説明

搬送装置

【課題】被搬送物の除菌状態を保ちつつ該被搬送物を階の異なるクリーンルームへ搬送する。
【解決手段】階の異なるクリーンルーム(C2,C3)間で被搬送物(A)を搬送するための搬送装置に、該搬送装置のキャリッジ(50)内及び搬送路(14)へ除菌成分を含む除菌ガスを供給するための除菌機構を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品等の被搬送物を階の異なるフロアへ搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、薬品等の被搬送物を階の異なるフロアへ搬送する搬送装置が知られている。このような搬送装置として、特許文献1には、製品(被搬送物)を載せるキャリッジと、キャリッジを上下に移動させるリフター(昇降機構)と、これらを囲む防火壁面(筒状壁部)と、を備える垂直搬送システム(搬送装置)が開示されている。この搬送装置の筒状壁部には、クリーンルームの空気を該筒状壁部の内部へ取り込むための空気取り入れ口が形成されている。これにより、筒状壁部内のクリーン度が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−14758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記搬送装置は、装置内のクリーン度を維持することについては配慮されているものの、装置内を除菌することについては特に配慮されていない。従って、前記搬送装置を用いて、除菌状態に保つ必要のある製品を搬送した場合、製品に悪影響を及ぼす虞が生じる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被搬送物の除菌状態を保ちつつ該被搬送物を階の異なるクリーンルームへ搬送することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、階の異なるクリーンルーム(C2,C3)間で被搬送物(A)を搬送するための搬送装置を対象とし、上方へ延びる搬送路(14)を内部に有する筒状に形成され、各階に対応する位置に壁部側開口部(15a,15a)が形成される筒状壁部(11)と、該壁部側開口部(15a)を開閉可能な壁部側扉(16)と、内部に被搬送物(A)が収容される箱状に形成され前記搬送路(14)に配置される本体部(51)と、該本体部(51)に形成される出入用開口部(51a)を開閉可能なキャリッジ側扉(52)とを有するキャリッジ(50)と、該キャリッジ(50)を前記搬送路(14)内で昇降させる昇降機構(30)と、前記キャリッジ(50)内及び前記搬送路(14)へ除菌成分を含む除菌ガスを供給するための除菌機構(20)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
第1の発明では、クリーンルーム(C2,C3)の被搬送物(A)が、キャリッジ(50)内に移動される。被搬送物(A)を収容したキャリッジ(50)は、筒状壁部(11)の内部に形成された搬送路(14)内を、昇降機構(30)によって上昇又は下降され、異なる階のクリーンルーム(C2,C3)に到達する。そして、キャリッジ側扉(52)及び壁部側扉(16)が開けられ、被搬送物(A)が取り出される。このようにして、被搬送物(A)を異なる階のクリーンルーム(C2,C3)に搬送できる。
【0008】
第1の発明では、除菌機構(20)によって、前記キャリッジ(50)及び搬送路(14)に除菌成分を含む除菌ガスが供給される。除菌ガスは、キャリッジ(50)及び搬送路(14)内の菌と反応して菌を分解する。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記除菌機構は、前記除菌ガスとしての過酸化水素ガスを前記キャリッジ(50)内及び前記搬送路(14)へ供給するための過酸化水素供給部(20)であることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、キャリッジ(50)内及び搬送路(14)が、過酸化水素ガスによって除菌される。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、流入端が前記搬送路(14)の排気口(11b)に接続され且つ流出端が前記搬送路(14)の給気口(11a)に接続される循環流路(26)を有し、前記搬送路(14)内の空気を循環させる空気循環機構(25)を備え、前記キャリッジ(50)の本体部(51)には、前記搬送路(14)のうち前記給気口(11a)と連通する空間に向かって開口する給気側開口部(51b)と、前記搬送路(14)のうち前記排気口(11b)と連通する空間に向かって開口する排気側開口部(51c)とが形成され、前記除菌機構(20)は、前記循環流路(26)へ前記除菌ガスを供給することを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、除菌機構(20)からの除菌ガスが前記循環流路(26)へ供給される。この除菌ガスは、循環流路(26)を流れる空気とともに、給気口(11a)を通じて搬送路(14)へ流入する。この除菌ガス及び空気は、搬送路(14)を給気口(11a)側から排気口(11b)側へ向けて流れ、該排気口(11b)を通じて循環流路(26)へ戻される。また、搬送路(14)へ流入した除菌ガス及び空気は、キャリッジ(50)の本体部(51)に形成された給気側開口部(51b)を通じてキャリッジ(50)内に流入した後、排気側開口部(51c)を通じてキャリッジ(50)から流出して搬送路(14)へ流れる。このように搬送路(14)及びキャリッジ(50)内へ供給された除菌ガスは、該搬送路(14)及びキャリッジ(50)内に含まれる菌を分解して除菌する。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、前記給気口(11a)は前記搬送路(14)の上部に形成され、前記排気口(11b)は前記搬送路(14)の下部に形成されていることを特徴とする
