説明

投影装置、投影制御方法及びプログラム

【課題】色彩の表現力を向上した画像の投影を可能とする。
【解決手段】半導体発光素子19,23,26の発光により複数色の光を時分割で循環的に出射する光源部16と、光源部16からの光を用い、該光の色成分に対応した画像を表示して反射光により光像を形成するマイクロミラー素子15と、形成した光像を投影対象に向けて投射する投影系(17,18)と、複数のカラーフィルタを配置したカラーホイールの使用を前提とし、カラーフィルタ毎の切替わりタイミング、該切替わりタイミングを中心とした切替わり期間の開始及び終了の各タイミングを設定することでマイクロミラー素子15の駆動を可能とし、上記切替わり期間の開始タイミングまたは終了タイミングを光源部16が出射する光の色が切替わるタイミングと一致するようにカラーホイール設定テーブル14aに事前に設定した投影コントローラ14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にDLP(Digital Light Processing)(登録商標)方式のプロジェクタに好適な投影装置、投影制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一枚のマイクロミラー素子を用いたDLP(登録商標)方式のプロジェクタでは、光源となる放電ランプからの白色光を、周上に複数のカラーフィルタが配設されたカラーホイールを透過させることで、時分割に例えばR(赤色),G(緑),B(青色)となる原色光を生成する。
【0003】
そして、得た原色光の照射タイミングに合わせて各色成分毎の画像をマイクロミラー素子で表示させることにより、その反射光でカラーの光像を形成し、形成した光像を投影レンズにより投影対象に向けて投射することで画像の投影が実行される。
【0004】
上記マイクロミラー素子は、そのためのコントローラ用の回路チップも含めて該素子を開発した半導体メーカが独占的に製造しており、DLP(登録商標)方式のプロジェクタを製造するメーカは、いずれも上記半導体メーカからマイクロミラー素子及びそのコントローラ用の回路チップの供給を受けてプロジェクタを製造している。
【0005】
近年、プロジェクタの光源として、上述した白色光を放つ放電ランプではなく、LD(半導体レーザ)やLED(発光ダイオード)など単色光を出力する半導体発光素子を組み合わせて使用するプロジェクタ装置が種々企画、製品化されている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−095388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献に記載された技術を含めて、マイクロミラー素子のためのコントローラ用の回路チップでは、プロジェクタ装置内に実際にカラーホイールが存在しているか否かに拘わらず、カラーホイールがあるものとして各カラーフィルタの回転タイミングを予め設定しておくことで、マイクロミラー素子の表示駆動を制御することが可能となる。
【0008】
その点について図3を用いて説明する。図3は、発光タイミングの設定構成を示すタイミングチャートである。
【0009】
同図では、上記特許文献に記載された内容と同様に、赤色光を直接LED(以下「R−LED」と称する)の発光により、緑色光を、青色光を発光するLD(以下「G励起LD」と称する)及び該青色光の照射を受けて緑色光を発するリング状の蛍光体層が形成された蛍光ホイールにより、青色光を直接LED(以下「B−LED」と称する)の発光により、それぞれ得るものとして、各原色光を単独、及び2種類を組み合わせた補色として用い、各色成分に対応した光像を形成して投影する場合について説明する。このような光源の構成とすることで、実際にはカラーホイールの存在は不要となる。
【0010】
図3(A)に示すように、ここではカラー画像1フレームがR(赤色),G(緑色),Mg(マゼンタ色),B(青色),Ye(黄色),Cy(シアン色)の計6フィールドから構成されているものとする。
【0011】
各フィールドに付帯して記載した数値「60(°)」は、各フィールド期間を仮想上のカラーホイールの回転角(1周期360°)に対応した中心角度として均等に分配した場合を示している。
【0012】
上記フレーム構成に対応して、図3(B)に示すように仮想上のカラーホイールの各カラーフィルタの回転タイミングをコントローラ回路に予め設定しておくものとする。カラーホイールの使用が前提とされるコントローラ回路では、カラーホイールを構成する各色のカラーフィルタが光源からの透過スポット光位置で切り替わる期間を「スポーク期間」と称して、当該スポーク期間の設定を行なう必要がある。
【0013】
