説明

捕獲具

【課題】 水中で網を飛ばして獲物を傷つけることなく捕獲する道具を提供する。
【解決手段】 本発明の捕獲具は、発射装置に装填される細長い基部と、当該基部の先端に開口部を前に向けて取り付けられた袋状または籠状の網部と、前記発射装置から打ち出された後に前記網部の開口を閉じる閉鎖手段とを具える。網部には骨格部材を設けて保形する。閉鎖手段は発射装置と捕獲部とを繋ぐ連結紐を具え、連結紐が引っ張れれることにより網部の開口が閉じるように構成する。使用者が対象物までの距離を連結紐の長さ範囲内にとり、対象物に向けて捕獲具1を発射すると、捕獲具は開口部を前に向けて進み、その過程で対象物が網部内に収容される。連結紐が伸びきった状態で開口部が閉じ、対象物が網部内に捕獲される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレジャー用品としての捕獲具に関し、特に、水中で網を発射して対象物を捕獲する捕獲具に関する。
【背景技術】
【0002】
水中で魚などを捕獲する道具に水中銃がある(例えば、特許文献1)。水中銃は、細長い銛を銃身部にセットし、ゴムの反動力を利用して銛を射出する。銛の先端は鋭利な矢尻となっており、射出された銛を獲物に突き刺して捕獲する。
【0003】
また、水中用ではないが、網を発射装置から打ち出して対象物を捕獲する捕獲具がある(例えば、特許文献2)。このような捕獲具では、一枚の網の外縁部に複数の錘が取り付けられており、射出されたときにこの錘が広がって飛び、網が対象物に被さるよう構成されている。また、特許文献3に記載の器具では、糸で弓に連結された弓矢の先端カートリッジに網が仕込まれており、発射された矢が糸の長さだけ進むと急停止し、そこでカートリッジから網が飛び出すようにした捕獲具が開示されている。
【特許文献1】特開2000−105099号公報
【特許文献2】特開2003−125697号公報
【特許文献3】実開平06−64478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばダイビングやシュノーケリングなどのマリンレジャーでは、水中を泳ぐ魚に近接することができるが、魚は海中を自由に泳いでおり、もっと近くでじっくり観察したいと思っても容易に捕まえられるものではない。このような目的で魚を捕獲するのに上記の水中銃などを用いることが考えられるが、水中銃に用いられる銛は先端が尖っており、捕獲対象物を傷つけてしまうという不具合がある。
【0005】
また、上記特許文献2,3のような捕獲具は陸上では有効だが、水中では網が水の抵抗を受けてうまく進まず、また対象物に当たっても網がうまく被さらず捕獲が困難であるという不具合がある。
【0006】
本発明は、水中でも真っ直ぐに進み、獲物に当たった後に網の口を閉じて獲物を捕獲するレジャーに好適な捕獲具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の捕獲具は、捕獲対象物に向けて打ち出される細長い基部と、当該基部の先端に開口部を前に向けて固定された袋状または籠状の網部と、前記捕獲対象物に向けて打ち出された後に前記網部の開口を閉じる閉鎖手段と、を具えることを最も主要な特徴とする。
【0008】
この捕獲具は、前記基部の後端部に、例えば環状のゴムでなる発射手段を設けて構成してもよいし、例えば水中銃のような発射手段に装填されそこから打ち出されるように構成してもよい。
【0009】
好適な実施例において、前記網部は、該網部を袋状または籠状に保持する骨格部材と、当該骨格部材に張り渡された網状素材とを具え、各骨格部材がその根本または中間部から内側に回動する回動軸を具えることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記発射装置に連結された適宜長さの連結紐を具え、当該連結紐が引っ張られることにより前記網部の開口が閉じるよう構成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の捕獲具において、前記基部が筒状であるとともに、前記連結紐が当該基部に貫挿されており、その先端部で枝分かれして前記骨格部材の各々に連結されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の捕獲具において、前記閉口手段は、前記網部の開口にほぼ等間隔で取り付けられた複数の磁石を具えることを特徴とする。
