説明

接続機構

【課題】ヘルール継手を介して配管を接続しながらも、誤接続を防止することができる接続機構を提供する。
【解決手段】第1の配管と第2の配管とをヘルール継手を介して接続する接続機構であって、前記第1の配管の側面に配置され、前記第2の配管に向けて延在するバーを含む第1の接続部と、前記第2の配管の側面に配置され、前記バーの断面形状に相当する形状を有して前記バー以外の伸通を不可とする孔部を含む第2の接続部とを有することを特徴とする接続機構を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルール継手を介して配管を接続する接続機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールなどの製造工程(例えば、製麦工程、仕込工程、発酵・貯酒工程、ろ過工程、パッケージング工程など)において、製品となる液体等は、工程毎に製造タンクに貯留され、所定の処理が施された後で、次工程に移送される。この際、製造タンクは、へルールと呼ばれる継手(以下、「へルール継手」)を介して、次工程に移送するための配管(例えば、次工程の製造タンクに液体を導くための配管)に接続される。また、製造タンクには、各処理に応じて、製造タンクを洗浄するため洗浄液を導入するための配管やかかる洗浄液を排水する配管などがヘルール継手を介して接続され、様々な配管が切り換え可能に接続される。なお、へルール継手とは、液体等を導く配管同士をつきあわせて接続する際に使用される継手であって、接続・取り外しが容易で作業性が高く、また、構成部品の凹凸が少なく汚れの付着を少なくすることができると共に、分解が容易で洗浄性が高いことなどから衛生面に配慮するビール工場や飲食品工場などで多く使用されている。
【0003】
近年、ビール工場においては、ビールの製造の効率化やスペースの制約などの関係から、同じ工程の製造タンクや各工程で添加する添加液(例えば、酵素液など)を貯留したタンクが隣接して配置されていることが多い。従って、次工程の製造タンクに液体を導くための配管に接続しなければならないのに、同じ工程の製造タンクや異なる工程で添加する添加液を貯留したタンクの配管に誤って接続(誤接続)してしまう場合がある。このような場合、製造タンクに異液が混入したり、重大な事故が発生したりするため、配管を接続する際の誤接続を防止することが必要である。
【0004】
そこで、配管を接続する際の誤接続を防止する技術が従来から幾つか提案されている(特許文献1乃至4参照)。
【特許文献1】特開平7−80445号公報
【特許文献2】特開2000−88165号公報
【特許文献3】特開2002−54782号公報
【特許文献4】特表2005−507807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1乃至4に開示された技術は、配管を接続する際の噛合部の形状を雌雄対にして適正な組み合わせの配管でなければ接続できないようにする技術であり、このような技術をヘルール継手に適用することは非常に困難である。また、特許文献1乃至4に開示された技術をヘルール継手に適用できたとしても、噛合部の形状を雌雄対にすることによって、汚れが付着しやすくなってしまったり(即ち、ヘルール継手の衛生面の利点が損なわれたり)、作業性の低下を招いてしまったりする。
【0006】
そこで、本発明は、ヘルール継手を介して配管を接続しながらも、誤接続を防止することができる接続機構を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての接続機構は、第1の配管と第2の配管とをヘルール継手を介して接続する接続機構であって、前記第1の配管の側面に配置され、前記第2の配管に向けて延在するバーを含む第1の接続部と、前記第2の配管の側面に配置され、前記バーの断面形状に相当する形状を有して前記バー以外の伸通を不可とする孔部を含む第2の接続部とを有することを特徴とする。かかる接続機構によれば、適合する第1の配管及び第2の配管以外の配管が第1の配管又は第2の配管に接続することを防止することができる。前記バーが前記孔部に伸通した場合に、前記バーの先端部を検知する検知部を更に有することを特徴とする。前記バーの一方は、矩形形状の断面形状を有し、接続される配管の組み合わせごとに異なる形状を有することを特徴とする。前記バーの他方は、円形形状の断面形状を有し、接続される配管の組み合わせごとに異なる形状を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、ヘルール継手を介して配管を接続しながらも、誤接続を防止することができる接続機構を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の一側面としての接続機構を適用した接続システム1の構成を示す図である。接続システム1は、タンクと配管とが接続された接続システムであって、ビールを製造するビール工場などの各工程の製造タンクと、かかる製造タンクに貯留された液体を次工程に引き渡すための配管とを接続する接続システムとして好適である。接続システム1は、本実施形態では、タンク10Aと、タンク10Bと、配管22A、26A及び28Aと、配管22B、26B及び28Bと、接続機構40Aと、接続機構40Bとを有する。
