説明

排水設備における排気・掃気装置

【課題】排水器具としての、排水トラップ若しくは排水トラップ桝の排水貯留施設における、排水自体の、又は排水に混入した揮発性の高い薬品等からの臭気ガスを効率よく外部に排出する装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明では、排水器具の排水貯留液面より上部に排気管を設け、更に前記排気管の開放端部に排気促進手段を設けることで上記目的を達成した排水設備における排気・掃気装置を提供している。排気管の開放端部に排気促進手段を設ければさらに効果的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造施設等における、排水自体の、また排水に溶け込んだ薬品等の臭気や室内のガスの、排水設備における排気・掃気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産装置から発生するドレン、空調機やファンコイル等の空調ドレン及び一般排水は排水管で集水され、屋外に排水される。
【0003】
これまでの技術では、常時排水の出る一般排水は、排水装置に、排水器具としてのU字型トラップや桝等を設けて、排水管からの臭気や虫等による室内への影響を防止する装置が提案されている。
【特許文献1】特開平5ー51957
【特許文献2】特開平7ー15815
【特許文献3】特開平8−193359
【0004】
また、ドレン水など排水に臭気がない場合や常時排水が無く、トラップ水が蒸発する可能性のある場合などは、複数の排水設備からの排水をトラップ桝に集水して、排水する方法がおこなわれていた。
これは、生産設備の場合、排水横引き管は、配管サイズによるが、1/100から1/200程度の勾配で、排水立て管あるいは、トラップ桝に接続するが、立て管を通す関係上から室毎に排水管を分けることなく、複数の室にまたがって排水を集水することから来るものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、排水器具としての、排水トラップ若しくは排水トラップ桝等には、常時排水が溜まっており、排水自体や、排水に溶け込んだ揮発性の高い薬品等の臭気が、排水管から室内に拡散して出てくることは避けられなかった。
【0006】
更に、排水器具としての、排水トラップ若しくは排水トラップ桝までに同じ排水管につながっている排水設備は、異なる排水設備の臭気が拡散して出てくる現象が生じていた。
【0007】
このような現象は、特に半導体製造装置など室内の微量ガスの存在を制御する必要がある場合には問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、排水器具としての、排水トラップ若しくは排水トラップ桝等の排水貯留施設における、排水自体の、又は排水に混入した揮発性の高い薬品等からの臭気ガスを効率よく外部に排出する装置を提供することを目的とする。
【0009】
第一の発明は、排水器具の排水貯留液面より上部に排気管を設けたことを特徴とする。
【0010】
このことにより、排水器具に常時溜まった排水自体や、排水に溶け込んだ薬品等による臭気が排水管から室内に拡散したものや、排水器具までに同じ排水管につながっている排水設備において出てくる、臭気の特に強い異なる排水設備の拡散した臭気などを貯留液面より上部に設けた排気管によって排気若しくは掃気することが可能となる。
【0011】
特に、半導体や薬品製造などクリーンルーム施設では、室内側が加圧されていることにより、貯留液面より上部の排気管から容易に気流が、排水器具としてのトラップ側に流れる程度の微量の排気を行うこととなり、更にドラムトラップや碗トラップは、トラップ形状から上面からの排気をすることが難しいために、排水面の上部側面に設けた排気管より排気を確実に行うこととなる。
【0012】
第二の発明は、上記排気管開放端部に排気促進手段を設けたことを特徴とする。
【0013】
これにより、排水器具としての、排水トラップ若しくは排水トラップ桝等に常時溜まった排水自体や排水に溶け込んだ揮発性の高い薬品等による臭気が、排水管から室内に拡散したものや排水トラップ若しくは排水トラップ桝等までに同じ排水管につながっている排水設備において出てくる、臭気の特に強い異なる排水設備の拡散した臭気等を排気または掃気するトレンドがより強力となり、確実なものとなる。
【0014】
第三の発明は、前記排気促進手段の排気促進の強度は、排水の量と臭気の強弱によって、前記排水器具の排気貯留液面の水位を検知して、排気量を対応した強度に設定出来るようにしたことを特徴とする。
【0015】
