説明

抽斗格納構造

【課題】抽斗押入れ時の衝撃が強くなく、しかも、抽斗が複数段ある場合においても、抽斗押し入れ完了状態で一定のキャッチ力を保持して抽斗の跳ね返りを防止する。
【解決手段】第1磁石5を抽斗1の側板1dに取り付ける。第1磁石5と同極性の第2磁石7を抽斗1の側板1dに対応する抽斗格納部3の側板3dに取り付ける。第1磁石5を、抽斗1引出し状態で第2磁石7よりも抽斗格納部3手前側に位置させ、抽斗1押入れ完了状態で第1磁石5よりも抽斗格納部3奥側に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、抽斗の納まりの良い抽斗格納構造の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
抽斗を抽斗格納部に勢いよく押し入れると、抽斗が跳ね返って抽斗格納部から飛び出すことがある。これを防止するために、樹脂製のストッパを用いることが一般に行われているが、温度変化による劣化や長期使用による摩耗等で一定のキャッチ力を保つことが難しいことが指摘されている。
【0003】
また、ダンパ機構等を用いることも考えられるが、設置スペースが必要となって小さな抽斗格納構造では対応が難しいだけでなく、コスト上昇は避けられない。
【0004】
一方、特許文献1では、抽斗の底板後部に第1磁石を取り付け、抽斗の底板に対応する抽斗格納部の底部に上記第1磁石と反極性の第2磁石を取り付けることにより、抽斗押入れ完了状態で両磁石を接近させて上下に対応させることにより吸着力を発揮させ、抽斗を抽斗格納部に勢いよく押し入れても、抽斗が抽斗格納部から飛び出さないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−62416号公報(段落0021〜0024欄、図2,6〜8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1では、第1磁石と第2磁石との吸着力が強過ぎると、抽斗を押し入れた際の衝撃が強くなる嫌いがある。さらに、第1磁石を抽斗の底板に取り付けているため、2段目や3段目の抽斗の場合には、抽斗格納部側に第2磁石の取付け場所がなく、対応が困難である。また、抽斗は物が収納されると、底板が重みで反ることがあり、この場合には第1磁石が第2磁石に接近し過ぎて吸着力が過剰になったり、あるいは両磁石が接触して出入れ操作が困難になる。
【0007】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、抽斗押入れ時の衝撃が強くなく、しかも、抽斗が複数段ある場合においても、抽斗押し入れ完了状態で一定のキャッチ力を保持して抽斗の跳ね返りを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、この発明は、抽斗押入れ時に磁石の反発力を利用するとともに、その取付け場所及び取付け方を工夫したことを特徴とする。
【0009】
具体的には、この発明は、抽斗を抽斗格納部に水平に出入れ可能に押し入れて格納する抽斗格納構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明は、上記抽斗の側板には、第1磁石が取り付けられ、上記抽斗の側板に対応する上記抽斗格納部の側板には、上記第1磁石と同極性の第2磁石が取り付けられ、上記第1磁石は、抽斗引出し状態で上記第2磁石よりも抽斗格納部手前側に位置し、抽斗押入れ完了状態で上記第1磁石よりも抽斗格納部奥側に位置していることを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記抽斗の側板には、第1磁石と反極性の第3磁石が上記第1磁石よりも抽斗格納部手前側に取り付けられ、上記第3磁石は、抽斗押入れ完了状態で上記第2磁石よりも抽斗格納部手前側に位置していることを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第1の発明において、上記抽斗格納部の側板には、第1磁石と反極性の第3磁石が上記第2磁石よりも抽斗格納部奥側に取り付けられ、上記第3磁石は、抽斗押入れ完了状態で上記第1磁石よりも抽斗格納部奥側に位置していることを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第2の発明において、上記抽斗格納部の側板には、第1磁石と同極性の第4磁石が上記第2磁石よりも抽斗格納部手前側に取り付けられ、上記第4磁石は、抽斗押入れ完了状態で上記第3磁石と側面視で重なっていることを特徴とする。
