説明

抗PepT抗体を含有する細胞増殖抑制剤

【課題】癌細胞の増殖を抑制する、新規な細胞増殖抑制剤を提供する。
【解決手段】PepT(ペプチド輸送タンパク質、ペプチドトランスポーター)に結合する抗体を有効成分として含有する細胞増殖抑制剤。該PepT抗体は、抗体依存性細胞性細胞傷害活性(ADCC活性)および/または補体依存性細胞傷害活性(CDC活性)を有し、癌細胞、特に膵臓癌細胞の増殖を抑制する作用を示す。この結果から、例えば癌の治療や予防への利用が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PepTに結合する抗体および該抗体を有効成分として含有する細胞増殖抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物は、生体外から栄養源を取り込む必要性があり、細胞には多くの輸送タンパク質が存在することが知られている。ペプチドの輸送を行っているのはペプチドトランスポーター(ペプチド輸送タンパク質;PepT)であり、現在までに多数のPepTが見出されている(J.Biol.Chem., 1995, 270(12), 6456-6463.(非特許文献1)、Biochim.Biophys.Acta., 1995, 1235, 461-466.(非特許文献2)、Mol. Microbiol., 1995, 16, 825.(非特許文献3)、特開平6-261761(特許文献1)、特開平11-172(特許文献2)、US5849525(特許文献3)など)。PepTはペプチドの細胞内への流入を行うタンパク質と細胞外への流出を行うタンパク質に分けられる。又、輸送の際に利用するエネルギー源の違いによっても分類することができ、細胞内外のプロトンの濃度差を利用して輸送を行うプロトン駆動型PepTは、PTRファミリーに属する(Mol. Microbiol., 1995, 16, 825.(非特許文献3))。一方生体内のATPを使用して輸送を行うPepTはABCファミリーに属する(Annu. Rev. Cell. Biol., 1992, l8, 67.(非特許文献4))。
【0003】
PepTはジペプチド、トリペプチドなどの小分子ペプチドだけでなく、β-ラクタム抗生物質、ACE阻害剤などの薬剤の輸送にも関与していることが報告されている(Ganapathy, Leibach., Curr. Biol., 1991, 3, 695-701.(非特許文献5)、Nakashima, et al., Biochem. Pharm., 1984, 33, 3345-3352.(非特許文献6)、Friedman, Amidon., Pharm. Res., 1989, 6, 1043-1047.(非特許文献7)、Okano, et al., J. Biol. Chem, 1986, 261, 14130-14134.(非特許文献8)、Muranushi, et al., Pharm. Res., 1989, 6, 308-312.(非特許文献9)、Friedman, Amidon., J. Control. Rel., 1990, 13, 141-146.(非特許文献10))。
【0004】
PepT1およびPepT2は小分子ペプチドを細胞内に取り込むことによりタンパク質の吸収やペプチド性窒素源の維持に寄与しているプロトン駆動型PepTであり、PepT1およびPepT2はそれぞれアミノ酸708個、729個からなる12回膜貫通型タンパク質である(J.Biol.Chem., 1995, 270(12), 6456-6463.(非特許文献1)、Biochim.Biophys.Acta., 1995, 1235, 461-466.(非特許文献2)、Terada, Inui, Tanpakusitsu Kakusan Kouso., 2001, 46, 5(非特許文献11))。
【0005】
PepT1およびPepT2もβ-ラクタム抗生物質やベスタチンなどの薬物を輸送することが報告されている(Saito, H. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1995, 275, 1631-1637.(非特許文献12)、Saito, H. et al., Biochim. Biopys. Acta, 1996, 1280, 173-177.(非特許文献13)、Terada, T. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1997, 281, 1415-1421.(非特許文献14))。
【0006】
PepT1は主に小腸で発現し、腎臓、膵臓での発現も確認されている。PepT2は腎臓、脳、肺、脾臓での発現が確認されている。PepT1およびPepT2は小腸や腎尿細管上皮細胞の刷子縁膜に局在していることが報告されている(Ogihara, H. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 1996, 220, 848-852.(非特許文献15)、Takahashi, K. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1998, 286, 1037-1042.(非特許文献16)、Hong, S. et al., Am. J. Physiol. Renal. Physiol., 1999, 276, F658-F665.(非特許文献17)、Terada, Inui, Tanpakusitsu Kakusan Kouso., 2001, 46, 5.(非特許文献11))。
【0007】
また、ヒト膵管癌株でPepT1が細胞膜に高発現していること(Cancer Res., 1998, 58, 519-525.(非特許文献18)、およびPepT2のmRNAがヒト膵管癌株で発現していること(Millennium World Congress of Pharmaceutical Sciences, (2000)(非特許文献19))が報告されている。しかしながら、PepT1およびPepT2の癌細胞増殖への関与は不明であり、PepT1およびPepT2を抗体の標的抗原とすることにより癌細胞の増殖に影響を与えるか否かの議論は行われていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6-261761
【特許文献2】特開平11-172
【特許文献3】US5849525
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.Biol.Chem., 1995, 270(12), 6456-6463.
