指向性放射線検出器および透明遮蔽材
【課題】 特定の方向にのみ感度を有し、かつ小型化することが可能な指向性放射線検出器、および該指向性放射線検出器に有用な透明遮蔽材を提供する。
【解決手段】 シンチレーター及び光検出器を具備する放射線検出器であって、特定の方向に開口部を有する放射線遮蔽材によってシンチレーターが覆われており、該放射線遮蔽材の少なくとも一部が透明遮蔽材であり、シンチレーターと光検出器が該透明遮蔽材を介して光学的に接合されていることを特徴とする指向性放射線検出器である。
【解決手段】 シンチレーター及び光検出器を具備する放射線検出器であって、特定の方向に開口部を有する放射線遮蔽材によってシンチレーターが覆われており、該放射線遮蔽材の少なくとも一部が透明遮蔽材であり、シンチレーターと光検出器が該透明遮蔽材を介して光学的に接合されていることを特徴とする指向性放射線検出器である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線検出器及び透明遮蔽材に関する。詳しくは特定の方向にのみ感度を有する指向性放射線検出器、及び該指向性放射線検出器に好適に用いられる透明遮蔽材に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線利用技術は、陽電子断層撮影、X線撮影等の医療分野、各種非破壊検査等の工業分野、高エネルギー物理学などの学術分野及び所持品検査等の保安分野など多彩な応用分野を持っており、現在も目覚しい発展を続けている。
【0003】
放射線検出器は、放射線利用技術の重要な位置を占める要素技術であり、該放射線検出器としては、シンチレーターと光検出器を組み合わせたシンチレーション検出器が広く一般に用いられている。シンチレーターとは、放射線が入射した際に光を発する物質をいい、かかるシンチレーターが発した光(以下、シンチレーション光という)を光検出器で検出することによって、放射線を検出することが可能となる。
【0004】
放射線の計測において、放射線源の位置、あるいは放射線束の空間分布を把握するためには、放射線の飛来方向を特定する必要があるが、かかる計測においては特定の方向にのみ感度を有する指向性放射線検出器が用いられる。
【0005】
前記シンチレーション検出器に指向性を持たせるためには、シンチレーターの周囲を放射線遮蔽材で覆い、該放射線遮蔽材の一部に開口部を設けることによって、放射線の入射を特定の方向のみに制限する方法が最も一般的である。
【0006】
この場合、シンチレーターと光検出器の接合部から放射線が入射することを避けるため、光検出器を含めた放射線検出器全体を放射線遮蔽材で覆う必要があり、放射線検出器の大型化が避けられない問題があった。
【0007】
特に、狭隘空間、強放射線場、あるいは強磁場等の光検出器を直接設置できない測定箇所で放射線を検出する場合には、かかる測定箇所にシンチレーターのみを設置し、光ファイバー等のライトガイドを用いて該シンチレーターから光検出器へシンチレーション光を伝送する必要があり、該ライトガイドを含めてすべて遮蔽することは困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、特定の方向にのみ感度を有し、かつ小型化することが可能な指向性放射線検出器、および該指向性放射線検出器に有用な透明遮蔽材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、シンチレーターの周囲を放射線遮蔽材で覆い、該放射線遮蔽材の一部に開口部を設けてなる指向性放射線検出器において、該放射線遮蔽材の少なくとも一部を透明遮蔽材とし、該透明遮蔽材を介してシンチレーターと光検出器を光学的に接合することによって、光検出器を含めた放射線検出器全体を放射線遮蔽材で覆う必要がなくなり、指向性放射線検出器を格段に小型化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、シンチレーター及び光検出器を具備する放射線検出器であって、特定の方向に開口部を有する放射線遮蔽材によってシンチレーターが覆われており、該放射線遮蔽材の少なくとも一部が透明遮蔽材であり、シンチレーターと光検出器が該透明遮蔽材を介して光学的に接合されていることを特徴とする指向性放射線検出器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の指向性放射線検出器によれば、検出器全体を放射線から遮蔽する必要が無いため、指向性放射線検出器を格段に小型化することができる。かかる指向性放射線検出器は、例えば原子炉中の中性子方向分布測定のような、狭隘空間内の放射線の方向分布の測定等において、特に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本図は、一般的なシンチレーション検出器を示す概略図である。
