回転自在に設けられる保持部材と、
前記主軸の内側と前記保持部材の内側とに設けられるコネクタと、
を備え、前記軸受部に主軸が嵌入することにより、扉取付枠に対して扉を回転自在に支持するとともにコネクタを電気的に嵌合接続する扉の回転支持装置において、
前記保持部材に設けられる位置決め体と、
開口端部を有する主軸と、
前記主軸の内壁側に設けられ、前記位置決め体を主軸の開口端部から内側に収容するように案内する案内部と、
前記位置決め体が主軸の内側に収容された状態で電気的に嵌合接続されるように設けられたコネクタと、
を備え、
主軸が軸受部に嵌入されて、位置決め体が案内部に案内されることにより保持部材が回転し、保持部材に設けられたコネクタと、主軸に設けられたコネクタとが嵌合接続されることを特徴とする扉の回転支持装置。
【請求項2】
位置決め体は、軸受部の内壁との間に間隙を確保して設けられ、
案内部は、前記位置決め体に摺接して保持部材を回転させる摺接部と、位置決め体を主軸の内側に収容する凹部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の扉の回転支持装置。
【請求項3】
主軸又は軸受部に設けられるコネクタのうち、少なくとも扉取付枠に設けられるコネクタは、コネクタの側方へ電気配線が取り出されており、
前記主軸又は軸受部には、前記電気配線を取り出すための電気配線取出部が設けられていることを特徴とする請求項1から2のうちいずれか1項に記載の扉の回転支持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−52551(P2006−52551A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233652(P2004−233652)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000229380)日本ドアーチエック製造株式会社 (24)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000229380)日本ドアーチエック製造株式会社 (24)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]