採光用スラット構造体およびこれを有するシャッタ
【課題】 直射日光の遮蔽性を高めることができる採光用スラット構造体およびこれを有するシャッタを提供する。
【解決手段】 採光用スラット構造体2は、複数の採光用スラット6を含んで構成される。採光用スラット6は、遮光性材料から成り、帯状に形成される。複数の採光用スラット6は、長手方向Xに垂直な幅方向Zに予め定める間隔をあけて並んで配置される。複数の採光用スラット6は、厚み寸法T1および予め定める間隔D1が、幅方向を鉛直方向Zとしたとき水平面に対して上方に31°以上の角度を成す平行光が各採光用スラット6間の空隙13を通過することを阻止する値に設定される。
【解決手段】 採光用スラット構造体2は、複数の採光用スラット6を含んで構成される。採光用スラット6は、遮光性材料から成り、帯状に形成される。複数の採光用スラット6は、長手方向Xに垂直な幅方向Zに予め定める間隔をあけて並んで配置される。複数の採光用スラット6は、厚み寸法T1および予め定める間隔D1が、幅方向を鉛直方向Zとしたとき水平面に対して上方に31°以上の角度を成す平行光が各採光用スラット6間の空隙13を通過することを阻止する値に設定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採光用スラット構造体およびこれを有するシャッタに関する。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術に係るシャッタの通風装置は、多数枚の横スラットを上下方向に遊びをもって連結してなるシャッターパネルを、機械的巻上げ手段によって常時巻き上げ方向に付勢し、シャッターパネルを引き下ろすことにより閉鎖する。シャッタの通風装置は、高さ方向中間部の上位と下位の2カ所で、閉鎖したシャッターパネルを選択的に停止する停止機構を備える。シャッタの通風装置は、停止機構よりも下側におけるスラットの連結部分に通風孔を設け、シャッターパネルを上位に停止した場合は、その停止位置よりも下側の各スラットが自重により離間動作して通風孔が開口し、下位に停止した場合は、その停止位置よりも下側の各スラットが密接動作して通風孔が閉口する(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
第2の従来技術に係るシャッタは、スラットを巻き上げる巻き上げバネを設け、スラットの上下方向中間部に中間ロック装置を設け、該中間ロック装置のロックレバーより下方に通風孔を有するスラットを設ける。シャッタは、連結されたスラットに通風孔を設けているので通風機能を有する(たとえば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−135341号公報
【特許文献2】特開平8−21167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1の従来技術に係るシャッタの通風装置および第2の従来技術に係るシャッタは、通風孔から太陽光が通過する構成であるので、通過した太陽光によって室内が高温になるという問題がある。また、太陽光の通過を抑制するために通風孔を小さく形成すると、通風性および採光性が悪化するという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、直射日光の遮蔽性を高めることができる採光用スラット構造体およびこれを有するシャッタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遮光性材料から成り、帯状に形成され、長手方向に垂直な幅方向に予め定める間隔をあけて並んで配置される複数の採光用スラットであって、厚み寸法および前記予め定める間隔が、幅方向を鉛直方向としたとき水平面に対して上方に31°以上の角度を成す平行光が各採光用スラット間の空隙を通過することを阻止する値に設定される複数の採光用スラットを含むことを特徴とする採光用スラット構造体である。
【0008】
また本発明は、前記各採光用スラットは、採光用スラットの幅方向の端部において、互いに隣合う採光用スラットを接続する接続部を少なくとも1つ含み、
前記接続部は、前記予め定める間隔を、0mm以上であり前記設定された値以下に変位可能であることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記採光用スラットは、厚み寸法が7mmに形成され、前記予め定める間隔が4mmに設定されることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記採光用スラット構造体と、
遮光性材料から成り、帯状に形成され、長手方向に垂直な幅方向に隣接して互いに接続される複数の遮光用スラットを含む遮光用スラット構造体とを有し、
前記採光用スラット構造体と前記遮光用スラット構造体とは、幅方向に連結されることを特徴とするシャッタである。
【0011】
また本発明は、前記採光用スラット構造体は、前記遮光用スラット構造体よりも上方に配置され、
開口部を有する建物において、前記開口部が規定する開口領域を前記建物の外方から覆う位置に設置されることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記採光用スラット構造体の下端部は、前記建物の室内の床面から上方に1710mm以上の位置に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、採光用スラット構造体は、複数の採光用スラットを含んで構成される。採光用スラットは、遮光性材料から成り、帯状に形成される。複数の採光用スラットは、長手方向に垂直な幅方向に予め定める間隔をあけて並んで配置される。複数の採光用スラットは、厚み寸法および予め定める間隔が、幅方向を鉛直方向としたとき水平面に対して上方に31°以上の角度を成す平行光が各採光用スラット間の空隙を通過することを阻止する値に設定される。
【0014】
これによって、採光用スラット構造体は、たとえば採光用スラットを建物の窓などの開口部に設置されることによって、各採光用スラット間の空隙からの通気および採光を可能とし、さらに太陽高度が31°以上の日射を遮蔽することができる。したがって、空隙を通過する太陽光によって、室内の温度が上昇することを抑制することができる。
【0015】
また本発明によれば、各採光用スラットは、採光用スラットの幅方向の端部において、互いに隣合う採光用スラットを接続する接続部を少なくとも1つ含む。接続部は、予め定める間隔を、0mm以上であり設定された値以下に変位可能である。
【0016】
これによって、採光用スラット構造体は、少なくとも太陽高度が31°以上の日射を遮蔽しつつ、各採光用スラット間の空隙からの通気量および採光量を調整することができる。また、採光用スラット構造体は、接続部によって予め定める間隔が0mmにされると、空隙が形成されない構成となり、防犯効果を高めることができる。
【0017】
また本発明によれば、採光用スラットは、厚み寸法が7mmに形成され、予め定める間隔が4mmに設定される。
【0018】
これによって、採光用スラット構造体は、予め定める間隔が4mmに設定されるので、子供が採光用スラットの間に指を挿入することができない。したがって、採光用スラット構造体は、各採光用スラット間の空隙に、子供が指を詰めることを防止することができる。したがって、採光用スラット構造体は、安全性を向上させることができる。
【0019】
また本発明によれば、シャッタは、採光用スラット構造体と、遮光用スラット構造体とを有する。遮光用スラット構造体は、複数の遮光用スラットを含んで構成される。遮光用スラットは、遮光性材料から成り、帯状に形成される。複数の遮光用スラットは、長手方向に垂直な幅方向に隣接して互いに接続される。採光用スラット構造体と遮光用スラット構造体とは、幅方向に連結される。
【0020】
これによって、シャッタは、建物の窓などの開口部に設置されると、各採光用スラット間の空隙によって建物の外部空間と内部空間とを連通させ、シャッタを閉じた状態であっても通気および採光を可能とすることができる。また、シャッタは、太陽高度が31°以上の日射を遮蔽することができる。したがって、空隙を通過する太陽光によって、室内の温度が上昇することを抑制することができる。
【0021】
また本発明によれば、採光用スラット構造体は、遮光用スラット構造体よりも上方に配置される。シャッタは、開口部を有する建物において、開口部が規定する開口領域を建物の外方から覆う位置に設置される。
【0022】
これによって、シャッタは、日射によって遮光用スラット構造体および採光用スラット構造体が熱せられて開口領域内の空気が高温になったときに、この高温の空気を各採光用スラット間の空隙から効率良く排出することができる。
【0023】
また本発明によれば、採光用スラット構造体の下端部は、建物の室内の床面から上方に1710mm以上の位置に配置される。
【0024】