【非特許文献2】Biochim.Biophys.Acta., 1995, 1235, 461-466.
【非特許文献3】Mol. Microbiol., 1995, 16, 825.
【非特許文献4】Annu. Rev. Cell. Biol., 1992, l8, 67.
【非特許文献5】Ganapathy, Leibach., Curr. Biol., 1991, 3, 695-701.
【非特許文献6】Nakashima, et al., Biochem. Pharm., 1984, 33, 3345-3352.
【非特許文献7】Friedman, Amidon., Pharm. Res., 1989, 6, 1043-1047.
【非特許文献8】Okano, et al., J. Biol. Chem, 1986, 261, 14130-14134.
【非特許文献9】Muranushi, et al., Pharm. Res., 1989, 6, 308-312.
【非特許文献10】Friedman, Amidon., J. Control. Rel., 1990, 13, 141-146.
【非特許文献11】Terada, Inui, Tanpakusitsu Kakusan Kouso., 2001, 46, 5
【非特許文献12】Saito, H. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1995, 275, 1631-1637.
【非特許文献13】Saito, H. et al., Biochim. Biopys. Acta, 1996, 1280, 173-177.
【非特許文献14】Terada, T. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1997, 281, 1415-1421.
【非特許文献15】Ogihara, H. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 1996, 220, 848-852.
【非特許文献16】Takahashi, K. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1998, 286, 1037-1042.
【非特許文献17】Hong, S. et al., Am. J. Physiol. Renal. Physiol., 1999, 276, F658-F665.
【非特許文献18】Cancer Res., 1998, 58, 519-525.
【非特許文献19】Millennium World Congress of Pharmaceutical Sciences, (2000)
【発明の概要】
【0010】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、細胞増殖の抑制に有効なPepTに結合する抗体を提供することにある。さらに、本発明は、該抗体を有効成分として含有する細胞増殖抑制剤を提供することをも目的とする。
【0011】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、PepTに結合する抗体が細胞傷害活性を有すること、さらに、細胞増殖を抑制することを見出した。この結果から、PepTに結合する抗体、特に細胞傷害活性を有する抗体は細胞増殖抑制剤としての利用が可能である。
【0012】
即ち、本発明は、
〔1〕PepTに結合する抗体を有効成分として含有する細胞増殖抑制剤、
〔2〕PepTに結合する抗体が細胞障害活性を有する抗体である、〔1〕に記載の細胞増殖抑制剤、
〔3〕細胞傷害活性が抗体依存性細胞性細胞傷害活性(ADCC活性)である、〔2〕に記載の細胞増殖抑制剤、
〔4〕細胞傷害活性が補体依存性細胞傷害活性(CDC活性)である、〔2〕に記載の細胞増殖抑制剤、
〔5〕PepTがPepT1である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の細胞増殖抑制剤、
〔6〕癌細胞の増殖を抑制する、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の細胞増殖抑制剤、
〔7〕癌細胞が膵臓癌である、〔6〕に記載の細胞増殖抑制剤、
〔8〕PepTに結合する抗体を投与することを特徴とする、細胞に障害を引き起こす方法、
〔9〕PepTに結合し、かつ細胞障害活性を有する抗体、
〔10〕細胞傷害活性が抗体依存性細胞性細胞傷害活性(ADCC活性)である、〔9〕に記載の抗体、
〔11〕細胞傷害活性が補体依存性細胞傷害活性(CDC活性)である、〔9〕に記載の抗体、
〔12〕PepTの細胞外領域に特異的に結合する、〔9〕に記載の抗体。
〔13〕PepTがヒト由来である。〔9〕に記載の抗体。
〔14〕PepTがPepT1である、〔9〕〜〔13〕のいずれかに記載の抗体、を提供するものである。
【0013】
本発明は、まず、PepTに結合する抗体を有効成分として含有する細胞増殖抑制剤を提供する。
【0014】
本発明において、「PepTに結合する抗体を有効成分として含有する」とは、抗PepT抗体を主要な活性成分として含むという意味であり、抗PepT抗体の含有率を制限するものではない。
【0015】
