携帯型送信装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空中伝播信号より成る複数種類の動作指令信号を送信するための携帯型送信装置、特には自動車用ロック機構のような負荷をワイヤレス制御するような用途に好適する携帯型送信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車用のドアロック機構においては、これをワイヤレス制御することが行われている。即ち、このようなワイヤレス制御は、固有の識別コードを含む動作指令信号を空中伝播信号(例えば電波)により送信可能な携帯型送信装置と、自動車ボディ側に設けられた受信装置とを組み合わせて実現されるものであり、上記受信装置は、携帯型送信装置からの動作指令信号に基づいてドアロック機構の解錠及び施錠動作を選択的に行うように構成される。
【0003】この場合、近年では、前記携帯型送信装置をイグニッションキーのグリップ部に内蔵することにより、その携帯性の向上を図ることが一般的になっており、そのキーグリップ部には、動作指令信号を送信するときに押圧操作される押しボタンスイッチが配設される。また、ドアロック機構の解錠動作及び施錠動作を確実に行うために、携帯型送信装置から解錠用及び施錠用の2種類の動作指令信号を出力する構成とすることが一般的になっており、このためキーグリップ部には解錠用及び施錠用の2個の押しボタンスイッチが設けられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】キーグリップ部は、その表面積が比較的小さいという背景事情があり、このためキーグリップ部に2個の押しボタンスイッチを配置する従来構成では、その操作性が悪化することが避けられない。特に、付加価値を高めるべく、携帯型送信装置に他の自動車用負荷(トランクリッド用ロック機構、パワーウインドレギュレータなど)の制御機能をも持たせる場合、つまり送信可能な動作指令信号の種類を増やす場合には、キーグリップ部にさらに多数の押しボタンスイッチを設ける必要が生じ、結果的に操作性の大幅な低下を招くばかりか、キーグリップ部の剛性が低下したり、キーグリップ部のデザイン上の制約が多くなるなどの問題点も招くことになる。
【0005】そこで、本発明の目的は、多種類の動作指令信号を送信可能な構成のものでありながら、必要となる操作スイッチ数を大幅に減らすことができ、以て操作性の向上を実現できると共に、操作スイッチが設けられる本体ケースの剛性が低下する事態並びにデザイン上の自由度が制約される事態を未然に防止し得るなどの効果を奏する携帯型送信装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、受信装置に対して空中伝播信号より成る複数種類の動作指令信号を送信するための携帯型送信装置において、本体ケースに外部操作可能な操作スイッチを設けると共に、その本体ケースにこれが異なる回転位置に存するのに応じて異なる検出状態を呈する検出手段を収納し、さらに前記本体ケース内に前記操作スイッチのオンに応じて前記検出手段の検出状態と予め対応付けられた前記動作指令信号を発生する送信手段を設ける構成としたものである。
【0007】
【作用】本体ケースを所望の回転位置に保持した状態で操作スイッチをオン操作すると、送信手段が、検出手段の検出状態と予め対応付けられた動作指令信号を空中伝播信号により送信するようになる。本体ケースを上述とは異なる回転位置に保持した状態、つまり検出手段による検出状態を異ならせた状態で操作スイッチをオン操作すると、送信手段が、上述とは異なる種類の動作指令信号を空中伝播信号により送信するようになる。
【0008】
【実施例】以下、本発明を自動車用負荷の制御に適用した第1実施例について図1〜図10を参照しながら説明する。
【0009】図1において、携帯型送信装置を兼ねるイグニッションキー1は、本体ケースたる扁平形状のキーグリップ部2とキープレート3とを一体に有した構造となっており、キーグリップ部2の片面側の中央には、操作スイッチたる自動復帰形の押しボタンスイッチ4が外部操作可能に設けられている。また、キーグリップ部2内には、検出手段たる検出スイッチ5が収納されていると共に、送信手段たる送信装置6及び図示しない電源用電池などが収納されている。