これによって、シャッタは、建物の外方から各採光用スラット間の空隙を介しての建物内への視界を遮ることができる。したがって、シャッタは、室内においてプライバシーが侵害されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の一形態に係るシャッタ1を示す正面図である。
【図2】図1に示したシャッタ1の一部を拡大した正面図である。
【図3】図2に示したシャッタ1を切断面線III−IIIで切断した断面図である。
【図4】図2に示したシャッタ1を切断面線IV−IVで切断した断面図である。
【図5】シャッタ1が収納ボックス24に収納されている状態の断面図である。
【図6】シャッタ1の使用態様を説明するための一部の図である。
【図7】シャッタ1の使用態様を説明するための他の一部の図である。
【図8】シャッタ1の使用態様を説明するための残余の図である。
【図9】夏至の日の時刻ごとの日射量を示すグラフである。
【図10】採光用スラット6の空隙13を通過する光の角度を説明するための図である。
【図11】採光用スラット構造体2の間隔D1を変化させたときの日射遮蔽限界時刻および開口率を示すグラフである。
【図12】採光用スラット構造体2の高さ寸法H2および遮光用スラット構造体3の高さ寸法H3の設定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の実施の一形態に係るシャッタ1を示す正面図である。図1において、上下方向を鉛直方向Zで示し、左右方向を第2水平方向Xで示し、これらの第2水平方向Xおよび鉛直方向Zに垂直な方向を第1水平方向としてYで示す。
【0027】
シャッタ1は、開口部を有する建物において、開口部が規定する開口領域を建物の外方から覆う位置に設置される。シャッタ1は、建物の外壁に形成された開口部の屋外側において、鉛直方向Zにスライド移動可能に配置されることによって、この開口部を開閉可能とする。建物には、たとえば住宅、福祉施設、宿泊施設、商業施設、公共施設、およびその他の建築物が含まれる。開口部には、たとえば下部を床面と同一平面に設けた掃出し窓などの各種の窓が含まれる。
【0028】
シャッタ1は、第1水平方向Yから見て、大略的に矩形の板状に形成される。シャッタ1は、鉛直方向Zの高さ寸法H1がたとえば2383mmに形成され、第2水平方向Xの幅寸法W1がたとえば1725mmに形成される。寸法H1の最大値は、2383mmである。開口部は、たとえば高さ寸法H1が、シャッタ1の高さ寸法H1と同様の2383mmに形成され、幅寸法が、シャッタ1の幅寸法W1である1725mmよりも僅かに小さく形成される。
【0029】
シャッタ1は、前記採光用スラット構造体2と、遮光用スラット構造体3とを含んで構成される。採光用スラット構造体2は、複数の採光用スラット6を含んで構成される。採光用スラット構造体2は、高さ寸法H2がたとえば418mmに設定される。
【0030】
複数の採光用スラット6は、遮光性材料、たとえばアルミニウムから成り、大略的に帯状に形成される。複数の採光用スラット6は、各採光用スラット6の長手方向Xを略水平にして、かつ長手方向Xに垂直な幅方向Zを略鉛直にした姿勢で配置される。略水平は、水平を含み、略鉛直は、鉛直を含む。
【0031】
複数の採光用スラット6は、各採光用スラット6の厚みT1寸法および予め定める間隔D1が、採光用スラット6の幅方向と鉛直方向Zとを一致させた状態において水平面に対して上方に31°以上の角度を成す太陽光などの平行光が各採光用スラット6間の空隙13を通過することを阻止する値に設定される。
【0032】
遮光用スラット構造体3は、複数の遮光用スラット7を含む。遮光用スラット構造体3は、高さ寸法H3がたとえば1965mmに設定される。複数の遮光用スラット7は、遮光性材料、たとえば鉄から成り、大略的に帯状に形成される。複数の遮光用スラット7は、採光用スラット6と同一の姿勢、すなわち各遮光用スラット7の長手方向Xを略水平にして、かつ長手方向Xに垂直な幅方向Zを略鉛直にした姿勢で、幅方向Zに隣接して互いに接続される。
【0033】
鉛直方向Zに互いに隣接する採光用スラット6と遮光用スラット7とには、互いを鉛直方向Zに連結する連結部17がそれぞれ形成される。採光用スラット構造体2は、遮光用スラット構造体3よりも上方に配置される。採光用スラット構造体2の鉛直方向Zの下端部は、建物の室内の床面から上方に1710mm以上の位置に配置される。
【0034】
開口部には、開口部の第2水平方向Xの両側部に形成され、シャッタ1の第2水平方向Xの両端部を支持するガイド11が形成される。各ガイド11は、シャッタ1を鉛直方向Zに摺動可能に支持する。シャッタ1は、採光用スラット6および遮光用スラット7の幅方向を鉛直方向Zに一致させた姿勢を維持して、鉛直方向Zに移動可能である。
【0035】
シャッタ1は、第2水平方向Xの両端部において、第2水平方向Xの予め定める寸法W2、たとえば32.5mmの領域が、ガイド11内に配置される。したがって、ガイド11の第2水平方向Xの内寸W3は、1660mmとなる。
【0036】
図2は、図1に示したシャッタ1の一部を拡大した正面図である。採光用スラット6は、金属板によって中空の直方体状に形成される。採光用スラット6は、長手方向Xの寸法W1がたとえば1725mmに形成され、鉛直方向Zである幅方向の寸法H4がたとえば16mmに形成され、厚み方向Yの寸法T1がたとえば7mmに形成される。各採光用スラット6は、鉛直方向Zに予め定める間隔D1、たとえば4mmをあけて鉛直方向Zに並んで配置される。各採光用スラット6の鉛直方向Zの間には、空隙13が形成される。
【0037】
各採光用スラット6は、採光用スラット6の幅方向Zの端部において、互いに隣合う採光用スラット6を接続する接続部16が形成される。本実施形態では、各採光用スラット6は、接続部16によって互いに接続される。
【0038】
遮光用スラット7は、金属板によって形成される。たとえば遮光用スラット7は、長手方向Xの寸法W1がたとえば1725mmに形成され、幅方向Zの寸法H5が40.6mmに形成される。
【0039】
シャッタ1には、隣接する各遮光用スラット7を互いに連結する連結部17aと、隣接する採光用スラット6と遮光用スラット7とを互いに連結する連結部17bとが形成される。連結部17aと連結部17bとを総称して単に「連結部17」ともいう。連結部17は、遮光用スラット7または採光用スラット6の幅方向Zの端部に形成される。
【0040】
図3は、図2に示したシャッタ1を切断面線III−IIIで切断した断面図である。図4は、図2に示したシャッタ1を切断面線IV−IVで切断した断面図である。図3および図4で示すシャッタ1は、図2で示したシャッタ1にさらに遮光用スラット7が追加された構成であり、この追加された遮光用スラット7は、採光用スラット構造体2の鉛直方向Zの上方に連結されている。
【0041】
図3(a)および図4(a)は、採光用スラット構造体2が鉛直方向Zに縮小している状態を示し、図3(b)および図4(b)は、採光用スラット構造体2が鉛直方向Zに伸長している状態を示す。
【0042】
接続部16は、接続凹部16aと、接続凸部16bとによって構成される。接続凹部16aは、採光用スラット6の鉛直方向Zの下端部に形成され、鉛直方向Zの下方に向けて開口する凹空間を規定する。接続凸部16bは、採光用スラット6の鉛直方向Zの上端部において、鉛直方向Zの上方に向けて形成される。
【0043】
接続部16は、接続凸部16bが接続凹部16aに挿入された状態で、接続凹部16aと接続凸部16bとが係合して、各採光用スラット6を鉛直方向Zに伸縮可能に保持する。接続部16は、各採光用スラット6の間の間隔D1を、0mm以上であり前記予め設定された値、たとえば4mm以下に変位可能である。接続凸部16bの鉛直方向Zの下方側に、第2水平方向Xに複数の空隙13が形成される。空隙13は、第2水平方向Xに複数個所、たとえば8箇所等間隔に形成される横長な矩形の貫通孔および第2水平方向Xの両端部に形成される横長な矩形の切れ込みを含む。空隙13の鉛直方向Zの寸法は、D1と同じである。接続凸部16bのうち、空隙13が形成されない部分であって、鉛直方向Zの位置が空隙13の位置に一致する部分の第2水平方向Xの寸法W4は、たとえば8mmに形成される。接続部16は、軸線を第2水平方向Xとして、各採光用スラット6を角変位可能に保持する。
【0044】
連結部17aは、隣接する各遮光用スラット7の間を連結し、連結部17bは、遮光用スラット7と採光用スラット6との間を連結する。
【0045】
連結部17aは、隣接する各遮光用スラット7の鉛直方向Zの端部において、板状の両端部を互いに巻き込んで係合させて形成される。連結部17aは、第2水平方向Xを軸線として、各遮光用スラット7を角変位可能に連結する。
【0046】
採光用スラット6は、遮光用スラット7に隣接する鉛直方向Zの上端部または下端部に、鉛直方向Zに延びる板状体が形成される。連結部17bは、隣接する遮光用スラット7と採光用スラット6との端部において、板状の両端部を互いに巻き込んで係合させて形成される。連結部17bは、軸線を第2水平方向Xとして、遮光用スラット7および採光用スラット6を角変位可能に連結する。
