説明

携帯端末用撮像方向表示方法、撮像方向表示機能付き携帯端末、携帯端末用撮像方向表示システム

【課題】地磁気が乱れる状況下でも表示画面上で各種設備を撮像した撮像方向の表示を修正可能に精度良く行わせることができる撮像方向表示機能付き携帯端末を提供する。
【解決手段】この携帯端末1は、管理サーバ2から取得した設備マスタデータを設備データ管理手段9で管理し、屋内の各種設備をカメラ3で撮像して撮像方向を方向センサ5で検出し、設備データ表示手段6によりディスプレイ4の表示画面上で各種設備に設備データを重畳して表示する。携帯端末方向入力手段7は、マスタデータの屋内地図データを表示するとき、地図データ上で携帯端末位置とその携帯端末位置から撮像方向に見える設備に対する携帯端末方向とを地図データ上に重畳して表示し、地磁気が乱れる状況下では、地図データ上で携帯端末位置の表示後に正しい撮像方向を示す注視点位置を入力操作すると、その注視点位置の入力に応じて携帯端末方向(撮像方向)を正しく修正表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に屋内の各種設備を撮像しての保守点検時等での適用が好適な携帯端末用撮像方向表示の技術に係り、詳しくは地磁気を利用した方向センサで撮像方向が検出される携帯端末により室内に設置される各種設備を撮像したときの撮像方向を修正可能として、付設される表示部の表示画面上に精度良く行わせるための携帯端末用撮像方向表示方法、撮像方向表示機能付き携帯端末、携帯端末用撮像方向表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末の操作者の方向を測位するための位置情報を扱うシステムでは、携帯端末に搭載した地磁気を利用した方向センサで得られる地磁気データに基づいて方向測位を行っている。最近の携帯端末では、カメラ等の撮像手段を備えるタイプのものが多く、こうした場合の方向センサでは撮像手段による撮像方向が検出される。
【0003】
一般に、屋内の人の位置を検出する周知技術としては、例えば磁気方位センサやジャイロセンサを用いて屋内での人の進行方向及び絶対位置情報の補正を行う「屋内位置検出装置及び屋内位置検出方法」(特許文献1参照)、地磁気検出手段や加速度検出手段を用いて屋内での人(歩行者)の移動方向を推定する「進行方向計測装置及び進行方向計測方法」(特許文献2参照)、カメラの緯度及び経度と姿勢とから撮像データにおける表示情報の内容又は形状を変化させる「コンピュータ・ビジョン・システムのグラフィック・ユーザ・インターフェイス生成装置」(特許文献3参照)等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3915654号公報
【特許文献2】特許第4515497号公報
【特許文献3】特許第4294093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1、特許文献2に係る屋内で方向測位を行う技術は、地磁気を用いた方向センサ、3軸加速度センサ、ジャイロセンサ等を用いており、特許文献3に係る技術は、カメラの位置情報に応じて撮像データ上のフィールド領域の一部や周辺部に表示する情報の内容や形状を変化させるものであるが、これらの技術を携帯端末に適用して屋内の各種設備に対する保守点検等で利用した場合には、操作者が表示画面上で各設備に対する撮像方向(携帯端末方向)の表示を視覚的に容易にして適確に確認し難くなるという問題がある。
【0006】
特に地磁気を利用した方向センサを具備した撮像機能付き携帯端末の場合には、例えば屋内が金属製扉を閉状態にして閉塞したような地磁気の乱れる状況下で使用すると、方向センサで撮像方向が適確に検出されず、表示画面上に対して画像データが誤表示を起こす等、安定した測位精度を維持することが困難となってしまうという問題がある。
【0007】
また、携帯端末で3軸加速度センサやジャイロセンサを用いて方向を推定する場合には、誤差が蓄積し易いためにその補正手段として地磁気センサを用いているが、地磁気センサを用いた場合には上述したように地磁気の乱れる状況下では撮像方向が適確に検出されずに画像データ上で誤表示を起こす等、安定した測位精度を維持することが困難となってしまうため、結果として地磁気が乱れる状況下では精度良く方向測位することができないという問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決すべくなされたもので、その技術的課題の1つは、表示画面上で各設備に対する撮像方向の表示を操作者が視覚的に容易にして適確に確認し得る携帯端末用撮像方向表示方法、撮像方向表示機能付き携帯端末、携帯端末用撮像方向表示システムを提供することにある。
