説明

携帯型照明装置

【課題】災害時に適した照明として、照射範囲の異なる複数の照明タイプに容易に対応することができる携帯型照明装置を提供する。
【解決手段】本発明の携帯型照明装置は、片面にそれぞれ複数の発光体11、21からなる発光領域12、22を有する第1発光部10及び第2発光部20と、これら各発光部10、20の各発光体11、22に電力を供給する電力供給部100と、各発光部10、20の各発光領域12、22を互いに向かい合うように連結し且つ連結した部分を中心として各発光部10、20の相対する角度を無段階に設定可能な連結部30とを備え、使用者が2つの発光部10、20の角度を適宜に設定することにより、用途に応じた異なる照明タイプでの照明を行うことができるように構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に災害時に使用される照明装置に関するもので、詳しくは折り曲げ可能な携帯型照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、既存の懐中電灯に代わる携帯型照明装置として、消費電力が少ないLED(発光ダイオード)やEL(エレクトロルミネッセンス)等を光源とした照明装置や、これら照明装置に停電時でも充電可能な太陽電池を組み合わせた各種の照明装置が提案されている。
【0003】
例えば、読書などの比較的狭い範囲を照らすのに適したものとして、光源とレンズ部とを連結し、この連結部分が可動で折りたためる構造とした照明装置(特許文献1〜3)が提案されている。また、夜間の屋外使用に適したものとして、発光部にLEDやELを使用したシート状の本体を立体的に組み立てて使用する折りたたみ式ELランタン(特許文献4)や、LEDと太陽電池とを組み合わせた発光具(特許文献5)が提案されている。さらに、夜間の室内照明に適したものとして、複数の発光ダイオードの照射角度を選択できるようにした照明装置(特許文献6)が提案されている。
【特許文献1】特開2003−187601号
【特許文献2】実開平4−74801号
【特許文献3】特開昭61−32302号
【特許文献4】実用新案登録第3064531号
【特許文献5】実用新案登録第3061381号
【特許文献6】特開2004−152618号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、夜間に地震等の災害が発生した場合に適した照明としては、避難時に手に持って足元を照らす照明として使用するタイプのほか、避難先で照明装置本体の周囲を明るく照らす照明や、吊り下げるなどして手元を局所的に照らす照明の3タイプが考えられる。
【0005】
このような異なる照明タイプの要求に対して、特許文献1〜3及び5に示された照明装置では狭い範囲しか照らすことができないため、災害用の照明として適していない。また特許文献4に示された装置では、周囲を照らすことはできるものの、避難時に足元を照らしたり、手元を局所的に照らすことが難しいという難点があった。さらに、特許文献6に示された照明装置では、避難時に持ち運びができないうえ、照射角度を変えるには工具を用いて本体を分解しなければならず、また照射角度は予め設定された複数の角度のうちから選択する構造であるため、照明角度を簡単に且つ任意に変えることは困難であった。
【0006】
したがって、特許文献1〜6に示された照明装置は、いずれも上述した3つの照明タイプに対応できる照明具ではなかった。
【0007】
本発明の目的は、一台で照射範囲の異なる複数の照明タイプに容易に対応することができる携帯型照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、請求項1に記載の携帯型照明装置は、片面にそれぞれ複数の発光体からなる発光領域を有する第1及び第2発光部と、前記第1及び第2発光部の各発光体に電力を供給する電力供給部と、前記第1及び第2発光部の各発光面を互いに向かい合うように連結し、且つ連結した部分を中心として前記第1及び第2発光部の相対する角度を無段階に設定可能な連結部とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の携帯型照明装置は、請求項1において、前記連結部は少なくとも、前記第1及び第2発光部の各発光面から発せられる光の照射方向が交差せず、且つ照射範囲が重複しない第1照明タイプと、前記第1及び第2発光部の各発光面から発せられる光の照射方向が交差し、且つ照射範囲が重複しない第2照明タイプと、前記第1及び第2発光部の各発光面から発せられる光の照射方向が交差し、且つ照射範囲が重複する第3照明タイプとを含む複数の照明タイプの中から任意の照明