説明

携帯用丸鋸

【課題】 携帯用丸鋸の切断作業時は、必ず鋸刃の刃先の位置を認識していなければ正確な切断を行うことができない。しかし鋸刃の刃先の位置の認識を行うためには丸鋸本体越しに覗き込む必要が有り体をねじった無理な姿勢を強いられてしまい作業性の低下を招く問題があった。
【解決手段】 作業姿勢のまま鋸刃4の刃先14又は墨線17を目視確認できるベース5の位置に反射板13を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋸刃の刃先の視認性を向上させた携帯用丸鋸に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯用丸鋸の切断作業には、被切断材上に墨線を引き、鋸刃を墨線上に合わせて切断する方法や、図5のように被切断材に丸鋸に設けたガイド14を当接させて切断位置を決めた状態で切断する方法がある。前者の場合には、鋸刃の刃先を墨線に合わせながら切断を行うものであった。また、後者の場合には、被切断材の切断する位置に鋸刃の刃先を合わせてから、ガイドを調整し被切断材の側面に当接させ切断を行うものであった。これらの切断作業時には必ず鋸刃の刃先の位置を確認しながらでないと正確な切断位置を切断することができなかった。また、鋸刃の刃先の位置を確認するためには丸鋸本体越しに刃先を覗き込む必要が有り、作業者は体をねじった無理な姿勢を強いられてしまい作業性の低下を招く問題があった。
【0003】
そこで、この問題を解決する構成として、特許文献1及び特許文献2には、鋸刃の刃先を照らす照明装置を設けた携帯用丸鋸が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−170203号公報
【特許文献2】特開2002−210703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び特許文献2に開示されている携帯用丸鋸は、照明装置を設けて鋸刃の刃先付近を照らすことにより、光量が足りない現場等であっても被切断材に引かれた墨線及び鋸刃の刃先を視認することができる。しかしながら、墨線及び鋸刃の刃先を見やすくすることができるものの、墨線を確認するためには丸鋸本体越しに覗き込む必要があり作業性の低下を招くことを防止することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、上記した問題を解決し、視認性を向上させるとともに、切断作業能率の良い携帯用丸鋸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、電動機を内蔵した本体と、該本体に回転可能に取付けられ前記電動機により駆動されて被切断材を切断する鋸刃と、前記本体の下方に回動可能に取付けられ前記被切断材に当接するベースとを備えた携帯用丸鋸において、前記ベースに前記鋸刃の前記被切断材に対する切断位置を確認するための反射板を設けた携帯用丸鋸を提供している。
【0008】
この構成により、作業者が丸鋸本体越しに墨線を覗き込まなくても墨線又は鋸刃の刃先が反射板に映るため、作業姿勢のまま切断位置を確認することができ、視認性を向上できると共に作業性を向上することができる。
【0009】
また、前記鋸刃の前記被切断材に対する切断位置を照らす照明装置を有し、前記反射板が、該照明装置の光を反射して前記鋸刃の刃先付近を照射可能にすることが好ましい。
【0010】
この構成にすれば、照明装置により切断位置を照らすことができるため、光量が足りない場所でも視認性を確保することができる。
【0011】
また、前記反射板は、少なくとも前記ベースの切断方向側に設けることが好ましい。この構成にすれば、切断方向の墨線を確実に視認することができる。
【0012】
また、前記鋸刃の反ベース側を覆う保護カバーを有し、前記照明装置は、前記反射板と対向する位置であって該保護カバーに設けられることが好ましい。この構成にすれば、照射装置からの光を直接反射板で反射できるため、光量が足りない場所での視認性をより一層確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、鏡面板を通して鋸刃の刃先又は墨線を目視確認できるので、視認性が向上し切断作業性の良い携帯用丸鋸を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態による携帯用丸鋸について図1乃至図3を用いて説明する。
【0015】
まず、携帯用丸鋸の構成について説明する。図1に示されるように、携帯用丸鋸1は、不図示の電動機となるモータを内蔵したハウジング2と、作業者が把持するハンドル3と、被切断材を切断する鋸刃4と、被切断材と当接するベース5とから主に構成されている。
【0016】
ハウジング2には、ハンドル3が設けられ、モータの回転を鋸刃4に伝達するための不図示の減速装置が収容されている。ハンドル3には、モータの駆動を制御するスイッチ6と、照明装置7のオン/オフを制御する照明スイッチ8が設けられている。よって、作業者がハンドル3を把持しスイッチ6をオンすることにより、モータの回転が減速装置を介して鋸刃4に伝達され被切断材を切断することができる。