【0009】
また、本発明の技術的課題のもう1つは、方向センサで撮像方向が正しく検出されない地磁気が乱れる状況下でも、表示画面上に撮像方向の表示を修正可能として精度良く行わせることができる携帯端末用撮像方向表示方法、撮像方向表示機能付き携帯端末、携帯端末用撮像方向表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術的課題を解決するため、本発明の第1の手段は、管理サーバ側では、屋内の部屋に設置される複数の設備の各種データに係る設備マスタデータを蓄積して管理する設備マスタデータ管理ステップを有し、携帯端末側では、管理サーバから取得した設備マスタデータに含まれる設備データを蓄積して管理する設備データ管理ステップと、屋内の複数の設備を撮像した撮像データを設備マスタデータに含まれる位置データ、並びに地磁気を利用した方向センサにより撮像時に検出される撮像方向に基づいて付設される表示部の表示画面上に画像データとして表示するとき、当該複数の設備に当該設備データをそれぞれ重畳して表示する設備データ表示ステップと、表示画面上で設備マスタデータに含まれる複数の設備を含む屋内のレイアウトを示す屋内地図データを撮像方向に基づいて表示するとき、当該屋内地図データ上で携帯端末位置と当該携帯端末位置から撮像方向に見える設備に対する携帯端末方向とを重畳して表示する携帯端末方向表示ステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
第2の手段は、第1の手段において、携帯端末方向表示ステップでは、設備データ表示ステップにおける表示画面上の画像データについて、複数の設備に設備データが重畳されない地磁気が乱れる状況下にあって、屋内地図データ上で携帯端末方向の表示後に正しい撮像方向を示す注視点位置を操作者が入力操作したとき、当該注視点位置の入力に応じて携帯端末方向を正しく修正表示することを特徴とする。
【0012】
第3の手段は、第2の手段において、携帯端末側では、携帯端末方向表示ステップで携帯端末方向を正しく修正表示した後、表示画面上で複数の設備に設備データが重畳された修正画像データを表示する修正画像データ表示ステップを有することを特徴とする。
【0013】
第4の手段は、第1の手段〜第4の手段の何れか1つの手段において、携帯端末方向表示ステップでの画像データと携帯端末方向表示ステップでの屋内地図データとを表示画面上で分割させて同時に表示することを特徴とする。
【0014】
第5の手段は、屋内の部屋に設置される複数の設備の各種データに係る設備マスタデータを蓄積して管理する管理サーバから取得した当該設備マスタデータに含まれる設備データを蓄積して管理する設備データ管理手段と、屋内の複数の設備を撮像可能な撮像手段と、撮像手段による撮像方向を地磁気を利用して検出する方向センサと、撮像手段による屋内の複数の設備に係る撮像データを設備マスタデータに含まれる位置データ、並びに方向センサで検出された撮像方向に基づいて画像データとして付設される表示部の表示画面上に表示するとき、当該複数の設備に当該設備データをそれぞれ重畳して表示する設備データ表示手段と、表示画面上で設備マスタデータに含まれる複数の設備を含む屋内のレイアウトを示す屋内地図データを撮像方向に基づいて表示するとき、当該屋内地図データ上で携帯端末位置と当該携帯端末位置から当該撮像方向に見える設備に対する携帯端末方向とを重畳して表示する携帯端末方向入力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
第6の手段は、第5の手段において、携帯端末方向入力手段は、設備データ表示手段により表示した表示画面上の画像データについて、複数の設備に設備データが重畳されない地磁気が乱れる状況下にあって、屋内地図データ上で携帯端末方向の表示後に正しい撮像方向を示す注視点位置を操作者が入力操作したとき、当該注視点位置の入力に応じて携帯端末方向を正しく修正表示することを特徴とする。
【0016】
第7の手段は、第6の手段において、携帯端末方向入力手段は、方向センサが撮像方向を正しく検出できないときに屋内地図データ上で注視点位置を入力させる注視点位置入力処理機能と、携帯端末方向を注視点位置向きへと更新して表示する携帯端末方向更新処理機能と、を有することを特徴とする。
【0017】
