説明

挟持体および保持具

【課題】 老人が集まるデイサービスなどで、テーブルの天板などに簡単に着脱でき、安価でかつ安定した杖・小物バッグなどの保持具が要望されている。
【解決手段】 中間部分に連結回動部を持ち、一端部に開閉操作部を設け他端部に挟持部を設けた一対の挟持片を持つ挟持体において、一方の挟持片の挟持部はほぼ直線状、もう一方の挟持片の挟持部は対向する挟持片の挟持部より長い挟持部とその先で略直角に曲がった挟持部を持つ鉤形状であり、挟着するテーブル天板を鉤形状挟持部で上から押さえ直線状挟持部で下から押す構造を特徴とする挟着体を提供する。
この挟着体は簡易な構造でテーブル天板に安定して挟着することができ、この挟着体と一体化して保持部を設けたので、必要に応じて自由に脱着できる杖、小物バッグ等の保持具を設置できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルの天板などに簡単に着脱でき挟着安定性に優れ、かつ、挟着状態での飛び出しが少なくテーブル周辺の歩行の邪魔にならない挟持体を提供するとともに、当該挟持体と一体化して杖等を保持する円環状またはその一部を欠いたC形円環状の保持部、または小物バッグ等のベルトを掛ける掛止保持部等を設けた着脱式保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで幾種類かの着脱式杖ホルダーが提案されてきたが、いずれも保持具そのものをテーブル天板等に挟着する機能に問題があった。
上記のような問題を解決しようとしたものとして以下の文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−087534 杖掛け保持具
【特許文献2】特開2006−239347 杖立て機能付きはさみ器具
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の杖掛け保持具は、カード状本体の裏面の一部にマグネットや吸盤や何度でも使用できる粘着テープ並びに面ファスナー等からなる固着部材を使用するもので、取り付ける相手方家具により、その利用が制約される。
特許文献2の杖立て機能付きはさみ器具は洗濯ピンチ形状の挟み部によりテーブル天板等を挟んで自己保持するもので、脱着は容易であるが保持姿勢が不安定であり保持する物品に力が掛かるとぐらつく心配がある。
【0005】
そこで、本発明は、テーブルの天板などに容易に挟着でき、杖または小物バッグ等を安定して掛止保持できる保持具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記のような課題を解決するため、本発明の保持具は、
テーブルの天板などに安定して挟着できる挟持体を発明するとともに、その挟持体と一体化して杖・バッグ等の保持部を設けたことを特徴とする。
【0007】
(2)本発明の挟持体は、前記(1)において、
一対の対向する挟持片AおよびBで構成され、一方の挟持片Aはほぼ直線状の挟持部を持ち、もう一方の挟持片Bは挟持片Aの挟持部より長い中間挟持部と、その先で挟持片Aの側に略直角に折れ曲がった上腕挟持部の2面で鉤形挟持面を形成する挟持部を持ち、
テーブル天板に挟着する場合は、挟持片Bの中間挟持部挟持面に天板端面を押し当てるとともに、上腕挟持部下面でテーブル天板を上面から押さえ、挟持片Aの挟持部先端部分で天板を下から押す挟持構造を有する。
【0008】
(3)本発明の挟持体は、前記(2)において、
テーブル天板に挟着する場合に、テーブル天板を上面から押さえる挟持片Bの上腕挟持部下面37に対し、テーブル天板を下から押す挟持片Aの挟持部先端28から下ろした垂線の足Pが前記下面37内、すなわち下面先端38より内側にある。
【0009】
(4)本発明の挟持体は、前記(2)において、
挟持片Bの開閉操作部と中間挟持部はほぼ直線状であり、挟持片Aの開閉操作部と挟持部は略直角に折れ曲がって、挟持片Aは挟持片Bに対し略90°開閉操作を可能とする。
【0010】
(5)本発明の保持具は、前記(1)、(2)、(3)または(4)に記載される前記挟持体に一体化して、円環状またはC型円環状の杖保持部、小物バッグ等を掛ける掛止保持部などの保持部Dが設けられ、テーブルの天板などに容易に挟着され安定して杖、小物バッグ等を保持できる。
【発明の効果】
【0011】
(1)本発明の保持具は、杖や小物バッグを保持・掛止する保持部の背面に、片手で自由に開閉できる挟持体を一体化したので、テーブル天板などに簡単に挟着することができ、杖や小物バッグなどを置く場所を簡易に設置できる。使用しないときはすぐ取り外しできるので、テーブルなどを整理収納する場合に邪魔にならない。
