説明

折り畳みコンテナ

【課題】折り畳みコンテナを組み立てた状態で口枠を手で持って上方に持ち上げた場合に、折り畳み用側板と口枠との軸支部分が外れるのを簡単な構成で確実に防止する。
【解決手段】折り畳みコンテナ1において、口枠3と上側板5の上端とを連結する連結部分に、口枠3と上側板5とを回動自在に軸支する上軸部11と上軸受け部12とよりなる上軸支部10と、上軸部11が上軸受け部12から外れるのを防止するための上外れ防止部13を隣接して設ける。上外れ防止部13が、少なくとも上側板5が垂直姿勢となった状態で、口枠3を持ち上げた際に、上側板5に作用する下向きの荷重により口枠3の軸支部分の隣に設けた上支持部15の上面に当接して上側板5を口枠3に支持させるための上外れ防止片14を上側板5に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳みコンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、矩形状の底板と、底板の上方に配置した矩形枠状の口枠と、底板の対向する一対の辺と口枠の対向する一対の辺との間にそれぞれ配置した折り畳み用側板と、底板の対向する他の一対の辺と口枠の対向する他の一対の辺との間にそれぞれ配置した起倒用側板とを具備し、起倒用側板の上端を口枠に回動自在に連結して起倒用側板を起倒自在とし、折り畳み用側板を上半分の上側板と下半分の下側板とで構成して上側板の上端を口枠に回転自在に連結すると共に下側板の下端を底板に回転自在に連結し且つ上側板の下端と下側板の上端を回転自在に連結した折り畳みコンテナが知られている。
【0003】
上記のような折り畳みコンテナにおいて、側板の上端を口枠に回動自在に取付けるに当たって、口枠に一体に軸受け用の横孔を形成すると共に、側板の上端に横軸を一体に形成し、先端が自由端となった横軸を横孔に弾性を利用して強制的に嵌合することにより取付けていた。
【0004】
ところが、折り畳みコンテナを組み立てて箱状とした場合、側板に外力を加えたり、あるいは他の理由で大きな外力が加えられたりすると、弾性変形して先端が自由端となった横軸が横孔から外れてしまうという問題があった。
【0005】
このため、側板に外から外力が作用した際に横軸が横孔から外れないようにするために上記横軸と横孔との軸支部分とは異なる位置において、側板の上端部に別の外れ防止横軸を一体に設けると共に、口枠の内周側において下方に突出する外れ防止片を一体に垂設し、側板に外方向から外力が作用して弾性変形して横軸が横孔から外れようとしても、外れ防止横軸が外れ防止片に当たることで、横軸の横孔からの外れを防止するようにしたものが特許文献1により知られている。
【0006】
ところが、上記特許文献1に示された従来例にあっては、側板に外方から外力が作用した場合には横軸が横孔から外れるのを防止できるかも知れないが、折り畳みコンテナを箱状に組み立てて内部に収納物を入れた状態で、口枠を手で持って持ち上げると、口枠を除く、底板、側板、内容物の全ての重量が横軸と横孔との軸支部分に掛かり、内容物の重量が重い場合は横軸が横孔から外れてしまうおそれがある。特に、折り畳み用側板と口枠との軸支部分においては、口枠を手で持って持ち上げた際に、底板、側板、内容物の重量が集中して掛って、外れ易いという問題がある。
【特許文献1】特開平11−147525号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、折り畳みコンテナを組み立てた状態で口枠を手で持って上方に持ち上げた場合、内容物の重みにより折り畳み用側板の上側板と口枠との軸支部分が外れるのを確実に防止することができ、また、折り畳み、組み立てをスムーズ且つ精度良く行うことができる折り畳みコンテナを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る折り畳みコンテナは、矩形状の底板2と、底板2の上方に配置した矩形枠状の口枠3と、底板2の対向する一対の辺と口枠3の対向する一対の辺との間にそれぞれ配置した折り畳み用側板4と、底板2の対向する他の一対の辺と口枠3の対向する他の一対の辺との間にそれぞれ配置した起倒用側板9とを具備し、起倒用側板9の上端を口枠3に回動自在に連