【0014】
第5の発明は、第3の発明において、上記抽斗の側板には、第1磁石と同極性の第4磁石が上記第2磁石よりも抽斗格納部奥側に取り付けられ、上記第4磁石は、抽斗押入れ完了状態で上記第3磁石と側面視で重なっていることを特徴とする。
【0015】
第6の発明は、第1の発明において、上記抽斗格納部の側板には、第1磁石と反極性の第3磁石が上記第2磁石よりも抽斗格納部手前側に取り付けられ、上記抽斗の側板には、第1磁石と同極性の第4磁石が上記第1磁石よりも抽斗格納部手前側に取り付けられ、上記第3磁石は、抽斗押入れ完了状態で上記第1磁石よりも抽斗格納部手前側に位置し、かつ上記第4磁石と側面視で重なっていることを特徴とする。
【0016】
第7の発明は、第6の発明において、上記抽斗の側板には、第1磁石と反極性の第5磁石が上記第1磁石と第4磁石との間に取り付けられ、上記第5磁石は、抽斗押入れ完了状態で上記第2磁石よりも抽斗格納部手前側に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、抽斗押入れ完了直前で、第1磁石が第2磁石に接近して両磁石の反発力で抽斗押入れ速度が弱まるので、抽斗を抽斗格納部に勢いよく押し入れても、その反動による衝撃がない。また、抽斗押入れ完了状態では、第1磁石が第2磁石よりも抽斗格納部奥側に位置しているので、両磁石の反発力で抽斗が抽斗格納部奥側に引き込まれて抽斗格納状態が安定保持される。さらに、抽斗出入れ時に両磁石の反発力に打ち勝って引き出されたり、押し入れられるので、出入れ時の操作感覚が得られて操作性が良い。加えて、第1磁石は抽斗の側板に、第2磁石は抽斗格納部の側板にそれぞれ取り付けられているので、抽斗が複数段ある抽斗格納構造の場合においても、磁石の取付けに支障を来さず、抽斗押入れ完了状態で一定のキャッチ力を保持して抽斗の跳ね返りを防止することができる。
【0018】
第2の発明によれば、抽斗押入れ完了状態で、第3磁石と第2磁石との吸着力による抽斗格納部手前側への引出し力と、第1磁石と第2磁石との反発力による抽斗格納部奥側への引込み力とのバランスがとれて、出入れ時の操作性がさらに良いものとなる。
【0019】
第3の発明によれば、抽斗押入れ完了状態で、第1磁石と第3磁石との吸着力による抽斗格納部手前側への引出し力と、第1磁石と第2磁石との反発力による抽斗格納部奥側への引込み力とのバランスがとれ、第2の発明と同様に、出入れ時の操作性がさらに良いものとなる。
【0020】
第4〜第6の発明によれば、抽斗押入れ完了状態で、第3磁石と第4磁石との吸着力によるその場に止まろうとする力と、第1磁石と第2磁石との反発力による抽斗格納部奥側への引込み力とのバランスがとれ、これによっても、出入れ時の操作性がさらに良いものとなる。
【0021】
第7の発明によれば、第4〜第6の発明の作用効果に加え、第5磁石と第2磁石との吸着力による抽斗格納部手前側への引出し力と、第5磁石と第3磁石との反発力による抽斗格納部奥側への引込み力とがさらに加わり、出入れ時の操作性が一層良いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係る抽斗格納構造の斜視図である。
【図2】実施形態1に係る抽斗格納構造の平面図であり、(a)は抽斗引出し状態、(b)は抽斗押入れ完了直前の状態、(c)は抽斗押入れ完了状態をそれぞれ示す。
【図3】実施形態2に係る抽斗格納構造の図2相当図である。
【図4】実施形態3に係る抽斗格納構造の図2相当図である。
【図5】実施形態4に係る抽斗格納構造の図2相当図である。
【図6】実施形態5に係る抽斗格納構造の図2相当図である。
【図7】実施形態6に係る抽斗格納構造の図2相当図である。