第8の手段は、第6の手段又は第7の手段において、設備データ表示手段は、端末方向入力手段により携帯端末方向を正しく修正表示した後、表示画面上で複数の設備に設備データが重畳された修正画像データを表示することを特徴とする。
【0018】
第9の手段は、第5の手段〜第8の手段の何れか1つの手段において、携帯端末方向入力手段は、屋内地図データ上で注視点位置を特定して入力操作するための位置特定入力機能を備えたことを特徴とする。
【0019】
第10の手段は、第5の手段〜第9の手段の何れか1つの手段において、設備データ表示手段及び携帯端末方向入力手段は、表示画面上で画像データと屋内地図データとを分割させて同時に表示可能であることを特徴とする。
【0020】
第11の手段は、第5の手段〜第10の手段の何れか1つの手段に係る撮像方向表示機能付き携帯端末と、管理サーバとを備えて成る携帯端末用撮像方向表示システムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、携帯端末により屋内の各種設備を撮像手段で撮像したとき、方向センサが地磁気を利用していることにより、地磁気が正常状態であれば撮像方向が正しく検出されて表示部の表示画面には屋内地図データ上で携帯端末位置とそれに対して実際に撮像した設備へ向いた正しい携帯端末方向(撮像方向)とが重畳して表示されるため、屋内に設置された各種設備を対象にして操作者(オペレータ)が適確に保守点検等を行うことができる。また、屋内環境が金属製扉等で閉塞されて地磁気が乱れるような異常状態で撮像方向が正しく検出されなくても、操作者が正しい撮像方向を示す注視点位置を表示画面の屋内地図データ上で入力操作すれば、自動的に正しい携帯端末方向(撮像方向)が修正表示され、同様に屋内の各種設備を対象にして適確に保守点検等を行うことができるため、産業上有益となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1に係る携帯端末用撮像方向表示システムの全体的構成を示したブロック図である。
【図2】図1に示す携帯端末用撮像方向表示システムの撮像方向表示機能付き携帯端末に備えられる設備データ表示手段の動作処理を示したフローチャートである。
【図3】図1に示す携帯端末用撮像方向表示システムの撮像方向表示機能付き携帯端末に備えられる携帯端末方向入力手段の動作処理を示したフローチャートである。
【図4】図1に示す携帯端末用撮像方向表示システムの撮像方向表示機能付き携帯端末と同機能の携帯端末を所有する操作者が第1設備、第2設備の設置された地磁気を乱さない非金属製扉を閉状態にして部屋に入ったときの使用形態を例示した模式図である。
【図5】図4で説明した地磁気が乱れない状況下で携帯端末を第1設備に向けて撮像したときのディスプレイの表示画面上で表示される第1設備、第2設備に重畳された第1設備データ、第2設備データを含む画像データを例示したものである。
【図6】図4で説明した地磁気が乱れない状況で携帯端末の携帯端末方向入力手段が起動されたときにディスプレイの表示画面上で表示される携帯端末位置とそれに対する正しい携帯端末方向とを含む屋内地図データを例示したものである。
【図7】図1に示す携帯端末用撮像方向表示システムの撮像方向表示機能付き携帯端末と同機能の携帯端末を所有する操作者が第1設備、第2設備の設置された地磁気を乱す金属製扉を閉状態にして部屋に入ったときの使用形態を例示した模式図である。
【図8】図7で説明した地磁気が乱れた状況下で携帯端末を第1設備に向けて撮像したときのディスプレイの表示画面上で表示される第1設備、第2設備に重畳されずに位置ずれされた第1設備データ、第2設備データを含む画像データを例示したものである。
【図9】図7で説明した地磁気が乱れた状況で携帯端末の携帯端末方向入力手段が起動されたときにディスプレイの表示画面上で表示される携帯端末位置とそれに対する誤った携帯端末方向とを含む屋内地図データを例示したものである。
【図10】図7で説明した地磁気が乱れた状況で携帯端末の携帯端末方向入力手段が起動されて携帯端末位置の表示後にディスプレイの表示画面上で操作者が正しい撮像方向を示す注視点位置を入力操作したときにディスプレイの表示画面上に表示される正しい携帯端末方向を含む屋内地図データを例示したものである。