結して起倒用側板9を起倒自在とし、折り畳み用側板4を上半分の上側板5と下半分の下側板6とで構成して上側板5の上端を口枠3に回転自在に連結すると共に下側板6の下端を底板2に回転自在に連結し且つ上側板5の下端と下側板6の上端を回転自在に連結した折り畳みコンテナ1において、口枠3と上側板5の上端とを連結する連結部分に、口枠3と上側板5とを回動自在に軸支する上軸部11と上軸受け部12とよりなる上軸支部10と、上軸部11が上軸受け部12から外れるのを防止するための上外れ防止部13を隣接して設け、該上外れ防止部13が、少なくとも上側板5が垂直姿勢となった状態で、口枠3を持ち上げた際に、上側板5に作用する下向きの荷重により口枠3の軸支部分の隣に設けた上支持部15の上面に当接して上側板5を口枠3に支持させるための上外れ防止片14を上側板5に備えていることを特徴とするものである。
【0009】
このように少なくとも上側板5が垂直姿勢となった状態で、口枠3を持ち上げた際に、上側板5に作用する下向きの荷重により口枠3の軸支部分の隣に設けた上支持部15の上面に当接して上側板5を口枠3に支持させるための上外れ防止片14を備えているので、口枠3を手で持って折り畳みコンテナ1を持ち上げた際に、上外れ防止片14が上支持部15の上面部に当たって、収納物の重量が上外れ防止片14から上支持部15に掛ることになり、上軸部11と上軸受け部12との軸支が上下方向に外れるのが防止できる。また、上軸支部10と上外れ防止部13を隣接して設けてあるので、上軸支部10を構成する上軸部11及び上軸受け部12と、上外外れ防止部13に備えた上支持部15及び上外れ防止片14との相互の位置関係が正確に確保でき、組み立てが簡単且つ正確に行えて、口枠3を手で持って折り畳みコンテナ1を持ち上げた際に、上外れ防止片14が上支持部15の上面部に確実に当たって、上軸部11と上軸受け部12との軸支が上下方向に外れるのを防止することができる。
【0010】
また、底板2と下側板6の下端とを連結する連結部分に、底板2と下側板6とを回動自在に軸支する下軸部17と下軸受け部18とよりなる下軸支部16と、下軸部17が下軸受け部18から外れるのを防止するための下外れ防止部19を隣接して設け、該下外れ防止部19が、少なくとも下側板6が垂直姿勢となった状態で、口枠3を持ち上げた際に、底板2に作用する下向きの荷重により底板2の軸支部分の隣に設けた下支持部20の下面に当接して底板2を下側板6に支持させるための下外れ防止片21を下側板6に備えていることが好ましい。
【0011】
このように少なくとも下側板6が垂直姿勢となった状態で、口枠3を持ち上げた際に、底板2に作用する下向きの荷重により底板2の軸支部分の隣に設けた下支持部20の下面に当接して底板2を下側板6に支持させるための下外れ防止片21を下側板6に備えているので、口枠3を手で持って折り畳みコンテナ1を持ち下げた際に、下外れ防止片21が下支持部20の下面部に当たって、収納物の重量が下外れ防止片21から下支持部20に掛ることになり、下軸部17と下軸受け部18との軸支が上下方向に外れるのが防止できる。また、下軸支部16と下外れ防止部19を隣接して設けてあるので、下軸支部16を構成する下軸部17及び下軸受け部18と、下外外れ防止部19に備えた下支持部20及び下外れ防止片21との相互の位置関係が正確に確保でき、組み立てが簡単且つ正確に行えて、口枠3を手で持って折り畳みコンテナ1を持ち下げた際に、下外れ防止片21が下支持部20の下面部に確実に当たって、下軸部17と下軸受け部18との軸支が上下方向に外れるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、上記のように上外れ防止片を備えているので、口枠を手で持って折り畳みコンテナを持ち上げた際に、上外れ防止片が上支持部の上面部に当たって、収納物の重量が上外れ防止片から上支持部に掛り、上軸部と上軸受け部との軸支が上下方向に外れるのを確実に防止でき、従って、折り畳みコンテナ内に重量の重い収納物を収納した状態で口枠を手で持ち上げても、軸支部分が外れない。また、上軸支部と上外れ防止部を隣接して設けてあるので、相互の位置関係が正確に確保でき、組み立てが簡単且つ正確に行えると共に、口枠を手で持って折り畳みコンテナを持ち上げた際に、上外れ防止片が上支持部の上面部に確実に当たって、上軸部と上軸受け部との軸支が上下方向に外れるのを防止することができる。
