説明

揉捻機

【課題】揉捻鉢内に配設されて上下方向に移動可能な加圧蓋で付与する荷重を、容易且つ自動的に設定荷重とすることができる揉捻機を提供する。
【解決手段】上面に茶葉を載置可能な揉盤1と、揉盤1の上面に対して平行面内で回動可能に配設され、茶葉が投入され得る中空形状の揉捻鉢2と、揉捻鉢2内に配設されて上下方向に移動可能とされるとともに揉捻鉢2内に投入された茶葉に対して所定の荷重を付与することにより揉盤1との間で加圧させ得る加圧蓋5と、加圧蓋5を上下方向に移動させるモータM2とを有した揉捻機において、加圧蓋5で付与する荷重を検出するポテンショメータ16と、ポテンショメータ16で検出された荷重が予め設定された設定荷重と等しくなるようにモータM2の駆動を制御する制御手段21とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揉盤上を回動する揉捻鉢内に投入された茶葉に対し加圧蓋にて所定の荷重を付与することにより揉捻作用を施す揉捻機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、揉捻機は、床面に固設された基台と、該基台上に形成されて茶葉を載置し得る揉盤と、該揉盤上に配設されてクランクにて当該揉盤上を略円形状に回動可能とされるとともに茶葉を投入可能とすべく上下に開口した中空形状を成す揉捻鉢と、該揉捻鉢内に配設可能とされて当該揉捻鉢内に投入された茶葉に対して所定の圧力を付与し得る加圧蓋(揉圧盤)とを有して構成されていた(例えば特許文献1参照)。かかる構成により、粗揉工程を終了した茶葉を鉢内に投入し、当該鉢を回動させつつ揉盤上の茶葉を加圧蓋(揉圧盤)で所定時間加圧してより込むことができるので、茶葉に対して所定の揉捻作用を及ぼすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−346655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の揉捻機においては、加圧蓋で付与する荷重を分銅の位置をスライドさせることにより調整するものであるため、予め設定された設定荷重で茶葉を加圧するのが困難であるという問題があった。また、紅茶を揉捻する揉捻機においては、揉捻鉢内に配設されて上下方向に移動可能とされる加圧蓋を具備し、かかる加圧蓋にて揉捻鉢内の茶葉に対して荷重を付与しているのであるが、この場合、加圧蓋で付与する荷重を設定荷重とするのが更に困難であるという問題もあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、揉捻鉢内に配設されて上下方向に移動可能な加圧蓋で付与する荷重を、容易且つ自動的に設定荷重とすることができる揉捻機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、上面に茶葉を載置可能な揉盤と、該揉盤の上面に対して平行面内で回動可能に配設され、茶葉が投入され得る中空形状の揉捻鉢と、該揉捻鉢内に配設されて上下方向に移動可能とされるとともに、当該揉捻鉢内に投入された茶葉に対して所定の荷重を付与することにより前記揉盤との間で加圧させ得る加圧蓋と、該加圧蓋を上下方向に移動させる駆動手段とを有した揉捻機において、前記加圧蓋で付与する荷重を検出する荷重検出手段と、該荷重検出手段で検出された荷重が予め設定された設定荷重と等しくなるように前記駆動手段の駆動を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の揉捻機において、前記加圧蓋は、所定のバネ定数を有したバネを介して保持されるとともに、前記荷重検出手段は、当該バネの変位を検出することで当該加圧蓋で付与する荷重を検出し得ることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の揉捻機において、前記バネの変位に応じて摺動するラックと、該ラックの摺動に応じて回転するピニオンとを具備するとともに、前記荷重検出手段は、当該ピニオンの回転量に応じた電気信号を出力可能なポテンショメータから成ることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