【0010】図2には上記検出スイッチ5の概略構成が示されている。即ち、この検出スイッチ5は、絶縁材料製の円筒ケース5aの内周面に、その軸方向へ延びる4本の電極7〜10を互いに等距離ずつ離間させた状態で配設すると共に、その円筒ケース5a内に導電ボール11を転動可能に収納した構成となっている。そして、この検出スイッチ5は、その円筒ケース5aの中心軸線を前記キープレート3の中心軸線と一致(若しくは平行)させ、且つイグニッションキー1が押しボタンスイッチ4を上方に向けた図1のような状態にあるときに電極7、8が下方に位置するような形態でキーグリップ部2内に収納されている。
【0011】これによって、検出スイッチ5にあっては、イグニッションキー1が図3〜図6に示すような各回転位置へ変位されるのに応じて、電極7〜10のうちの異なる2電極間が橋絡される。つまり、検出スイッチ5は、イグニッションキー1が図3〜図6に示したような異なる回転位置へ変位されるのに応じて異なる検出状態を呈する。
【0012】この場合、図3(b)〜図6(b)に示すように、電極7は端子T2に接続され、電極8は端子T1及びT2間に直列接続された分圧用抵抗12a、12bの共通接続点に接続され、電極9は端子T1に接続され、電極10は端子T1及びT2間に直列接続された分圧用抵抗12c、12dの共通接続点に接続されている。尚、分圧用抵抗12a、12bの共通接続点及び分圧用抵抗12c、12dの共通接続点は、夫々検出スイッチ5の出力端子5A及び5Bとして構成されている。
【0013】ここで、上記抵抗12a及び12dの抵抗値は夫々Rに設定され、抵抗12b、12cの抵抗値は夫々2Rとなるように設定されている。従って、端子T1を電圧+Vの電源端子に接続すると共に、端子T2を零電位レベルのグランド端子に接続した場合には、イグニッションキー1が図3〜図6に示すような各回転位置へ変位されるのに応じて、出力端子5A及び5Bから夫々図7に示すようなレベルの電圧信号Ea及びEbが出力される。
【0014】図8には電気的構成が概略的に示されており、以下これについて説明する。即ち、検出スイッチ5は、端子T1が押しボタンスイッチ4を介して電圧+Vの電源端子13に接続され、端子T2がグランド端子に接続されている。従って、押しボタンスイッチ4がオンした状態では、イグニッションキー1が図3〜図6に示すような各回転位置へ変位されるのに応じて、検出スイッチ5の出力端子5A及び5Bから出力される電圧信号Ea及びEbのレベルが図7に示すように変化することになる。
【0015】送信装置6は、押しボタンスイッチ4のオン状態で電源端子13から電源ライン13aを介して給電されるもので、基準電圧発生回路14、信号処理回路15及び送信機16を含んで構成されている。上記基準電圧発生回路14は、電源ライン13a及びグランド端子間に同一抵抗値の抵抗14a、14bを接続して構成されたもので、押しボタンスイッチ4がオンされた状態では、抵抗14a、14bの共通接続点からレベルがV/2の基準電圧信号Ecを出力して信号処理回路15の入力端子Q3に与える。
【0016】信号処理回路15は、入力端子Q1、Q2に検出スイッチ5からの電圧信号Ea、Ebを受けるようになっており、それらの入力信号Ea、Eb及び前記基準電圧信号Ecの電圧レベルに基づいた信号処理を行うことにより、出力端子P1〜P4の何れか一つのみから「H」レベルの送信指令信号を出力する構成となっている。
【0017】このような信号処理回路15の具体例としては、図9のような構成が考えられる。即ち、図9は基本回路構成のみを示すもので、入力端子Q1〜Q3と出力端子P1〜P4との間に、シュミット回路内蔵タイプのインバータ17及び18、コンパレータ19及び20、AND回路21及び22、インバータ23及び24を図示の如く接続することにより構成されている。
【0018】このような信号処理回路15にあっては、イグニッションキー1が図3〜図6に示すような各回転位置へ変位されるのに応じて、入力端子Q1、Q2及びQ3に与えられる電圧信号Ea、Eb及びEcのレベルの組み合わせが図10の「入力信号」欄に示すように変化するものであり、これに応じて出力端子P1〜P4からの出力信号が図10の「出力信号」欄に示すように変化する。
【0019】一方、前記送信機16は、アンテナ16aを通じて電波信号の送信動作を行うものであり、上述のように信号処理回路15の出力端子P1〜P4から選択的に出力される送信指令信号(「H」レベルの信号)に応じて以下■〜■のような送信動作を行う構成となっている。
【0020】■…出力端子P1から送信指令信号を受けたときには、ドアロック機構の解錠を指令するための動作指令信号Saを送信する。
