説明

投射型映像表示装置

【課題】高強度化、高精度化、および軽量化を図り易い構造の投射型映像表示装置を得ること。
【解決手段】投射型映像表示装置50を構成するにあたり、スクリーン10を保持するスクリーンフレーム5の下端部に光学エンジンベース15を連結してスクリーンフレームの後方に延在させると共に、スクリーンフレームの上端部から斜め後方に延びる上筋交い材20a,20bと、スクリーンフレームでの縦枠3b,3cから斜め後方に延びる下筋交い材25a,25bとを設け、上筋交い材の後端部と下筋交い材の後端部とを連結部材30a,30bで互いに連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、投射型映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
投射型映像表示装置では薄型化、大画面化、および高画質が進められており、薄型で大画面のものを得るための構造強度の向上、および高画質のものを得るための光学部品の取付精度の向上も併せて図られている。
【0003】
例えば特許文献1には、アルミニウム製または鉄製のフレーム構造を採用し、光学ユニット、ミラー、スクリーン等の光学部品を一体構成のフレームに取り付けることによって光学部品の取付精度を向上させると共に、衝撃等の外的要因によって光学パスがずれてしまうのを抑えた投射型テレビジョン受信機が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、透過式スクリーンを略垂直に保持する保持手段に、硬質素材部と該硬質素材部の少なくとも一方の側壁から突出するように形成された軟質素材部とを有する少なくとも一つのスクリーン保持部材を具備させ、透過式スクリーンの周縁部を上記の軟質素材部の弾力により保持することで当該透過式スクリーンの変形を抑え、かつ部品点数の削減および組立作業性を改善した背面投射型映像表示装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−247480号公報
【特許文献2】特開2001−305655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば画面サイズが50型を超える大型の投射型映像表示装置では、筐体に収容する光源ユニット、光学エンジン、電源回路、信号処理回路等の部品も大型化かつ重量化するので、これらを保持する保持構造も大型化かつ重量化してしまう。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、高強度化、高精度化、および軽量化を図り易い投射型映像表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するこの発明の投射型映像表示装置は、スクリーンを保持するスクリーンフレームと、スクリーンフレームの下端部に連結された光学エンジンベースと、スクリーンフレームの上端部から斜め後方に延びる上筋交い材と、スクリーンフレームでの縦枠から斜め後方に延びる下筋交い材と、上筋交い材の後端部と下筋交い材の後端部とを互いに連結する連結部材とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、高強度化、高精度化、および軽量化を図り易い投射型映像表示装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の投射型映像表示装置の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この発明は以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の投射型映像表示装置の一例を概略的に示す背面斜視図であり、当該投射型映像表示装置での骨組みを主に示している。同図に示すように、投射型映像表示装置50はスクリーンフレーム5、スクリーン10、光学エンジンベース15、上筋交い材20a,20b、下筋交い材25a,25b、および連結部材30a,30bを備えている。また、水平材35、光源ユニット40、およびTV(テレビジョン)回路45も備えている。
【0012】
上記のスクリーンフレーム5は、矩形枠状の外枠部1と矩形枠状の内枠部3とが固定具ST1,ST2を用いて一体化された2重構造を有している。外枠部1は上枠1a、左(背面視したときの左。以下同じ。)縦枠1b、右(背面視したときの右。以下同じ。)縦枠1c、および下枠(図1には現れていない)を有し、内枠部3は上枠3a、左縦枠3b、右縦枠3c、および下枠(図1には現れていない)を有する。
【0013】
スクリーン10は、例えばレンチキュラーレンズシートとフレネルレンズシートとを用いて構成された矩形のシート状物であり、その周縁部を内枠部3の内周に固定されて該内枠部3により保持されている。内枠部3は上述のように外枠部1と一体化されてスクリーンフレーム5を構成しているので、スクリーン10はスクリーンフレーム5に保持されていることになる。
【0014】
光学エンジンベース15は、長手方向中央部に配置された枠材15aにより画定される空間S内に光学エンジン(図示せず)を収容する部材であり、スクリーンフレーム5の下端部にその前端部が連結されてスクリーンフレーム5の後方に延在している。図示の例では、光学エンジンと後述する光源ユニット40内の光源とを光学的に接続するライトガイド(図示せず)を挿通するためのガイド部15bが枠材15a上に設けられている。