【0047】
図5は、シャッタ1が収納ボックス24に収納されている状態の断面図である。収納ボックス24は、建物の開口部22の上方の位置において、屋外側の外壁21に固定される。収納ボックス24は、シャッタ1を巻き取って収納する。図5において、シャッタ1は、採光用スラット6の下方に遮光用スラット7が接続され、遮光用スラット7の下方に座板23が接続される構成である。
【0048】
収納ボックス24は、筐体25と、巻取りドラム26と、モータ27とを含んで構成される。筐体25は、金属、樹脂などの板状部材によって形成される。筐体25は、大略的に直方体状に形成され、巻取りドラム26およびモータ27が内部に配置される。筐体25は、外壁21に固着される。
【0049】
筐体25の下端には、筐体開口部29が形成される。筐体開口部29には、ガイド11の鉛直方向Zの上端部が挿入される。巻取りドラム26は、大略的に円柱状に形成される。巻取りドラム26は、軸線を第2水平方向Xに向けて配置される。巻取りドラム26には、シャッタ1の最上端に配置される遮光用スラット7が接続される。
【0050】
モータ27は、図示しない動力伝達ベルトによって巻取りドラム26に接続され、巻取りドラム26を回転駆動させる。巻取りドラム26が回転駆動することによって、シャッタ1を開口部22において開閉することができる。
【0051】
図6は、シャッタ1の使用態様を説明するための一部の図である。図7は、シャッタ1の使用態様を説明するための他の一部の図である。図8は、シャッタ1の使用態様を説明するための残余の図である。図6、図7および図8は、室内から窓31を見た状態を示す。窓31は、外壁21の開口部に設置される掃出し窓であり、窓枠32と窓ガラス33とを含んで構成される。
【0052】
図6(a)は、第1状態である完全開状態のシャッタ1を示す図である。この第1状態では、シャッタ1の全てが収納ボックス24に収納されている。したがって、窓枠32によって規定される開口領域34の全てが開状態、すなわちシャッタ1が窓31を覆わない状態になり、窓31から室内に太陽光が照射され得る。
【0053】
図6(b)は、第2状態である下部開状態のシャッタ1を示す図である。この第2状態は、第1状態からシャッタ1を下降させた状態であり、シャッタ1の約半分が閉じられている。遮光用スラット構造体3は、窓31の上半分を覆う。
【0054】
図7(a)は、第3状態である上部および下部開状態のシャッタ1を示す図である。この第3状態は、第2状態からシャッタ1をさらに下降させた状態である。採光用スラット構造体2は、窓31の鉛直方向Zの上端部を覆い、遮光用スラット構造体3は、窓31の鉛直方向Zの両端部間の中央部を覆う。窓31の鉛直方向Zの下端部は、開状態となる。
【0055】
図7(b)は、第4状態である上部開状態のシャッタ1を示す図である。この第4状態は、第3状態からシャッタ1をさらに下降させた状態である。採光用スラット構造体2は、窓31の上端部を覆う。接続部16は、鉛直方向Zに伸縮可能であり、シャッタ1の自重によって鉛直方向Zの下方に伸びて、各採光用スラット6の間隔を予め定める値に保持する。遮光用スラット構造体3は、窓31の鉛直方向Zの中央部および下端部を覆う。
【0056】
図8(a)は、第5状態である上部閉状態のシャッタ1を示す図である。この第5状態は、第4状態からシャッタ1をさらに下降させた状態である。採光用スラット構造体2は、窓31の上端部を覆う。採光用スラット構造体2は、窓31の上端部のうちの鉛直方向Zの上半分において、接続部16が伸びて採光用スラット6の間隔を予め定める値に保持し、窓31の上端部のうちの鉛直方向Zの下半分において、接続部16が縮んで採光用スラット6の間隔を0mmに保持する。遮光用スラット構造体3は、窓31の中央部および下端部を覆う。
【0057】
図8(b)は、第6状態である完全閉状態のシャッタ1を示す図である。この第6状態は、第5状態からシャッタ1をさらに下降させた状態である。採光用スラット構造体2は、窓31の上端部を覆う。この窓31の上端部において、採光用スラット構造体2は、接続部16の全てが縮んで、採光用スラット6の間隔を0mmに保持する。遮光用スラット構造体3は、窓31の中央部および下端部を覆う。
【0058】
図9は、夏至の日の時刻ごとの日射量を示すグラフである。図9のグラフは、縦軸に日射量(W/m2)を示し、横軸に時刻を示す。このグラフにおいて、曲線A1は水平面での日射量を表し、曲線A2は東向きの鉛直面である東面での日射量を表し、曲線A3は西向きの鉛直面である西面での日射量を表し、曲線A4は南向きの鉛直面である南面での日射量を表し、曲線A5は北向きの鉛直面である北面での日射量を表す。
【0059】
住宅においては、西日が室内に照射されると、室温が上昇するので、西日の日射量の極大値を示す時刻近傍の日射を遮蔽することが求められる。曲線A3は、15時から16時30分までの時刻に極大値近傍の日射量であることを示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1は、夏至の日の時刻ごとの太陽高度を示す。採光用スラット構造体2が15時から16時30分までの日射を遮蔽するためには、太陽高度が31°以上の日射を遮蔽すればよいことがわかる。表1および図9のデータは、測定地点が北緯35°で、大気透過率0.7の日射量でのデータである。
【0062】
図10は、採光用スラット6の空隙13を通過する光の角度を説明するための図である。図10(a)は、採光用スラット6の断面図を示し、図10(b)は、図10(a)で示した採光用スラット6の空隙13を拡大した図を示す。
【0063】
採光用スラット6は、厚み寸法がT1および幅寸法がH4によって形成され、各採光用スラット6は、鉛直方向Zに間隔D1を開けて配置される。各採光用スラット6の間には、空隙13が形成される。空隙13を通過する平行光の角度θは、「tanθ=D1/T1」によって表わされる。
【0064】
【表2】
【0065】
表2は、採光用スラット6の厚み寸法T1および間隔D1と、角度θとの関係を示す。表2から、太陽高度31°以上の日射を遮蔽、すなわち太陽高度0°以上31°未満の日射のみを通過させるために必要な採光用スラット6の厚み寸法T1および間隔D1の値が得られる。
【0066】
図11は、採光用スラット構造体2の間隔D1を変化させたときの日射遮蔽限界時刻および開口率を示すグラフである。図11のグラフは、左の縦軸が時刻を示し、右の縦軸が開口率を示し、横軸が間隔D1の長さを示す。
【0067】
図11に示した例では、採光用スラット構造体2は、鉛直方向Zの寸法H2が400mmに形成される。採光用スラット構造体2は、厚み寸法T1が7mmに形成され、幅寸法H4が16mmに形成される。採光用スラット構造体2は、長手方向Xの寸法W1が建物の開口部の第2水平方向Xの内寸よりも大きく形成される。
【0068】
採光用スラット構造体2の間隔D1は、以下の(1)〜(3)の観点から設定される。
(1)日射遮蔽の観点
日射遮蔽限界時刻とは、採光用スラット構造体2が日射を遮蔽することができる時刻を示し、線分B1によって表わされる。たとえば線分B1は、採光用スラット6の間隔D1が4mmのときに、約16時35分以前の日射を遮蔽することができることを表す。前述したように、採光用スラット構造体2が15時から16時30分までの日射を遮蔽する必要があるので、間隔D1は、4mm以下が好ましい。
【0069】
(2)開口率の観点
開口率とは、第1水平方向Yから見た、空隙13が開口した状態での採光用スラット構造体2の板状部分と遮光用スラット構造体3との面積に対する空隙13の面積の割合を百分率で示したものであり、線分B2によって表わされる。たとえば線分B2は、採光用スラット6の間隔D1が4mmのときに、約2.7%の開口率を示す。採光用スラット構造体2は、開口率が高くなると、高い採光性および通風性を発揮することができる。したがって、開口率を高くするために、間隔D1は、大きい値に設定することが好ましい。
【0070】
(3)安全面の観点
採光用スラット構造体2は、接続部16によって鉛直方向Zに伸長可能であるので、間隔D1が0mmになることがある。したがって、子供の指詰めを防止するために、採光用スラット構造体2の間隔D1は、5mm以下が好ましい。
【0071】
これらの(1)〜(3)の観点から、採光用スラット構造体2は、厚み寸法T1が7mmのときに、間隔D1が4mmに設定されることが最も好ましい。
【0072】
