説明

掃除機用吸い込み口

【課題】衣服等に付着した花粉等を簡単に吸引除去できる新規な掃除機用吸い込み口を提供する。
【解決手段】掃除機用吸い込み口として、吸い込み口本体は、一方にはホースの接続部を有し、他方には吸引開口部を形成してなり、この吸引開口部にフィルター受け台とこれを覆う外蓋とを着脱可能に嵌着し、当該フィルター受け台と外蓋との間に集塵フィルターを挟定可能とするという手段を採用した。そして、上記フィルター受け台は、上記吸引開口部の開口周縁に設けた凹部と上記フィルター受け台の側周面に設けた係止爪との係合により嵌着固定可能とし、上記外蓋は上記吸引開口部の周囲の一部に設けたヒンジ部を介して開閉可能に嵌着する。上記集塵フィルターは、少なくとも花粉が通過しない目巾を有する不織布とし、一辺につまみ部を突出して設ける。または、上記集塵フィルターとして不織布マスクを使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衣服、カーテン、絨毯、布団などの表面に付着した花粉やダニの死骸、糞、放射性物質を含む各種の粉塵等を掃除機により吸引除去するための掃除機用吸い込み口に関するもので、吸い込み口に集塵フィルターを設置してこれらを簡単に捕捉・廃棄できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衣服やカーテンなどの表面に付着した花粉やダニの死骸などを除去するためには、手やブラシなどで払い落としたり、また、掃除機で吸引するなどしていた。しかしながら、手で払い落とすのでは、それらは周囲に飛散するのみで除去したことにはならず、再度衣服等に付着することも多い。また、払い落として空中に飛散した花粉等を吸い込むと、様々なアレルギー疾患を誘発する要因ともなる。
【0003】
一方、掃除機によって吸引する場合、特許文献1に示すように、衣服等の吸い込みを防止するようにした吸い込み口はあるが、花粉等を確実に捕捉するという目的に適したアタッチメントはほとんどないのが現状である。また、床掃除などに使うアタッチメントをそのまま衣服等に使用するのは構造上問題があると共に、衛生面からの抵抗もある。
【0004】
また、掃除機で吸引する場合、掃除機内に設置された着脱式や使い捨ての濾紙による集塵フィルタで花粉等を捕捉する構造が一般的であるが、従来の集塵フィルタでは、そのメッシュの目の大きさによって捕捉できる塵埃が限られ、花粉やダニの死骸、糞などの微粒子を完全に捕捉するすることは困難であった。そのため、集塵フィルタを通過した花粉等を排気と共にまき散らすおそれがあった。一方、メッシュの目が細かい場合には、集塵フィルタがすぐに目詰まりを起こし、吸引力が急激に低下すると共に、集塵フィルタの交換頻度が増大するという問題がある。
【0005】
そのため、例えば特許文献2に開示されたような電気掃除機が提案されている。即ち、掃除機本体内において、機械式集塵フィルタと電動吸引機との間に、静電式の空気清浄器を配設したものである。この掃除機によれば、集塵フィルタでは除去することのできなかった微粒子等を静電式の空気清浄器で吸着し、排気を清浄な空気とすることができるので、健康を害するような排気を排出しないことが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3037458号
【特許文献2】特開平9−182705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記電気掃除機は、放電極板と集塵極板とからなる一対の帯電板間に高電圧を印加し、塵埃を帯電させて吸着する構造であるから、掃除機の構造が複雑となるとともに、その価格も高価なものとなるという課題がある。また、上述したように、衣服等に適応する形状のアタッチメントを別途用意する必要もある。
【0008】
一方で、上述した従来の掃除機内に設置する着脱式や使い捨ての濾紙による集塵フィルタでは、その処分に手間がかかり、特に、放射能汚染における除染作業で使用した集塵フィルタの処分は、法的問題もあり、面倒であった。
【0009】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、一般家庭で使用する掃除機をそのまま使用し、それに取り付ける簡易なアタッチメントとして、新規な掃除機用吸い込み口を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、掃除機用吸い込み口として、吸い込み口本体は、一方にはホースの接続部を有し、他方には吸引開口部を形成してなり、この吸引開口部にフィルター受け台とこれを覆う外蓋とを着脱可能に嵌着し、当該フィルター受け台と外蓋との間に集塵フィルターを挟定可能とするという手段を採用した。
【0011】
そして、上記フィルター受け台は、上記吸引開口部の開口周縁に設けた凹部と上記フィルター受け台の側周面に設けた係止爪との係合により嵌着固定可能とし、上記外蓋は上記吸引開口部の周囲の一部に設けたヒンジ部を介して開閉可能に嵌着するという手段を採用した。
