説明

手動式ポンプ装置

【課題】災害や緊急時に受水槽や給水タンクの貯留水を取水可能な手動式ポンプ装置を提供する。
【解決手段】先端部に逆流防止弁51が設けられ、逆流防止弁51を受水槽40のマンホール41に水没させて受水槽40内の水を吸い込むためのホース53と、逆流防止弁51が設けられたホース53をマンホール41に係合支持するための保持部54と、ホース53の他端に設けた手動ポンプ55と、手動ポンプ部55の流入口側と送水口側とに夫々の開口端部が接続され、第1給水バルブを設けた迂回配管と、第2給水バルブ部56が設けられ、送水口側に受水槽40内の水を送水するための採水管57とを具備する手動式ポンプ装置50である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害や緊急時に受水槽や給水タンクの貯留水を給水可能な手動式ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、停電や断水等が起きた災害等に使用する簡易浄水器には手動式ポンプとしてダイヤフラムポンプが使用されている。簡易浄水器は図12(a),(b)に示すように、ポンプ部1、操作部2、フイルタ部3から構成されている。図12(a)はポンプ部の右半分等を断面で示した図、図12(b)は図12(a)のX−X断面図である。ポンプ部1にはダイヤフラムポンプが使用されており、ポンプ胴体10、往復動ポンプ軸11、ダイヤフラム挟持部12、ダイヤフラム13、ポンプ軸11を支持したり、ポンプ胴体10を仕切る内部壁14、ポンプ軸11に2個設けられた係合片15、ポンプを支える架台16等で構成されている。操作部2はポンプを操作するハンドル17、ハンドル軸18、ハンドル軸18に取り付けたリンク杆19、リンク杆19に取り付けられ前記の係合片15の間で係合する駆動ピン20、ハンドル17の握り部21等で構成されている。さらに、吸込口22、吸込通路23、吸入弁部24、バルブ用のボール25、ダイヤフラム13とポンプ胴体10の間に形成される可変容積のポンプ室26、吐出弁部27、バルブ用ボール28、吐出口29が設けられ、吐出口29にプリーツ型濾過紙フイルタ30が連結され、さらに内部に収納した抗菌活性炭32と中空糸膜フイルタ33とが設けられた高性能フイルタ筐31とが接続されている。
【0003】
従来の手動簡易浄水器は、握り部21を持ってハンドル17を回転することによって、ハンドル軸18とともにリンク杆19が回転し、リンク杆19に取り付けられた駆動ピン20も回転する。すると、図12(b)に示すように、駆動ピン20はポンプ軸11に取り付けられた2つの係合片15の間に係合しているので、駆動ピン20の回転に応じ係合片15を介してポンプ軸11も左右に往復動する。同図ではポンプ軸11が左端にあり、さらにハンドル17を回転すると、ポンプ軸11は右端へと移動する。ポンプ軸11の往復動の応じてダイヤフラム13が応動しダイヤフラム13が隔てるポンプ室26の左右内室が交互に拡大・縮小を繰り返す。ダイヤフラム13の応動による左右内室の拡大・縮小に呼応して左右のポンプ室26が吸引口22から水を吸引し、吸込通路23を経て右ポンプ室26に吸い込まれ、ダイヤフラム13の応動による右ポンプ室26の縮小に応じて右ポンプ室26内の水は吐出口29からフイルタ部3へと送水される。左右ポンプ室26に交互に水の吸引と吐出が繰り返されて水がフイルタ部3へと送水される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−332480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例では、手動簡易浄水器に手動ポンプとしてダイヤフラムポンプが用いられたものであり、ハンドルを回転し続けることによって、フイルタ部で浄化した水を送水することができる。この種の手動簡易浄水器では、吸引した水に水圧を掛けてフイルタ部に送り込んで浄水しており、ハンドルを操作し続けることが前提であり問題はない。しかし、災害や緊急時などで飲料水を給水する手動式ポンプとしてダイヤフラムポンプ等の手動ポンプを使用した場合、手動ポンプを作動し続けなければ、飲料水を供給することができないといった問題点があった。たとえば、水道管の破壊や送電が止まる等の緊急時、受水槽や給水タンクから飲料水を取水して給水する際、給水口に要員を確保するのが困難な場合もあって、蛇口を捻れば給水できる手動式ポンプ装置が望まれていた。