【0013】
本発明の捕獲具において、前記網部は折り畳み可能であることを特徴とする。
【0014】
本発明はまた、上記の捕獲具を発射するための発射装置であって、前記基部を装填する銃身と、前記捕獲具を発射する動力となる弾性部材と、前記捕獲具を係留しトリガ操作により係留状態を解除する発射機構と、を具えることを特徴とする発射装置に関する。
【0015】
また、本発明は、上記の捕獲具と、発射装置とを具える捕獲具セットに関する。
【0016】
この捕獲具または捕獲具セットにおいて、前記捕獲具および/または発射装置は耐水性および/または耐塩分性を有する材料でなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の捕獲具は、細長い基部を具えるため十分な重量と指向性を有し、また基部の先端に開口部を前に向けた袋状または籠状の網部が固定されているため、水の抵抗がある場合でも対象物に向けて発射し、網部に対象物を収めることができる。また、発射後に開口部を閉じる閉鎖手段を具えるため、対象物を囲い込んだ状態で網を閉じて確実に捕獲することができる。
【0018】
また、発射装置から連結紐を延ばして捕獲具に連結し、当該連結紐が引っ張られたら開口部を閉じる構成としたため、電気的・電子的な構成によらず機械的構成により閉口手段を構成することができ、水中でも安全且つ確実に対象物を捕獲する捕獲具を提供することができる。
【0019】
また、網部を骨格部材とこれに張り渡された網状素材で構成しているため、水の抵抗が少なく、また水中でも形が崩れることなく進んで対象物を捕獲することができる。
【0020】
また、捕獲具が発射装置に連結されており、発射された捕獲具が連結紐の長さだけ進んだら連結紐が引っ張られることにより網部の開口を閉じる構成としたため、連結紐の範囲内に位置する対象物を網部で捕らえた後に確実に捕獲することができる。
【0021】
また、網部の開口にほぼ等間隔で磁石を取り付け、口が閉じたときに磁石が互いに磁着する構成としたため、捕獲後に網部が開口して獲物が逃げてしまう事態を防止することができる。
【0022】
さらに、網部を折り畳み可能に構成しているため、不使用時にコンパクトに折り畳んで運搬し保管することができる。
【0023】
また、この捕獲具を発射する手段を、基部の後端部に取り付けた紐状弾性部材で構成することにより、簡単且つ安価な捕獲具を提供することができる。あるいは、発射手段を、前記基部を装填する銃身と、前記捕獲具を発射する動力となる弾性部材と、前記捕獲具を係留しトリガ操作により係留状態を解除する発射機構とで構成すると、火薬等を不要として水中でも安全に発射することが可能となる。ここで弾性部材にはゴム、バネ、スプリング等を好適に用いることができる。
【0024】
さらに、上記捕獲具や発射装置を耐水性および/または耐塩分性の材料で構成しているため、水中での使用にも錆び付かず長期に亘り使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る捕獲具を実施するための最良の形態を、添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は本発明に係る捕獲具セットの第1実施例の構成を示す斜視図である。図1に示すように、捕獲具セットは、捕獲具1と、発射装置2とからなり、これらは連結紐3で連結されている。捕獲具1は細長い基部11を具え、その先端には袋状または籠状の網部12が開口部を前に向けて取り付けられている。基部11は、例えば鉄などの金属に耐水・耐塩分性・防錆処理を施した筒状体でなり、連結紐3はこの基部11に挿通されている。連結紐3の長さに制限はないが、発射装置2の射程距離内(例えば2m〜5m程度)に設定される。連結紐3は、例えばナイロン製の細いロープを用いることができる。
【0027】