【0013】
また、請求項2記載の発明にあっては、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、口枠を手で持って折り畳みコンテナを持ち上げた際に、下外れ防止片が下支持部の下面部に当たって、収納物の重量が下支持部から下外れ防止片に掛り、下軸部と下軸受け部との軸支が上下方向に外れるのを確実に防止でき、従って、折り畳みコンテナ内に重量の重い収納物を収納した状態で口枠を手で持ち上げても、軸支部分が外れない。また、下軸支部と下外れ防止部を隣接して設けてあるので、相互の位置関係が正確に確保でき、組み立てが簡単且つ正確に行えると共に、口枠を手で持って折り畳みコンテナを持ち上げた際に、下外れ防止片が下支持部の下面部に確実に当たって、下軸部と下軸受け部との軸支が上下方向に外れるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0015】
本実施形態の折り畳みコンテナ1は、図1〜図6に示すように、合成樹脂により形成した矩形状の底板2と、底板2の上方に配置した合成樹脂により形成した矩形枠状の口枠3と、底板2の対向する一対の辺と口枠3の対向する一対の辺との間にそれぞれ配置した折り畳み用側板4と、底板2の対向する他の一対の辺と口枠3の対向する他の一対の辺との間にそれぞれ配置した合成樹脂により形成した起倒用側板9とを具備している。
【0016】
起倒用側板9の上端は口枠3に回動自在に連結してあって、起倒用側板9が起倒自在となっている。また、折り畳み用側板4は合成樹脂により形成した上半分の上側板5と、合成樹脂により形成した下半分の下側板6とで構成してあり、上側板5の下端と下側板6の上端とが中間軸支部8により回動自在に連結してあって折り畳み用側板4は上下方向の中間部分で内側に折り畳み自在となっている。この中間部分で折り畳み自在となった折り畳み用側板4は、上側板5の上端を口枠3に回転自在に連結すると共に下側板6の下端を底板2に回転自在に連結し且つ上側板5の下端と下側板6の上端を回転自在に連結してある。
【0017】
口枠3は矩形状に形成してある。この口枠3の上面には図1のように開口部を開閉する蓋板を設けない場合と、図13に示すように開口部を開閉する合成樹脂製の2枚の蓋板7を軸支部3aにより回動自在に取付ける場合とがあるが、いずれであってもよい。なお、蓋板7を設ける場合、2枚の蓋板7の各先端に、互いに重複する重複片を設けて、該重複片に相互に噛み合って係合する凹凸係合部をそれぞれ設ける。
【0018】
矩形状(図に示す実施形態においては長方形状)をした口枠3の対向する一対の辺(図に示す実施形態においては対向する長辺)は図7、図9に示すように断面略逆U字状をしており、断面略逆U字状の外側片23は内側片22よりも上下長さが長く、外側片23の下端が内側片22の下端よりも下方に位置している。内側片22の下端から複数の下向き突片24が一体に垂設してあり、下向き突片24及びこれに連続する内側片22と外側片23との間に連結片25が一体に架設してあり、該連結片25から外側片23と平行に横向き円柱状をした上支持部15が一体に突設してある。これら下向き突片24、連結片25の下端は外側片23の下端とほぼ同じレベルとなっている。
【0019】
この横向き円柱状をした上支持部15には該上支持部15と同心状に上軸受け部12となる軸孔12aが設けてある。
【0020】
上側板5の上端部には上軸受け部12に回動自在に軸支される上軸部11と、上支持部15に回動自在に被嵌される上被嵌片27とが一体に形成してある。添付図面に示す実施形態では、上側板5の上端部に複数の上凹部26が形成してあり、各上凹部26内の一内側面に先端が自由端となった上軸部11を横方向に突設し、また、上凹部26の外側端部に板状をした略逆J字状をした上被嵌片27が設けてあり、この上被嵌片27は縦片部28と縦片部28の上端部に連設した弧状をした上外れ防止片14とで構成してある。上被嵌片27は下端と一側端とが上凹部26の外側下端と一側端(上軸部11を突設していない方の側端)とに一体に連設してあり、上凹部26の上軸部11を突設した方の一内側面と、上外れ防止部13の他側端との間に隙間29が形成してある。また、板状をした上外れ防止部13の上端部は弧状に湾曲した上外れ防止片14となっている。