タイプを選択できるように前記第1及び第2発光部の相対する角度を設定可能なことを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項3の携帯型照明装置は、請求項1又は2において、前記電力供給部は、前記第1及び第2発光部の相対する角度に応じて前記各発光体に供給する電力を制御する電力制御回路を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の携帯型照明装置によれば、第1発光部と第2発光部との相対する角度を無段階に設定することができるため、使用者が2つの発光部の角度を適宜に設定することにより、用途に応じた異なる照明タイプでの照明を行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の携帯型照明装置において、連結部の角度を第1照明タイプとなるように設定した場合は、光の照射方向がほぼ真下で且つほぼ円形の懐中電灯式の照射範囲となるため、避難時に足元を照らすのに適した照明とすることができる。また、連結部の角度を第2照明タイプとなるように設定した場合は、光の照射方向がそれぞれ左右に別れ且つ楕円形の全体照明式の照射範囲となるため、避難先において周囲を明るく照らしたい場合に適した照明とすることができる。さらに、連結部の角度を第3照明タイプに設定した場合は、光の照射方向がそれぞれ同一範囲を向き且つ楕円形のスポットライト式の照射範囲となるため、避難先において手元を局所的に照らしたい場合に適した照明とすることができ、とくに避難先で近接した場所にいる他の避難者に対してまぶしさを与えることなく必要な部分の照明を行うのに適した照明とすることができる。
【0013】
請求項3に記載の携帯型照明装置では、第1発光部と第2発光部の相対する角度を大きくしたときに各発光体に供給する電力を大きくすることにより、各発光面を最も明るくすることができるため、前記第1照明タイプとして避難時に足元を照らすのにより適した照明となる。また、第1発光部と第2発光部の相対する角度を小さくしたときに各発光体に供給する電力を小さくすることにより、各発光面を照明に必要な最小限の明るさとすることができるため、避難先において手元を局所的に照らしたい場合に、明る過ぎない適度な照明とすることができる。さらに、第1発光部と第2発光部の相対する角度をその中間としたときには各発光体に供給する電力もほぼ中間となり、各発光面は中間の明るさとなるため、避難先において周囲を明るく照らしたい場合に、消費電力を抑えながら必要な明るさを確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係わる携帯型照明装置の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態に係わる携帯型照明装置の外観斜視図であり、(a)は装置本体を右斜め方向から見たときの斜視図、(b)は左斜め方向から見たときの斜視図をそれぞれ示している。
【0015】
本実施形態に係わる携帯型照明装置1は、照明光を照射する第1発光部10と、同じく照明光を照射する第2発光部20と、第1発光部10及び第2発光部20を連結する連結部30と、装置を掴むときに用いるハンドル部40とを備えている。
【0016】
第1発光部10は、図1(a)に示すように、一方の面に複数の発光体11が埋め込まれるように配置され、この部分が照明光を照射する発光領域12となっている。発光体11としては、例えばLED、ELもしくは同等の機能を有する発光部材を用いることができる。そして、これらの発光体11の表面は透明(又は半透明)の樹脂パネル13で覆われている。また、第1発光部10は、図1(b)に示すように、発光領域12と反対側の面に太陽光や蛍光灯の光を電気エネルギーに変換する太陽電池パネル14が設けられている。さらに、第1発光部10の上端部には連結部30と連結するための凸部15が形成されている。
【0017】
第2発光部20は、図1(b)に示すように、一方の面に複数の発光体21が埋め込まれるように配置され、この部分が照明光を照射する発光領域22となっている。発光体21は上述した発光体11と同じものである。そして、これらの発光体21の表面は透明(又は半透明)の樹脂パネル23で覆われている。また、第2発光部20は、図1(a)に示すように、発光領域22と反対側の面に太陽光や蛍光灯の光を電気エネルギーに変換する太陽電池パネル24が設けられている。また、第2発光部20の上端部には連結部30と連結するための凸部25が形成されている。さらに第2発光部20の側面には、本装置1のオン(点灯)、オフ(充電)を切り換える電源スイッチ26が設けられている。