の揉捻機において、前記揉捻鉢への茶葉の投入過程において、前記加圧蓋による茶葉に対する荷重の付与と当該加圧蓋の上昇とを繰り返し行わせることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載の揉捻機において、前記揉捻鉢への茶葉の投入時、前記加圧蓋による茶葉に対する荷重の付与時よりも当該揉捻鉢を低速で回動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、制御手段により荷重検出手段で検出された荷重が予め設定された設定荷重と等しくなるように駆動手段の駆動を制御するので、揉捻鉢内に配設されて上下方向に移動可能な加圧蓋で付与する荷重を、容易且つ自動的に設定荷重とすることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、加圧蓋は、所定のバネ定数を有したバネを介して保持されるとともに、荷重検出手段は、当該バネの変位を検出することで当該加圧蓋で付与する荷重を検出し得るので、より精度よく加圧蓋で付与する荷重を検出することができ、茶葉に対して適切な揉捻を行わせることができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、バネの変位に応じて摺動するラックと、該ラックの摺動に応じて回転するピニオンとを具備するとともに、荷重検出手段は、当該ピニオンの回転量に応じた電気信号を出力可能なポテンショメータから成るので、より精度よく且つ簡易な構成にて加圧蓋で付与する荷重を検出することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、揉捻鉢への茶葉の投入過程において、加圧蓋による茶葉に対する荷重の付与と当該加圧蓋の上昇とを繰り返し行わせるので、1回の投入で揉捻鉢2内に収まらない嵩の大きな茶葉であっても複数回に分けて揉捻鉢に投入させることができ、スムーズ且つ確実に揉捻鉢に茶葉を自動的に投入させることができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、揉捻鉢への茶葉の投入時、加圧蓋による茶葉に対する荷重の付与時よりも当該揉捻鉢を低速で回動させるので、揉捻鉢に投入した茶葉が周囲に飛散してしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る揉捻機を示す正面図
【図2】同揉捻機を示す側面図
【図3】同揉捻機における揉盤を示す平面図
【図4】同揉捻機における加圧蓋及びその近傍を示す拡大図
【図5】同揉捻機における駒部材を示す平面図及び正面図
【図6】同揉捻機における表示板を示す正面図
【図7】同揉捻機におけるラックアンドピニオン及びポテンショメータの取り付け構造を示す側面図
【図8】同揉捻機の自動制御盤との電気的接続関係を示すブロック図
【図9】同揉捻機を複数設置した状態を示す全体模式図
【図10】本発明の他の実施形態に係る揉捻機を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る揉捻機は、紅茶を揉捻(茶葉によじれを与えて、茶葉の細胞組織を破壊し、葉の中の酸化酵素を含んだ成分を外部に絞り出し、空気に触れさせて酸化発酵を促して形を整えるための工程)するための紅茶揉捻機に適用されたもので、図1〜8に示すように、揉盤1と、揉捻鉢2と、加圧蓋5と、駆動手段としてのモータM2と、荷重検出手段としてのポテンショメータ16と、制御手段21とから主に構成されている。
【0018】
揉盤1は、床面に固設されたフレームF1上に配設され、上面に茶葉を載置可能なものから成り、図3に示すように、その上面には、中心から弧状に延設されて茶葉により込み作用を施すための複数のヒル1aと、略中央に形成されて開閉自在な円形状の取出蓋1bとが形成されている。取出蓋1bは、シリンダS(図1参照)を作動させることにより開閉可能とされており、当該取出蓋1bが開くことにより揉捻工程を終えた揉盤1上面の茶葉を下方に落下させて取り出すよう構成されている。
【0019】
