説明

接着テープ用リール

【課題】ブロッキング現象を防止できる接着テープ用リールを提供すること。
【解決手段】接着テープ用リール1では、一対の側板3の内側面3aに当該側板3の中心側から周縁側にかけて延在する複数のリブ6が所定の間隔をもって形成されている。したがって、巻芯2に巻き付けられた異方導電テープはリブ6に点接触するため、ブロッキング現象が発生するきっかけが生じにくくなっている。さらに、リブ6の位置が一致している場合に比べて側板3,3間の距離を小さくできる。これにより、巻き付け作業時に異方導電テープが側板3,3によって精度良くガイドされるので、作業効率の向上が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着テープ用リールに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の電極を有する被接続部材同士を電気的に接続するための接続材料として、異方導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)が使用されている。異方導電フィルムは、プリント配線基板、LCD用ガラス基板、フレキシブルプリント基板等の基板にIC、LSI等の半導体素子やパッケージなどの被接続部材を接続する際、相対する電極同士の導通状態を保ち、隣接する電極同士の絶縁を保つように電気的接続と機械的固着を行う接続材料として用いられる。
【0003】
異方導電フィルムは、例えば、熱硬化性樹脂を含有する接着剤成分と、必要により配合される導電粒子とを含み、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)などの基材上にフィルム状に形成されている。異方導電テープは、このような異方導電フィルムの原反を用途に適した幅で切断することによって作製され、リールに巻き付けた状態で保存される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−34468号公報
【特許文献2】特開2009−149396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、異方導電テープのような接着テープが巻き付けられるリールは、一般に、巻芯と、巻き崩れを防止するための一対の側板とを備えている。従来、接着テープをリールに巻き付ける工程では、リールの側板にテープの接着剤層や基材が接触したり、保存時に接着剤層が滲み出したりすると、基材からの接着剤層の剥がれ(ブロッキング現象)が生じることがあった。
【0006】
これに対し、特許文献2に記載のリールでは、側板の中心側から周縁側にかけて延在する複数のリブが側板の内側面に設けられている。これにより、接着テープの側部と側板との直接的な接触が回避され、ブロッキング現象の防止が図られている。そこで、このようなリールでは、ブロッキング現象を防止できる利点をより生すための構成上の一層の工夫が望まれている。
【0007】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、ブロッキング現象を防止できる接着テープ用リールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の解決のため、本発明に係る接着テープ用リールは、接着テープを巻き付け可能な筒状の巻芯と、巻芯の両端部に互いに対向して設けられている一対の側板と、を備え、側板の内側面には、当該側板の中心側から周縁側にかけて延在する複数のリブが形成され、一対の側板は、一方の側板におけるリブの位置と他方の側板におけるリブの位置とがずれた状態で巻芯に固定されていることを特徴としている。
【0009】
この接着テープ用リールでは、一対の側板の内側面に当該側板の中心側から周縁側にかけて延在する複数のリブが形成されている。したがって、巻芯に巻き付けられた接着テープはリブに点接触することとなり、テープの側部と側板の内側面との直接的な接触を回避できる。また、この接着テープ用リールでは、一方の側板におけるリブの位置と他方の側板におけるリブの位置とがずれた状態となっている。このため、リブに挟まれた接着テープに過剰な力が加わることも抑制され、ブロッキング現象が発生するきっかけが生じにくくなっている。
【0010】
