説明

払い出し機のシュートダンパ装置

【課題】払い出し機により下方のベルトコンベヤ上にバラ物を払い出す際に、様々な状況に対応して払い出し物を正確且つ安定的にベルトコンベヤ中央に落とせるようにする。
【解決手段】払い出し機2A下方のベルトコンベヤ30上に払い出したバラ物を案内するシュート20aの開口部に吊り下げ配置された板状のシュートダンパ22で払い出したバラ物がベルトコンベヤ30中央に載るように落下方向を整流するシュートダンパ装置20Aにおいて、そのシュートダンパ22を、シュート20aの中心線から上流側の払い出し物の進行方向に偏芯配置して中心線側の面を内側にしてシュート20aの下端側内周面に沿うように湾曲させ、払い出し物の落下がシュート20a中心線の延長線から所定範囲内に収まるように案内することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、払い出し機のシュートダンパ装置に関し、殊に、バラ物を貯留する貯留タンクの底部に配置された払い出し機のシュート開口部に設けられ、貯留してあるバラ物を下方に配置されたベルトコンベヤの中央に正確に落下させるためのシュートダンパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
木材チップ等のバラ物を貯留する設備においては、図4に示すように貯留タンク1の貯槽10底面に沿って旋回するスクリューコンベヤ24の回転で貯留物を貯槽10底部中央側に移動させ、底面中央に開口した払い出し孔12を介し筒状のシュート20bで下方に配置した搬送装置3のベルトコンベヤ30上に落下させる、払い出し機2Bが設けられるのが通常である。
【0003】
このような払い出し機2Bでは、シュート20b開口部から下方のベルトコンベヤ30周囲までの範囲を覆うようにスカート21が設けられ、払い出したバラ物がベルトコンベヤ30の周囲に飛び散らないようにしている。しかし、払い出し物が比較的サイズの大きいバラ物の場合には、払い出し量が変動しやすいために落下したバラ物がベルトコンベヤ30上で片寄りや蛇行を生じて中央に揃いにくくなることから、正確な搬送量の確保が困難となりやすい。
【0004】
斯かる問題に対して払い出し機のシュート開口部に、払い出したバラ物が落下しながら当接する板状のシュートダンパを吊り下げ配置して、払い出し量が変動して落下位置に変動が生じてもベルトコンベヤ中央に払い出したバラ物が案内されるようにしたシュートダンパ装置が実開平6−56031号公報等に提案されている。
【0005】
このように、シュート開口部に払い出し物の流れを整流する板状のシュートダンパを吊り下げ配置することにより、払い出したバラ物の落下方向をベルトコンベヤの中央に揃えやすくなる。しかしながら、単位毎のサイズが比較的大きく形状・サイズが不均一な木材チップのようなバラ物が払い出し物である場合には、払い出し量が大きく変動しやすく一層片寄りが生じやすくなるため、一枚のシュートダンパのみではベルトコンベヤ中央に安定的に落下させることが困難な状況になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−56031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、貯留してあるバラ物を払い出し機で下方のベルトコンベヤ上に払い出す際に、様々な状況に対応して払い出し物を正確且つ安定的にベルトコンベヤ中央に落とせるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、払い出し機下方のベルトコンベヤ上に払い出したバラ物を案内するシュートの開口部に吊り下げ配置された板状のシュートダンパで払い出したバラ物がベルトコンベヤ中央に載るように落下方向を整流するシュートダンパ装置において、そのシュートダンパが、シュートの中心線から上流側の払い出し物の進行方向に偏芯配置されて中心線側の面を内側にしてシュートの下端側内周面に沿うように湾曲しており、払い出したバラ物の落下が中心線の延長線から所定範囲内に収まるように案内することを特徴とする。
【0009】
このように、シュートダンパを落下してくるバラ物が当接(衝突)する緩衝面を内側にして湾曲させて樋状に形成したことにより、落下方向が過剰に広がらないようにシュートの中心線付近に案内しながら払い出したバラ物をベルトコンベヤ中央に揃えやすくなる。
【0010】