発射装置2は、捕獲具1の基部11をセットするための銃身21と、捕獲具1を発射する動力となるゴムバンド22aと、捕獲具1を係留しトリガ操作によりリリースする発射機構23とを具えている。銃身21の先端には基部1を通すリング22bが形成されている。捕獲具1の基部11を後側からリング22bに通し、基部11の後端部に設けられた切れ込み24のいずれかにゴムバンド22aに取り付けられた金属部材を引っかけ、手元側に引っ張って発射機構23に係留する。トリガ操作により係留状態が解除され、ゴムバンド22aがパチンコのように動作して捕獲具1がガイドレールに沿って前方に勢いよく発射される。銃身21の先端には連結紐3の端部が連結されている。これらはいずれも耐水性・耐塩分性を有する材料が用いられている。この発射装置は従来の水中銃の構成をそのまま用いることができるため、各要素についてこれ以上の詳細な説明は省略する。なお、発射装置2は図1に示す構成のものに限らず、公知の様々な発射機構を用いることができる。例えばゴムの反発力によらずバネやスプリングを用いるようにしてもよいし、照準器を設けてもよい。また、発射装置2は連結紐3の巻き取りおよび繰り出しが可能なリールを具えていてもよい。
【0028】
図2は、網部12の構造を示す拡大図である。図2に示すように、網部12は筒状の基部11の先端に取り付けられており、網部12の形を袋状または籠状に保持する4本の骨格部材14と、当該骨格部材間にゆとりを持って張り渡された網15と、網部12の開口にほぼ等間隔で取り付けられた複数の磁石16とを具えている。骨格部材14は耐水・耐塩分性を施した金属材や樹脂材でなり、基部11の先端からそれぞれ基部11の前方斜め外側方向へ延在している。磁石16は例えば異方性フェライトなど錆びないものを用いるか、防錆コートを施したものを用いる。各骨格部材14の中間部には回動軸17が設けられており、骨格部材14の自由端側はそれぞれ内側に回動可能である。各骨格部材14の自由端側には、基部11内で分岐された連結紐3が連結されている。したがって、基部11の後端部側から連結紐3を引っ張ると、各骨格部材14の自由端部側が回動し、網部12の開口が狭まって閉鎖される。網部12が閉じたときに磁石16が互いにくっつき、その後に連結紐3が緩んだ場合にも網部12の閉鎖状態が保たれる。
【0029】
図3は、本実施例の骨格部材14と基部11との結合構造を示す分解斜視図である。本実施例では、それぞれ対角にある骨格部材14が根元で一体となっており、2つのV字型部材14a、14bの組み合わせで構成されている。各V字型部材14a、14bの屈曲部分18の中央にそれぞれ前側と後側に切り込み20a、20bが設けられており、これらの切り込み20aと20bを組み合わせると骨格部材14a、14bが十字型をなすよう設計されている。一方、基部11の前端部には断面を4分割した位置に切り込み19が設けられており、十字型に組み合わせた骨格部材14をこの切り込み19に嵌挿して固定するようにしている。また、図3に示すように骨格部材14は平板部材を縦に用いるようにして、捕獲具1が水中を進む際の抵抗を少なくしつつ強度を確保している。
【0030】
骨格部材14の回動部17は、発射の際あるいは水中を進む際に水の抵抗を受けても回動せず、連結紐3が引っ張られたときに回動して網部12を閉じることが条件となる。例えば、骨格部材14の回動範囲が、捕獲具1の進行方向と平行あるいは進行方向に対して若干開いた状態と網部12が閉じた状態との間となるよう、骨格部材14の回動部分にストッパ構造を設けてもよいし、各骨格部材14に連結された連結紐3をそれぞれ図2および図3に示す屈曲部18がなす十字型の窓に別々に通したところで結び、連結紐3が図2に示す長さ以上に網部12側に繰り出ないようにして回動部17の回動範囲を制限してもよい。本実施例の捕獲具1では、骨格部材14の自由端部側は最も開いた状態で捕獲具1の進行方向と平行となるよう構成して、進行時の水の抵抗が最小限となるようにしている。他の実施例ではこれをもう少し開き気味にして、水中を進む際に水の抵抗により網部12が開いた状態が確実に保たれるようにしてもよい。図2に示すように骨格部材14は回動軸17において角度が設けられており、連結紐3が引っ張られたときに骨格部材14の自由端部側が確実に内側に折れ曲がるようにしている。
【0031】
上記構成により、網部12が水の抵抗を受けても変形することなく水中を進み、その走行中に対象物を網部12内に捕獲することができる。また、不使用時には、図3に示すV字型部材14bを引っ張り、他方のV字型部材14aから分離させることにより、V字型部材14aと14bとを重ねて網部12を平らに折り畳むことができる。なお、折り畳む際の障害とならないよう、網13は十分弛ませて緊結あるいは熱圧着などの手段により確実に骨格部材14に取り付けられている。
【0032】