本発明の細胞増殖抑制剤に含有される抗体はPepTと結合する限り特に制限はない。一つの好ましい態様は、PepTと特異的に結合する抗体である。他の好ましい態様は、細胞障害活性を有する抗体である。
【0016】
本発明における細胞障害活性とは、例えば抗体依存性細胞介在性細胞障害(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity:ADCC)活性、補体依存性細胞障害(complement-dependent cytotoxicity:CDC)活性などを挙げることができる。本発明において、CDC活性とは補体系による細胞障害活性を意味し、ADCC活性とは標的細胞の細胞表面抗原に特異的抗体が付着した際、そのFc部分にFcγ受容体保有細胞(免疫細胞等)がFcγ受容体を介して結合し、標的細胞に障害を与える活性を意味する。
【0017】
抗PepT抗体がADCC活性を有するか否か、又はCDC活性を有するか否かは公知の方法により測定することができる(例えば、Current protocols in Immunology, Chapter7. Immunologic studies in humans, Editor, John E, Coligan et al., John Wiley & Sons, Inc.,(1993)等)。
【0018】
具体的には、まず、エフェクター細胞、補体溶液、標的細胞の調製を行う。
(1)エフェクター細胞の調製
CBA/Nマウスなどから脾臓を摘出し、RPMI1640培地(GIBCO社製)中で脾臓細胞を分離する。10%ウシ胎児血清(FBS、HyClone社製)を含む同培地で洗浄後、細胞濃度を5×106/mlに調製し、エフェクター細胞を調製する。
【0019】
(2)補体溶液の調製
Baby Rabbit Complement(CEDARLANE社製)を10% FBS含有培地(GIBCO社製)にて10倍希釈し、補体溶液を調製する。
【0020】
(3)標的細胞の調製
膵臓癌細胞株(AsPC-1、Capan-2等)を0.2mCiの51Cr-sodium chromate(Amersham Pharmacia Biotech社製)とともに、10% FBS含有DMEM培地中で37℃にて1時間培養することにより放射性標識する。放射性標識後、細胞を10% FBS含有RPMI1640培地にて3回洗浄し、細胞濃度を2×105/mlに調製して、標的細胞を調製する。
【0021】
次いで、ADCC活性、又はCDC活性の測定を行う。ADCC活性の測定の場合は、96ウェルU底プレート(Beckton Dickinson社製)に、標的細胞と、抗PepT抗体を50μlずつ加え、氷上にて15分間反応させる。その後、エフェクター細胞100μlを加え、炭酸ガスインキュベーター内で4時間培養する。抗体の終濃度は0または10μg/mlとする。培養後、100μlの上清を回収し、ガンマカウンター(COBRAIIAUTO-GMMA、MODEL D5005、Packard Instrument Company社製)で放射活性を測定する。細胞障害活性(%)は(A-C)/(B-C)×100により求めることができる。Aは各試料における放射活性(cpm)、Bは1% NP-40(半井社製)を加えた試料における放射活性(cpm)、Cは標的細胞のみを含む試料の放射活性(cpm)を示す。
【0022】
一方、CDC活性の測定の場合は、96ウェル平底プレート(Becton Dickinson社製)に、標的細胞と、抗PepT抗体を50μlずつ加え、氷上にて15分間反応させる。その後、補体溶液100μlを加え、炭酸ガスインキュベーター内で4時間培養する。抗体の終濃度は0または3μg/mlとする。培養後、100μlの上清を回収し、ガンマカウンターで放射活性を測定する。細胞障害活性はADCC活性の測定と同様にして求めることができる。
【0023】
本発明の細胞増殖抑制剤に含有される抗体は、抗原と結合する限り特に制限はなく、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ヒツジ抗体、キメラ抗体、ヒト型化抗体、ヒト抗体等を適宜用いることができる。抗体は、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよいが、均質な抗体を安定に生産できる点でモノクローナル抗体が好ましい。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は当業者に周知の方法により作製することができる。
【0024】
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、所望の抗原や所望の抗原を発現する細胞を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞(ハイブリドーマ)をスクリーニングすることによって作製できる。
【0025】
感作抗原としては特に限定されないが、例えば、PepTがヒトPepT1の場合、ヒトPepT1蛋白質やヒトPepT1を発現する細胞、ヒトPepT1の部分ペプチド(例えば、ndltdhnhdgtpds、sspgspvtavtddfkq、tddfkqgqrht、apnhyqvvkdglnqkpe、kdglnqkpekgeng、scpevkvfedisant、ksnpyfmsgansqkq等)などを用いることができる。
