説明

打込機

【課題】 釘を打ち込む打込機において、電気式のスイッチ機構においてはマイコンが必要となるため製造コストが高くなる。また打込機は屋外で使用される場合も多く、雷のノイズ等による誤作動や雨の浸水で使用不可能になる等の問題があった。本発明はスイッチ機構を機械部品で構成することで、低コストで高信頼性の打込機を提供することを目的とする。
【解決手段】プッシュレバー13を被打込材に接触させた場合、第2トリガストッパ28が摺動するとともに第2スプリング31を介して第1トリガストッパ27を摺動させ、第1トリガストッパ27の摺動により第3トリガストッパ29がプッシュスイッチ18をオンした後、第1トリガストッパ27がさらに摺動して凸部27aとトリガ10の凸部10aの係合が外れてトリガ10が回動可能となり、トリガ10の回動によってトリガスイッチ19をオンする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気、可燃性ガス又は電動機等により駆動される打込機に関し、特に、プッシュレバーを被打込材へ接触させた後、トリガをオンすることで締結材を被打込材に打ち込む打込機に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮空気、可燃性ガス、電動機等を動力源とする打込機があるが、ここでは可燃性ガスを動力源とした打込機について説明する。
【0003】
まず、締結材である釘の打ち込み動作について説明する。このタイプの打込機では、燃料ボンベを本体内に内包しており、燃料ボンベから燃焼室内に燃料を噴射させて混合ガスを生成する。燃焼室は円筒状のシリンダと接続されており、シリンダ内には鉛直方向に移動可能なピストンが内包されている。プッシュレバーを被打込材に押し当てトリガを引くことで点火プラグで着火し、燃焼室内のガスが燃焼して混合ガスが体積膨張しピストンを下方へ押し下げる。ピストンには棒状のドライバブレードが一体に形成されており、ドライバブレードが釘を木材等の被打込材へ打ち込むように構成されている。
【0004】
次にスイッチの構造について説明する。打込機のようなコンプレッサー等の外部駆動源を持たない可搬型打込機においては、安全性のため釘の射出口付近に設けたプッシュレバーを被打込材に接触させて押圧させた後、トリガを引くことで打ち込み動作が開始する。前述した一連の動作から外れた場合には打ち込みが行われないようなスイッチ構造が採用されている。例えばトリガを先に引いた後、プッシュレバーを被打込材に接触させて押圧させた場合は釘を被打込材に打ち込むことはできない構成になっている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−224271
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このタイプの打込機は、プッシュレバーの動作によりオンまたはオフとなるプッシュスイッチと、トリガの動作によりオンまたはオフとなるトリガスイッチを有しており、プッシュスイッチがオンされた後、すなわちプッシュレバーが被打込材に押圧されて上昇してからでないとトリガスイッチがオンできない構成になっている。この構成では、プッシュレバーが上昇しないとトリガを操作できない機構と共に、プッシュレバーが上昇した場合にトリガスイッチをオンする機構を設けているため、スイッチ機構部の構造が複雑になり大型化してしまう問題がある。なお、特許文献1は、プッシュレバーが押圧されて燃焼室が形成された際に、燃焼室枠が初期位置に戻らないようにするためにトリガと連動するストッパ部材を設けている。
【0007】
また、上記した両スイッチが共にハウジングに内包されたマイコンと接続されているものもある。この構成では、プッシュレバーを被打込材に接触させ押圧させると、プッシュレバーの動作と連動して動作するリンク機構を介してプッシュスイッチがオンとなる。プッシュスイッチがオン状態にあることを電気信号でマイコンが感知し、その後にトリガを引きトリガスイッチがオンとなると、マイコンが点火プラグにスパークを発生させるようプログラムされている。この打込機においてはマイコンを使った電気式スイッチ機構が採用されている。このスイッチ機構においてはマイコンが必要となるため製造コストが高くなる。また打込機は屋外で使用される場合も多く、雷のノイズによる誤作動や雨の浸水で使用不可能になる等の問題があった。