捕獲具1を発射装置2にセットして発射させると、捕獲具1は連結紐3の長さだけ進み、連結紐3が伸びきった瞬間に骨格部材14の回動部分が引っ張られて網部12の開口が閉じる。図4は、網部12が閉じたイメージを示す図である。本図において、網はその輪郭のみ示す。網部12が閉じた段階で開口部に取り付けてある磁石16が互いにくっつき、その後に連結紐3が緩んだ状態でも閉鎖状態が保たれる。なお、磁石の数を多くすれば網部12を閉じた場合の隙間が小さくなるが、その分捕獲具1の重量が増してしまうため、磁石の数は捕獲具1の素材、強度や総重量等の実施環境を総合的に勘案して適宜決定するものとする。本実施例では4本の骨格部材14の先端にそれぞれ磁石を取り付けて、骨格部材14が開いてしまわないようにしている。
【0033】
捕獲具セットの使用者は、捕獲対象物までの距離を連結紐3の長さ範囲内にとり、対象物に向けて捕獲具1を発射する。細長い基部11が方向性を保ち、骨格部材14が網部12の形状を保持するため、捕獲具1は開口部を前に向けたままそのままの形で進み、その過程で対象物が網部12内に収容される。その後も捕獲具1は連結紐3の長さまで進み、連結紐3が伸びきった状態で開口部が閉じ、対象物が網部12内に捕獲される。捕獲具1が進んでいる間、収容された対象物は網部12内で基部11側に押しつけられた状態となるため脱出することがなく、捕獲具1が止まる時点で網部12が閉じられるため対象物を傷つけることなく捕獲することができる。
【実施例2】
【0034】
図5は、本発明に係る捕獲具30の第2実施例の構成を説明するための斜視図である。図5に示すように、本実施例の捕獲具30では骨格部材32が「くの字」型に形成されており、基部31の先端に枢着されている。各骨格部材32の根元は、図4に示す延在角度でその端面が基部31の外側面に当接するよう斜めに形成されている。したがって、骨格部材32は図5に示す状態が最も開いた状態となり、この状態と捕獲具30を閉じる状態との間で回動可能である。また、各骨格部材31に取り付けられた連結紐3は比較的短く、網部の中央付近で合流する構成となっている。その他の構成は第1実施例の捕獲具と同様である。
【0035】
このように捕獲具を構成しても、対象物に向けて発射して好適に捕獲することができる。本実施例の捕獲具30を発射すると対象物に向かって勢いよく進み、対象物を網部内に収容する。このとき対象物が網部内で連結紐3に当たると連結紐3が基部31側に引っ張られ、これに連結された骨格部材32が回動して捕獲具30が閉じる。また、対象物が連結紐3に当たらない場合でも捕獲具30が射程距離だけ進むと連結紐3が引っ張られて捕獲具30が閉じる。捕獲具30が閉じたときには開口部に取り付けられた複数の磁石が互いにくっつき合い閉じた状態が維持される。このようにして対象物を殺傷することなく好適に捕獲することができる。
【実施例3】
【0036】
図6は、本発明に係る捕獲具の第3実施例の構成を示す図である。本実施例の捕獲具40は、網部41の開口部に柔らかいガード部材42を配設して構成されている。このガード部材42は、例えば直径0.05〜0.3mm程度の太めのナイロン糸を、網部41の開口部の全周に亘り目の粗いループまたはコイル状に縫い込んだものであり、網部41が開いているときはクッション材としての役割を果たし、網部41が閉じたときは閉塞部材としての役割を果たす。すなわち、ガード部材42はループまたはコイル状のナイロン糸であるため弾力性に富み、捕獲具40が発射されたときに捕獲対象物に当たっても傷つけることがない。また、図4に示すように、網部41が閉じたときには開口部に取り付けられた磁石が互いにくっついて閉じた状態を保持するが、磁石の数が少ないと各磁石間に延在する網15が弛んで隙間が生じてしまう可能性がある。本実施例によれば、図6(b)に示すように、開口部の網15が弛んだ場合でもガード部材42が隙間を埋めるように延在し、網部41内に捕獲した魚などが逃げ出してしまうのを防止できる。なお、その他の構成要素は図2に示す捕獲具1と同様である。
【実施例4】
【0037】
図7は、本発明に係る捕獲具の第4実施例の構成を示す図である。本実施例の捕獲具50では、骨格部材51がL字型に形成された可撓性材料でなり、L字の短辺側が基部52にそのまま固定されている。各骨格部材51の先端には磁石53が取り付けられている。また、捕獲具4の開口部は巾着型に構成されており、その口紐54が基部52から延びる連結紐3に連結されている。