【0026】
抗原の調製は、例えば、バキュロウイルスを用いた方法(例えば、WO98/46777など)などに準じて行うことができる。
【0027】
ハイブリドーマの作製は、たとえば、ミルステインらの方法(Kohler, G., and Milstein, C., Methods Enzymol. 1981, 73, 3-46.)等に準じて行うことができる。抗原の免疫原性が低い場合には、アルブミン等の免疫原性を有する巨大分子と結合させ、免疫を行えばよい。また、抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた遺伝子組換え型抗体を用いることができる(例えば、Carl, A.K. Borrebaeck, James, W. Larrick, THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES, Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD, 1990参照)。具体的には、ハイブリドーマのmRNAから逆転写酵素を用いて抗体の可変領域(V領域)のcDNAを合成する。目的とする抗体のV領域をコードするDNAが得られれば、これを所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターへ組み込む。または、抗体のV領域をコードするDNAを、抗体C領域のDNAを含む発現ベクターへ組み込んでもよい。発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させることができる。
【0028】
本発明の抗PepT抗体の認識するPepT分子上のエピトープは特定のものに限定されず、PepT分子上に存在するエピトープならばどのエピトープを認識してもよいが、PepTは12回膜貫通型タンパク質なので、細胞外領域に存在するエピトープを認識するのが好ましい。
【0029】
本発明では、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ(Chimeric)抗体、ヒト型化(Humanized )抗体などを使用できる。これらの改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物、例えば、マウス抗体の重鎖、軽鎖の可変領域とヒト抗体の重鎖、軽鎖の定常領域からなる抗体であり、マウス抗体の可変領域をコードするDNAをヒト抗体の定常領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得ることができる。
【0030】
ヒト型化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の哺乳動物、たとえばマウス抗体の相補性決定領域(CDR; complementarity determining region)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている。具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(framework region;FR)を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAをヒト抗体定常領域をコードするDNAと連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 239400 、国際特許出願公開番号WO 96/02576参照)。CDRを介して連結されるヒト抗体のFRは、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域のフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato, K.et al., Cancer Res, 1993, 53, 851-856.)。
【0031】
また、ヒト抗体の取得方法も知られている。例えば、ヒトリンパ球をin vitroで所望の抗原または所望の抗原を発現する細胞で感作し、感作リンパ球をヒトミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、抗原への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1-59878参照)。また、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物を所望の抗原で免疫することで所望のヒト抗体を取得することができる(国際特許出願公開番号WO 93/12227, WO 92/03918,WO 94/02602, WO 94/25585,WO 96/34096, WO 96/33735参照)。さらに、ヒト抗体ライブラリーを用いて、パンニングによりヒト抗体を取得する技術も知られている。例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現させ、抗原に結合するファージを選択することができる。選択されたファージの遺伝子を解析すれば、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。抗原に結合するscFvのDNA配列が明らかになれば、当該配列を適当な発現ベクターを作製し、ヒト抗体を取得することができる。これらの方法は既に衆知であり、WO 92/01047, WO 92/20791, WO 93/06213, WO 93/11236, WO 93/19172, WO 95/01438, WO 95/15388を参考にすることができる。
