説明

排ガス処理装置と排ガス処理方法

【課題】簡易な構成で、湿式脱硫装置に供給する補給水の低減が可能な排ガス処理装置の提供である。
【解決手段】ボイラ1からの排ガスに吸収液を噴霧して硫黄酸化物を除去する湿式脱硫装置5を備えた排ガス処理装置において、湿式脱硫装置5の上流側に熱回収用熱交換器45を設け、湿式脱硫装置5の下流側に排ガスを熱回収用熱交換器45からの熱媒体で加熱する再加熱用熱交換器46を設け、更に熱回収用熱交換器45と再加熱用熱交換器46との伝熱管を連通し、その内部に熱媒体を循環させる循環配管52を設け、循環配管52の再加熱用熱交換器46から熱回収用熱交換器45への熱媒体流路に除熱用熱交換器48を設け、熱回収用熱交換器45のガスダクト下部のドレン水回収部49からドレン水を湿式脱硫装置5に供給することで、湿式脱硫装置5に導入する排ガス温度が低下して補給水の低減が図れ、更にドレン水を湿式脱硫装置の補給水として有効利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭焚ボイラから発生する排ガス中に含まれる硫黄酸化物を除去する湿式脱硫装置を備えた排ガス処理装置と排ガス処理方法に係わり、特に湿式脱硫装置に供給する水量を低減する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭焚火力発電プラントでは、石炭中に含まれる硫黄成分が排ガス中に二酸化硫黄(SO2)として存在し、それが大気に放出されると、酸性雨等の原因になる。そのため、一般的に湿式脱硫装置などで排ガス中のSO2を除去する方法が用いられている。従来の石炭焚排ガス処理装置の構成を図5に示す。
【0003】
ボイラ1に石炭供給ライン21から石炭を、燃焼用空気供給ライン36から空気を供給し、石炭の燃焼反応によって発生した熱により、ボイラ熱交換器11で高圧蒸気を発生させる。そして、この高圧蒸気によりタービン12を回転させることで、タービン12と連結した発電機13により発電する。タービン12を出た蒸気は復水器14により除冷された後、再び昇圧ポンプ15で加圧され、ボイラ熱交換器11に送られる。
【0004】
一方、ボイラ1から排出される燃焼排ガスは、空気予熱器3(以下A/H、エアヒータと称すこともある。例えば再生式熱交換器を用いる)で燃焼用空気と熱交換した後、集塵機4において排ガス中の煤塵が除去される。一般的に集塵機4の出口のガス温度は130〜200℃程度である。集塵機4を出た排ガスは、湿式脱硫装置5に供給され、排ガス中のSO2が除去された後、煙突7から放出される。
【0005】
湿式脱硫装置5では、スプレノズル27から微細な液滴として噴霧される石灰石または石灰を含むスラリなどの吸収剤の液滴と装置内を上昇する排ガスとを気液接触させることで、排ガス中の煤塵や塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)等の酸性ガスと共に、排ガス中のSO2がスプレノズル27の脱硫吸収液滴表面で化学的に吸収、除去される。
【0006】
SO2を吸収した脱硫吸収液28は湿式脱硫装置5下部のタンク30に貯留され、循環ポンプ26で昇圧されて吸収液循環配管25を経由して、再びスプレノズル27より噴霧される。また、脱硫吸収液28に吸収されたSO2は、炭酸カルシウム溶液供給装置44から供給される炭酸カルシウムと反応することで、石膏として系外に放出する。
【0007】
また、湿式脱硫装置5の内部では、脱硫吸収液28を噴霧するため、排ガスの温度は水分飽和温度まで低減される。一般的に石炭燃焼時の排ガス中の水分濃度は約10%(質量%であり、以下同様)であるため、湿式脱硫装置5の出口の排ガス温度は46℃程度になる。そのため、低温の排ガスをそのまま煙突7から放出すると、白煙が発生してしまう。
【0008】
したがって、この白煙を防止するために、再加熱用熱交換器46により湿式脱硫装置5の出口の排ガス温度を上昇させる方法が用いられており、再加熱用熱交換器46の熱源として、熱媒体が通流される伝熱管を備えた熱回収用熱交換器45が用いられている。すなわち、集塵機4の出口に設置した熱回収用熱交換器45により排ガスの熱を回収し、回収した熱を再加熱用熱交換器46の熱源に使用することで、湿式脱硫装置5の出口の排ガスを加熱する。前記再加熱用熱交換器46は、熱回収用熱交換器45と同様に熱媒体が通流される伝熱管を備えた熱交換器である。
【0009】
そして、熱回収用熱交換器45出口の排ガス温度は、排ガスと伝熱管内を流れる熱媒体との熱交換により、106℃まで低減されて湿式脱硫装置5に供給される。また、熱回収用熱交換器45と再加熱用熱交換器46の伝熱管は、熱媒体循環配管52によって連通され、熱媒体循環ポンプ47により熱回収用熱交換器45と再加熱用熱交換器46との間に熱媒体が循環されるようになっている。
各装置の入口や出口の排ガス温度の例を図5に記載しているが、集塵機4の出口の排ガス温度が130℃の場合、熱回収用熱交換器45によって、排ガス温度は106℃まで低減されて、湿式脱硫装置5に供給される。
【0010】
そして、湿式脱硫装置5の内部で脱硫吸収液28が噴霧されることで排ガス温度が水露点の46℃まで低減した後、排ガスは再加熱用熱交換器46に供給される。再加熱用熱交換器46では、熱回収用熱交換器45で加熱した熱媒体によって、排ガスを70℃まで加熱する。このとき、熱媒体の温度は、熱回収用熱交換器45の入口で80℃であり、集塵機4の出口の排ガスと熱交換することで93℃まで加熱され、再加熱用熱交換器46で湿式脱硫装置5の出口の排ガスを加熱することで、80℃まで温度が下がる。