【0038】
本実施例の捕獲具50では、連結紐3が引っ張られると、これに連結された口紐54が引っ張られて開口が巾着のように狭まり、これにより骨格部材51が撓んで四角錐に近い形状となり、捕獲具50の開口が閉鎖される。閉鎖時には磁石53が互いにくっつき、その後に連結紐3が緩んだ場合でも閉鎖状態が維持される。このようにして、捕獲具50内に獲物を捕獲することができる。
【0039】
図8は、本発明に係る捕獲具の第5実施例の構成を示す図である。本実施例の捕獲具60は、図1に示すような発射装置2を用いることなく、それ自体手動で打ち出せるよう構成されている。すなわち、図8(a)に示すように捕獲具60の後端部には例えば環状のゴムバンド61でなる発射手段が取り付けられており、これを図8(b)に示すように片手に持ってゴムバンド61を引っ張り、その手で基部62のできるだけ網部側を掴む。この状態から捕獲具60を対象物に向け、基部62を掴んでいる手を離すと、ゴムバンド61の作用により捕獲具60が対象物に向けて打ち出される。この場合連結紐3は基部62の後端部から別途延在しており、これを別の手で保持しておき、捕獲部60の網部に対象物が入ったら連結紐3を引っ張るようにする。このように構成すれば、比較的大がかりで嵩張る発射装置2を用いることなく、手軽に水中での魚採りを楽しむことができる。
【0040】
なお、ゴムバンド61は環状に構成されている必要はないが、手に引っかけることを考慮すると環状に構成するのが望ましい。この場合のゴムバンド61の長さは基部62の長さやゴムの柔らかさ等の実施環境に応じて適宜決定されるものとする。また、ゴムバンド62と基部61を連結する部材63は基部62の後端部に着脱可能に構成して、基部62を図1に示す発射装置2に適用可能に構成してもよい。すなわち、基部62の後端部に雄ねじを切るとともに、筒状の部材63の内周に雌ねじを構成して、両者が螺合するように構成する。基部62の後側に図1に示すような切れ込み24を設けておけば、部材63を取り外して連結紐3を連結することにより、この捕獲具60を発射装置2に適用して使用することができる。なお、本実施例における他の構成要素、すなわち網部や連結紐の詳細は図1〜図7に示す捕獲具と同様であり、重複する説明はここに省略する。
【0041】
本発明の捕獲具について幾つかの実施例を示しながら説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施例の範囲に限定されるものではなく、他の様々な実施例を考えることができる。例えば、上記実施例ではいずれも骨格部材を4本用いているが、これは3本であっても、5本以上であってもよい。また、図7に示す巾着型の構成は図2〜図6に示す実施例に適用してもよいし、逆に図2〜図6に示す閉鎖手段の構成を図7の実施例に適用することも可能である。また、上述の実施例では捕獲具の開口部に複数の磁石を取り付けて閉鎖後に開かないようにしているが、これは閉鎖後に連結紐が緩んでも捕獲具が開かない目的を達成できるものであれば磁石以外の手段を用いてもよい。例えば、筒状の基部内に連結紐が一方向にのみ進むラチェット機構を組み込んでおき、連結紐3が引っ張られたらラチェット機構を解除するまで戻らないようする。この場合も連結紐3が緩んでも捕獲具の閉鎖状態を保つことができる。また、上記実施例では捕獲具の開口部に複数の磁石を取り付けているが、総てが磁石である必要はなく、一部を磁石として残りを磁石にくっつく材料としても、互いにくっついて網部を閉鎖しておく目的を果たすことができる。
【0042】
さらに、上記実施例の基部はいずれも筒状体であり連結紐3をこれに挿通させているが、基部に棒状体を用いて連結紐を網部のすぐ後側から延在させるようにしてもよい。また、発射装置側に連結紐3の繰り出し/巻き取りが自在なストッパ付のリールを設け、捕獲具の発射後に所望の距離でストッパを作用できるように構成してもよい。これにより、捕獲具の開口を所望の位置で閉じることができ、より確実に対象物を捕獲することができる。
【0043】