第4の発明では、搬送路(14)の上部に形成された給気口(11a)を通じて搬送路(14)へ流入した空気は、該搬送路(14)の下部に形成された排気口(11b)を通じて循環流路(26)へ流出する。これにより、空気は、搬送路(14)内を上から下へ向かって流れる。
【0014】
第5の発明は、第1から第4の発明のうちいずれか1つにおいて、閉状態の前記壁部側扉(16)を前記壁部側開口部(15a)の周縁部に対して押圧する押圧機構(17)を備えることを特徴とする。
【0015】
第5の発明では、閉状態の壁部側扉(16)が壁部側開口部(15a)の周縁部に対して押圧されるため、壁部側扉(16)と筒状壁部(11)とがより密着する。
【0016】
第6の発明は、第3又は第4の発明において、前記搬送路(14)の給気口(11a)を覆う給気側フィルタ(41)と、前記搬送路(14)の排気口(11b)を覆う排気側フィルタ(42)とを備えることを特徴とする。
【0017】
第6の発明では、循環流路(26)から搬送路(14)へ流入する空気に含まれる塵埃は、給気側フィルタ(41)又は排気側フィルタ(42)によって捕捉される。
【0018】
第7の発明は、第4又は第6の発明において、前記キャリッジ(50)は、前記本体部(51)の給気側開口部(51b)を覆うキャリッジ側フィルタ(54b)と、該キャリッジ側フィルタ(54b)を通じて搬送路(14)の空気を前記本体部(51)の内部へ取り入れるためのファン(54a)とを有するファンフィルタユニット(54)を備えることを特徴とする。
【0019】
第7の発明では、ファンフィルタユニット(54)のファン(54a)が駆動すると、搬送路(14)内の空気がキャリッジ(50)内に取り込まれる。このファン(54a)の回転速度を一定に保つことで、キャリッジ(50)内において、該キャリッジ(50)の昇降に関係なく概ね一定の速度で空気が供給される。これにより、キャリッジ(50)内における気流の乱れが抑制される。また、搬送路(14)の空気はキャリッジ側フィルタ(54b)を通じてキャリッジ(50)へ流入するため、キャリッジ(50)内の空気を搬送路(14)の空気よりも高い清浄度で保つことができる。
【0020】
第8の発明は、第7の発明において、前記給気側開口部(51b)は、前記本体部(51)の上壁部に形成され、前記排気側開口部(51c)は、前記本体部(51)の底壁部に形成され、前記キャリッジ(50)は、前記本体部(51)の排気側開口部(51c)から所定の隙間をおいて該排気側開口部(51c)に対向するように配置され該排気側開口部(51c)との間に空気の流路(58a)を形成するプレート部(57)を備えることを特徴とする。
【0021】
第8の発明では、搬送路(14)からの空気は、キャリッジ(50)内を上から下へ向かって流れる。また、キャリッジ(50)が昇降機構(30)によって下降する場合、下方からの空気はプレート部(57)に衝突して側方へ流れる。そして、この空気は、プレート部(57)と排気側開口部(51c)との間に形成される空気の流路(58a)を通じて、キャリッジ(50)内へ流入する。すなわち、下方からの空気は、プレート部(57)に衝突して減速した後にキャリッジ(50)内へ流入するため、該空気と、給気側開口部(51b)を通じてキャリッジ(50)内へ流入する空気との衝突による気流の乱れが抑制される。
【0022】
第9の発明は、第7又は第8の発明において、前記壁部側扉(16)及び前記キャリッジ側扉(52)が開放されると、外周面が前記壁部側開口部(15a)及び前記出入用開口部(51a)の内周面全体に亘って当接しながら挿通される筒壁(45a)と、該筒壁(45a)の内周面によって形成され、前記キャリッジ(50)内とクリーンルーム(C2,C3)とを連通させる連通路(45b)とを有する筒状部材(45)を備えることを特徴とする。
【0023】
被搬送物(A)の出し入れを行う際に、壁部側扉(16)及びキャリッジ側扉(52)が開放されると、搬送路(14)と、キャリッジ(50)内及びクリーンルーム(C2,C3)とが連通する。そうなると、比較的高い清浄度で保たれるキャリッジ(50)内及びクリーンルーム(C2,C3)に、やや清浄度の低い搬送路(14)の空気が流入してしまう。
【0024】
これに対して、第9の発明では、壁部側扉(16)及びキャリッジ側扉(52)が開放されると、筒状部材(45)の筒壁(45a)の外周面が、壁部側開口部(15a)及び出入用開口部(51a)の内周面全体に亘って当接しながら挿通される。これにより、搬送路(14)とキャリッジ(50)内及びクリーンルーム(C2,C3)とを筒壁(45a)で遮断した状態で、キャリッジ(50)内とクリーンルーム(C2,C3)とが連通する。
【0025】
第10の発明は、第4の発明において、前記昇降機構(30)は、前記搬送路(14)の底部に配置され、前記キャリッジ(50)を駆動させる駆動機構(31)を備えることを特徴とする。
【0026】