このスポーク期間、すなわちカラーフィルタの切り替わりの前後一定角度分、例えば中心角で前後各5°、計10°に相当する期間内ではカラーフィルタの色に対応した正確な色画像の投影ができないものとし、各スポーク期間では隣り合ったカラーフィルタの補色、あるいは白色による階調強調を行なう期間に充当していた。
【0014】
図3(C)は、各フィールド期間及び各スポーク期間の投影シーケンスを示すもので、当該シーケンスに応じた色成分の画像をマイクロミラー素子で表示する。例えば、RフィールドとGフィールドとの間のスポーク期間では、RとGの加色によるYeの階調強調を行なうものとして、図3(D)及び図3(E)に示すように、スポーク期間の中央のタイミングでR−LEDをオフし、当該タイミングでG用の励起LDをオンし、合わせてマイクロミラー素子で黄色の色成分に応じた画像を表示することにより、このスポーク期間中はRとGの加色である黄色成分の階調を強調した画像を投影できる。
【0015】
同様に、例えばBフィールドとYeフィールドとの間のスポーク期間では、Yeフィールド自体がRとGの加色による表示期間であるため、さらにBの加色によりW(白色)(=輝度)の階調強調を行なうものとして、図3(D)〜図3(F)に示すようにスポーク期間の中央のタイミングでB−LEDをオフし、当該タイミングでR−LED、G用の励起LDをオンし、合わせてマイクロミラー素子で輝度成分に応じた画像を表示することにより、このスポーク期間中はRとGとBの加色であるW(白色)の輝度成分の階調を強調した画像を投影できる。
【0016】
このようにカラーホイールの使用を前提としたコントローラ回路を用いるプロジェクタでは、実際にはカラーホイールを使用していない場合でもコントローラ回路にカラーホイールの設定を行なう必要があり、且つスポーク期間を有効に活用する場合には、当該期間を加色による補色、または輝度の階調強調を行なうものとしていた。
【0017】
そのため、投影画像に明るさが求められるプレゼンテーション等の用途には有効である一方で、明るさと共に色彩の忠実な再現性も求められるホームシネマ等の用途では、原色の強調を行なうことができず、スポーク期間を有効に活用することができないという不具合がある。
【0018】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、カラーホイールの使用が前提とされるコントローラ回路を使用しながら、色彩の表現力を向上した画像の投影が可能な投影装置、投影制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一態様は、半導体発光素子の発光により複数色の光を時分割で循環的に出射する光源部と、上記光源部からの光を用い、該光の色成分に対応した画像を表示してその反射光または透過光により光像を形成する表示素子と、上記表示素子で形成した光像を投影対象に向けて投射する投影部と、複数のカラーフィルタを周状に配置したカラーホイールの使用を前提とし、上記複数のカラーフィルタ毎の切り替わりタイミング、及びこの切り替わりタイミングを中心とした切り替わり期間の開始タイミング及び終了タイミングの各タイミングを設定するコントローラ回路と、上記コントローラ回路で設定された上記各タイミングに基づいて上記表示素子の表示駆動を制御する投影駆動部と、上記複数のカラーフィルタ毎の切り替わり期間の上記開始タイミングまたは上記終了タイミングを上記光源部が出射する光の色が切り替わる上記切り替わりタイミングと一致するように上記コントローラ回路に事前に設定しておく設定手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カラーホイールの使用が前提とされるコントローラ回路を使用しながら、色彩の表現力を向上した画像の投影が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るDLP(登録商標)方式のデータプロジェクタ装置の機能回路構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態に係る発光タイミングの設定構成を示すタイミングチャート。
【図3】一般的な半導体光源素子を用いた単板DLP(登録商標)方式プロジェクタの発光タイミングの設定構成を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明をDLP(登録商標)方式のデータプロジェクタ装置に適用した場合の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係るデータプロジェクタ装置10の概略機能構成を示す図である。