【図8】実施形態7に係る抽斗格納構造の図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0024】
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る抽斗格納構造を示す。図1において、1は抽斗、3は該抽斗1が水平に出入れ可能に押し入れられて格納される抽斗格納部である。この抽斗格納部3は、タンスやキャビネット等の本体を構成している。
【0025】
上記抽斗1は、前板1a、向板1b、底板1c及び左右の両側板1dとで構成され、その両側板1dの向板1b寄りでかつ下端寄りには、第1磁石5が突出するように取り付けられている。
【0026】
上記抽斗格納部3は、天板3a、底板3b、背板3c及び左右の両側板3dとで構成され、その側板3dの背板3c寄りでかつ下端寄り、つまり上記抽斗1の両側板1dに対応する上記抽斗格納部3の両側板3dには、上記第1磁石5と同極性の第2磁石7が突出するように取り付けられている。
【0027】
上記第1磁石5は、図2(a)に示すように、抽斗1引出し状態で上記第2磁石7よりも抽斗格納部3手前側に位置し、抽斗1押入れ完了直前で、図2(b)に示すように、上記第2磁石7に接近し、その後、該第2磁石7と一部重なった状態で上記第2磁石7を僅かに追い越して、図2(c)に示すように、抽斗1押入れ完了状態で上記第1磁石5よりも抽斗格納部3奥側に位置している。なお、図2において、第1磁石5及び第2磁石7を共に黒く塗り潰しているのは、両磁石5,7が同極性であることを表している。以下の各実施形態でも同様に表している。
【0028】
このように構成された抽斗格納構造では、抽斗1を抽斗格納部3に押し入れると、抽斗1押入れ完了直前で、第1磁石5が第2磁石7に接近して両磁石5,7の反発力で抽斗1押入れ速度が弱まる。したがって、抽斗1を抽斗格納部3に勢いよく押し入れても、その反動による衝撃をなくすことができる。
【0029】
また、抽斗1押入れ完了状態では、第1磁石5が第2磁石7よりも抽斗格納部3奥側に位置し、両磁石5,7の反発力で抽斗1が抽斗格納部3奥側に引き込まれて抽斗1格納状態を安定保持することができる。
【0030】
さらに、抽斗1出入れ時に両磁石5,7の反発力に打ち勝って引き出されたり、押し入れられるため、出入れ時の操作感覚が得られて操作性を良くすることができる。
【0031】
加えて、第1磁石5を抽斗1の側板1dに、第2磁石7を抽斗格納部3の側板3dにそれぞれ取り付けているため、抽斗1が複数段ある抽斗格納構造の場合においても、磁石5,7の取付けに支障を来さず、抽斗1押し入れ完了状態で一定のキャッチ力を保持して抽斗1の跳ね返りを防止することができる。
【0032】
(実施形態2)
図3は実施形態2に係る抽斗格納構造を示す。この実施形態2では、第1磁石5が抽斗1に、第2磁石7が抽斗格納部3にそれぞれ突出するように取り付けられていること、及びこれらの取付け位置は実施形態1と同じであるが、抽斗1の側板1dに、第1磁石5と反極性の第3磁石9が上記第1磁石5よりも抽斗格納部3手前側に間隔をあけて突出するように取り付けられている点が実施形態1と異なっている。なお、図3において、第3磁石9を白抜きで示しているのは、第1磁石5と反極性であることを表している。以下の各実施形態でも同様に表している。
【0033】
上記第1磁石5及び第3磁石9は、図3(a)に示すように、抽斗1引出し状態で上記第2磁石7よりも抽斗格納部3手前側に位置し、抽斗1押入れ完了直前で、図3(b)に示すように、上記第2磁石7に接近し、その後、上記第1磁石5が第2磁石7を追い越して、図3(c)に示すように、抽斗1押入れ完了状態で上記第1磁石5よりも抽斗格納部3奥側に位置している。一方、上記第3磁石9は、抽斗1押入れ完了状態で上記第2磁石7よりも抽斗格納部3手前側に位置している。
【0034】
このように構成された抽斗格納構造では、抽斗1押入れ完了状態で、第3磁石9と第2磁石7との吸着力による抽斗格納部3手前側への引出し力と、第1磁石5と第2磁石7との反発力による抽斗格納部3奥側への引込み力とのバランスがとれて、出入れ時の操作性をさらに良くすることができる。
【0035】
(実施形態3)