【図2】本図は、本発明を用いない場合の一般的な指向性放射線検出器を示す概略図である。
【図3】本図は、本発明の指向性放射線検出器を示す概略図である
【図4】本図は、本発明の指向性放射線検出器を示す概略図である。
【図5】本図は、実施例で用いた指向性放射線検出器の寸法図である。
【図6】本図は、実施例で用いた指向性放射線検出器を示す概略図である。
【図7】本図は、実施例を行った実験体系を示す概略図である。
【図8】本図は、透明遮蔽材を使用して取得した低エネルギー中性子方向分布である。
【図9】本図は、透明遮蔽材を使用せずに取得した低エネルギー中性子方向分布である。
【図10】本図は、実施例を行った実験体系を示す概略図である。
【図11】本図は、透明遮蔽材を使用して取得した低エネルギー中性子方向分布である。
【図12】本図は、低エネルギー中性子のストリーミング現象を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の指向性放射線検出器について、図1〜4を用いて説明する。なお、図1〜4において、実線および点線で示した矢印は、それぞれ放射線及びシンチレーション光の経路を表わし、鎖線で示した矢印は補助線である。
【0014】
図1は、一般的なシンチレーション検出器を示す概略図である。放射線がシンチレーター1に入射することによって生じたシンチレーション光を光検出器2で検出することにより、放射線検出器として動作する。かかる一般のシンチレーション検出器は、図中AおよびBで示した方向の他、あらゆる方向からの放射線に感度を有し、指向性をもたない。
【0015】
図2は、本発明を用いない場合の一般的な指向性放射線検出器を示す概略図である。シンチレーター1の周囲が放射線遮蔽材3で覆われており、該放射線遮蔽材の一部には開口部4を設けられている。かかる態様において、放射線の入射は、図中Aで示した特定の方向のみに制限されているため、当該放射線検出器は指向性を有する。当該放射線検出器は、図中Bで示した方向からの放射線を遮蔽するため、光検出器2を含めた放射線検出器全体を放射線遮蔽材で覆う必要があり、放射線検出器が大型となる問題が生じる。
【0016】
図3は、本発明の指向性放射線検出器を示す概略図である。本発明は、シンチレーター1の周囲を放射線遮蔽材3で覆い、該放射線遮蔽材の少なくとも一部を透明遮蔽材5とし、該透明遮蔽材を介してシンチレーター1と光検出器2を光学的に接合することを特徴とする。かかる態様において、放射線を入射せしめる開口部以外は、シンチレーターの外周全体が放射線遮蔽材で覆われているため、放射線遮蔽材の外部に配置される光検出器等を遮蔽する必要が無い。したがって指向性放射線検出器を大幅に小型化することができる。
【0017】
本発明において、図4に示すように、透明遮蔽体と光検出器の間にシンチレーション光を伝送するための光ファイバー等のライトガイド6を設けても良い。かかる態様において、本発明は特段の効果を発揮する。すなわち、本発明を用いない場合には、該ライトガイドも含めて放射線遮蔽材で覆う必要があるため、放射線検出器が顕著に大型化する問題が生じる。さらに、光ファイバーのような可動性のライトガイドを用いる場合、可動性を保持したまま放射線遮蔽材で覆うことは極めて困難である。
【0018】
本発明の指向性放射線検出器は、検出対象とする放射線に特に制限は無く、X線、γ線、β線または中性子等に対する指向性放射線検出器として使用できるが、検出対象とする放射線が、低エネルギー中性子の場合に最も利用価値が高い。
【0019】
すなわち、検出対象とする放射線がX線、γ線、β線または高エネルギー中性子の場合には、該放射線がシンチレーターと多点で相互作用する性質を利用して、該放射線の飛跡を求め、該飛跡から放射線の飛来方向を特定する方法も採用できるが、低エネルギー中性子はシンチレーターと一点でのみ相互作用し、飛来方向の情報を与えないため、放射線の飛来方向を特定するためには、放射線遮蔽材で放射線の入射を特定の方向のみに制限する方法が必須となる。なお、本発明において、低エネルギー中性子とは、エネルギーが約500keV以下の中性子をいう。
【0020】
したがって、本発明の指向性放射線検出器は、低エネルギー中性子用指向性放射線検出器として特に好適に使用できる。
【0021】
本発明において、シンチレーターは特に制限されず、検出対象とする放射線に応じて、従来公知のシンチレーターを適宜選択して用いることができる。
【0022】