一方、この接着テープ用リールでは、一方の側板におけるリブの位置と他方の側板におけるリブの位置とがずれた状態となっていることで、リブの位置が一致している場合に比べて側板間の距離を小さくできる。これにより、巻き付け作業時に接着テープが側板によって精度良くガイドされるので、作業効率の向上が図られる。また、保存時や運搬時に接着テープに力が加わったとしても、接着テープへのダメージを低減できる。
【0011】
また、一方の側板におけるリブと他方の側板におけるリブとのずれ角が5°〜15°であることが好ましい。このようなずれ角を選択することにより、リブに挟まれた接着テープに過剰な力が加わることを好適に抑制でき、ブロッキング現象の発生を一層効果的に防止できる。
【0012】
また、巻芯に巻き付けられる接着テープの長さが300m以上であることが好ましい。長さが300m以上の長尺テープでは、巻き取り時に巻重体の側面にうねりが発生し易く、テープの側部と側板の内側面との直接的な接触が発生し易い。したがって、上述したように、一方の側板におけるリブの位置と他方の側板におけるリブの位置とがずれた状態となっていることで、長尺テープに対してもブロッキング現象の発生を効果的に防止できる。また、長尺テープでは、巻芯への巻数が増加するため、巻き付け作業の効率向上による製造コストの低減効果も顕著に得られる。
【0013】
また、巻芯に巻き付けられる接着テープの幅が0.5mm〜3.0mmであることが好ましい。幅が0.5mm〜3.0mmの幅細テープでは、巻芯に巻き付けを行う際、テープが側板と巻重体との間に入り込み易い。したがって、上述したように、巻き付け作業時に接着テープが側板によって精度良くガイドされることで、作業効率の向上が図られる。
【0014】
また、接着テープは、太陽電池セルの電極とタブ線とを接続する導電テープであることが好ましい。この場合、導電接着テープにおいて、ブロッキング現象を防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る接着テープ用リールよれば、巻芯に巻き付けられる接着テープのブロッキング現象を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る接着テープ用リールの一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】実施例におけるリブの作用を示す図である。
【図4】比較例におけるリブの作用を示す図である。
【図5】幅の異なる異方導電テープを巻き付けた場合のリブの作用を示す図である。
【図6】接着テープ用リールにおけるリブ配置の変形例を示す正面図である。
【図7】接着テープ用リールにおけるリブ配置の別の変形例を示す正面図である。
【図8】接着テープ用リールにおけるリブ配置の更に別の変形例を示す正面図である。
【図9】接着テープ用リールにおけるリブ配置の更に別の変形例を示す図である。
【図10】窓を設けた側板の例を示す図である。
【図11】リブの平面形状の変形例を示す図である。
【図12】リブの断面形状の変形例を示す図である。
【図13】側板の周縁部に設けるリブの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る接着テープ用リールの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る接着テープ用リールの一実施形態を示す正面図である。また、図2は、図1におけるII−II線断面図である。なお、本実施形態における接着テープ用リールは、図1及び図2に示すように、異方導電テープ(接着テープ)Tが巻き付けられる筒状の巻芯2と、巻芯2の両端部において巻芯2を挟むように互いに対向して設けられた一対の側板3,3とを備えた接着テープ用リール1として説明する。接着テープ用リール1は、異方導電テープTを製造・供給・保存する際に用いられる。
【0019】
巻芯2には、例えばフィルム状の基材及びその一方面上に設けられた接着剤層を有する異方導電フィルムを細幅のテープ状に切断してなる異方導電テープTが巻き付けられる。巻芯2の軸方向の長さは、異方導電テープTの幅に応じて適宜設定されている。また、巻芯2の中央部には、巻付装置又は繰出装置(不図示)の回転軸が挿入される軸穴4が設けられている。軸穴4は例えば断面円形状をなしており、巻付装置又は繰出装置の回転軸を軸穴4に差し込んだ状態で回転軸を駆動した場合に、空回りすることなく接着テープ用リール1が回転するようになっている。