【0008】
本発明の目的は、低コストで信頼性の高い機械式のスイッチ機構部を備えた打込機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ハウジングと、該ハウジングの長手方向に移動可能に設けられ被打込材に当接可能なプッシュレバーと、該プッシュレバーの移動によりオン及びオフされるプッシュスイッチと、トリガ操作によりオン及びオフされるトリガスイッチと、を備え、前記プッシュスイッチをオンした後に前記トリガスイッチをオンすることにより締結材を前記被打込材に打ち込む打込機において、一部が前記プッシュレバーの一端に当接して前記プッシュレバーの移動と同期して摺動することで前記プッシュスイッチをオンにすると共に前記トリガを操作可能にする摺動部材を備えたことで達成される。
【0010】
このような構成にすれば、プッシュレバーの移動と同期してプッシュスイッチをオンすると共にトリガスイッチを操作可能にできるため、簡単な構成でスイッチ機構部を構成することができる。
【0011】
また、前記ハウジング側部から延出するハンドルを有し、前記スイッチ機構部は、前記ハウジングと該ハンドルの間に配置されることが好ましい。更に、前記プッシュスイッチは、前記スイッチ機構部に対し反プッシュレバー側に位置することが好ましい。このような構成にすれば、操作部となるトリガ及びプッシュスイッチの近くにスイッチ機構部を配置できるため機械部品をコンパクトすなわち小型化することができ打込機自体をコンパクトにすることができる。
【0012】
また、前記スイッチ機構部を、前記トリガと当接する当接部を有する第1トリガストッパと、該第1トリガストッパの第1穴部に挿入される突出部を有し前記プッシュレバーの動作と同期して前記突出部が前記第1穴部に対して摺動する第2トリガストッパと、前記第1トリガストッパの第2穴部に挿入され該第2穴部に対して摺動可能する第3トリガストッパと、を有し、前記第1トリガストッパ、前記第2トリガストッパ、及び前記第3トリガストッパは一体的に構成されることが好ましい。このような構成にすることで、スイッチ機構部自体をコンパクト(小型化)にすることができる。
【0013】
また、第1トリガストッパの突出部に挿入され、前記第1トリガストッパを付勢する第1スプリングと、前記第2トリガストッパの前記突出部に挿入され、前記突出部が前記第1トリガストッパの前記第1穴部に挿入された際に前記第2トリガストッパを付勢する第2スプリングと、前記第3トリガストッパに挿入され、前記第3トリガストッパが前記第1トリガストッパの第2穴部に挿入された際に前記第3トリガストッパを付勢する第3スプリングと、を有することが好ましい。このような構成にすれば、各スプリングの付勢力により安易に誤ってプッシュスイッチやトリガスイッチが押されることを防止でき、電池の消費を抑えることができる。
【0014】
また、前記プッシュレバーが前記被打込材に非接触の場合には、前記第1トリガストッパの前記当接部と前記トリガが当接することにより前記トリガが回動不能であること、または、前記プッシュレバーが前記被打込材に接触させた場合には、前記当接部と前記トリガの当接が外れることにより前記トリガが回動可能であることが好ましい。このような構成にすれば、安易に誤ってプッシュスイッチやトリガスイッチが押されることを防止でき、電池の消費を抑えることができる。
【0015】
また、前記第2スプリングのバネ力は、前記第1スプリングと前記第3スプリングの和よりも大きいことが好ましい。このような構成にすれば、第2トリガストッパの移動に伴い第1トリガストッパも上方へ押し上げられ、容易にプッシュスイッチをオンすることができると共にトリガ操作を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プッシュレバーを被打込材に接触させた後でないとトリガを動作できないようなスイッチ機構部を一体的にユニットとしてシンプルに構成できる。また、スイッチ機構部は機械部品で構成されるため、雷ノイズや雨等の外乱による釘打機の誤動作の発生を防止できる。