【0032】
抗体遺伝子を一旦単離し、適当な宿主に導入して抗体を作製する場合には、適当な宿主と発現ベクターの組み合わせを使用することができる。真核細胞を宿主として使用する場合、動物細胞、植物細胞、真菌細胞を用いることができる。動物細胞としては、(1) 哺乳類細胞、例えば、CHO, COS,ミエローマ、BHK (baby hamster kidney ),HeLa,Vero,(2) 両生類細胞、例えば、アフリカツメガエル卵母細胞、あるいは(3) 昆虫細胞、例えば、sf9, sf21, Tn5などが知られている。植物細胞としては、ニコティアナ(Nicotiana)属、例えばニコティアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)由来の細胞が知られており、これをカルス培養すればよい。真菌細胞としては、酵母、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces )属、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces serevisiae)、糸状菌、例えば、アスペルギルス(Aspergillus )属、例えばアスペスギルス・ニガー(Aspergillus niger )などが知られている。原核細胞を使用する場合、細菌細胞を用いる産生系がある。細菌細胞としては、大腸菌(E. coli )、枯草菌が知られている。これらの細胞に、目的とする抗体遺伝子を形質転換により導入し、形質転換された細胞をin vitroで培養することにより抗体が得られる。
【0033】
また、抗体はPepTに結合することができれば、抗体の断片又はその修飾物であってもよい。例えば、抗体の断片としては、Fab、F(ab’)2、Fv、またはH鎖若しくはL鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシングルチェインFv(scFv)、ダイアボディー(Diabody)などが挙げられる。具体的には、抗体を酵素、例えばパパイン、ペプシンなどで処理し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させる(例えば、Co, M. S. et al., J. Immunol., 1994, 152, 2968-2976.、 Better, M. & Horwitz, A. H., Methods in Enzymology, 1989, 178, 476-496, Academic Press, Inc.、 Plueckthun, A. & Skerra, A., Methods in Enzymology, 1989, 178, 476-496, Academic Press, Inc.、 Lamoyi, E., Methods in Enzymology, 1989, 121, 663-669.、Bird, R. E. et al., TIBTECH, 1991, 9, 132-137.参照)。
【0034】
scFvは、抗体のH鎖V領域とL鎖V領域とを連結することにより得られる。このscFvにおいて、H鎖V領域とL鎖V領域は、リンカー、好ましくはペプチドリンカーを介して連結される(Huston, J. S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A, 1988, 85, 5879-5883.)。scFvにおけるH鎖V領域およびL鎖V領域は、本明細書に抗体として記載されたもののいずれの由来であってもよい。V領域を連結するペプチドリンカーとしては、例えば12-19残基からなる任意の一本鎖ペプチドが用いられる。scFvをコードするDNAは、前記抗体のH鎖またはH鎖V領域をコードするDNA、およびL鎖またはL鎖V領域をコードするDNAのうち、それらの配列のうちの全部又は所望のアミノ酸配列をコードするDNA部分を鋳型とし、その両端を規定するプライマー対を用いてPCR法により増幅し、次いで、さらにペプチドリンカー部分をコードするDNA、およびその両端が各々H鎖、L鎖と連結されるように規定するプライマー対を組み合わせて増幅することにより得られる。また、一旦scFvをコードするDNAが作製されると、それらを含有する発現ベクター、および該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従って得ることができ、また、その宿主を用いることにより、常法に従ってscFvを得ることができる。これらの抗体断片は、前記と同様にして遺伝子を取得し発現させ、宿主により産生させることができる。抗体の修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。又、抗体に放射性同位元素、化学療法剤、細菌由来トキシン等の細胞傷害性物質などを結合することも可能であり、特に放射性標識抗体は有用である。このような抗体修飾物は、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。なお、抗体の修飾方法はこの分野においてすでに確立されている。本発明における「抗体」にはこれらの抗体も包含される。