【0015】
上筋交い材20a,20bの各々は、スクリーンフレーム5の上端部から斜め後方に延びている。具体的には、内枠部3での左縦枠3bの上端部から上筋交い材20aが下斜め後方に延びており、内枠部3での右縦枠3cの上端部から上筋交い材20bが下斜め後方に延びている。
【0016】
また、下筋交い材25a,25bの各々は、スクリーンフレーム5での縦枠から斜め後方に延びている。具体的には、外枠部1での左縦枠1bおよび内枠部3での左縦枠3bそれぞれの下端部から下筋交い材25aが上斜め後方に延びており、外枠部1での右縦枠1bおよび内枠部3の右縦枠3cそれぞれの下端部から下筋交い材25bが上斜め後方に延びている。
【0017】
連結部材30aは上筋交い材20aの後端部と下筋交い材25aの後端部とを互いに連結しており、連結部材30bは上筋交い材20bの後端部と下筋交い材25bの後端部とを互いに連結している。図示の例では、各連結部材30a,30bが光学エンジンベース15での上側の角部に固定されている。
【0018】
水平材35は、上筋交い材20aでの長手方向中央部と上筋交い材20bでの長手方向中央部とに連結されて、これら上筋交い材20a,20bの各々を補強している。光源ユニット40は、例えば、赤色光を発振するレーザ素子、緑色光を発振するレーザ素子、青色光を発振するレーザ素子(いずれも図示せず)、およびTV回路45から送られてくる映像信号を基にこれらのレーザ素子を駆動する駆動回路(図示せず)を内蔵し、前述したライトガイドにより光学エンジンに光学的に接続されて、該光学エンジンに照明光を供給する。
【0019】
TV回路45は、投射型映像表示装置50が受信したテレビジョン放送波を基に映像信号および音響信号を作成し、映像信号は上記の光学エンジンおよび光源ユニット40の各々に、また音響信号はスピーカ(図示せず)に送る。なお、図示を省略しているが、スクリーンフレーム5には所定形状のハウジング材が装着されており、光学エンジンベース15、各上筋交い材20a,20b、各下筋交い材25a,25b、各連結部材30a,30b、水平材35、光源ユニット40、およびTV回路45の各々は上記のハウジング材により覆われている。
【0020】
このように構成された投射型映像表示装置50では、光源ユニット40から供給される照明光とTV回路45から送られてくる映像信号とを基に光学エンジン中の表示デバイス、例えば液晶パネルやDLP(Digital Light Processing)デバイスが映像光を作成し、該映像光が投射光学系(図示せず)を介してスクリーン10の背面側から該スクリーン10に投射されて映像を表示する。
【0021】
スクリーンフレーム5の背後に光学エンジンベース15、各上筋交い材20a,20b、各下筋交い材25a,25b、および各連結部材30a,30bが配置されていることから、当該投射型映像表示装置50では所謂トラス構造が5つ形成されているものとみなすことができる。この点について、図2を参照して詳述する。
【0022】
図2は、図1に示した投射型映像表示装置でのトラス構造の配置を示す模式図である。同図に示すように、投射型映像表示装置50では、スクリーンフレーム5での左縦枠、具体的には左縦枠3a(図1参照)と、上筋交い材20aと、下筋交い材25aと、連結部材30aとによって三角形が構成されているので、ここにトラス構造TS1が形成されているものとみなすことができる。同様に、スクリーンフレーム5での右縦枠、具体的には右縦枠3b(図1参照)と、上筋交い材20bと、下筋交い材25bと、連結部材30bとによってトラス構造TS2が形成されているものとみなすことができる。
【0023】
また、下筋交い材25aは、連結部材30a、枠材15aでの左縦枠、および光学エンジンベース15での枠材15aよりも左側の側面と共にトラス構造TS3を形成しているものとみなすことができ、下筋交い材25bは、連結部材30b、枠材15aでの右縦枠、および光学エンジンベース15での枠材15aよりも右側の側面と共にトラス構造TS4を形成しているものとみなすことができる。結果として、各連結部材30a,30bの位置は、強固に固定される。
【0024】
そして、各連結部材30a,30bの位置が上述のように強固に固定されることから、スクリーンフレーム5での上枠、具体的には上枠3a(図1参照)と、各上筋交い材20a,20bと、枠材15aの上枠とが形成する台形状の構造は、三角形での1つの頂点側を切り取った一種のトラス構造TS5を形成しているものとみなすことができる。
【0025】
これらのトラス構造TS1〜TS5が形成されているものとみなすことができる投射型映像表示装置50では、その骨組みの構造強度を例えば落下衝撃等にも耐える得る程度以上にまで容易に高めることができるので、大画面化を図ったときでも骨組みの部材点数を抑えることができる。また、骨組みを構成する各部材間の相対位置を上記5つのトラス構造TS1〜TS5により高精度に維持することができるので、投射光学系を構成するミラー等の光学部品とスクリーン10との相対位置を高精度に保つことが容易である。したがって、投射型映像表示装置50では、高強度化、高精度化、および軽量化を図り易い。高精度化を図り易いことから、歩留りを向上させることも容易である。
【0026】
実施の形態2.