【0012】
タンク10A及び10Bは、内部に液体を貯留すると共に、かかる液体に所定の処理を施して払い出すためのタンクである。タンク10A及び10Bは、例えば、酵素を添加するために、酵素液を貯留する酵素添加タンクとして具現化される。また、タンク10A及び10Bは、発酵中の発酵液を貯留する発酵タンクとして具現化されてもよい。タンク10A及び10Bは、本実施形態では、ビールの製造工程において、同じ工程(例えば、発酵工程)で使用され、内部の液体に対して同じ処理を施すタンクである。但し、タンク10A及び10Bは、異なる工程で使用され、内部の液体に対して異なる処理を施すタンクであってもよい。例えば、タンク10Aを発酵工程で使用されるタンクとし、タンク10Bを貯酒工程で使用されるタンクとしてもよい。
【0013】
配管22A、26A及び28Aは、液体を流すための配管であって、例えば、2KPa程度の圧力に対して耐性を有すると共に、ねじれにくい配管で構成される。配管22Aと配管26Aは、本実施形態では、接続機構40Aを介して接続され、タンク10Aに貯留すべき液体を前工程から受け入れる機能や貯留された液体を次工程に移送する機能を有する。なお、配管22Aは、液体を受け入れ又は払い出すためのタンク10Aの出入口と接続し、タンク10Aへの液体の受け入れ又はタンク10Aからの液体の払い出しを制御するバルブBVを備える。また、配管22Aと配管28Aは、本実施形態では、接続機構40Aを介して接続され、不図示の配管によってタンク10Aの上部から内部に供給された洗浄水を排水する機能を有する。
【0014】
配管22B、26B及び28Bは、配管22A、26A及び28Bと同様な構造及び機能を有する。配管22Bと配管26B、又は、配管22Bと配管28Bは、接続機構40Bを介して接続され、タンク10Bに貯留すべき液体を前工程から受け入れる機能、貯留された液体を次工程に移送する機能、及び、不図示の配管によってタンク10Bの上部から内部に供給された洗浄水を排水する機能を有する。
【0015】
接続機構40Aは、図2に示すように、配管22Aと配管26Aとをヘルール継手420Aを介して接続する。また、接続機構40Aは、同様に、配管22Aと配管28Aとをヘルール継手420Aを介して接続する。換言すれば、接続機構40Aは、配管22Aを配管26A又は28Aに交換可能に接続する。上述したように、接続機構40Aが配管22Aと配管26Aとを接続した場合には、タンク10Aに貯留された液体が、配管22A及び26Aを介して、次工程に移送される。また、接続機構40Aが配管22Aと配管28Aとを接続した場合には、配管22A及び28Aを介して、タンク10Aに洗浄液が供給されたり、かかる洗浄液が排水されたりする。接続機構40Aは、本実施形態では、第1の接続部440Aと、第2の接続部460Aと、検知部480Aとを有する。ここで、図2は、接続機構40Aの構成を示す拡大図である。
【0016】
第1の接続部440Aは、配管26Aの側面に配置され、基部442Aと、バー444Aとを含む。なお、第1の接続部440Aは、配管28Aの側面にも同様に配置されている。これにより、配管22Aを配管26A又は28Aに交換可能に接続することが可能となる。
【0017】
基部442Aは、例えば、金属などの剛性を有する材料で構成され、配管26Aの側面を囲むような形状(例えば、配管26Aの断面形状が円形形状である場合には、リング形状)を有する板部材である。基部442Aは、例えば、ネジやボルトを介して、配管26Aに接続される。また、基部442Aは、バー444Aを支持する機能も有する。
【0018】
バー444Aは、金属などの剛性を有する材料で構成される。バー444Aは、基部442Aに支持され、配管22Aに向けて延在する棒形状の部材であって、第2の接続部460Aの孔部464Aのみに伸通する。また、バー444Aの長さLAは、配管22Aと配管26Aとが接続した状態において、少なくとも、基部442Aからヘルール継手420Aの位置(即ち、配管22Aと配管26Aとの接続位置)までの長さDAよりも長く、第2の接続部460Aの孔部464Aから突出する長さであることが好ましい。また、バー444Aは、本実施形態では、後述するように、円形形状の断面形状を有する。