【0035】
さらに、本発明で使用される抗体は二重特異性抗体(bispecific antibody)であってもよい。二重特異性抗体は、例えば、PepT分子上の異なるエピトープを認識する抗原結合部位を有する二重特性抗体であってもよいし、一方の抗原結合部位がPepTを認識し、他方の抗原結合部位が放射性物質、化学療法剤、細胞由来トキシン等の細胞障害性物質を認識してもよい。この場合、PepTを発現している細胞に直接細胞障害性物質を作用させ腫瘍細胞に特異的に障害を与え、腫瘍細胞の増殖を抑制することが可能である。二重特異性抗体は2種類の抗体のHL対を結合させて作製することもできるし、異なるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを融合させて、二重特異性抗体産生融合細胞を作製し、得ることもできる。さらに、遺伝子工学的手法により二重特異性抗体を作製することも可能である。
【0036】
前記のように発現、産生された抗体は、通常のタンパク質の精製で使用されている公知の方法により精製することができる。例えば、プロテインAカラムなどのアフィニティーカラム、クロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、組み合わせることにより、抗体を分離、精製することができる(Antibodies A Laboratory Manual. Ed Harlow, David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)。
【0037】
抗体の抗原結合活性(Antibodies A Laboratory Manual. Ed Harlow, David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)の測定には公知の手段を使用することができる。例えば、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、EIA(酵素免疫測定法)、RIA(放射免疫測定法)あるいは蛍光免疫法などを用いることができる。
【0038】
また、本発明の細胞増殖抑制剤に含有されるPepTに結合する抗体としては特に限定されないが、好ましいのはプロトン駆動によりペプチドを細胞内に取り込む(トランスポート活性を有する)PepTに結合する抗体であり、さらに好ましいのはPepT1またはPepT2に結合する抗体であり、特に好ましいのはPepT1に結合する抗体である。
【0039】
PepT1およびPepT2の塩基配列、アミノ酸配列は既に知られている(ヒトPepT1:GenBank XM_007063、J.Biol.Chem., 1995, 270(12), 6456-6463.、ヒトPepT2:GenBank XM_002922、Biochim.Biophys.Acta., 1995, 1235;461-466.、マウスPepT1:GenBank AF205540、Biochim. Biophys. Acta., 2000, 1492, 145-154.、マウスPepT2:GenBank NM_021301、Biochim. Biophys. Res. Commun., 2000, 276, 734-741.)。
【0040】
また、本発明のpepTに結合する抗体は、pepTの細胞外領域に特異的に結合する抗体であることが好ましい。本発明において、細胞外領域に対する特異的な結合とは、PepTの細胞外領域とそれ以外の領域を免疫学的に識別しうることを言う。より具体的には、細胞外領域には結合するが、細胞内領域等や膜貫通ドメインとは結合しない抗体を、PepTの細胞外領域に特異的に結合する抗体と言うことができる。本発明において、好ましいPepTは、ヒトPepTである。ヒトPepTは、ヒトに由来のみならず、ヒトPepTをバキュロウイルス発現系で発現させて得ることができる組み換え体であることもできる。細胞外領域に特異的に結合する抗体を取得する際に用いられる免疫原としては、例えば、細胞膜やウイルス膜などの膜上に発現させたPepTや、PepTの細胞外領域を含む断片などを挙げることができる。又、免疫原として用いられるPepTは、トランスポーター活性の有無に限定されず、トランスポート活性を有するPepT、トランスポート活性のないPepTのどちらでも用いることが可能である。トランスポート活性を有するPepTを免疫原として用いる場合には、例えば、細胞膜やウイルス膜などの膜上に発現させたPepTを用いることができる(例えば、Ba/F3細胞膜上やバキュロウイルス膜上に発現させたPepT)。PepTはグリシルザルコシン等を基質として取り込むことが知られているので、例えば、[14C]グリシルザルコシンなどを、膜上に発現したPepTに接触させ、[14C]グリシルザルコシンの取り込みを観察することによって、トランスポート活性の有無を判断することが可能である。
【0041】
増殖抑制の標的とする細胞は特に限定はされないが、好ましいのは膵臓癌、肝臓癌、肺癌、食道癌、乳癌、大腸癌などの癌細胞であり、特に好ましいのは膵臓癌細胞である。よって、本発明の細胞増殖阻害剤は、細胞増殖に起因する疾患、特に膵臓癌などの癌の治療、予防を目的として使用できる。