【0011】
このような従来技術の排ガス処理装置においては、湿式脱硫装置の内部で水が蒸発するために、湿式脱硫装置に連続的に水を供給する必要がある。
この補給水の低減を図る技術として、以下の特許文献がある。
【0012】
下記特許文献1には、湿式脱硫装置の排ガスダクトの上流に熱交換器(第1ガスガスヒータ)を設け、熱交換チューブをカーボンチューブにすることで、湿式脱硫装置入口の排ガス温度を50℃程度にしても腐食を防止でき、補給水の低減を図る構成が開示されている。また、熱交換器と再加熱器(第2ガスガスヒータ)の熱交換媒体である水の流路に脱硫処理後のガスの加熱に必要な熱分以外の熱分を回収して補給水を約70℃まで加温する第3の熱交換器を設けている。補給水は石膏の回収に使用された後、湿式脱硫装置に供給される。
【0013】
また、下記特許文献2には、湿式脱硫装置内の吸収剤スラリを抜き出して蒸発缶により蒸発濃縮して処理する排水処理装置と、湿式脱硫装置の排ガスダクトの上流に設けた熱回収器と湿式脱硫装置の排ガスダクトの下流に設けた再加熱器とを有する排ガス処理設備において、蒸発缶における蒸発のために脱硫排水を加熱する加熱器として、再加熱器から熱回収器に送られる途上の熱媒から熱回収する熱交換器を設けた構成が開示されている。熱交換器を蒸発缶における蒸発濃縮のための加熱器として使用することで蒸気使用量を低減すると共に、熱回収器出口側、すなわち湿式脱硫装置入口側の排ガス温度を110℃から105℃程度に低下させることで湿式脱硫装置における補給水の低減を図っている。
【0014】
更に、下記特許文献3には、湿式脱硫装置の排ガスダクトの上流に設けた第1の熱交換器と湿式脱硫装置との間に更に第2の熱交換器を設け、第2の熱交換器によって排ガス温度を40〜45℃にして、40〜45℃に冷却された排ガスを湿式脱硫装置に導入することで、補給水の低減を図った構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平8−21618号公報
【特許文献2】特開平11−76750号公報
【特許文献3】特開2008−212891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記従来技術においては、湿式脱硫装置内部で水が蒸発するために、湿式脱硫装置に連続的に水を供給する必要があった。特に多量の工業用水を確保することが困難な地域においては、湿式脱硫装置に供給する水を確保するために、海水淡水化装置などの設備を別途設ける必要があり、その設備費や維持費には多大なエネルギーやコストが必要となる。
特許文献1〜3に記載の構成によれば、湿式脱硫装置に導入する排ガス温度を低下させることで補給水の低減を図っている。
【0017】
特許文献1では、熱交換器と再加熱器との間に設けた第3の熱交換器により補給水を約70℃に加温して石膏を洗浄することで石膏の含水率を下げているが、熱交換器から再加熱器に流れる熱媒体のうち、再加熱器による加熱に必要な分を確保して、それ以外の熱を補給水の加温に用いた構成である。したがって、再加熱器から熱交換器に流れる熱媒体の温度は比較的高く保たれること、また、補給水の供給が常に必要であることに変わりはないため、あまり有効な方法とは言えない。
【0018】
また、特許文献2では、湿式脱硫装置入口側の排ガス温度を110℃から105℃程度に低下させているが、熱交換器を設けた目的はそもそも蒸気使用量の低減であり、この程度の温度低下では、補給水の低減効果もあまり見込めない。
更に、特許文献3では、湿式脱硫装置の排ガスダクトの上流に第1の熱交換器と第2の熱交換器を設け、更に湿式脱硫装置の排ガスダクトの下流に再加熱器を設けた大規模な構成であり、第2の熱交換器の設置コストや設置スペースなどの問題やボイラと第2の熱交換器間の熱媒体を冷却するための冷却器の設置(コストやスペース)等の問題もある。
【0019】
本発明の課題は、簡易な構成で、湿式脱硫装置に供給する補給水の低減を図ることが可能な排ガス処理装置と排ガス処理方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題は、湿式脱硫装置の排ガスダクトの上流に熱回収用熱交換器を設置すると共に湿式脱硫装置の排ガスダクトの下流に再加熱用熱交換器を設置し、熱回収用熱交換器で加熱した熱媒体を再加熱用熱交換器で冷却するように熱回収用熱交換器と再加熱用熱交換器の伝熱管を熱媒体循環配管で接続し、更に熱媒体循環配管の途中に除熱用熱交換器を設置して、熱回収用熱交換器の排ガスダクト下部のドレン水を湿式脱硫装置に供給することで解決できる。また、除熱用熱交換器の熱媒体にはボイラに供給する給水又は海水を使用すると良い。
【0021】
具体的に本発明の課題は、次の手段により解決することができる。
請求項1記載の発明は、石炭を燃料としたボイラから発生する排ガスに吸収液を噴霧して排ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式脱硫装置を備えた排ガス処理装置において、前記湿式脱硫装置の上流側の排ガスダクトに、排ガスの熱を熱媒体に回収する伝熱管を備えた熱回収用熱交換器を設け、前記湿式脱硫装置の下流側の排ガスダクトに、排ガスを前記熱回収用熱交換器から供給される熱媒体で加熱する伝熱管を備えた再加熱用熱交換器を設け、更に熱回収用熱交換器と再加熱用熱交換器にそれぞれ設けられた伝熱管を連通し、その内部に熱媒体を循環させる熱媒体循環配管を設け、該熱媒体循環配管の前記再加熱用熱交換器から熱回収用熱交換器への熱媒体の流路に、熱媒体から除熱する除熱用熱交換器を設け、該熱回収用熱交換器の排ガスダクトの下部にドレン水回収部を設け、該ドレン水回収部内のドレン水を前記湿式脱硫装置に供給するドレン水供給部を設けた排ガス処理装置である。