第10の発明では、駆動機構(31)が駆動することにより該駆動機構(31)の摺動部から塵埃が発生した場合であっても、該駆動機構(31)は、搬送路(14)の底部(すなわち、搬送路(14)における空気の流れの下流側)に配置されているため、前記塵埃が舞い上がるのが抑制される。
【発明の効果】
【0027】
上記第1の発明によれば、キャリッジ(50)内及び搬送路(14)を除菌することができる。こうすると、被搬送物(A)の除菌状態を保ちつつ、該被搬送物(A)を階の異なるクリーンルーム(C2,C3)へ搬送することができる。
【0028】
また、上記第2の発明によれば、キャリッジ(50)内及び搬送路(14)を過酸化水素ガスで除菌できる。このように、過酸化水素を使用することで、比較的毒性の強いホルマリン等の他の除菌ガスを用いずに、比較的取り扱いの容易な過酸化水素でキャリッジ(50)及び搬送路(14)を除菌できる。
【0029】
また、上記第3の発明によれば、キャリッジ(50)内及び搬送路(14)を循環する空気とともに、除菌ガスを該キャリッジ(50)内及び搬送路(14)へ供給できる。こうすると、キャリッジ(50)内へ除菌ガスを供給するための流路を別途形成する必要がなくなるため、搬送機構の構造を簡素化できる。
【0030】
また、上記第4の発明によれば、搬送路(14)内を上から下へ空気が流れるため、塵埃が搬送路(14)内で舞い上がって搬送路(14)内で拡散してしまうのを抑制できる。
【0031】
また、上記第5の発明によれば、筒状壁部(11)と閉状態における壁部側扉(16)との密着性が向上するため、キャリッジ(50)内及び搬送路(14)を流れる除菌ガスがクリーンルーム(C2,C3)へ漏洩してしまうのを抑制できる。
【0032】
また、上記第6の発明によれば、搬送路(14)へ流入する空気を、給気側フィルタ(41)及び排気側フィルタ(42)によって清浄化できる。
【0033】
また、上記第7の発明によれば、キャリッジ(50)内へ一定の速度で空気が流入するため、キャリッジ(50)内の気流の乱れが抑制される。その結果、塵埃が舞い上がることによる清浄度の低下を抑制できる。さらに、搬送路(14)の空気をキャリッジ側フィルタ(54b)を通じて取り込めるため、キャリッジ(50)内の清浄度を搬送路(14)の清浄度よりも高めることができる。
【0034】
また、上記第8の発明によれば、キャリッジ(50)内における空気の流れが安定化するため、キャリッジ(50)内の清浄度を維持できる。
【0035】
また、上記第9の発明によれば、被搬送物(A)をキャリッジ(50)内に出し入れする際に搬送路(14)をキャリッジ(50)内及びクリーンルーム(C2,C3)と遮断できるため、搬送路(14)の空気がキャリッジ(50)内及びクリーンルーム(C2,C3)に入り込むのを抑制できる。これにより、キャリッジ(50)内及びクリーンルーム(C2,C3)の清浄度を維持できる。
【0036】
また、上記第10の発明によれば、駆動機構(31)から発生した塵埃が搬送路(14)内で舞い上がるのを抑制できるため、搬送路(14)の清浄度を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本実施形態に係るクリーンリフターの外形を示す斜視図である。
【図2】図2は、クリーンリフターの内部構成を示す図である。
【図3】図3は、過酸化水素供給部の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、クリーンリフターにおけるキャリッジ周辺部分を示す図であって、キャリッジ側扉及び壁部側扉が閉じられている状態の図である。
【図5】図5は、クリーンリフターにおけるキャリッジ周辺部分を示す図であって、キャリッジ側扉及び壁部側扉が開けられ且つ筒状部材がキャリッジ内へ挿通されている状態の図である。
【図6】図6は、クリーンリフターにおけるキャリッジ周辺部分を示す図であって、スライドフォークによって製品がキャリッジへ収容された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0039】
《発明の実施形態》
本実施形態に係るクリーンリフター(1)は、階の異なるクリーンルーム(C2,C3)間で被搬送物としての製品(A)を移動させるためのものである。本実施形態に係るクリーンリフター(1)では、製品(A)を、2階のクリーンルーム(C2)と3階のクリーンルーム(C3)との間で搬送できる。クリーンルーム(C2,C3)内は、HEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air フィルタ、図示省略)を通じて空気が循環されることにより、ISOクラス5程度の清浄度に保たれている。更に、クリーンルーム(C2,C3)内は、無菌状態での取扱が必要な薬品等を取り扱えるように、必要に応じて除菌が行われる。なお、ISOクラスとは、ISO(International Organization for Standardization、国際標準化機構)によって規定された、空気清浄度に関する規格である。
【0040】
クリーンリフター(1)は、2階のクリーンルーム(C2)と3階のクリーンルーム(C3)とに跨るように設置されている。クリーンリフター(1)は、図1及び図2に示すように、リフター本体(10)と、キャリッジ(50)とを備えている。
【0041】
リフター本体(10)は、垂直方向に細長い筒状壁部(11)と、筒状壁部(11)内に形成される搬送路(14)内の空気を循環させるための空気循環機構(25)と、前記筒状壁部(11)内に配置され、キャリッジ(50)を昇降させるための昇降機構(30)とを備えている。