入力部11は、例えばピンジャック(RCA)タイプのビデオ入力端子、D−sub15タイプのRGB入力端子、USB端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)端子などにより構成される。入力部11に入力された各種規格の画像信号は、入力部11で必要によりデジタル化された後に、システムバスSBを介して画像変換部12に送られる。
【0024】
画像変換部12は、スケーラとも称され、入力される画像データを投影に適した所定のフォーマットの画像データに統一して投影駆動部13へ送る。
【0025】
投影駆動部13は、投影コントローラ14の主としてタイミングに関する制御に基づき、画像変換部12から送られてきた画像データに応じて、所定のフォーマットに従ったフレームレート、例えば120[フレーム/秒]と色成分の分割数、及び表示階調数を乗算した、より高速な時分割駆動により、空間的光変調素子であるマイクロミラー素子15を表示するべく駆動する。
【0026】
投影コントローラ14は、カラーホイールの使用を前提とし、この投影コントローラ14によりカラーホイールを構成する複数のカラーフィルタ毎の切り替わりタイミング、及びこの切り替わりタイミングを中心とした切り替わり期間であるスポーク期間の開始タイミング及び終了タイミングの各タイミングを事前にカラーホイール(CW)設定テーブル14aに設定する。この設定された各タイミングに基づいて、上記投影駆動部13はマイクロミラー素子15の各色成分毎に対応した表示駆動を制御する。
【0027】
このマイクロミラー素子15は、アレイ状に配列された複数、例えばWXGA(Wide eXtended Graphic Array)(横1280画素×縦800画素)分の微小ミラーの各傾斜角度を個々に高速でオン/オフ動作して画像を表示することで、その反射光により光像を形成する。
【0028】
一方で、光源部16から時分割でR,G,Bの原色光が単独及び組み合わせて補色とした光源光が循環的に出射される。この光源部15からの光源光が、ミラー17で全反射して上記マイクロミラー素子15に照射される。
【0029】
そして、マイクロミラー素子15での反射光で光源光の色成分に対応した光像が形成され、形成された光像が投影レンズ部18を介して、投影対象となる図示しないスクリーンに投影表示される。
【0030】
なお図中の光源部16は、実構造としての光源部16を構成する各種光学レンズやミラー等の光学系の構成部品を極力簡略化し、説明に特化したものである。光源部16は、赤色光を発するLED(以下「R−LED」と称する)19を有する。
【0031】
R−LED19が発する赤色光(R)は、ダイクロイックミラー20を透過し、ダイクロイックミラー21で反射された後、さらにミラー22で反射されて、上記ミラー17に至る。
【0032】
光源部16は、さらに励起光としての青色のレーザ光を発するLD(以下「励起LD23」と称する)23を有する。
励起LD23が発する励起光としての青色のレーザ光(B)は、上記ダイクロイックミラー20を透過した後に蛍光ホイール24の周面に照射される。この蛍光ホイール24は、ホイールモータ(M)25により回転されるもので、上記青色のレーザ光が照射される周面全周に渡ってリング状の蛍光体層24gを形成している。
【0033】
より詳細には、蛍光ホイール24の上記レーザ光が照射される円周上に蛍光体を塗布することで蛍光体層24gが形成される。蛍光ホイール24の蛍光体層24gが形成されている面の裏面には図示しない反射板が蛍光体層24gと重なるように設けられている。
【0034】
蛍光ホイール24の蛍光体層24gに励起光としての青色のレーザ光が照射されることで、緑色光(G)が反射光として励起する。この緑色光は、上記ダイクロイックミラー20で反射され、上記ダイクロイックミラー21でも反射された後、上記ミラー22で反射されて、上記ミラー17に至る。
【0035】
さらに光源部16は、青色光を発するLED(以下「B−LED」と称する)26を有する。
B−LED26が発する青色光(B)は、上記ダイクロイックミラー21を透過し、上記ミラー22で反射されて、上記ミラー17に至る。
【0036】
以上の如く、上記ダイクロイックミラー20は、青色光,赤色光を透過する一方で、緑色光を反射する。上記ダイクロイックミラー21は、青色光を透過する一方で、緑色光及び赤色光を反射する。
光源駆動部27は、上記R−LED19、励起LD23、及びB−LED26の各発光、上記ホイールモータ25による蛍光ホイール24の回転を、上記投影駆動部13からのタイミング信号と、後述するCPU28の制御の下に実行する。
【0037】