【0006】
本発明は、災害や緊急時に受水槽や給水タンクの貯留水を取水可能な手動式ポンプ装置を提供することを目的とし、災害や緊急時に即応し得るように保管が容易である収納式の手動式ポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決したものであり、請求項1の発明は、先端部に逆流防止弁が設けられ、該逆流防止弁を受水槽又は給水タンクのマンホールから挿入し該受水槽又は給水タンク内の貯留水中に水没させて吸い込むためのホースと、
前記マンホールの周囲に前記ホースを係合支持するための保持部と、
前記ホースの他端に設けた手動ポンプ部と、
第1給水バルブが設けられ、前記手動ポンプ部の流入口側と送水口側との間に接続された迂回配管と、
第2給水バルブが設けられ、前記送水口側に接続されて前記受水槽又は給水タンク内の水を送水するための採水管とを具備することを特徴とする手動式ポンプ装置である。
【0008】
また、請求項2の発明は、前記ホースが突起又はフランジを設けた管状の前記保持部に挿通されていることを特徴とする請求項1に記載の手動式ポンプ装置である。
【0009】
また、請求項3の発明は、前記ホースが前記逆流防止弁を設けた部分から前記保持部までが剛性の直管であり、該保持部以降を可撓性を有する部材であることを特徴とする請求項1に記載の手動式ポンプ装置である。
【0010】
また、請求項4の発明は、前記逆流防止弁にフィルタが設けられたことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の手動式ポンプ装置である。
【0011】
また、請求項5の発明は、前記手動ポンプ部がダイヤフラム式であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の手動式ポンプ装置である。
【0012】
また、請求項6の発明は、前記保持部より前記逆流防止弁側のホースに呼水を供給する呼水容器を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の手動式ポンプ装置である。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の手動式ポンプ装置が収納ケース内に収納されて収納保管可能であることを特徴とする手動式ポンプ装置である。
【0014】
また、請求項8の発明は、前記収納ケースを前記手動式ポンプ装置の架台とすることを特徴とする請求項7に記載の手動式ポンプ装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明では、請求項1の発明は、先端部に逆流防止弁が設けられ、該逆流防止弁を受水槽又は給水タンクのマンホールから挿入し該受水槽又は給水タンク内の貯留水中に水没させて吸い込むためのホースと、
前記マンホールの周囲に前記ホースを係合支持するための保持部と、
前記ホースの他端に設けた手動ポンプ部と、
第1給水バルブが設けられ、前記手動ポンプ部の流入口側と送水口側との間に接続された迂回配管と、
第2給水バルブが設けられ、前記送水口側に接続されて前記受水槽又は給水タンク内の水を送水するための採水管とを具備することを特徴とする手動式ポンプ装置であるので、第1給水バルブを閉じ、第2給水バルブを開いた状態で、手動ポンプを操作して受水槽又は給水タンク内の貯留水を吸い上げて採水管から採水し、その時点で第1給水バルブを開くことにより、手動ポンプを操作することなく、サイホンの原理により吸い込まれた貯留水が迂回配管から採水管を経て送水され、手動ポンプを操作することなく、受水槽又は給水タンク内の貯留水を給水することができる利点がある。
【0016】
また、請求項2の発明は、前記ホースが突起又はフランジを設けた管状の前記保持部に挿通されていることを特徴とする請求項1に記載の手動式ポンプ装置であるので、ホースが保持部に挿通され、保持部の突起又はフランジに受水槽又は給水タンクのマンホールの縁に掛合させてホースを保持することができる利点がある。