【0042】
本発明の細胞増殖阻害剤は、経口、非経口投与のいずれでも可能であるが、好ましくは非経口投与であり、具体的には、注射剤型、経鼻投与剤型、経肺投与剤型、経皮投与型などが挙げられる。注射剤型の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射などにより全身または局部的に投与することができる。また、患者の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。投与量としては、例えば、一回につき体重1kgあたり0.0001mgから1000mgの範囲で選ぶことが可能である。あるいは、例えば、患者あたり0.001〜100000mg/bodyの範囲で投与量を選ぶことができる。しかしながら、本発明の治療薬はこれらの投与量に制限されるものではない。
【0043】
本発明の細胞増殖阻害剤は、常法に従って製剤化することができ(例えば、Remington’s Pharmaceutical Science, latest edition, Mark Publishing Company, Easton, U.S.A)、医薬的に許容される担体や添加物を供に含むものであってもよい。例えば界面活性剤、賦形剤、着色料、着香料、保存料、安定剤、緩衝剤、懸濁剤、等張化剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤等が挙げられるが、これらに制限されず、その他常用の担体を適宜使用することができる。具体的には、軽質無水ケイ酸、乳糖、結晶セルロース、マンニトール、デンプン、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、白糖、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を挙げることができる。
【0044】
また、本発明は、PepTに結合する抗体を投与することを特徴とする、細胞に障害を引き起こす方法を提供する。該PepTに結合する抗体は、本発明の細胞増殖抑制剤に含有されるPepTに結合する抗体として上述している。本発明の方法は、細胞増殖に起因する疾患、特に膵臓癌などの癌の治療、予防を目的として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、pepT1高発現膵臓癌細胞株AsPC-1およびpepT2高発現膵臓癌細胞株BxPC-3に対するPepT1抗体の反応性をFACS解析により調べた結果を示す図である。
【図2】図2は、AsPC-1およびBxPC-3細胞におけるPepT1抗体のCDC活性測定の結果を示す図である。上がAsPC-1、下がBxPC-3に対するCDC活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明する。
1. PepT1抗体の作成
1-1. DEF2A抗体の作成
ヒトPepT1を発現するBa/F3細胞(Ba/F3-PepT1)をPBSで洗浄し、4 x 107細胞/mLになるようにPBSで懸濁した。この細胞液0.25mLをBalb/cマウス(メス)に腹腔内投与することにより免疫を行った。1週間から2週間おきに計19回の免疫を同様に行い、さらに細胞液を尾静脈内投与することにより20回目の免疫を行った。
【0047】
このマウスから脾臓細胞を調製し、通常のポリエチレングリコールを使用する方法によってマウスP3U1細胞との細胞融合を行った。細胞を96ウェルプレートに蒔きこみ、ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジンを含む培地(HAT培地)中で細胞を培養することにより、ハイブリドーマの選択を行った。細胞融合から9日目に培養上清を回収し、ヒトPepT1を発現する発芽バキュロウイルス(PepT1-BV)を抗原としたELISA(BV-ELISA)によるスクリーニングを行い陽性ウェルを選択した。
【0048】
BV-ELISAは次のように実施した。すなわち、40μgタンパク/mLの濃度になるようにPepT1-BVをPBSで希釈し、それを100μL/ウェルでELISA用96ウェルプレート(Maxisorp:Nunc社)に分注した。このプレートを4℃で一晩以上放置することによってPepT1-BVをプレートに吸着させた。このプレートを用い、通常の方法に従ってELISAを行った。
【0049】
陽性ウェルであると判定されたウェルから限界希釈法によりハイブリドーマのクローン化を行った。クローン化された細胞の培養上清につき再度PepT1-BVを用いたBV-ELISAを行うことにより、陽性クローンDEF2Aを同定した。
【0050】
DEF2Aを拡大培養し、その培養上清を用いてヒト膵臓癌細胞株AsPC-1に対する反応性をFACS解析により調べたところ、DEF2Aが産生する抗体はAsPC-1と特異的に反応することが明らかとなった(図1)。
【0051】
1-2. BPT01-13抗体の作成