【0042】
筒状壁部(11)は、ステンレスで構成された複数のフレームが縦方向に細長い直方体状に組まれた枠体(12)と、該枠体(12)に取り付けられる複数のパネル(13)とを備えている。該パネル(13)によって覆われた内部空間には、キャリッジ(50)の搬送路(14)が形成される。前記複数のパネルのうちの前側パネル(15)には、2階のクリーンルーム(C2)及び3階のクリーンルーム(C3)に向かって開口する四角い穴状の壁部側開口部(15a,15a)が形成される。また、筒状壁部(11)の天面には搬送路(14)の給気口(11a)が形成され、筒状壁部(11)の側面の下部には搬送路(14)の排気口(11b)が形成されている(図2参照)。
【0043】
空気循環機構(25)は、図2及び図3に示すように、循環流路(26)と、ファン(27)とを備えている。循環流路(26)の流出端は、給気口(11a)を覆う給気側HEPAフィルタ(41)を介して筒状壁部(11)の天面に取り付けられ、該循環流路(26)の流入端は、排気口(11b)を覆う排気側HEPAフィルタ(42)を介して筒状壁部(11)の側面の下部に取り付けられている。ファン(27)は、循環流路(26)に接続されている。ファン(27)は、循環流路(26)の流入端側から流出端側(図2及び図3の白抜き矢印方向)へ向かって空気を搬送するためのものである。
【0044】
昇降機構(30)は、搬送路(14)内でキャリッジ(50)を昇降させるためのものである。昇降機構(30)は、駆動機構としてのモータ(31)と、定滑車(32)と、該定滑車(32)に巻かけられた状態でモータ(31)とキャリッジ(50)を繋ぐチェーン(33)と、を備えている。
【0045】
モータ(31)は、搬送路(14)の底部に設置されている。モータ(31)は、インバータ回路(図示省略)によってインバータ駆動されることにより、所望の回転速度で、正逆の双方向に回転する。上述のようにモータ(31)を搬送路(14)の底部(すなわち搬送路(14)内における空気の流れの下流側)に配置することで、該モータ(31)の摺動部が擦れて塵埃が発生した場合であっても、該塵埃が搬送路(14)内で舞い上がるのを抑制できる。その結果、搬送路(14)の清浄度の悪化を抑制できる。
【0046】
定滑車(32)は、筒状壁部(11)の天面付近に配置され、筒状壁部(11)に取り付けられている。
【0047】
チェーン(33)は、定滑車(32)に巻かけられた状態で、一端がモータ(31)に巻かけられる一方、他端がキャリッジ(50)の天面に取り付けられている。チェーン(33)は、ステンレス鋼によって構成されている。
【0048】
リフター本体(10)は、壁部側扉(16)と、該壁部側扉(16)を開閉するためのスライド機構(図示省略)と、該壁部側扉(16)を前側パネル(15)側へ押圧する押圧機構(17)とを備えている。壁部側扉(16)は、各階(本実施形態の場合、2階と3階)に形成される壁部側開口部(15a)に対応して設けられている。壁部側扉(16)は、壁部側開口部(15a)よりもやや大きい四角い板状に形成され、壁部側開口部(15a)を内側から覆っている。壁部側扉(16)は、壁部側開口部(15a)に対して上下動可能なように前側パネル(15)に取り付けられていて、スライド機構によって上昇すると搬送路(14)とクリーンルーム(C2,C3)とが連通する一方、下降すると壁部側開口部(15a)が覆われることにより該壁部側開口部(15a)が閉じられる。
【0049】
押圧機構(17)は、各壁部側扉(16,16)に対応して設けられ、各壁部側扉(16)の背面側に配置されている。押圧機構(17)は、例えばエアシリンダで構成される。押圧機構(17)は、シリンダ及びピストンを備えている。シリンダは、筒状壁部(11)の前側パネル(15)に対して固定されている。押圧機構(17)は、ピストンがシリンダから進出することにより壁部側扉(16)を前側パネル(15)へ向けて押圧する一方、ピストンがシリンダへ入り込むことにより、壁部側扉(16)への押圧を中止する。
【0050】
キャリッジ(50)は、筒状壁部(11)内の搬送路(14)に配置されている。キャリッジ(50)は、箱状に形成される本体部(51)と、キャリッジ側扉(52)と、キャリッジ側扉駆動機構(図示省略)とを備えている。キャリッジ(50)は、キャリッジ側扉(52)が前側パネル(15)に対向するように搬送路(14)に配置されている。本体部(51)の上壁部には、昇降機構(30)のチェーン(33)が取り付けられている。キャリッジ(50)は、搬送路(14)内でチェーン(33)に吊り下げられた状態で保持される。
【0051】
本体部(51)は、3つの開口部を有する箱状に形成されている。具体的には、本体部(51)の側壁には、製品(A)を出し入れするための出入用開口部(51a)が形成され、上壁部には、搬送路(14)からの空気を取り入れるための給気側開口部(51b)が形成され、底壁部には、本体部(51)内の空気を排出するための排気側開口部(51c)が形成されている。出入用開口部(51a)は、筒状壁部(11)の壁部側開口部(15a)と概ね同じ大きさの四角い穴状に形成されている。
【0052】