【0022】
請求項2記載の発明は、前記湿式脱硫装置は、硫黄酸化物を吸収した吸収液を溜めるタンクと、該タンクの上方に設けられ、排ガスに吸収液を噴霧するスプレノズルを排ガス流れ方向に複数段設置したスプレ部と、前記タンク内の吸収液をスプレノズルに吸い上げるための循環ポンプを設けた吸収液を送る吸収液循環配管と、前記タンク内の吸収液中の二酸化硫黄を石膏にするための炭酸カルシウム溶液を供給する炭酸カルシウム供給装置とを備え、更に前記ドレン水供給部は、ドレン水回収部内のドレン水を前記タンクに供給する構成である請求項1記載の排ガス処理装置である。
【0023】
請求項3記載の発明は、前記湿式脱硫装置は、硫黄酸化物を吸収した吸収液を溜めるタンクと、該タンクの上方に設けられ、排ガスに吸収液を噴霧するスプレノズルを排ガス流れ方向に複数段設置したスプレ部と、前記タンク内の吸収液をスプレノズルに吸い上げるための循環ポンプを設けた吸収液を送る吸収液循環配管と、前記タンク内の吸収液中の二酸化硫黄を石膏にするための炭酸カルシウム溶液を供給する炭酸カルシウム供給装置とを備え、更に前記ドレン水供給部は、ドレン水回収部内のドレン水を前記炭酸カルシウム供給装置に供給する構成である請求項1記載の排ガス処理装置である。
【0024】
請求項4記載の発明は、前記熱回収用熱交換器の伝熱管の表面がフッ素樹脂を含む耐食材でコーティングされている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の排ガス処理装置である。
請求項5記載の発明は、前記除熱用熱交換器に冷媒を供給し、再加熱用熱交換器から熱回収用熱交換器に流入する熱媒体を冷却することで熱回収用熱交換器出口の排ガス温度を前記冷媒の温度以上排ガスの水分飽和温度以下とする冷媒供給部を設けた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の排ガス処理装置である。
【0025】
請求項6記載の発明は、前記ボイラに給水するボイラ給水部を設け、該ボイラ給水部の給水を前記冷媒供給部の冷媒とした請求項5記載の排ガス処理装置である。
請求項7記載の発明は、海水を前記冷媒供給部の冷媒とした請求項5記載の排ガス処理装置である。
請求項8記載の発明は、前記湿式脱硫装置のタンク内の吸収液を前記熱回収用熱交換器に供給する吸収液供給部を設けた請求項5記載の排ガス処理装置である。
【0026】
請求項9記載の発明は、石炭を燃料としたボイラから発生する排ガスに吸収液を噴霧する構成を備えた湿式脱硫装置により排ガス中の硫黄酸化物を除去する排ガス処理方法において、前記湿式脱硫装置による脱硫前の排ガスから熱を回収するための熱媒体を内部に有する伝熱管を備えた熱回収用熱交換器によって排ガスの熱を回収し、湿式脱硫装置による脱硫処理後の排ガスを加熱するための熱媒体を内部に有する伝熱管を備えた再加熱用熱交換器に前記熱回収用熱交換器から前記熱媒体を循環供給し、前記再加熱用熱交換器から熱回収用熱交換器へ供給される熱媒体から除熱すると共に前記熱回収用熱交換器の下部に溜まるドレン水を前記湿式脱硫装置に供給する排ガス処理方法である。
【0027】
請求項10記載の発明は、硫黄酸化物を吸収した吸収液を溜めるタンクと、該タンクの上方に設けられ、排ガスに吸収液を噴霧するスプレノズルを排ガス流れ方向に複数段設置したスプレ部と、前記タンク内の吸収液をスプレノズルに吸い上げるための循環ポンプを設けた吸収液を送る吸収液循環配管と、前記タンク内の吸収液中の二酸化硫黄を石膏にするための炭酸カルシウム溶液を供給する炭酸カルシウム供給装置とを備えた湿式脱硫装置により排ガス中の硫黄酸化物を除去する排ガス処理方法であって、前記熱回収用熱交換器の下部に溜まるドレン水を前記タンクに供給する請求項9記載の排ガス処理方法である。
【0028】
請求項11記載の発明は、硫黄酸化物を吸収した吸収液を溜めるタンクと、該タンクの上方に設けられ、排ガスに吸収液を噴霧するスプレノズルを排ガス流れ方向に複数段設置したスプレ部と、前記タンク内の吸収液をスプレノズルに吸い上げるための循環ポンプを設けた吸収液を送る吸収液循環配管と、前記タンク内の吸収液中の二酸化硫黄を石膏にするための炭酸カルシウム溶液を供給する炭酸カルシウム供給装置とを備えた湿式脱硫装置により排ガス中の硫黄酸化物を除去する排ガス処理方法であって、前記熱回収用熱交換器の下部に溜まるドレン水を前記炭酸カルシウム供給装置に供給する請求項9記載の排ガス処理方法である。
【0029】
請求項12記載の発明は、前記熱回収用熱交換器の伝熱管として、その表面がフッ素樹脂を含む耐食材でコーティングされた伝熱管を用いる請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の排ガス処理方法である。
請求項13記載の発明は、前記再加熱用熱交換器から熱回収用熱交換器に流入する熱媒体を冷媒により冷却することで除熱し、熱回収用熱交換器出口の排ガス温度を前記冷媒の温度以上排ガスの水分飽和温度以下とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の排ガス処理方法である。
【0030】
請求項14記載の発明は、前記冷媒として、ボイラに給水するボイラ給水を使用する請求項13記載の排ガス処理方法である。
請求項15記載の発明は、前記冷媒として、海水を使用する請求項13記載の排ガス処理方法である。
請求項16記載の発明は、前記湿式脱硫装置のタンク内の吸収液を前記熱回収用熱交換器に供給する請求項13記載の排ガス処理方法である。
【0031】
(作用)
熱媒体循環配管の再加熱用熱交換器から熱回収用熱交換器への熱媒体の流路に除熱用熱交換器を設け、除熱用熱交換器にボイラ給水又は海水を冷媒として供給することで、熱回収用熱交換器に供給する熱媒体の温度を冷媒の温度程度まで低減することが可能となる。そして、熱回収用熱交換器に冷媒の温度程度の熱媒体を供給することで、集塵機から排出される排ガス温度を排ガスの水分飽和温度以下に低減できる。排ガス温度を水分飽和温度(例えば水分濃度10%の時、46℃)以下にすることで、排ガス中の水分がドレン水として回収できるようになる。このドレン水を回収し、湿式脱硫装置に供給することで湿式脱硫装置の補給水を大幅に低減できる。
【0032】
具体的に、請求項1又は請求項9記載の発明によれば、再加熱用熱交換器から熱回収用熱交換器へ流れる熱媒体から除熱することで熱媒体の温度が低減する。そして、この低温の熱媒体により排ガスの熱回収の効率が向上し、熱回収用熱交換器に導入される排ガスの温度を低減できるため、湿式脱硫装置に導入する排ガス温度が低下して補給水の低減を図ることが可能となる。そして、熱回収用熱交換器のドレン水を湿式脱硫装置に供給することで、ドレン水を湿式脱硫装置の補給水として有効利用できる。
【0033】
また、請求項2又は請求項10記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項9に記載の発明の作用に加えて、熱回収用熱交換器のドレン水を湿式脱硫装置のタンクに供給することで、ドレン水をタンクに貯留でき、容易にドレン水を湿式脱硫装置の補給水として有効利用できる。
【0034】
そして、請求項3又は請求項11記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項9に記載の発明の作用に加えて、熱回収用熱交換器のドレン水を炭酸カルシウム供給装置に供給することで、ドレン水を炭酸カルシウム供給装置に貯留でき、容易にドレン水を湿式脱硫装置の補給水として有効利用できる。また、熱回収用熱交換器のドレン水には、排ガス中のSO2が含まれているため強酸性であるが、ドレン水を炭酸カルシウム供給装置に供給することで、酸が中和される。そして、余剰の炭酸カルシウムは湿式脱硫装置に供給されることでドレン水を無駄なく有効利用できる。
【0035】
請求項4又は請求項12記載の発明によれば、上記請求項1から請求項3のいずれか1項、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、熱回収用熱交換器のドレン水が、排ガス中のSO2によって強酸性でも、熱回収用熱交換器の伝熱管表面がフッ素樹脂等の耐食材によってコーティングされていることで、伝熱管表面の腐食を防止できる。
【0036】
請求項5又は請求項13記載の発明によれば、上記請求項1から請求項3のいずれか1項、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、熱回収用熱交換器の出口排ガスの温度を、再加熱用熱交換器から熱回収用熱交換器に流入する熱媒体を除熱する冷媒の温度以上排ガスの水分飽和温度以下とすることで、湿式脱硫装置入口の排ガス温度も同程度となり、湿式脱硫装置の内部における水の蒸発がほとんどなくなるため、水分の損失も大幅に低減できる。また、熱回収用熱交換器の出口排ガスの温度を排ガスの水分飽和温度以下とすることで、排ガス中に含まれていた水の一部がドレン水となって溜まりやすくなるため、ドレン水を湿式脱硫装置のタンク又は炭酸カルシウム供給装置などに供給することで、補給水の大幅な低減を図ることが可能となる。
【0037】
請求項6又は請求項14記載の発明によれば、上記請求項5又は請求項13に記載の発明の作用に加えて、除熱用熱交換器の冷媒にボイラ給水を利用することで、補給水の増加を防止できる。また、除熱用熱交換器の冷媒に用いる水の設備を別に設ける必要がないため、簡易な構成で除熱用熱交換器を設置できる。
【0038】
請求項7又は請求項15記載の発明によれば、上記請求項5又は請求項13に記載の発明の作用に加えて、除熱用熱交換器の冷媒に海水を利用することで、工業用水の使用を抑えることができる。
【0039】
請求項8又は請求項16記載の発明によれば、上記請求項5又は請求項13に記載の発明の作用に加えて、湿式脱硫装置のタンク内の吸収液を熱回収用熱交換器に供給することで、タンク内の吸収液には炭酸カルシウムが含まれているため、強酸性のドレン水が中和される。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、排ガス中の水分を排ガスの吸収液として使用することが可能になると共に、湿式脱硫装置への補給水を大幅に低減できる。したがって、水が不足する地域等で用いられていた水製造のための設備費用やコスト等を大幅に低減できる。
【0041】
具体的に、請求項1又は請求項9記載の発明によれば、熱回収用熱交換器に導入される排ガスの温度を低減することで湿式脱硫装置に導入する排ガス温度が低下するため、補給水の低減を図ることが可能となる。また、熱回収用熱交換器のドレン水を湿式脱硫装置の補給水として有効利用でき、経済的である
また、請求項2又は請求項10記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項9に記載の発明の効果に加えて、熱回収用熱交換器のドレン水を湿式脱硫装置のタンクに貯留することで、容易にドレン水を湿式脱硫装置の補給水として有効利用でき、経済的である。
【0042】
そして、請求項3又は請求項11記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項9に記載の発明の効果に加えて、熱回収用熱交換器のドレン水を炭酸カルシウム供給装置に貯留することで、容易にドレン水を湿式脱硫装置の補給水として有効利用でき、経済的である。また、強酸性のドレン水は炭酸カルシウムによって中和されるため、熱回収用熱交換器の伝熱管の腐食を防止できる。また、余剰の炭酸カルシウムは湿式脱硫装置に供給されることで、ドレン水を無駄なく有効利用できる。
【0043】
請求項4又は請求項12記載の発明によれば、上記請求項1から請求項3のいずれか1項、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、熱回収用熱交換器の表面を耐食材によってコーティングすることで、伝熱管表面の腐食を防止できる。
【0044】
請求項5又は請求項13記載の発明によれば、上記請求項1から請求項3のいずれか1項、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、湿式脱硫装置入口の排ガス温度が、再加熱用熱交換器から熱回収用熱交換器に流入する熱媒体を除熱する冷媒の温度以上排ガスの水分飽和温度以下となるため、湿式脱硫装置の内部における水の蒸発がほとんどなくなって、水分の損失も大幅に低減できる。また、排ガス中に含まれていた水の一部がドレン水となって溜まりやすくなるため、ドレン水を湿式脱硫装置のタンク又は炭酸カルシウム供給装置などに供給することで、補給水の大幅な低減を図ることができる。
【0045】
請求項6又は請求項14記載の発明によれば、上記請求項5又は請求項13に記載の発明の効果に加えて、除熱用熱交換器の冷媒にボイラ給水を利用することで、補給水の増加を防止でき、また大規模な設備を必要とせず、簡易な構成で除熱用熱交換器を設置できる。
【0046】
請求項7又は請求項15記載の発明によれば、上記請求項5又は請求項13に記載の発明の効果に加えて、除熱用熱交換器の冷媒に海水を利用することで、工業用水の使用を抑えた節水型の設備となる。
【0047】
請求項8又は請求項16記載の発明によれば、上記請求項5又は請求項13に記載の発明の効果に加えて、湿式脱硫装置のタンク内の吸収液を熱回収用熱交換器に供給することで、強酸性のドレン水が中和されるため、熱回収用熱交換器の伝熱管の腐食を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例1の排ガス処理装置の全体構成図である。
【図2】本発明の実施例2の排ガス処理装置の全体構成図である。
【図3】本発明の実施例3の排ガス処理装置の全体構成図である。
【図4】本発明の実施例4の排ガス処理装置の全体構成図である。
【図5】従来技術の排ガス処理装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の排ガス処理装置の実施例を図面と共に説明する。
【実施例1】
【0050】
本発明の実施例1の排ガス処理装置の全体構成図を図1に示す。
この排ガス処理装置が図5に示した従来技術の排ガス処理装置と異なる点は、熱回収用熱交換器45と再加熱用熱交換器46との熱媒体循環配管52に除熱用熱交換器48を設け、この除熱用熱交換器48に、ボイラ給水の一部を供給する構成とした点である。除熱用熱交換器48に常温(20〜30℃)のボイラ給水を冷媒として供給することで、熱回収用熱交換器45に供給する熱媒体の温度を20〜30℃程度まで低減することが可能となる。
【0051】
そして、熱回収用熱交換器45に20〜30℃の熱媒体を供給することで、集塵機4から排出される排ガス温度を30℃程度まで低減できる。排ガス温度を水分飽和温度(例えば水分濃度10%の時、46℃)以下にすることで、排ガス中の水分がドレン水として回収できるようになる。すなわち、石炭焚ボイラの排ガス中には10%の水分が含まれるため、排ガス温度を30℃まで下げることで排ガス中の水分の一部がドレン水となる。特に46℃よりも10℃以上低い30℃にすれば、より確実にドレン水にすることができる。そして、このドレン水を回収し、湿式脱硫装置に供給することで湿式脱硫装置の補給水を大幅に低減できる。
【0052】
また、熱回収用熱交換器45の内部には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂のコーティングを施した伝熱管を使用する。これは、熱回収用熱交換器45の表面で凝縮した水分に排ガス中のSO2が吸収されることで生じる伝熱管表面の腐食を防止するためである。各種フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などがある。伝熱管表面の腐食防止のためには、この他にエナメル塗料、シリコーン樹脂(ケイ素樹脂)、エポキシ樹脂等の耐食材によるコーティングが考えられるが、いずれも同等の効果がある。
【0053】
本実施例の運転例を以下に示す。