【0017】
また、請求項3の発明では、前記ホースが前記逆流防止弁を設けた部分から前記保持部までが剛性の直管であり、該保持部以降を可撓性を有するホースとしたことを特徴とする請求項1に記載の手動式ポンプ装置であるので、手動式ポンプ装置による送水を停止したとしても短時間であればホース内の水が受水槽又は給水タンク内に逆流することがなく、第2給水バルブを開けば再び採水管から送水される利点がある。
【0018】
また、請求項4の発明では、前記逆流防止弁にフィルタが設けられたことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の手動式ポンプ装置であるので、比較的大きな不純物はフィルタで除去することができるし、また、フィルタが逆流防止弁の開口端側に突出するように設けられるので、受水槽等の底部まで差し込んだとしてもフィルタにより流入口を閉塞することがない利点がある。
【0019】
また、請求項5の発明では、前記手動ポンプ部がダイヤフラム式であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の手動式ポンプ装置であるので、大容量の容積の流体を移送させることが可能であり、呼水を使用することなく、ホース内の空気を吸い込みながら貯留水を吸い上げて給水することができる利点がある。
【0020】
また、請求項6の発明では、前記保持部より前記逆流防止弁側のホースに呼水を供給する呼水容器を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の手動式ポンプ装置であるので、ダイヤフラム式以外の小容積量の手動ポンプであっても呼水を流入管内に注ぎ込んで給水することができる利点がある。
【0021】
また、請求項7の発明では、請求項1〜6の何れか1項に記載の手動式ポンプ装置が収納ケース内に収納されて収納保管可能であることを特徴とする手動式ポンプ装置であるので、手動式ポンプ装置を収納ケース内に収納して管理室等に保管し、災害や緊急時に取り出し、受水槽や給水タンクのマンホールからホースを差し込んで手動式ポンプ装置を装着し受水槽や給水タンク内の水を給水することができる利点がある。
【0022】
また、請求項8の発明では、前記収納ケースを前記手動式ポンプ装置の架台とすることを特徴とする請求項7に記載の手動式ポンプ装置であるので、収納ケースから手動式ポンプ装置を取り出し、収納ケースを手動ポンプの架台として利用することができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図11を参照し説明する。なお、図1は本発明に係る手動式ポンプ装置の一実施形態の使用例を示す概略側面図である。図2は本実施形態における手動式ポンプ装置の手動ポンプ部の模式図、図3はその概略斜視図である。図4(a)は手動ポンプの上面図、図4(b)はその側部断面図である。図5はホース先端部の左半分側面図である。図6はホース保持部の側面図、図7は他の形態のホース保持部の側面図である。図8は本発明に係る手動式ポンプ装置の他の実施形態の使用例を示す概略側面図である。図9は図8の実施形態の要部拡大図、図10はその要部斜視図である。図11(a)は本実施形態の手動式ポンプ装置を収納ケースに収納した上面図、図11(b)は収納ケースを架台として使用例を示す斜視図である。
【0024】
本実施形態の手動式ポンプ装置は緊急や災害時に使用するものである。給水設備には、中層や高層建物の各階の居住部等へ給水する場合、一旦受水槽で水道水を貯留し、3階程度の中層では受水槽に貯留した水道水を給水ポンプで送水するようにし、また、高層階への給水は、受水槽の貯留水を給水ポンプで屋上に設置した高置水槽に送水し、一旦屋上に設置した高置水槽に貯留した後、高置水槽から給水するようにしている。何れの場合も受水槽の貯留水を給水ポンプで給水するようにしている。従って、災害等に停電が発生した場合には給水ポンプが駆動せず受水槽に送水することができないことになるが、本実施形態の手動式ポンプ装置ではこのような緊急時に受水槽の貯留水を生活用水や飲料水として利用することができる。
【0025】