【0020】
側板3は、例えば巻芯2に対して十分に大きな径を有する円板状をなしている。巻芯2を介して隔てられた側板3,3間の距離は、異方導電テープTの幅に応じて適宜設定されている。側板3の厚さは、0.5mm〜5.0mm、好ましくは0.9mm〜3.0mm、より好ましくは1.0mm〜2.0mm程度となっている。また、側板3の径は、巻き付ける異方導電テープTの長さ(異方導電テープTの巻重体の直径)に応じて適宜設定される。なお、側板3,3間の距離は、側板3の周縁側ほど広がる傾向にあるので、ここでいう側板3,3間の距離は、巻芯付近での測定値で定義している。通常、側板3,3間の距離は、異方導電テープTの幅に対して105%〜120%、より好ましくは107〜115%の幅で設定される。
【0021】
このような接着テープ用リール1は、射出成形などによって巻芯2及び一対の側板3,3を一体的に成形してもよく、巻芯2及び一対の側板3,3を別々に成形し、これらを嵌合・接着することによって形成してもよい。巻芯2と側板3とを別体とした場合、巻き付ける異方導電テープTの長さに適した直径の側板3を適宜採用したり、異方導電テープTの幅に適した長さの巻芯2を適宜採用したりすることができるという利点がある。
【0022】
巻芯2に巻き付けられる異方導電テープTは、例えば、相対する電極同士の導通状態を保ち、かつ隣接する電極同士の絶縁を保つように、電気的接続と機械的固着とを行う接続材料として使用される。異方導電テープTの長さは、通常は50m〜1000m程度であり、本実施形態では300m以上となっている。異方導電テープTの長さは、200m〜1000mが好ましく、250m〜500mがより好ましい。また、異方導電テープTの幅は、0.5mm〜10mm、好ましくは0.5mm〜3.0mm、より好ましくは0.5mm〜2.0mm程度となっている。異方導電テープTの厚さは、5μm〜100μm、好ましくは10μm〜40μm、より好ましくは10μm〜20μm程度となっている。基材の厚さは、異方導電テープTの厚さと同程度となっている。
【0023】
基材は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム系、液晶ポリマー等からなる各種プラスチックテープ、又は、銅、アルミニウム等の金属箔を使用することが可能である。もっとも、基材を構成する材質はこれらに限定されるものではない。また、基材として、接着剤層との当接面等に離型処理が施されたものを使用してもよい。基材の一方面上に設けられた接着剤層上に、さらに接着剤層を保護するためのカバーフィルムが積層されたものを使用しても構わない。
【0024】
接着剤層は、例えば、接着剤成分と、必要により含有される導電粒子とを含んでなる接着剤組成物からなる。接着剤成分としては、例えば、熱や光により硬化性を示す材料を広く適用できる。接続後の耐熱性や耐湿性に優れていることから、架橋性材料の使用が好ましい。熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を主成分として含有するエポキシ系接着剤は、短時間硬化が可能で接続作業性がよく、分子構造上接着性に優れている等の特徴から好ましい。また、国際公開2009/063827号に記載されるようなラジカル硬化系の接着剤組成物も使用することができる。
【0025】
エポキシ系接着剤は、例えば高分子量エポキシ、固形エポキシ又は液状エポキシ、あるいは、これらをウレタン、ポリエステル、アクリルゴム、ニトリルゴム(NBR)、合成線状ポリアミド等で変性したエポキシを主成分とするものを使用することができる。エポキシ系接着剤は、主成分をなす上記エポキシに硬化剤、触媒、カップリング剤、充填剤等を添加してなるものが一般的である。
【0026】
導電粒子としては、例えばAu、Ag、Pt、Ni、Cu、W、Sb、Sn、はんだ等の金属やカーボンの粒子が挙げられる。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等を核とし、この核を上記の金属やカーボンで被覆した被覆粒子を使用してもよい。導電粒子の平均粒径は分散性、導電性の観点から1μm〜18μmであることが好ましい。なお、導電粒子を絶縁層で被覆してなる絶縁被覆粒子を使用してもよく、隣接する電極同士の絶縁性を向上させる観点から導電粒子と絶縁性粒子とを併用してもよい。
