説明

振動スクリーン

【課題】振動スクリーンを停止せずにスリットの被選別物を取り除く振動スクリーン突き上げ部を具備する振動スクリーンを提供する。
【解決手段】トラフ7と、このトラフ7に設けられた振動搬送面を構成する振動搬送板2と、前記振動搬送面の搬送方向途中に搬送方向と直交する幅方向に沿って設けた1または2以上のスリット部13とを備えたものにおいて、スリット部13の近傍のトラフ7内に幅方向に沿って設置され、スリット部13に向かって突没可能に支持された突き上げ部と、この突き上げ部を少なくとも突出方向に駆動すべく突き上げ部に関連づけてトラフ7の外部に配置した手動操作部5とを更に設けることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動搬送中に発生した被選別物の詰まりを簡便に解消し、搬送効率を向上させた振動スクリーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、物品をふるい分けしながら搬送する機能を備えた搬送機の一つに、搬送路を振動させるようにした振動スクリーンが知られている。
【0003】
振動スクリーンは、トラフと、このトラフに設けられた振動搬送面と、前記トラフに振動を付与する加振機とを具備し、前記トラフを通じて振動搬送面を振動させることにより、物品を搬送するように構成される。
【0004】
その際、振動中に物品を選別したり、異物を除去するために、振動搬送面に篩い機能が一般に付与してある。この篩い機能として、振動搬送面に篩網を採用し、前記篩網上で被選別物を振動移送させながら、篩網から下方へ被選別物をふるい落とすものが特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0005】
また、振動搬送面の網以外の形態として、角孔、六角孔、丸穴などを有したパンチメタル、くし歯、グリズリバーなどが知られている。
【0006】
その他、篩網を用いるものではなく、残されるべき被選別物を一方向に整列させて搬送するために振動搬送面に横断面波状の板を採用しているような振動スクリーンでは、搬送路の途中の数ヶ所に搬送方向と直交する幅方向のスリットを設けることによって、被選別物をスリット部を介してふるい落とすものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−080411公報
【特許文献2】特開2002−347913公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記スリット部を採用した振動スクリーンにおいて、スリット部に被選別物が引っ掛かったり、堆積・成長したりして、前記スリット部でふるい落とされず、前記スリット部に詰まる事態が生じることがあり、スリット部の選別機能が低下するばかりか、堆積した被選別物が後方の被選別物の搬送の物理的妨げになったり、搬送路に残されるべき被選物を傷つける問題があった。
【0009】
そして、このような被選別物の詰まりを解消するために、その都度前記振動スクリーンの稼動を停止し、人の手によりスリット部に詰まったものを取り除くという作業が必要であった。このため、作業効率が著しく低下するという不具合があった。
【0010】
本発明は、このような振動搬送中にスリット部に発生する被選別物の詰まりを簡便に解消し、搬送効率を向上させた振動スクリーンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以上のような問題点を鑑み、次のような手段を講じたものである。
【0012】
すなわち、本発明の振動スクリーンは、トラフと、このトラフに設けた振動搬送面と、前記振動搬送面の搬送方向途中に当該搬送方向と直交する幅方向に沿って設けた被選別物を選別するための1または2以上のスリット部とを備えた振動スクリーンにおいて、前記スリット部の近傍のトラフ内に前記幅方向に沿って設置され、当該スリット部に向かって突没可能に支持された突き上げ部と、前記突き上げ部を少なくとも前記スリット部に対して突没する方向に駆動すべく当該突き上げ部に関連づけて前記トラフの外部に配置した操作部とを更に設けたことを特徴とする。
【0013】
このように構成すると、被選別物を振動によりスリット部から落下させることができると共に、操作部を通じて突き上げ部を駆動することでスリット部に詰まった被選別物を突き上げ部で下から上方に突き上げ、スリット部の詰まりを除去することができる。しかも、かかる操作部がトラフの外側にあるため、振動スクリーンを作動させながら行うことができ、稼動効率の低下に繋がることも有効に回避することができる。
【0014】
簡易な構成としては、前記突き上げ部は、回転軸によって回転可能とされ、駆動されないときは被選別物の落下をさまたげない位置に自重で退避するようにしておくことが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明した本発明によれば、適宜必要に応じて振動スクリーンを停止させることなく効率的にスリット部に詰まった被選別物を除去できるようにした振動スクリーンを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る振動スクリーンの側面図
【図2】同振動搬送機の平面図
【図3】図1における断面矢視図
【図4】図1におけるC部拡大図
【図5】図1の振動スクリーンにおける要部断面図
【図6】図1の振動スクリーンにおける要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は振動スクリーン1の側面図、図2は振動スクリーン1の平面図で、搬送方向は図面左側を上流とし、図面右側を下流とする。
【0019】
振動スクリーン1は、図2に示すように、振動搬送面を構成する3枚の振動搬送板2が上流から下流に向かって、当該振動搬送面の高さが段々に低くなるように付設され、振動搬送板2はボルトによりトラフ7に固定されている。振動スクリーン1の下方には、図1に示される電磁フィーダー6が設置され振動スクリーン1を振動させる。
【0020】
被選別物は振動スクリーン1の最上流に位置する投入口3より投入され、振動スクリーン1の上流から下流へ振動搬送板2の上を振動を受けながら搬送されていく。
【0021】