該シンチレーターを具体的に例示すれば、X線、γ線及びβ線を検出対象とする場合には、Tl:NaI、Bi4Ge3O12(BGO)、あるいはCdWO4(CWO)等が挙げられ、低エネルギー中性子を検出対象とする場合には、Eu又はCeを含有するLiCaAlF6単結晶、LiFとZnS:Agを混合してなるシンチレーター組成物、Eu:LiIあるいはGS−20(登録商標)等のLiガラス等が挙げられる。
【0023】
本発明において、光検出器は特に制限されず、シンチレーション光に対する感度に鑑みて従来公知の光電子増倍管あるいはホトダイオード等を適宜選択して用いることができる。
【0024】
本発明において、放射線遮蔽材は特に制限されず、検出対象とする放射線に応じて、従来公知の放射線遮蔽材を適宜選択して用いることができる。
【0025】
該放射線遮蔽材を具体的に例示すれば、X線、γ線及びβ線を検出対象とする場合には、鉛等の重元素で構成される材料が好適に使用でき、低エネルギー中性子を検出対象とする場合には、Gd含有樹脂あるいはCd板等が好適に使用できる。
【0026】
なお、該放射線遮蔽材に開口部を設け、放射線の入射を特定の方向のみに制限することにより、放射線検出器に指向性を持たせることができる。該開口部の形状は特に制限されず、例えば、数mm角の四角形あるいは直径数mmの円形等、所期の指向性の程度に応じて選択できる。
【0027】
本発明において、透明遮蔽材はシンチレーション光に対して実質的に透明な材料であれば特に制限なく使用できる。該透明遮蔽材がシンチレーション光に対して透明でない場合には、該透明遮蔽材を通過する際にシンチレーション光が著しく減弱し、光検出器でシンチレーション光を検出することが困難となる。該透明遮蔽材を具体的に例示すれば、X線、γ線及びβ線を検出対象とする場合には、鉛入り透明ガラス等が挙げられ、低エネルギー中性子を検出対象とする場合には、LiCaAlF6単結晶、LiF結晶、Li含有ガラス等が挙げられる。
【0028】
なお、本発明において、低エネルギー中性子用指向性放射線検出器に用いる透明遮蔽材は、6Li同位体を含有する材料であることが好ましい。6Li同位体は、低エネルギー中性子に対する吸収断面積が大きい点に加えて、低エネルギー中性子を吸収した際に放出される2次粒子の飛程が極めて短く、シンチレーターに到達する確率が小さいため、透明遮蔽材で低エネルギー中性子を吸収したことに基づくバックグラウンドノイズを生じにくい。さらに、6Li同位体を含有する材料は広範な波長域において高い透明性を得ることが容易であり、本発明に好適に使用できる。
【0029】
6Li同位体を含有する材料は、6Li同位体の天然存在比が約7%であることから、容易に入手でき、本発明の透明遮蔽材として利用できる。なお、所期の遮蔽能に応じて、6Li同位体比を天然存在比の約7%以上に高めた材料を用いても良い。
【0030】
また、前記透明遮蔽材は6Li同位体を含有するフッ化物であることが最も好ましい。6Li同位体を含有するフッ化物は、一般に広範囲な波長領域で透明であるため、シンチレーション光に対する透過性に優れる。また、6Li同位体を含有するフッ化物は、一般に潮解性が無く、化学的に安定であるため、多様な環境下での計測に供することができる。6Li同位体を含有するフッ化物としては、例えばLiCaAlF6単結晶、LiF結晶、及びLi含有ガラスの内フッ化物を主成分として構成されるガラス等がある。
【0031】
本発明の指向性放射線検出器は、前記シンチレーターと光検出器を、透明遮蔽材を介して光学的に接合することによって構成される。具体的には、シンチレーターと透明遮蔽材、及び透明遮蔽材と光検出器をそれぞれ光学的に接合する。光学的に接合する方法は、前者から後者へシンチレーションを損失なく伝送できる方法であれば特に制限されないが、両者に接合面を形成し、該接合面同士を密接して設置する方法が好適である。かかる方法において、該接合面は、シンチレーション光の損失を避けるため、光学的に研磨されていることが好ましい。また、前記接合面同士の隙間に介在する空気層の影響により、シンチレーション光が該接合面で反射され、シンチレーション光の伝送効率が低下することを防ぐ目的で、前記接合面同士の隙間に光学グリースを充填することが好ましい。
【0032】
なお、前記シンチレーターと透明遮蔽材は、互いに同等の屈折率を有する組合せを選択することが好ましい。シンチレーターと透明遮蔽材が同等の屈折率を有する場合には、両者の界面におけるシンチレーション光の反射が起こりにくく、光検出器へのシンチレーション光の伝送効率が向上する。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0034】