【0027】
導電粒子の配合割合は、接着剤層に含まれる接着剤成分100体積部に対して、0.1〜30体積部であることが好ましく、0.1〜10体積部であることがより好ましい。この配合割合が0.1体積部未満であると対向する電極間の接続抵抗が高くなる傾向にあり、30体積部を超えると隣接する電極間の短絡が生じやすくなる傾向がある。なお、これら接着剤層に含有される成分、その配合量、配合方法などについては国際公開2009/063827号に記載される成分、その配合量、配合方法などを使用することが可能である。
【0028】
続いて、上述した側板3の構成について更に詳細に説明する。
【0029】
図1に示すように、側板3の内側面3aには、側板3の中心側から周縁側にかけて延在する複数のリブ6が設けられている。より具体的には、リブ6は、内側面3aにおける巻芯2との接合部から周縁部3bにかけて直線状に延在し、例えば45°の間隔をもって8本ずつ設けられている。また、リブ6の断面形状は、例えば円弧状となっており、側板3の内側面3aからのリブ6の突出量は、0.05mm〜1.00mm程度となっている。
【0030】
ここで、一対の側板3,3は、一方の側板3におけるリブ6の位置と他方の側板3におけるリブ6の位置とが互いにずれた状態で巻芯2に固定されている。一方の側板3のリブ6と他方の側板3のリブ6とのずれ角θは、巻き付ける異方導電テープTの長さや幅に応じて適宜設定されるが、この実施形態では例えば5°〜15°となっている。
【0031】
このような接着テープ用リール1では、一対の側板3,3間において、巻芯2に巻き付けられた異方導電テープTは、図3に示すように、互いにずれた状態のリブ6,6に点接触しながら緩やかなS字状に湾曲することとなる。したがって、異方導電テープTの側部Taと側板3の内側面3aとが直接的に接触することを回避できる。また、この接着テープ用リール1では、リブ6,6が異方導電テープTの同位置を挟み込むことがないので、異方導電テープTに過剰な力が加わることも抑制される。したがって、異方導電テープTに基材からの接着剤層の剥がれ(ブロッキング現象)が発生するきっかけが生じにくくなり、ブロッキング現象の抑制が図られる。
【0032】
また、接着テープ用リール1では、一方の側板3におけるリブ6の位置と他方の側板3におけるリブ6の位置とがずれた状態となっていることで、図4に示すように、リブ6,6の位置が一致している場合の側板3,3間の距離W2に比べて側板3,3間の距離W1を小さくできる。これにより、巻き付け作業時に異方導電テープTが側板3,3によって精度良くガイドされるので、作業効率の向上が図られる。
【0033】
なお、一方の側板3におけるリブ6の位置と他方の側板3におけるリブ6の位置とがずれた状態となっていることで、異方導電テープTの片側にリブ6が位置していたとしても、その反対側には側板3の内側面3aとの間でスペースが存在することとなる。したがって、異方導電テープTにリブ6側から衝撃が加わったとしても、反対側の側板3に当たらない範囲であれば、異方導電テープTが受けるダメージを緩和できると考えられる。反対側の側板3から衝撃が加わった場合でも、反対側の側板3に当たらない範囲であれば、異方導電テープTが受けるダメージを緩和できると考えられる。また、異方導電テープTが反対側の側板3に当たってしまうような衝撃が加わったとしても、異方導電テープTがリブ6,6で挟まれる場合と比較すれば、片側が側板3の内側面3aであるため、異方導電テープTが受けるダメージを緩和できると考えられる。
【0034】
もっとも、図5に示すように、より幅の小さい異方導電テープTを巻芯2に巻き付ける場合には、異方導電テープTが互いにずれた状態のリブ6,6に点接触したとしてもS字状の湾曲が生じないようにすることも可能である。この場合は、S字状の湾曲が生じない分、異方導電テープTに加わる負荷を小さくすることができ、異方導電テープTの信頼性の向上が図られる。
【0035】
この接着テープ用リール1の巻芯2に巻き付けられる異方導電テープTは、例えば、長さ300m以上、幅0.5mm〜1.3mm程度の長尺幅細のテープが想定されている。
【0036】