【0017】
鋸刃4の反ベース5側の略半分は保護カバー9で覆われており、鋸刃4のベース5から下方に突出する部分は安全カバー10で覆われている。安全カバー10は軸11を中心に回動可能に設けられており、ベース5を被切断材に当接し丸鋸1を切断方向に摺動した際に被切断材に当接して回動する。また、安全カバー10に設けたレバー12により、任意に安全カバー10を回動することもできる。
【0018】
ベース5には反射板13が設けられている。反射板13は、ベース5の切断方向前側であって、鋸刃4の側面側にベース5に対して傾斜して設けられており、作業者が作業姿勢のままでも鋸刃4の刃先14又は墨線17を目視確認できる位置に設けられている。更に、保護カバー9の切断方向前側の部分には、照明装置7が設けられている。照明装置7には不図示の電線により電力源から電力供給を受けるLED15が収納されており、鋸刃4の両側面側から鋸刃4の刃先14又は墨線17を照らすためのLED15が2つ設けられている。丸鋸1のスイッチ6とは別に設けた照明スイッチ8をオンすることでLED15は点灯して鋸刃4の刃先部15を照射することができる。この時、LED15から照射された光が反射板13で反射して鋸刃4の刃先14付近又は墨線13を照らすため鋸刃4の刃先14の視認性が向上する。なお、照明装置7は、反射板13に対向する保護カバー9の位置に設けられている。
【0019】
次に、携帯用丸鋸1による被切断材の切断動作について説明する。作業者がハンドル3を把持し、被切断材16上にベース5を当接させ、ハンドル3に設けたスイッチ6をオンする。ハウジング2に内蔵したモーターの回転は不図示の減速装置を介して鋸刃4に伝達され、鋸刃4の回転により鋸刃4の刃先14を墨線17に合わながら木材などの被切断材16を切断する。この時、ベース5には鏡面板13が設けられており、反射板13により鋸刃4の刃先14又は墨線17が映し出されるため、作業者は作業姿勢のまま反射板13を介して鋸刃4の刃先14を目視確認することができる。
【0020】
また、鋸刃4の反ベース5側を覆う保護カバー9の切断方向前側であって反射板13と対向する位置には、照明装置7が設けられているため、ハンドル3に設けた照明スイッチ8をオンすることにより、暗い場所での作業でも照射装置7のLED15からの光が反射板13で反射されて鋸刃4の刃先14又は墨線17を照らすため、視認性を損なうこなく切断作業をすることができる。
【0021】
なお、本実施の形態では、図3に示すように、反射板13は、ベース5の鋸刃4の片方の側面側にのみ設けた構成にしたが、鋸刃4の両側面側に設ければ、鋸刃4に対し左右どちらの方向からでも刃先14を目視し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態としての携帯用丸鋸の外観斜視図。
【図2】本発明の実施の形態としての携帯用丸鋸の鋸刃側から見た側面図。
【図3】本発明の実施の形態としての図2のA−A断面図。
【図4】本発明の実施の形態としての切断作業状態を示す図。
【図5】従来技術における携帯用丸鋸の外観斜視図。
【符号の説明】
【0023】
1は携帯用丸鋸、2はハウジング、3はハンドル、4は鋸刃、5はベース、6はスイッチ、7は照明装置、8は照明スイッチ、9は保護カバー、10は安全カバー、11は軸、12はレバー、13は反射板、14は刃先、15はLED、16は被切断材、17は墨線、18はガイド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機を内蔵した本体と、該本体に回転可能に取付けられ前記電動機により駆動されて被切断材を切断する鋸刃と、前記本体の下方に回動可能に取付けられ前記被切断材に当接するベースとを備えた携帯用丸鋸において、前記ベースに前記鋸刃の前記被切断材に対する切断位置を確認するための反射板を設けたことを特徴とする携帯用丸鋸。
【請求項2】
前記鋸刃の前記被切断材に対する切断位置を照らす照明装置を有し、前記反射板が、該照明装置の光を反射して前記鋸刃の刃先付近を照射可能にしたことを特徴とする請求項1記載の携帯用丸鋸。
【請求項3】
前記反射板は、少なくとも前記ベースの切断方向側に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の携帯用丸鋸。
【請求項4】
前記鋸刃の反ベース側を覆う保護カバーを有し、前記照明装置は、前記反射板と対向する位置であって該保護カバーに設けられることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の携帯用丸鋸。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−184319(P2009−184319A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29516(P2008−29516)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)