図1は本実施形態の使用例を示しており、受水槽40は基台に設置され、図示していない給水引込管に接続された給水管に制御弁が設けられ、制御弁が作動して矢印Aで示すように水道水が受水槽40内に送水され、受水槽40内の所定水位が維持されるようにしている。受水槽40内の貯留水は、給水ポンプの作動により矢印Bに示すように、各階に送水されか、又は高置水槽に送水し各階に送水される。受水槽40の上部には点検や清掃の際に利用されるマンホール41が設けられ、通常、マンホール41は蓋体42で封じられている。また、受水槽40には水位を計測する計測器やオーバーフロー管等が設けられている。
【0026】
本実施形態の手動式ポンプ装置50は、受水槽40又は給水タンク内の貯留水をマンホール41からホース53を差し込み水没させて吸い込み給水するためのものであり、ホース53には、その吸い込み側ホース53aの先端に逆流防止弁51が設けられ、逆流防止弁51の開口端にフィルター52が装着され、ホース53の途中にはマンホール41の縁に係止してホース53を保持する保持部54が設けられ、ホース53の採水側ホース53bの端部には手動ポンプ部55が接続されている。保持部54はエルボ状又は直管状の管である。
【0027】
手動ポンプ部55は、図2及び図3に示すように、手動ポンプ60と、手動ポンプ60を迂回する迂回流路70と、水の流れを確認するための窓81を有するストレーナー80とで構成されており、採水側ホース53bの端部がストレーナー80の流入側開口端に接続され、その流出側開口端側に三方継ぎ手58が接続されて手動ポンプ60の吸入口に接続され、手動ポンプ60の吐出口側に三方継ぎ手59が接続され、第2給水バルブ56が設けられた彩水管57が接続されている。三方継ぎ手58,59の分岐開口端間には第1給水バルブ71が接続された迂回流路70がそれらの両開口端が三方継ぎ手58,59の分岐開口端に夫々接続されている。なお、三方継ぎ手58又は59がバルブ付きであり、流路の切り替えが可能な場合は迂回配管72に第1給水バルブ71を設ける必要はない。
【0028】
手動ポンプ60は、図4(a),(b)に示すように、ポンプ室61を形成するポンプ胴体62と、ポンプ室61の上部開口端部に取り付けられたダイヤフラム63と、ダイヤフラム63の中央部に取り付けられた押圧部材64と、押圧部材64を押圧するハンドル65とで構成され、ポンプ室61は、吸込弁66を介して吸い込み口68と連通し、また、吐出弁67を介して吐出口69と連通している。また、同図において、点線で示したダイヤフラム63はハンドル65で押圧した状態を示し、ハンドル65による押圧によりポンプ室61内の容積が減少し、ハンドル65による押圧力を解除するとポンプ室61内の容積が増大する。ポンプ室61内の容積の増減を繰り返すことによって、貯留水をホース53を通して吸い上げることができる。なお、手動ポンプ60はダイヤフラム式に限定することなく、ピストンやプランジャ式等の他の手動ポンプであってもよい。
【0029】
また、逆流防止弁51は、図5に示すように、パッキン51aとボール51bとで逆流を防止する構造であり、ホース53aの開口端に逆流防止弁51が接続され、逆流防止弁51の開口端にフィルター52が接続されている。フィルター52は比較的大きな不純物を除去するものであり、フィルター52が逆流防止弁の開口端側に突出するように設けられており、ホース53bを受水槽40又は給水タンクの貯留水内に水没させて底に達しても先端部のフィルター52の開口部が閉鎖されることがなく流入経路を確保できる。
【0030】
保持部54は、図6に示すように、ホース53が挿通される管状の保護管54aであり、マンホールの縁に係止可能なように保護管54aの両開口端に突起部或いはフランジ部54bが形成されている。また、図7に示すように、保護管がフランジ付きエルボ管54cであり、一方のフランジ部54dには採水側ホース53bの他端部に設けたフランジ53dが接続され、他方のフランジ部54dには直管53cの端部に設けたフランジ53dが接続される。なお、直管53cは蛇腹状のホースであってもよいし、直管53cの長さを調整可能にしてもよい。
【0031】