更に、スイッチ機構部を機械部品で構成したため、信頼性の高い製品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図1乃至図8を用いて説明する。まず、本発明の打込機の構成について図1を用いて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態の一例を示した可燃性ガスを動力源とする打込機(燃焼式打込機)の部分断面図である。打込機1は、主に外枠体を構成するハウジング(本体部)2と、ハウジング2の側部から延設されたハンドル3とから構成される。ハウジング2内であって、ハウジング2とハンドル3との間には図示しないガスボンベを着脱可能に収納するボンベ室4が形成されている。ガスボンベのノズル6が接続されて可燃焼液化ガスを後述の燃焼室14内に導入するための燃料通路7が、後述するシリンダヘッド8に形成されている。
【0019】
ハウジング2の上部には、吸気口5aが形成されたヘッドカバー5が取り付けられている。ハウジング2とハンドル3の間であってボンベ室4の下方には、トリガ10が設けられており、ハンドル3の端部には図示しない電池パックが着脱可能に取り付けられている。
【0020】
ハウジング2の反ヘッドカバー5側であってハンドル3の下方には、図示しない釘を装填したマガジン9が設けられている。また、ハウジング2の反ヘッドカバー5側端部付近からは、シリンダ11に接続されて、その先端部分が被打込材に対向するノーズ12が設けられている。ノーズ12はドライバブレード23の摺動と、図示せぬ釘が被打込材に打込まれるのをガイドする。ノーズ12の先端(反ハウジング2側)からは、被打込材に当接するプッシュレバー13が往復摺動可能に突出して支持され、プッシュレバー13は後述の燃焼室枠17と連結されている。また、プッシュレバー13の上端部(第1リンク機構33)は本発明のスイッチ機構部50を構成する第2トリガストッパ28に当接可能になっている。
【0021】
スイッチ機構部50は、ハウジング2とハンドル3の間であってボンベ室4の下側に位置して設けられており、後述するように、プッシュレバー13が上昇した際にプッシュスイッチ18をオンすると共にトリガ10が操作可能(トリガスイッチ19をオン可能)に構成されている。また、スイッチ機構部50は、機械部品で構成されており、後述するように機械部品を一体的にユニットとして構成しており、また、プッシュスイッチ18はスイッチ機構部50のすぐ上方に位置しトリガ10はスイッチ機構部50のハンドル3側に近接して設けられているため、スイッチ機構部50はコンパクトに配置することができる。
【0022】
プッシュレバー13の先端を被打込材に当接させハウジング2(打込機1)を被打込材方向に押したとき、プッシュレバー13のハウジング2側はハウジング2内に移動可能に構成されている。ハウジング2の反プッシュレバー13側端部には、ハウジング2の開口を覆うためのシリンダヘッド8が固定されている。シリンダヘッド8の反燃焼室14側には、モータ15が配置されており、このモータ15の近傍には、点火位置が燃焼室14内に面し、プッシュレバー13の押圧動作により後述のプッシュスイッチ18がオンになり、且つトリガ10の操作により後述のトリガスイッチ19がオンになることより点火される図示しない点火プラグが設けられている。モータ15は回転軸15aを有しており、燃焼室14内に位置する回転軸15aの端部にはファン16が固定されている。
【0023】
シリンダヘッド8のハンドル3側内には燃料通路7が形成され、燃料通路7の一端はシリンダヘッド8の下端面に開口して燃焼室14に臨み、他端側はシリンダヘッド8に取付けられたガスボンベのノズル6と係合している。ハウジング2内には、プッシュレバー13の動作と連動してハウジング2の長手方向に移動可能な燃焼室枠17が設けられる。
【0024】
またハウジング2内には、打込機1が被打込材に押し付けられて、燃焼室枠17が、ストローク端(上昇位置)にあることを検出するためのプッシュスイッチ18が設けられている。プッシュレバー13が所定上昇位置まで移動したときに、プッシュスイッチ18がオン動作することによりモータ15が回転するためファン16も回転する。
【0025】