実施例
【0035】
本実施例では、低エネルギー中性子用指向性放射線検出器を製作し、その有用性を評価した。図5及び6にそれぞれ該指向性放射線検出器の寸法図及び概略図を示す。
【0036】
シンチレーター1として、直径5mm、厚さ3mmのEuを含有するLiCaAlF6単結晶を用いた。該Euを含有するLiCaAlF6単結晶の6Li同位体比は95%とした。
【0037】
放射線遮蔽材3として厚さ5mmのGd含有樹脂を用い、該放射線遮蔽材で前記シンチレーターを覆った。該放射線遮蔽材の一部には、放射線を入射せしめるための開口部4を設けた。なお、該開口部は3mm×3mmのスリットとした。
【0038】
図5及び6に示すように、放射線遮蔽材の一部に透明遮蔽材5を用いた。該透明遮蔽材は、直径5mm、厚さ10mmのLiCaAlF6単結晶であり、該LiCaAlF6単結晶の6Li同位体比は約7%とした。なお、本実施例において、シンチレーターと透明遮蔽材の屈折率は同一である。
【0039】
本実施例では、ライトガイド6として可動性の光ファイバーを使用した。前記透明遮蔽材に光ファイバーの一方の端部を接続し、もう一方の端部を光検出器2に接続した。なお、光検出器としては光電子増倍管を用いた。かかる態様において、シンチレーターより発せられたシンチレーション光は、透明遮蔽材及び光ファイバーを介して光検出器へと伝送され、光検出器にて検出される。
【0040】
本発明の有用性を確認するため、前記透明遮蔽材を使用した場合と、使用しなかった場合における放射線検出器の応答特性を比較した。図7に実験体系を示す。図8及び9に透明遮蔽材を使用した場合と、使用しなかった場合の低エネルギー中性子方向分布を示す。図8及び9において、横軸は指向性放射線検出器の開口部の方向と中性子線源の設置方向との成す角を表わし、0°の場合に指向性放射線検出器の開口部が中性子線源に対向する。縦軸は10分間の計測時間において計測された信号の頻度を表わす。
【0041】
図8及び9において、入射方向により変化する成分が、指向性放射線検出器の開口部を通過して検出された成分であり、これが本来観測したい中性子成分に相当する。それ以外の成分はコリメータを通過せずに検出された成分でノイズに相当する。透明遮蔽材を使用した場合(図8)には、入射角が約100°以上及び約−100°以下の範囲において、検出頻度がノイズレベルにまで低下しているのに対し、透明遮蔽材を使用しなかった場合(図9)には、入射角が約100°以上及び約−100°以下の範囲においても、ノイズレベルを超える検出頻度で信号が検出されており、本発明の指向性放射線検出器を使用することで、指向性が向上していることが分かる。また、透明遮蔽材を使用した場合(図8)には、シンチレーターとライトガイドの接合部から常時入射する放射線によるノイズが低減することにより、信号対雑音比も改善され、本発明の低エネルギー中性子用指向性放射線検出器が有効であることがわかる。
【0042】
また、本発明の低エネルギー中性子用指向性放射線検出器を京都大学原子炉実験所臨界集合装置、固体減速架台で使用した例を示す。実験体系は図10に示すとおりである。図11に得られた低エネルギー中性子方向分布を示す。図10の体系ではポリエチレン減速材同士の隙間を低エネルギー中性子が通っていくストリーミングという現象が起こる。図12は、低エネルギー中性子のストリーミング現象を示す概略図である。なお、図12では、理解を容易にするため、実験体系の各構成要素の名称を省略して示すが、図12中の各構成要素は図10で示したものと同様である。ストリーミングした低エネルギー中性子は検出器設置部周辺の空洞部まで来ると、隙間部より全方向に広がっていくため、検出器から見ると+45°方向及び-45°方向に点線源があるのと同じ状況となる。図11では+45°方向及び-45°方向にストリーミングの影響によるピークが確認でき、透明遮蔽材を使用した本発明の低エネルギー中性子用指向性放射線検出器で原子炉内の中性子方向分布を取得可能であることが確認された。
【符号の説明】
【0043】
1 シンチレーター
2 光検出器
3 放射線遮蔽材
4 開口部
5 透明遮蔽材
6 ライトガイド
【技術分野】
【0001】
本発明は放射線検出器及び透明遮蔽材に関する。詳しくは特定の方向にのみ感度を有する指向性放射線検出器、及び該指向性放射線検出器に好適に用いられる透明遮蔽材に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線利用技術は、陽電子断層撮影、X線撮影等の医療分野、各種非破壊検査等の工業分野、高エネルギー物理学などの学術分野及び所持品検査等の保安分野など多彩な応用分野を持っており、現在も目覚しい発展を続けている。