採光用スラット構造体2の厚み寸法T1は、遮光用スラット7と同等の厚みとすることによって、巻取りドラム26に巻き取る過程において、その巻径が遮光用スラット7のみから構成されるシャッタの巻径に比して極端に変化しないように考慮し、巻径を小さくかつ巻かれた形状が真円に近づくように決定される。また、採光用スラット構造体2の幅寸法H4は、遮光用スラット7の幅よりも小さくすることによって、関節に相当する角変位可能な接続部16を増やし、巻取りドラム26に巻き取る過程において、その巻径が遮光用スラット7のみから構成されるシャッタの巻径に比して極端に変化しないように考慮し、巻径を小さくかつ巻かれた形状が真円に近づくように決定される。また、幅寸法H4は、その他、採光用スラット6間の接続部16や巻きに添うような外形等の複合要素も考慮して決定される。
【0073】
図12は、採光用スラット構造体2の高さ寸法H2および遮光用スラット構造体3の高さ寸法H3の設定を説明するための図である。
【0074】
図12に示した例では、シャッタ1は、高さ寸法H1が2273mmに設定され、「H1=H2+H3」の関係となる。室内の床面37と屋外の地面38との間の鉛直方向Zの長さΔLは、593mmであるとする。地面38から採光用スラット6の下端部までの長さである屋外高さ寸法H6は、「H6=H3+ΔL」によって算出される。
【0075】
【表3】
【0076】
表3は、採光用スラット構造体2の高さ寸法H2と、屋外高さ寸法H6と、遮光用スラット構造体3の高さ寸法H3との関係を示す。
【0077】
採光用スラット構造体2の高さ寸法H2は、以下の(4),(5)の観点から設定される。
【0078】
(4)視界の遮断の観点
日本人の平均身長は、男性が約171cmであり、女性が約158cmである。遮光用スラット構造体3の高さ寸法H3が、171cm以上の値に設定されると、室内の床面37に人が立っている状態において、屋外から空隙13を介して室内の人が視認されることを妨げることができる。したがって、シャッタ1の高さ寸法H1が2273mmに設定される場合において、遮光用スラット構造体3の高さ寸法H3が「H3≧1710(mm)」であり、かつ採光用スラット構造体2の高さ寸法H2が「H2≦563(mm)」であることが好ましい。
【0079】
(5)既存の収納ボックス24の寸法の観点
シャッタ1の高さ寸法H1が2273mmに設定される場合において、採光用スラット構造体2の高さ寸法H2を400mmに形成したとき、このシャッタ1の巻径が約160mmとなり、既存の収納ボックス24の第1水平方向Yの内寸である193mmよりも小さくなる。採光用スラット構造体2の高さ寸法H2を100mm大きくすると、シャッタ1の巻径が、15mm大きくなる。したがって、シャッタ1を既存の収納ボックス24に収納可能にするためには、採光用スラット構造体2の高さ寸法H2を400mm以下に設定することが好ましい。また、開口率を大きくするためには、採光用スラット構造体2の高さ寸法H2を大きくすることが好ましい。
【0080】
これらの(4),(5)の観点から、シャッタ1の高さ寸法H1が2273mmのときに、採光用スラット構造体2の高さ寸法H2が400mmに設定されることが最も好ましい。また、上述したように、シャッタ1の高さ寸法H1が2383mmであるときは、採光用スラット構造体2の高さ寸法H2が418mmに設定されることが最も好ましい。
【0081】
このように、採光用スラット構造体2は、複数の採光用スラット6を含んで構成される。採光用スラット6は、遮光性材料から成り、帯状に形成される。複数の採光用スラット6は、長手方向Xに垂直な幅方向Zに予め定める間隔をあけて並んで配置される。複数の採光用スラット6は、厚み寸法T1および予め定める間隔D1が、幅方向を鉛直方向Zとしたとき水平面に対して上方に31°以上の角度を成す平行光が各採光用スラット6間の空隙13を通過することを阻止する値に設定される。
【0082】
これによって、採光用スラット構造体2は、たとえば採光用スラット6を建物の窓31などの開口部22に設置されることによって、各採光用スラット6間の空隙13からの通気および採光を可能とし、さらに太陽高度が31°以上の日射を遮蔽することができる。したがって、空隙13を通過する太陽光によって、室内の温度が上昇することを抑制することができる。
【0083】
また、各採光用スラット6は、採光用スラット6の幅方向Zの端部において、互いに隣合う採光用スラット6を接続する接続部16を少なくとも1つ含む。接続部16は、予め定める間隔を、0mm以上であり設定された値以下に変位可能である。
【0084】
これによって、採光用スラット構造体2は、少なくとも太陽高度が31°以上の日射を遮蔽しつつ、各採光用スラット6間の空隙13からの通気量および採光量を調整することができる。また、採光用スラット構造体2は、接続部16によって予め定める間隔が零にされると、空隙13が形成されない構成となり、防犯効果を高めることができる。
【0085】
また、採光用スラット6は、厚み寸法が7mmに形成され、予め定める間隔が4mmに設定される。
【0086】
これによって、採光用スラット構造体2は、予め定める間隔が4mmに設定されるので、子供が採光用スラット6の間に指を挿入することができない。したがって、採光用スラット構造体2は、各採光用スラット6間の空隙13に、子供が指を詰めることを防止することができる。したがって、採光用スラット構造体2は、安全性を向上させることができる。
【0087】
また、シャッタ1は、採光用スラット構造体2と、遮光用スラット構造体3とを有する。遮光用スラット構造体3は、複数の遮光用スラット7を含んで構成される。遮光用スラット7は、遮光性材料から成り、帯状に形成される。複数の遮光用スラット7は、長手方向Xに垂直な幅方向Zに隣接して互いに接続される。採光用スラット構造体2と遮光用スラット構造体3とは、幅方向Zに連結される。
【0088】
これによって、シャッタ1は、建物の窓31などの開口部22に設置されると、各採光用スラット6間の空隙13によって建物の外部空間と内部空間とを連通させ、シャッタ1を閉じた状態であっても通気および採光を可能とすることができる。また、シャッタ1は、太陽高度が31°以上の日射を遮蔽することができる。したがって、空隙13を通過する太陽光によって、室内の温度が上昇することを抑制することができる。
【0089】
また、採光用スラット構造体2は、遮光用スラット構造体3よりも上方に配置される。シャッタ1は、開口部22を有する建物において、開口部22が規定する開口領域を建物の外方から覆う位置に設置される。
【0090】
これによって、シャッタ1は、日射によって遮光用スラット構造体3および採光用スラット構造体2が熱せられて開口領域内の空気が高温になったときに、この高温の空気を各採光用スラット6間の空隙13から効率良く排出することができる。
【0091】
また、採光用スラット構造体2の鉛直方向Zの下端部は、建物の室内の床面37から上方に1710mm以上の位置に配置される。
【0092】
これによって、シャッタ1は、建物の外方から各採光用スラット6間の空隙13を介しての建物内への視界を遮ることができる。したがって、シャッタ1は、室内においてプライバシーが侵害されることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 シャッタ
2 採光用スラット構造体
3 遮光用スラット構造体
6 採光用スラット
7 遮光用スラット
11 ガイド
13 空隙
16 接続部
17 連結部
21 外壁
22 開口部
23 座板
24 収納ボックス
25 筐体
26 巻取りドラム
27 モータ
29 筐体開口部
31 窓
32 窓枠
33 窓ガラス
34 開口領域
37 床面
38 地面
【技術分野】
【0001】
本発明は、採光用スラット構造体およびこれを有するシャッタに関する。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術に係るシャッタの通風装置は、多数枚の横スラットを上下方向に遊びをもって連結してなるシャッターパネルを、機械的巻上げ手段によって常時巻き上げ方向に付勢し、シャッターパネルを引き下ろすことにより閉鎖する。シャッタの通風装置は、高さ方向中間部の上位と下位の2カ所で、閉鎖したシャッターパネルを選択的に停止する停止機構を備える。シャッタの通風装置は、停止機構よりも下側におけるスラットの連結部分に通風孔を設け、シャッターパネルを上位に停止した場合は、その停止位置よりも下側の各スラットが自重により離間動作して通風孔が開口し、下位に停止した場合は、その停止位置よりも下側の各スラットが密接動作して通風孔が閉口する(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
第2の従来技術に係るシャッタは、スラットを巻き上げる巻き上げバネを設け、スラットの上下方向中間部に中間ロック装置を設け、該中間ロック装置のロックレバーより下方に通風孔を有するスラットを設ける。シャッタは、連結されたスラットに通風孔を設けているので通風機能を有する(たとえば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−135341号公報