【0012】
(2)本発明の保持具の挟持体は、
テーブル天板などに挟着する際、天板の厚さに応じて開閉操作により挟持部を適度に開き、挟持片Bの中間挟持部挟持面をテーブル天板端面に押し当てるとともに、上腕挟持部の下面でテーブル天板を上面から押さえ、挟持片Aの挟持部先端を天板下面に当てて、その状態で開操作を停止すると、弾性部材Cから挟持片Aの挟持部先端に作用する力は弾性部材Cにより挟持片Bの上腕挟持部に伝えられ、上腕挟持部下面を天板上面に押し付ける力を生じさせる。
このとき、挟持片Aの挟持部先端から上腕挟持部下面に下ろした垂線の足Pが当該下面内にあるので、上腕挟持部下面が天板上面に全面当たりになっていない場合、上腕挟持部下面の接触点と挟持片Aの挟持部先端部分との間で挟持体に対し回転トルクが発生し自動的に全面当たりとなる。
この結果、上部の大きい平面と下部の狭幅の線状面に互いに挟着方向に弾性部材Cの弾性力が作用し、安定した挟着を可能にする。
【0013】
(3)本発明の保持具の挟持体において
挟持片Bの上腕挟持部の下面は平面と限定されず、挟持を安定させるため一部を凹ませて接触面積を少なくし面圧を上げることもできる。
その場合、前記下面全面に狭い溝状の凹みを設けるか、または前記下面の基部および先端部のみ略同一平面とし中間部を幅の広い凹みを設けるなどの方法がある。
【0014】
(4)本発明の保持具の挟持体は、挟持片Aが挟持片Bに対し略90°開閉操作可能であるので、開閉操作により挟持部を最大に開いたとき、挟持片Aの挟持部と挟持片Bの上腕挟持部は略平行となり挟着可能なテーブル天板厚さを最大化できる。
【0015】
(5)本発明の保持具は前記挟持体に前記保持部を一体化し、樹脂一体成型加工で安価に製造し市場に提供することができる。
また、前記挟持体と前記保持部は別体で製作され、接着、嵌合、圧入その他の手段により一体化することも容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の挟持体を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の挟持体の正面図である。
【図3】本発明の挟持体の左側面図である。図3は、弾性部材が2ヶ、連結回動部が2箇所の実施例である。
【図4】本発明の挟持体の最大開度における正面図である。本発明の挟持体の最大開度における挟持片Aの挟持部先端と挟持片Bの上腕挟持部下面との位置関係を示す。
【図5】本発明の挟持体の一実施例である。
【図6】本発明の保持具の概略斜視図である。
【図7】本発明の保持具を使用する一態様を示す説明図である。
【図8】本発明の保持具の一実施例である。図8は、挟持体と保持部を別体で製作し、圧入等で一体化した例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の挟持体の概略斜視図である。
図示するように、本発明の挟持体は、挟持片A、挟持片Bおよび弾圧部材Cによって構成されている。
挟持片Aは、開閉操作部21、挟持部22およびそれらを結ぶ連結回動部25で構成され
挟持片Bは、開閉操作部31、中間挟持部32と、その先で前記挟持片の側に略直角に折曲した上腕挟持部33、およびそれらを結ぶ連結回動部35で構成される。
弾圧部材Cは、開閉操作部の開閉操作により変形する範囲を十分確保するよう両挟持片に設けられた窓を通して両挟持片の嵌挿点(図示しない)に支持され、両挟持片を挟持部が当接する方向に付勢している。
本発明の挟持体の挟持作用は、挟持片Aの挟持部挟持面23と、挟持片Bの中間挟持部挟持面36および上腕挟持部下面37の2面で形成される鉤形挟持面とでなされる。
【0018】
図2は、本発明の挟持体の正面図である。
本発明の挟持体は、非使用時は弾性部材Cの弾性力により、挟持片Aの挟持部22の挟持面23(図示しない)と挟持片Bの中間挟持部32の挟持面36(図示しない)が当接しており、挟持片Bの中間挟持部32は挟持片Aの挟持部22より長く構成されている。
【0019】
図3は、本発明の挟持体の左側面図である。
挟持片Aの連結回動部25および挟持片Bの連結回動部35を示す。
ここでは弾性部材Cが2ヶ使用され、それに合わせて2組の連結回動部が示されているが、弾性部材は必ずしも2ヶと限定されない。
【0020】
図4は、本発明の挟持体を最大開度としたときの正面図である。
本発明の挟持体は、挟持片Aの挟持部先端28から挟持片Bの上腕挟持部下面37に下ろした垂線の足Pが当該下面の先端38より内側の下面37内にあるのでテーブル天板などに挟着する際、挟持片Bの中間挟持部挟持面に天板端面を押し当てるとともに、上腕挟持部下面37でテーブル天板を上面から押さえ、挟持片Aの挟持部先端28近傍で天板を下面から押す挟持構造を持ち上部の大きい平面と下部の線状面による挟持となり、前記垂線の足Pが上腕挟持部下面37内にあることにより安定した挟持を可能にする。
