排煙窓ユニット、及び、排煙窓ユニット用の方立
【課題】上下げされる排煙窓と、その下方に嵌め殺しのFIX窓が配置される構成において、新規な技術について提案するものである。
【解決手段】上下げされる排煙窓1と、前記排煙窓1の下方にFIX窓2を有する排煙窓ユニット6Bであって、前記排煙窓ユニット6Bは、前記排煙窓1と前記FIX窓2を組み付けるための方立63Bを少なくとも一つ有し、前記方立63Bは、第一の枠体W1と、前記第一の枠体W1に固定され、前記FIX窓2の側端部を挿入し得る第二の縦溝L2を有する第二の枠体W2と、を有しており、前記第一の枠体W1と前記第二の枠体W2の間には、排煙窓1の側端部を挿入し得る第一の縦溝L1が形成されるものとする。
【解決手段】上下げされる排煙窓1と、前記排煙窓1の下方にFIX窓2を有する排煙窓ユニット6Bであって、前記排煙窓ユニット6Bは、前記排煙窓1と前記FIX窓2を組み付けるための方立63Bを少なくとも一つ有し、前記方立63Bは、第一の枠体W1と、前記第一の枠体W1に固定され、前記FIX窓2の側端部を挿入し得る第二の縦溝L2を有する第二の枠体W2と、を有しており、前記第一の枠体W1と前記第二の枠体W2の間には、排煙窓1の側端部を挿入し得る第一の縦溝L1が形成されるものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下げ式の排煙窓に関し、より詳しくは、排煙窓を取付ける窓枠の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等一定の要件を満たす建物には、消防法により排煙窓の設置が義務付けられている。また、このような消防法に関連する設置義務がない場合でも、室内の換気や、採光の目的で排煙窓が設けられていることもある。
【0003】
このような排煙窓においては、窓枠内の開口を閉鎖/開放するための排煙窓を、外倒し窓、若しくは、内倒し窓として構成するものが知られている。特許文献1では、排煙窓の下枠側を回動中心とする内倒し窓として構成される排煙窓について開示がされており、窓枠と排煙窓の間にダンパーが介設され、このダンパーを作動させることで排煙窓が開放される構成としている。
【0004】
また、室内の間仕切りパネルの上部に排煙窓を備える構成も知られており、特許文献2では、上下げ窓を間仕切りパネル内に収容し得る構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−251027号公報
【特許文献2】特開2009−46880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように、ダンパーを備える構成では、このダンパーのコストや取付作業が発生することになる。また、ダンパーの作動確認や定期的なメンテナンスも要求されることになる。また、窓枠及び排煙窓の枠については、それぞれダンパーを固定するための所定の見付幅を確保する必要があり、排煙窓を開いた状態の有効開口面積を広く確保する上で、この見付幅の存在が障害となってしまう。このようなことから、排煙窓において、ダンパーを用いない構成が望まれていた。
【0007】
他方、特許文献2のような上下げ窓の形態によれば、ダンパーを用いない構成とすることが可能となる。しかし、特許文献2で開示される技術は、排煙窓が間仕切りパネル内に収容する技術であるため、例えば、排煙窓の下方に別の嵌め殺しのFIX窓が配置され、このFIX窓の室外側、若しくは、室内側に排煙窓を下降させる構成については、特許文献2に開示される技術を適用することができない。
【0008】
また、店舗等においては、嵌め殺しのFIX窓の上方に排煙窓を設け、FIX窓・排煙窓のいずれにおいてもガラス面材を用いることで開放感を確保する形態が一般的であるため、このような形態についても、排煙窓を上下げ窓にて構成できることが望まれている。
【0009】
そこで、本発明は以上の問題点に鑑み、上下げされる排煙窓と、その下方に嵌め殺しのFIX窓が配置される構成において、新規な技術について提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1に記載のごとく、
上下げされる排煙窓と、前記排煙窓の下方にFIX窓を有する排煙窓ユニットであって、前記排煙窓ユニットは、前記排煙窓と前記FIX窓を組み付けるための方立を少なくとも一つ有し、前記方立は、第一の枠体と、前記FIX窓の側端部を挿入し得る第二の縦溝を有する第二の枠体と、を有しており、前記第一の枠体と前記第二の枠体の間には、排煙窓の側端部を挿入し得る第一の縦溝が形成されるものとする。
【0012】
また、請求項2に記載のごとく、
前記方立には、前記第一の枠体の見込面部を挟んで二つの前記第二の枠体が設けられ、前記見込面部を挟んで両側に、前記第一の縦溝、及び、前記第二の縦溝が形成され得る構成とするものである。
【0013】
また、請求項3に記載のごとく、
前記第一の枠体と、前記第二の枠体は、別体に構成され、
前記第一の枠体に、前記第二の枠体が固定される、こととするものである。
【0014】
また、請求項4に記載のごとく、
前記排煙窓の上枠にはストッパー部が設けられており、前記排煙窓が下降した際に、前記ストッパー部が前記方立に固定される横桟に当接することで、前記排煙窓の下降が規制される構成とするものである。
【0015】
また、請求項5に記載のごとく、
前記排煙窓ユニットは、前記方立を構成部材として有するユニット枠を有し、前記排煙窓は、補助機構を介して前記ユニット枠に連結されており、前記補助機構は、前記排煙窓を押し上げる方向の反力を発生し得る構成とするものである。
【0016】
また、請求項6に記載のごとく、
前記補助機構のケースは、前記ストッパー部の一部を構成することとするものである。
【0017】
また、請求項7に記載のごとく、
上下げされる排煙窓と、前記排煙窓の下方にFIX窓を有する排煙窓ユニット用の方立であって、前記方立は、第一の枠体と、前記FIX窓の側端部を挿入し得る第二の縦溝を有する第二の枠体と、を有しており、前記第一の枠体と前記第二の枠体の間には、排煙窓の側端部を挿入し得る第一の縦溝が形成されるものとする。
【0018】
また、請求項8に記載のごとく、
前記方立には、前記第一の枠体の見込面部を挟んで二つの前記第二の枠体が設けられ、前記見込面部を挟んで両側に、前記第一の縦溝、及び、前記第二の縦溝が形成され得る構成とするものである。
【0019】
また、請求項9に記載のごとく、
前記第一の枠体と、前記第二の枠体は、別体に構成され、
前記第一の枠体に、前記第二の枠体が固定される、こととするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0021】
即ち、請求項1に記載の発明においては、
上下げされる排煙窓とその下方のFIX窓を組み付けるための縦溝をそれぞれ構成することができ、方立に対して排煙窓とFIX窓を組み付ける構成を実現することができる。また、第一の枠体と第二の枠体を別体とすることにより、第二の枠体を出隅などの部位にも利用することができ、方立とそれ以外の箇所において共通の第二の枠体を利用することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0022】
また、請求項2に記載の発明においては、
方立を挟んで排煙窓ユニットを連設する構成や、方立を挟んで排煙窓ユニットと固定窓ユニットを配置する構成を、適宜実現することができる。換言すれば、方立において、排煙窓ユニットと固定窓ユニットの両方に対応することが可能となり、方立を構成する部品の共通化を図ることができる。
【0023】
また、請求項3に記載の発明においては、
第二の枠体を出隅などの部位にも利用することができ、方立とそれ以外の箇所において共通の第二の枠体を利用することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0024】
また、請求項4に記載の発明においては、
簡易な構成で、排煙窓の下降を規制することが可能となる。
【0025】
また、請求項5に記載の発明においては、
横桟に排煙窓のストッパー部が衝突する際に生じる衝撃を低減することができるようになり、また、排煙窓を押し上げる際には、反力によって軽い力で排煙窓を押し上げることが可能となる。
【0026】
また、請求項6に記載の発明においては、
補助機構のケースが、ストッパー部の機能を兼ね備えることができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0027】
また、請求項7に記載の発明においては、