図4は実施形態3に係る抽斗格納構造を示す。この実施形態3では、第1磁石5が抽斗1に、第2磁石7が抽斗格納部3にそれぞれ突出するように取り付けられていること、及びこれらの取付け位置は実施形態1,2とほぼ同じ(若干、抽斗格納部3手前側)であるが、実施形態2とは逆に、抽斗格納部3の側板3dに、第1磁石5と反極性の第3磁石9が上記第2磁石7よりも抽斗格納部3奥側に間隔をあけて突出するように取り付けられている点が実施形態2と異なっている。
【0036】
上記第1磁石5は、図4(a)に示すように、抽斗1引出し状態で上記第2磁石7及び第3磁石9よりも抽斗格納部3手前側に位置し、抽斗1押入れ完了直前で、図4(b)に示すように、上記第2磁石7及び第3磁石9に接近し、その後、上記第1磁石5が第2磁石7を追い越して、図4(c)に示すように、抽斗1押入れ完了状態で上記第1磁石5よりも抽斗格納部3奥側に位置している。一方、上記第3磁石9は、第1磁石5に追い越されず、抽斗1押入れ完了状態で上記第1磁石5よりも抽斗格納部3奥側に位置している。
【0037】
このように構成された抽斗格納構造では、抽斗1押入れ完了状態で、第1磁石5と第3磁石9との吸着力による抽斗格納部3手前側への引出し力と、第1磁石5と第2磁石7との反発力による抽斗格納部3奥側への引込み力とのバランスがとれて、実施形態2と同様に、出入れ時の操作性をさらに良くすることができる。
【0038】
(実施形態4)
図5は実施形態4に係る抽斗格納構造を示す。この実施形態4では、第1磁石5及び第3磁石9が抽斗1に、第2磁石7が抽斗格納部3にそれぞれ突出するように取り付けられていること、及びこれらの取付け位置は実施形態2とほぼ同じ(若干、第2磁石7が抽斗格納部3奥側)であるが、上記抽斗格納部3の側板3dに、第1磁石5と同極性の第4磁石11が上記第2磁石7よりも抽斗格納部3手前側に間隔をあけて突出するように取り付けられている点が実施形態2と異なっている。
【0039】
上記第1磁石5及び第3磁石9は、図5(a)に示すように、抽斗1引出し状態で上記第2磁石7及び第4磁石11よりも抽斗格納部3手前側に位置し、抽斗1押入れ完了直前で、図5(b)に示すように、上記第4磁石11に接近し、その後、上記第1磁石5が第4磁石11を追い越して第2磁石7と一部重なった状態で該第2磁石7を僅かに追い越し、図5(c)に示すように、抽斗1押入れ完了状態で上記第1磁石5よりも抽斗格納部3奥側に位置している。一方、上記第4磁石11は、上記第3磁石9に追い越されず、抽斗1押入れ完了状態で上記第4磁石11と側面視で重なっている。ここで、「側面視で重なっている」とは、完全に重なっている場合のほか、一部が重なっている場合をも含む。以下の各実施形態においても同様である。
【0040】
このように構成された抽斗格納構造では、抽斗1押入れ完了状態で、第3磁石9と第4磁石11との吸着力によるその場に止まろうとする力と、第1磁石5と第2磁石7との反発力による抽斗格納部3奥側への引込み力とのバランスがとれ、出入れ時の操作性をさらに良くすることができる。
【0041】
(実施形態5)
図6は実施形態5に係る抽斗格納構造を示す。この実施形態5では、第1磁石5が抽斗1に、第2磁石7が抽斗格納部3にそれぞれ突出するように取り付けられていること、及びこれらの取付け位置は実施形態1とほぼ同じ(若干、抽斗格納部3手前側)であるが、上記抽斗格納部3の側板3dに、第1磁石5と反極性の第3磁石9が抽斗格納部3奥側に該第2磁石7と間隔をあけて突出するように取り付けられていること、及び上記抽斗1の側板1dに、第1磁石5と同極性の第4磁石11が上記第2磁石7よりも抽斗格納部3奥側に間隔をあけて突出するように取り付けられていることが他の実施形態と異なっている。
【0042】
上記第1磁石5及び第4磁石11は、図6(a)に示すように、抽斗1引出し状態で上記第2磁石7及び第3磁石9よりも抽斗格納部3手前側に位置し、抽斗1押入れ完了直前で、図6(b)に示すように、上記第2磁石7に接近し、その後、上記第4磁石11が第2磁石7を追い越し、図6(c)に示すように、抽斗1押入れ完了状態で上記第3磁石9と側面視で重なっている。一方、上記第1磁石5は、第2磁石7と一部重なった状態で該第2磁石7を僅かに追い越し、図6(c)に示すように、抽斗1押入れ完了状態で上記第2磁石7よりも抽斗格納部3奥側に位置している。