【0018】
連結部30は、第1発光部10と第2発光部20とを連結する部分であり、向かい合うように配置された各発光部の凸部15、25を両側から挟み込むように連結する第1連結部材31、第2連結部材32を備えている。各連結部材には2つの図示しない貫通穴が並列に形成され、また各発光部の凸部15、25にも図示しない貫通穴が形成されている。そして、これら貫通穴を貫くように連結用の図示しない回動軸が並列に2本挿入されている。これによって、第1発光部10と第2発光部20はそれぞれの発光領域12、22が互いに向かい合うように連結され、連結部30を中心として各発光部の相対する角度が無段階に設定可能となっている。
【0019】
上述した第1発光部10及び第2発光部20の外枠部分、連結部30、ハンドル部40は、おもに樹脂部材や金属部材により構成することができる。また、樹脂部材と金属部材とを組み合わせた構成としてもよい。
【0020】
次に、上記のように構成された携帯型照明装置1を3つの照射タイプに対応させる場合について説明する。
【0021】
図2(a)〜(c)は第1発光部10と第2発光部20との相対する角度を各照明タイプに応じて設定したときの側面図であり、(a)は第1照明タイプ、(b)は第2照明タイプ、(c)は第3照明タイプにそれぞれ設定した例を示している。また、図3(a)〜(c)は上記図2(a)〜(c)のそれぞれの照明タイプにおける光の照射方向と照射範囲を示す模式図である。以下、各照明タイプについて説明する。
【0022】
[1]第1照明タイプ
図2(a)に示すように、第1発光部10と第2発光部20とを180度の角度に開いて2つの発光部が水平になるように設定すると、図3(a)に示すように、各発光部の発光領域から発せられる光の照射方向は互いに交差せず、且つ照射範囲が重複しない懐中電灯式の第1照明タイプとなる。この第1照明タイプでは、光の照射方向がほぼ真下となり、且つほぼ円形の照射範囲となるため、例えば避難時に照明装置1のハンドル部40を手で持って足元を照らすのに適した照明となる。
【0023】
[2]第2照明タイプ
図2(b)に示すように、第1発光部10と第2発光部20とをθ1(<90度)の角度に開いて2つの発光部が鋭角になるように設定すると、図3(b)に示すように、各発光部の発光領域から発せられる光の照射方向が互いに交差し、且つ照射範囲が重複しない全体照明式の第2照明タイプとなる。この第2照明タイプでは、光の照射方向がそれぞれ左右に別れ、且つ楕円形の照射範囲となるため、例えば避難先において照明装置1の周囲を明るく照らしたい場合に適した照明となる。
【0024】
[3]第3照明タイプ
図2(c)に示すように、第1発光部10と第2発光部20とをθ2(>θ1)の角度に開いて2つの発光部が鈍角になるように設定すると、図3(c)に示すように、各発光部の発光領域から発せられる光の照射方向が互いに交差、且つ照射範囲が重複する(重なり合う)スポットライト式の第3照明タイプとなる。この第3照明タイプでは、光の照射方向がそれぞれ同一範囲を向くことになり、且つ楕円形の照射範囲となるため、例えば避難先において照明装置1を吊るすなどして筆記時の手元を局所的に照らしたい場合に適した照明となる。このように、第3照明タイプでは避難先で近接した場所にいる他の避難者に対してまぶしさを与えることなく必要な部分の照明を行うことができる。
【0025】
上記実施形態では、携帯型照明装置1を災害時の基本的な使用形態となる3つの照射タイプに対応させた例について説明したが、第1発光部10と第2発光部20との相対する角度は無段階に設定可能であるため、上記以外の使用形態にも対応させることができる。例えば、図4に示すように、第1発光部10と第2発光部20とを背中合わせに折りたたむことにより、光の照射方向が互いに左右に分かれるため、照明器具として使用することができる。さらに、この状態で片方の発光部を180度回転させることにより、光の照射方向を右側又は左側の一方向に揃えることができる。
【0026】
また、本実施形態に係わる携帯型照明装置1では、第1発光部10と第2発光部20の外側の面に太陽電池パネル14、24を配置しているため、図5に示すように、第1発光部10と第2発光部20とを180度の角度に開くことにより、太陽電池パネル14、24がともに同じ方向を向くようにして充電を行うことができる。したがって、太陽電池パネルが一方の側にしか配置されていない照明装置のように充電面を特定する必要がなく、また充電時間を太陽電池パネルが一枚の場合に比べて約半分に短縮することができる。
【0027】