揉捻鉢2は、ホッパhにより内部に茶葉が投入され得るよう中空状に形成されたもので、3本の鉢腕を介して3つのクランクと連結されている。そして、3つのクランクのうち1つは、モータM1により駆動される駆動軸3と連結されるとともに、他のクランクは、従動軸4a、4bと連結されており、揉捻鉢2を揉盤1と平行面内で回動させるよう構成されている。然るに、クランクにより揉捻鉢2及び加圧蓋5が揉盤1の上面に対して略円形の軌道を描きつつ回動するよう構成されている。
【0020】
加圧蓋5は、揉捻鉢2内に配設されて上下方向に移動可能とされるとともに、当該揉捻鉢2内に投入された茶葉に対して所定の荷重を付与することにより揉盤1との間で加圧させ得るものである。かかる加圧蓋5は、図4に示すように、茶葉を押圧する面に凸部5aが形成されるとともに、上下に長尺状の保持部材6に取り付けられて揉捻鉢2の上方或いは内部にて保持されるよう構成されている。
【0021】
保持部材6は、外周面に雄ネジが形成されたボールネジ等の棒状部材から成り、ガイドパイプ13内に保持されるとともに、駒部材9に形成された雌ネジと噛み合って組み付けられている。駒部材9は、図5に示すように、保持部材6を挿通させる挿通孔9aと、ロータ8の所定部位と嵌合させる切欠き部9bとを有して構成されており、挿通孔9aの内周面に保持部材6の雄ネジと噛み合う雌ネジが形成されている。
【0022】
駒部材9は、ベアリングBにて支持されることによりケースC内にて回転自在に保持されるとともに、プーリ7と一体化されている。かかるプーリ7には、駆動手段としてのモータM2の出力軸との間でベルト(Vベルト等)が懸架されており、当該モータM2の駆動によって回転可能とされている。而して、モータM2を駆動させると、プーリ7及び駒部材9が一体的に回転し、それに伴って保持部材6を上下に移動(上昇又は下降)させ得るようになっている。
【0023】
尚、支持部fの上端部には、第2フレームF2が固定されており、この第2フレームF2にケースCが固定されている。この第2フレームF2には、加圧蓋5の左右端部から上方に延設させたガイドバー19をそれぞれ挿通させた挿通孔が形成されており、当該ガイドバー19には、緩衝用のコイルスプリング20が介装されている。これにより、保持部材6と共に加圧蓋5が上下動する際、ガイドバー19にて案内させることができるとともに、上昇端近傍でコイルスプリング20が圧縮されることにより、衝撃を吸収させることができる。
【0024】
プーリ7より所定寸法上方に離間した部位には、押さえ板11が取り付けられており、この押さえ板11と駒部材9との間には、所定のバネ定数を有したバネ10が配設されている。かかるバネ10は、コイルスプリングから成り、加圧蓋5に対して所定圧力が付与されると、圧縮して変位し得るよう構成されている。即ち、加圧蓋5は、所定のバネ定数kを有したバネ10を介して保持されており、バネ10の圧縮寸法(即ち、変位x)を検出すれば、バネ定数kに変位xを乗じる演算を行うことによって、加圧蓋5で付与する荷重が検出可能となっているのである。
【0025】
ガイドパイプ13は、その外周にバネ10を挿入させて組み付けられるとともに、その下端が駒部材9と連結されるとともに、上端が台座12に固定されている。而して、加圧蓋5に対して所定圧力が付与され、バネ10を圧縮させつつ保持部材6が上方へ移動すると、ガイドパイプ13と共に台座12が上方に移動し得るようになっている。即ち、台座12の移動量は、バネ10の圧縮寸法(変位)と等しくなっているのである。
【0026】
台座12には、図6、7に示すように、バネ10の変位(厳密には台座12の上下動)に応じて摺動するラック14が取り付けられており、ラック14の摺動に応じて回転するピニオン15(ラック14に形成された歯に噛み合う歯車)が配設されている。ピニオン15の略中心には、当該ピニオン15と共に回転する回転軸Lが取り付けられているとともに、当該回転軸Lの一端に荷重検出手段としてのポテンショメータ16が取り付けられている。このポテンショメータ16は、ピニオン15の回転量に応じた電気信号を出力可能なものであり、かかる電気信号によってラック14及び台座12の変位量、即ちバネ10の変位(圧縮寸法)を電気的に検出することができる。
【0027】