このことにより、一般の排水で特に強い臭気を発生し、排水量が多い場合においては、排水管内の空気の乱れを生じる為に、排気量を増やす必要があるので、このことに対応して排気促進手段としての、ファン若しくはベンチレータの強度を高めることによって、この問題を解消することとなる。
【0016】
第四の発明は、前記排水器具の排水貯留液面は、その水位を検知して、排水器具に給水を補う設備を設けたこと、及び前記排気促進手段の働きを停止可能とすることを特徴とする。
【0017】
このことにより、排水量が少ない系統の排水器具としての、トラップ若しくは桝が排気することで、水が蒸発して封水が切れる虞があるのを防ぐこととなる。
【0018】
本発明の排気・掃気システムは、排水器具に常時溜まった排水自体や、排水に溶け込んだ薬品等による臭気が排水管から室内に拡散したものや、排水器具までに同じ排水管につながっている排水設備において出てくる、臭気の特に強い異なる排水設備の拡散した臭気などを貯留液面より上部に設けた排気管によって排気または掃気することが可能となり、また、排水器具に常時溜まった排水自体や排水に溶け込んだ揮発性の高い薬品等による臭気が、排水管から室内に拡散したものや排水器具までに同じ排水管につながっている排水設備において出てくる、臭気の特に強い異なる排水設備の拡散した臭気等を排気または掃気するトレンドがより強力となり、確実なものとなる。
【0019】
更に、一般の排水で特に強い臭気を発生し、排水量が多い場合においては、排水管内の空気の乱れを生じる為に、排気量を増やす必要があるので、このことに対して排気促進手段としての、ファン若しくはベンチレータの強度を高めることによって、この問題を解消することとなり、また、排水量が少ない系統の排水器具としての、トラップ若しくは桝等が排気することで、水が蒸発して封水が切れる虞があるのを防ぐこととなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面を元に詳細にする。
図1は本発明の複数の室内から排出される排水を、排水器具としての、トラップ桝に貯留させて、適宜外部に排出して行く、トラップ桝において適用される、排水設備における排気・掃気装置を示すものである。
【0021】
図1に示したように、排気管1を、排気器具3としてのトラップ桝3aの上部の内、上面に設ける。 先ず、各室A、B、Cから排出される一般排水やドレーンを各排管6a、6b,6cを通し、更に、統合排管4を通して集められる排水が、剰余分の排水管5を通して排出される間に、トラップ桝3a内に貯留することとなる。
【0022】
加えるに、構造上の特徴として、このトラップ桝3aの排気管1より排水管5側に、桝3a上面より垂下した所の区画板7が示されている。この作用については、後に説明することとする。
【0023】
トラップ桝3a内に貯留する排水は、各室A、B、Cに於ける一般排水及びドレーン自体の持つ、また一般排水及びドレーンに溶け込んだ化学薬品等の揮発性・蒸発性に基づく気体の内、臭気の特に強い異なる排水設備による臭気が、排管4及び6a 、6b 、6c を通して各室内A、B、C内に逆流するのを防ぐ目的で、前記排気管1と、その開放端部に設けた排気促進手段としての排気ファン2でトレンドを付加してやることにより、外部に排出するものである。
【0024】
本来、排水器具としての、トラップ桝3aは、排水管5からの外部の臭気や虫の進入を防ぐ目的を有するものであるが、同様の装置として、図2に示すような、排水器具としての、U字トラップ3b等のトラップがある。
【0025】
この排水器具としての、U字トラップ3b内に、各室a、b、cから排出される一般排水やドレーンが各排管6a 、6b 、6c を通して統合排管4に集められ、貯留し、排出管5を通して余剰な排水は、外部に排出されるものである。
【0026】
ここにおいて、U字トラップ3bに貯留する排水から、一般排水やドレーン自体や、それに混入した化学薬品等の揮発性の高い排水等の内、臭気の特に強い異なる排水設備による所の、臭気が統合排管4、更に各排管6a 、6b 、6c を逆流して各室a、b、c内に進入するのを防ぐ目的で、U字トラップ3bの封水の排水貯留液面の上部である、流入管4側に分岐した、排気管1とその開放端部に設けた、排気促進手段としての、排気ファン2でトレンドを付加してやることで外部に排出するものである。
【0027】
図3には、排水器具としての、トラップ桝3aの上部である上面や、排水器具としての、U字トラップ3bの封水の排水貯留液面の上部である、統合排管4である流入管4側に分岐させて設けた、排気管1の開放端部に取り付けた排気促進手段としてのファン2の代替として使用する所の、排気管1に取り付けた、ベンチレータ2' を示した。
【0028】