キャリッジ側扉(52)は、出入用開口部(51a)よりもやや大きい四角い板状に形成され、出入用開口部(51a)を外側から覆っている。キャリッジ側扉(52)は、本体部(51)に対して上下方向にスライド可能なように、該本体部(51)に取り付けられている。キャリッジ(50)の本体部(51)及びキャリッジ側扉(52)は、キャリッジ側扉(52)が閉じられた状態で両者(51,52)の間のクリアランスが狭くなるように形成されている。これにより、キャリッジ(50)の密閉性が向上する。
【0053】
キャリッジ側扉(52)は、キャリッジ側扉駆動部によって上下方向にスライドされる。キャリッジ側扉(52)が上方向へスライドされると、出入用開口部(51a)が開けられてキャリッジ(50)内と搬送路(14)とが連通する一方、キャリッジ側扉(52)が下方向へスライドされると、出入用開口部(51a)が閉じられる。
【0054】
キャリッジ(50)は、ファンフィルタユニット(54)と、下部フィルタ(55)と、カバー部材(56)とを備えている。
【0055】
ファンフィルタユニット(54)は、キャリッジ(50)の給気側開口部(51b)を覆うように、本体部(51)の上壁部に取り付けられている。ファンフィルタユニット(54)は、ファン(54a)と、キャリッジ側フィルタとしてのHEPAフィルタ(54b)と、整流板(54c)とを備えている。ファンフィルタユニット(54)のファン(54a)は、搬送路(14)内の空気をHEPAフィルタ(54b)を通じてキャリッジ(50)内へ取り込むためのものである。ファン(54a)は、比較的低速且つ一定速度で回転する。ファン(54a)によってキャリッジ(50)内に取り込まれた空気は、整流板(54c)によって整流される。これにより、キャリッジ(50)内には、上から下へ向かう、比較的低速の気流が生成される。この気流は、層流に近い状態となる。
【0056】
下部フィルタ(55)は、排気側開口部(51c)を覆うように、本体部(51)の底壁部に取り付けられている。
【0057】
カバー部材(56)は、本体部(51)の底壁部の下側に取り付けられている。カバー部材(56)は、図2に示すように、本体部(51)の排気側開口部(51c)から所定の隙間をおいて該排気側開口部(51c)に対向するように配置されるプレート部(57)と、該プレート部(57)に一体形成され、該プレート部(57)を底壁部に取り付けるための取付部(58)とを備えている。これにより、前記プレート部(57)と排気側開口部(51c)との間に隙間が形成される。この隙間が、空気の流路(58a)を形成する。
【0058】
リフター本体(10)は、筒状部材(45)と、該筒状部材(45)を駆動させる筒状部材駆動部(46)とを備えている。筒状部材(45)及び筒状部材駆動部(46)は、各階のクリーンルーム(C2,C3)の壁部側扉(16,16)に対応して配置される。
【0059】
筒状部材(45)は、四角い筒状に形成される筒壁(45a)と、該筒壁(45a)の内周面によって形成される連通路(45b)とを備えている。筒状部材(45)の外周面は、キャリッジ(50)の出入用開口部(50a)の内周面、及び筒状壁部(11)の壁部側開口部(15a)の内周面よりも僅かに小さくなるように形成されている。筒状部材(45)は、壁部側開口部(15a)が壁部側扉(16)によって閉じられた状態において、外周面の一端側(図2における左側)が壁部側開口部(15a)の内周面に当接している。
【0060】
筒状部材駆動部(46)は、筒状部材(45)を軸方向に移動させるための駆動機構である。筒状部材駆動部は、例えばエアシリンダで構成されている。筒状部材駆動部(46)は、シリンダ(46a)と、該シリンダ(46a)に対して往復動するピストン(46b)とを備えている。シリンダ(46a)は、詳しくは後述するスライドフォーク(60)に固定されている。筒状部材駆動部(46)は、ピストン(46b)がシリンダ(46a)から突出するように進出することにより筒状部材(45)をキャリッジ(50)内へ挿通させる一方、ピストン(46b)がシリンダ(46a)へ入り込むことにより、筒状部材(45)をクリーンルーム(C2,C3)側へ移動させる。
【0061】
製品(A)は、スライドフォーク(60)によってキャリッジ(50)内に出し入れされる。スライドフォーク(60)は、クリーンルーム(C2,C3)に設置される本体部(61)と、該本体部(61)によって支持されるベース(62)と、該ベース(62)に対して水平方向にスライド可能なスライドガイド(63)と、該スライドガイド(63)に対して水平方向にスライド可能な置き台(64)と、を備えている。本体部(61)には、前記筒状部材駆動部(46)のシリンダ(46a)が固定されている。スライドガイド(63)及び置き台(64)は、本体部(61)に収容されるモータ(図示省略)によって移動される。
【0062】
−過酸化水素供給部−
クリーンリフター(1)は、過酸化水素供給部(20)を更に備えている。過酸化水素供給部(20)は、除菌成分を含む除菌ガスを搬送路(14)及びキャリッジ(50)内へ供給する除菌機構を構成している。過酸化水素供給部(20)は、図3に示すように、過酸化水素発生器(21)と、過酸化水素供給路(22)とを備えている。過酸化水素供給部(20)は、循環流路(26)と繋がっている。
【0063】