尚、回転軸Lの他端(ポテンショメータ16が取り付けられた反対側の端部)には、指針17aが一体形成された回転体17が取り付けられており、ピニオン15の回転量に応じて表示板18上で指針17aが移動するよう構成されている。かかる表示板18には、目盛り18aが印刷等にて形成されており、指針17aの指す目盛りを読み取ることによって、加圧蓋5で付与する荷重を視認し得るようになっている。
【0028】
ポテンショメータ16は、図8に示すように、自動制御盤に配設されたA/D変換器23と電気的に接続されている。かかる自動制御盤は、タッチパネル22(例えば、液晶カラータッチパネル等)を具備しており、かかるタッチパネル22に対する操作によって、揉捻のための時間(設定時間)、揉捻時に付与すべき荷重(設定荷重)等を予め設定し得るようになっている。
【0029】
入力された設定事項は、タッチパネル22にて表示可能とされているとともに、各種設定事項或いは計測値(設定時間、設定荷重、現在データ、動作指示及び運転状況等)を数値やグラフ等でタッチパネル22にて表示可能とされており、設定状況等を一覧として視認させ得るよう構成されている。また、揉捻工程を複数の工程に分けて設定し、各工程にて各種設定(特に、設定時間や設定荷重)を行い得るようになっている。更に、茶葉の萎凋量や投入量に応じて、種々の設定荷重パターンを用意しておき、当該設定荷重パターンを選択することで任意設定を行わせるようにしてもよく、ユーザが行った設定をパターンとして記録するようにしてもよい。
【0030】
更に、自動制御盤には、揉捻機で検出されたパラメータを入力して所定の演算等を施し、或いは揉捻機や投入側輸送機等に対して所定の指示を行わせるための制御部24が配設されている。本実施形態においては、この制御部24にて、ポテンショメータ16(荷重検出手段)で検出された回転量からバネ10の変位(圧縮寸法)を算出し得るとともに、当該変位とバネ定数とから加圧蓋5が付与する荷重を算出させている。尚、算出した荷重は、タッチパネル22にて数値で表示させることができ、茶葉に対して実際に付与させた荷重を数値として認識し得るようになっている。
【0031】
かかる制御部24は、揉捻機に配設されたマイコン等から成る制御手段21と電気的に接続されている。この制御手段21は、駆動手段としてのモータM2(厳密にはモータM2を駆動させる駆動部)と電気的に接続されており、ポテンショメータ16(荷重検出手段)で検出された荷重が予め設定された設定荷重と等しくなるようにモータM2(駆動手段)の駆動を制御するよう構成されている。また、制御手段21は、モータM1やシリンダS等の他のアクチュエータとも電気的に接続されており、それらを制御可能とされている。
【0032】
ここで、本実施形態においては、図9に示すように、単一の自動制御盤に対して揉捻機が複数配設されるとともに、茶葉を計量しつつ各揉捻機に供給するための計量装置27と、該計量装置27からの茶葉を搬送する振動コンベアa、垂直バケットコンベア28、搬送コンベア29〜31等から成る投入側輸送機が設置されている。然るに、自動制御盤の制御部24は、これら投入側輸送機の制御部26と電気的に接続され、搬送のためのモータやシリンダ等のアクチュエータ25を制御し得るようになっている。
【0033】
然るに、計量装置27で計量された茶葉は、振動コンベアa及び垂直バケットコンベア28にて搬送された後、搬送コンベア29〜31を選択的に駆動させることによって振り分けられて任意の揉捻機に供給されることとなる。尚、自動制御盤を各揉捻機にそれぞれ配設するようにしてもよい。また、図9中符号bは、各揉捻機の下部に配設され、揉盤1の取出蓋1bから落下した茶葉を搬送するための搬送手段(本実施形態においては振動コンベア)を示している。
【0034】
例えば、揉捻の開始時には、制御部24からの指示により、投入側輸送機による搬送を行わせる一方、制御手段21にてモータM2の駆動を制御して加圧蓋5を上昇させ、揉捻鉢2に対する茶葉の投入を行わせるとともに、揉捻の終了時には、制御部24からの指示により、シリンダSを作動させて取出蓋1bを開放させて搬送手段bに茶葉を落下させて搬送し得るようになっている。これにより、茶葉の投入、揉捻及び搬出を自動的に行わせることができる。