【0003】
放射線検出器は、放射線利用技術の重要な位置を占める要素技術であり、該放射線検出器としては、シンチレーターと光検出器を組み合わせたシンチレーション検出器が広く一般に用いられている。シンチレーターとは、放射線が入射した際に光を発する物質をいい、かかるシンチレーターが発した光(以下、シンチレーション光という)を光検出器で検出することによって、放射線を検出することが可能となる。
【0004】
放射線の計測において、放射線源の位置、あるいは放射線束の空間分布を把握するためには、放射線の飛来方向を特定する必要があるが、かかる計測においては特定の方向にのみ感度を有する指向性放射線検出器が用いられる。
【0005】
前記シンチレーション検出器に指向性を持たせるためには、シンチレーターの周囲を放射線遮蔽材で覆い、該放射線遮蔽材の一部に開口部を設けることによって、放射線の入射を特定の方向のみに制限する方法が最も一般的である。
【0006】
この場合、シンチレーターと光検出器の接合部から放射線が入射することを避けるため、光検出器を含めた放射線検出器全体を放射線遮蔽材で覆う必要があり、放射線検出器の大型化が避けられない問題があった。
【0007】
特に、狭隘空間、強放射線場、あるいは強磁場等の光検出器を直接設置できない測定箇所で放射線を検出する場合には、かかる測定箇所にシンチレーターのみを設置し、光ファイバー等のライトガイドを用いて該シンチレーターから光検出器へシンチレーション光を伝送する必要があり、該ライトガイドを含めてすべて遮蔽することは困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、特定の方向にのみ感度を有し、かつ小型化することが可能な指向性放射線検出器、および該指向性放射線検出器に有用な透明遮蔽材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、シンチレーターの周囲を放射線遮蔽材で覆い、該放射線遮蔽材の一部に開口部を設けてなる指向性放射線検出器において、該放射線遮蔽材の少なくとも一部を透明遮蔽材とし、該透明遮蔽材を介してシンチレーターと光検出器を光学的に接合することによって、光検出器を含めた放射線検出器全体を放射線遮蔽材で覆う必要がなくなり、指向性放射線検出器を格段に小型化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、シンチレーター及び光検出器を具備する放射線検出器であって、特定の方向に開口部を有する放射線遮蔽材によってシンチレーターが覆われており、該放射線遮蔽材の少なくとも一部が透明遮蔽材であり、シンチレーターと光検出器が該透明遮蔽材を介して光学的に接合されていることを特徴とする指向性放射線検出器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の指向性放射線検出器によれば、検出器全体を放射線から遮蔽する必要が無いため、指向性放射線検出器を格段に小型化することができる。かかる指向性放射線検出器は、例えば原子炉中の中性子方向分布測定のような、狭隘空間内の放射線の方向分布の測定等において、特に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本図は、一般的なシンチレーション検出器を示す概略図である。
【図2】本図は、本発明を用いない場合の一般的な指向性放射線検出器を示す概略図である。
【図3】本図は、本発明の指向性放射線検出器を示す概略図である
【図4】本図は、本発明の指向性放射線検出器を示す概略図である。
【図5】本図は、実施例で用いた指向性放射線検出器の寸法図である。
【図6】本図は、実施例で用いた指向性放射線検出器を示す概略図である。
【図7】本図は、実施例を行った実験体系を示す概略図である。
【図8】本図は、透明遮蔽材を使用して取得した低エネルギー中性子方向分布である。
【図9】本図は、透明遮蔽材を使用せずに取得した低エネルギー中性子方向分布である。
【図10】本図は、実施例を行った実験体系を示す概略図である。
【図11】本図は、透明遮蔽材を使用して取得した低エネルギー中性子方向分布である。
【図12】本図は、低エネルギー中性子のストリーミング現象を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の指向性放射線検出器について、図1〜4を用いて説明する。なお、図1〜4において、実線および点線で示した矢印は、それぞれ放射線及びシンチレーション光の経路を表わし、鎖線で示した矢印は補助線である。
【0014】