過酸化水素発生器(21)は、過酸化水素水から過酸化水素ガスを生成するように構成されている。具体的には、この過酸化水素発生器(21)は、過酸化水素ガスを生成する生成部(21a)と、該生成部(21a)へ過酸化水素水を供給する供給部(21b)とを備えている。生成部(21a)は、供給部(21b)から滴下されて供給される過酸化水素水を熱により微細化して気化することにより、過酸化水素ガスを生成するように構成されている。供給部(21b)は、循環流路(26)やキャリッジ(50)内における過酸化水素ガスの濃度に応じて、生成部(21a)に供給する過酸化水素水を増減するように構成されている。なお、過酸化水素ガスの生成は、循環流路(26)やキャリッジ(50)内における過酸化水素ガスの濃度に関係なく、操作パネル(図示省略)等によって行うこともできる。
【0064】
過酸化水素供給路(22)は、過酸化水素発生器(21)で発生した過酸化水素ガスを、循環流路(26)へ供給するための供給路である。過酸化水素供給路(22)は、流入端が過酸化水素発生器(21)に繋がり、流出端が循環流路(26)に繋がっている。
【0065】
−運転動作−
《清浄動作》
循環流路(26)に接続されるファン(27)が駆動されると、循環流路(26)内の空気が、該循環流路(26)の始端側から終端側へ向かって(図2及び図3の白抜き矢印方向へ向かって)搬送される。この空気は、給気側HEPAフィルタ(41)を通じてリフター本体(10)の搬送路(14)へ流入する。この際、空気に含まれる塵埃は、給気側HEPAフィルタ(41)によって除去されるため、搬送路(14)へは清浄化された空気が流入する。このように清浄化された空気は、搬送路(14)内を下方へ流れた後、排気側HEPAフィルタ(42)を通じて循環流路(26)へ戻される。その結果、搬送路(14)には、該搬送路(14)の上部から下部へ向かう空気の流れが形成されるため、搬送路(14)内の塵埃が舞い上がって搬送路(14)内で浮遊するのを抑制できる。搬送路(14)内の空気の清浄度は、ISOクラス7程度に保たれる。
【0066】
搬送路(14)を流れる空気は、比較的低速で回転するファン(54a)によって、キャリッジ(50)内に取り込まれる。これにより、キャリッジ(50)内には比較的低速の空気の流れが生成されるため、キャリッジ(50)内における気流の乱れによる清浄度の悪化を抑制できる。また、搬送路(14)の空気はファンフィルタユニット(54)のHEPAフィルタ(54b)を通じてキャリッジ(50)に流入する。これにより、キャリッジ(50)内は、搬送路(14)よりも高い清浄度で保たれる。具体的には、搬送路(14)内の清浄度が上述のようにISOクラス7程度に保たれているのに対し、キャリッジ(50)内の清浄度は、ISOクラス5程度に保たれている。
【0067】
なお、キャリッジ(50)が昇降機構(30)によって下降する場合などは、キャリッジ(50)の底壁部に形成された排気側開口部(51c)からキャリッジ(50)内へ空気が流入する。しかし、この空気は、カバー部材(56)のプレート部(57)に衝突した後に側方へ流れ、空気の流路(58a)を通じてキャリッジ(50)内へ流入する。すなわち、この空気は、プレート部(57)に衝突して減速した後にキャリッジ(50)内へ流入するため、該空気と、ファンフィルタユニット(54)のファン(54a)によって取り入れられる上方からの空気との衝突による乱気流が抑制される。従って、キャリッジ(50)内の空気の流れが安定化する。
【0068】
《除菌動作》
過酸化水素発生器(21)が起動されると、過酸化水素水が、過酸化水素発生器(21)の供給部(21b)から生成部(21a)へ滴下される。滴下された過酸化水素水は、生成部(21a)で発生する熱風により微細化されて気化される。このように生成された過酸化水素ガスは、過酸化水素供給路(22)を通じて循環流路(26)へ流入する。このように循環流路(26)に供給された過酸化水素ガスは、循環流路(26)、搬送路(14)及びキャリッジ(50)内を流れる空気とともに、これら(13,26,50)の内部を流れる。そして、過酸化水素ガスは、空気中に含まれる菌と反応して菌を分解する。これにより、循環流路(26)、搬送路(14)及びキャリッジ(50)内が除菌される。
【0069】
《搬送動作》
クリーンリフター(1)における搬送動作について、2階のクリーンルーム(C2)の製品(A)を3階のクリーンルーム(C3)へ搬送する場合を例として、図2及び図4から図6を用いて説明する。
【0070】
クリーンリフター(1)は、停止状態においては、壁部側扉(16)及びキャリッジ側扉(52)が閉じられた状態となっている(図4参照)。このとき、壁部側扉(16)は、押圧機構(17)によって前側パネル(15)側へ押圧されている。これにより、壁部側扉(16)が筒状壁部(11)に対してより密着するため、搬送路(14)を流れる過酸化水素ガスがクリーンルーム(C2,C3)へ漏洩するのを防止できる。
【0071】
キャリッジ側扉(52)及び2階のクリーンルーム(C2)の壁部側扉(16)は、キャリッジ(50)が2階に位置する状態で開かれる。具体的には、壁部側扉(16)は、押圧機構(17)による押圧が中止されて上下方向にスライド可能となった状態で、スライド機構によって上方へスライドされる。これと同時に、キャリッジ側扉(52)がキャリッジ側扉駆動機構によって上方へスライドされる。これにより、壁部側扉(16)及びキャリッジ側扉(52)が開けられる。
【0072】