図3(a)は図1でのA−A矢視での振動搬送板2の断面図であるが、振動搬送板2はこの実施形態ではスリットを有さない波形のステンレス板であり、波形の形状は振動搬送されてくる被選別物のうち、ふるい落とされずに搬送路に残されるべき、棒状の金属材などを一方向に整列させながら搬送するためのものである。
【0022】
図2および図3(a)のように、3枚の振動搬送板2は、その波形断面方向と搬送方向とがお互いに直角になるように配置され、振動搬送板2,2間に被選別物を落下させる為のスリット部13が振動スクリーン1の幅方向に設けられている。この際、スリット13の幅は、トラフ7に長手方向に沿った長孔7a(図1参照)を設けその長孔7aに挿入するボルト7bの位置を調整することにより、変更することが出来る。
【0023】
以上の構成に加えて、本実施形態は、図2及び図4のように前記スリット部13の上流側近傍に、スリット部13に詰まった被選別物を除去するため突き上げ部15を設けている。
【0024】
この突き上げ部15は、図5および図6に示すように、角棒10aの両端を丸棒10bに加工した回転軸10とL字形の突き上げ板9とで構成され、前記突き上げ板9が被選別物と接触する先端部12の厚みはスリット部13の空隙より小さく設計されている。前記突き上げ板9は基端を前記回転軸10の角棒10aにねじ留めされ、前記回転軸10は図3(b)および図5のように、トラフ側面を切削加工して設けられた開口部11を貫通し、トラフ7の外側でその両端近傍を図2及び図3に示す支持部4により支持され、その一方の軸端部に手動操作部5を具備している。この実施形態の手動操作部5は、前記回転軸10の軸端部に基端を固定されて軸と直交する方向に延びるアーム5aと、このアーム5aの先端に回転自在に取り付けたハンドル5bとを備えており、手動操作部5を回転させることにより、突き上げ板9の先端部12をスリット部13に突入させることができる。
【0025】
支持部4はトラフ7から独立して設置されているため、この支持部4に支持された前記突き上げ部15は前記振動スクリーン1の振動の影響を受けにくく、手動操作部5の操作が容易である。
【0026】
回転軸10はスリット部13から搬送方向上流側に偏位した位置に配置され、突き上げ板9は手動操作部5に操作力が加わらないときに図5および図6に想像線で示すように回転軸10の下方に先端部12が位置するように回転軸10への取付位置が設定されている。すなわち、手動操作部5を回転させ突き上げ板9をスリット部13に突入させたときには突出位置9aに移動し、手動操作部5への操作力を解除したときには自重でスリット部13からもその下方からも退避して退避位置9bに移動して、スリット部13からの被選別物の落下を妨げることがないようにしている。
【0027】
以上のように、本実施形態の振動スクリーンは、トラフ7と、このトラフ7に設けられて振動搬送面を構成する振動搬送板2と、前記振動搬送面の搬送方向途中に搬送方向と直交する幅方向に沿って設けた1または2以上のスリット部13とを備えたものにおいて、スリット部13の近傍のトラフ7内に幅方向に沿って設置され、スリット部13に向かって突没可能に支持された突き上げ部15と、この突き上げ部15を少なくとも突出方向に駆動すべく突き上げ部15に関連づけてトラフ7の外部に配置した手動操作部5とを更に設けたものである。
【0028】
このように構成すると、被選別物を振動によりスリット部13から落下させることができると共に、手動操作部5を通じて突き上げ部15を駆動することでスリット部13に詰まった被選別物を突き上げ部15で下から上方に突き上げ、スリット部13の詰まりを除去することができる。しかも、かかる手動操作部5がトラフ7の外側にあるため、振動スクリーン1を作動させながら行うことができ、稼動効率の低下に繋がることも有効に回避することができる。
【0029】
その上、前記突き上げ部材15は、回転軸10によって回転可能とされ、駆動されないときは被選別物の落下をさまたげない位置に自重で退避するようにしているので、スリット部13の詰まりを除去する操作さえ加えれば、後は無造作に操作を止めても適正な搬送動作を引き続き続行させることができて、使い勝手の良好なものとなる。
【0030】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0031】
例えば、本実施例では振動搬送面を構成する振動搬送板は波形であったが、平板などその他の形状の振動搬送板でも有効である。
【0032】
さらに、本実施例では、被選別物の詰まりを取り除く突き上げ部材はL字形板材としたが、板状のものでなくても、櫛状、波状など被選別物を押し上げ取り除く突き上げ部材であればよい。また、前記L字板は回転軸にネジ留めされるとしたが、回転軸と一体成型された鋳造品などでも良い。
【0033】
さらにまた、本実施例では、突き上げ板の設置位置を各スリット部の上流側近傍としたが、被選別物の落下の妨げにならなければ、下流側に設置してもよい。
【0034】
その他、本実施例では、手動操作部にてハンドルを回転させることによって、所望の効果を得ることとしたが、電動アクチュエータなど外部動力による駆動であっても良い。
【0035】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1・・・振動スクリーン
5・・・手動操作部
7・・・トラフ
10・・・回転軸
13・・・スリット部
15・・・突き上げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラフと、このトラフに設けた振動搬送面と、前記振動搬送面の搬送方向途中に当該搬送方向と直交する幅方向に沿って設けた被選別物を選別するための1または2以上のスリット部とを備えた振動スクリーンにおいて、
前記スリット部の近傍のトラフ内に前記幅方向に沿って設置され、当該スリット部に向かって突没可能に支持された突き上げ部と、
前記突き上げ部を少なくとも前記スリット部に対して突没する方向に駆動すべく当該突き上げ部に関連づけて前記トラフの外部に配置した操作部とを更に設けたことを特徴とする振動スクリーン。
【請求項2】
前記突き上げ部は、回転軸によって回転可能とされ、駆動されないときは被選別物の落下をさまたげない位置に自重で退避することを特徴とする請求項1に記載の振動スクリーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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