この発明の投射型映像表示装置では、連結部材によって互いに連結される上筋交い材および下筋交い材の各々がスクリーンフレームと共にトラス構造を形成していれば基本的によい。したがって、各下筋交い材は、例えばスクリーンフレームでの縦枠の途中から後方に延びていてもよく、個々の下筋交い材は上斜め後方にではなくスクリーフレームの後方に水平に延びていてもよい。
【0027】
図3は、この発明の投射型映像表示装置の他の例を概略的に示す背面斜視図であり、当該投射型映像表示装置での骨組みを主に示している。同図に示す投射型映像表示装置55は、各下筋交い材25a,25bがスクリーンフレーム5での左縦枠の途中(左縦枠3bの途中)、または右縦枠の途中(右縦枠3cの途中)から当該スクリーンフレーム5の後方に水平に延びているという点を除き、図1に示した投射型映像表示装置50と同様の構成を有している。図3においては、図1に示した構成部材と機能が共通する構成部材に図1で用いた参照符号と同じ参照符号を付してある。
【0028】
このように構成された投射型映像表示装置55は、実施の形態1で説明した投射型映像表示装置50(図1参照)と同様の技術的効果を奏する。また、各下筋交い材25a,25bをスクリーンフレーム5の後方に水平に配置するので、実施の形態1で説明した投射型映像表示装置50に比べて個々の下筋交い材25a,25bの製造精度、および当該投射型映像表示装置55の組立て精度を所望の精度にし易いという技術的効果も奏する。
【0029】
以上、この発明の投射型映像表示装置について実施の形態を挙げて説明したが、前述のように、この発明は上記の形態に限定されるものではない。例えば、スクリーンフレームとしては、外枠部と内枠部とを有する2重構造のものの他に、外枠部を有していない1重構造のものを用いることもできる。スクリーンフレームを何重構造にするかに拘わらず、該スクリーンフレームでの下枠は省略することが可能である。スクリーンフレームでの下枠を省略した場合には、光学エンジンベースの前端側に例えば溝等の保持部を設けて、スクリーンの下端部を当該保持部により保持する。
【0030】
また、上筋交い材と下筋交い材とを互いに連結する連結部材を光学エンジンベースの何処に固定するかは、光学エンジンベースの形状等に応じて適宜選定可能である。連結部材を固定するための専用の固定部を光学エンジンベースの上面側に設けてもよい。さらには、光学エンジンベースとは別に、上記の連結部材を固定するための専用の部材を設けることもできる。そして、光源ユニットに用いる人工光源の種類や当該光源ユニットの配設箇所、および投射光学系の構成等は、適宜変更可能である。この発明については、上述した以外にも種々の変形、修飾、組み合わせ等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明の投射型映像表示装置は、民生用や業務用のテレビジョン受像機やモニタ装置、業務用のディスプレイ装置等として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の投射型映像表示装置の一例を概略的に示す背面斜視図である。
【図2】図1に示した投射型映像表示装置でのトラス構造の配置を示す模式図である。
【図3】この発明の投射型映像表示装置の他の例を概略的に示す背面斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 外枠部
1a 上枠
1b 左縦枠
1c 右縦枠
3 内枠部
3a 上枠
3b 左縦枠
3c 右縦枠
5 スクリーンフレーム
10 スクリーン
15 光学エンジンベース
15a 枠材
20a,20b 上筋交い材
25a,25b 下筋交い材
30a,30b 連結部材
35 水平材
40 光源ユニット
45 TV回路
50,55 投射型映像表示装置
TS1〜TS5 トラス構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンを保持するスクリーンフレームと、
該スクリーンフレームの下端部に連結された光学エンジンベースと、
前記スクリーンフレームの上端部から斜め後方に延びる上筋交い材と、
前記スクリーンフレームでの縦枠から斜め後方に延びる下筋交い材と、
前記上筋交い材の後端部と前記下筋交い材の後端部とを互いに連結する連結部材と、
を備えることを特徴とする投射型映像表示装置。
【請求項2】
前記下筋交い材は、前記スクリーンフレームでの縦枠の途中から延びていることを特徴とする請求項1に記載の投射型映像表示装置。
【請求項3】
前記下筋交い材は、前記スクリーンフレームでの縦枠から水平に延びていることを特徴とする請求項1または2に記載の投射型映像表示装置。
【請求項4】
前記連結部材は、前記光学エンジンベースの上部に固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の投射型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−32815(P2010−32815A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195507(P2008−195507)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】