壁部側扉(16)及びキャリッジ側扉(52)が開けられると、高い清浄度に保たれるキャリッジ(50)内及びクリーンルーム(C2)内に、やや清浄度の低い搬送路(14)内の空気が流入してしまう。これに対して、本実施形態では、壁部側扉(16)及びキャリッジ側扉(52)が開けられると、筒状部材駆動部(46)のピストン(46b)がシリンダ(46a)から突出するように進出する。これにより、筒状部材(45)の筒壁(45a)の外周が壁部側開口部(15a)及び出入用開口部(51a)の内周面全体に亘って当接しながら、該壁部側開口部(15a)及び出入用開口部(51a)に挿通される(図5参照)。このように筒状部材(45)がキャリッジ(50)内へ挿通された状態では、キャリッジ(50)内及びクリーンルーム(C2)は、搬送路(14)に曝されることなく、連通路(45b)を介して互いに連通する。これにより、搬送路(14)と比べて清浄度の高いキャリッジ(50)内及びクリーンルーム(C2)を、やや清浄度の低い搬送路(14)から遮断しつつ互いに連通させることができる。
【0073】
その後、スライドフォーク(60)によって製品(A)がキャリッジ(50)内へ収容される。具体的には、製品(A)が置き台(64)に載置されている状態で、スライドガイド(63)及び置き台(64)が、キャリッジ(50)側に向かってスライドする。これにより、製品(A)がキャリッジ(50)内に収容される(図6参照)。このとき製品(A)は、やや清浄度の低い搬送路(14)に曝されることなく、クリーンルーム(C2)からキャリッジ(50)内へ移送される。
【0074】
キャリッジ(50)内に製品(A)が収容されると、スライドガイド(63)及び置き台(64)は本体部(61)側へ戻される。その後、筒状部材(45)がクリーンルーム(C2,C3)側へ移動され、壁部側扉(16)及びキャリッジ側扉(52)が閉じられる。壁部側扉(16)は、再び押圧機構(17)によって前側パネル(15)側へ押圧される。
【0075】
その後、キャリッジ(50)は、3階のクリーンルーム(C3)へ向けて移送される。具体的には、昇降機構(30)のモータ(31)が回転してチェーン(33)が巻き上げられることにより、3階まで上昇する。それから、キャリッジ側扉(52)及び3階のクリーンルーム(C3)の壁部側扉(16)が開かれ、筒状部材(45)が壁部側開口部(15a)及び出入用開口部(51a)に挿通される。このようにしてキャリッジ(50)内を搬送路(14)と遮断した状態で、キャリッジ(50)内の製品(A)がスライドフォーク(60)によって取り出される。これにより、製品(A)が3階へ搬送される。
【0076】
上述のように、製品(A)は、内部が除菌されたキャリッジ(50)によって2階から3階へ搬送される。従って、製品の除菌状態を保ちつつ、異なる階のクリーンルームへ搬送できる。しかも、製品(A)は、クリーンルーム(C2,C3)やキャリッジ(50)内と比べてやや清浄度の低い搬送路(14)に曝されずに搬送されるため、製品(A)を高い清浄度で保つことができる。
【0077】
−実施形態の効果−
以上のように、本実施形態に係るクリーンリフター(1)では、過酸化水素ガスでキャリッジ(50)内及び該キャリッジ(50)の搬送路(14)を除菌している。これにより、製品(A)の除菌状態を保ちつつ、該製品(A)を階の異なるクリーンルーム(C2,C3)間で搬送できる。また、本実施形態では、除菌ガスとして過酸化水素ガスを用いている。これにより、比較的毒性の強いホルマリンガス等を使用する必要がなくなり、比較的取扱の容易な過酸化水素を用いてキャリッジ(50)内及び搬送路(14)を除菌できる。
【0078】
また、本実施形態では、閉状態における壁部側扉(16)が壁部側開口部(15a)の周縁部に対して押圧されるため、搬送路(14)内の過酸化水素ガスがクリーンルーム(C2,C3)へ漏洩するのを防止できる。
【0079】
また、本実施形態では、搬送路(14)内の空気は上から下へ向かって流れるため、塵埃や菌が搬送路(14)内で舞い上がるのを抑制できる。その結果、搬送路(14)内の清浄度を維持できる。しかも、キャリッジ(50)を昇降させるためのモータ(31)を、搬送路(14)を流れる空気の下流側である、搬送路(14)の底部に配置したため、モータ(31)から発生する塵埃が舞い上がるのを抑制できる。
【0080】
また、本実施形態では、製品(A)をキャリッジ(50)内に出し入れする際、筒状部材(45)によって、比較的清浄度の高いキャリッジ(50)内及びクリーンルーム(C2,C3)と、やや清浄度の低い搬送路(14)とを遮断できるため、製品(A)を高い清浄度で維持できる。
【0081】
また、本実施形態では、キャリッジ(50)の排気側開口部(51c)と所定の距離を置いて、該キャリッジ(50)の排気側開口部(51c)に対向するようにプレート部(57)を配置したため、下方からの空気は、プレート部(57)に衝突して減速した後、キャリッジ(50)内に流入する。これにより、キャリッジ(50)内における上側から流れる空気と下側から流れる空気との衝突による気流の乱れを抑制でき、キャリッジ(50)内における空気の流れを安定化できる。その結果、キャリッジ(50)内の清浄度が維持される。
【0082】
−その他の実施形態−
上記実施形態では、除菌ガスとして過酸化水素ガスを用いているが、この限りでなく、例えばホルマリンガス等、その他の除菌ガスを用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上説明したように、本発明は、除菌状態での保持が必要な薬品等の製品を、階の異なるクリーンルームへ搬送するクリーンリフターに特に有用である。
【符号の説明】
【0084】
11 筒状壁部
11a 給気口
11b 排気口
14 搬送路
15a 壁部側開口部
16 壁部側扉
19 押圧機構
20 過酸化水素供給部(除菌機構)
25 空気循環機構
26 循環流路
30 昇降機構
31 モータ(駆動機構)