【0012】
また、上記フィルター受け台と外蓋はそれぞれクシ状に形成し、そのクシ状部分は互いに直交する方向に設けるという手段を採用した。
【0013】
さらに、上記外蓋の外周縁に植毛を施してブラシ部を形成するという手段を採用した。
【0014】
一方、上記集塵フィルターは、少なくとも花粉が通過しない目巾を有する不織布とし、一辺につまみ部を突出して設けるという手段を採用した。
【0015】
また、上記集塵フィルターとして不織布マスクを使用するという手段を採用した。
【発明の効果】
【0016】
上記構成に係る本発明の掃除機用吸い込み口は、吸い込み口本体の吸引開口部にフィルター受け台及び外蓋で挟定して集塵フィルターを取り付けているので、この集塵フィルターによって、花粉やダニの死骸などの塵埃を確実に捕捉することができるものである。
【0017】
そのため、一般家庭で使用する掃除機を利用して、簡単な構造によって各種の塵埃を確実に捕捉、廃棄できる優れた発明である。
【0018】
そして、外蓋をヒンジ部を介して開閉可能としているので、容易に集塵フィルターをセットできる。
【0019】
また、外蓋にさらにブラシ部を形成したことによって、ブラシ部で衣服等の表面の花粉等を掻き落としながら吸引することが可能となり、より確実に花粉等を吸引、除去できるようになった。
【0020】
また、集塵フィルターの目巾を花粉が通過しない目巾として、有害な花粉を確実に捕捉できると共に、つまみ部を突出して設けたので、つまみ部を持つことによって花粉等を捕捉した面に手を触れることなく廃棄処理が可能であり、衛生的である。
【0021】
また、集塵フィルターとして市販の不織布マスクを使用することもできるので、汎用性があり経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る掃除機用吸い込み口の実施形態を示すもので、(A)は分解斜視図、(B)は組立途中図、(C)、(D)は斜視図である。
【図2】(A)は吸い込み口の底面図、(B)はそのA−A線断面図、(C)はB−B線断面図である。
【図3】吸い込み口に集塵フィルターをセットする場合の説明図である。
【図4】上記集塵フィルターの代わりに市販の不織布マスクをセットする場合の説明図である。
【図5】周縁に植毛を施した実施形態を示すもので、(A)は斜視図、(B)は底面図、(C)はそのA−A線端面図、(D)はB−B線端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る掃除機用吸い込み口の好ましい実施形態を、添付した図面に従って説明する。図1、2において、1はロート状の吸い込み口本体で、一方に掃除機のホース(図示せず)と接続する接続部1aを有し、他方は大きく矩形に開口した吸引開口部1bを形成したものである。2は前記吸引開口部1bに嵌着するクシ状2aのフィルター受け台で、側周面に設けた係止爪2b、2b・・と吸引開口部1bの内側に設けた凹部1c、1c・・との係合を介して上記吸引開口部1bに嵌着固定している。3は同様に、上記吸引開口部1bを覆って嵌着するクシ状3aの外蓋で、上記吸引開口部1bの周囲の一部に設けたヒンジ部1dを介して片方に開閉可能に取り付けている。なお、3bは外蓋3を開閉するための指掛け爪である。
【0024】
上記フィルター受け台2及び外蓋3のクシ状部分2a、3aは、互いに直交する方向に設けることが好ましく、また、外蓋3のクシ状部分3aの方向を、この吸い込み口を使用するときに摺動する方向と一致させて設けることで、吸い込み口の摺動操作が良好になる。また、外蓋3のクシ状部分3aの側面視は、図2(C)に示すように、中央部分がやや高いアーチ状とすることが好ましい。かかる構造により、吸引時に、吸い込み面全体と対象となる布地が密着せず、両者間に適度な空間が生まれるので、その空間に空気が流通し良好な吸い込みを得ることができる。
【0025】
なお、このフィルター受け台2及び外蓋3において、クシ状部分2a、3aは必須の形状ではなく、空気が十分に流通して吸引力を得られれば、例えば、網目メッシュ状としたり、多数の透孔からなるパンチングメタル状としてもよい。
【0026】
続いて、本発明に係る上記構成の掃除機用吸い込み口の使用方法について、図3、図4に従って説明する。図3において、4は上記吸引開口部1bの大きさに見合った集塵フィルターであり、上記フィルター受け台2と外蓋3の間に挟定する。即ち、同図(A)〜(D)に示す手順で、まず、外蓋3をヒンジ部1dを介して開き、フィルター受け台2の上に集塵フィルター4をセットし、外蓋3を再び閉じて挟定することでセットが完了する。なお、この集塵フィルター4の大きさは、フィルター受け台2とほぼ同じ大きさとして余分な隙間が生じないようにするとともに、一辺には取り出し用のつまみ部4aを突出して設けている。
【0027】