プッシュレバー13と接続された第2リンク機構20は、燃焼室枠17とも接続されているため、プッシュレバー13の移動に伴って第2リンク機構20を介して燃焼室枠17が移動する。そして燃焼室枠17の内周部には燃焼室枠17の移動を案内するシリンダ11が、ハウジング2に固定されている。シリンダ11の軸方向中央部付近には排気穴21が形成されている。この排気穴21には図示せぬ逆止弁が設けられており、排気穴21を選択的に塞ぐようになっている。
【0026】
シリンダ11内には、シリンダ11に対して往復摺動可能なピストン22が設けられ、ピストン22はシリンダ11内をピストン上室とピストン下室に画成する。このピストン22のピストン下室側の面からドライバブレード23がノーズ12方向に延出されており、このドライバブレード23の先端が釘を打撃する箇所となる。また、シリンダ11内の下部には、弾性体より構成されるバンパ24が配置されている。よって、ピストン22が下方に移動し下死点に達するとバンパ24に衝突することにより釘の打ち込み時の打込機1の衝撃を吸収する。
【0027】
プッシュレバー13を被打込材に押し付け燃焼室枠17の上端部がシリンダヘッド8に当接したときに、シリンダ11、燃焼室枠17、ピストン22により燃焼室14が画成される。燃焼室枠17がシリンダヘッド8から離間したときは、シリンダヘッド8と燃焼室枠17の上端部との間に外気と通じる風路25が生じる。この風路25は、シリンダ11の外周面側に燃焼ガスや新たな空気を通過させ、この通過した燃焼ガス等はハウジング2の排出口から排出される。また、吸気口5aは燃焼室14内に空気を供給するために形成され、排気穴21からは燃焼室14の燃焼ガスが排出される。
【0028】
ファン16はその回転により、燃焼室枠17がシリンダヘッド8と当接位置にあるときには空気と可燃性ガスとを攪拌混合させ、点火後に乱流燃焼を生じさせて燃焼を促進させ、燃焼室枠17がシリンダヘッド8から離間して、風路25が生じたときには燃焼室14内の燃焼ガスを掃気すると共にシリンダ11を冷却するという3つの機能を果たす。
【0029】
次に打込機1の動作について説明する。釘の打ち込み動作を行わない非作動の状態では、図1に示すように、プッシュレバー13は反ピストン22方向にノーズ12下端より最も突出している。このとき燃焼室枠17は第2リンク機構20を介してプッシュレバー13に連接されているので、燃焼室枠17の上端部はシリンダヘッド8と離間しており風路25が形成される。このときピストン22は、シリンダ11内の上死点位置に停止している。
【0030】
この状態でハンドル3を把持し、プッシュレバー13を被打込材に押し付けると、プッシュレバー13がピストン22方向に移動し、同様に第2リンク機構20を介してプッシュレバー13と連接した燃焼室枠17も上昇移動することにより、風路25が閉じられて燃焼室14が密封形成される。
【0031】
またプッシュレバー13の移動に伴って、ガスボンベから液化ガスが噴射され、液化ガスはノズル6及び燃料通路7を通り燃焼室14内に供給される。更に、プッシュレバー13の移動に伴って燃焼室枠17がストローク端(上昇位置)まで移動すると、後述するようにプッシュスイッチ18がオンとなってモータ15に図示しない電池パックから電力が供給されて回転軸15aに取り付けたファン16が回転する。ファン16が密封空間となった燃焼室14内で回転することにより、噴射された可燃性ガスが燃焼室14内の空気と攪拌混合される。
【0032】
その状態でハンドル3のトリガ10を操作しトリガスイッチ19をオンすると、図示しない点火プラグがスパークし、混合ガスに着火して燃焼・膨張する。この燃焼・膨張した混合ガスはピストン22をプッシュレバー13の方へ移動させ、ピストン22と共に移動するドライバブレード23によりマガジン9から供給されノーズ12内にある釘が被打込材に打ち込まれる。そのときピストン22はシリンダ11内に設けられたバンパ24に衝突する。
【0033】
打ち込み後、ピストン22はバンパ24と接し、燃焼ガスは排気穴21よりシリンダ11外部へ放出される。排気穴21には逆止弁が付随しており、燃焼ガスがシリンダ11外部へ放出され、シリンダ11及び燃焼室14内部が大気圧になった時点で逆止弁は閉じられる。
【0034】
シリンダ11及び燃焼室14内部に残った燃焼ガスは燃焼後であるため高温であり、その燃焼熱がシリンダ11の内壁、燃焼室枠17の内壁から吸収され、シリンダ11及びガスボンベ等は高温になるが、この吸収された熱は、シリンダ11、燃焼室枠17の外壁表面から大気中に放散される。このシリンダ11等に燃焼ガスの燃焼熱が吸収されることにより燃焼ガスが急冷され、燃焼ガスの体積が減少してピストン22の上部の閉じられた空間(燃焼室14)の圧力が低下し大気圧以下になり(熱真空)、これによりピストン22を初期の上死点位置(図1の状態)に引き戻す。
【0035】
その後、トリガ10から指を離すことでトリガスイッチ19がオフし、打込機1を持ち上げてプッシュレバー13を被打込材から離すと、プッシュレバー13と燃焼室枠17が反シリンダヘッド8方向へ戻ることで風路25が形成される。ファン16はトリガスイッチ19をオフした後も、一定時間、回転を継続している。このファン16の回転により空気の流れを発生させることにより、ヘッドカバー5の吸気口5aから新鮮な空気が取込まれ、この空気は燃焼室14等を流れて排出口から排出され、燃焼室14内の空気は掃気される。
【0036】
次に、本発明となるプッシュスイッチ18及びトリガスイッチ19の動作部分であるスイッチ機構部50の構造について図2及び図3を用いて説明する。
【0037】
図2は本発明のスイッチ機構部を打込機1に取り付けた状態を示す構成図、図3は本発明のスイッチ機構部の斜視図である。
【0038】
図2に示すように、スイッチ機構部50は、ボンベ室4の下方でハウジング2とハンドル3の間にコンパクトに配置されている。トリガ10はトリガスプリング26によって反トリガスイッチ19側に付勢され、トリガ10の軸部10aを中心にハウジング2のガイドによって角度制限をもって回動可能となっている。また、トリガ10のプッシュスイッチ18側の一部には凸部10bが設けられ、凸部10bは後述するスイッチ機構部50の一部を構成する第1トリガストッパ27の凸部27aと嵌合しており、このときトリガ10は軸部10aを中心に回動することができないように構成されている。
【0039】
図2及び図3に示すように、スイッチ機構部50は、プッシュスイッチ18の下方に配置されており、トリガ10の凸部10bと嵌合する凸部27aが形成された第1トリガストッパ27と、後述するプッシュレバー13の第1リンク機構33の端部と当接可能に設けられた第2トリガストッパ28と、プッシュスイッチ18と当接可能な第3トリガストッパ29とから主に構成されている。
【0040】
第1トリガストッパ27は、トリガ10の凸部10aに嵌合する凸部27aと、第2トリガストッパ28の軸部28aが摺動可能に挿入される穴部27bと、第1トリガストッパ27の長手方向に伸びる軸部27cが設けられており、軸部27cはその上方に配置された第1スプリング30の一端を案内するように第1スプリング30挿入され、第1スプリング30の他端はハウジング2の一部に設置されている。また、第1トリガストッパ27の一部には穴部27dが設けられ、穴部27dには棒状の第3トリガストッパ29が摺動可能に挿入されている。
【0041】
第2トリガストッパ28は、その一部に設けたテーパ形状の抜け止め部28cを有する軸部28aに第2スプリング31が案内配置され、軸部28aは第1トリガストッパ27の穴部27bに抜けないように且つ摺動可能に挿入されている。また、後述する第1リンク機構33と当接する当接部28bが反ハンドル3側に突出して設けられている。
【0042】
第3トリガストッパ29は、テーパ形状の抜け止め部29aを有し、第1トリガストッパ27の穴部27dに摺動可能に挿入されており、第3トリガストッパ29の外周には第3スプリング32が第1トリガストッパ27に付勢されて設置されている。
【0043】
第2トリガストッパ28の軸部28aに第2スプリング31を配置し、軸部28aを第1トリガストッパ27の穴部27bに挿入することにより、第2トリガストッパ28は第1トリガストッパ27に対して上下方向に摺動可能に構成され、第2スプリング31は第2トリガストッパ28をプッシュレバー13側に付勢する。また、第3トリガストッパ29に第3スプリング32を配置し、第1トリガストッパ27の穴部27dに挿入することにより、第3トリガストッパ29は第1トリガストッパ27に対して上下方向に摺動可能に構成され、第3スプリング32は第3トリガストッパ29を反プッシュレバー13側に付勢する。更に、第1トリガストッパ27の軸部27cに第1スプリング30を挿入し、図2に示すようにハウジング2に取り付ける。その際第1スプリング30は、第1トリガストッパ27をプッシュレバー13側に付勢する。