上下げされる排煙窓とその下方のFIX窓を組み付けるための縦溝をそれぞれ構成することができ、方立に対して、排煙窓とFIX窓を組み付ける構成を実現することができる。また、第一の枠体と第二の枠体を別体とすることにより、第二の枠体を出隅などの部位にも利用することができ、方立とそれ以外の箇所において共通の第二の枠体を利用することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0028】
また、請求項8に記載の発明においては、
方立を挟んで排煙窓ユニットを連設する構成や、方立を挟んで排煙窓ユニット固定窓ユニットを配置する構成を、適宜実現することができる。換言すれば、方立において、排煙窓ユニットと固定窓ユニットの両方に対応することが可能となり、方立を構成する部品の共通化を図ることができる。
【0029】
また、請求項9に記載の発明においては、
第二の枠体を出隅などの部位にも利用することができ、方立とそれ以外の箇所において共通の第二の枠体を利用することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態にかかる排煙窓ユニットについて示す図。
【図2】排煙窓ユニットを連設する例について示す図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】図2のB−B線断面図。
【図5】FIX窓、ユニット枠の他の構成例について示す図。
【図6】ラッチ機構による排煙窓の閉鎖状態について示す図。
【図7】排煙窓が開かれた状態の排煙窓ユニットについて示す図。
【図8】排煙窓が閉じられた状態の排煙窓ユニットについて示す図。
【図9】(a)は、排煙窓が閉じられた際の補助機構の様子について示す図。(b)は、補助機構によって排煙窓に作用する反力について説明する図。
【図10】横桟によって排煙窓の落下が規制される状況について示す図。
【図11】方立の構成について示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面を用いた説明においては、便宜上、紙面上側を上、紙面下側を下、紙面左側を左、紙面右側を右として説明することとする。
【0032】
図1に示す排煙窓ユニット6の形態では、排煙窓1を嵌め殺しのFIX窓2の上方に連続して配設する構成であり、閉鎖時ではラッチ機構3によって排煙窓1の自重が支えられることによって、開口4が排煙窓1にて閉鎖された状態を維持できるようになっている。また、火災時などの開放時においては、操作引手30を下方に引っ張ることでラッチ機構3による排煙窓1の支持が開放され、排煙窓1が自重によって下方へ移動して開口4が確保され、この開口4から室外へと排煙できるようになっている。また、いったん下方へ移動した排煙窓1を上方に押し上げて、ラッチ機構3にて排煙窓1を支えることによって、再び、排煙窓1の閉鎖時の状態に戻すことができるようになっている。なお、このような排煙窓1の開閉は、排煙窓1の定期点検などにおいても行われる。
【0033】
また、図2に示すように、上下げされる排煙窓1とその下方のFIX窓2を組み合わせてなる排煙窓ユニット6A・6Bを横方向に連設し、さらに、縦寸法の長い一枚の嵌め殺しのFIX窓5を有してなる固定窓ユニット7を連設することで、店舗等の外装を構成することができる。なお、図1及び図2の例では、排煙窓1がFIX窓2の室外側に下降する配置構成としているが、この他、排煙窓1がFIX窓2の室内側に下降する配置であってもよい。
【0034】
また、図3は、図2のA−A線断面図であり、図4は、図2のB−B線断面図である。
図3及び図4に示すごとく、排煙窓1は、ガラス等からなる透明の面材15を、上枠11、縦枠12・13、下枠14にて構成される四方枠状の枠体にて取り囲んで構成される。また、FIX窓2は、ガラス等からなる透明の面材25を、横桟21、下枠24、縦枠62、方立63Aにて構成される四方枠状の枠体にて取り囲んで構成される。また、これら排煙窓1のFIX窓2は、ユニット枠60の内側に納められる。このユニット枠60は、例えば、排煙窓ユニット6Bについては、上枠61、方立63A、方立63B、下枠24にて四方枠状に構成される。
【0035】
なお、図3に示される下枠24に関し、図5に示すごとく、FIX窓2が床面27の近い位置にまで設けられる構成においては、他の構成の下枠24Aを利用することとしてもよい。
【0036】
また、図3に示すごとく、排煙窓1が上側位置にある状態では、排煙窓1の上枠11の上部が、ユニット枠60の上枠61に付設された庇状片部材61a内に納められ、上枠11と庇状片部材61aの間の隙間が塞がれて、開口4の全領域が閉鎖されるようになっている。
【0037】
また、図6に示すごとく、排煙窓1の上枠11の見付面11aには、係止部材11bが付設されており、この係止部材11bの当接部11cが、ユニット枠60の上枠61に垂設されたラッチ機構3のラッチ31によって、下側から支えられ得るようになっている。このラッチ機構3は、操作ワイヤ32を介して操作引手30と接続されており、操作引手30が引下げられると、ラッチ31がラッチ機構3内に収容される一方、操作引手30が引下げられない状況では、内部の発条機構によってラッチ31が突出した状態が維持されるようになっている。
【0038】
また、排煙窓1が押し上げられる過程において、係止部材11bの上部の湾曲部11dがラッチ31に当接した際には、ラッチ31が発条機構の弾性力に抗してラッチ機構3内にいったん収容され、その後、上枠11が最上位位置まで達することで係止部材11bがラッチ31を通過した際には、ラッチ31が再び突出し、係止部材11bがラッチ31にて下から支持されるようになっている。なお、排煙窓1の押し上げ操作は、図3に示すごとく、排煙窓1の下枠14の下面側に設けられる、弾力性のある持ち手部14aを上方へ持ち上げることで行うことができるようになっている。
【0039】
また、図7及び図8に示すごとく、排煙窓1の上枠11の係止部材11b、及び、ユニット枠60の上枠61のラッチ機構3は、排煙窓1の幅方向において二箇所に配設されている。これにより、排煙窓1の自重が、二箇所においてラッチ機構3・3によって支えられ、閉鎖された状態が維持されるようになっている。また、二つのラッチ機構3・3は、ワイヤ33を介して接続されて連動するようになっている。これにより、操作引手30が引下げられた際には、二つのラッチ機構3・3が連動し、両ラッチ機構3・3による上枠11の係止部材11b・11bの支持が解除されて、排煙窓1を自重によって下降させることができるようになっている。また、排煙窓1が下降された状態から、排煙窓1を押し上げて開口4を閉鎖した際には、ラッチ機構3・3によって排煙窓1の閉鎖状態が維持されるようになっている。
【0040】
また、図7及び図8に示すごとく、排煙窓1は、排煙窓1の上部に設けられる補助機構8を介してユニット枠60に連結されるようになっており、排煙窓1が自重によって下降する際において、補助機構8には排煙窓1を上方へと移動させる方向、即ち、排煙窓1の自重と反対方向の反力が生じるようになっている。そして、この反力が排煙窓1に作用することによって、自重による排煙窓1の落下速度を低下させることができる。これにより、後述するように、横桟21に排煙窓1のストッパー部16が衝突する際に生じる衝撃を低減することができるようになり、また、排煙窓1を押し上げる際には、反力によって軽い力で排煙窓1を押し上げることが可能となる。また、本実施形態では、排煙窓1の上枠11の幅方向の端部の二箇所に、それぞれ補助機構8・8が配設されるようになっている。
【0041】
図9及び図10に示すごとく、補助機構8の具体的な構成について、方立63A側に設けられる補助機構8を用いて説明すると、補助機構8は、排煙窓1の上枠11の幅方向端部に固定されるケース81と、このケース81の内部にいわゆるゼンマイバネ状に巻かれた状態で収容される金属製帯状部材82とを有して構成される。また、金属製帯状部材82の一端82aはケース81の内部に固定され、他端82bは方立63Aの見込面63mの上部に固定される。
【0042】
この構成により、図9(a)に示すごとく、排煙窓1が閉じられた状態では、ケース81と金属製帯状部材82の他端82bが近傍に位置するようになって、金属製帯状部材82がケース81内に巻かれた状態で収容される一方、図9(b)に示すごとく、排煙窓1が開かれた状態では、ケース81から金属製帯状部材82が巻き出される状態となる。そして、図9(b)の状態では、巻き出された金属製帯状部材82をケース81に巻き戻そうとする反力Fが生じることになり、この反力Fが上枠11に作用する。この反力Fは、排煙窓1の自重Gと反対方向であるため、上述したように、排煙窓1を押し上げる際には、その反力Fの分だけ軽い力で排煙窓1を押し上げることができ、操作性に優れた排煙窓1を実現することができる。また、排煙窓1が下降して、上枠11に設けたストッパー部16が横桟21に衝突する際にも、反力Fにより、衝撃を低減することができる。