【0021】■…出力端子P2から送信指令信号を受けたときには、ドアロック機構の施錠を指令するための動作指令信号Sbを送信する。
【0022】■…出力端子P3から送信指令信号を受けたときには、図示しないパワーウインドレギュレータによってウインドガラスを上方(閉鎖方向)へ移動させるための動作指令信号Scを送信する。
【0023】■…出力端子P4から送信指令信号を受けたときには、図示しないパワーウインドレギュレータによってウインドガラスを下方(開放方向)へ移動させるための動作指令信号Sdを送信する。
【0024】以上要するに、送信装置6は、イグニッションキー1が図3(a)〜図6(a)に示すような4種類の回転位置に存した状態で押しボタンスイッチ4がオン操作されたときに、検出スイッチ5の4種類の検出状態と予め対応付けられた異なる種類の動作指令信号Sa、Sb、Sc、Sdを電波信号として送信するものである。
【0025】一方、図示しないが、前記ドアロック機構及びパワーウインドレギュレータを備えた自動車側には、動作指令信号Sa、Sb、Sc、Sdを受信するための受信装置が設けられており、この受信装置は、動作指令信号Saを受信したときにドアロック機構の解錠動作を実行し、動作指令信号Sbを受信したときにドアロック機構の施錠動作を実行し、動作指令信号Scを受信したときにパワーウインドレギュレータを駆動してウインドガラスを上方へ移動させ、動作指令信号Sdを受信したときにパワーウインドレギュレータを駆動してウインドガラスを下方へ移動させる構成となっている。
【0026】上記した本実施例によれば、携帯型送信装置を構成するイグニッションキー1から4種類の動作指令信号Sa〜Sdを送信するに当たって、キーグリップ部2に1個の押しボタンスイッチ4を設けるだけで済むものであるから、その押しボタンスイッチ4の操作性を良好な状態に設定できるようになり、しかも従来のようにキーグリップ部2に多数の操作スイッチを設ける必要がなくなるから、そのキーグリップ部2の剛性が低下したり、キーグリップ部2のデザイン上の制約が多くなったりする虞がなくなるものである。
【0027】尚、信号処理回路15は、上記実施例のような構成に限定されないことは勿論であり、例えばワンチップCPUを使って上記信号処理回路15と同等の機能を得るように構成しても良いものである。
【0028】また、動作指令信号による制御対象負荷は、ドアロック機構及びパワーウインドレギュレータに限られるものではなく、トランクリッド用ロック機構などの制御にも適用できるものである。さらに、上記実施例では、操作スイッチとして1個の押しボタンスイッチ4を設ける構成としたが、操作スイッチの配置スペースに余裕がある場合、つまり操作スイッチを2個以上設けた場合でも操作性が悪化する虞がない場合には、操作スイッチ数を増やすことにより、送信可能な動作指令信号の種類を大幅に増加させることが可能になるものである。
【0029】加えて、検出スイッチ5は上記実施例の構成に限定されることはないものであり、例えば本発明の第2実施例を示す図11、図12に示すような構成の検出スイッチ25を検出手段として用いても良い。
【0030】即ち、図11、図12において、検出スイッチ25は、誘電体製の円筒状ケース26の外周面に4個の電極27a〜27dを互いの間にギャップを存した状態で配設すると共に、その円筒状ケースの両端面に夫々電極27eを配設し、さらに円筒状ケース26内に水銀28を封入した構成となっている。このように構成された検出スイッチ25を前記第1実施例のようにイグニッションキー1に内蔵させる構成とすれば、そのイグニッションキー1の回転に応じて水銀28の位置が変化して電極27a〜27dと電極27eとの各間の静電容量が変化するようになるから、このような変化をイグニッションキー1の回転位置の検出に利用できるようになる。
【0031】その他、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、例えば自動車用負荷の制御に限らず、他の一般的な負荷の制御にも適用できるなど、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるものである。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば以上の説明によって明らかなように、送信すべき動作指令信号の種類選択を、本体ケースが異なる回転位置に存するのに応じて異なる検出状態を呈する検出手段を利用して行う構成としたので、多種類の動作指令信号を送信可能な構成のものでありながら、必要となる操作スイッチ数を大幅に減らすことができ、以て操作性の向上を実現できると共に、操作スイッチが設けられる本体ケースの剛性が低下する事態並びにデザイン上の自由度が制約される事態を未然に防止し得るという優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す全体の斜視図