さらに、本実施形態の携帯型照明装置1は、第1発光部10と第2発光部20とが向かい合わせとなるように二つ折りにたたむことによって、本体をコンパクトにすることができる。そして、この状態でハンドル部40を掴む、もしくは吊り下げることにより容易に持ち運びが可能となる。また、このように二つ折りにたたんだ場合でも、いずれか一方の太陽電池パネルを外側に向けることができるため、本体のどちらの面が外側に向いていても確実に充電を行うことができる。例えば、昼間に窓際のカーテンレールに吊り下げておいたり、ランドセルなどに吊り下げたりしても充電可能である。さらに、照明装置1の向きを気にすることなく光が照明装置1に当たるように置いておくだけで充電することができるというメリットがある。
【0028】
次に、各発光部10、20に電力を供給する電力供給部の構成について説明する。
【0029】
図6は電力供給部100の全体構成を示す回路図である。図6に示すように、電力供給部100は、太陽電池パネル14、24と、電源スイッチ26と、この電源スイッチ26と連動する第1スイッチ110、第2スイッチ130と、昇圧回路120及び充電電池140とを備えて構成されている。
【0030】
図6において、第1スイッチ110の一方の入力端は太陽電池パネル14、24と接続され、他方の入力端は充電電池140の出力側と接続されている。また、第2スイッチ130の一方の出力端は充電電池と接続され、他方の出力端は発光体11、22と接続されている。また昇圧回路120は第1スイッチ110の出力端及び第2スイッチ130の入力端とそれぞれ接続されている。そして、第1スイッチ110と第2スイッチ130は電源スイッチ26により連動して接続方向が切り替えられるように構成されている。
【0031】
上記構成において、充電電池140に充電する場合は電源スイッチ26をオフ側に切り替える。これにより、太陽電池パネル14、24と昇圧回路120の入力側が導通し、また昇圧回路120の出力側と充電電池140の入力側が導通して、太陽電池パネル14、24から充電電池140への経路が確立される。このように、電源スイッチ26をオフ側に切り替えると、太陽電池パネル14、24で発電された電力が昇圧回路120で昇圧された後、充電電池140に充電されることになる。
【0032】
また、発光体11、22を点灯させる場合は電源スイッチ26をオン側に切り替える。これにより、充電電池140の出力側と昇圧回路120の入力側が導通し、また昇圧回路120の出力側と発光体11、22とが導通して、充電電池140から発光体11、22への経路が確立される。このように、電源スイッチ26をオン側に切り替えると、充電電池140に充電された電力が昇圧回路120で昇圧された後、発光体11、22に出力されるため、各発光部10、20が点灯することになる。
【0033】
このような電源スイッチ26とすることにより、充電時には発光体11、22に一切導通させることなく、太陽電池パネル14、24の電力を充電池140に充電させることができる。
【0034】
ここで、昇圧回路120の構成について説明する。図7は昇圧回路120の構成を示す回路図である。この昇圧回路120は、コイル121、ダイオード122、コンデンサ123、トランジスタ124、発振回路125を組み合わせた回路となっている。図7において、トランジスタ124のゲートがオフの間に入力(IN)に加えられた電圧はコンデンサ123に充電される。続いて、トランジスタ124のゲートがオンするとコイル121に電力が蓄えられ、トランジスタ124のゲートがオフになると蓄えられた電力によりコイル121の両端が高電圧となる。そして、トランジスタ124のゲートが再びオンするとコイル121から放出された電圧とコンデンサ123の電圧とが加算されて出力(OUT)から取り出される。上記昇圧動作において、トランジスタ124のゲートは発振回路125からの出力(0/1)により高速でオン・オフを繰り返すため、出力からは昇圧されたほぼ一定の電圧が取り出されることになる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係わる携帯型照明装置1によれば、第1発光部10と第2発光部20との相対する角度を無段階に設定することができるため、使用者が2つの発光部の角度を適宜に設定することにより、用途に応じた異なる照明タイプでの照明を行うことができる。
【0036】
例えば、第1発光部10と第2発光部20とを180度の角度に開いて2つの発光部が水平になるように設定した場合は、各発光部の発光領域から発せられる光の照射方向は互いに交差せず、且つ照射範囲が重複しない懐中電灯式の第1照明タイプとすることができるため、光の照射方向がほぼ真下で且つほぼ円形の照射範囲となり、避難時に足元を照らすのに適した照明となる。
【0037】