【0043】
なお、図9及び図10に示す構成の補助機構8によれば、金属製帯状部材82は方立63Aの見込面63mに沿うように巻き出されるため、図9(b)に示される開口4の有効開口面積を広く確保することが可能となる。また、補助機構8の配置や数については、本実施形態の構成に限定されるものではなく、また、補助機構8の構成そのものについても、例えば、排煙窓1を吊り上げる方向に力を発生させるカウンターウェイトを設ける構成や、図10に示すごとく、ユニット枠60の上枠61と排煙窓1の上枠11を紐状の弾性部材などで連結する構成なども採用し得る。
【0044】
また、図7及び図8に示すごとく、排煙窓1の上部には、横桟21の上方となる位置に、ストッパー部16が設けられており、図7に示すごとく、排煙窓1が開かれた際には、このストッパー部16が横桟21に当接することで、排煙窓1が横桟21に支持された状態となって、排煙窓1の落下が規制されるようになっている。この横桟21は、ユニット枠60の方立63Aと方立63Bの間に架設される。
【0045】
より具体的には、図10に示すごとく、ストッパー部16は、排煙窓1の上枠11に設けられる補助機構8のケース81と、このケース81の下面に貼付される板状の緩衝材16aにて構成される。この構成により、排煙窓1が下降した際には、緩衝材16aが横桟21の上面21aに当接することで、ケース81の部位が横桟21に支持された状態となって、排煙窓1の落下が規制される。また、本実施形態の構成によれば、金属製帯状部材82を収容するためのケース81が、ストッパー部16の機能を兼ね備えることができ、部品点数の削減を図ることができる。また、緩衝材16aについては、樹脂やゴムなどからなる弾性部材にて構成することで、排煙窓1の落下が規制される際の衝突による衝撃を低減するとともに、ケース81や横桟21の損傷を防止することができる。なお、図10に示されるようなストッパー部16の構成とする他、ケース81とは別の部位にストッパー部と同等の機能をなす部材を設ける構成なども採用し得る。
【0046】
次に、図1に示すごとく、排煙窓1とFIX窓2が納められるユニット枠60の構成について説明する。
このユニット枠60は、図3に示すごとく、上枠61と下枠24を有している。また、図4に示すごとく、ユニット枠60は、その縦枠材として、壁面9の近傍に設けられる縦枠62、方立63A、方立63B、出隅10の箇所に配置される縦枠65のうちの少なくとも一つを有することとしており、例えば、排煙窓ユニット6Bはユニット枠60の縦枠材として方立63A、方立63Bを有する構成としている。
【0047】
また、図3に示すごとく、ユニット枠60の上枠61は、天井側のブラケット41に固定され、排煙窓1が閉じられた状態では、上枠61が排煙窓1の上枠11と対向して開口4を閉鎖するようになっている。また、上枠61には、ラッチ機構3が垂設されるようになっている。
【0048】
また、図3に示すごとく、ユニット枠60の下枠24は、下側が土台となる基礎43などに載置固定される。
【0049】
また、図4に示すごとく、ユニット枠60の方立63A・63Bは、本実施形態では、壁面9に近い縦枠62と出隅10の間に配設され、排煙窓ユニット6Aについては、縦枠62と方立63Aの間に排煙窓1とFIX窓2が配置される構成となり、排煙窓ユニット6Bについては、二つの方立63A・63Bの間に排煙窓1とFIX窓2が配置される構成となり、固定窓ユニット7については、方立63Bと縦枠65の間にFIX窓5が配置される構成となっている。
【0050】
また、図11は、方立63Bの箇所について拡大した図である。この方立63Bは、見込面部W1aと、見込面部W1aの両端部にそれぞれ配置され、見込面部W1aと直交する二つの見付面部W1b・W1cと、を有する第一の枠体W1と、第一の枠体W1の見込面部W1aに固定され、FIX窓2の側端部(面材25の端部)を挿入し得る第二の縦溝L2を有する第二の枠体W2と、を有しており、前記第二の枠体W2は、前記見付面部W1bとの間に排煙窓1の側端部(縦枠13)を挿入し得る第一の縦溝L1を形成する見付面部W2bを有する構成とするものである。
【0051】
より詳細に説明すると、図11に示すごとく、本実施形態では、方立63Bは、第一の枠体W1と、第二の枠体W2とを組み合わせて構成される。まず、第一の枠体W1は、見込方向に長い見込面部W1aを有し、その両端部において、見込面部W1aと直交する見付面部W1b・W1cを有し、略H状の断面を構成するようになっている。また、見込面部W1aによって方立63Bの室外側の見付面が構成され、見付面部W1cによって方立63Bの室内側の見付面が構成される。なお、本実施形態においては、第一の枠体W1と第二の枠体W2を別体としたが、第一の枠体W1と第二の枠体W2を押出成形により、一体で構成することも考えられる。
【0052】
また、図11において見込面部W1aを挟んで左右に二つの略コ字状の空間が形成され、各空間には、見込面部W1aを挟んで線対称となるように第二の枠体W2・W2が配設される。この第二の枠体W2・W2は、その縦面部W2aが図示せぬ固定具によって見込面部W1aに対して固定される。
【0053】
また、図11に示すごとく、第二の枠体W2は、第一の枠体W1の見付面部W1bと対向する見付面部W2bを有しており、この見付面部W2bと見付面部W1bとの間において、排煙窓1の縦枠13を摺動自在に挿入し得る第一の縦溝L1が形成されるようになっている。また、第二の枠体W2は、第一の枠体W1の見込面部W1aに対向する縦面部W2aと、この縦面部W2aを挟んで見付面部W2bと対向する縦面部W2cを有している。そして、この縦面部W2cと見付面部W2bの間に、FIX窓2を挿入し得る第二の縦溝L2が形成されるようになっている。
【0054】
また、図11に示すごとく、排煙窓1が設置される排煙窓ユニット6Bの側に固定される第二の枠体W2については、横桟21よりも上方の部位において、第二の縦溝L2の開口を塞ぐ化粧枠材66が嵌着されて、横桟21のよりも下方の部位において、第二の縦溝L2に対してFIX窓2の面材25の端部が挿入された状態となる。また、排煙窓1が設置されない固定窓ユニット7の側に固定される第二の枠体W2については、第二の縦溝L2の全長にわたってFIX窓5の面材55の端部が挿入された状態となる。
【0055】
また、図11に示すごとく、第二の枠体W2は、第一の枠体W1の見込面部W1aと対向する見込面部W2dを有しており、この見込面部W2dによって、縦面部W2cと第一の枠体W1の見付面部W1cの間に形成される空間Mが閉じられるようになっている。また、この見込面部W2dと化粧枠材66によって、一連の見込面W2eを形成できるようになっている。
【0056】
そして、図11に示すごとく、以上の構成とする方立63Bによれば、排煙窓1とその下方にFIX窓2を有してなる排煙窓ユニット6Bと、FIX窓5を有してなる固定窓ユニット7とを、方立63Bを介して設置することができる。また、図4に示すように、方立63Bと同一構成の方立63Aを用いることで、排煙窓1とその下方にFIX窓2を有してなる二つの排煙窓ユニット6A・6B同士を、方立63Aを介して設置することもできる。また、方立63A・63Bのそれぞれにおいて、第二の枠体W2を第一の枠体W1を挟んで線対称に配置して利用することで、第二の枠体W2を共通部材として利用することができ、少ない部品点数にて方立63A・63Bを構成することができる。
【0057】
さらに、図4に示すごとく、方立63A・63Bに使用される第二の枠体W2を、出隅10の縦枠65を構成するための部材として用いてもよい。つまり、第二の枠体W2は、FIX窓5の面材55の端部が挿入される第二の縦溝L2を有しており、この第二の縦溝L2の開口を方立63B側に向けるようにして縦枠65の柱材65aに固定することにより、縦枠65の第二の枠体W2と、方立63Bの第二の枠体W2の間に、FIX窓5の面材55を固定することが可能となるのである。なお、壁面9の近傍に設けられる縦枠62についても、図4に示す構成とするほか、第二の枠体W2を縦枠62を構成するための部材として用いてもよい。
【0058】