【0021】
口枠3の一対の辺にそれぞれ上側板5を取付けるに当たっては、下向き突片24を上凹部26内に位置させ、先端が自由端となった上軸部11を上軸受け部12を構成する軸孔12aに無理嵌めにより嵌合することで回動自在に軸支し、また、同時に上端部が弧状をした上外れ防止片14となった上被嵌片27を外側片23と上支持部15との間から差し込んで上支持部15に回動自在に嵌め込むことにより、上側板5の上端を口枠3に回動自在に取付けるものである。この場合、隙間29に連結片25が位置することで、折り畳み用側板4が中間部分で内側に折り畳むことができるように上側板5が口枠3に対して支障なく回動できるようになっている。
【0022】
上記のように、上軸部11を上軸受け部12に回動自在に軸支することで、上側板5を口枠3に回動自在に軸支する上軸支部10が構成される。また、上被嵌片27と外側片23と上支持部15とで、上軸部11が上軸受け部12から外れるのを防止するための上外れ防止部13が構成される。そして、上軸支部10と上外れ防止部13とは隣接して位置している。
【0023】
ここで、図7(a)のように上側板5が垂直姿勢となった状態(折り畳みコンテナ1を箱状に組み立てた状態)、図7(c)のように上側板5が略水平となった状態(折り畳みコンテナ1を折り畳んだ状態)、及び、図7(d)のように上側板5が垂直姿勢と略水平姿勢との間で回動している状態において、上被嵌片27の垂直な縦片部28又は先端部の弧状をした上外れ防止片14が外側片23と上支持部15との間に位置し、口枠3や上側板5に横方向の力が作用した場合(例えば、口枠3を手で持って引いたり、上横板5に外側又は内側から横方向の力が作用した場合)、上被嵌片27の垂直な部分又は先端部の弧状をした上外れ防止片14が、外側片23又は上支持部15の側面部に当たるようになっていて、これにより、先端が自由端となった上軸部11が上軸受け部12から横方向に外れるのが防止されるようになっている。また、上側板5が垂直姿勢となった状態では図7(a)のように上外れ防止片14が上支持部15の上面に当接又は上面との間にごく僅かな隙間を介して位置するように構成してあり、口枠3を持ち上げた際に、上側板5に作用する下向きの荷重により口枠3の軸支部分の隣に設けた上支持部15の上面に当接するようになっており、これにより、口枠3を持ち上げた際に収納物の重量により上軸部11が上軸受け部12から上下方向に抜けるのが防止されるようになっている。
【0024】
底板2は矩形状(図に示す実施形態においては長方形状)をしており、この底板2の上面部の外周には上方に向けて突縁部30が突設してあり、底板2の対向する一対の辺(図に示す実施形態においては対向する長辺)に位置する突縁部30には複数の下軸受け部18を設けてある。この下軸受け部18は、図8、図10に示すように、突縁部30に上面側に開口する軸受け凹所31を形成すると共に該軸受け凹所31の一側部に軸受け凹所31に連通する軸受け孔32を形成することで構成してある。軸受け凹所31の上記軸受け孔32と反対側の他側部には横方向に突出した下支持部20が設けてある。突縁部30の内側片30aの軸受け凹所31に対応する部位は内側開口36となっている。
【0025】
下側板6の下端部には下軸受け部18に回動自在に軸支される下軸部17と、下支持部20に回動自在に被嵌される下被嵌片33とが一体に形成してある。添付図面に示す実施形態では、図8、図10に示すように、下側板6の下端部に軸主体部34を突設すると共に各軸主体部34の一側部に横突軸35を突設することで下軸部17を構成してあり、軸主体部34の下軸部17を突設した方と反対側の側部の外側と連続するように略J字状をした下被嵌片33を横突軸35の突出方向と反対方向に一体に連設してあり、略J字状をした下被嵌片33は縦片部34と縦片部34の下端部に連設した弧状をした下外れ防止片21とで構成してある。
【0026】