【特許文献2】特開平8−21167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1の従来技術に係るシャッタの通風装置および第2の従来技術に係るシャッタは、通風孔から太陽光が通過する構成であるので、通過した太陽光によって室内が高温になるという問題がある。また、太陽光の通過を抑制するために通風孔を小さく形成すると、通風性および採光性が悪化するという問題もある。
【0006】
本発明の目的は、直射日光の遮蔽性を高めることができる採光用スラット構造体およびこれを有するシャッタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遮光性材料から成り、帯状に形成され、長手方向に垂直な幅方向に予め定める間隔をあけて並んで配置される複数の採光用スラットであって、厚み寸法および前記予め定める間隔が、幅方向を鉛直方向としたとき水平面に対して上方に31°以上の角度を成す平行光が各採光用スラット間の空隙を通過することを阻止する値に設定される複数の採光用スラットを含むことを特徴とする採光用スラット構造体である。
【0008】
また本発明は、前記各採光用スラットは、採光用スラットの幅方向の端部において、互いに隣合う採光用スラットを接続する接続部を少なくとも1つ含み、
前記接続部は、前記予め定める間隔を、0mm以上であり前記設定された値以下に変位可能であることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記採光用スラットは、厚み寸法が7mmに形成され、前記予め定める間隔が4mmに設定されることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記採光用スラット構造体と、
遮光性材料から成り、帯状に形成され、長手方向に垂直な幅方向に隣接して互いに接続される複数の遮光用スラットを含む遮光用スラット構造体とを有し、
前記採光用スラット構造体と前記遮光用スラット構造体とは、幅方向に連結されることを特徴とするシャッタである。
【0011】
また本発明は、前記採光用スラット構造体は、前記遮光用スラット構造体よりも上方に配置され、
開口部を有する建物において、前記開口部が規定する開口領域を前記建物の外方から覆う位置に設置されることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記採光用スラット構造体の下端部は、前記建物の室内の床面から上方に1710mm以上の位置に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、採光用スラット構造体は、複数の採光用スラットを含んで構成される。採光用スラットは、遮光性材料から成り、帯状に形成される。複数の採光用スラットは、長手方向に垂直な幅方向に予め定める間隔をあけて並んで配置される。複数の採光用スラットは、厚み寸法および予め定める間隔が、幅方向を鉛直方向としたとき水平面に対して上方に31°以上の角度を成す平行光が各採光用スラット間の空隙を通過することを阻止する値に設定される。
【0014】
これによって、採光用スラット構造体は、たとえば採光用スラットを建物の窓などの開口部に設置されることによって、各採光用スラット間の空隙からの通気および採光を可能とし、さらに太陽高度が31°以上の日射を遮蔽することができる。したがって、空隙を通過する太陽光によって、室内の温度が上昇することを抑制することができる。
【0015】
また本発明によれば、各採光用スラットは、採光用スラットの幅方向の端部において、互いに隣合う採光用スラットを接続する接続部を少なくとも1つ含む。接続部は、予め定める間隔を、0mm以上であり設定された値以下に変位可能である。
【0016】
これによって、採光用スラット構造体は、少なくとも太陽高度が31°以上の日射を遮蔽しつつ、各採光用スラット間の空隙からの通気量および採光量を調整することができる。また、採光用スラット構造体は、接続部によって予め定める間隔が0mmにされると、空隙が形成されない構成となり、防犯効果を高めることができる。
【0017】
また本発明によれば、採光用スラットは、厚み寸法が7mmに形成され、予め定める間隔が4mmに設定される。
【0018】
これによって、採光用スラット構造体は、予め定める間隔が4mmに設定されるので、子供が採光用スラットの間に指を挿入することができない。したがって、採光用スラット構造体は、各採光用スラット間の空隙に、子供が指を詰めることを防止することができる。したがって、採光用スラット構造体は、安全性を向上させることができる。
【0019】
また本発明によれば、シャッタは、採光用スラット構造体と、遮光用スラット構造体とを有する。遮光用スラット構造体は、複数の遮光用スラットを含んで構成される。遮光用スラットは、遮光性材料から成り、帯状に形成される。複数の遮光用スラットは、長手方向に垂直な幅方向に隣接して互いに接続される。採光用スラット構造体と遮光用スラット構造体とは、幅方向に連結される。
【0020】
これによって、シャッタは、建物の窓などの開口部に設置されると、各採光用スラット間の空隙によって建物の外部空間と内部空間とを連通させ、シャッタを閉じた状態であっても通気および採光を可能とすることができる。また、シャッタは、太陽高度が31°以上の日射を遮蔽することができる。したがって、空隙を通過する太陽光によって、室内の温度が上昇することを抑制することができる。
【0021】
また本発明によれば、採光用スラット構造体は、遮光用スラット構造体よりも上方に配置される。シャッタは、開口部を有する建物において、開口部が規定する開口領域を建物の外方から覆う位置に設置される。
【0022】
これによって、シャッタは、日射によって遮光用スラット構造体および採光用スラット構造体が熱せられて開口領域内の空気が高温になったときに、この高温の空気を各採光用スラット間の空隙から効率良く排出することができる。
【0023】
また本発明によれば、採光用スラット構造体の下端部は、建物の室内の床面から上方に1710mm以上の位置に配置される。
【0024】
これによって、シャッタは、建物の外方から各採光用スラット間の空隙を介しての建物内への視界を遮ることができる。したがって、シャッタは、室内においてプライバシーが侵害されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の一形態に係るシャッタ1を示す正面図である。
【図2】図1に示したシャッタ1の一部を拡大した正面図である。
【図3】図2に示したシャッタ1を切断面線III−IIIで切断した断面図である。
【図4】図2に示したシャッタ1を切断面線IV−IVで切断した断面図である。
【図5】シャッタ1が収納ボックス24に収納されている状態の断面図である。
【図6】シャッタ1の使用態様を説明するための一部の図である。
【図7】シャッタ1の使用態様を説明するための他の一部の図である。
【図8】シャッタ1の使用態様を説明するための残余の図である。
【図9】夏至の日の時刻ごとの日射量を示すグラフである。
【図10】採光用スラット6の空隙13を通過する光の角度を説明するための図である。
【図11】採光用スラット構造体2の間隔D1を変化させたときの日射遮蔽限界時刻および開口率を示すグラフである。
【図12】採光用スラット構造体2の高さ寸法H2および遮光用スラット構造体3の高さ寸法H3の設定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の実施の一形態に係るシャッタ1を示す正面図である。図1において、上下方向を鉛直方向Zで示し、左右方向を第2水平方向Xで示し、これらの第2水平方向Xおよび鉛直方向Zに垂直な方向を第1水平方向としてYで示す。
【0027】
シャッタ1は、開口部を有する建物において、開口部が規定する開口領域を建物の外方から覆う位置に設置される。シャッタ1は、建物の外壁に形成された開口部の屋外側において、鉛直方向Zにスライド移動可能に配置されることによって、この開口部を開閉可能とする。建物には、たとえば住宅、福祉施設、宿泊施設、商業施設、公共施設、およびその他の建築物が含まれる。開口部には、たとえば下部を床面と同一平面に設けた掃出し窓などの各種の窓が含まれる。
【0028】
シャッタ1は、第1水平方向Yから見て、大略的に矩形の板状に形成される。シャッタ1は、鉛直方向Zの高さ寸法H1がたとえば2383mmに形成され、第2水平方向Xの幅寸法W1がたとえば1725mmに形成される。寸法H1の最大値は、2383mmである。開口部は、たとえば高さ寸法H1が、シャッタ1の高さ寸法H1と同様の2383mmに形成され、幅寸法が、シャッタ1の幅寸法W1である1725mmよりも僅かに小さく形成される。
【0029】
シャッタ1は、前記採光用スラット構造体2と、遮光用スラット構造体3とを含んで構成される。採光用スラット構造体2は、複数の採光用スラット6を含んで構成される。採光用スラット構造体2は、高さ寸法H2がたとえば418mmに設定される。
【0030】