その他、各構成要素の寸法や形状、用いる材料などは本発明の捕獲具を使用する目的や環境に合わせて適宜決定されるものとする。また、本発明の捕獲具は水中で使用する目的に限らず、陸上すなわち空中で発射して対象物を捕獲する目的にも使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る捕獲具は、発射装置に装填される細長い基部と、当該基部の先端に開口部を前に向けて取り付けられた袋状または籠状の網部と、前記発射装置から打ち出された後に前記網部の開口を閉じる閉鎖手段とを具えるため、水中で魚などに向けて発射して傷つけることなく捕獲することができ、ダイビングやシュノーケリングなどのマリンスポーツに好適に利用できる他、陸上でも昆虫採集等の目的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】捕獲具セットの構成を示す斜視図である。
【図2】捕獲具の構成を示す斜視図である。(実施例1)
【図3】第1実施例の捕獲具の部分分解斜視図である。
【図4】第1実施例の捕獲具が閉じた状態を示す図である。
【図5】捕獲具の構成を示す斜視図である。(実施例2)
【図6】捕獲具の構成を示す斜視図である。(実施例3)
【図7】捕獲具の構成を示す斜視図である。(実施例4)
【図8】捕獲具の構成を示す図である。(実施例5)
【符号の説明】
【0046】
1,30,40,50、60 捕獲具
2 発射装置
3 連結紐
11,31, 基部
12,41,52 網部
14,32 骨格部材
15 網
16 磁石
17 回動軸
21 銃身
22 ゴムバンド
23 発射機構
42 ガード部材
54 口紐

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射装置に装填される細長い基部と、当該基部の先端に開口部を前に向けて取り付けられた袋状または籠状の網部と、前記発射装置から打ち出された後に前記網部の開口を閉じる閉鎖手段と、を具えることを特徴とする捕獲具。
【請求項2】
捕獲対象物に向かって打ち出される細長い基部と、当該基部の先端に開口部を前に向けて取り付けられた袋状または籠状の網部と、前記捕獲対象物に向かって打ち出された後に前記網部の開口を閉じる閉鎖手段と、前記基部の後端部に取り付けられる発射手段と、を具えることを特徴とする捕獲具。
【請求項3】
請求項2に記載の捕獲具において、前記発射手段は、前記基部の後端部に取り付けられた紐状弾性部材であることを特徴とする捕獲具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の捕獲具において、前記網部が、該網部を袋状または籠状に保持する骨格部材と、当該骨格部材に張り渡された網状素材とを具え、各骨格部材はその根本または中間部から内側に回動する回動軸を具えることを特徴とすることを特徴とする捕獲具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の捕獲具がさらに、前記発射装置に連結された適宜長さの連結紐を具え、当該連結紐が引っ張られることにより前記網部の開口が閉じるよう構成されていることを特徴とする捕獲具。
【請求項6】
請求項5に記載の捕獲具において、前記基部が筒状体であるとともに、前記連結紐が当該基部に貫挿され、その先端部で枝分かれして各骨格部材に連結されていることを特徴とする捕獲具。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の捕獲具において、前記網部の開口にほぼ等間隔で取り付けられた複数の磁石を具えることを特徴とする捕獲具。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の捕獲具において、前記網部が折り畳み可能であることを特徴とする捕獲具。
【請求項9】
請求項1、4乃至8のいずれかに記載の捕獲具を発射するための発射装置であって、前記基部を装填する銃身と、前記捕獲具を発射する動力となる弾性部材と、前記捕獲具を係留しトリガ操作により係留状態を解除する発射機構と、を具えることを特徴とする発射装置。
【請求項10】
請求項1、4乃至9のいずれかに記載の捕獲具と、請求項6に記載の発射装置とを具える捕獲具セット。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の捕獲具または捕獲具セットにおいて、前記捕獲具および/または発射装置が耐水性および/または耐塩分性を有する材料でなることを特徴とする捕獲具または捕獲具セット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate