説明

排便介護器具

【課題】 寝ていて動けない人の排便を、肌に触れさせる事無く袋に収納し、迅速かつ衛生的に排便処理が出来、使用後の袋も衛生的にゴミとして処理出来る排便介護器具を提供する。
【解決手段】 筒状の樹脂フィルムの片側先端部にファスナー(2)と(3)を取り付け、ファスナーを閉じる事によって袋(1)にし、袋上部には、便から発生するガスを放出する為のガス抜き穴(5)を設け、袋(1)の内側からガス抜き穴(5)を覆うガス抜きフィルター(12)を貼付する。同樹脂フィルムに取り付けたファスナー(2)と(3)の反対側端面にシール(4)を接着し、該シール(4)には便通過口(7)を設け粘着剤(11)を介してはがし紙(9)と(10)を貼付する事を特徴とする排便介護器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、介護に関するもので、寝ていて動けない人の排便を、肌に触れさせる事無く袋に収納し、迅速に、衛生的に排便処理が出来、使用後の袋も衛生的にゴミとして処理出来る排便介護器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、排便処理を行う時、肛門の機能を失った場合は、手術により人工肛門にしてパウチ等を使用する事があるが、肛門が正常に機能していても、寝ていて動けない人の排便処理にはおむつを利用しているので、便による細菌感染を起こしやすく、おむつ交換時には、長時間おしりの周りに付着した便を拭き取ってから、再びおむつを装着していた。
使用後のおむつを便が付着した状態でゴミとして捨てるので不衛生であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 実開平01−034019
【特許文献2】 登録実用新案 第3015175号
【特許文献3】 実開平07−028500
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
おむつによる処理には、次のような欠点があった。
(イ) 介護する人と、される人が共に羞恥心と嫌悪感がある。
(ロ) 排便した時、おむつ内に便が広がるので、肌に付いた便を広範囲にわたって拭き取る必要がある。
(ハ) 広がった便による細菌感染で、皮膚炎、尿道炎、膀胱炎になりやすい。
(二) おむつ交換時に便が付着するので不衛生である。
(ホ) 悪臭の中、おむつ交換作業の時間がかかり過ぎる。
(ヘ) おむつは大きすぎるので廃棄に困る。
本発明は、以上のような欠点をなくすためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
筒状の樹脂フィルムの片側先端部にファスナー(2)と(3)を取り付け、ファスナーを閉じる事によって袋(1)にし、袋上部には便から発生するガスを放出させる為のガス抜き穴(5)を設け、袋(1)の内側にガス抜き穴(5)を覆ってガス抜きフィルター(12)を貼付する。
同樹脂フィルムを取り付けたファスナー(2)と(3)の反対側端面にシール(4)を接着し、該シール(4)には便通過口(7)を設け粘着剤(11)を介してはがし紙(9)と(10)を貼付する。
本発明は、以上の構成よりなる排便介護器具である。
【発明の効果】
【0006】
○ 介護する人とされる人が共に安心でき、羞恥心と嫌悪感が無くなる。
○ 便が袋に収納されるので、お尻の周りを拭き取る必要が無くなる。
○ 悪臭の中でのおむつの取替え作業が無くなる。
○ 介護者が便に触れる事なく、衛生的に取替えが出来る。
○ 便が肌に触れないので、細菌による尿道炎、膀胱炎、皮膚の炎症が無くなる。
○ 寝たままの状態で排便出来るので、トイレに移動する必要が無くなる。
○ おむつの場合は、排便したら、素早く取り替えなければ感染症を起こす恐れがあるが、排便介護器具を使うことにより、便が袋に収納され肌に触れないので、しばらくの間は取り替えなくても大丈夫である。
○ 袋の中に溜まったガスは消臭剤を通ってガス抜き穴から出て行くので、悪臭が出ない。
○ 袋に収納した便は、ファスナーを開いて、便器に捨てることが出来る。
○ 体から外したシールを2つ折にして閉じ、便を捨ててからファスナーを閉じる事により袋を密封した状態でゴミとして処理出来るので、衛生面で安心出来おむつに比べてゴミの減量化が図れる。
○ おむつに比べて大幅に交換時間が短縮出来る。
○ 袋を透明化する事により便の状況を確認出来るので健康状態を知ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の斜視図
【図2】 本発明の側面図
【図3】 本発明の、シールに粘着剤を塗る部分の図
【図4】 本発明のはがし紙を貼る部分の図
【図5】 本発明のシールを2つ折りにした図
【図6】 本発明のファスナーのA−A断面図
【図7】 本発明の消臭剤収納部を設けたときの断面図
【図8】 本発明のガス抜きフィルターを設けたときの断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための最良の形態について説明する。
筒状の樹脂フィルムの片側先端部にファスナー(2)と(3)を取り付け、ファスナーを閉じる事によって袋(1)にし、袋上部には、便から発生するガスを放出させる為のガス抜き穴(5)を設け、袋(1)の内側にガス抜き穴(5)を覆ってガス抜きフィルター(12)を貼付する。