本実施形態では、災害時の停電で給水ポンプが停止した際、図1〜図3に示すようにマンホール41からホース53bの他端部に設けた逆流防止弁51を受水槽40内の貯留水に差し込んで設置し、彩水管57の蛇口部に受け容器100を設置する。続いて、第1の給水バルブ71を締めて第2の給水バルブ56を開き、手動ポンプ60のハンドル65を操作することにより、受水槽40内の貯留水が吸い込み側ホース53aの端部から吸い上げられ、ホース53、手動ポンプ部55を経て彩水管57を経て流れ出る。一旦、第2の給水バルブ56を締めて閉じ、第1の給水バルブ71を開くことによって、吸い上げられた貯留水が迂回配管72を流れて彩水管57から流れ出る。彩水管57の吐出口の位置は、フィルター52の取水口の位置より下方にすることによって、手動ポンプ60のハンドル65を操作することなく、水を給水することができる。なお、彩水管57の吐出口の位置を受水槽40の貯留水の水面より低い位置とすることによって、サイフォンの原理に基づいて彩水管57の吐出口から貯留水が流出する。
【0032】
次に、本実施形態の他の形態について図8〜図10を参照し説明する。図8は呼水を必要とする場合の実施形態である。この手動ポンプ装置90は、ホース91の採水側ホース91bの一端部が手動ポンプ部55に接続され、ホース91の途中に保護管54が設けられ、保護管54から挿通された吸い込み側ホース91aの他端が三方継ぎ手93の一開口端に接続され、他の開口端に直管又はホース92が接続され、ホース92の他端部に逆流防止弁51が接続され、逆流防止弁51の開口端にフィルター52が接続されている。三方継ぎ手93の他開口端部にはバルブ94が接続されて呼水容器95が接続されている。呼水容器95は器状底部に流路が設けられ、この流路にバルブ94が接続されている。図9,図10に詳細に示したように、呼水容器95には係止片95aが設けられ、係止片95aをマンホール41の縁に係合させて呼水容器95が取付けられる。また、呼水容器95にはロープ96が結ばれ、ロープ96の他端部にフック96aが接続され、マンホール41の蓋体42の把持部43にフック96aを係合して受水槽40内に落下するのを防止する。また、マンホール41と蓋体42との隙間から虫が入らないようにマンホール41の開口部を覆うように防虫ネット97が設けられる。保持部54,手動ポンプ部55は上記実施形態と同様である。
【0033】
図8の実施形態では、先ず、上記と同様に、第1の給水バルブ71を締めて閉じ、第2の給水バルブ56を開いた後、バルブ94を閉じて呼水容器95に呼水を供給する。バルブ94を開いてハンドル65を操作することにより、彩水管56から水が吐出する。その後、第1の給水バルブ71を開きことによって、手動ポンプ60を経由していた水の流れを迂回配管72から彩水管56を経由して流すことができる。その後は、第2の給水バルブ56の開閉により水を彩水管57を介して給水することができる。
【0034】
本実施形態の手動式ポンプ装置50は、図11(a)に示すように、収納ケース110に収納されて管理室等に保管される。収納ケース110はダンボール製でよいが、収納ケース110を金属或いは樹脂製等であってもよい。金属や樹脂製、又はこれらの複合材料で形成されている場合、収納ケース110の外板壁面に係止金具111を設け、また、手動式ポンプ55の底部に係合金具を設け、手動式ポンプ55の係合金具を係止金具111に係合させて手動式ポンプ55を収納ケース110に装着することができ、収納ケース110を手動ポンプ部55の架台として利用することができる。収納ケース110を手動ポンプ部55の架台とすることによって、採水の際に手動ポンプ部55を安定させて利用することができるし、彩水容器100への採水が容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の活用例としては、災害や緊急時に手動により受水槽又は給水タンク内の貯留水を給水可能な手動式ポンプ装置として利用することができるし、また、災害時などに散水車や給水車のタンク内の水を給水する際にも利用することができる。防災用品や非常用手動ポンプ装置として活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る手動式ポンプ装置の一実施形態の使用例を示す概略側面図である。
【図2】本実施形態における手動式ポンプ装置の手動ポンプ部の模式図である。
【図3】本実施形態における手動ポンプ部の概略斜視図である。