また、第1発光部10と第2発光部20とをθ1(<90度)の角度に開いて2つの発光部が鋭角になるように設定した場合は、各発光部の発光領域から発せられる光の照射方向が互いに交差し、且つ照射範囲が重複しない全体照明式の第2照明タイプとすることができるため、光の照射方向がそれぞれ左右に別れ、且つ楕円形の照射範囲となり、避難先において周囲を明るく照らしたい場合に適した照明となる。
【0038】
さらに、第1発光部10と第2発光部20とをθ2(>θ1)の角度に開いて2つの発光部が鈍角になるように設定した場合は、各発光部の発光領域から発せられる光の照射方向が互いに交差し、且つ照射範囲が重複するスポットライト式の第3照明タイプとすることができるため、光の照射方向がそれぞれ同一範囲を向き、且つ楕円形の照射範囲となって、例えば避難先において手元を局所的に照らしたい場合に適した照明となる。このように、第3照明タイプでは避難先で近接した場所にいる他の避難者に対してまぶしさを与えることなく必要な部分の照明を行うことができる。
【0039】
また、本実施形態の電力供給部100においては、充電時の昇圧と放電(点灯)時の昇圧を1つの昇圧回路120で兼用することができるので、部品の削減を図ることができる。
【0040】
次に、第1発光部10と第2発光部20の相対する角度に応じて発光体11、22明るさを変化させるようにした実施形態について説明する。
【0041】
図8は、昇圧回路120に設けられた電力制御回路150の構成を示す回路図である。電力供給部100全体の構成は図6と同じであるため説明を省略する。図8に示すように、電力制御回路150は、発振回路125に対して並列に接続にされた固定抵抗151及び可変抵抗152と、発振回路125と接続する抵抗をいずれか一方に切り替えるモード切替えスイッチ153とを備えて構成されている。
【0042】
固定抵抗151は、第1発光部10と第2発光部20の相対する角度に係わらず一定の抵抗値を示す抵抗素子である。可変抵抗152は、第1発光部10と第2発光部20の相対する角度に応じて抵抗値が無段階に変化する抵抗素子である。この可変抵抗152は連結部30に内蔵され、2つの発光部の開度に応じて接触部分の面積が変化することにより抵抗値を変える構造となっている。
【0043】
本実施形態における可変抵抗152の抵抗値は、2つの発光部の相対する角度が大きくなると抵抗値が小さくなり、角度が小さくなると抵抗値が大きくなるように設定されている。
【0044】
例えば図2(a)に示すように、第1発光部10と第2発光部20とを180度の角度(180度以上を含む)に開いたときに抵抗値が最も小さくなり、図2(c)に示すように、第1発光部10と第2発光部20とをθ2(>θ1)の角度(θ2以下を含む)に開いたときに抵抗値が最も大きくなる。そして、図2(b)に示すように、第1発光部10と第2発光部20とをθ1(<90度)の角度に開いたときには抵抗値はその中間となる。
【0045】
モード切替えスイッチ153は、2つの発光部の角度に係わらず同じ明るさで点灯させるモードと、2つの発光部の角度に応じて明るさを変化させるモードを切り替えるためのスイッチ素子であり、例えば電源スイッチ26の近傍に設けられている。
【0046】
上記構成において、モード切替えスイッチ153を可変抵抗152側に切り替えると、2つの発光部の開度に応じて抵抗値が変化して、発振回路125の周波数が変化する。例えば、第1発光部10と第2発光部20とを180度の角度に開いたときには抵抗値が小さくなり、接続する発振回路125の周波数は高くなる。このように周波数が高くなると昇圧回路120で昇圧される電圧も高くなり、発光体11、22に供給される電力が増えて各発光部10、20から照射される照明光は最も明るくなる。また、第1発光部10と第2発光部20とをθ2(>θ1)の角度に開いたときには抵抗値が大きくなり、接続する発振回路125の周波数は低くなる。このように周波数が低くなると昇圧回路120で昇圧される電圧も低くなり、発光体11、22に供給される電力が減って、各発光部10、20から照射される照明光は照明に必要な最小限の明るさとなる。同様に、第1発光部10と第2発光部20とをθ1(<90度)の角度に開いたときには、各発光部10、20から照射される照明光はほぼその中間の明るさとなる。
【0047】
また、モード切替えスイッチ153を固定抵抗151側に切り替えた場合は、2つの発光部の開度に係わらず抵抗値が変化しないため、各発光部10、20から照射される照明光は常に同じ明るさとなる。
【0048】
したがって、昇圧回路120に電力制御回路150を設けた実施形態によれば、第1発光部10と第2発光部20とを180度の角度に開いたときには各発光部10、20から照射される照明光は最も明るくなるため、懐中電灯式の第1照明タイプとして避難時に足元を照らすのにより適した照明となる。