ボイラ1に石炭供給ライン21から石炭を、燃焼用空気供給ライン36から空気を供給し、石炭の燃焼反応によって発生した熱により、ボイラ熱交換器11で高圧蒸気を発生させる。そして、この高圧蒸気によりタービン12を回転させることで、タービン12と連結した発電機13により発電する。タービン12を出た蒸気は復水器14により除冷された後、再び昇圧ポンプ15で加圧され、ボイラ熱交換器11に送られる。
【0054】
一方、ボイラ1から排出される燃焼排ガスは、A/H3で燃焼用空気と熱交換した後、集塵機4において排ガス中の煤塵が除去される。その後、本実施例に基づく熱回収用熱交換器45により、排ガス温度を30℃まで冷却した後、湿式脱硫装置5に供給される。
【0055】
湿式脱硫装置5では、スプレノズル27から微細な液滴として噴霧される石灰石または石灰を含むスラリなどの吸収剤の液滴と装置内を上昇する排ガスとを気液接触させることで、排ガス中の煤塵や塩化水素、フッ化水素等の酸性ガスと共に、排ガス中のSO2がスプレノズル27の脱硫吸収液滴表面で化学的に吸収、除去される。
【0056】
SO2を吸収した吸収液は湿式脱硫装置5下部のタンク30に貯留され、循環ポンプ26で昇圧されて吸収液循環配管25を経由して、再びノズル27より噴霧される。また、脱硫吸収液28に吸収されたSO2は、炭酸カルシウム溶液供給装置44から供給される炭酸カルシウムと反応することで、石膏として系外に放出する。
【0057】
湿式脱硫装置5における処理後の排ガスは、再加熱用熱交換器46で70℃まで加熱されて煙突7から放出される。熱回収用熱交換器45と再加熱用熱交換器46の伝熱管は、熱媒体循環配管52によって連通され、熱媒体循環ポンプ47により熱回収用熱交換器45と再加熱用熱交換器46との間に熱媒体が循環されるようになっている。
【0058】
ここで、本実施例に基づく湿式脱硫装置5の入口排ガス温度を30℃まで低減する部分について詳細に述べる。
まず、熱媒体循環ポンプ47で約20℃の熱媒体を湿式脱硫装置5の排ガスダクトの上流に設置した熱回収用熱交換器45に供給し、排ガスの温度を約30℃まで低減する。このとき、熱媒体は排ガスの熱を受け取り、93℃まで昇温される。次に高温となった熱媒体は、湿式脱硫装置5の排ガスダクトの下流に設置した再加熱用熱交換器46に供給され、湿式脱硫装置5から排出される排ガスの温度を70℃まで昇温する。このとき、熱媒体の温度は72℃まで低下する。
【0059】
そして、再加熱用熱交換器46を出た熱媒体は、除熱用熱交換器48に供給される。除熱用熱交換器48には、ボイラに供給するボイラ給水の一部がボイラ給水ライン16から冷媒として供給されており、この冷媒により、熱媒体の温度が20℃まで低減する。除熱用熱交換器48に供給する冷媒にボイラ給水を利用することで、補給水の増加を防止でき、また除熱用熱交換器48の冷媒に用いる水の設備を別に設ける必要がないため、大規模な設備を必要とせず、簡易な構成で除熱用熱交換器48を設置できる。
【0060】
除熱用熱交換器48は、例えばコンパクトで熱効率の高いプレート型熱交換器を使用し、熱媒体(液体)と冷媒(液体)との間で熱を交換するもので良い。
仮に低温の排ガスダクト内に除熱用熱交換器48を設置すると、排ガスと熱媒体(液体)との間で熱を交換することになり、大規模な熱交換器を設置する必要が生じるが、本実施例によれば、熱媒体循環配管52に除熱用熱交換器48を設置するため、コンパクトな装置を低コストで製作できるという利点がある。
【0061】
次に湿式脱硫装置5における水の挙動について説明する。
湿式脱硫装置5の排ガスダクトの上流に設置した熱回収用熱交換器45で排ガス温度が30℃まで低減されると、排ガス中に含まれていた水分の一部がドレン水となって、熱回収用熱交換器45の下部に設置したドレン水回収部49に集められる。このドレン水はドレン水供給配管50によりタンク30に供給されることで、脱硫吸収液28の量が増え、水分の補給を低減することが可能となる。
【0062】
また、湿式脱硫装置5に導入される排ガスの温度が30℃に低減されるため、湿式脱硫装置5内部における水の蒸発がほとんどなくなり、水分の損失も大幅に低減できる。したがって、湿式脱硫装置5に補給する水量を大幅に低減することが可能となる。
【実施例2】
【0063】
本発明の実施例2の排ガス処理装置の全体構成図を図2に示す。
この実施例では、熱回収用熱交換器45の下部に設置したドレン水回収部49で回収したドレン水を脱流剤である炭酸カルシウム溶液の供給装置44に接続する構成としたもので、それ以外は図1の構成と同様であるため、説明は省略する。
【0064】
熱回収用熱交換器45のドレン水を炭酸カルシウム供給装置44に供給することで、ドレン水を湿式脱硫装置5の補給水として有効利用でき、上記実施例1と同等の効果を得ることができる。
また、熱回収用熱交換器45のドレン水には、排ガス中のSO2が含まれているため強酸性であるが、ドレン水を炭酸カルシウム供給装置44に供給することで、酸が中和される。余剰の炭酸カルシウムは湿式脱硫装置5に供給されることでドレン水を無駄なく有効利用できる。
【実施例3】
【0065】
本発明の実施例3の排ガス処理装置の全体構成図を図3に示す。
実施例1と実施例2に示す排ガス処理装置の除熱用熱交換器48には、ボイラ給水の一部がボイラ給水ライン16から除熱用熱交換器48に冷媒として供給されているが、この実施例では、海水供給ライン38を設け、除熱用熱交換器48に供給する冷媒として、海水を用いた例を示している。したがって、除熱用熱交換器48に供給する冷媒が海水である以外は、上記実施例1の構成と同様であるため、説明は省略する。