複数の採光用スラット6は、遮光性材料、たとえばアルミニウムから成り、大略的に帯状に形成される。複数の採光用スラット6は、各採光用スラット6の長手方向Xを略水平にして、かつ長手方向Xに垂直な幅方向Zを略鉛直にした姿勢で配置される。略水平は、水平を含み、略鉛直は、鉛直を含む。
【0031】
複数の採光用スラット6は、各採光用スラット6の厚みT1寸法および予め定める間隔D1が、採光用スラット6の幅方向と鉛直方向Zとを一致させた状態において水平面に対して上方に31°以上の角度を成す太陽光などの平行光が各採光用スラット6間の空隙13を通過することを阻止する値に設定される。
【0032】
遮光用スラット構造体3は、複数の遮光用スラット7を含む。遮光用スラット構造体3は、高さ寸法H3がたとえば1965mmに設定される。複数の遮光用スラット7は、遮光性材料、たとえば鉄から成り、大略的に帯状に形成される。複数の遮光用スラット7は、採光用スラット6と同一の姿勢、すなわち各遮光用スラット7の長手方向Xを略水平にして、かつ長手方向Xに垂直な幅方向Zを略鉛直にした姿勢で、幅方向Zに隣接して互いに接続される。
【0033】
鉛直方向Zに互いに隣接する採光用スラット6と遮光用スラット7とには、互いを鉛直方向Zに連結する連結部17がそれぞれ形成される。採光用スラット構造体2は、遮光用スラット構造体3よりも上方に配置される。採光用スラット構造体2の鉛直方向Zの下端部は、建物の室内の床面から上方に1710mm以上の位置に配置される。
【0034】
開口部には、開口部の第2水平方向Xの両側部に形成され、シャッタ1の第2水平方向Xの両端部を支持するガイド11が形成される。各ガイド11は、シャッタ1を鉛直方向Zに摺動可能に支持する。シャッタ1は、採光用スラット6および遮光用スラット7の幅方向を鉛直方向Zに一致させた姿勢を維持して、鉛直方向Zに移動可能である。
【0035】
シャッタ1は、第2水平方向Xの両端部において、第2水平方向Xの予め定める寸法W2、たとえば32.5mmの領域が、ガイド11内に配置される。したがって、ガイド11の第2水平方向Xの内寸W3は、1660mmとなる。
【0036】
図2は、図1に示したシャッタ1の一部を拡大した正面図である。採光用スラット6は、金属板によって中空の直方体状に形成される。採光用スラット6は、長手方向Xの寸法W1がたとえば1725mmに形成され、鉛直方向Zである幅方向の寸法H4がたとえば16mmに形成され、厚み方向Yの寸法T1がたとえば7mmに形成される。各採光用スラット6は、鉛直方向Zに予め定める間隔D1、たとえば4mmをあけて鉛直方向Zに並んで配置される。各採光用スラット6の鉛直方向Zの間には、空隙13が形成される。
【0037】
各採光用スラット6は、採光用スラット6の幅方向Zの端部において、互いに隣合う採光用スラット6を接続する接続部16が形成される。本実施形態では、各採光用スラット6は、接続部16によって互いに接続される。
【0038】
遮光用スラット7は、金属板によって形成される。たとえば遮光用スラット7は、長手方向Xの寸法W1がたとえば1725mmに形成され、幅方向Zの寸法H5が40.6mmに形成される。
【0039】
シャッタ1には、隣接する各遮光用スラット7を互いに連結する連結部17aと、隣接する採光用スラット6と遮光用スラット7とを互いに連結する連結部17bとが形成される。連結部17aと連結部17bとを総称して単に「連結部17」ともいう。連結部17は、遮光用スラット7または採光用スラット6の幅方向Zの端部に形成される。
【0040】
図3は、図2に示したシャッタ1を切断面線III−IIIで切断した断面図である。図4は、図2に示したシャッタ1を切断面線IV−IVで切断した断面図である。図3および図4で示すシャッタ1は、図2で示したシャッタ1にさらに遮光用スラット7が追加された構成であり、この追加された遮光用スラット7は、採光用スラット構造体2の鉛直方向Zの上方に連結されている。
【0041】
図3(a)および図4(a)は、採光用スラット構造体2が鉛直方向Zに縮小している状態を示し、図3(b)および図4(b)は、採光用スラット構造体2が鉛直方向Zに伸長している状態を示す。
【0042】
接続部16は、接続凹部16aと、接続凸部16bとによって構成される。接続凹部16aは、採光用スラット6の鉛直方向Zの下端部に形成され、鉛直方向Zの下方に向けて開口する凹空間を規定する。接続凸部16bは、採光用スラット6の鉛直方向Zの上端部において、鉛直方向Zの上方に向けて形成される。
【0043】
接続部16は、接続凸部16bが接続凹部16aに挿入された状態で、接続凹部16aと接続凸部16bとが係合して、各採光用スラット6を鉛直方向Zに伸縮可能に保持する。接続部16は、各採光用スラット6の間の間隔D1を、0mm以上であり前記予め設定された値、たとえば4mm以下に変位可能である。接続凸部16bの鉛直方向Zの下方側に、第2水平方向Xに複数の空隙13が形成される。空隙13は、第2水平方向Xに複数個所、たとえば8箇所等間隔に形成される横長な矩形の貫通孔および第2水平方向Xの両端部に形成される横長な矩形の切れ込みを含む。空隙13の鉛直方向Zの寸法は、D1と同じである。接続凸部16bのうち、空隙13が形成されない部分であって、鉛直方向Zの位置が空隙13の位置に一致する部分の第2水平方向Xの寸法W4は、たとえば8mmに形成される。接続部16は、軸線を第2水平方向Xとして、各採光用スラット6を角変位可能に保持する。
【0044】
連結部17aは、隣接する各遮光用スラット7の間を連結し、連結部17bは、遮光用スラット7と採光用スラット6との間を連結する。
【0045】
連結部17aは、隣接する各遮光用スラット7の鉛直方向Zの端部において、板状の両端部を互いに巻き込んで係合させて形成される。連結部17aは、第2水平方向Xを軸線として、各遮光用スラット7を角変位可能に連結する。
【0046】
採光用スラット6は、遮光用スラット7に隣接する鉛直方向Zの上端部または下端部に、鉛直方向Zに延びる板状体が形成される。連結部17bは、隣接する遮光用スラット7と採光用スラット6との端部において、板状の両端部を互いに巻き込んで係合させて形成される。連結部17bは、軸線を第2水平方向Xとして、遮光用スラット7および採光用スラット6を角変位可能に連結する。
【0047】
図5は、シャッタ1が収納ボックス24に収納されている状態の断面図である。収納ボックス24は、建物の開口部22の上方の位置において、屋外側の外壁21に固定される。収納ボックス24は、シャッタ1を巻き取って収納する。図5において、シャッタ1は、採光用スラット6の下方に遮光用スラット7が接続され、遮光用スラット7の下方に座板23が接続される構成である。
【0048】
収納ボックス24は、筐体25と、巻取りドラム26と、モータ27とを含んで構成される。筐体25は、金属、樹脂などの板状部材によって形成される。筐体25は、大略的に直方体状に形成され、巻取りドラム26およびモータ27が内部に配置される。筐体25は、外壁21に固着される。
【0049】
筐体25の下端には、筐体開口部29が形成される。筐体開口部29には、ガイド11の鉛直方向Zの上端部が挿入される。巻取りドラム26は、大略的に円柱状に形成される。巻取りドラム26は、軸線を第2水平方向Xに向けて配置される。巻取りドラム26には、シャッタ1の最上端に配置される遮光用スラット7が接続される。
【0050】
モータ27は、図示しない動力伝達ベルトによって巻取りドラム26に接続され、巻取りドラム26を回転駆動させる。巻取りドラム26が回転駆動することによって、シャッタ1を開口部22において開閉することができる。
【0051】
図6は、シャッタ1の使用態様を説明するための一部の図である。図7は、シャッタ1の使用態様を説明するための他の一部の図である。図8は、シャッタ1の使用態様を説明するための残余の図である。図6、図7および図8は、室内から窓31を見た状態を示す。窓31は、外壁21の開口部に設置される掃出し窓であり、窓枠32と窓ガラス33とを含んで構成される。
【0052】
図6(a)は、第1状態である完全開状態のシャッタ1を示す図である。この第1状態では、シャッタ1の全てが収納ボックス24に収納されている。したがって、窓枠32によって規定される開口領域34の全てが開状態、すなわちシャッタ1が窓31を覆わない状態になり、窓31から室内に太陽光が照射され得る。
【0053】
図6(b)は、第2状態である下部開状態のシャッタ1を示す図である。この第2状態は、第1状態からシャッタ1を下降させた状態であり、シャッタ1の約半分が閉じられている。遮光用スラット構造体3は、窓31の上半分を覆う。
【0054】
図7(a)は、第3状態である上部および下部開状態のシャッタ1を示す図である。この第3状態は、第2状態からシャッタ1をさらに下降させた状態である。採光用スラット構造体2は、窓31の鉛直方向Zの上端部を覆い、遮光用スラット構造体3は、窓31の鉛直方向Zの両端部間の中央部を覆う。窓31の鉛直方向Zの下端部は、開状態となる。
【0055】