また、この場合、そのシュートダンパ上端側に連結され、その吊り下げ角度を所定範囲で変更可能とする角度調整手段が設けられているものとすれば、払い出したバラ物のサイズ・形状や払い出し量等の状況に応じて、シュートダンパを払い出したバラ物がベルトコンベヤ中央に揃いやすくなる角度に調整することができる。
【0011】
さらにこの場合、そのシュートダンパは左右2枚に分割されて並列配置されているとともに各々角度調整手段を有しており、この2枚のシュートダンパが別個に角度調整可能とされているものとすれば、一層精密に払い出し物の整流を行える。
【0012】
さらにまた、上述した払い出し機のシュートダンパ装置は、バラ物として木材チップを貯留する貯留タンクに配設される払い出し機用のものとすれば、形状・サイズが不均一でベルトコンベヤ中央に揃いにくい木材チップの払い出しにおいて、その整流機能が特に有効に発揮されるものとなる。
【発明の効果】
【0013】
シュートを落下する払い出したバラ物を湾曲面でシュート中心線の延長線から所定範囲内に収まるように案内するシュートダンパを備えた本発明によると、様々な状況に対応して払い出したバラ物を正確且つ安定的にベルトコンベヤ中央に落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明における実施の形態である払い出し機のシュートダンパ装置を備えた貯留タンクの縦断面図である。
【図2】(A)は図1のシュートダンパ装置の詳細を示す拡大した部分縦断面図、(B)は(A)のX−X線に沿う断面図である。
【図3】図2のシュートダンパ装置の動作を説明するための斜視図である。
【図4】従来例による払い出し機のシュートダンパ装置を備えた貯留タンクの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態のシュートダンパ装置20Aを備えた払い出し機2Aが、貯留タンク1の底部に配設された状態を示す縦断面図である。尚、本実施の形態において、貯留タンク1は単位の形状・サイズが不均一なバラ物である木材チップを貯留するものである場合を想定している。
【0017】
このようなバラ物を貯留する貯槽10では、その底部側で底面に沿って旋回するスクリューコンベヤ24が配設されており、その軸回転により貯留物を中央の払い出し孔12に集め、その下方に配置された搬送装置3のベルトコンベヤ30上に落下させて払い出すようになっている。
【0018】
また、この払い出し機2Aは、払い出し孔12に集めた払い出したバラ物を筒状のシュート20aでベルトコンベヤ30の直上に案内するものであるが、落下したバラ物がベルトコンベヤ30の周囲に飛び散らないようにスカート21が設けられている。以上の構成は、図4に記載した従来の払い出し機2Bと同様であり周知のものである。
【0019】
そして、この払い出し機2Aにはシュート20a内を流れ落ちてくる払い出したバラ物がシュート中心線側の面に当たる際の衝撃を緩衝しながら払い出し方向(落下方向)を整流するシュートダンパ22を有したシュートダンパ装置20Aが設けられている。
【0020】
即ち、このシュートダンパ装置20Aは、シュート20aの開口部200で暖簾状に吊り下げ配置した板状のシュートダンパ22で払い出したバラ物の落下方向を整流するものであるが、本実施の形態では、図2(B)に示すようにシュート20aの中心線から払い出し物の進行方向に偏芯して配置されており、シュート中心線側の面を内側にして湾曲してシュート20a下端部内周面に沿うような樋状とされ、払い出したバラ物の落下がシュート中心線に沿いながらシュート中心線の延長線から所定範囲内に収まるように案内する機能を発揮する。
【0021】
また、図2(B)に示すように、そのシュートダンパ22は、中央で2枚のダンパ板22a,22bに分割されて左右2枚に並列配置されており、且つ、そのダンパ板22a,22bの上端部には、水平方向の同一直線上で各々軸回転可能に配置されたシャフト221,222が各々接続されて個別に下端側を揺動可能に軸支されている。
【0022】
そして、そのシャフト221,222は、各々一端側がシュート20aの外部に突出しており、その突出した先端部からシャフト中心軸線の遠心方向にリンクプレート224,225が各々延設されており、このリンクプレート224,225先端側には、一端側を支柱に固定されたターンバックル25a,25bが他端側を各々連結して配置されている。従って、前記ターバックル25a,25bの中央部分を回動させることにより、リンクプレート224,225先端側を旋回動作させながら、ダンパ板22a,22bの吊り下げ角度を別個に調整できるようになっている。