【0019】
第2の接続部460Aは、配管22Aの側面に配置され、基部462Aと、孔部464Aとを含む。
【0020】
基部462Aは、例えば、金属などの剛性を有する材料で構成され、ネジやボルトなどを介して、配管22Aの側面に接続される板部材である。また、基部462Aは、孔部464Aと異なる形状のバー(例えば、後述するバー444B)が孔部464Aに伸通することを防止する。
【0021】
孔部464Aは、基部462Aに形成され、第1の接続部440Aのバー444Aの断面形状に相当する形状(本実施形態では、円形形状)を有する。従って、孔部464Aには、図3に示すように、第1の接続部440Aのバー444Aのみが伸通され、その結果、配管22Aと配管26Aとが接続される。換言すれば、孔部464Aは、第1の接続部440Aのバー444A以外の伸通を不可とする機能を有する。なお、本実施形態では、第1の接続部440Aのバー444Aと第2の接続部460Aの孔部464Aとの組み合わせは1組であるが、バーと孔部との組み合わせは複数であってもよい(即ち、第1の接続部440Aに複数のバーを構成すると共に、それに対応する複数の孔部を第2の接続部460Aに構成してもよい)。また、バー444Aの断面形状及び孔部464Aの形状は、他のバー及び孔部(本実施形態では、バー444Bの断面形状及び孔部464Bの形状)を考慮して、バー444Aが他の孔部に伸通したり、他のバーが孔部464Aに伸通したりしないように、大きさを含めて設定する必要がある。図3は、第2の接続部460Aの孔部464Aに第1の接続部440Aのバー444Aが伸通している状態を示す上視図である。
【0022】
検知部480Aは、孔部464Aに伸通したバー444Aを検知する機能を有し、本実施形態では、バー444Aが孔部464Aに伸通したときに、バー444Aの先端部を検知する。検知部480Aは、例えば、近接センサーからなる。検知部480Aの検知結果は、例えば、バルブBVの開閉や液体の移送ポンプ(不図示)の稼動を制御するロック機構に出力され、検知部480Aがバー444Aを検知した場合のみ液体の移送が可能となるように制御される。
【0023】
接続機構40Bは、図4に示すように、配管22Bと配管26Bとを、或いは、配管22Bと配管28Bとを、ヘルール継手420Bを介して交換可能に接続する。接続機構40Bは、本実施形態では、第1の接続部440Bと、第2の接続部460Bと、検知部480Bとを有する。なお、第1の接続部440B(基部442B、バー444B)、第2の接続部460B(基部462B、孔部464B)、検知部480Bは、上述した第1の接続部440A、第2の接続部460A、検知部480Aと同様な構成及び機能を有し、図5に示すように、バー444Bの断面形状及び孔部464Bの形状のみが異なるため、以下では、バー444B及び孔部464Bについてのみ説明する。ここで、図4は、接続機構40Bの構成を示す拡大図である。図5は、第2の接続部460Bの孔部464Bに第1の接続部440Bのバー444Bが伸通している状態を示す上視図である。
【0024】
バー444Bは、金属などの剛性を有する材料で構成される。バー444Bは、基部442Bに支持され、配管22Bに向けて延在する棒形状の部材であって、第2の接続部460Bの孔部464Bのみに伸通する。また、バー444Bの長さLBは、配管22Bと配管26Bとが接続した状態において、少なくとも、基部442Bからヘルール継手420Bの位置(即ち、配管22Bと配管26Bとの接続位置)までの長さDBよりも長く、第2の接続部460Bの孔部464Bから突出する長さであることが好ましい。また、バー444Bは、本実施形態では、矩形形状の断面形状を有する。
【0025】
孔部464Bは、基部462Bに形成され、第1の接続部440Bのバー444Bの断面形状に相当する形状(本実施形態では、矩形形状)を有する。従って、孔部464Bには、図5に示すように、第1の接続部440Bのバー444Bのみが伸通され、その結果、配管22Bと配管26Bとが接続される。換言すれば、孔部464Bは、第1の接続部440Bのバー444B以外の伸通を不可とする機能を有する。なお、本実施形態では、第1の接続部440Bのバー444Bと第2の接続部460Bの孔部464Bとの組み合わせは1組であるが、バーと孔部との組み合わせは複数であってもよい(即ち、第1の接続部440Bに複数のバーを構成すると共に、それに対応する複数の孔部を第2の接続部460Bに構成してもよい)。また、バー444Bの断面形状及び孔部464Bの形状は、他のバー及び孔部(本実施形態では、バー444Aの断面形状及び孔部464Aの形状)を考慮して、バー444Bが他の孔部に伸通したり、他のバーが孔部464Bに伸通したりしないように、大きさを含めて設定する必要がある。