同樹脂フィルムを取り付けたファスナー(2)と(3)の反対側端面にシール(4)を接着し、該シール(4)には便通過口(7)を設け、粘着剤(11)を介してはがし紙(9)と(10)を貼付する。
本発明は、以上の様な構成である。
【実施例】
【0009】
排便介護器具を使用する時は、ファスナー(2)と(3)を閉じ、請求項8に記載のシール(4)に付いているはがし紙(9)を剥がしてから、請求項2に記載のシール(4)に設けている便通過口(7)を肛門に合わせて貼って固定し、続いて両端のはがし紙(10)を剥いでから肛門周囲の肌に貼り付けて装着する。
装着された排便介護器具に肛門から排出された便は、便通過口(7)を通過して袋(1)に収納され、袋内に収納された便から発生するガスは請求項4に記載のガス抜きフィルター(12)を通過してガス抜き穴(5)から放出される。
ガス抜きフィルター(12)に替えて請求項5に記載のガス抜き穴(6)から消臭剤収納部(13)内の消臭剤(8)を通過させガス抜き穴(5)からガスを放出させる事も可能である。
袋(1)に収納された便は、肛門周囲の肌に貼り付けられたシール(4)を剥がし請求項9記載のシール(4)を2つ折りにして粘着面を貼り合せる事により密封され、請求項6に記載の観察出来る透明度の袋内の便の状態を診て健康状態を確認する事が出来る。
袋(1)に収納されている便は密封されているので、手を汚す事無く持ち運ぶ事が出来、便器上で、請求項3に記載のファスナー(2)を開けて吹き出しが無い事を確認した後、ファスナー(3)を開く事によって、便の噴き出しで手を汚す事無く安全で衛生的に捨てる事が出来る。
便を捨てた後の排便介護器具は、ファスナー(2)と(3)を閉じてから密封してゴミとして捨てるので、従来のおむつ処理に比べると、便が漏れる事なく衛生的であり、ゴミの減量化が図れる。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明は、寝て動けない人の排便を、肌に触れる事無く袋に収納し、迅速に衛生的に排便処理ができ、使用後の袋も衛生的にゴミとして処理できる排便介護器具に関するものである。
【符号の説明】
【0011】
1 袋
2 ファスナー
3 ファスナー
4 シール
5 ガス抜き穴
6 ガス抜き穴
7 便通過口
8 消臭剤
9 はがし紙
10 はがし紙
11 粘着剤
12 ガス抜きフィルター
13 消臭剤収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肛門から排出される便を直接袋(1)に収納する排便介護器具であって、該排便介護器具は、筒状の樹脂フィルムの片側先端部にファスナーを取り付け、ファスナーを閉じる事によって袋(1)にし、同樹脂フィルムに取り付けたファスナーの反対側端面にシール(4)を接着し、該シール(4)には便通過口(7)を設け粘着剤(11)を介してはがし紙(9)と(10)を貼付する事を特徴とする排便介護器具。
【請求項2】
該排便介護器具のシール(4)を肛門周囲に貼り付ける為に、身体に添いやすい柔軟性のあるシール(4)に便通過口(7)の穴を設け、粘着剤(11)を介してはがし紙(9)と(10)を貼付する事を特徴とする請求項1に記載の排便介護器具。
【請求項3】
該排便介護器具のファスナー(2)と(3)は、間隔をおいて2箇所に取り付ける事により2重の漏れ防止が出来、便を捨てるときに1箇所ずつ開ける事が出来る請求項1に記載の排便介護器具。
【請求項4】
該排便介護器具の袋(1)内に収納された便から発生するガスを放出する為に袋(1)の上部にガス抜き穴(5)を設け、袋(1)の内側からガス抜き穴(5)を覆ってガス抜きフィルター(12)を貼付する事を特徴とする請求項1に記載の排便介護器具。
【請求項5】
該排便介護器具は、請求項4に記載のガス抜きフィルター(12)に替えて消臭剤収納部(13)を設け、ガスをガス抜き穴(6)から消臭剤(8)を通過させてガス抜き穴(5)から放出させる事も可能な請求項1に記載の排便介護器具。
【請求項6】
該排便介護器具の袋(1)は、便の状態を観察出来る透明度の高い樹脂フィルムとする事を特徴とする請求項1に記載の排便介護器具。
【請求項7】
該排便介護器具の袋(1)は、シール(4)に対して直角方向に伸びるように構成される請求項1に記載の排便介護器具。
【請求項8】
該排便介護器具のはがし紙は、中央部(9)と両端(10)で分離出来る様に構成されている請求項1に記載の排便介護器具。
【請求項9】
該排便介護器具のファスナー(2)と(3)を閉じ、シール(4)を2つ折りにして粘着剤で貼り合わせて袋(1)を密封する事を特徴とする請求項1に記載の排便介護器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−148852(P2010−148852A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110028(P2009−110028)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【特許番号】特許第4427604号(P4427604)
【特許公報発行日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(592005629)
【Fターム(参考)】