【図2】検出スイッチの斜視図
【図3】イグニッションキーの回転位置と検出スイッチの検出状態との関係を示す図その1
【図4】イグニッションキーの回転位置と検出スイッチの検出状態との関係を示す図その2
【図5】イグニッションキーの回転位置と検出スイッチの検出状態との関係を示す図その3
【図6】イグニッションキーの回転位置と検出スイッチの検出状態との関係を示す図その4
【図7】検出スイッチの出力例を示す図
【図8】電気的構成を概略的に示す図
【図9】要部の電気的構成を示す回路構成図
【図10】図9の回路構成による信号処理結果を示す図
【図11】本発明の第2実施例を示す検出スイッチの横断面図
【図12】検出スイッチの縦断面図
【符号の説明】
図中、1はイグニッションキー(携帯型送信装置)、2はキーグリップ部(本体ケース)、4は押しボタンスイッチ(操作スイッチ)、5は検出スイッチ(検出手段)、6は送信装置(送信手段)、14は基準電圧発生回路、15は信号処理回路、16は送信機、25は検出スイッチ(検出手段)を示す。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空中伝播信号より成る複数種類の動作指令信号を送信するための携帯型送信装置、特には自動車用ロック機構のような負荷をワイヤレス制御するような用途に好適する携帯型送信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車用のドアロック機構においては、これをワイヤレス制御することが行われている。即ち、このようなワイヤレス制御は、固有の識別コードを含む動作指令信号を空中伝播信号(例えば電波)により送信可能な携帯型送信装置と、自動車ボディ側に設けられた受信装置とを組み合わせて実現されるものであり、上記受信装置は、携帯型送信装置からの動作指令信号に基づいてドアロック機構の解錠及び施錠動作を選択的に行うように構成される。
【0003】この場合、近年では、前記携帯型送信装置をイグニッションキーのグリップ部に内蔵することにより、その携帯性の向上を図ることが一般的になっており、そのキーグリップ部には、動作指令信号を送信するときに押圧操作される押しボタンスイッチが配設される。また、ドアロック機構の解錠動作及び施錠動作を確実に行うために、携帯型送信装置から解錠用及び施錠用の2種類の動作指令信号を出力する構成とすることが一般的になっており、このためキーグリップ部には解錠用及び施錠用の2個の押しボタンスイッチが設けられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】キーグリップ部は、その表面積が比較的小さいという背景事情があり、このためキーグリップ部に2個の押しボタンスイッチを配置する従来構成では、その操作性が悪化することが避けられない。特に、付加価値を高めるべく、携帯型送信装置に他の自動車用負荷(トランクリッド用ロック機構、パワーウインドレギュレータなど)の制御機能をも持たせる場合、つまり送信可能な動作指令信号の種類を増やす場合には、キーグリップ部にさらに多数の押しボタンスイッチを設ける必要が生じ、結果的に操作性の大幅な低下を招くばかりか、キーグリップ部の剛性が低下したり、キーグリップ部のデザイン上の制約が多くなるなどの問題点も招くことになる。
【0005】そこで、本発明の目的は、多種類の動作指令信号を送信可能な構成のものでありながら、必要となる操作スイッチ数を大幅に減らすことができ、以て操作性の向上を実現できると共に、操作スイッチが設けられる本体ケースの剛性が低下する事態並びにデザイン上の自由度が制約される事態を未然に防止し得るなどの効果を奏する携帯型送信装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、受信装置に対して空中伝播信号より成る複数種類の動作指令信号を送信するための携帯型送信装置において、本体ケースに外部操作可能な操作スイッチを設けると共に、その本体ケースにこれが異なる回転位置に存するのに応じて異なる検出状態を呈する検出手段を収納し、さらに前記本体ケース内に前記操作スイッチのオンに応じて前記検出手段の検出状態と予め対応付けられた前記動作指令信号を発生する送信手段を設ける構成としたものである。