上記各回路の動作すべてをCPU28が制御する。このCPU28は、メインメモリ29及びプログラムメモリ30と直接接続される。メインメモリ29は、例えばSRAMで構成され、CPU28のワークメモリとして機能する。プログラムメモリ30は、電気的に書換可能な不揮発性メモリで構成され、CPU28が実行する動作プログラムや各種定型データ等を記憶する。CPU28は、上記メインメモリ29及びプログラムメモリ30を用いて、このデータプロジェクタ装置10内の制御動作を実行する。
【0038】
上記CPU28は、操作部31からのキー操作信号に応じて各種投影動作を実行する。
この操作部31は、データプロジェクタ装置10の本体に設けられるキー操作部と、このデータプロジェクタ装置10専用の図示しないリモートコントローラからの赤外光を受光する赤外線受光部とを含み、ユーザが本体のキー操作部またはリモートコントローラで操作したキーに基づくキー操作信号をCPU28へ直接出力する。
【0039】
上記CPU28はさらに、上記システムバスSBを介して音声処理部32とも接続される。音声処理部32は、PCM音源等の音源回路を備え、投影動作時に与えられる音声データをアナログ化し、スピーカ部33を駆動して拡声放音させ、あるいは必要によりビープ音等を発生させる。
【0040】
次に上記実施形態の動作について説明する。
図2は、本実施形態に係る発光タイミングの設定構成を示すタイミングチャートである。図2(A)に示すように、ここではカラー画像1フレームがR(赤色),G(緑色),Mg(マゼンタ色),B(青色),Ye(黄色),Cy(シアン色)の計6フィールドから構成されているものとする。
【0041】
各フィールドに付帯して記載した数値「60(°)」は、各フィールド期間を仮想上のカラーホイールの回転角(1周期360°)に対応した中心角度として均等に分配した場合を示している。
【0042】
上記フレーム構成に対応して、図2(B)に示すように仮想上のカラーホイールの各カラーフィルタの回転タイミングを投影コントローラ14のカラーホイール設定テーブル14aに予め設定しておくものとする。カラーホイールの使用が前提とされる投影コントローラ14では、カラーホイールを構成する各色のカラーフィルタが光源からの透過スポット光位置で切り替わる期間を「スポーク期間」(切り替わり期間)と称して、当該スポーク期間の設定を行なう必要がある。この設定に基づいて投影駆動部13は、各色成分毎の発光タイミングに応じてマイクロミラー素子15の表示駆動を制御する。
【0043】
このスポーク期間、すなわちカラーフィルタの切り替わり(切り替わりタイミング)の前後一定角度分、例えばカラーホイールの中心角で前後各5°、計10°に相当する期間内ではカラーフィルタの色に対応した正確な色画像の投影ができないものとし、各スポーク期間では隣り合ったカラーフィルタの補色、あるいは白色による階調強調を行なう期間に充当するものとする。なお、0度以外の他の角度に相当する期間をスポーク期間として設定することができるのは勿論である。
【0044】
したがって本実施形態では、上記カラーフィルタの色毎のスポーク期間の開始タイミングまたは終了タイミングが、上記図2(A)で示した、実際に光源部16が出射する光の色が切り替わるタイミングと一致するようにカラーホイール設定テーブル14aに設定しておく。
【0045】
具体的には、最初のRフィールドの開始タイミングがその前のフレームの最終フィールドであるCyフィールド側に5°分はみ出すと共に、終了タイミングもその次のGフィールド側に5°分はみ出すものとして、カラーホイールの中心角度で計70°に相当する期間となるようにカラーホイール設定テーブル14aに設定する。
【0046】
2番目のGフィールドでは、上述したように開始タイミングが5°分遅れ、終了タイミングがその次のMgフィールド側に5°分はみ出すものとして、カラーホイールの中心角度で計60°に相当する期間となるようにカラーホイール設定テーブル14aに設定する。
【0047】
3番目のMgフィールドでは、上述したように開始タイミングが5°分遅れ、且つ終了タイミングがその次のBフィールドの開始より5°分早く終了するものとして、カラーホイールの中心角度で計50°に相当する期間となるようにカラーホイール設定テーブル14aに設定する。
【0048】
4番目のBフィールドでは、上述したように開始タイミングがその前のMgフィールド側に5°分はみ出すと共に、終了タイミングがその次のYeフィールド側に5°分はみ出すものとして、カラーホイールの中心角度で計70°に相当する期間となるようにカラーホイール設定テーブル14aに設定する。
【0049】
5番目のYeフィールドでは、上述したように開始タイミングが5°分遅れ、且つ終了タイミングがその次のCyフィールドの開始より5°分早く終了するものとして、カラーホイールの中心角度で計50°に相当する期間となるようにカラーホイール設定テーブル14aに設定する。