【0043】
このように構成された抽斗格納構造では、実施形態4と同様に、抽斗1押入れ完了状態で、第3磁石9と第4磁石11との吸着力によるその場に止まろうとする力と、第1磁石5と第2磁石7との反発力による抽斗格納部3奥側への引込み力とのバランスがとれ、出入れ時の操作性をさらに良くすることができる。
【0044】
(実施形態6)
図7は実施形態6に係る抽斗格納構造を示す。この実施形態6では、第1磁石5が抽斗1に、第2磁石7が抽斗格納部3にそれぞれ突出するように取り付けられていること、及びこれらの取付け位置は実施形態1と同じであるが、上記抽斗格納部3の側板3dに、第1磁石5と反極性の第3磁石9が抽斗格納部3手前側に該第2磁石7と間隔をあけて突出するように取り付けられていること、及び上記抽斗1の側板1dに、第1磁石5と同極性の第4磁石11が上記第1磁石5よりも抽斗格納部3手前側に間隔をあけて突出するように取り付けられていることが他の実施形態と異なっている。
【0045】
上記第1磁石5及び第4磁石11は、図7(a)に示すように、抽斗1引出し状態で上記第2磁石7及び第3磁石9よりも抽斗格納部3手前側に位置し、抽斗1押入れ完了直前で、図7(b)に示すように、上記第3磁石9に接近し、その後、上記第1磁石5が第3磁石9を追い越し、図7(c)に示すように、抽斗1押入れ完了状態で上記第2磁石7と一部重なった状態で該第2磁石7を僅かに追い越している。一方、上記第3磁石9は、図7(c)に示すように、抽斗1押入れ完了状態で上記第4磁石11と側面視で重なっている。
【0046】
このように構成された抽斗格納構造では、実施形態4,5と同様に、抽斗1押入れ完了状態で、第3磁石9と第4磁石11との吸着力によるその場に止まろうとする力と、第1磁石5と第2磁石7との反発力による抽斗格納部3奥側への引込み力とのバランスがとれ、出入れ時の操作性をさらに良くすることができる。
【0047】
(実施形態7)
図8は実施形態7に係る抽斗格納構造を示す。この実施形態7では、第1磁石5が抽斗1に、第2磁石7が抽斗格納部3にそれぞれ突出するように取り付けられていること、これらの取付け位置、上記抽斗格納部3の側板3dに、第1磁石5と反極性の第3磁石9が抽斗格納部3手前側に該第2磁石7と間隔をあけて突出するように取り付けられていること、及び上記抽斗1の側板1dに、第1磁石5と同極性の第4磁石11が上記第1磁石5よりも抽斗格納部3手前側に間隔をあけて突出するように取り付けられていることは、実施形態6と同じであるが、上記抽斗1の側板1dに、第1磁石5と反極性の第5磁石13が上記第1磁石5と第4磁石11との間に突出するように取り付けられていることが実施形態6と異なっている。
【0048】
上記第1磁石5及び第4磁石11は、図8(a)に示すように、抽斗1引出し状態で上記第2磁石7及び第3磁石9よりも抽斗格納部3手前側に位置し、抽斗1押入れ完了直前で、図8(b)に示すように、上記第3磁石9に接近し、その後、上記第1磁石5が第3磁石9を追い越し、図8(c)に示すように、抽斗1押入れ完了状態で上記第2磁石7と一部重なった状態で該第2磁石7を僅かに追い越している。また、第5磁石13は、抽斗1押入れ完了状態で上記第2磁石7と一部重なった状態で該第2磁石7を追い越さず、第2磁石7よりも抽斗格納部3手前側に位置している。一方、上記第3磁石9は、図8(c)に示すように、抽斗1押入れ完了状態で上記第4磁石11と側面視で重なっている。
【0049】
このように構成された抽斗格納構造では、実施形態4〜6と同様に、抽斗1押入れ完了状態で、第3磁石9と第4磁石11との吸着力によるその場に止まろうとする力と、第1磁石5と第2磁石7との反発力による抽斗格納部3奥側への引込み力とのバランスがとれているばかりか、第5磁石13と第2磁石7との吸着力による抽斗格納部3手前側への引出し力と、第5磁石13と第3磁石9との反発力による抽斗格納部3奥側への引込み力とがさらに加わり、出入れ時の操作性を一層良くすることができる。
【0050】