41 給気側HEPAフィルタ(給気側フィルタ)
42 排気側HEPAフィルタ(排気側フィルタ)
45 筒状部材
50 キャリッジ
51a 出入用開口部
51b 給気側開口部
51c 排気側開口部
51 本体部
52 キャリッジ側扉
54 ファンフィルタユニット
54a ファン
54b HEPAフィルタ(キャリッジ側フィルタ)
57 プレート部
58a 空気の流路
A 製品(被搬送物)
C2,C3 クリーンルーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階の異なるクリーンルーム(C2,C3)間で被搬送物(A)を搬送するための搬送装置であって、
上方へ延びる搬送路(14)を内部に有する筒状に形成され、各階に対応する位置に壁部側開口部(15a,15a)が形成される筒状壁部(11)と、
前記壁部側開口部(15a)を開閉可能な壁部側扉(16)と、
内部に被搬送物(A)が収容される箱状に形成され前記搬送路(14)に配置される本体部(51)と、該本体部(51)に形成される出入用開口部(51a)を開閉可能なキャリッジ側扉(52)とを有するキャリッジ(50)と、
前記キャリッジ(50)を前記搬送路(14)内で昇降させる昇降機構(30)と、
前記キャリッジ(50)内及び前記搬送路(14)へ除菌成分を含む除菌ガスを供給するための除菌機構(20)と、を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記除菌機構は、前記除菌ガスとしての過酸化水素ガスを前記キャリッジ(50)内及び前記搬送路(14)へ供給するための過酸化水素供給部(20)であることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
流入端が前記搬送路(14)の排気口(11b)に接続され且つ流出端が前記搬送路(14)の給気口(11a)に接続される循環流路(26)を有し、前記搬送路(14)内の空気を循環させる空気循環機構(25)を備え、
前記キャリッジ(50)の本体部(51)には、前記搬送路(14)のうち前記給気口(11a)と連通する空間に向かって開口する給気側開口部(51b)と、前記搬送路(14)のうち前記排気口(11b)と連通する空間に向かって開口する排気側開口部(51c)とが形成され、
前記除菌機構(20)は、前記循環流路(26)へ前記除菌ガスを供給することを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記給気口(11a)は前記搬送路(14)の上部に形成され、前記排気口(11b)は前記搬送路(14)の下部に形成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれか1つにおいて、
閉状態の前記壁部側扉(16)を前記壁部側開口部(15a)の周縁部に対して押圧する押圧機構(17)を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項3又は4において、
前記搬送路(14)の給気口(11a)を覆う給気側フィルタ(41)と、前記搬送路(14)の排気口(11b)を覆う排気側フィルタ(42)とを備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項4又は6において、
前記キャリッジ(50)は、前記本体部(51)の給気側開口部(51b)を覆うキャリッジ側フィルタ(54b)と、該キャリッジ側フィルタ(54b)を通じて搬送路(14)の空気を前記本体部(51)の内部へ取り入れるためのファン(54a)とを有するファンフィルタユニット(54)を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記給気側開口部(51b)は、前記本体部(51)の上壁部に形成され、前記排気側開口部(51c)は、前記本体部(51)の底壁部に形成され、
前記キャリッジ(50)は、前記本体部(51)の排気側開口部(51c)から所定の隙間をおいて該排気側開口部(51c)に対向するように配置され該排気側開口部(51c)との間に空気の流路(58a)を形成するプレート部(57)を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項9】
請求項7又は8において、
前記壁部側扉(16)及び前記キャリッジ側扉(52)が開放されると、外周が前記壁部側開口部(15a)及び前記出入用開口部(51a)の内周面全体に亘って当接しながら挿通される筒壁(45a)と、該筒壁(45a)の内周面によって形成され、前記キャリッジ(50)内とクリーンルーム(C2,C3)とを連通させる連通路(45b)とを有する筒状部材(45)を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項10】
請求項4において、
前記昇降機構(30)は、前記搬送路(14)の底部に配置され、前記キャリッジ(50)を駆動させる駆動機構(31)を備えることを特徴とする搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−153492(P2012−153492A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14492(P2011−14492)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】