PBSに懸濁した1mgのタンパク量に相当するpepT1-BVと200ngの百日咳毒素をgp64トランスジェニックマウス(特願2002-180351)に皮下注射する事により初回免疫を行った。以後の免疫は同様に調製した500μgタンパク量相当のpepT1-BV(ただし百日咳毒素は含まない)を皮下注射することにより行った。最終免疫は250μgタンパク量相当のpepT1-BV(ヒトPepT1を発現するバキュロウイルス:特願2002-180351)を尾静注する事により行った。このマウスから脾臓細胞を調製し、通常のポリエチレングリコールを使用する方法によってマウスP3U1細胞との細胞融合を行った。
スクリーニングはBaF/3-pepT1細胞を用いたFACSで行った。更にBaF/3-pepT2細胞を用いたFACSによりpepT1特異的に結合するモノクローナル抗体「BPT01-13」を樹立した。最終的にAsPC-1とBxPC-3のFACSを行いガン細胞上のpepT1特異的な結合を確認した(図1)。
【0052】
2. PepT1 抗体のCDC 活性測定
PepT1 発現陽性の膵臓癌細胞株(AsPC-1 細胞)および陰性の膵臓癌細胞株(BxPC-3 細胞)を用いて PepT1 抗体の CDC 活性を測定した。
AsPC-1 細胞は20 % FBS- RPMI培地、BxPC-3 細胞は10 % FBS- RPMI 培地で培養した。細胞を96 well plate にまいて(1E4個/ well)2日間培養後、51Cr (Amersham pharmacia, CJS4) を5 μCi/ well 添加し、1時間培養して細胞を標識した。細胞を 300 μL/ well の HAV buffer で洗浄し、0.2, 2, 20 μg/mL のPepT 抗体 (BPT01-13 または DEF2A) を 100 μL/ well 加え、氷上で 15 分間静置した。さらに 100 % の幼齢ウサギ補体 (CEDARLANE, CL3441, Lot.6213) を 100 μL/ well 添加し、37℃ で90 分間静置した。遠心 (1,000 rpm, 5 min, 4℃) 後、上清を 100 μL/ well 回収してγカウンター (Packard Instrument Company, COBRAIIAUTO-GAMMA, MODEL505) で放射活性を測定した。下式により、CDC活性 (%) を求めた。
CDC 活性 (%) = (A-C)x100/ (B-C)
【0053】
A は各 well の放射活性、B は補体の代わりに2 % NP-40 水溶液 (Nonidet P-40, ナカライテスク, 252-23, Lot.M7M7690) を 100 μL 加えた well について放射活性の平均値、C は抗体および補体を添加せず、HAV buffer を 200 μL 加えた well について放射活性の平均値を示す。試験は triplicate で行い、CDC 活性値および標準誤差を算出した(図2)。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明者らによって、PepTに結合する抗体が細胞傷害活性を有し、細胞増殖を抑制することが見出された。これらの抗体は、細胞増殖抑制剤として、例えば癌の治療や予防への利用が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PepTに結合する抗体を有効成分として含有する細胞増殖抑制剤。
【請求項2】
PepTに結合する抗体が細胞障害活性を有する抗体である、請求項1に記載の細胞増殖抑制剤。
【請求項3】
細胞傷害活性が抗体依存性細胞性細胞傷害活性(ADCC活性)である、請求項2に記載の細胞増殖抑制剤。
【請求項4】
細胞傷害活性が補体依存性細胞傷害活性(CDC活性)である、請求項2に記載の細胞増殖抑制剤。
【請求項5】
PepTがPepT1である、請求項1〜4のいずれかに記載の細胞増殖抑制剤。
【請求項6】
癌細胞の増殖を抑制する、請求項1〜5のいずれかに記載の細胞増殖抑制剤。
【請求項7】
癌細胞が膵臓癌である、請求項6に記載の細胞増殖抑制剤。
【請求項8】
PepTに結合する抗体を投与することを特徴とする、細胞に障害を引き起こす方法。
【請求項9】
PepTに結合し、かつ細胞障害活性を有する抗体。
【請求項10】
細胞傷害活性が抗体依存性細胞性細胞傷害活性(ADCC活性)である、請求項9に記載の抗体。
【請求項11】
細胞傷害活性が補体依存性細胞傷害活性(CDC活性)である、請求項9に記載の抗体。
【請求項12】
PepTの細胞外領域に特異的に結合する、請求項9に記載の抗体。
【請求項13】
PepTがヒト由来である。請求項9に記載の抗体。
【請求項14】
PepTがPepT1である、請求項9〜13のいずれかに記載の抗体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−13471(P2010−13471A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−206514(P2009−206514)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【分割の表示】特願2003−548876(P2003−548876)の分割
【原出願日】平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願人】(000003311)中外製薬株式会社 (228)
【Fターム(参考)】