図1は、一般的なシンチレーション検出器を示す概略図である。放射線がシンチレーター1に入射することによって生じたシンチレーション光を光検出器2で検出することにより、放射線検出器として動作する。かかる一般のシンチレーション検出器は、図中AおよびBで示した方向の他、あらゆる方向からの放射線に感度を有し、指向性をもたない。
【0015】
図2は、本発明を用いない場合の一般的な指向性放射線検出器を示す概略図である。シンチレーター1の周囲が放射線遮蔽材3で覆われており、該放射線遮蔽材の一部には開口部4を設けられている。かかる態様において、放射線の入射は、図中Aで示した特定の方向のみに制限されているため、当該放射線検出器は指向性を有する。当該放射線検出器は、図中Bで示した方向からの放射線を遮蔽するため、光検出器2を含めた放射線検出器全体を放射線遮蔽材で覆う必要があり、放射線検出器が大型となる問題が生じる。
【0016】
図3は、本発明の指向性放射線検出器を示す概略図である。本発明は、シンチレーター1の周囲を放射線遮蔽材3で覆い、該放射線遮蔽材の少なくとも一部を透明遮蔽材5とし、該透明遮蔽材を介してシンチレーター1と光検出器2を光学的に接合することを特徴とする。かかる態様において、放射線を入射せしめる開口部以外は、シンチレーターの外周全体が放射線遮蔽材で覆われているため、放射線遮蔽材の外部に配置される光検出器等を遮蔽する必要が無い。したがって指向性放射線検出器を大幅に小型化することができる。
【0017】
本発明において、図4に示すように、透明遮蔽体と光検出器の間にシンチレーション光を伝送するための光ファイバー等のライトガイド6を設けても良い。かかる態様において、本発明は特段の効果を発揮する。すなわち、本発明を用いない場合には、該ライトガイドも含めて放射線遮蔽材で覆う必要があるため、放射線検出器が顕著に大型化する問題が生じる。さらに、光ファイバーのような可動性のライトガイドを用いる場合、可動性を保持したまま放射線遮蔽材で覆うことは極めて困難である。
【0018】
本発明の指向性放射線検出器は、検出対象とする放射線に特に制限は無く、X線、γ線、β線または中性子等に対する指向性放射線検出器として使用できるが、検出対象とする放射線が、低エネルギー中性子の場合に最も利用価値が高い。
【0019】
すなわち、検出対象とする放射線がX線、γ線、β線または高エネルギー中性子の場合には、該放射線がシンチレーターと多点で相互作用する性質を利用して、該放射線の飛跡を求め、該飛跡から放射線の飛来方向を特定する方法も採用できるが、低エネルギー中性子はシンチレーターと一点でのみ相互作用し、飛来方向の情報を与えないため、放射線の飛来方向を特定するためには、放射線遮蔽材で放射線の入射を特定の方向のみに制限する方法が必須となる。なお、本発明において、低エネルギー中性子とは、エネルギーが約500keV以下の中性子をいう。
【0020】
したがって、本発明の指向性放射線検出器は、低エネルギー中性子用指向性放射線検出器として特に好適に使用できる。
【0021】
本発明において、シンチレーターは特に制限されず、検出対象とする放射線に応じて、従来公知のシンチレーターを適宜選択して用いることができる。
【0022】
該シンチレーターを具体的に例示すれば、X線、γ線及びβ線を検出対象とする場合には、Tl:NaI、Bi4Ge3O12(BGO)、あるいはCdWO4(CWO)等が挙げられ、低エネルギー中性子を検出対象とする場合には、Eu又はCeを含有するLiCaAlF6単結晶、LiFとZnS:Agを混合してなるシンチレーター組成物、Eu:LiIあるいはGS−20(登録商標)等のLiガラス等が挙げられる。
【0023】
本発明において、光検出器は特に制限されず、シンチレーション光に対する感度に鑑みて従来公知の光電子増倍管あるいはホトダイオード等を適宜選択して用いることができる。
【0024】
本発明において、放射線遮蔽材は特に制限されず、検出対象とする放射線に応じて、従来公知の放射線遮蔽材を適宜選択して用いることができる。
【0025】
該放射線遮蔽材を具体的に例示すれば、X線、γ線及びβ線を検出対象とする場合には、鉛等の重元素で構成される材料が好適に使用でき、低エネルギー中性子を検出対象とする場合には、Gd含有樹脂あるいはCd板等が好適に使用できる。
【0026】
なお、該放射線遮蔽材に開口部を設け、放射線の入射を特定の方向のみに制限することにより、放射線検出器に指向性を持たせることができる。該開口部の形状は特に制限されず、例えば、数mm角の四角形あるいは直径数mmの円形等、所期の指向性の程度に応じて選択できる。
【0027】
