説明

手袋

【課題】 防蚊性を有しつつ、着脱しやすく且つ嵌め心地が良い手袋を提供することにある。
【解決手段】 布地に防蚊剤が付着された防蚊布部材を備えてなる手袋であって、
手首を被覆する手首部を備え、少なくとも甲側部分には、前記防蚊布部材が備えられてなり、前記手首部の掌側部分には、前記防蚊布部材よりも前記手首の周方向に伸縮しやすい伸縮布部材が前記手首の軸方向に延在されてなることを特徴とする手袋を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋に関し、例えば、布地に防蚊剤が付着された防蚊布部材を備えてなる手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の手袋は、例えば、釣り、登山、農作業等の際に蚊に刺されないように蚊を除けるべく用いられている(特許文献1)。
【0003】
斯かる手袋の布地を構成する材料としては、蚊が嫌う化学物質たる防蚊剤(例えば、ユーカリオイル、ヒノキチオール、ディート等)が保持されやすいという観点から、比較的伸縮性に乏しい繊維(例えば、ポリエステル繊維等)が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−201626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、斯かる手袋は、これらの構成材料が伸縮性に乏しいことから、手首を被覆する手首部が手首にフィットするように小口径に形成されると、着用者が手袋を嵌める際に手首よりも先の手の部分を通し難くなり、着脱し難いものになってしまうという問題があり、一方で、着脱しやすいように手首部が大口径に形成されると、手首部が手首にフィットしなくなり嵌め心地が良くないものになってしまうという問題がある。
【0006】
一方で、着脱しやすいように手袋の布地を構成する材料として伸縮性が優れた繊維(例えば、ポリウレタン繊維)やゴム(クロロプレンゴム(例えば、ネオプレン(登録商標)))等が用いられた場合、該手袋は、防蚊剤が比較的保持され難くなってしまい防蚊性が劣ったものになってしまうという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、防蚊性を有しつつ、着脱しやすく且つ嵌め心地が良い手袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、布地に防蚊剤が付着された防蚊布部材を備えてなる手袋であって、
手首を被覆する手首部を備え、少なくとも甲側部分には、前記防蚊布部材が備えられてなり、前記手首部の掌側部分には、前記防蚊布部材よりも前記手首の周方向に伸縮しやすい伸縮布部材が前記手首の軸方向に延在されてなることを特徴とする手袋にある。
【0009】
斯かる手袋は、比較的露出されやすく蚊に刺されやすい甲側部分に前記防蚊布部材が備えられてなることにより防蚊性が優れたものとなる。
また、斯かる手袋は、前記防蚊布部材よりも前記手首の周方向に伸縮しやすい伸縮布部材が前記手首の軸方向に延在されてなることにより着脱しやすく且つ手首部が手首にフィットしやすいものとなり得る。
尚、本明細書於いて、防蚊剤は、蚊が嫌う化学物質のことを意味する。
【0010】
また、本発明に係る手袋においては、好ましくは、前記手首部の甲側に、前記防蚊布部材よりも前記周方向に伸縮しやすい伸縮部材が前記防蚊布部材の内側に取り付けられていることにより、伸縮部が形成されてなる。
【0011】
斯かる手袋によれば、前記伸縮部により、前記手首部の甲側部分が前記周方向に伸縮自在となるため、防蚊性を保持しつつ、より一層着脱しやすく且つ手首部が手首にフィットしやすいものとなり得るという利点がある。
【0012】
さらに、本発明に係る手袋においては、好ましくは、前記伸縮布部材がポリウレタン繊維を含む。
【0013】
斯かる手袋によれば、前記伸縮布部材がより伸縮しやすいものとなることから、より一層着脱しやすく且つ手首部が手首にフィットしやすいものとなり得るという利点がある。
【0014】
また、本発明に係る手袋においては、好ましくは、前記布地がポリエステル繊維を含む。
【0015】
斯かる手袋によれば、前記布地がより防蚊剤を保持しやすいものとなることから、より一層防蚊性が優れたものとなるという利点がある。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、防蚊性を有しつつ、着脱しやすく且つ嵌め心地が良い手袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態に係る手袋の着用時の正面図。
【図2】一実施形態に係る手袋の着用時の背面図。
【図3】一実施形態に係る手袋の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る手袋の正面図であり、図2は、本実施形態に係る手袋の背面図である。
【0019】
本実施形態に係る手袋1は、図1、図2に示すように、手首を被覆する手首部2と、手を被覆する手被覆部3とを備えてなる。
【0020】
手首部2と手被覆部3とは、布地に防蚊剤が付着された防蚊布部材で形成されてなる。
【0021】
手首部2の掌側部分には、防蚊布部材よりも手首の周方向に伸縮しやすい伸縮布部材2aが手首の軸方向に延在されてなる。
【0022】
詳しくは、前記手首部2は、帯状の防蚊布部材2bが幅方向両端部に、それぞれ該防蚊布部材2bよりも幅狭な帯状の伸縮布部材2aの両端部が縫着されて筒状に形成されている。
【0023】
更に、前記手首部2は、伸縮布部材2aが掌側に配されるように、前記手被覆部3に縫着されている。
【0024】
伸縮布部材2aの周方向の幅は、本実施形態に係る手袋1のサイズにもよるが、2〜6cmが好ましく、2〜4cmがより好ましい。