【0050】
最後のCyフィールドでは、上述したように開始タイミングがその前のYeフィールド側に5°分はみ出すと共に、終了タイミングもその次のフレームの先頭に位置するRフィールドの開始より5°分早く終了するものとして、カラーホイールの中心角度で計60°に相当する期間となるようにカラーホイール設定テーブル14aに設定する。
【0051】
このように複数の各フィールド間のスポーク期間の開始タイミング及び終了タイミングの何れか一方を、実際に光源部16で出射する光の色が切り替わるタイミングと一致するように上記投影コントローラ14のカラーホイール設定テーブル14aに事前に設定しておくものとする。
【0052】
上記のような仮想的なカラーホイールの事前設定とすることにより、図2(C)に示すように各フィールド間のスポーク期間が、本来のフィールドの切り替わりタイミングを挟んで前後何れかのフィールド側に偏って存在することになる。
【0053】
すなわち、図2(C)で各フィールド期間及び各スポーク期間の投影シーケンスを示すように、1フレームの最初に位置するRフィールドと次のGフィールドとの間に位置する第1のスポーク期間SP1は、実際の投影タイミングでは2番目のGフィールドの先頭部分に位置する。
【0054】
同様に、2番目のGフィールドと3番目のMgフィールドとの間に位置する第2のスポーク期間SP2は、実際の投影タイミングでは3番目のMgフィールドの先頭部分に位置する。
【0055】
また3番目のMgフィールドと4番目のBフィールドとの間に位置する第3のスポーク期間SP3は、実際の投影タイミングでは3番目のMgフィールドの末尾部分に位置する。
【0056】
さらに4番目のBフィールドと5番目のYeフィールドとの間に位置する第4のスポーク期間SP4は、実際の投影タイミングでは5番目のYeフィールドの先頭部分に位置する。
【0057】
また5番目のYeフィールドと6番目のCyフィールドとの間に位置する第5のスポーク期間SP5は、実際の投影タイミングでは5番目のYeフィールドの末尾部分に位置する。
【0058】
そして6番目のCyフィールドと次のフレームの先頭のRフィールドとの間に位置する第6のスポーク期間SP6は、実際の投影タイミングでは6番目のCyフィールドの末尾部分に位置する。
【0059】
したがって、図示する如くGフィールドに属する先頭の第1のスポーク期間SP1でGの色成分に対応した画像をマイクロミラー素子15で表示する設定とすれば、その前のRフィールドでは60°分の投影期間をフルに使用してRの色成分に対応した光像を投影することができると共に、続くGフィールドでも60°分の投影期間をフルに使用してGの色成分に対応した光像を投影することができる。
【0060】
同様に、図示する如くMgフィールドに属する先頭の第2のスポーク期間SP2と末尾の第3のスポーク期間SP3で共にMgの色成分に対応した画像をマイクロミラー素子15で表示する設定とすれば、Mgフィールドの60°分の投影期間をフルに使用してMgの色成分に対応した光像を投影することができると共に、続くBフィールドでも60°分の投影期間をフルに使用してBの色成分に対応した光像を投影することができる。
【0061】
同じく、図示する如くYeフィールドに属する先頭の第4のスポーク期間SP4と末尾の第5のスポーク期間SP5で共にYeの色成分に対応した画像をマイクロミラー素子15で表示する設定とすれば、Yeフィールドの60°分の投影期間をフルに使用してYeの色成分に対応した光像を投影することができる。
【0062】
そして、続く最後のCyフィールドでも、末尾に位置する第6のスポーク期間SP6でCyの色成分に対応した画像をマイクロミラー素子15で表示する設定とすれば、Cyフィールドの60°分の投影期間をフルに使用してCyの色成分に対応した光像を投影することができる。
【0063】
以上、結果としてスポーク期間を考慮することなく、カラー画像を構成する各フィールド期間をフルに利用して各色成分毎の光像をフル階調で投影させることが可能となる。
【0064】
実際に光源駆動部27の駆動のもとに発光する光源部16でも、赤色光(R)を発するR−LED19、緑色光(G)励起のための青色光を発する励起LD23、青色光(B)を発するB−LED26は、図2(D)〜図2(F)に示すように上記図2(A)で示したフレーム構成の切り替わりタイミングに同期してオン/オフ駆動することで、単色による原色光、または2色が混合された加色光による補色光の光源光として使用することが可能となり、スポーク期間を考慮して隣接するフィールド間で部分的に重複した発光駆動等を行なう必要がなくなるため、制御シーケンスがより容易となる。
【0065】