本発明において、透明遮蔽材はシンチレーション光に対して実質的に透明な材料であれば特に制限なく使用できる。該透明遮蔽材がシンチレーション光に対して透明でない場合には、該透明遮蔽材を通過する際にシンチレーション光が著しく減弱し、光検出器でシンチレーション光を検出することが困難となる。該透明遮蔽材を具体的に例示すれば、X線、γ線及びβ線を検出対象とする場合には、鉛入り透明ガラス等が挙げられ、低エネルギー中性子を検出対象とする場合には、LiCaAlF6単結晶、LiF結晶、Li含有ガラス等が挙げられる。
【0028】
なお、本発明において、低エネルギー中性子用指向性放射線検出器に用いる透明遮蔽材は、6Li同位体を含有する材料であることが好ましい。6Li同位体は、低エネルギー中性子に対する吸収断面積が大きい点に加えて、低エネルギー中性子を吸収した際に放出される2次粒子の飛程が極めて短く、シンチレーターに到達する確率が小さいため、透明遮蔽材で低エネルギー中性子を吸収したことに基づくバックグラウンドノイズを生じにくい。さらに、6Li同位体を含有する材料は広範な波長域において高い透明性を得ることが容易であり、本発明に好適に使用できる。
【0029】
6Li同位体を含有する材料は、6Li同位体の天然存在比が約7%であることから、容易に入手でき、本発明の透明遮蔽材として利用できる。なお、所期の遮蔽能に応じて、6Li同位体比を天然存在比の約7%以上に高めた材料を用いても良い。
【0030】
また、前記透明遮蔽材は6Li同位体を含有するフッ化物であることが最も好ましい。6Li同位体を含有するフッ化物は、一般に広範囲な波長領域で透明であるため、シンチレーション光に対する透過性に優れる。また、6Li同位体を含有するフッ化物は、一般に潮解性が無く、化学的に安定であるため、多様な環境下での計測に供することができる。6Li同位体を含有するフッ化物としては、例えばLiCaAlF6単結晶、LiF結晶、及びLi含有ガラスの内フッ化物を主成分として構成されるガラス等がある。
【0031】
本発明の指向性放射線検出器は、前記シンチレーターと光検出器を、透明遮蔽材を介して光学的に接合することによって構成される。具体的には、シンチレーターと透明遮蔽材、及び透明遮蔽材と光検出器をそれぞれ光学的に接合する。光学的に接合する方法は、前者から後者へシンチレーションを損失なく伝送できる方法であれば特に制限されないが、両者に接合面を形成し、該接合面同士を密接して設置する方法が好適である。かかる方法において、該接合面は、シンチレーション光の損失を避けるため、光学的に研磨されていることが好ましい。また、前記接合面同士の隙間に介在する空気層の影響により、シンチレーション光が該接合面で反射され、シンチレーション光の伝送効率が低下することを防ぐ目的で、前記接合面同士の隙間に光学グリースを充填することが好ましい。
【0032】
なお、前記シンチレーターと透明遮蔽材は、互いに同等の屈折率を有する組合せを選択することが好ましい。シンチレーターと透明遮蔽材が同等の屈折率を有する場合には、両者の界面におけるシンチレーション光の反射が起こりにくく、光検出器へのシンチレーション光の伝送効率が向上する。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0034】
実施例
【0035】
本実施例では、低エネルギー中性子用指向性放射線検出器を製作し、その有用性を評価した。図5及び6にそれぞれ該指向性放射線検出器の寸法図及び概略図を示す。
【0036】
シンチレーター1として、直径5mm、厚さ3mmのEuを含有するLiCaAlF6単結晶を用いた。該Euを含有するLiCaAlF6単結晶の6Li同位体比は95%とした。
【0037】
放射線遮蔽材3として厚さ5mmのGd含有樹脂を用い、該放射線遮蔽材で前記シンチレーターを覆った。該放射線遮蔽材の一部には、放射線を入射せしめるための開口部4を設けた。なお、該開口部は3mm×3mmのスリットとした。
【0038】
図5及び6に示すように、放射線遮蔽材の一部に透明遮蔽材5を用いた。該透明遮蔽材は、直径5mm、厚さ10mmのLiCaAlF6単結晶であり、該LiCaAlF6単結晶の6Li同位体比は約7%とした。なお、本実施例において、シンチレーターと透明遮蔽材の屈折率は同一である。
【0039】
本実施例では、ライトガイド6として可動性の光ファイバーを使用した。前記透明遮蔽材に光ファイバーの一方の端部を接続し、もう一方の端部を光検出器2に接続した。なお、光検出器としては光電子増倍管を用いた。かかる態様において、シンチレーターより発せられたシンチレーション光は、透明遮蔽材及び光ファイバーを介して光検出器へと伝送され、光検出器にて検出される。
【0040】