【0007】
【作用】本体ケースを所望の回転位置に保持した状態で操作スイッチをオン操作すると、送信手段が、検出手段の検出状態と予め対応付けられた動作指令信号を空中伝播信号により送信するようになる。本体ケースを上述とは異なる回転位置に保持した状態、つまり検出手段による検出状態を異ならせた状態で操作スイッチをオン操作すると、送信手段が、上述とは異なる種類の動作指令信号を空中伝播信号により送信するようになる。
【0008】
【実施例】以下、本発明を自動車用負荷の制御に適用した第1実施例について図1〜図10を参照しながら説明する。
【0009】図1において、携帯型送信装置を兼ねるイグニッションキー1は、本体ケースたる扁平形状のキーグリップ部2とキープレート3とを一体に有した構造となっており、キーグリップ部2の片面側の中央には、操作スイッチたる自動復帰形の押しボタンスイッチ4が外部操作可能に設けられている。また、キーグリップ部2内には、検出手段たる検出スイッチ5が収納されていると共に、送信手段たる送信装置6及び図示しない電源用電池などが収納されている。
【0010】図2には上記検出スイッチ5の概略構成が示されている。即ち、この検出スイッチ5は、絶縁材料製の円筒ケース5aの内周面に、その軸方向へ延びる4本の電極7〜10を互いに等距離ずつ離間させた状態で配設すると共に、その円筒ケース5a内に導電ボール11を転動可能に収納した構成となっている。そして、この検出スイッチ5は、その円筒ケース5aの中心軸線を前記キープレート3の中心軸線と一致(若しくは平行)させ、且つイグニッションキー1が押しボタンスイッチ4を上方に向けた図1のような状態にあるときに電極7、8が下方に位置するような形態でキーグリップ部2内に収納されている。
【0011】これによって、検出スイッチ5にあっては、イグニッションキー1が図3〜図6に示すような各回転位置へ変位されるのに応じて、電極7〜10のうちの異なる2電極間が橋絡される。つまり、検出スイッチ5は、イグニッションキー1が図3〜図6に示したような異なる回転位置へ変位されるのに応じて異なる検出状態を呈する。
【0012】この場合、図3(b)〜図6(b)に示すように、電極7は端子T2に接続され、電極8は端子T1及びT2間に直列接続された分圧用抵抗12a、12bの共通接続点に接続され、電極9は端子T1に接続され、電極10は端子T1及びT2間に直列接続された分圧用抵抗12c、12dの共通接続点に接続されている。尚、分圧用抵抗12a、12bの共通接続点及び分圧用抵抗12c、12dの共通接続点は、夫々検出スイッチ5の出力端子5A及び5Bとして構成されている。
【0013】ここで、上記抵抗12a及び12dの抵抗値は夫々Rに設定され、抵抗12b、12cの抵抗値は夫々2Rとなるように設定されている。従って、端子T1を電圧+Vの電源端子に接続すると共に、端子T2を零電位レベルのグランド端子に接続した場合には、イグニッションキー1が図3〜図6に示すような各回転位置へ変位されるのに応じて、出力端子5A及び5Bから夫々図7に示すようなレベルの電圧信号Ea及びEbが出力される。
【0014】図8には電気的構成が概略的に示されており、以下これについて説明する。即ち、検出スイッチ5は、端子T1が押しボタンスイッチ4を介して電圧+Vの電源端子13に接続され、端子T2がグランド端子に接続されている。従って、押しボタンスイッチ4がオンした状態では、イグニッションキー1が図3〜図6に示すような各回転位置へ変位されるのに応じて、検出スイッチ5の出力端子5A及び5Bから出力される電圧信号Ea及びEbのレベルが図7に示すように変化することになる。
【0015】送信装置6は、押しボタンスイッチ4のオン状態で電源端子13から電源ライン13aを介して給電されるもので、基準電圧発生回路14、信号処理回路15及び送信機16を含んで構成されている。上記基準電圧発生回路14は、電源ライン13a及びグランド端子間に同一抵抗値の抵抗14a、14bを接続して構成されたもので、押しボタンスイッチ4がオンされた状態では、抵抗14a、14bの共通接続点からレベルがV/2の基準電圧信号Ecを出力して信号処理回路15の入力端子Q3に与える。