長さが300m以上の長尺テープでは、巻重体が大径化し、巻き取り時に巻重体の側面にうねりが発生し易く、異方導電テープTの側部Taと側板3の内側面3aとの直接的な接触が特に発生し易い傾向がある。したがって、上述したように、一方の側板3におけるリブ6の位置と他方の側板3におけるリブ6の位置とがずれた状態となっていることで、長尺テープに対してもブロッキング現象の発生を効果的に防止できる。また、長尺テープでは、巻芯2への巻数が増加するため、巻き付け作業の効率向上による製造コストの低減効果も顕著に得られる。
【0037】
また、幅が0.5mm〜1.3mmの幅細テープでは、巻芯2に巻き付けを行う際にテープが側板3と巻重体との間の隙間に入り込み易い傾向がある。したがって、上述したように、巻き付け作業時に異方導電テープTが側板3,3によって精度良くガイドされることで、異方導電テープTの巻重体の側部のうねりの発生を抑えることが可能となる。
【0038】
異方導電テープTは、巻芯2に巻き取る最初の部分(巻き始めの部分)が巻芯2に固定されている。この固定方法としては、周知の方法を使用できるが、例えば、粘着テープ、粘着剤により固定することができる。また、巻芯2に留め具や切り込み部を設けて固定することもできる。この中でも作業性の観点から粘着テープ又は粘着剤を使用して固定することが好ましい。
【0039】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上述した実施形態では、接着テープとして異方導電テープTを例示したが、接着剤層が接着剤成分からなり導電粒子を含有しない非導電テープを用いてもよく、導電粒子を異方導電テープよりも多く配合した異方性を有さない導電テープを用いてもよい。また、ダイボンドフィルム、銀フィルム、半導体ウエハ加工用の接着フィルムなど各種の接着フィルムにも適用可能である。また、太陽電池セルの電極とタブ線とを接続する導電テープにも好ましく適用可能である。また、例えば上述した実施形態では、側板3,3に8本ずつのリブ6を設けているが、リブ6の数は適宜変更が可能であり、例えば図6〜図8に示すように、側板3,3のそれぞれに4本、6本、10本、12本、16本、20本のリブ6を設けるようにしてもよい。
【0040】
リブ6のずれ角は、リブの本数により適宜変更することができるが、一般的には、3°〜45°程度であることが好ましく、5°〜30°であることがより好ましく、5°〜15°であることが更に好ましく、7.5°〜15°であることが特に好ましい。リブ6のずれ角θは、リブ6が4本の場合には、5°〜45°の範囲で設定されることが好ましく、リブ6が6本の場合には、5°〜30°の範囲で設定されることが好ましい。また、ずれ角θは、リブ6が8本の場合には、5°〜22.5°の範囲で設定されることが好ましく、リブ6が10本の場合には、5°〜18°の範囲で設定されることが好ましい。
【0041】
また、ずれ角θは、リブ6が12本の場合には、5°〜15°の範囲で設定されることが好ましく、リブ6が16本の場合には、5°〜11.25°の範囲で設定されることが好ましい。さらに、リブ6が20本の場合には、5°〜9°の範囲で設定されることが好ましい。なお、上記の各場合において、ずれ角θの下限を7.5°にすることが好ましく、リブ6の本数が4本〜16本の場合には、ずれ角の下限を10°にすることが更に好ましい。
【0042】
また、側板3におけるリブ6の間隔は、必ずしも等間隔である必要はなく、一方の側板3のリブ6の数と他方の側板3のリブ6の数とは、必ずしも一致していなくてもよい。例えば図9(a)に示すように、一方の側板3に等間隔で4本のリブ6を設けると共に、他方の側板3に5°〜10°程度の間隔を空けたリブ6,6の対を等間隔で4対設け、これらのリブ6が互いにずれた状態となるように側板3,3同士を固定してもよい。
【0043】
また、例えば図9(b)に示すように、一方の側板3に等間隔で4本のリブ6を設けると共に、他方の側板3に等間隔で8本のリブ6を設け、これらのリブ6が互いにずれた状態となるように側板3,3同士を固定してもよい。さらに、例えば図9(c)に示すように、一方の側板3に等間隔で4本のリブ6を設けると共に、他方の側板3に8本のリブ6を設け、側板3,3同士を固定したときに、計12本のリブ6が等間隔で並ぶようにしてもよい。なお、全てのリブのずれ角が一定である必要もなく、一部のリブのずれ角が他のリブのずれ角と異なるように設計されてもよい。また、必要によってはリブの一部がずれ角を有さない状態であってもよい。