このように集塵フィルター4をセットした吸い込み口を掃除機のホースに接続して衣服に沿って動かしながら吸引すると、この集塵フィルター4を通過する際に、衣服に付着した花粉や塵埃は通過を阻止され、集塵フィルター4に捕捉することができる。そのため、このように花粉等を捕捉した集塵フィルター4のみを適宜廃棄すればよいので、手間がかからない。この場合、つまみ部4aを持って取り出せば、指先が花粉等を捕捉した面に触れることがないので、衛生的に廃棄できる。
【0028】
この集塵フィルター4の素材は特に限定するものではないが、主に花粉等を吸引する場合は、花粉の大きさが20μm〜40μm程度であるので、これらが通過しない目巾を有するメッシュ地とする。例えば不織布を複数枚積層した構成で集塵フィルター4とすればよい。また、放射性物質を含む微粒子などの場合には、それより細か合いメッシュ地とする必要がある。このように集塵フィルター4のメッシュの目巾は、その使用目的に応じて適宜選択できるものである。
【0029】
図4は、他の使用例を示すもので、専用の集塵フィルター4の代わりに、市販の不織布マスク5を利用する例を提示している。即ち、市販の不織布マスクには、花粉用やウィルス用など目的に応じた目巾のマスクが各種揃っているので、それらを利用することができる。そのため、汎用的で入手が容易であり、経済的でもある。なお、不織布マスクを利用する場合、前記図3の場合と同様に、図4の(A)〜(D)に示す手順で不織布マスクを挟定してセットする。この場合、不織布マスク5の耳掛け部5aがつまみ部となるので、これを持って取り出し、容易に廃棄できる。なお、このような市販の不織布マスクの利用を考慮する場合、本発明の吸い込み口の吸引開口部1b及びフィルター受け台2の大きさを市販の不織布マスクの規格サイズに合わせることが望ましい。
【0030】
続いて、図5は他の実施形態を示すもので、基本的には上記実施形態と同じ構造であり、各構成部に同じ番号を付しているが、さらに、上記外蓋3の外周縁に密に植毛を施してブラシ部6を形成したものである。このような構成によれば、衣服の表面に沿って吸引する場合、ブラシ部6で表面の花粉等を掻き落としながら吸引できるので、より確実に花粉等を吸引、除去することができる。また、ブラシ部6の高さ分だけ、衣服表面と外蓋3とに間に空間部分が形成されるので、衣服が外蓋3の全面に吸着することを防止できる効果も期待できる。
【0031】
なお、上記各実施形態においては、外蓋3をヒンジ部1dを介した開閉式としたが、これに限定するものではなく、例えば、吸い込み口本体1の吸引開口部1bにフィルター受け台を嵌着した後、適宜な係止構造を介して吸引開口部1b全体を覆うように別体の外蓋を嵌着できるようにしてもよい。即ち、フィルター受け台と外蓋の間に集塵フィルターを確実に挟定できるようにすることが肝要である。
【符号の説明】
【0032】
1 吸い込み口本体
1a 接続部
1b 吸引開口部
1c 凹部
1d ヒンジ部
2 フィルター受け台
2a クシ状部分
2b 係止爪
3 外蓋
3a クシ状部分
3b 指掛け爪
4 集塵フィルター
4a つまみ部
5 不織布マスク
5a 耳掛け部
6 ブラシ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸い込み口本体は、一方にはホースの接続部を有し、他方には吸引開口部を形成してなり、この吸引開口部にフィルター受け台とこれを覆う外蓋とを着脱可能に嵌着し、当該フィルター受け台と外蓋との間に集塵フィルターを挟定可能としたことを特徴とする掃除機用吸い込み口。
【請求項2】
上記フィルター受け台は、上記吸引開口部の開口周縁に設けた凹部と上記フィルター受け台の側周面に設けた係止爪との係合により嵌着固定可能とし、上記外蓋は上記吸引開口部の周囲の一部に設けたヒンジ部を介して開閉可能に嵌着した請求項1記載の掃除機用吸い込み口。
【請求項3】
上記フィルター受け台と外蓋はそれぞれクシ状に形成し、そのクシ状部分は互いに直交する方向に設けた請求項1または請求項2記載の掃除機用吸い込み口。
【請求項4】
上記外蓋の外周縁に植毛を施してブラシ部を形成した請求項1から請求項3のいずれか1項記載の掃除機用吸い込み口。
【請求項5】
上記集塵フィルターは、少なくとも花粉が通過しない目巾を有する不織布とし、一辺につまみ部を突出して設けた請求項1から請求項4のいずれか1項記載の掃除機用吸い込み口。
【請求項6】
上記集塵フィルターとして不織布マスクを使用する請求項1から請求項4のいずれか1項記載の掃除機用吸い込み口。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−231880(P2012−231880A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101210(P2011−101210)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(591092523)株式会社伸晃 (18)
【Fターム(参考)】