【0016】信号処理回路15は、入力端子Q1、Q2に検出スイッチ5からの電圧信号Ea、Ebを受けるようになっており、それらの入力信号Ea、Eb及び前記基準電圧信号Ecの電圧レベルに基づいた信号処理を行うことにより、出力端子P1〜P4の何れか一つのみから「H」レベルの送信指令信号を出力する構成となっている。
【0017】このような信号処理回路15の具体例としては、図9のような構成が考えられる。即ち、図9は基本回路構成のみを示すもので、入力端子Q1〜Q3と出力端子P1〜P4との間に、シュミット回路内蔵タイプのインバータ17及び18、コンパレータ19及び20、AND回路21及び22、インバータ23及び24を図示の如く接続することにより構成されている。
【0018】このような信号処理回路15にあっては、イグニッションキー1が図3〜図6に示すような各回転位置へ変位されるのに応じて、入力端子Q1、Q2及びQ3に与えられる電圧信号Ea、Eb及びEcのレベルの組み合わせが図10の「入力信号」欄に示すように変化するものであり、これに応じて出力端子P1〜P4からの出力信号が図10の「出力信号」欄に示すように変化する。
【0019】一方、前記送信機16は、アンテナ16aを通じて電波信号の送信動作を行うものであり、上述のように信号処理回路15の出力端子P1〜P4から選択的に出力される送信指令信号(「H」レベルの信号)に応じて以下
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】以上要するに、送信装置6は、イグニッションキー1が図3(a)〜図6(a)に示すような4種類の回転位置に存した状態で押しボタンスイッチ4がオン操作されたときに、検出スイッチ5の4種類の検出状態と予め対応付けられた異なる種類の動作指令信号Sa、Sb、Sc、Sdを電波信号として送信するものである。
【0025】一方、図示しないが、前記ドアロック機構及びパワーウインドレギュレータを備えた自動車側には、動作指令信号Sa、Sb、Sc、Sdを受信するための受信装置が設けられており、この受信装置は、動作指令信号Saを受信したときにドアロック機構の解錠動作を実行し、動作指令信号Sbを受信したときにドアロック機構の施錠動作を実行し、動作指令信号Scを受信したときにパワーウインドレギュレータを駆動してウインドガラスを上方へ移動させ、動作指令信号Sdを受信したときにパワーウインドレギュレータを駆動してウインドガラスを下方へ移動させる構成となっている。
【0026】上記した本実施例によれば、携帯型送信装置を構成するイグニッションキー1から4種類の動作指令信号Sa〜Sdを送信するに当たって、キーグリップ部2に1個の押しボタンスイッチ4を設けるだけで済むものであるから、その押しボタンスイッチ4の操作性を良好な状態に設定できるようになり、しかも従来のようにキーグリップ部2に多数の操作スイッチを設ける必要がなくなるから、そのキーグリップ部2の剛性が低下したり、キーグリップ部2のデザイン上の制約が多くなったりする虞がなくなるものである。
【0027】尚、信号処理回路15は、上記実施例のような構成に限定されないことは勿論であり、例えばワンチップCPUを使って上記信号処理回路15と同等の機能を得るように構成しても良いものである。
【0028】また、動作指令信号による制御対象負荷は、ドアロック機構及びパワーウインドレギュレータに限られるものではなく、トランクリッド用ロック機構などの制御にも適用できるものである。さらに、上記実施例では、操作スイッチとして1個の押しボタンスイッチ4を設ける構成としたが、操作スイッチの配置スペースに余裕がある場合、つまり操作スイッチを2個以上設けた場合でも操作性が悪化する虞がない場合には、操作スイッチ数を増やすことにより、送信可能な動作指令信号の種類を大幅に増加させることが可能になるものである。
【0029】加えて、検出スイッチ5は上記実施例の構成に限定されることはないものであり、例えば本発明の第2実施例を示す図11、図12に示すような構成の検出スイッチ25を検出手段として用いても良い。
【0030】即ち、図11、図12において、検出スイッチ25は、誘電体製の円筒状ケース26の外周面に4個の電極27a〜27dを互いの間にギャップを存した状態で配設すると共に、その円筒状ケースの両端面に夫々電極27eを配設し、さらに円筒状ケース26内に水銀28を封入した構成となっている。このように構成された検出スイッチ25を前記第1実施例のようにイグニッションキー1に内蔵させる構成とすれば、そのイグニッションキー1の回転に応じて水銀28の位置が変化して電極27a〜27dと電極27eとの各間の静電容量が変化するようになるから、このような変化をイグニッションキー1の回転位置の検出に利用できるようになる。