【0035】
また、本実施形態においては、揉捻鉢2への茶葉の投入過程において、加圧蓋5による茶葉に対する荷重の付与と当該加圧蓋5の上昇とを繰り返し行わせるよう制御手段21による制御が行われるよう構成されている。即ち、加圧蓋5によって茶葉に荷重を付与させて嵩を小さくした後、当該加圧蓋5を上昇させて更に茶葉を投入させ、これを繰り返し行わせるよう制御手段21による制御がなされるのである。この場合、加圧蓋5による茶葉に対する荷重の付与時には、投入側輸送機による茶葉の供給がなされないよう制御部24から制御部26に停止信号を送信するよう構成するようになっている。
【0036】
これにより、1回の投入で揉捻鉢2内に収まらない嵩の大きな茶葉であっても複数回に分けて揉捻鉢2に投入させることができ、スムーズ且つ確実に揉捻鉢2に茶葉を自動的に投入させることができる。また、本実施形態においては、複数の揉捻機及び投入側輸送機に対して単一の自動制御盤にて制御可能とされるので、各装置の同期を容易且つ精度よく行わせることができる。
【0037】
更に、本実施形態においては、制御手段21によるモータM1の制御によって、揉捻鉢2への茶葉の投入時、加圧蓋5による茶葉に対する荷重の付与時(即ち、揉捻時)よりも当該揉捻鉢2を低速で回動させるよう構成されている。これにより、揉捻鉢2に投入した茶葉が周囲に飛散してしまうのを抑制することができる。また、茶葉の投入時に低速で揉捻鉢2を回動させることにより、茶葉の飛散を抑制しつつ当該揉捻鉢2内に対して略均等に茶葉を投入させることができる。尚、モータM1は、各揉捻機の操作盤等にて制御可能とされており、自動制御盤とは別個独立して上記制御を行わせることができる。
【0038】
上記揉捻機によれば、制御手段21によりポテンショメータ16(荷重検出手段)で検出された荷重が予め設定された設定荷重と等しくなるようにモータM2(駆動手段)の駆動を制御するので、揉捻鉢2内に配設されて上下方向に移動可能な加圧蓋5で付与する荷重を、容易且つ自動的に設定荷重とすることができる。加圧蓋5で付与する荷重を設定荷重とする制御は、揉捻中において常時行わせるもの、或いは揉捻工程を複数に分け、各工程の開始時(全ての工程の開始時若しくは特定の工程の開始時の何れも可能)に行わせるものの何れであってもよい。更には、加圧蓋5で付与する荷重を設定荷重とする制御は、複数に分けられた工程毎に設定された荷重となるように常時(一定間隔の時間おきも含む)行わせるもの、各工程へ移行するときだけ行わせるもの、特定の工程を常時行わせて当該特定の工程から他の工程へ移行するときだけ行うものの何れであってもよい。また、揉捻中における加圧蓋5で付与する荷重の変化を履歴として記憶しておき、次回からの揉捻時に反映させるようにしてもよい。
【0039】
更に、上記実施形態によれば、加圧蓋5は、所定のバネ定数を有したバネ10を介して保持されるとともに、荷重検出手段は、当該バネ10の変位を検出することで当該加圧蓋5で付与する荷重を検出し得るので、より精度よく加圧蓋5で付与する荷重を検出することができ、茶葉に対して適切な揉捻を行わせることができる。特に、本実施形態においては、バネ10の変位に応じて摺動するラック14と、該ラック14の摺動に応じて回転するピニオン15とを具備するとともに、荷重検出手段は、当該ピニオン15の回転量に応じた電気信号を出力可能なポテンショメータ16から成るので、より精度よく且つ簡易な構成にて加圧蓋5で付与する荷重を検出することができる。
【0040】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図10に示すように、加圧蓋5を上下させる駆動手段としてエアシリンダやオイルシリンダから成るシリンダ32及びポンプ35を配設するようにしてもよい。この場合、ポンプ35を駆動させることにより、シリンダ32のロッド32aを伸縮させ、加圧蓋5を上下させるよう構成されている。
【0041】
具体的には、シリンダ32は、荷重検出手段としての圧力計33、圧力調整バルブ34及び駆動手段としてのポンプ35と接続されているとともに、これら圧力計33、圧力調整バルブ34及びポンプ35と制御手段21とが電気的に接続されている。そして、上記実施形態と同様、圧力計33にて加圧蓋5で付与する荷重を検出するとともに、該圧力計33で検出された荷重が予め設定された設定荷重と等しくなるようにポンプ35の駆動(更には圧力調整バルブ34の開閉)を制御手段21にて制御可能とされている。