底板2の一対の辺にそれぞれ下側板6を取付けるに当たっては、軸主体部34を軸受け凹所31に回動自在に嵌め込むと共に横突軸35を軸受け孔32に嵌め込むことにより、軸主体部34と横突軸35とよりなる下軸部17を、軸受け凹所31と軸受け孔32とよりなる下軸受け部18に回動自在に嵌め込むことにより取付け、また、同時に下端部が弧状をした下外れ防止片21となった下被嵌片33を突縁部30の内側片30aと下支持部20との間から差し込んで下支持部20に回動自在に嵌め込むことにより、下側板6の下端を底板2に回動自在に取付けるものである。この場合、内側片30aの軸受け凹所31に対応する部位に内側開口36を形成してあるので、折り畳み用側板4が中間部分で内側に折り畳むことができるように下側板6が底板2に対して支障なく回動できるようになっている。
【0027】
上記のように、下軸部17を下軸受け部18に回動自在に軸支することで、下側板6を底板2に回動自在に軸支する下軸支部16が構成される。また、下被嵌片33と突縁部30の外側片30bと下支持部20とで、下軸部17が下軸受け部18から外れるのを防止するための下外れ防止部19が構成される。そして、下軸支部16と下外れ防止部19とは隣接して位置している。
【0028】
ここで、図8(a)のように下側板6が垂直姿勢となった状態(折り畳みコンテナ1を箱状に組み立てた状態)、図8(c)のように下側板6が略水平となった状態(折り畳みコンテナ1を折り畳んだ状態)、及び、図8(b)のように下側板6が垂直姿勢と略水平姿勢との間で回動している状態において、下被嵌片33の垂直な部分又は先端部の弧状をした下外れ防止片21が外側片30bと下支持部20との間に位置し、底板2や下側板6に横方向の力が作用した場合、下被嵌片33の垂直な部分又は先端部の弧状をした下外れ防止片21が、外側片30b又は下支持部20の側面部に当たるようになっていて、これにより、下軸部17が下軸受け部18から横方向に外れるのが防止されるようになっている。また、下側板6が垂直姿勢となった状態では図8(a)のように下外れ防止片21が下支持部20の下面に当接又は下面との間にごく僅かな隙間を介して下方に位置するように構成してあり、口枠3を持ち上げた際に、底板2に作用する下向きの荷重により下支持部20の下面に当接するようになっており、これにより、口枠3を持ち上げた際に収納物の重量により下軸部17が下軸受け部18から上下方向に抜けるのが防止されるようになっている。
【0029】
口枠3の対向する他の一対の辺(図の実施形態では口枠3の短辺)にはそれぞれ起倒用側板9の上端部が軸支部37を介して回動自在に取付けてある。ここで、起倒用側板9は垂直姿勢から、底板2の上方位置において底板と略平行となる略水平姿勢の間で回動自在となっている。
【0030】
図11に示すように、起倒用側板9の下端部には下係止部38が設けてあり、また、底板2の対向する他の一対の辺(図の実施形態では底板2の短辺)には突縁部30の内側に下被係止部39が設けてあり、起倒用側板9を垂直に起立させた状態で、該下係止部38が下被係止部39に着脱自在に係止して起倒用側板9と底板2とを着脱自在に連結するようになっている。
【0031】
また、起倒用側板9の両側端部には側係止部40が設けてあり、また、折り畳み用側板4を構成する上側板5と下側板6との両端部にはそれぞれ側被係止部41が設けてあり、折り畳み用側板4を垂直姿勢にした後に、起倒用側板9を回動して垂直姿勢にすると、図12に示すように起倒用側板9の両端部が折り畳み用側板4の端部内面に当接すると共に側係止部40が側被係止部41に係止して起倒用側板9と折り畳み用側板4とが着脱自在に連結されるようになっている。
【0032】
上記の構成の折り畳みコンテナ1は図1乃至図3に示すような組み立て状態から折り畳む際は、図1の状態からまず両起倒用側板9を回動して略水平状態とし、その後、両折り畳み用側板4を中間部分で内側に2つ折りすることで、図4、図6に示すように、底板2上に2つ折りした両折り畳み用側板4が重なり、更に、2つ折りした折り畳み用側板4の上に起倒用側板9が重なり、底板2の周囲の突縁部30上に口枠3が重なり、しかも、2つ折りした両折り畳み用側板4、起倒用側板9がいずれも底板2の周囲の突縁部30と口枠3とで囲まれた空間内に収納される。
【0033】