【0031】その他、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、例えば自動車用負荷の制御に限らず、他の一般的な負荷の制御にも適用できるなど、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるものである。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば以上の説明によって明らかなように、送信すべき動作指令信号の種類選択を、本体ケースが異なる回転位置に存するのに応じて異なる検出状態を呈する検出手段を利用して行う構成としたので、多種類の動作指令信号を送信可能な構成のものでありながら、必要となる操作スイッチ数を大幅に減らすことができ、以て操作性の向上を実現できると共に、操作スイッチが設けられる本体ケースの剛性が低下する事態並びにデザイン上の自由度が制約される事態を未然に防止し得るという優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す全体の斜視図
【図2】検出スイッチの斜視図
【図3】イグニッションキーの回転位置と検出スイッチの検出状態との関係を示す図その1
【図4】イグニッションキーの回転位置と検出スイッチの検出状態との関係を示す図その2
【図5】イグニッションキーの回転位置と検出スイッチの検出状態との関係を示す図その3
【図6】イグニッションキーの回転位置と検出スイッチの検出状態との関係を示す図その4
【図7】検出スイッチの出力例を示す図
【図8】電気的構成を概略的に示す図
【図9】要部の電気的構成を示す回路構成図
【図10】図9の回路構成による信号処理結果を示す図
【図11】本発明の第2実施例を示す検出スイッチの横断面図
【図12】検出スイッチの縦断面図
【符号の説明】
図中、1はイグニッションキー(携帯型送信装置)、2はキーグリップ部(本体ケース)、4は押しボタンスイッチ(操作スイッチ)、5は検出スイッチ(検出手段)、6は送信装置(送信手段)、14は基準電圧発生回路、15は信号処理回路、16は送信機、25は検出スイッチ(検出手段)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 受信装置に対して空中伝播信号より成る複数種類の動作指令信号を送信するためのものにおいて、本体ケースに外部操作可能に設けられた操作スイッチと、前記本体ケースに収納されその本体ケースが異なる回転位置に存するのに応じて異なる検出状態を呈する検出手段と、前記本体ケース内に設けられ前記操作スイッチのオンに応じて前記検出手段の検出状態と予め対応付けられた前記動作指令信号を発生する送信手段とを備えたことを特徴とする携帯型送信装置。
【請求項1】 受信装置に対して空中伝播信号より成る複数種類の動作指令信号を送信するためのものにおいて、本体ケースに外部操作可能に設けられた操作スイッチと、前記本体ケースに収納されその本体ケースが異なる回転位置に存するのに応じて異なる検出状態を呈する検出手段と、前記本体ケース内に設けられ前記操作スイッチのオンに応じて前記検出手段の検出状態と予め対応付けられた前記動作指令信号を発生する送信手段とを備えたことを特徴とする携帯型送信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図10】
【特許番号】第2608215号
【登録日】平成9年(1997)2月13日
【発行日】平成9年(1997)5月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−318432
【出願日】平成3年(1991)11月6日
【公開番号】特開平5−133147
【公開日】平成5年(1993)5月28日
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【登録日】平成9年(1997)2月13日
【発行日】平成9年(1997)5月7日
【国際特許分類】
【出願日】平成3年(1991)11月6日
【公開番号】特開平5−133147
【公開日】平成5年(1993)5月28日
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
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