以上詳述した如く本実施形態によれば、色彩の表現力を向上した画像の投影が可能となる。
【0066】
加えて上記実施形態では、R,G,Bの各原色光を単独で出射する原色のフィールド期間を含むものとしたので、特に明るさよりも彩度の表現力が必要とされるような、ホームシアターなどで使用する投影モード時での表現力を確実に向上できる。
【0067】
また上記実施形態では、例えば上記GフィールドとMgフィールドの間、MgフィールドとBフィールドの間のつながりで示したように、特に原色光を単独で出射する原色のフィールドと、複数の原色光を加えて補色光を出射するフィールドとを含んでそのスポーク期間の存在を実質的に無効化するものとしたので、原色及び補色それぞれの色での表現力を向上して、色彩と明るさの双方を両立した画像の投影が可能となる。
【0068】
同じく上記実施形態では、例えば上記YeフィールドとCyフィールドの間のつながりで示したように、特に複数の原色光を加えて補色光を出射するフィールドから他の補色光を出射するフィールドを含んでそのスポーク期間の存在を実質的に無効化するものとしたので、補色での表現力を向上して、より明るい画像の投影が可能となる。
【0069】
さらに上記実施形態では、例えば上記RフィールドとGフィールドの間のつながりで示したように、特に原色光を単独で出射するフィールドから他の原色のフィールドを含んでそのスポーク期間の存在を実質的に無効化するものとしたので、原色での表現力を向上して、より色彩が豊かな画像の投影が可能となる。
【0070】
なお上記実施形態では、光源部16として、リング状の蛍光体層24gを形成した蛍光ホイール24をホイールモータ25で回転駆動するものとし、励起光としての青色光を励起LD23より出射させてその反射光により緑色光を得るものとした。
【0071】
このように周面全面に蛍光体層を形成した回転ホイールを用い、単色を発生させるような構成とすることで、カラーホイールの使用を前提とした投影コントローラ14を設けた回路構成において、ホイール回転用の電源制御等の一部回路が流用可能となる。
【0072】
なお上記実施形態では説明しなかったが、光源部16におけるB−LED26の構成を省略すると共に、蛍光ホイール24の周面の一部に、蛍光体層24gがなく、青色光を透過させる透過部分を形成し、透過した青色光をそのまま光源光として使用するような構成とすることにより、光源部16を構成する半導体発光素子の部品点数をより簡略化した構成を考えることができる。
【0073】
このような光源部の構成を採用した場合、蛍光ホイール24の回転角度をフレームに同期させて制御する必要が生じるため、カラーホイールの使用を前提とした投影コントローラ14を設けた回路構成において、ホイール回転用の電源制御等の一部回路と、さらにカラーホイールの回転角度制御用の一部回路とが共に流用可能となる。
【0074】
また上記実施形態では、図2(A)に示したようにカラー画像1フレームを構成する6つのフィールドを全て同じ時間(仮想上のカラーホイールの中心角度)であるものとして説明したが、本発明はこれに限らず、設計上の理由により各フィールドの期間の長さ(仮想上のカラーホイールの中心角度)が異なるように任意に設定可能であることは勿論である。
【0075】
さらに本実施形態では、光源部16が赤色光を発するR−LED19、緑色を励起するための励起光として青色光を発する励起LD23、及び青色光を発するB−LED26を有するものとして説明したが、本発明はこれに限らず、さらには複数の原色の加色ではなく、直接単色で補色光を発する半導体発光素子等を用いるような構成とすることも同様に考えられる。
【0076】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0077】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
請求項1記載の発明は、半導体発光素子の発光により複数色の光を時分割で循環的に出射する光源部と、上記光源部からの光を用い、該光の色成分に対応した画像を表示してその反射光または透過光により光像を形成する表示素子と、上記表示素子で形成した光像を投影対象に向けて投射する投影部と、複数のカラーフィルタを周状に配置したカラーホイールの使用を前提とし、上記複数のカラーフィルタ毎の切り替わりタイミング、及びこの切り替わりタイミングを中心とした切り替わり期間の開始タイミング及び終了タイミングの各タイミングを設定するコントローラ回路と、上記コントローラ回路で設定された上記各タイミングに基づいて上記表示素子の表示駆動を制御する投影駆動部と、上記複数のカラーフィルタ毎の切り替わり期間の上記開始タイミングまたは上記終了タイミングを上記光源部が出射する光の色が切り替わる上記切り替わりタイミングと一致するように上記コントローラ回路に事前に設定しておく設定手段とを具備したことを特徴とする。