【0026】
ここで、例えば、配管22Aが配管26Bに誤って接続(誤接続)されそうになった場合について説明する。この場合、配管22Aの側面に配置された第2の接続部460Aの孔部464Aは円形形状であり、配管26Bの側面に配置された第1の接続部440Bのバー444Bは矩形形状であるため、バー444Bが孔部464Aに伸通することができず、配管22Aの側面に配置された第2の接続部460Aの基部462Aに衝突してしまう。その結果、配管22Aと配管26Bとが物理的に届かず、配管22Aと配管26Bとの誤接続を防止することができる。また、検知部480Aも孔部464Aに伸通したバー444Aを検知することがないため、配管22Aと配管26Bとの接続を認識とすることがなく、配管22Aと配管26Bとの誤接続を更に防止することができる。
【0027】
また、配管22Bが配管26Aに誤って接続(誤接続)されそうになった場合も同様である。この場合、配管22Bの側面に配置された第2の接続部460Bの孔部464Bは矩形形状であり、配管26Aの側面に配置された第1の接続部440Aのバー444Aは円形形状であるため、バー444Aが孔部464Bに伸通することができず、配管22Bの側面に配置された第2の接続部460Bの基部462Bに衝突してしまう。その結果、配管22Bと配管26Aとが物理的に届かず、配管22Bと配管26Aとの誤接続を防止することができる。また、検知部480Bも孔部464Bに伸通したバー444Bを検知することがないため、配管22Bと配管26Aとの接続を認識とすることがなく、配管22Bと配管26Aとの誤接続を更に防止することができる。
【0028】
このように、本実施形態の接続機構を適用した接続システム1においては、ヘルール継手を介して配管を接続しながらも、誤接続を防止することができる。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本実施形態では、バーの断面形状及び孔部の形状を円形形状又は矩形形状としているが、多角形形状、十字形状などその他の形状であってもよい。また、本発明の接続機構は、カランなどの他形式の配管継手にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一側面としての接続機構を適用した接続システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す接続システムにおいて、接続機構の構成を示す拡大図である。
【図3】図2に示す接続機構において、第2の接続部の孔部に第1の接続部のバーが伸通している状態を示す上視図である。
【図4】図1に示す接続システムにおいて、接続機構の構成を示す拡大図である。
【図5】図4に示す接続機構において、第2の接続部の孔部に第1の接続部のバーが伸通している状態を示す上視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 接続システム
10A タンク
22A、26A及び28A 配管
40A 接続機構
440A 第1の接続部
442A 基部
444A バー
460A 第2の接続部
462A 基部
464A 孔部
480A 検知部
10B タンク
22B、26B及び28B 配管
40B 接続機構
440B 第1の接続部
442B 基部
444B バー
460B 第2の接続部
462B 基部
464B 孔部
480B 検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の配管と第2の配管とをヘルール継手を介して接続する接続機構であって、
前記第1の配管の側面に配置され、前記第2の配管に向けて延在するバーを含む第1の接続部と、
前記第2の配管の側面に配置され、前記バーの断面形状に相当する形状を有して前記バー以外の伸通を不可とする孔部を含む第2の接続部とを有することを特徴とする接続機構。
【請求項2】
前記バーが前記孔部に伸通した場合に、前記バーの先端部を検知する検知部を更に有することを特徴とする請求項1記載の接続機構。
【請求項3】
前記バーは、矩形形状の断面形状を有し、接続される配管の組み合わせごとに異なる形状を有することを特徴とする請求項1記載の接続機構。
【請求項4】
前記バーは、円形形状の断面形状を有し、接続される配管の組み合わせごとに異なる形状を有することを特徴とする請求項1記載の接続機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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