【0066】
除熱用熱交換器48に常温(20〜30℃)の海水を冷媒として供給することで、熱回収用熱交換器45に供給する熱媒体の温度を20〜30℃程度まで低減することが可能となる。そして、熱回収用熱交換器45に20〜30℃の熱媒体を供給することで、集塵機4から排出される排ガス温度を30℃程度まで低減でき、本実施例においても、上記実施例1と同等の効果を得ることが可能である。
【0067】
また、除熱用熱交換器48の冷媒に海水を利用することで、工業用水の使用を抑えることができ、更なる節水が実現できる。
そして、本実施例においても、実施例2のように熱回収用熱交換器45のドレン水を炭酸カルシウム供給装置44に供給する構成としても良い。
【実施例4】
【0068】
本発明の実施例4の排ガス処理装置の全体構成図を図4に示す。
この実施例では、湿式脱硫装置5のタンク30内の脱硫吸収液28を熱回収用熱交換器45の下部に設置したドレン水回収部49に供給する構成としたもので、それ以外は図1の構成と同様であるため、説明は省略する。
【0069】
燃料である石炭中に含まれる硫黄成分が多い場合は、ボイラ1から発生する排ガス中のSO2濃度が高くなる。石炭の産地によっては、2〜3%の硫黄が含まれていることがあり、排ガス中のSO2濃度は1500〜2500ppmと高い値となる。
湿式脱硫装置5の排ガスダクトの上流に設けた熱回収用熱交換器45においては、発生したドレン水に排ガス中のSO2が多量に吸収されて、強酸性となり、排ガスダクトや配管が腐食する原因となる場合がある。
【0070】
特に、従来技術を示す図5の場合と比べて排ガス温度を約70〜80℃低い30℃まで低減する本実施例では、水露点以下となる範囲が大きいので、この問題が顕著となりやすい。
このような場合の対策として、図4に示すように、湿式脱硫装置5のタンク30内の脱硫吸収液28を熱回収用熱交換器45の伝熱管表面やドレン水回収部49に供給する吸収液ポンプ51を介した吸収液供給配管53(供給系統)を設けることが有効である。
【0071】
脱硫吸収液28中には、炭酸カルシウムが含まれているため、熱回収用熱交換器45の伝熱管表面で発生した強酸性のドレン水を中和することができる。したがって、熱回収用熱交換器45の伝熱管の腐食を防止できる。
また、余剰の炭酸カルシウムは、ドレン水供給配管50を通じてドレン水とともに湿式脱硫装置5に供給されるので、無駄なく有効利用される。
【0072】
なお、本実施例においても、実施例2のように熱回収用熱交換器45のドレン水を炭酸カルシウム供給装置44に供給する構成としても良いし、実施例3のように除熱用熱交換器48の冷媒に海水を利用しても良い。
本実施例は、排ガス中のSO2濃度が高い場合に好適である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、石炭焚ボイラに限らず、他の燃焼装置から発生する排ガス中に含まれる硫黄酸化物を除去する湿式脱硫装置を備えた排ガス処理装置や排ガス処理方法においても、湿式脱硫装置に供給する水量を低減する技術として、利用可能性がある。
【符号の説明】
【0074】
1 ボイラ
3 空気予熱器(A/H;エアヒータ)
4 集塵機
5 脱硫装置
7 煙突
11 ボイラ熱交換器
12 タービン
13 発電機
14 復水器
15 昇圧ポンプ
16 ボイラ給水ライン
21 石炭供給ライン
25 吸収液循環配管
26 吸収液循環ポンプ
27 スプレノズル
28 脱硫吸収液
30 タンク
36 燃焼用空気供給ライン
38 海水供給ライン
44 炭酸カルシウム溶液供給装置
45 熱回収用熱交換器
46 再加熱用熱交換器
47 熱媒体循環ポンプ
48 除熱用熱交換器
49 ドレン水回収部
50 ドレン水供給配管
51 吸収液ポンプ
52 熱媒体循環配管
53 吸収液供給配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭を燃料としたボイラから発生する排ガスに吸収液を噴霧して排ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式脱硫装置を備えた排ガス処理装置において、
前記湿式脱硫装置の上流側の排ガスダクトに、排ガスの熱を熱媒体に回収する伝熱管を備えた熱回収用熱交換器を設け、
前記湿式脱硫装置の下流側の排ガスダクトに、排ガスを前記熱回収用熱交換器から供給される熱媒体で加熱する伝熱管を備えた再加熱用熱交換器を設け、
更に熱回収用熱交換器と再加熱用熱交換器にそれぞれ設けられた伝熱管を連通し、その内部に熱媒体を循環させる熱媒体循環配管を設け、
該熱媒体循環配管の前記再加熱用熱交換器から熱回収用熱交換器への熱媒体の流路に、熱媒体から除熱する除熱用熱交換器を設け、
該熱回収用熱交換器の排ガスダクトの下部にドレン水回収部を設け、該ドレン水回収部内のドレン水を前記湿式脱硫装置に供給するドレン水供給部を設けたことを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
前記湿式脱硫装置は、硫黄酸化物を吸収した吸収液を溜めるタンクと、該タンクの上方に設けられ、排ガスに吸収液を噴霧するスプレノズルを排ガス流れ方向に複数段設置したスプレ部と、前記タンク内の吸収液をスプレノズルに吸い上げるための循環ポンプを設けた吸収液を送る吸収液循環配管と、前記タンク内の吸収液中の二酸化硫黄を石膏にするための炭酸カルシウム溶液を供給する炭酸カルシウム供給装置とを備え、