【0042】
更に、本実施形態においては、加圧蓋5を保持するバネ10がコイルスプリングで構成されているが、加圧蓋で付与する荷重に応じて変位可能な他の形態のバネ(例えば板バネ等)としてもよい。また、加圧蓋5を上下させる機構やバネの変位を検出する手段は、本実施形態のものに限定されず、他の形態のものであってもよい。例えば、バネの変位を検出する手段として、差動トランスを用いて電気信号に変換するものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
加圧蓋で付与する荷重を検出する荷重検出手段と、該荷重検出手段で検出された荷重が予め設定された設定荷重と等しくなるように駆動手段の駆動を制御する制御手段とを備えた揉捻機であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 揉盤
2 揉捻鉢
3 駆動軸
4a、4b 従動軸
5 加圧蓋
6 保持部材
7 プーリ
8 ロータ
9 駒部材
10 バネ
11 押さえ板
12 台座
13 ガイドパイプ
14 ラック
15 ピニオン
16 ポテンショメータ(荷重検出手段)
17 回転体
18 表示板
19 ガイドバー
20 コイルスプリング
21 制御手段
22 タッチパネル
23 A/D変換器
24 制御部
25 アクチュエータ
26 制御部
27 計量装置
28 垂直バケットコンベア
29〜31 搬送コンベア
32 シリンダ
33 圧力計
34 圧力調整バルブ
35 ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に茶葉を載置可能な揉盤と、
該揉盤の上面に対して平行面内で回動可能に配設され、茶葉が投入され得る中空形状の揉捻鉢と、
該揉捻鉢内に配設されて上下方向に移動可能とされるとともに、当該揉捻鉢内に投入された茶葉に対して所定の荷重を付与することにより前記揉盤との間で加圧させ得る加圧蓋と、
該加圧蓋を上下方向に移動させる駆動手段と、
を有した揉捻機において、
前記加圧蓋で付与する荷重を検出する荷重検出手段と、
該荷重検出手段で検出された荷重が予め設定された設定荷重と等しくなるように前記駆動手段の駆動を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする揉捻機。
【請求項2】
前記加圧蓋は、所定のバネ定数を有したバネを介して保持されるとともに、前記荷重検出手段は、当該バネの変位を検出することで当該加圧蓋で付与する荷重を検出し得ることを特徴とする請求項1記載の揉捻機。
【請求項3】
前記バネの変位に応じて摺動するラックと、該ラックの摺動に応じて回転するピニオンとを具備するとともに、前記荷重検出手段は、当該ピニオンの回転量に応じた電気信号を出力可能なポテンショメータから成ることを特徴とする請求項2記載の揉捻機。
【請求項4】
前記揉捻鉢への茶葉の投入過程において、前記加圧蓋による茶葉に対する荷重の付与と当該加圧蓋の上昇とを繰り返し行わせることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の揉捻機。
【請求項5】
前記揉捻鉢への茶葉の投入時、前記加圧蓋による茶葉に対する荷重の付与時よりも当該揉捻鉢を低速で回動させることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の揉捻機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−200186(P2011−200186A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72138(P2010−72138)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000104375)カワサキ機工株式会社 (30)
【Fターム(参考)】