本実施形態の手袋1は、伸縮布部材2aの周方向の幅が2cm以上であることにより伸縮布部材2aがより伸縮しやすくなり、より一層着脱しやすく且つ手首部が手首にフィットしやすいものとなるという利点があり、伸縮布部材2aの周方向の幅が6cm以下であることにより、より多くの防蚊布部材が手首部2の掌側部分に用いられ得るため、より一層防蚊性が付与され得るという利点がある。
【0025】
手首部2の甲側には、図2、3に示すように、前記防蚊布部材よりも手首の周方向に伸縮しやすい手首伸縮部材2cが前記防蚊布部材の内側に取り付けられていることにより、手首伸縮部2dが形成されてなる。
【0026】
該手首伸縮部材2cとしては、例えば、帯状のゴムひも等が挙げられる。
【0027】
手首伸縮部2dは、防蚊布部材の一部が手首の周方向に対して略垂直方向に折り畳まれて形成されるプリーツが該周方向に対して略平行に複数形成された状態で、前記手首伸縮部材2cが縫着されて構成されている。
【0028】
手被覆部3には、掌が露出されるように掌開口部3aが設けられてなる。
【0029】
手被覆部3には、手の甲を被覆する部分において、図2、3に示すように、前記防蚊布部材よりも手首の周方向に伸縮しやすい手伸縮部材3bが前記防蚊布部材の内側に取り付けられていることにより、手伸縮部3cが形成されてなる。
【0030】
該手伸縮部材3bとしては、例えば、帯状のゴムひも等が挙げられる。
【0031】
手伸縮部3cは、防蚊布部材の一部が手首の周方向に対して略垂直方向に折り畳まれて形成されるプリーツが該周方向に対して略平行に複数形成された状態で、前記手伸縮部材3bが縫着されて構成されている。
【0032】
手被覆部3には、指先が露出されるように指先開口部3dが設けられてなる。
【0033】
前記伸縮布部材2aを構成する材料としては、例えば、ポリウレタン繊維、クロロプレンゴム(例えば、ネオプレン(登録商標))等が挙げられる。
なかでも、伸縮布部材2aがより伸縮しやすくなるという観点から、ポリウレタン繊維が好ましい。さらに、吸水性の向上を図ることにより嵌め心地をより一層良くするという観点から、ポリウレタン繊維及びナイロン繊維が用いられることがより好ましい。
【0034】
前記布地を構成する材料としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリエステル・ナイロン繊維等が挙げられる。
なかでも、防蚊剤の保持性に優れるという観点から、ポリエステル繊維が好ましい。さらに、吸水性の向上を図ることにより嵌め心地をより一層良くするという観点から、ポリエステル繊維及びナイロン繊維が用いられることがより好ましい。
【0035】
本実施形態に係る手袋は、上記のように構成されてなるので、以下の利点を有するものである。
すなわち、本実施形態に係る手袋は、比較的露出されやすく蚊に刺されやすい甲側部分に前記防蚊布部材が備えられてなることにより防蚊性が優れたものとなる。
また、斯かる手袋は、防蚊布部材よりも周方向に伸縮しやすい伸縮布部材が蚊に刺されにくい甲側部分の手首部に軸方向に延在されてなることにより着脱しやすく且つ手首部が手首にフィットしやすいものとなる。
【0036】
また、本実施形態に係る手袋は、前記伸縮部により、前記手首部の甲側部分が前記周方向に伸縮自在となるため、防蚊性を保持しつつ、より一層着脱しやすく且つ手首部が手首にフィットしやすいものとなり得るという利点がある。
【0037】
さらに、本実施形態に係る手袋1は、掌開口部3aが設けられてなることにより、着用者が作業を行う際の作業性が向上されるという利点があり、更に、着用時の通気性が向上されて蒸れ難くなりより一層嵌め心地が良好になるという利点もある。
【0038】
また、本実施形態に係る手袋1は、前記指先開口部3dが設けられてなることにより、着用者が作業を行う際の作業性が向上されるという利点があり、更に、着用時の通気性が向上されて蒸れ難くなりより一層嵌め心地が良好になるという利点もある。
【0039】
尚、本実施形態に係る手袋は、上記構成により、上記利点を有するものであったが、本発明に係る手袋は、上記構成に限定されず、適宜設計変更可能である。
【0040】
例えば、本実施形態に係る手袋1は、手の掌側を被覆する部分たる掌側被覆部3eが前記防蚊布部材で形成されてなるが、該掌側被覆部3eが該防蚊布部材の代わりに該防蚊布部材よりも滑り難い布部材(例えば、人工皮革等)で形成されてもよい。本実施形態に係る手袋1は、該掌側被覆部3eが該防蚊布部材よりも滑り難い布部材で形成されてなることにより、着用者が作業の際に物を把持しやすくなるため、作業性が向上し得るという利点がある。
【符号の説明】
【0041】
1:手袋、2:手首部、2a:伸縮布部材、2b:帯状の防蚊布部材、2c:手首伸縮部材、2d:手首伸縮部、3:手被覆部、3a:掌開口部、3b:手伸縮部材、3c:手伸縮部、3d:指先開口部、3e:掌側被覆部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地に防蚊剤が付着された防蚊布部材を備えてなる手袋であって、
手首を被覆する手首部を備え、少なくとも甲側部分には、前記防蚊布部材が備えられてなり、前記手首部の掌側部分には、前記防蚊布部材よりも前記手首の周方向に伸縮しやすい伸縮布部材が前記手首の軸方向に延在されてなることを特徴とする手袋。
【請求項2】
前記手首部の甲側には、前記防蚊布部材よりも前記周方向に伸縮しやすい伸縮部材が前記防蚊布部材の内側に取り付けられていることにより、伸縮部が形成されてなる請求項1記載の手袋。
【請求項3】
前記伸縮布部材がポリウレタン繊維を含む請求項1又は2記載の手袋。
【請求項4】
前記布地がポリエステル繊維を含む請求項1〜3の何れかに記載の手袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−159512(P2010−159512A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2389(P2009−2389)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】