【0078】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記光源部は、複数の原色光をそれぞれ単独で出射する期間を含むことを特徴とする。
【0079】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、上記光源部は、原色光から補色光に切り替えて出射する期間を含むことを特徴とする。
【0080】
請求項4記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、上記光源部は、補色光から他の補色光に切り替えて出射する期間を含むことを特徴とする。
【0081】
請求項5記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、上記光源部は、原色光から他の原色光に切り替えて出射する期間を含むことを特徴とする。
【0082】
請求項6記載の発明は、上記請求項1乃至5何れか記載の発明において、上記光源部は、励起光を発する励起用半導体発光素子と、当該励起用半導体発光素子の発する励起光を、周面全面に蛍光体層を形成した回転ホイールの該周面に照射してその反射光または透過光として得られる蛍光を、上記複数色の光のうち、少なくとも1色で使用することを特徴とする。
【0083】
請求項7記載の発明は、上記請求項1乃至5何れか記載の発明において、上記光源部は、半導体発光素子と、当該半導体発光素子の発する光を、周面の一部に蛍光体層を形成した回転ホイールの該周面に照射してその反射光または透過光として得られる、蛍光及び無変換光を、上記複数色の光のうち、少なくとも2色で使用することを特徴とする。
【0084】
請求項8記載の発明は、半導体発光素子の発光により複数色の光を時分割で循環的に出射する光源部、上記光源部からの光を用い、該光の色成分に対応した画像を表示してその反射光または透過光により光像を形成する表示素子、上記表示素子で形成した光像を投影対象に向けて投射する投影部、及び複数のカラーフィルタを周状に配置したカラーホイールの使用を前提とし、上記複数のカラーフィルタ毎の切り替わりタイミング、及びこの切り替わりタイミングを中心とした切り替わり期間の開始タイミング及び終了タイミングの各タイミングを設定するコントローラ回路と、上記コントローラ回路で設定された上記各タイミングに基づいて上記表示素子の表示駆動を制御する投影駆動部とを備えた装置での投影制御方法であって、上記複数のカラーフィルタ毎の切り替わり期間の上記開始タイミングまたは上記終了タイミングを上記光源部が出射する光の色が切り替わる上記切り替わりタイミングと一致するように上記コントローラ回路に事前に設定しておく設定工程を有したことを特徴とする。
【0085】
請求項9記載の発明は、半導体発光素子の発光により複数色の光を時分割で循環的に出射する光源部、上記光源部からの光を用い、該光の色成分に対応した画像を表示してその反射光または透過光により光像を形成する表示素子、上記表示素子で形成した光像を投影対象に向けて投射する投影部、及び、複数のカラーフィルタを周状に配置したカラーホイールの使用を前提とし、上記複数のカラーフィルタ毎の切り替わりタイミング、及びこの切り替わりタイミングを中心とした切り替わり期間の開始タイミング及び終了タイミングの各タイミングを設定するコントローラ回路と、上記コントローラ回路で設定された上記各タイミングに基づいて上記表示素子の表示駆動を制御する投影駆動部を備えた装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、上記コンピュータを、上記複数のカラーフィルタ毎の切り替わり期間の上記開始タイミングまたは上記終了タイミングを上記光源部が出射する光の色が切り替わる上記切り替わりタイミングと一致するように上記コントローラ回路に事前に設定しておく設定手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0086】
10…データプロジェクタ装置、11…入力部、12…画像変換部、13…投影駆動部、14…投影コントローラ、14a…カラーホイール(CW)設定テーブル、15…マイクロミラー素子、16…光源部、17…ミラー、18…投影レンズ部、19…R−LED、20…ダイクロイックミラー、21…ダイクロイックミラー、22…ミラー、23…励起LD、24…蛍光ホイール、24g…蛍光体層、25…ホイールモータ、26…B−LED、27…光源駆動部、28…CPU、29…メインメモリ、30…プログラムメモリ、31…操作部、32…音声処理部、33…スピーカ部、SB…システムバス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子の発光により複数色の光を時分割で循環的に出射する光源部と、