また、図4に示すごとく、出隅10に配置する縦枠65の柱材65aについて、FIX窓5と直交する面に排煙窓1Aを配設する場合においても、柱材65aに第二の枠体W2を設けるとともに、この第二の枠体W2の見付面部W2bに、連結部材65bを介して断面L字状の見付縦枠65cを儲け、この見付縦枠65cと見付面部W2bの間に、排煙窓1Aの縦枠13を摺動自在に挿入し得る縦溝L3を構成することができる。同様に、壁面9の近傍に設けられる縦枠62についても、見付縦枠65cを設置することによって、排煙窓1の縦枠12を摺動自在に挿入し得る縦溝L4を構成することができる。
【0059】
なお、図11に示す実施形態では、第二の縦溝L2に挿入されるFIX窓2の側端部が面材25の端部であって、第一の縦溝L1に挿入される排煙窓1の側端部が縦枠13であるが、この他、FIX窓2に面材25の端部を覆う縦枠を別途設けることで、この縦枠をFIX窓2の側端部として第二の縦溝L2に挿入する形態や、排煙窓1について縦枠13を設けずに、面材15が第一の縦溝L1に直接挿入される形態についても、実施形態として考えられる。
【0060】
なお、図3に示すごとく、FIX窓2の面材25の取付については、下枠24の室外側の見付面を構成する板片24aを取外した状態で、面材25の側端部を第二の縦溝L2(図11参照)に挿入しつつ、面材25の上部を横桟21の下面に突き当てるようにして移動させる。その後、シーリング材25aを隙間に挿入した後に、板片24aを取付けることによって、面材25の取付を完了できる構成となっている。
【0061】
以上の実施形態に説明したように、本発明では、
図1及び図11に示すごとく、上下げされる排煙窓1と、前記排煙窓1の下方にFIX窓2を有する排煙窓ユニット6Bであって、前記排煙窓ユニット6Bは、前記排煙窓1と前記FIX窓2を組み付けるための方立63Bを少なくとも一つ有し、前記方立63Bは、第一の枠体W1と、前記FIX窓2の側端部を挿入し得る第二の縦溝L2を有する第二の枠体W2と、を有しており、前記縦溝L2に対して室内外方向にずれた位置において、前記第一の枠体W1と前記第二の枠体W2の間には、排煙窓1の側端部を挿入し得る第一の縦溝L1が形成されるものとする。
【0062】
また、図1及び図11に示すごとく、上下げされる排煙窓1と、前記排煙窓1の下方にFIX窓2を有する排煙窓ユニット6B用の方立63Bであって、前記方立63Bは、第一の枠体W1と、前記FIX窓2の側端部を挿入し得る第二の縦溝L2を有する第二の枠体W2と、を有しており、前記縦溝L2に対して室内外方向にずれた位置において、前記第一の枠体W1と前記第二の枠体W2の間には、排煙窓1の側端部を挿入し得る第一の縦溝L1が形成されるものとする。
【0063】
これにより、上下げされる排煙窓1とその下方のFIX窓2を組み付けるための第一の縦溝L1、第二の縦溝L2をそれぞれ構成することができ、方立63Bに対して排煙窓1とFIX窓2を組み付ける構成を実現することができる。
【0064】
また、図11に示すごとく、前記方立63Bには、前記第一の枠体W1の見込面部W1aを挟んで二つの前記第二の枠体W2・W2が設けられ、前記見込面部W1aを挟んで両側に、前記第一の縦溝L1、及び、前記第二の縦溝L2が形成され得る構成とするものである。
【0065】
これにより、図4に示すごとく、方立63Aを挟んで排煙窓ユニット6A・6Bを連設する構成や、方立63Bを挟んで排煙窓ユニット6B・固定窓ユニット7を配置する構成を、適宜実現することができる。換言すれば、方立63A・63Bにおいて、排煙窓ユニットと固定窓ユニットの両方に対応することが可能となり、方立を構成する部品の共通化を図ることができる。
【0066】
また、図11に示すごとく、前記第一の枠体W1と、前記第二の枠体W2は、別体に構成され、前記第一の枠体W1に、前記第二の枠体W2が固定される構成とするものである。
【0067】
これにより、図4に示すごとく、第二の枠体W2を出隅10などの部位にも利用することができ、方立とそれ以外の箇所において共通の第二の枠体W2を利用することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0068】
また、図7乃至図10に示すごとく、前記排煙窓1の上枠11にはストッパー部16が設けられており、前記排煙窓1が下降した際に、前記ストッパー部16が前記方立63Aに固定される横桟21に当接することで、前記排煙窓1の下降が規制される構成とするものである。
【0069】
これにより、簡易な構成で、排煙窓1の下降を規制することが可能となる。
【0070】
また、図7乃至図10に示すごとく、前記排煙窓ユニット6Bは、前記方立63Aを構成部材として有するユニット枠60を有し、前記排煙窓1は、補助機構8を介して前記ユニット枠60に連結されており、前記補助機構8は、前記排煙窓1を押し上げる方向の反力を発生し得る構成とするものである。
【0071】
これにより、横桟21に排煙窓1のストッパー部16が衝突する際に生じる衝撃を低減することができるようになり、また、排煙窓1を押し上げる際には、反力によって軽い力で排煙窓1を押し上げることが可能となる。
【0072】
また、図10に示すごとく、前記補助機構8のケース81は、前記ストッパー部16の一部を構成するものである。
【0073】
これにより、補助機構8のケース81が、ストッパー部16の機能を兼ね備えることができ、部品点数の削減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、店舗、オフィス、住宅など、各種建物に設置される排煙窓について、幅広く適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 排煙窓
2 FIX窓
3 ラッチ機構
4 開口
5 FIX窓
6A 排煙窓ユニット
6B 排煙窓ユニット
7 固定窓ユニット
8 補助機構
11 上枠
12 縦枠
13 縦枠
16 ストッパー部
21 横桟
30 操作引手
60 ユニット枠
61 上枠
62 縦枠
63A 方立
63B 方立
F 反力
G 自重
L1 第一の縦溝
L2 第二の縦溝
W1 第一の枠体
W2 第二の枠体
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下げ式の排煙窓に関し、より詳しくは、排煙窓を取付ける窓枠の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等一定の要件を満たす建物には、消防法により排煙窓の設置が義務付けられている。また、このような消防法に関連する設置義務がない場合でも、室内の換気や、採光の目的で排煙窓が設けられていることもある。
【0003】
このような排煙窓においては、窓枠内の開口を閉鎖/開放するための排煙窓を、外倒し窓、若しくは、内倒し窓として構成するものが知られている。特許文献1では、排煙窓の下枠側を回動中心とする内倒し窓として構成される排煙窓について開示がされており、窓枠と排煙窓の間にダンパーが介設され、このダンパーを作動させることで排煙窓が開放される構成としている。
【0004】
また、室内の間仕切りパネルの上部に排煙窓を備える構成も知られており、特許文献2では、上下げ窓を間仕切りパネル内に収容し得る構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−251027号公報
【特許文献2】特開2009−46880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように、ダンパーを備える構成では、このダンパーのコストや取付作業が発生することになる。また、ダンパーの作動確認や定期的なメンテナンスも要求されることになる。また、窓枠及び排煙窓の枠については、それぞれダンパーを固定するための所定の見付幅を確保する必要があり、排煙窓を開いた状態の有効開口面積を広く確保する上で、この見付幅の存在が障害となってしまう。このようなことから、排煙窓において、ダンパーを用いない構成が望まれていた。
【0007】
他方、特許文献2のような上下げ窓の形態によれば、ダンパーを用いない構成とすることが可能となる。しかし、特許文献2で開示される技術は、排煙窓が間仕切りパネル内に収容する技術であるため、例えば、排煙窓の下方に別の嵌め殺しのFIX窓が配置され、このFIX窓の室外側、若しくは、室内側に排煙窓を下降させる構成については、特許文献2に開示される技術を適用することができない。
【0008】
また、店舗等においては、嵌め殺しのFIX窓の上方に排煙窓を設け、FIX窓・排煙窓のいずれにおいてもガラス面材を用いることで開放感を確保する形態が一般的であるため、このような形態についても、排煙窓を上下げ窓にて構成できることが望まれている。
【0009】