【0021】
図4は、同時に、挟持片Bの中間挟持部32と開閉操作部31がほぼ直線である実施例を示す。
この構造によりテーブル挟着時の挟持体の飛び出しを制限している。
【0022】
また、本発明の挟持体が挟持できる天板の最大厚さは挟持片Aの挟持部と挟持片Bの上腕挟持部との間の距離が最大になるときであり、これは図4に示すように挟持片Aの開閉操作部を挟持片Bに対し略90°まで開閉操作できることにより実現できる。
【0023】
図5は、本発明の挟持体の実施例の一態様を示す。
本発明の挟持体において、挟持片Bの上腕挟持部の挟持面は同一平面でも良いが、挟持を安定させるため一部を凹ませて接触面積を少なくし面圧を上げることも有効である。
その場合、上腕挟持部下面全面に狭い溝状の凹みを設けるか、または上腕挟持部下面の基部および先端部のみ略同一平面とし中間部に幅の広い凹みを設けるなどして面圧を上げることも考えられる。
図5では、基部および先端部平面に狭い溝状の凹みを設けるとともに、中間部に幅の広い凹みを設けた実施例を示す。
【0024】
図6は本発明の保持具の概略斜視図である。
本発明の保持具は、前記挟持体の挟持片Bと一体化して、円環状またはC型円環状の杖保持部、小物バッグ等を掛ける掛止保持部などの保持部Dを設けたものである。
図6では、円環状の杖保持部を設けた実施例を示す。
【0025】
図7は本発明の保持具の使用状態を示す説明図である。
【0026】
図8は本発明の保持具の実施例の一態様を示す正面図である。
本発明の保持具は、前記挟持体の挟持片Bに対し、前記保持部Dを別体で製作し、接着、嵌合、圧入その他の手段により容易に一体化することができる。
図8は嵌合または圧入により前記挟持体と前記保持部を一体化した実施例を示す。
【符号の説明】
【0027】
A … 挟持片A
21 … 開閉操作部
22 … 挟持部
23 … 挟持部挟持面
25 … 連結回動部
28 … 挟持部先端
B … 挟持片B
31 … 開閉操作部
32 … 中間挟持部
33 … 上腕挟持部
36 … 中間挟持部挟持面
37 … 上腕挟持部下面
38 … 上腕挟持部下面先端
C … 弾圧部材
D … 保持部
P … 垂線の足

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間部分に連結回動部を有し、一端部に開閉操作部を設けるとともに他端部に挟持部を設けた一対の挟持片AおよびBにおいて、2つの挟持片A、Bを弾圧部材Cで連結回動部同士を対峙嵌合させ、挟持部が当接する方向に付勢された挟持体であって、
互いに形状が異なる2つの挟持片A、Bにおいて、一方の挟持片Aの挟持部はほぼ直線状とし、もう一方の挟持片Bの挟持部は対向する挟持片Aより長い中間挟持部とその先で挟持片Aの側に略直角に折曲した上腕挟持部を設け、
挟着する相手部材に対し、挟持片Bの上腕挟持部下面と中間挟持部挟持面の2面からなる鉤形挟持面と、挟持片Aの挟持部先端近傍で挟持作用点を構成する挟持体。
【請求項2】
開閉操作により挟持体を最大開度にしたとき、挟持片Aの挟持部先端から挟持片Bの上腕挟持部下面に下ろした垂線の足が当該下面内にある特許請求項1に記載される挟持体。
【請求項3】
挟持片Bの開閉操作部と中間挟持部はほぼ直線状であり、挟持片Aの開閉操作部と挟持部はほぼ直角に折れ曲がって、挟持片Aは挟持片Bに対し略90°開閉操作ができる構造である特許請求項1または2に記載される挟持体。
【請求項4】
特許請求項1,2または3に記載される挟持体の挟持片Bに対し、杖等を保持する円環状またはC型円環状の保持部、または小物バッグ等を掛ける掛止保持部である保持部Dが樹脂材料により一体成型加工された着脱式保持具。
【請求項5】
特許請求項1,2または3に記載される挟持体の挟持片Bに対し、杖等を保持する円環状またはC型円環状の保持部、小物バッグ等を掛ける掛止保持部である保持部Dは別体で製作され、接着、嵌合、圧入その他の手段により一体化された着脱式保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−45343(P2012−45343A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202440(P2010−202440)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(510243920)
【Fターム(参考)】