【図4】(a)は手動ポンプの上面図、(b)はその側部断面図である。
【図5】本実施形態におけるホース先端部の左半分側面図である。
【図6】本実施形態におけるホース保持部の側面図である。
【図7】本実施形態における他の形態のホース保持部の側面図である。
【図8】本発明に係る手動式ポンプ装置の他の実施形態の使用例を示す概略側面図である。
【図9】図8の実施形態の要部拡大図である。
【図10】図8の要部斜視図である。
【図11】(a)は本実施形態の手動ポンプ装置を収納ケースに収納した状態の上面図、(b)は収納ケースを架台として使用した概略側面図である。
【図12】手動ポンプを利用した従来の簡易浄水器を示し、(a)はポンプ部の右半分等を断面、(b)は(a)のX−X断面図である。
【符号の説明】
【0037】
40 受水槽
41 マンホール
42 蓋体
50,90 手動式ポンプ装置
51 逆流防止弁
51a パッキン
51b ボール
52 フィルター
53,92 ホース
53a 吸い込み側ホース
53b 採水側ホース
54 保持部
54a 保護管
54b,54d フランジ部
54c エルボ管
55 手動ポンプ部
56 第2給水バルブ
57 彩水管
58,59,93 三方継ぎ手
60 手動ポンプ
61 ポンプ室
62 ポンプ胴体
63 ダイヤフラム
64 押圧部材
65 ハンドル
66 吸込弁
67 吐出弁
68 吸い込み口
69 吐出口
70 迂回流路
71 第1給水バルブ
72 迂回配管
80 ストレーナー
81 窓
94 バルブ
95 呼水容器
96 ロープ
96a フック
97 防虫ネット
100 彩水容器
110 収納ケース
111 係止金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に逆流防止弁が設けられ、該逆流防止弁を受水槽又は給水タンクのマンホールから挿入し該受水槽又は給水タンク内の貯留水中に水没させて吸い込むためのホースと、
前記マンホールの周囲に前記ホースを係合支持するための保持部と、
前記ホースの他端に設けた手動ポンプ部と、
第1給水バルブが設けられ、前記手動ポンプ部の流入口側と送水口側との間に接続された迂回配管と、
第2給水バルブが設けられ、前記送水口側に接続されて前記受水槽又は給水タンク内の水を送水するための採水管とを具備することを特徴とする手動式ポンプ装置。
【請求項2】
前記ホースが突起又はフランジを設けた管状の前記保持部に挿通されていることを特徴とする請求項1に記載の手動式ポンプ装置。
【請求項3】
前記ホースが前記逆流防止弁を設けた部分から前記保持部までが剛性の直管であり、該保持部以降を可撓性を有する部材であることを特徴とする請求項1に記載の手動式ポンプ装置。
【請求項4】
前記逆流防止弁にフィルタが設けられたことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の手動式ポンプ装置。
【請求項5】
前記手動ポンプ部がダイヤフラム式であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の手動式ポンプ装置。
【請求項6】
前記保持部より前記逆流防止弁側のホースに呼水を供給する呼水容器を設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の手動式ポンプ装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の手動式ポンプ装置が収納ケース内に収納されて収納保管可能であることを特徴とする手動式ポンプ装置。
【請求項8】
前記収納ケースを前記手動式ポンプ装置の架台とすることを特徴とする請求項7に記載の手動式ポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−48100(P2010−48100A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210813(P2008−210813)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(302064382)株式会社エヌ・ワイ・ケイ (3)
【Fターム(参考)】