図7(b)は、第4状態である上部開状態のシャッタ1を示す図である。この第4状態は、第3状態からシャッタ1をさらに下降させた状態である。採光用スラット構造体2は、窓31の上端部を覆う。接続部16は、鉛直方向Zに伸縮可能であり、シャッタ1の自重によって鉛直方向Zの下方に伸びて、各採光用スラット6の間隔を予め定める値に保持する。遮光用スラット構造体3は、窓31の鉛直方向Zの中央部および下端部を覆う。
【0056】
図8(a)は、第5状態である上部閉状態のシャッタ1を示す図である。この第5状態は、第4状態からシャッタ1をさらに下降させた状態である。採光用スラット構造体2は、窓31の上端部を覆う。採光用スラット構造体2は、窓31の上端部のうちの鉛直方向Zの上半分において、接続部16が伸びて採光用スラット6の間隔を予め定める値に保持し、窓31の上端部のうちの鉛直方向Zの下半分において、接続部16が縮んで採光用スラット6の間隔を0mmに保持する。遮光用スラット構造体3は、窓31の中央部および下端部を覆う。
【0057】
図8(b)は、第6状態である完全閉状態のシャッタ1を示す図である。この第6状態は、第5状態からシャッタ1をさらに下降させた状態である。採光用スラット構造体2は、窓31の上端部を覆う。この窓31の上端部において、採光用スラット構造体2は、接続部16の全てが縮んで、採光用スラット6の間隔を0mmに保持する。遮光用スラット構造体3は、窓31の中央部および下端部を覆う。
【0058】
図9は、夏至の日の時刻ごとの日射量を示すグラフである。図9のグラフは、縦軸に日射量(W/m2)を示し、横軸に時刻を示す。このグラフにおいて、曲線A1は水平面での日射量を表し、曲線A2は東向きの鉛直面である東面での日射量を表し、曲線A3は西向きの鉛直面である西面での日射量を表し、曲線A4は南向きの鉛直面である南面での日射量を表し、曲線A5は北向きの鉛直面である北面での日射量を表す。
【0059】
住宅においては、西日が室内に照射されると、室温が上昇するので、西日の日射量の極大値を示す時刻近傍の日射を遮蔽することが求められる。曲線A3は、15時から16時30分までの時刻に極大値近傍の日射量であることを示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1は、夏至の日の時刻ごとの太陽高度を示す。採光用スラット構造体2が15時から16時30分までの日射を遮蔽するためには、太陽高度が31°以上の日射を遮蔽すればよいことがわかる。表1および図9のデータは、測定地点が北緯35°で、大気透過率0.7の日射量でのデータである。
【0062】
図10は、採光用スラット6の空隙13を通過する光の角度を説明するための図である。図10(a)は、採光用スラット6の断面図を示し、図10(b)は、図10(a)で示した採光用スラット6の空隙13を拡大した図を示す。
【0063】
採光用スラット6は、厚み寸法がT1および幅寸法がH4によって形成され、各採光用スラット6は、鉛直方向Zに間隔D1を開けて配置される。各採光用スラット6の間には、空隙13が形成される。空隙13を通過する平行光の角度θは、「tanθ=D1/T1」によって表わされる。
【0064】
【表2】
【0065】
表2は、採光用スラット6の厚み寸法T1および間隔D1と、角度θとの関係を示す。表2から、太陽高度31°以上の日射を遮蔽、すなわち太陽高度0°以上31°未満の日射のみを通過させるために必要な採光用スラット6の厚み寸法T1および間隔D1の値が得られる。
【0066】
図11は、採光用スラット構造体2の間隔D1を変化させたときの日射遮蔽限界時刻および開口率を示すグラフである。図11のグラフは、左の縦軸が時刻を示し、右の縦軸が開口率を示し、横軸が間隔D1の長さを示す。
【0067】
図11に示した例では、採光用スラット構造体2は、鉛直方向Zの寸法H2が400mmに形成される。採光用スラット構造体2は、厚み寸法T1が7mmに形成され、幅寸法H4が16mmに形成される。採光用スラット構造体2は、長手方向Xの寸法W1が建物の開口部の第2水平方向Xの内寸よりも大きく形成される。
【0068】
採光用スラット構造体2の間隔D1は、以下の(1)〜(3)の観点から設定される。
(1)日射遮蔽の観点
日射遮蔽限界時刻とは、採光用スラット構造体2が日射を遮蔽することができる時刻を示し、線分B1によって表わされる。たとえば線分B1は、採光用スラット6の間隔D1が4mmのときに、約16時35分以前の日射を遮蔽することができることを表す。前述したように、採光用スラット構造体2が15時から16時30分までの日射を遮蔽する必要があるので、間隔D1は、4mm以下が好ましい。
【0069】
(2)開口率の観点
開口率とは、第1水平方向Yから見た、空隙13が開口した状態での採光用スラット構造体2の板状部分と遮光用スラット構造体3との面積に対する空隙13の面積の割合を百分率で示したものであり、線分B2によって表わされる。たとえば線分B2は、採光用スラット6の間隔D1が4mmのときに、約2.7%の開口率を示す。採光用スラット構造体2は、開口率が高くなると、高い採光性および通風性を発揮することができる。したがって、開口率を高くするために、間隔D1は、大きい値に設定することが好ましい。
【0070】
(3)安全面の観点
採光用スラット構造体2は、接続部16によって鉛直方向Zに伸長可能であるので、間隔D1が0mmになることがある。したがって、子供の指詰めを防止するために、採光用スラット構造体2の間隔D1は、5mm以下が好ましい。
【0071】
これらの(1)〜(3)の観点から、採光用スラット構造体2は、厚み寸法T1が7mmのときに、間隔D1が4mmに設定されることが最も好ましい。
【0072】
採光用スラット構造体2の厚み寸法T1は、遮光用スラット7と同等の厚みとすることによって、巻取りドラム26に巻き取る過程において、その巻径が遮光用スラット7のみから構成されるシャッタの巻径に比して極端に変化しないように考慮し、巻径を小さくかつ巻かれた形状が真円に近づくように決定される。また、採光用スラット構造体2の幅寸法H4は、遮光用スラット7の幅よりも小さくすることによって、関節に相当する角変位可能な接続部16を増やし、巻取りドラム26に巻き取る過程において、その巻径が遮光用スラット7のみから構成されるシャッタの巻径に比して極端に変化しないように考慮し、巻径を小さくかつ巻かれた形状が真円に近づくように決定される。また、幅寸法H4は、その他、採光用スラット6間の接続部16や巻きに添うような外形等の複合要素も考慮して決定される。
【0073】
図12は、採光用スラット構造体2の高さ寸法H2および遮光用スラット構造体3の高さ寸法H3の設定を説明するための図である。
【0074】
図12に示した例では、シャッタ1は、高さ寸法H1が2273mmに設定され、「H1=H2+H3」の関係となる。室内の床面37と屋外の地面38との間の鉛直方向Zの長さΔLは、593mmであるとする。地面38から採光用スラット6の下端部までの長さである屋外高さ寸法H6は、「H6=H3+ΔL」によって算出される。
【0075】
【表3】
【0076】
表3は、採光用スラット構造体2の高さ寸法H2と、屋外高さ寸法H6と、遮光用スラット構造体3の高さ寸法H3との関係を示す。
【0077】
採光用スラット構造体2の高さ寸法H2は、以下の(4),(5)の観点から設定される。
【0078】
(4)視界の遮断の観点
日本人の平均身長は、男性が約171cmであり、女性が約158cmである。遮光用スラット構造体3の高さ寸法H3が、171cm以上の値に設定されると、室内の床面37に人が立っている状態において、屋外から空隙13を介して室内の人が視認されることを妨げることができる。したがって、シャッタ1の高さ寸法H1が2273mmに設定される場合において、遮光用スラット構造体3の高さ寸法H3が「H3≧1710(mm)」であり、かつ採光用スラット構造体2の高さ寸法H2が「H2≦563(mm)」であることが好ましい。
【0079】
(5)既存の収納ボックス24の寸法の観点
シャッタ1の高さ寸法H1が2273mmに設定される場合において、採光用スラット構造体2の高さ寸法H2を400mmに形成したとき、このシャッタ1の巻径が約160mmとなり、既存の収納ボックス24の第1水平方向Yの内寸である193mmよりも小さくなる。採光用スラット構造体2の高さ寸法H2を100mm大きくすると、シャッタ1の巻径が、15mm大きくなる。したがって、シャッタ1を既存の収納ボックス24に収納可能にするためには、採光用スラット構造体2の高さ寸法H2を400mm以下に設定することが好ましい。また、開口率を大きくするためには、採光用スラット構造体2の高さ寸法H2を大きくすることが好ましい。
【0080】
これらの(4),(5)の観点から、シャッタ1の高さ寸法H1が2273mmのときに、採光用スラット構造体2の高さ寸法H2が400mmに設定されることが最も好ましい。また、上述したように、シャッタ1の高さ寸法H1が2383mmであるときは、採光用スラット構造体2の高さ寸法H2が418mmに設定されることが最も好ましい。