【0044】
次に、スイッチ機構部50の動作について図4乃至図8を用いて説明する。図4乃至図8は本発明のスイッチ機構部50の動作を示した動作図である。
【0045】
図4は釘の打ち込み動作前であってプッシュレバー13が被打込材に接触していない状態のスイッチ機構部50構造を示し、図中の斜線部はハウジング2に設けられた固定部を示している。ここでプッシュスイッチ18及びトリガスイッチ19はそれぞれハウジング2に固定されており、各トリガストッパ27、28及び29は図中の上下方向にのみ動作可能なように図示しないハウジング2のガイドによって保持されている。
【0046】
第1トリガストッパ27及び第2トリガストッパ28はそれぞれ、第1スプリング30及び第2スプリング31によって下方(プッシュレバー13側)へ付勢されている。また、第3トリガストッパ29は第3スプリング32によって上方(反プッシュレバー13側)に付勢されている。この時、第3トリガストッパ29とプッシュスイッチ18は接触していない。
【0047】
この打ち込み動作前の状態から、打込機1を被打込材に押し付け、プッシュレバー13を被打込材に接触させてプッシュレバー13が上方(ヘッドカバー5側)へ移動することにより、図5に示すように打ち込み動作を行う状態となる。プッシュレバー13が上方へ移動することにより、プッシュレバー13と連動して上下方向に移動する第1リンク機構33の端部が第2トリガストッパ28の当接部28bと接触する。更に、打込機1を被打込材に押し付けることにより図5の矢印の方向にプッシュレバー13が押し上げられ、プッシュレバー13の第1リンク機構33の端部が第2トリガストッパ28を上方に押し上げ図6に示す状態になる。なお、図4及び図5の状態ではプッシュスイッチ18は押されておらず、また、トリガ10の凸部10bは第1トリガストッパ27の凸部27aと当接しているため、トリガ10は操作できない。すなわち打ち込み動作を行うことはできない。
【0048】
第2トリガストッパ28は、第1リンク機構33により第2スプリング31の付勢力に抗してプッシュスイッチ18側に押し上げられると、第1トリガストッパ27のプッシュレバー13側端部は第2トリガストッパ28の上面に当接しているため、第1トリガストッパ27も第1スプリング30の付勢力に抗してプッシュスイッチ18側に押し上げられる。なお、第2トリガストッパ28の押し上げ量は、第2トリガストッパ28の抜け止め部28c側端面がハウジング2に当接するまでの範囲である。更に、第1トリガストッパ27の穴部27dには第3トリガストッパ29が第3スプリング32を介して挿入されているため、第3スプリング32はその付勢力に抗して第1トリガストッパ27により圧縮されるとともに、第3スプリング32により第3トリガストッパ29も上方に押し上げられる。第3トリガストッパ29が上方へ移動することにより、第3トリガストッパ29の端部がプッシュスイッチ18と当接し、プッシュスイッチ18を更に押し込むことでプッシュスイッチ18がオン状態となる。
【0049】
ここで、第2スプリング31のバネ力は、第1スプリング30と第3スプリング32の和よりも大きく設定してあるので、第2トリガストッパ28の移動に伴い第1トリガストッパ27も上方へ押し上げられる。また、第3スプリング32のバネ力は、プッシュスイッチ18を押し込むための荷重以上に設定してあるので、第3トリガストッパ29によりプッシュスイッチ18がオンとなるプッシュスイッチ18がオンすることにより、モータ15の回転軸15aに取り付けられたファン16が回転を開始する。また、ガスボンベから可燃性ガスが燃焼室14内に噴射され、ファン16の回転により空気とガスが攪拌される。
【0050】
第2トリガストッパ28が上方へ移動することに連動して第1トリガストッパ27も上方へ移動するため、第1トリガストッパ27の凸部27aがトリガ10の凸部10bに当たって図6の矢印の方向にトリガ10が回動するため、凸部27aが凸部10bから係合が外れ、トリガ10が軸部10aを軸に回動可能になり操作することが可能となる。なお、図4の状態では、トリガ10を操作しようとしても、トリガ10の凸部10bと第1トリガストッパ27の凸部27aが係合してしまうために操作(回動)することができず、トリガスイッチ19をオンすることができない。
【0051】
図6に示す状態から、作業者がトリガ10を操作(回動)すると図7に示す状態になる。トリガ10を操作すなわち図7の矢印で示す反時計方向に軸部10aを中心に回動すると、トリガ10のトリガスイッチ19側の接触部10cがトリガスイッチ19に当接し、トリガ10を更に回動するとトリガスイッチ19がオンとなるため、点火プラグがスパークして打込機1の打ち込み動作が行われる。
【0052】
すなわち、プッシュレバー13を被打込材に押し付けることで、第1トリガストッパ27及び第2トリガストッパ28が上方(プッシュスイッチ18側)に移動し、その移動により第3トリガストッパ29も移動することにより、反抜け止め部29a側面がプッシュスイッチ18をオンする。更に、第1トリガスイッチ27の移動によりトリガ10が操作可能となり、トリガ10を軸部10aを中心に図7の矢印の方向に回動することによりトリガ10の接触部10cによりトリガスイッチ19がオンされる。従って、両スイッチ18及び19がオンされたことにより、打込機1の打ち込み動作を行うことが可能となる。
【0053】
以上により本発明のスイッチ機構部50の動作プロセスを説明したが、次にスイッチ機構部50の耐久性について説明する。打込機1(プッシュレバー13)を速く勢いよく被打込材に接触させた場合、第3トリガストッパ29がプッシュスイッチ18と衝突した際にも、第3スプリング32がその衝撃力を緩和するためプッシュスイッチ18の破損を防止することができる。
【0054】
また図8は、先にトリガ10を操作した状態でプッシュレバー13を被打込材に押し当てた場合のスイッチ機構部50を示している。この状態でプッシュレバー13を押し込んでも、第1リンク機構部33を介して第2トリガストッパ28は上方へ移動するものの、トリガ10の凸部10aが第1トリガストッパ27の凸部27aと嵌合しているため、第1トリガストッパ27は上方に移動せずその位置は固定されている。この状態では、第2トリガストッパ28からの荷重は第2スプリング31によって緩衝されるため第1トリガストッパ27を無理やり押し上げる力を緩衝できるので、第1トリガストッパ27(特に凸部27a)やトリガ10の凸部10aの破損を防止することができる。
【0055】
以上説明したように、スイッチ機構部50を機械部品で構成したことにより、雷ノイズ等の外乱によるスイッチ機構部の誤作動を防止することができる。また、スイッチ機構部をスプリングを使用したため、打込機を勢いよく被打込材に押し付けてもその衝撃を吸収できるため、プッシュスイッチやトリガ等の破損を防止することができる。更に、プッシュレバーの移動に同期してトリガ操作が可能となるような構成を一箇所に配置したため、スイッチ機構部がコンパクトにできると共に打込機自体もコンパクトにすることができる。
【0056】
以上、スイッチ機構部を採用した打込機として可燃性ガスを動力源とする燃焼式打込機を用いて説明したが、圧縮空気式や電動機式の打込機、更には2つのスイッチにより動作する他の電動工具に適用にてもよい。
【0057】
また、上記したように、プッシュスイッチをハウジングの側面側でボンベ室の下側であって、ハンドルとの接続部に設けることによって、従来のようにプッシュスイッチをシリンダ上方に設けた構成と比較して、プッシュレバーからシリンダ上方まで延びたプッシュスイッチをオン動作するリンク機構を設ける必要がないので、シリンダの径方向の寸法を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の打込機を示す断面図。
【図2】本発明のスイッチ機構部を打込機に配置した状態を示す打込機の部分断面図。
【図3】本発明のスイッチ機構部を示す分解斜視図。
【図4】本発明の打込機が打ち込み前の状態を示すスイッチ機構部の動作図。
【図5】本発明の打込機を被打込材に接触させた打ち込み前の状態を示すスイッチ機構部の動作図。
【図6】本発明の打込機を被打込材に押圧させた状態を示すスイッチ機構部の動作図。
【図7】本発明の釘打機のトリガを引いた状態を示すスイッチ機構部の動作図。
【図8】本発明のトリガに引き荷重をかけ打込機を被打込材に押圧させた状態を示すスイッチ機構部の動作図。