【0023】
図3は、このような構成のシュートダンパ装置20Aの動作を説明するための斜視図である。前述したように、払い出したバラ物が木材チップのように各単位のサイズが比較的大きいとともにサイズ・形状の不均一なバラ物の場合には、一枚の板状のダンパ板のみでは払い出し物の落下方向を精密に整流できないため、ベルトコンベヤ30中央に正確且つ安定的に落下させるのが困難であった。
【0024】
これに対し、本実施の形態では、前述したようにシュートダンパ22が内側に湾曲していることに加え、その中央でダンパ板22a,22bの左右2枚に分割されており、且つ、各々設けられた角度調整手段のターンバックル25a,25bを回動させて吊り下げ角度を調整することができる。即ち、図中一点鎖線に示すように、ダンパ板22a,22bの吊り下げ角度を所定範囲で自由に調整できるようになり、並列配置されたダンパ板22a,22b同士を互いに異なる角度で固定することもできる。
【0025】
したがって、貯槽10に貯留している払い出し物の形状・サイズ等の状態、貯留量の多少、スクリューコンベヤ24の旋回方向・速度等、様々な条件に応じて、2枚のダンパ板22a,22bの吊り下げ角度を精密に調整することにより、下方に配置したベルトコンベヤ30の中央に正確且つ安定的にバラ物を落下させることが可能なものとなった。
【0026】
また、両ダンパ板22a,22bの吊り下げ角度の調整は、ターンバックル25a,25bの中央部分を手動で回動させることで容易に行われることから、角度調整手段の構成が単純で故障が少ないため、イニシャルコスト及びメンテナンスコストが低廉で済み、且つ、調整の手間も最小限で済むものとなる。
【0027】
以上、述べたように、払い出し機で下方のベルトコンベヤ上にバラ物を払い出す場合に、本発明により、様々な状況に対応して払い出し物を正確且つ安定的にベルトコンベヤ中央に落とせるようになった。
【符号の説明】
【0028】
1 貯留タンク、2A 払い出し機、3 搬送装置、10 貯槽、12 払い出し孔、20A シュートダンパ装置、20a シュート、22 シュートダンパ、22a,22b ダンパ板、24 スクリューコンベヤ、25a,25b ターンバックル、30 ベルトコンベヤ、221,222 シャフト、224,225 リンクプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
払い出し機下方のベルトコンベヤ上に払い出したバラ物を案内するシュートの開口部に吊り下げ配置された板状のシュートダンパで前記払い出したバラ物が前記ベルトコンベヤ中央に載るように落下方向を整流するシュートダンパ装置において、前記シュートダンパが、前記シュートの中心線から上流側の前記払い出し物の進行方向に偏芯配置されて前記中心線側の面を内側にして前記シュートの下端側内周面に沿うように湾曲しており、前記払い出し物の落下が前記中心線の延長線から所定範囲内に収まるように案内することを特徴とする払い出し機のシュートダンパ装置。
【請求項2】
前記シュートダンパ上端側に連結され、該シュートダンパの吊り下げ角度を所定範囲で変更可能とする角度調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載した払い出し機のシュートダンパ装置。
【請求項3】
前記シュートダンパは、左右2枚に分割されて並列配置されているとともに各々前記角度調整手段を有しており、前記2枚のシュートダンパが別個に角度調整可能とされていることを特徴とする請求項2に記載した払い出し機のシュートダンパ装置。
【請求項4】
木材チップを貯留する貯留タンクに配設される払い出し機用であることを特徴とする請求項1,2または3に記載した払い出し機のシュートダンパ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−6200(P2011−6200A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151086(P2009−151086)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000005924)株式会社三井三池製作所 (43)
【Fターム(参考)】