【0081】
このように、採光用スラット構造体2は、複数の採光用スラット6を含んで構成される。採光用スラット6は、遮光性材料から成り、帯状に形成される。複数の採光用スラット6は、長手方向Xに垂直な幅方向Zに予め定める間隔をあけて並んで配置される。複数の採光用スラット6は、厚み寸法T1および予め定める間隔D1が、幅方向を鉛直方向Zとしたとき水平面に対して上方に31°以上の角度を成す平行光が各採光用スラット6間の空隙13を通過することを阻止する値に設定される。
【0082】
これによって、採光用スラット構造体2は、たとえば採光用スラット6を建物の窓31などの開口部22に設置されることによって、各採光用スラット6間の空隙13からの通気および採光を可能とし、さらに太陽高度が31°以上の日射を遮蔽することができる。したがって、空隙13を通過する太陽光によって、室内の温度が上昇することを抑制することができる。
【0083】
また、各採光用スラット6は、採光用スラット6の幅方向Zの端部において、互いに隣合う採光用スラット6を接続する接続部16を少なくとも1つ含む。接続部16は、予め定める間隔を、0mm以上であり設定された値以下に変位可能である。
【0084】
これによって、採光用スラット構造体2は、少なくとも太陽高度が31°以上の日射を遮蔽しつつ、各採光用スラット6間の空隙13からの通気量および採光量を調整することができる。また、採光用スラット構造体2は、接続部16によって予め定める間隔が零にされると、空隙13が形成されない構成となり、防犯効果を高めることができる。
【0085】
また、採光用スラット6は、厚み寸法が7mmに形成され、予め定める間隔が4mmに設定される。
【0086】
これによって、採光用スラット構造体2は、予め定める間隔が4mmに設定されるので、子供が採光用スラット6の間に指を挿入することができない。したがって、採光用スラット構造体2は、各採光用スラット6間の空隙13に、子供が指を詰めることを防止することができる。したがって、採光用スラット構造体2は、安全性を向上させることができる。
【0087】
また、シャッタ1は、採光用スラット構造体2と、遮光用スラット構造体3とを有する。遮光用スラット構造体3は、複数の遮光用スラット7を含んで構成される。遮光用スラット7は、遮光性材料から成り、帯状に形成される。複数の遮光用スラット7は、長手方向Xに垂直な幅方向Zに隣接して互いに接続される。採光用スラット構造体2と遮光用スラット構造体3とは、幅方向Zに連結される。
【0088】
これによって、シャッタ1は、建物の窓31などの開口部22に設置されると、各採光用スラット6間の空隙13によって建物の外部空間と内部空間とを連通させ、シャッタ1を閉じた状態であっても通気および採光を可能とすることができる。また、シャッタ1は、太陽高度が31°以上の日射を遮蔽することができる。したがって、空隙13を通過する太陽光によって、室内の温度が上昇することを抑制することができる。
【0089】
また、採光用スラット構造体2は、遮光用スラット構造体3よりも上方に配置される。シャッタ1は、開口部22を有する建物において、開口部22が規定する開口領域を建物の外方から覆う位置に設置される。
【0090】
これによって、シャッタ1は、日射によって遮光用スラット構造体3および採光用スラット構造体2が熱せられて開口領域内の空気が高温になったときに、この高温の空気を各採光用スラット6間の空隙13から効率良く排出することができる。
【0091】
また、採光用スラット構造体2の鉛直方向Zの下端部は、建物の室内の床面37から上方に1710mm以上の位置に配置される。
【0092】
これによって、シャッタ1は、建物の外方から各採光用スラット6間の空隙13を介しての建物内への視界を遮ることができる。したがって、シャッタ1は、室内においてプライバシーが侵害されることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 シャッタ
2 採光用スラット構造体
3 遮光用スラット構造体
6 採光用スラット
7 遮光用スラット
11 ガイド
13 空隙
16 接続部
17 連結部
21 外壁
22 開口部
23 座板
24 収納ボックス
25 筐体
26 巻取りドラム
27 モータ
29 筐体開口部
31 窓
32 窓枠
33 窓ガラス
34 開口領域
37 床面
38 地面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮光性材料から成り、帯状に形成され、長手方向に垂直な幅方向に予め定める間隔をあけて並んで配置される複数の採光用スラットであって、厚み寸法および前記予め定める間隔が、幅方向を鉛直方向としたとき水平面に対して上方に31°以上の角度を成す平行光が各採光用スラット間の空隙を通過することを阻止する値に設定される複数の採光用スラットを含むことを特徴とする採光用スラット構造体。
【請求項2】
前記各採光用スラットは、採光用スラットの幅方向の端部において、互いに隣合う採光用スラットを接続する接続部を少なくとも1つ含み、
前記接続部は、前記予め定める間隔を、0mm以上であり前記設定された値以下に変位可能であることを特徴とする請求項1に記載の採光用スラット構造体。
【請求項3】
前記採光用スラットは、厚み寸法が7mmに形成され、前記予め定める間隔が4mmに設定されることを特徴とする請求項2に記載の採光用スラット構造体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の採光用スラット構造体と、
遮光性材料から成り、帯状に形成され、長手方向に垂直な幅方向に隣接して互いに接続される複数の遮光用スラットを含む遮光用スラット構造体とを有し、
前記採光用スラット構造体と前記遮光用スラット構造体とは、幅方向に連結されることを特徴とするシャッタ。
【請求項5】
前記採光用スラット構造体は、前記遮光用スラット構造体よりも上方に配置され、
開口部を有する建物において、前記開口部が規定する開口領域を前記建物の外方から覆う位置に設置されることを特徴とする請求項4に記載のシャッタ。
【請求項6】
前記採光用スラット構造体の下端部は、前記建物の室内の床面から上方に1710mm以上の位置に配置されることを特徴とする請求項5に記載のシャッタ。
【請求項1】
遮光性材料から成り、帯状に形成され、長手方向に垂直な幅方向に予め定める間隔をあけて並んで配置される複数の採光用スラットであって、厚み寸法および前記予め定める間隔が、幅方向を鉛直方向としたとき水平面に対して上方に31°以上の角度を成す平行光が各採光用スラット間の空隙を通過することを阻止する値に設定される複数の採光用スラットを含むことを特徴とする採光用スラット構造体。
【請求項2】
前記各採光用スラットは、採光用スラットの幅方向の端部において、互いに隣合う採光用スラットを接続する接続部を少なくとも1つ含み、
前記接続部は、前記予め定める間隔を、0mm以上であり前記設定された値以下に変位可能であることを特徴とする請求項1に記載の採光用スラット構造体。
【請求項3】
前記採光用スラットは、厚み寸法が7mmに形成され、前記予め定める間隔が4mmに設定されることを特徴とする請求項2に記載の採光用スラット構造体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の採光用スラット構造体と、
遮光性材料から成り、帯状に形成され、長手方向に垂直な幅方向に隣接して互いに接続される複数の遮光用スラットを含む遮光用スラット構造体とを有し、
前記採光用スラット構造体と前記遮光用スラット構造体とは、幅方向に連結されることを特徴とするシャッタ。
【請求項5】
前記採光用スラット構造体は、前記遮光用スラット構造体よりも上方に配置され、
開口部を有する建物において、前記開口部が規定する開口領域を前記建物の外方から覆う位置に設置されることを特徴とする請求項4に記載のシャッタ。
【請求項6】
前記採光用スラット構造体の下端部は、前記建物の室内の床面から上方に1710mm以上の位置に配置されることを特徴とする請求項5に記載のシャッタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−36694(P2012−36694A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179859(P2010−179859)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【出願人】(307038540)三和シヤッター工業株式会社 (273)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【出願人】(307038540)三和シヤッター工業株式会社 (273)
【Fターム(参考)】
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