【符号の説明】
【0059】
1は燃焼式打込機(打込機)、2はハウジング、3はハンドル、4はボンベ室、5はヘッドカバー、5aは吸気口、6はノズル、7は燃料通路、8はシリンダヘッド、9はマガジン、10はトリガ、10aは軸部、11はシリンダ、12はノーズ、13はプッシュレバー、14は燃焼室、15はモータ、15aは回転軸、16はファン、17は燃焼室枠、18はプッシュスイッチ、19はトリガスイッチ、20は第2リンク機構、21は排気穴、22はピストン、23はドライバブレード、24はバンパ、25は風路、26はトリガスプリング、27は第1トリガストッパ、27aは凸部、27bは穴部、27cは軸部、27dは穴部、28は第2トリガストッパ、28aは軸部、28bは当接部、28cは抜け止め部、29は第3トリガストッパ、29aは抜け止め部、30は第1スプリング、31は第2スプリング、32は第3スプリング、33は第1リンク機構、50はスイッチ機構部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
該ハウジングの長手方向に移動可能に設けられ被打込材に当接可能なプッシュレバーと、
該プッシュレバーの移動によりオン及びオフされるプッシュスイッチと、
トリガ操作によりオン及びオフされるトリガスイッチと、を備え、
前記プッシュスイッチをオンした後に前記トリガスイッチをオンすることにより締結材を前記被打込材に打ち込む打込機において、
一部が前記プッシュレバーの一端に当接して前記プッシュレバーの移動と同期して摺動することで前記プッシュスイッチをオン可能にして前記トリガを操作可能にするスイッチ機構部を備えたことを特徴とする打込機。
【請求項2】
前記ハウジング側部から延出するハンドルを有し、前記スイッチ機構部は、前記ハウジングと該ハンドルの間に配置されることを特徴とする請求項1記載の打込機。
【請求項3】
前記プッシュスイッチは、前記スイッチ機構部に対し反プッシュレバー側に位置することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の打込機。
【請求項4】
前記スイッチ機構部は、
前記トリガと当接する当接部を有する第1トリガストッパと、
該第1トリガストッパの第1穴部に挿入される突出部を有し前記プッシュレバーの動作と同期して前記突出部が前記第1穴部に対して摺動する第2トリガストッパと、
前記第1トリガストッパの第2穴部に挿入され該第2穴部に対して摺動可能する第3トリガストッパと、を有し、
前記第1トリガストッパ、前記第2トリガストッパ、及び前記第3トリガストッパは一体的に構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の打込機。
【請求項5】
第1トリガストッパの突出部に挿入され、前記第1トリガストッパを付勢する第1スプリングと、
前記第2トリガストッパの前記突出部に挿入され、前記突出部が前記第1トリガストッパの前記第1穴部に挿入された際に前記第2トリガストッパを付勢する第2スプリングと、
前記第3トリガストッパに挿入され、前記第3トリガストッパが前記第1トリガストッパの第2穴部に挿入された際に前記第3トリガストッパを付勢する第3スプリングと、を有することを特徴とする請求項4記載の打込機。
【請求項6】
前記プッシュレバーが前記被打込材に非接触の場合には、前記第1トリガストッパの前記当接部と前記トリガが当接することにより前記トリガが回動不能であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の打込機。
【請求項7】
前記プッシュレバーが前記被打込材に接触させた場合には、前記当接部と前記トリガの当接が外れることにより前記トリガが回動可能であることを特徴とする請求項6記載の打込機。
【請求項8】
前記第2スプリングのバネ力は、前記第1スプリングと前記第3スプリングの和よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の打込機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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