【0044】
さらに、図10に示すように、巻芯2に巻き付けられた接着テープの残量を視認するための窓Wを側板3に設けるようにしてもよい。この場合、図10(a)に示すように、側板3におけるリブ6,6間のスペースに窓Wを設けてもよく、図10(b)に示すように、リブ6,6の対を1箇所設けない代わりに窓Wを設けるようにしてもよい。また、図10(c)に示すように、リブ6,6の対の一部を切り抜くようにして窓Wを設けるようにしてもよい。
【0045】
また、リブ6の平面形状は、図1に示したような巻芯2側から周縁部3bにかけて直線状に延在するものに限られず、図11(a)に示すように、断続的に形成されたものであってもよく、図11(b)に示すように、側板3の中心を向かずに径方向と交差するように形成してもよい。また、図11(c)に示すように、波線状に形成してもよい。
【0046】
また、リブ6の断面形状は、図3に示したような円弧状のものに限られず、図12に示すように、三角形状、矩形状、矩形状の角部を面取りした形状、これらを並べたものなどの種々の形状を採用できる。さらに、図13(a)〜(c)に示すように、側板3の周縁部3bにも、別のリブ7を設けるようにしてもよい。このほか、周縁部3bのリブ7は、側板3の周縁部3bの全周にわたって設けてもよいし、断続的に設けてもよい。また、リブ7は、波線状に設けてもよく、周縁部3bに沿って2重・3重に設けてもよい。
【0047】
なお、側板3の周縁部3bにリブ7を設ける場合、一方の側板3のリブ7の位置と他方の側板のリブ7の位置とが一致する場合があるが、上述したように、側板3,3間の距離は、側板3の周縁側ほど広がる傾向にあるので、側板3,3間の距離W1を小さくできるという効果が阻害されることはない。この効果を担保するため、リブ7の高さをリブ6の高さに比べて低く形成してもよい。
【0048】
また、接着テープ用リール1は、図2に示したように一対の側板3,3が巻芯2を挟むように互いに対向して設けられたものに限られない。例えば、巻芯2が一対の側板3,3の外側へ突出するように設けられていても構わない。
【0049】
また、上述した接着テープ用リール1においては、巻芯2に異方導電テープTが巻き付けられていたが、巻芯2に捲き付けられるテープはこれに限られない。異方導電テープTに代え、接着剤層が接着剤成分からなり導電粒子を含有しない非導電テープを巻芯2に巻き付けてもよい。また、異方導電テープTに代え、導電粒子を異方導電テープTよりも多く配合した異方性を有さない導電テープを巻芯2に巻き付けてもよい。上記以外の巻芯2に捲き付けられるテープとしては、ダイボンドフィルム、銀フィルム、半導体ウエハ加工用の接着フィルムなど各種の電子材料用の接着フィルムを適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…接着テープ用リール、2…巻芯、3…側板、3a…内側面、6…リブ、T…異方導電テープ、θ…ずれ角。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着テープを巻き付け可能な筒状の巻芯と、
前記巻芯の両端部に互いに対向して設けられている一対の側板と、を備え、
前記側板の内側面には、当該側板の中心側から周縁側にかけて延在する複数のリブが形成され、
前記一対の側板は、一方の側板における前記リブの位置と他方の側板における前記リブの位置とがずれた状態で前記巻芯に固定されていることを特徴とする接着テープ用リール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−49576(P2013−49576A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−250547(P2012−250547)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【分割の表示】特願2011−513181(P2011−513181)の分割
【原出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】