そこで、本発明は以上の問題点に鑑み、上下げされる排煙窓と、その下方に嵌め殺しのFIX窓が配置される構成において、新規な技術について提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1に記載のごとく、
上下げされる排煙窓と、前記排煙窓の下方にFIX窓を有する排煙窓ユニットであって、前記排煙窓ユニットは、前記排煙窓と前記FIX窓を組み付けるための方立を少なくとも一つ有し、前記方立は、第一の枠体と、前記FIX窓の側端部を挿入し得る第二の縦溝を有する第二の枠体と、を有しており、前記第一の枠体と前記第二の枠体の間には、排煙窓の側端部を挿入し得る第一の縦溝が形成されるものとする。
【0012】
また、請求項2に記載のごとく、
前記方立には、前記第一の枠体の見込面部を挟んで二つの前記第二の枠体が設けられ、前記見込面部を挟んで両側に、前記第一の縦溝、及び、前記第二の縦溝が形成され得る構成とするものである。
【0013】
また、請求項3に記載のごとく、
前記第一の枠体と、前記第二の枠体は、別体に構成され、
前記第一の枠体に、前記第二の枠体が固定される、こととするものである。
【0014】
また、請求項4に記載のごとく、
前記排煙窓の上枠にはストッパー部が設けられており、前記排煙窓が下降した際に、前記ストッパー部が前記方立に固定される横桟に当接することで、前記排煙窓の下降が規制される構成とするものである。
【0015】
また、請求項5に記載のごとく、
前記排煙窓ユニットは、前記方立を構成部材として有するユニット枠を有し、前記排煙窓は、補助機構を介して前記ユニット枠に連結されており、前記補助機構は、前記排煙窓を押し上げる方向の反力を発生し得る構成とするものである。
【0016】
また、請求項6に記載のごとく、
前記補助機構のケースは、前記ストッパー部の一部を構成することとするものである。
【0017】
また、請求項7に記載のごとく、
上下げされる排煙窓と、前記排煙窓の下方にFIX窓を有する排煙窓ユニット用の方立であって、前記方立は、第一の枠体と、前記FIX窓の側端部を挿入し得る第二の縦溝を有する第二の枠体と、を有しており、前記第一の枠体と前記第二の枠体の間には、排煙窓の側端部を挿入し得る第一の縦溝が形成されるものとする。
【0018】
また、請求項8に記載のごとく、
前記方立には、前記第一の枠体の見込面部を挟んで二つの前記第二の枠体が設けられ、前記見込面部を挟んで両側に、前記第一の縦溝、及び、前記第二の縦溝が形成され得る構成とするものである。
【0019】
また、請求項9に記載のごとく、
前記第一の枠体と、前記第二の枠体は、別体に構成され、
前記第一の枠体に、前記第二の枠体が固定される、こととするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0021】
即ち、請求項1に記載の発明においては、
上下げされる排煙窓とその下方のFIX窓を組み付けるための縦溝をそれぞれ構成することができ、方立に対して排煙窓とFIX窓を組み付ける構成を実現することができる。また、第一の枠体と第二の枠体を別体とすることにより、第二の枠体を出隅などの部位にも利用することができ、方立とそれ以外の箇所において共通の第二の枠体を利用することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0022】
また、請求項2に記載の発明においては、
方立を挟んで排煙窓ユニットを連設する構成や、方立を挟んで排煙窓ユニットと固定窓ユニットを配置する構成を、適宜実現することができる。換言すれば、方立において、排煙窓ユニットと固定窓ユニットの両方に対応することが可能となり、方立を構成する部品の共通化を図ることができる。
【0023】
また、請求項3に記載の発明においては、
第二の枠体を出隅などの部位にも利用することができ、方立とそれ以外の箇所において共通の第二の枠体を利用することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0024】
また、請求項4に記載の発明においては、
簡易な構成で、排煙窓の下降を規制することが可能となる。
【0025】
また、請求項5に記載の発明においては、
横桟に排煙窓のストッパー部が衝突する際に生じる衝撃を低減することができるようになり、また、排煙窓を押し上げる際には、反力によって軽い力で排煙窓を押し上げることが可能となる。
【0026】
また、請求項6に記載の発明においては、
補助機構のケースが、ストッパー部の機能を兼ね備えることができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0027】
また、請求項7に記載の発明においては、
上下げされる排煙窓とその下方のFIX窓を組み付けるための縦溝をそれぞれ構成することができ、方立に対して、排煙窓とFIX窓を組み付ける構成を実現することができる。また、第一の枠体と第二の枠体を別体とすることにより、第二の枠体を出隅などの部位にも利用することができ、方立とそれ以外の箇所において共通の第二の枠体を利用することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0028】
また、請求項8に記載の発明においては、
方立を挟んで排煙窓ユニットを連設する構成や、方立を挟んで排煙窓ユニット固定窓ユニットを配置する構成を、適宜実現することができる。換言すれば、方立において、排煙窓ユニットと固定窓ユニットの両方に対応することが可能となり、方立を構成する部品の共通化を図ることができる。
【0029】
また、請求項9に記載の発明においては、
第二の枠体を出隅などの部位にも利用することができ、方立とそれ以外の箇所において共通の第二の枠体を利用することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態にかかる排煙窓ユニットについて示す図。
【図2】排煙窓ユニットを連設する例について示す図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】図2のB−B線断面図。
【図5】FIX窓、ユニット枠の他の構成例について示す図。
【図6】ラッチ機構による排煙窓の閉鎖状態について示す図。
【図7】排煙窓が開かれた状態の排煙窓ユニットについて示す図。
【図8】排煙窓が閉じられた状態の排煙窓ユニットについて示す図。
【図9】(a)は、排煙窓が閉じられた際の補助機構の様子について示す図。(b)は、補助機構によって排煙窓に作用する反力について説明する図。
【図10】横桟によって排煙窓の落下が規制される状況について示す図。
【図11】方立の構成について示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面を用いた説明においては、便宜上、紙面上側を上、紙面下側を下、紙面左側を左、紙面右側を右として説明することとする。
【0032】
図1に示す排煙窓ユニット6の形態では、排煙窓1を嵌め殺しのFIX窓2の上方に連続して配設する構成であり、閉鎖時ではラッチ機構3によって排煙窓1の自重が支えられることによって、開口4が排煙窓1にて閉鎖された状態を維持できるようになっている。また、火災時などの開放時においては、操作引手30を下方に引っ張ることでラッチ機構3による排煙窓1の支持が開放され、排煙窓1が自重によって下方へ移動して開口4が確保され、この開口4から室外へと排煙できるようになっている。また、いったん下方へ移動した排煙窓1を上方に押し上げて、ラッチ機構3にて排煙窓1を支えることによって、再び、排煙窓1の閉鎖時の状態に戻すことができるようになっている。なお、このような排煙窓1の開閉は、排煙窓1の定期点検などにおいても行われる。
【0033】
また、図2に示すように、上下げされる排煙窓1とその下方のFIX窓2を組み合わせてなる排煙窓ユニット6A・6Bを横方向に連設し、さらに、縦寸法の長い一枚の嵌め殺しのFIX窓5を有してなる固定窓ユニット7を連設することで、店舗等の外装を構成することができる。なお、図1及び図2の例では、排煙窓1がFIX窓2の室外側に下降する配置構成としているが、この他、排煙窓1がFIX窓2の室内側に下降する配置であってもよい。
【0034】
また、図3は、図2のA−A線断面図であり、図4は、図2のB−B線断面図である。
図3及び図4に示すごとく、排煙窓1は、ガラス等からなる透明の面材15を、上枠11、縦枠12・13、下枠14にて構成される四方枠状の枠体にて取り囲んで構成される。また、FIX窓2は、ガラス等からなる透明の面材25を、横桟21、下枠24、縦枠62、方立63Aにて構成される四方枠状の枠体にて取り囲んで構成される。また、これら排煙窓1のFIX窓2は、ユニット枠60の内側に納められる。このユニット枠60は、例えば、排煙窓ユニット6Bについては、上枠61、方立63A、方立63B、下枠24にて四方枠状に構成される。