なお、上記各実施形態では、磁石を抽斗及び抽斗格納部の側板に突出するように取り付けたが、側板を掘り込んで埋設してもよい。この場合、磁石の全体を埋め込んでもよく、あるいは側板から一部突出するように埋め込んでもよいが、磁石の全体を埋め込めば、側板から突出しなくなるので、安全性が高まり、デザイン上もスッキリしたものとなる。なお、予め側板に掘込み用の凹部が形成されていれば、磁石の取付位置が判り易く、取付け作業をスムーズに行うことができる。
【0051】
また、上記各実施形態では、磁石を抽斗では側板の向板寄りに、抽斗格納部では側板の背板寄りにそれぞれ取り付けたが、磁石の取付け及び取外し作業性を考慮して、磁石を抽斗では側板の前板寄りに、抽斗格納部では側板の抽斗格納部手前寄りにそれぞれ取り付けてもよい。
【0052】
さらに、磁石の大きさや個数等は、抽斗の大きさや重量に応じて適宜設定することができる。また、磁石の形状を抽斗側と抽斗格納部側とで異ならせても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
この発明は、抽斗の納まりの良い抽斗格納構造について有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 抽斗
1d 抽斗の側板
3 抽斗格納部
3d 抽斗格納部の側板
5 第1磁石
7 第2磁石
9 第3磁石
11 第4磁石
13 第5磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽斗を抽斗格納部に水平に出入れ可能に押し入れて格納する抽斗格納構造であって、
上記抽斗の側板には、第1磁石が取り付けられ、
上記抽斗の側板に対応する上記抽斗格納部の側板には、上記第1磁石と同極性の第2磁石が取り付けられ、
上記第1磁石は、抽斗引出し状態で上記第2磁石よりも抽斗格納部手前側に位置し、抽斗押入れ完了状態で上記第1磁石よりも抽斗格納部奥側に位置していることを特徴とする抽斗格納構造。
【請求項2】
請求項1に記載の抽斗格納構造において、
上記抽斗の側板には、第1磁石と反極性の第3磁石が上記第1磁石よりも抽斗格納部手前側に取り付けられ、
上記第3磁石は、抽斗押入れ完了状態で上記第2磁石よりも抽斗格納部手前側に位置していることを特徴とする抽斗格納構造。
【請求項3】
請求項1に記載の抽斗格納構造において、
上記抽斗格納部の側板には、第1磁石と反極性の第3磁石が上記第2磁石よりも抽斗格納部奥側に取り付けられ、
上記第3磁石は、抽斗押入れ完了状態で上記第1磁石よりも抽斗格納部奥側に位置していることを特徴とする抽斗格納構造。
【請求項4】
請求項2に記載の抽斗格納構造において、
上記抽斗格納部の側板には、第1磁石と同極性の第4磁石が上記第2磁石よりも抽斗格納部手前側に取り付けられ、
上記第4磁石は、抽斗押入れ完了状態で上記第3磁石と側面視で重なっていることを特徴とする抽斗格納構造。
【請求項5】
請求項3に記載の抽斗格納構造において、
上記抽斗の側板には、第1磁石と同極性の第4磁石が上記第2磁石よりも抽斗格納部奥側に取り付けられ、
上記第4磁石は、抽斗押入れ完了状態で上記第3磁石と側面視で重なっていることを特徴とする抽斗格納構造。
【請求項6】
請求項1に記載の抽斗格納構造において、
上記抽斗格納部の側板には、第1磁石と反極性の第3磁石が上記第2磁石よりも抽斗格納部手前側に取り付けられ、
上記抽斗の側板には、第1磁石と同極性の第4磁石が上記第1磁石よりも抽斗格納部手前側に取り付けられ、
上記第3磁石は、抽斗押入れ完了状態で上記第1磁石よりも抽斗格納部手前側に位置し、かつ上記第4磁石と側面視で重なっていることを特徴とする抽斗格納構造。
【請求項7】
請求項6に記載の抽斗格納構造において、
上記抽斗の側板には、第1磁石と反極性の第5磁石が上記第1磁石と第4磁石との間に取り付けられ、
上記第5磁石は、抽斗押入れ完了状態で上記第2磁石よりも抽斗格納部手前側に位置していることを特徴とする抽斗格納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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