更に前記ドレン水供給部は、ドレン水回収部内のドレン水を前記タンクに供給する構成であることを特徴とする請求項1記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記湿式脱硫装置は、硫黄酸化物を吸収した吸収液を溜めるタンクと、該タンクの上方に設けられ、排ガスに吸収液を噴霧するスプレノズルを排ガス流れ方向に複数段設置したスプレ部と、前記タンク内の吸収液をスプレノズルに吸い上げるための循環ポンプを設けた吸収液を送る吸収液循環配管と、前記タンク内の吸収液中の二酸化硫黄を石膏にするための炭酸カルシウム溶液を供給する炭酸カルシウム供給装置とを備え、
更に前記ドレン水供給部は、ドレン水回収部内のドレン水を前記炭酸カルシウム供給装置に供給する構成であることを特徴とする請求項1記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
前記熱回収用熱交換器の伝熱管の表面がフッ素樹脂を含む耐食材でコーティングされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
前記除熱用熱交換器に冷媒を供給し、再加熱用熱交換器から熱回収用熱交換器に流入する熱媒体を冷却することで熱回収用熱交換器出口の排ガス温度を前記冷媒の温度以上排ガスの水分飽和温度以下とする冷媒供給部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の排ガス処理装置。
【請求項6】
前記ボイラに給水するボイラ給水部を設け、
該ボイラ給水部の給水を前記冷媒供給部の冷媒としたことを特徴とする請求項5記載の排ガス処理装置。
【請求項7】
海水を前記冷媒供給部の冷媒としたことを特徴とする請求項5記載の排ガス処理装置。
【請求項8】
前記湿式脱硫装置のタンク内の吸収液を前記熱回収用熱交換器に供給する吸収液供給部を設けたことを特徴とする請求項5記載の排ガス処理装置。
【請求項9】
石炭を燃料としたボイラから発生する排ガスに吸収液を噴霧する構成を備えた湿式脱硫装置により排ガス中の硫黄酸化物を除去する排ガス処理方法において、
前記湿式脱硫装置による脱硫前の排ガスから熱を回収するための熱媒体を内部に有する伝熱管を備えた熱回収用熱交換器によって排ガスの熱を回収し、湿式脱硫装置による脱硫処理後の排ガスを加熱するための熱媒体を内部に有する伝熱管を備えた再加熱用熱交換器に前記熱回収用熱交換器から前記熱媒体を循環供給し、
前記再加熱用熱交換器から熱回収用熱交換器へ供給される熱媒体から除熱すると共に前記熱回収用熱交換器の下部に溜まるドレン水を前記湿式脱硫装置に供給することを特徴とする排ガス処理方法。
【請求項10】
硫黄酸化物を吸収した吸収液を溜めるタンクと、該タンクの上方に設けられ、排ガスに吸収液を噴霧するスプレノズルを排ガス流れ方向に複数段設置したスプレ部と、前記タンク内の吸収液をスプレノズルに吸い上げるための循環ポンプを設けた吸収液を送る吸収液循環配管と、前記タンク内の吸収液中の二酸化硫黄を石膏にするための炭酸カルシウム溶液を供給する炭酸カルシウム供給装置とを備えた湿式脱硫装置により排ガス中の硫黄酸化物を除去する排ガス処理方法であって、
前記熱回収用熱交換器の下部に溜まるドレン水を前記タンクに供給することを特徴とする請求項9記載の排ガス処理方法。
【請求項11】
硫黄酸化物を吸収した吸収液を溜めるタンクと、該タンクの上方に設けられ、排ガスに吸収液を噴霧するスプレノズルを排ガス流れ方向に複数段設置したスプレ部と、前記タンク内の吸収液をスプレノズルに吸い上げるための循環ポンプを設けた吸収液を送る吸収液循環配管と、前記タンク内の吸収液中の二酸化硫黄を石膏にするための炭酸カルシウム溶液を供給する炭酸カルシウム供給装置とを備えた湿式脱硫装置により排ガス中の硫黄酸化物を除去する排ガス処理方法であって、
前記熱回収用熱交換器の下部に溜まるドレン水を前記炭酸カルシウム供給装置に供給することを特徴とする請求項9記載の排ガス処理方法。
【請求項12】
前記熱回収用熱交換器の伝熱管として、その表面がフッ素樹脂を含む耐食材でコーティングされた伝熱管を用いることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の排ガス処理方法。
【請求項13】
前記再加熱用熱交換器から熱回収用熱交換器に流入する熱媒体を冷媒により冷却することで除熱し、熱回収用熱交換器出口の排ガス温度を前記冷媒の温度以上排ガスの水分飽和温度以下とすることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の排ガス処理方法。
【請求項14】
前記冷媒として、ボイラに給水するボイラ給水を使用することを特徴とする請求項13記載の排ガス処理方法。
【請求項15】
前記冷媒として、海水を使用することを特徴とする請求項13記載の排ガス処理方法。
【請求項16】
前記湿式脱硫装置のタンク内の吸収液を前記熱回収用熱交換器に供給することを特徴とする請求項13記載の排ガス処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−78742(P2013−78742A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220861(P2011−220861)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】