【0035】
なお、図3に示される下枠24に関し、図5に示すごとく、FIX窓2が床面27の近い位置にまで設けられる構成においては、他の構成の下枠24Aを利用することとしてもよい。
【0036】
また、図3に示すごとく、排煙窓1が上側位置にある状態では、排煙窓1の上枠11の上部が、ユニット枠60の上枠61に付設された庇状片部材61a内に納められ、上枠11と庇状片部材61aの間の隙間が塞がれて、開口4の全領域が閉鎖されるようになっている。
【0037】
また、図6に示すごとく、排煙窓1の上枠11の見付面11aには、係止部材11bが付設されており、この係止部材11bの当接部11cが、ユニット枠60の上枠61に垂設されたラッチ機構3のラッチ31によって、下側から支えられ得るようになっている。このラッチ機構3は、操作ワイヤ32を介して操作引手30と接続されており、操作引手30が引下げられると、ラッチ31がラッチ機構3内に収容される一方、操作引手30が引下げられない状況では、内部の発条機構によってラッチ31が突出した状態が維持されるようになっている。
【0038】
また、排煙窓1が押し上げられる過程において、係止部材11bの上部の湾曲部11dがラッチ31に当接した際には、ラッチ31が発条機構の弾性力に抗してラッチ機構3内にいったん収容され、その後、上枠11が最上位位置まで達することで係止部材11bがラッチ31を通過した際には、ラッチ31が再び突出し、係止部材11bがラッチ31にて下から支持されるようになっている。なお、排煙窓1の押し上げ操作は、図3に示すごとく、排煙窓1の下枠14の下面側に設けられる、弾力性のある持ち手部14aを上方へ持ち上げることで行うことができるようになっている。
【0039】
また、図7及び図8に示すごとく、排煙窓1の上枠11の係止部材11b、及び、ユニット枠60の上枠61のラッチ機構3は、排煙窓1の幅方向において二箇所に配設されている。これにより、排煙窓1の自重が、二箇所においてラッチ機構3・3によって支えられ、閉鎖された状態が維持されるようになっている。また、二つのラッチ機構3・3は、ワイヤ33を介して接続されて連動するようになっている。これにより、操作引手30が引下げられた際には、二つのラッチ機構3・3が連動し、両ラッチ機構3・3による上枠11の係止部材11b・11bの支持が解除されて、排煙窓1を自重によって下降させることができるようになっている。また、排煙窓1が下降された状態から、排煙窓1を押し上げて開口4を閉鎖した際には、ラッチ機構3・3によって排煙窓1の閉鎖状態が維持されるようになっている。
【0040】
また、図7及び図8に示すごとく、排煙窓1は、排煙窓1の上部に設けられる補助機構8を介してユニット枠60に連結されるようになっており、排煙窓1が自重によって下降する際において、補助機構8には排煙窓1を上方へと移動させる方向、即ち、排煙窓1の自重と反対方向の反力が生じるようになっている。そして、この反力が排煙窓1に作用することによって、自重による排煙窓1の落下速度を低下させることができる。これにより、後述するように、横桟21に排煙窓1のストッパー部16が衝突する際に生じる衝撃を低減することができるようになり、また、排煙窓1を押し上げる際には、反力によって軽い力で排煙窓1を押し上げることが可能となる。また、本実施形態では、排煙窓1の上枠11の幅方向の端部の二箇所に、それぞれ補助機構8・8が配設されるようになっている。
【0041】
図9及び図10に示すごとく、補助機構8の具体的な構成について、方立63A側に設けられる補助機構8を用いて説明すると、補助機構8は、排煙窓1の上枠11の幅方向端部に固定されるケース81と、このケース81の内部にいわゆるゼンマイバネ状に巻かれた状態で収容される金属製帯状部材82とを有して構成される。また、金属製帯状部材82の一端82aはケース81の内部に固定され、他端82bは方立63Aの見込面63mの上部に固定される。
【0042】
この構成により、図9(a)に示すごとく、排煙窓1が閉じられた状態では、ケース81と金属製帯状部材82の他端82bが近傍に位置するようになって、金属製帯状部材82がケース81内に巻かれた状態で収容される一方、図9(b)に示すごとく、排煙窓1が開かれた状態では、ケース81から金属製帯状部材82が巻き出される状態となる。そして、図9(b)の状態では、巻き出された金属製帯状部材82をケース81に巻き戻そうとする反力Fが生じることになり、この反力Fが上枠11に作用する。この反力Fは、排煙窓1の自重Gと反対方向であるため、上述したように、排煙窓1を押し上げる際には、その反力Fの分だけ軽い力で排煙窓1を押し上げることができ、操作性に優れた排煙窓1を実現することができる。また、排煙窓1が下降して、上枠11に設けたストッパー部16が横桟21に衝突する際にも、反力Fにより、衝撃を低減することができる。
【0043】
なお、図9及び図10に示す構成の補助機構8によれば、金属製帯状部材82は方立63Aの見込面63mに沿うように巻き出されるため、図9(b)に示される開口4の有効開口面積を広く確保することが可能となる。また、補助機構8の配置や数については、本実施形態の構成に限定されるものではなく、また、補助機構8の構成そのものについても、例えば、排煙窓1を吊り上げる方向に力を発生させるカウンターウェイトを設ける構成や、図10に示すごとく、ユニット枠60の上枠61と排煙窓1の上枠11を紐状の弾性部材などで連結する構成なども採用し得る。
【0044】
また、図7及び図8に示すごとく、排煙窓1の上部には、横桟21の上方となる位置に、ストッパー部16が設けられており、図7に示すごとく、排煙窓1が開かれた際には、このストッパー部16が横桟21に当接することで、排煙窓1が横桟21に支持された状態となって、排煙窓1の落下が規制されるようになっている。この横桟21は、ユニット枠60の方立63Aと方立63Bの間に架設される。
【0045】
より具体的には、図10に示すごとく、ストッパー部16は、排煙窓1の上枠11に設けられる補助機構8のケース81と、このケース81の下面に貼付される板状の緩衝材16aにて構成される。この構成により、排煙窓1が下降した際には、緩衝材16aが横桟21の上面21aに当接することで、ケース81の部位が横桟21に支持された状態となって、排煙窓1の落下が規制される。また、本実施形態の構成によれば、金属製帯状部材82を収容するためのケース81が、ストッパー部16の機能を兼ね備えることができ、部品点数の削減を図ることができる。また、緩衝材16aについては、樹脂やゴムなどからなる弾性部材にて構成することで、排煙窓1の落下が規制される際の衝突による衝撃を低減するとともに、ケース81や横桟21の損傷を防止することができる。なお、図10に示されるようなストッパー部16の構成とする他、ケース81とは別の部位にストッパー部と同等の機能をなす部材を設ける構成なども採用し得る。
【0046】
次に、図1に示すごとく、排煙窓1とFIX窓2が納められるユニット枠60の構成について説明する。
このユニット枠60は、図3に示すごとく、上枠61と下枠24を有している。また、図4に示すごとく、ユニット枠60は、その縦枠材として、壁面9の近傍に設けられる縦枠62、方立63A、方立63B、出隅10の箇所に配置される縦枠65のうちの少なくとも一つを有することとしており、例えば、排煙窓ユニット6Bはユニット枠60の縦枠材として方立63A、方立63Bを有する構成としている。
【0047】
また、図3に示すごとく、ユニット枠60の上枠61は、天井側のブラケット41に固定され、排煙窓1が閉じられた状態では、上枠61が排煙窓1の上枠11と対向して開口4を閉鎖するようになっている。また、上枠61には、ラッチ機構3が垂設されるようになっている。
【0048】
また、図3に示すごとく、ユニット枠60の下枠24は、下側が土台となる基礎43などに載置固定される。
【0049】
また、図4に示すごとく、ユニット枠60の方立63A・63Bは、本実施形態では、壁面9に近い縦枠62と出隅10の間に配設され、排煙窓ユニット6Aについては、縦枠62と方立63Aの間に排煙窓1とFIX窓2が配置される構成となり、排煙窓ユニット6Bについては、二つの方立63A・63Bの間に排煙窓1とFIX窓2が配置される構成となり、固定窓ユニット7については、方立63Bと縦枠65の間にFIX窓5が配置される構成となっている。
【0050】