本発明の有用性を確認するため、前記透明遮蔽材を使用した場合と、使用しなかった場合における放射線検出器の応答特性を比較した。図7に実験体系を示す。図8及び9に透明遮蔽材を使用した場合と、使用しなかった場合の低エネルギー中性子方向分布を示す。図8及び9において、横軸は指向性放射線検出器の開口部の方向と中性子線源の設置方向との成す角を表わし、0°の場合に指向性放射線検出器の開口部が中性子線源に対向する。縦軸は10分間の計測時間において計測された信号の頻度を表わす。
【0041】
図8及び9において、入射方向により変化する成分が、指向性放射線検出器の開口部を通過して検出された成分であり、これが本来観測したい中性子成分に相当する。それ以外の成分はコリメータを通過せずに検出された成分でノイズに相当する。透明遮蔽材を使用した場合(図8)には、入射角が約100°以上及び約−100°以下の範囲において、検出頻度がノイズレベルにまで低下しているのに対し、透明遮蔽材を使用しなかった場合(図9)には、入射角が約100°以上及び約−100°以下の範囲においても、ノイズレベルを超える検出頻度で信号が検出されており、本発明の指向性放射線検出器を使用することで、指向性が向上していることが分かる。また、透明遮蔽材を使用した場合(図8)には、シンチレーターとライトガイドの接合部から常時入射する放射線によるノイズが低減することにより、信号対雑音比も改善され、本発明の低エネルギー中性子用指向性放射線検出器が有効であることがわかる。
【0042】
また、本発明の低エネルギー中性子用指向性放射線検出器を京都大学原子炉実験所臨界集合装置、固体減速架台で使用した例を示す。実験体系は図10に示すとおりである。図11に得られた低エネルギー中性子方向分布を示す。図10の体系ではポリエチレン減速材同士の隙間を低エネルギー中性子が通っていくストリーミングという現象が起こる。図12は、低エネルギー中性子のストリーミング現象を示す概略図である。なお、図12では、理解を容易にするため、実験体系の各構成要素の名称を省略して示すが、図12中の各構成要素は図10で示したものと同様である。ストリーミングした低エネルギー中性子は検出器設置部周辺の空洞部まで来ると、隙間部より全方向に広がっていくため、検出器から見ると+45°方向及び-45°方向に点線源があるのと同じ状況となる。図11では+45°方向及び-45°方向にストリーミングの影響によるピークが確認でき、透明遮蔽材を使用した本発明の低エネルギー中性子用指向性放射線検出器で原子炉内の中性子方向分布を取得可能であることが確認された。
【符号の説明】
【0043】
1 シンチレーター
2 光検出器
3 放射線遮蔽材
4 開口部
5 透明遮蔽材
6 ライトガイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンチレーター及び光検出器を具備する放射線検出器であって、特定の方向に開口部を有する放射線遮蔽材によってシンチレーターが覆われており、該放射線遮蔽材の少なくとも一部が透明遮蔽材であり、シンチレーターと光検出器が該透明遮蔽材を介して光学的に接合されていることを特徴とする指向性放射線検出器。
【請求項2】
検出対象とする放射線が、低エネルギー中性子であることを特徴とする請求項1に記載の指向性放射線検出器。
【請求項3】
6Li同位体を含有することを特徴とする低エネルギー中性子用指向性放射線検出器に用いる透明遮蔽材。
【請求項4】
6Li同位体を含有するフッ化物からなることを特徴とする低エネルギー中性子用指向性放射線検出器に用いる透明遮蔽材。
【請求項1】
シンチレーター及び光検出器を具備する放射線検出器であって、特定の方向に開口部を有する放射線遮蔽材によってシンチレーターが覆われており、該放射線遮蔽材の少なくとも一部が透明遮蔽材であり、シンチレーターと光検出器が該透明遮蔽材を介して光学的に接合されていることを特徴とする指向性放射線検出器。
【請求項2】
検出対象とする放射線が、低エネルギー中性子であることを特徴とする請求項1に記載の指向性放射線検出器。
【請求項3】
6Li同位体を含有することを特徴とする低エネルギー中性子用指向性放射線検出器に用いる透明遮蔽材。
【請求項4】
6Li同位体を含有するフッ化物からなることを特徴とする低エネルギー中性子用指向性放射線検出器に用いる透明遮蔽材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−127703(P2012−127703A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277479(P2010−277479)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]