【0049】
また、第1発光部10と第2発光部20とをθ2(>θ1)の角度に開いたときに各発光部10、20から照射される照明光は照明に必要な最小限の明るさとなるため、避難先において手元を局所的に照らしたい場合に、明る過ぎない適度な照明とすることができる。
【0050】
さらに、第1発光部10と第2発光部20とをθ1(<90度)の角度に開いたときには、各発光部10、20から照射される照明光はほぼその中間の明るさとなるため、避難先において周囲を明るく照らしたい場合に、消費電力を抑えながら必要な明るさを確保することができる。
【0051】
なお、本実施形態では電力供給部100として、太陽電池パネルで発電した電力を充電して使用する例について示したが、電源は太陽電池パネルに限らず、一般的な乾電池や充電池を用いることもできるし、太陽電池パネルとこれら電池を組み合わせた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施形態に係わる携帯型照明装置の外観斜視図。(a)は装置本体を右斜め方向から見たときの斜視図。(b)は左斜め方向から見たときの斜視図。
【図2】第1発光部と第2発光部との相対する角度を各照明タイプに応じて設定したときの側面図。(a)は第1照明タイプに設定したときの側面図。(b)は第2照明タイプに設定したときの側面図。(c)は第3照明タイプに設定したときの側面図。
【図3】(a)〜(c)は図2(a)〜(c)のそれぞれの照明タイプにおける光の照射方向と照射範囲を示す模式図。
【図4】第1発光部と第2発光部とを背中合わせに折りたたんだ状態を示す斜視図。
【図5】第1発光部と第2発光部とを180度の角度に開いたときの状態を示す斜視図。
【図6】電力供給部の全体構成を示す回路図。
【図7】昇圧回路の構成を示す回路図。
【図8】昇圧回路に設けられた電力制御回路の構成を示す回路図。
【符号の説明】
【0053】
1…携帯型照明装置
10…第1発光部
11、21…発光体
12、22…発光領域(発光面)
13、23…樹脂パネル
14、24…太陽電池パネル
15、25…凸部
20…第2発光部
26…電源スイッチ
30…連結部
31…第1連結部材
32…第2連結部材
40…ハンドル部
100…電力供給部
110…第1スイッチ
120…昇圧回路
121…コイル
122…ダイオード
123…コンデンサ
124…トランジスタ
125…発振回路
130…第2スイッチ
140…充電電池
150…電力制御回路
151…固定抵抗
152…可変抵抗
153…モード切替えスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面にそれぞれ複数の発光体からなる発光領域を有する第1及び第2発光部と、
前記第1及び第2発光部の各発光体に電力を供給する電力供給部と、
前記第1及び第2発光部の各発光面を互いに向かい合うように連結し、且つ連結した部分を中心として前記第1及び第2発光部の相対する角度を無段階に設定可能な連結部と、
を備えることを特徴とする携帯型照明装置。
【請求項2】
前記連結部は少なくとも、
前記第1及び第2発光部の各発光面から発せられる光の照射方向が交差せず、且つ照射範囲が重複しない第1照明タイプと、
前記第1及び第2発光部の各発光面から発せられる光の照射方向が交差し、且つ照射範囲が重複しない第2照明タイプと、
前記第1及び第2発光部の各発光面から発せられる光の照射方向が交差し、且つ照射範囲が重複する第3照明タイプと、
を含む複数の照明タイプの中から任意の照明タイプを選択できるように前記第1及び第2発光部の相対する角度を設定可能なことを特徴とする請求項1に記載の携帯型照明装置。
【請求項3】
前記電力供給部は、前記第1及び第2発光部の相対する角度に応じて前記各発光体に供給する電力を制御する電力制御回路を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯型照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−311055(P2007−311055A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136304(P2006−136304)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000114189)ミドリ電子株式会社 (5)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)