一方、折り畳み状態から組み立てる際は、口枠3を底板2から離すように持ち上がることで、2つ折りされた両折り畳み用側板4が垂直姿勢となるように展開されるので、この状態で、両起倒用側板9を回動して垂直姿勢とすることで、起倒用側板9の両端部が垂直姿勢となった両折り畳み用側板4の端部内面に当接し、更に、下係止部38と下被係止部39とを係止すると共に側係止部40と側被係止部41とを係止することで、図1乃至図3に示すように箱形状に組み立てるものである。
【0034】
このようにして箱形状に組み立てた折り畳みコンテナ1内に収納物を収納して収納物の保管や搬送に利用する。
【0035】
この際、箱形状に組み立てた折り畳みコンテナ1を手で持つ際に口枠3を手に持って持ち上げる場合がある。口枠3を持って折り畳みコンテナ1を持ち上げると、口枠3と折り畳み用側板4の上側板5との連結部分に、口枠3を除く折り畳みコンテナ1及び収納物の全重量がかかることになり、収納物が重量物の場合は、上軸部11が上軸受け部12から上下方向に外れようとするが、本発明においては、上側板5が垂直姿勢となった状態で、口枠3を持ち上げた際に、図7(a)のように、上外れ防止片14が上支持部15の上面部に当接するので、収納物の重量が上外れ防止片14から上支持部15に掛かって支持されることになり、上軸部11と上軸受け部12との軸支部分に収納物の重量が集中して掛からないか又は殆ど軸支部分に重量が掛からないようにできて、上軸部11が上軸受け部12から上下方向に外れることがない。
【0036】
ここで、本発明においては、上軸支部10と上外れ防止部13を隣接して設けてあるので、上軸支部10を構成する上軸部11及び上軸受け部12と、上外外れ防止部13に備えた上支持部15及び上外れ防止片14との相互の位置関係が正確に確保でき、変形等による相互の位置関係の誤差も少なくなる。したがって、口枠3と上側板5との組み立てが簡単且つ正確に行えることになり、このように組み立てが正確にできるので、口枠3を手で持って折り畳みコンテナ1を持ち上げた際に、上外れ防止片14が上支持部15の上面部に確実に当たって、いっそう上軸部11と上軸受け部12との軸支が上下方向に外れるのを防止することができる。
【0037】
また、箱状に組み立てた状態で、口枠3を手で掴んで持ち上げた場合、底板2に掛かる収納物の重量が、底板2と下側板6との連結部分に掛かるが、図8(a)のように下外れ防止片21が下支持部20の下面部に当たって、収納物の重量が下外れ防止片21から下支持部20に掛って支持され、これにより、下軸部17と下軸受け部18との軸支部分に収納物の重量が集中して掛からないか又は殆ど軸支部分に重量が掛からないようにできて、下軸部17が下軸受け部18から上下方向に外れることがない。また、下軸支部16と下外れ防止部19を隣接して設けてあるので、下軸支部16を構成する下軸部17及び下軸受け部18と、下外外れ防止部19に備えた下支持部20及び下外れ防止片21との相互の位置関係が正確に確保でき、組み立てが簡単且つ正確に行えて、口枠3を手で持って折り畳みコンテナ1を持ち下げた際に、下外れ防止片21が下支持部20の下面部に確実に当たって、下軸部17と下軸受け部18との軸支が上下方向に外れるのをいそう防止することができる。
【0038】
また、口枠3を手で持って手前に引いたり、あるいは、折り畳み用側板4に横方向の外力が作用した場合、上外れ防止部13により上軸部11と上軸受け部12との軸支が横方向に外れるのが防止できると共に、下外れ防止部19により下軸部17と下軸受け部18との軸支が横方向に外れるのが防止できる。
【0039】
添付図面に示す上記実施形態では、上軸部11を上側板5に設け、上軸受け部18を口枠3に設けて上軸支部10を構成した例を示したが、上軸部11を口枠3に設け、上軸受け部12を上側板5に設けて上軸支部10を構成してもよい。
【0040】
また、添付図面に示す上記実施形態では、下軸部17を下側板6に設け、下軸受け部18に設けて下軸支部16を構成した例を示したが、下軸部17を底板2に設け、下軸受け部18を下側板6に設けて下軸支部16を構成してもよい。
【0041】