上記光源部からの光を用い、該光の色成分に対応した画像を表示してその反射光または透過光により光像を形成する表示素子と、
上記表示素子で形成した光像を投影対象に向けて投射する投影部と、
複数のカラーフィルタを周状に配置したカラーホイールの使用を前提とし、上記複数のカラーフィルタ毎の切り替わりタイミング、及びこの切り替わりタイミングを中心とした切り替わり期間の開始タイミング及び終了タイミングの各タイミングを設定するコントローラ回路と、
上記コントローラ回路で設定された上記各タイミングに基づいて上記表示素子の表示駆動を制御する投影駆動部と、
上記複数のカラーフィルタ毎の切り替わり期間の上記開始タイミングまたは上記終了タイミングを上記光源部が出射する光の色が切り替わる上記切り替わりタイミングと一致するように上記コントローラ回路に事前に設定しておく設定手段と
を具備したことを特徴とする投影装置。
【請求項2】
上記光源部は、複数の原色光をそれぞれ単独で出射する期間を含むことを特徴とする請求項1記載の投影装置。
【請求項3】
上記光源部は、原色光から補色光に切り替えて出射する期間を含むことを特徴とする請求項1または2記載の投影装置。
【請求項4】
上記光源部は、補色光から他の補色光に切り替えて出射する期間を含むことを特徴とする請求項1または2記載の投影装置。
【請求項5】
上記光源部は、原色光から他の原色光に切り替えて出射する期間を含むことを特徴とする請求項1または2記載の投影装置。
【請求項6】
上記光源部は、励起光を発する励起用半導体発光素子と、当該励起用半導体発光素子の発する励起光を、周面全面に蛍光体層を形成した回転ホイールの該周面に照射してその反射光または透過光として得られる蛍光を、上記複数色の光のうち、少なくとも1色で使用することを特徴とする請求項1乃至5何れか記載の投影装置。
【請求項7】
上記光源部は、半導体発光素子と、当該半導体発光素子の発する光を、周面の一部に蛍光体層を形成した回転ホイールの該周面に照射してその反射光または透過光として得られる、蛍光及び無変換光を、上記複数色の光のうち、少なくとも2色で使用することを特徴とする請求項1乃至5何れか記載の投影装置。
【請求項8】
半導体発光素子の発光により複数色の光を時分割で循環的に出射する光源部、上記光源部からの光を用い、該光の色成分に対応した画像を表示してその反射光または透過光により光像を形成する表示素子、上記表示素子で形成した光像を投影対象に向けて投射する投影部、及び複数のカラーフィルタを周状に配置したカラーホイールの使用を前提とし、上記複数のカラーフィルタ毎の切り替わりタイミング、及びこの切り替わりタイミングを中心とした切り替わり期間の開始タイミング及び終了タイミングの各タイミングを設定するコントローラ回路と、上記コントローラ回路で設定された上記各タイミングに基づいて上記表示素子の表示駆動を制御する投影駆動部とを備えた装置での投影制御方法であって、
上記複数のカラーフィルタ毎の切り替わり期間の上記開始タイミングまたは上記終了タイミングを上記光源部が出射する光の色が切り替わる上記切り替わりタイミングと一致するように上記コントローラ回路に事前に設定しておく設定工程を有したことを特徴とする投影制御方法。
【請求項9】
半導体発光素子の発光により複数色の光を時分割で循環的に出射する光源部、上記光源部からの光を用い、該光の色成分に対応した画像を表示してその反射光または透過光により光像を形成する表示素子、上記表示素子で形成した光像を投影対象に向けて投射する投影部、及び、複数のカラーフィルタを周状に配置したカラーホイールの使用を前提とし、上記複数のカラーフィルタ毎の切り替わりタイミング、及びこの切り替わりタイミングを中心とした切り替わり期間の開始タイミング及び終了タイミングの各タイミングを設定するコントローラ回路と、上記コントローラ回路で設定された上記各タイミングに基づいて上記表示素子の表示駆動を制御する投影駆動部を備えた装置が内蔵するコンピュータが実行するプログラムであって、
上記コンピュータを、
上記複数のカラーフィルタ毎の切り替わり期間の上記開始タイミングまたは上記終了タイミングを上記光源部が出射する光の色が切り替わる上記切り替わりタイミングと一致するように上記コントローラ回路に事前に設定しておく設定手段
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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