前記排気促進手段としての、ファン2若しくはベンチレータ2' の強度は、排水の量と臭気の強弱によって、前記排水器具としての、排水トラップ若しくは排水トラップ桝3aの排気貯留液面の水位を、例えば図1に示した排水トラップ桝3aの底部その他の個所に検知装置を配して、前記排水トラップ桝3a内に貯留する封水の液面の水位を検知して、排気量を対応した強度に設定出来るようにする。
【0029】
このことにより、一般の排水で特に強い臭気を発生し、排水量が多い場合に対応して、排気促進手段としてのファン2若しくはベンチレータ2' の排気促進の強度を高めることによって、この問題を解消することとなる。
【0030】
また、前記排水器具3としての、排水トラップ若しくは排水トラップ桝3aの排水貯留液面は、その水位を検知装置で検知して、トラップ若しくは桝3aに給水を補う設備を設けたこと、及び前記排気ファン2若しくはベンチレータ2' の働きを停止可能とすることとする。
【0031】
このことにより、排水量が少ない系統のトラップ若しくは桝3aが排気することで、水が蒸発して封水が切れる虞があるのを防ぐこととなる。
【0032】
図4には、排水器具としての、碗トラップ桝3cを示している。この場合、メッシュ8を通過して流入する排水を封水するために、碗9が排水管5の開端部に被せてあることと合わせて、上部である上面からの排気が不可能であるために、排気管1を桝3cの上部である上部側面に設けることとした。
【0033】
図5には、排水器具3としてのトラップ桝3の一態様を示している。しかし、基本的には上記図1で説明した排気管1を排水器具としてのトラップ桝3aに於ける、上部としての上面に配してあるものの全体構造には違いがない。
【0034】
ただ排水設備として、排管4から流入する排水で、桝3aに汚水による汚物が沈殿するのを防ぐ目的で、排管4からの排水が直接排水管5に流れて行くことなく、排水管5に対して、桝3a底部を浚うように流れるようにするように迂回させる、区画板10が槽3aの上面から垂下しているものが示されている。
【0035】
図6にも、排水器具3の別の態様が示されている。しかし、これも同様に基本的には上記図1で説明した、排気管を排水器具としてのトラップ桝3aに於ける、上部としての上面に配してある構造には違いがない。
【0036】
そして、これも排設備として、排管4から流入する排水で、桝3aに汚水による汚物が沈殿して、そこから汚染ガス等が発生したりするのを防ぐ目的で、排管4からの排水が、直接排水管5に流れることなく、排水管5の桝3aの底部の水を吸うように排水するように、排水管の一部が桝3内底部方向へ屈曲した形で延びているようにしているものが示されている。
【産業上の利用可能性】
【0037】
流入管から排水を導き、排水を一時封水して置き、排水管または外部から臭気や虫等の進入を防ぐ目的の封水設備を用いる排水施設において広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の排水設備における排気・掃気装置のトラップ桝の実施例図である。
【図2】本発明の排水設備における排気・掃気装置のU字トラップの実施例図である。
【図3】本発明の排水設備における排気・掃気装置に使用するベンチレータを示す図である。
【図4】本発明の排水設備における排気・掃気装置の排気管を上部側面に取り付けた場合の実施例図である。
【図5】本発明は本発明の他の実施例図である。
【図6】本発明は本発明の他の実施例図である。
【符号の説明】
【0039】
1 排気管
2 ファン
2' ベンチレータ
3 排水器具
3a トラップ桝
3b U字トラップ
3c 椀トラップ桝
4 統合排管
5 排水管
6a,6b,6c, 排管
7,10 区画板
8 メッシュ
9 碗
A,B,C,a,b,c 室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水器具の排水貯留液面より上部に排気管を設けたことを特徴とする排水設備における排気・掃気装置。
【請求項2】
前記排気管開放端部に排気促進手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の排水設備における排気・掃気装置。
【請求項3】
前記排気促進手段は、その排気促進の強度を、排水の量と臭気の強弱によって、前記排水器具の排気貯留液面の水位を検知して、排気量を対応した強度に設定出来るようにしたことを特徴とする請求項1、2記載の排水設備における排気・掃気装置。
【請求項4】
前記排水器具の排水貯留液面は、その水位を検知して、該排水器具に給水を補う設備を設けたこと、及び前記排気促進手段の働きを停止可能にすることを特徴とする請求項1、2、3記載の排水設備における排気・掃気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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