また、図示を省略しているが、口枠3と起倒用側板9の上端とを連結する連結部分に、本発明の上側板5と口枠3との連結と同じように、口枠3と起倒用側板9とを回動自在に軸支する上軸部と上軸受け部とよりなる上軸支部と、上軸部が上軸受け部から外れるのを防止するための上外れ防止部を隣接して設け、該上外れ防止部が、少なくとも起倒用側板9が垂直姿勢となった状態で、口枠を持ち上げた際に、起倒用側板9に作用する下向きの荷重により口枠の軸支部分の隣に設けた上支持部の上面に当接して起倒用側板9を口枠3に支持させるための上外れ防止片を起倒用側板9に備えてもよいものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の折り畳みコンテナを箱状に組み立てた状態の斜視図である。
【図2】同上の箱状に組み立てた状態の側面断面図である。
【図3】同上の箱状に組み立てた状態の側面図である。
【図4】同上の折り畳んだ状態の側面断面図である。
【図5】同上の折り畳んだ状態の側面図である。
【図6】同上の折り畳んだ状態の正面断面図である。
【図7】(a)は同上の上側板の垂直状態における上外れ防止部部分の断面図であり、(b)は上側板を回動している途中の状態における上外れ防止部部分の断面図であり、(c)は上側板の略水平状態における上外れ防止部部分の断面図である。
【図8】(a)は同上の下側板の垂直状態における下外れ防止部部分の断面図であり、(b)は下側板を回動している途中の状態における下外れ防止部部分の断面図であり、(c)は下側板の略水平状態における下外れ防止部部分の断面図である。
【図9】同上の口枠と上側板との連結部分を示す分解斜視図である。
【図10】同上の底板と下側板との連結部分を示す分解斜視図である。
【図11】同上の起倒用側板の下端部の下係止部を底板に設けた下被係止部に係止した部分の断面図である。
【図12】同上の起倒用側板の側端部の側係止部を折り畳み用側板の側被係止部に係止した部分の断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態の箱状に組み立てた状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1 折り畳みコンテナ
2 底板
3 口枠
4 折り畳み用側板
5 上側板
6 下側板
9 起倒用側板
10 上軸支部
11 上軸部
12 上軸受け部
13 上外れ防止部
14 上外れ防止片
15 上支持部
16 下軸支部
17 下軸部
18 下軸受け部
19 下外れ防止部
20 下支持部
21 下外れ防止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底板と、底板の上方に配置した矩形枠状の口枠と、底板の対向する一対の辺と口枠の対向する一対の辺との間にそれぞれ配置した折り畳み用側板と、底板の対向する他の一対の辺と口枠の対向する他の一対の辺との間にそれぞれ配置した起倒用側板とを具備し、起倒用側板の上端を口枠に回動自在に連結して起倒用側板を起倒自在とし、折り畳み用側板を上半分の上側板と下半分の下側板とで構成して上側板の上端を口枠に回転自在に連結すると共に下側板の下端を底板に回転自在に連結し且つ上側板の下端と下側板の上端を回転自在に連結した折り畳みコンテナにおいて、口枠と上側板の上端とを連結する連結部分に、口枠と上側板とを回動自在に軸支する上軸部と上軸受け部とよりなる上軸支部と、上軸部が上軸受け部から外れるのを防止するための上外れ防止部を隣接して設け、該上外れ防止部が、少なくとも上側板が垂直姿勢となった状態で、口枠を持ち上げた際に、上側板に作用する下向きの荷重により口枠の軸支部分の隣に設けた上支持部の上面に当接して上側板を口枠に支持させるための上外れ防止片を上側板に備えていることを特徴とする折り畳みコンテナ。
【請求項2】
底板と下側板の下端とを連結する連結部分に、底板と下側板とを回動自在に軸支する下軸部と下軸受け部とよりなる下軸支部と、下軸部が下軸受け部から外れるのを防止するための下外れ防止部を隣接して設け、該下外れ防止部が、少なくとも下側板が垂直姿勢となった状態で、口枠を持ち上げた際に、底板に作用する下向きの荷重により底板の軸支部分の隣に設けた下支持部の下面に当接して底板を下側板に支持させるための下外れ防止片を下側板に備えていることを特徴とする請求項1記載の折り畳みコンテナ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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