また、図11は、方立63Bの箇所について拡大した図である。この方立63Bは、見込面部W1aと、見込面部W1aの両端部にそれぞれ配置され、見込面部W1aと直交する二つの見付面部W1b・W1cと、を有する第一の枠体W1と、第一の枠体W1の見込面部W1aに固定され、FIX窓2の側端部(面材25の端部)を挿入し得る第二の縦溝L2を有する第二の枠体W2と、を有しており、前記第二の枠体W2は、前記見付面部W1bとの間に排煙窓1の側端部(縦枠13)を挿入し得る第一の縦溝L1を形成する見付面部W2bを有する構成とするものである。
【0051】
より詳細に説明すると、図11に示すごとく、本実施形態では、方立63Bは、第一の枠体W1と、第二の枠体W2とを組み合わせて構成される。まず、第一の枠体W1は、見込方向に長い見込面部W1aを有し、その両端部において、見込面部W1aと直交する見付面部W1b・W1cを有し、略H状の断面を構成するようになっている。また、見込面部W1aによって方立63Bの室外側の見付面が構成され、見付面部W1cによって方立63Bの室内側の見付面が構成される。なお、本実施形態においては、第一の枠体W1と第二の枠体W2を別体としたが、第一の枠体W1と第二の枠体W2を押出成形により、一体で構成することも考えられる。
【0052】
また、図11において見込面部W1aを挟んで左右に二つの略コ字状の空間が形成され、各空間には、見込面部W1aを挟んで線対称となるように第二の枠体W2・W2が配設される。この第二の枠体W2・W2は、その縦面部W2aが図示せぬ固定具によって見込面部W1aに対して固定される。
【0053】
また、図11に示すごとく、第二の枠体W2は、第一の枠体W1の見付面部W1bと対向する見付面部W2bを有しており、この見付面部W2bと見付面部W1bとの間において、排煙窓1の縦枠13を摺動自在に挿入し得る第一の縦溝L1が形成されるようになっている。また、第二の枠体W2は、第一の枠体W1の見込面部W1aに対向する縦面部W2aと、この縦面部W2aを挟んで見付面部W2bと対向する縦面部W2cを有している。そして、この縦面部W2cと見付面部W2bの間に、FIX窓2を挿入し得る第二の縦溝L2が形成されるようになっている。
【0054】
また、図11に示すごとく、排煙窓1が設置される排煙窓ユニット6Bの側に固定される第二の枠体W2については、横桟21よりも上方の部位において、第二の縦溝L2の開口を塞ぐ化粧枠材66が嵌着されて、横桟21のよりも下方の部位において、第二の縦溝L2に対してFIX窓2の面材25の端部が挿入された状態となる。また、排煙窓1が設置されない固定窓ユニット7の側に固定される第二の枠体W2については、第二の縦溝L2の全長にわたってFIX窓5の面材55の端部が挿入された状態となる。
【0055】
また、図11に示すごとく、第二の枠体W2は、第一の枠体W1の見込面部W1aと対向する見込面部W2dを有しており、この見込面部W2dによって、縦面部W2cと第一の枠体W1の見付面部W1cの間に形成される空間Mが閉じられるようになっている。また、この見込面部W2dと化粧枠材66によって、一連の見込面W2eを形成できるようになっている。
【0056】
そして、図11に示すごとく、以上の構成とする方立63Bによれば、排煙窓1とその下方にFIX窓2を有してなる排煙窓ユニット6Bと、FIX窓5を有してなる固定窓ユニット7とを、方立63Bを介して設置することができる。また、図4に示すように、方立63Bと同一構成の方立63Aを用いることで、排煙窓1とその下方にFIX窓2を有してなる二つの排煙窓ユニット6A・6B同士を、方立63Aを介して設置することもできる。また、方立63A・63Bのそれぞれにおいて、第二の枠体W2を第一の枠体W1を挟んで線対称に配置して利用することで、第二の枠体W2を共通部材として利用することができ、少ない部品点数にて方立63A・63Bを構成することができる。
【0057】
さらに、図4に示すごとく、方立63A・63Bに使用される第二の枠体W2を、出隅10の縦枠65を構成するための部材として用いてもよい。つまり、第二の枠体W2は、FIX窓5の面材55の端部が挿入される第二の縦溝L2を有しており、この第二の縦溝L2の開口を方立63B側に向けるようにして縦枠65の柱材65aに固定することにより、縦枠65の第二の枠体W2と、方立63Bの第二の枠体W2の間に、FIX窓5の面材55を固定することが可能となるのである。なお、壁面9の近傍に設けられる縦枠62についても、図4に示す構成とするほか、第二の枠体W2を縦枠62を構成するための部材として用いてもよい。
【0058】
また、図4に示すごとく、出隅10に配置する縦枠65の柱材65aについて、FIX窓5と直交する面に排煙窓1Aを配設する場合においても、柱材65aに第二の枠体W2を設けるとともに、この第二の枠体W2の見付面部W2bに、連結部材65bを介して断面L字状の見付縦枠65cを儲け、この見付縦枠65cと見付面部W2bの間に、排煙窓1Aの縦枠13を摺動自在に挿入し得る縦溝L3を構成することができる。同様に、壁面9の近傍に設けられる縦枠62についても、見付縦枠65cを設置することによって、排煙窓1の縦枠12を摺動自在に挿入し得る縦溝L4を構成することができる。
【0059】
なお、図11に示す実施形態では、第二の縦溝L2に挿入されるFIX窓2の側端部が面材25の端部であって、第一の縦溝L1に挿入される排煙窓1の側端部が縦枠13であるが、この他、FIX窓2に面材25の端部を覆う縦枠を別途設けることで、この縦枠をFIX窓2の側端部として第二の縦溝L2に挿入する形態や、排煙窓1について縦枠13を設けずに、面材15が第一の縦溝L1に直接挿入される形態についても、実施形態として考えられる。
【0060】
なお、図3に示すごとく、FIX窓2の面材25の取付については、下枠24の室外側の見付面を構成する板片24aを取外した状態で、面材25の側端部を第二の縦溝L2(図11参照)に挿入しつつ、面材25の上部を横桟21の下面に突き当てるようにして移動させる。その後、シーリング材25aを隙間に挿入した後に、板片24aを取付けることによって、面材25の取付を完了できる構成となっている。
【0061】
以上の実施形態に説明したように、本発明では、
図1及び図11に示すごとく、上下げされる排煙窓1と、前記排煙窓1の下方にFIX窓2を有する排煙窓ユニット6Bであって、前記排煙窓ユニット6Bは、前記排煙窓1と前記FIX窓2を組み付けるための方立63Bを少なくとも一つ有し、前記方立63Bは、第一の枠体W1と、前記FIX窓2の側端部を挿入し得る第二の縦溝L2を有する第二の枠体W2と、を有しており、前記縦溝L2に対して室内外方向にずれた位置において、前記第一の枠体W1と前記第二の枠体W2の間には、排煙窓1の側端部を挿入し得る第一の縦溝L1が形成されるものとする。
【0062】
また、図1及び図11に示すごとく、上下げされる排煙窓1と、前記排煙窓1の下方にFIX窓2を有する排煙窓ユニット6B用の方立63Bであって、前記方立63Bは、第一の枠体W1と、前記FIX窓2の側端部を挿入し得る第二の縦溝L2を有する第二の枠体W2と、を有しており、前記縦溝L2に対して室内外方向にずれた位置において、前記第一の枠体W1と前記第二の枠体W2の間には、排煙窓1の側端部を挿入し得る第一の縦溝L1が形成されるものとする。
【0063】
これにより、上下げされる排煙窓1とその下方のFIX窓2を組み付けるための第一の縦溝L1、第二の縦溝L2をそれぞれ構成することができ、方立63Bに対して排煙窓1とFIX窓2を組み付ける構成を実現することができる。
【0064】
また、図11に示すごとく、前記方立63Bには、前記第一の枠体W1の見込面部W1aを挟んで二つの前記第二の枠体W2・W2が設けられ、前記見込面部W1aを挟んで両側に、前記第一の縦溝L1、及び、前記第二の縦溝L2が形成され得る構成とするものである。
【0065】
これにより、図4に示すごとく、方立63Aを挟んで排煙窓ユニット6A・6Bを連設する構成や、方立63Bを挟んで排煙窓ユニット6B・固定窓ユニット7を配置する構成を、適宜実現することができる。換言すれば、方立63A・63Bにおいて、排煙窓ユニットと固定窓ユニットの両方に対応することが可能となり、方立を構成する部品の共通化を図ることができる。
【0066】
また、図11に示すごとく、前記第一の枠体W1と、前記第二の枠体W2は、別体に構成され、前記第一の枠体W1に、前記第二の枠体W2が固定される構成とするものである。
【0067】
これにより、図4に示すごとく、第二の枠体W2を出隅10などの部位にも利用することができ、方立とそれ以外の箇所において共通の第二の枠体W2を利用することができ、部品点数の削減を図ることができる。
【0068】
また、図7乃至図10に示すごとく、前記排煙窓1の上枠11にはストッパー部16が設けられており、前記排煙窓1が下降した際に、前記ストッパー部16が前記方立63Aに固定される横桟21に当接することで、前記排煙窓1の下降が規制される構成とするものである。
【0069】
これにより、簡易な構成で、排煙窓1の下降を規制することが可能となる。
【0070】
また、図7乃至図10に示すごとく、前記排煙窓ユニット6Bは、前記方立63Aを構成部材として有するユニット枠60を有し、前記排煙窓1は、補助機構8を介して前記ユニット枠60に連結されており、前記補助機構8は、前記排煙窓1を押し上げる方向の反力を発生し得る構成とするものである。
【0071】
これにより、横桟21に排煙窓1のストッパー部16が衝突する際に生じる衝撃を低減することができるようになり、また、排煙窓1を押し上げる際には、反力によって軽い力で排煙窓1を押し上げることが可能となる。
【0072】
また、図10に示すごとく、前記補助機構8のケース81は、前記ストッパー部16の一部を構成するものである。
【0073】
これにより、補助機構8のケース81が、ストッパー部16の機能を兼ね備えることができ、部品点数の削減を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、店舗、オフィス、住宅など、各種建物に設置される排煙窓について、幅広く適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 排煙窓
2 FIX窓
3 ラッチ機構
4 開口
5 FIX窓
6A 排煙窓ユニット
6B 排煙窓ユニット
7 固定窓ユニット
8 補助機構
11 上枠
12 縦枠
13 縦枠
16 ストッパー部
21 横桟
30 操作引手
60 ユニット枠
61 上枠
62 縦枠
63A 方立
63B 方立
F 反力
G 自重
L1 第一の縦溝
L2 第二の縦溝
W1 第一の枠体
W2 第二の枠体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下げされる排煙窓と、前記排煙窓の下方にFIX窓を有する排煙窓ユニットであって、
前記排煙窓ユニットは、前記排煙窓と前記FIX窓を組み付けるための方立を少なくとも一つ有し、
前記方立は、
第一の枠体と、
前記FIX窓の側端部を挿入し得る第二の縦溝を有する第二の枠体W2と、を有し、
前記第一の枠体と前記第二の枠体W2の間には、前記排煙窓の側端部を挿入し得る第一の縦溝が形成される、
排煙窓ユニット。
【請求項2】
前記方立には、前記第一の枠体の見込面部を挟んで二つの前記第二の枠体が設けられ、前記見込面部を挟んで両側に、前記第一の縦溝、及び、前記第二の縦溝が形成され得る構成とする、
ことを特徴とする、請求項1に記載の排煙窓ユニット。
【請求項3】
前記第一の枠体と、前記第二の枠体は、別体に構成され、
前記第一の枠体に、前記第二の枠体が固定される、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の排煙窓ユニット。
【請求項4】
前記排煙窓の上枠にはストッパー部が設けられており、前記排煙窓が下降した際に、前記ストッパー部が前記方立に固定される横桟に当接することで、前記排煙窓の下降が規制される構成とする、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の排煙窓ユニット。
【請求項5】
前記排煙窓ユニットは、前記方立を構成部材として有するユニット枠を有し、前記排煙窓は、補助機構を介して前記ユニット枠に連結されており、前記補助機構は、前記排煙窓を押し上げる方向の反力を発生し得る構成とする、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の排煙窓ユニット。
【請求項6】
前記補助機構のケースは、前記ストッパー部の一部を構成する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の排煙窓ユニット。
【請求項7】
上下げされる排煙窓と、前記排煙窓の下方にFIX窓を有する排煙窓ユニット用の方立であって、
前記方立は、
第一の枠体と、
前記FIX窓の側端部を挿入し得る第二の縦溝を有する第二の枠体W2と、を有し、
前記第一の枠体と前記第二の枠体W2の間には、前記排煙窓の側端部を挿入し得る第一の縦溝が形成される、
排煙窓ユニット用の方立。
【請求項8】
前記方立には、前記第一の枠体の見込面部を挟んで二つの前記第二の枠体が設けられ、前記見込面部を挟んで両側に、前記第一の縦溝、及び、前記第二の縦溝が形成され得る構成とする、
ことを特徴とする、請求項7に記載の排煙窓ユニット用の方立。
【請求項9】
前記第一の枠体と、前記第二の枠体は、別体に構成され、
前記第一の枠体に、前記第二の枠体が固定される、
ことを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の排煙窓ユニットの方立。
【請求項1】
上下げされる排煙窓と、前記排煙窓の下方にFIX窓を有する排煙窓ユニットであって、
前記排煙窓ユニットは、前記排煙窓と前記FIX窓を組み付けるための方立を少なくとも一つ有し、
前記方立は、
第一の枠体と、
前記FIX窓の側端部を挿入し得る第二の縦溝を有する第二の枠体W2と、を有し、
前記第一の枠体と前記第二の枠体W2の間には、前記排煙窓の側端部を挿入し得る第一の縦溝が形成される、
排煙窓ユニット。
【請求項2】
前記方立には、前記第一の枠体の見込面部を挟んで二つの前記第二の枠体が設けられ、前記見込面部を挟んで両側に、前記第一の縦溝、及び、前記第二の縦溝が形成され得る構成とする、
ことを特徴とする、請求項1に記載の排煙窓ユニット。
【請求項3】
前記第一の枠体と、前記第二の枠体は、別体に構成され、
前記第一の枠体に、前記第二の枠体が固定される、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の排煙窓ユニット。
【請求項4】
前記排煙窓の上枠にはストッパー部が設けられており、前記排煙窓が下降した際に、前記ストッパー部が前記方立に固定される横桟に当接することで、前記排煙窓の下降が規制される構成とする、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の排煙窓ユニット。
【請求項5】
前記排煙窓ユニットは、前記方立を構成部材として有するユニット枠を有し、前記排煙窓は、補助機構を介して前記ユニット枠に連結されており、前記補助機構は、前記排煙窓を押し上げる方向の反力を発生し得る構成とする、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の排煙窓ユニット。
【請求項6】
前記補助機構のケースは、前記ストッパー部の一部を構成する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の排煙窓ユニット。
【請求項7】
上下げされる排煙窓と、前記排煙窓の下方にFIX窓を有する排煙窓ユニット用の方立であって、
前記方立は、
第一の枠体と、
前記FIX窓の側端部を挿入し得る第二の縦溝を有する第二の枠体W2と、を有し、
前記第一の枠体と前記第二の枠体W2の間には、前記排煙窓の側端部を挿入し得る第一の縦溝が形成される、
排煙窓ユニット用の方立。
【請求項8】
前記方立には、前記第一の枠体の見込面部を挟んで二つの前記第二の枠体が設けられ、前記見込面部を挟んで両側に、前記第一の縦溝、及び、前記第二の縦溝が形成され得る構成とする、
ことを特徴とする、請求項7に記載の排煙窓ユニット用の方立。
【請求項9】
前記第一の枠体と、前記第二の枠体は、別体に構成され、
前記第一の枠体に、前記第二の枠体が固定される、
ことを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載の排煙窓ユニットの方立。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−80198(P2011−80198A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231051(P2009−231051)
【出願日】平成21年10月3日(2009.10.3)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月3日(2009.10.3)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】
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