【図11】図10で例示した正しい撮像方向を示す注視点位置を入力操作した後に設備データ表示手段の働きでディスプレイの表示画面上に参照表示される第1設備、第2設備に重畳された第1設備データ、第2設備データを含む修正画像データを例示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の携帯端末用撮像方向表示方法、撮像方向表示機能付き携帯端末、携帯端末用撮像方向表示システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
最初に、本発明の携帯端末用撮像方向表示方法の技術的概要を簡単に説明する。本発明の携帯端末用撮像方向表示方法は、管理サーバ側では、屋内の部屋に設置される複数の設備の各種データに係る設備マスタデータを蓄積して管理する設備マスタデータ管理ステップを有し、携帯端末側では、管理サーバから取得した設備マスタデータに含まれる設備データを蓄積して管理する設備データ管理ステップと、屋内の複数の設備を撮像した撮像データを設備マスタデータに含まれる位置データ、並びに地磁気を利用した方向センサにより撮像時に検出される撮像方向に基づいて付設される表示部の表示画面上に画像データとして表示するとき、複数の設備に設備データをそれぞれ重畳して表示する設備データ表示ステップと、表示画面上で設備マスタデータに含まれる複数の設備を含む屋内のレイアウトを示す屋内地図データを撮像方向に基づいて表示するとき、屋内地図データ上で携帯端末位置と携帯端末位置から撮像方向に見える設備に対する携帯端末方向とを重畳して表示する携帯端末方向表示ステップと、を有するものである。
【0025】
但し、上記携帯端末方向表示ステップでは、設備データ表示ステップにおける表示画面上の画像データについて、複数の設備に設備データが重畳されない地磁気が乱れる状況下にあって、屋内地図データ上で携帯端末方向の表示後に正しい撮像方向を示す注視点位置を操作者が入力操作したとき、注視点位置の入力に応じて携帯端末方向を正しく修正表示するものである。更に、携帯端末側では、携帯端末方向表示ステップで携帯端末方向を正しく修正表示した後、表示画面上で複数の設備に設備データが重畳された修正画像データを表示する修正画像データ表示ステップを有することが好ましい。何れにしても、携帯端末方向表示ステップでの画像データと携帯端末方向表示ステップでの屋内地図データとを表示画面上で分割させて同時に表示することが好ましい。
【0026】
このような携帯端末用撮像方向表示方法によれば、携帯端末により屋内の各種設備を撮像対象としてカメラ等の撮像手段で撮像したとき、方向センサが地磁気を利用していることにより、地磁気が正常状態であれば撮像方向が正しく検出されて付設される表示部の表示画面には屋内地図データ上で携帯端末位置とそれに対して実際に撮像した設備へ向いた正しい携帯端末方向とが重畳して表示されるため、屋内に設置された各種設備を対象にして操作者(オペレータ)が適確に保守点検等を行うことができる。また、屋内環境が金属製扉等で閉塞されて地磁気が乱れるような異常状態で撮像方向が正しく検出されなくても、操作者が正しい撮像方向を示す注視点位置を表示画面の屋内地図データ上で入力操作すれば、自動的に正しい携帯端末方向が修正表示されるため、同様に屋内の各種設備を対象にして適確に保守点検等を行うことができる。
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明の実施例1に係る携帯端末用撮像方向表示システムの全体的構成を示したブロック図である。
【0028】
この携帯端末用撮像方向表示システムは、屋内の部屋に設置される複数の各種設備についての各種データに係る設備マスタデータを管理する設備管理サーバ2と、上述した携帯端末用撮像方向表示方法が適用された撮像方向表示機能付き携帯端末1と、を備えて構成される。
【0029】
設備管理サーバ2及び携帯端末1は、よく知られているように、CPU、主メモリ、補助記憶部(HDD)等による記憶装置、表示装置、並びにキーボード・マウス等の入出力装置を備えて構成されるものであるが、携帯端末1については表示装置や入出力装置に含まれる入力操作部が表示部やキー操作部として本体部に一体化されて構成される。
【0030】
ここでの撮像方向表示機能付き携帯端末1は、管理サーバ2から取得した設備マスタデータに含まれる設備データを蓄積して管理し、屋内の各種設備を撮像した撮像データを設備マスタデータに含まれる位置データ、並びに地磁気を利用した方向センサにより撮像時に検出される撮像方向に基づいて表示部の表示画面上に画像データとして表示するとき、各設備に設備データをそれぞれ重畳して表示する機能と、表示画面上で設備マスタデータに含まれる各設備を含む屋内のレイアウトを示す屋内地図データを撮像方向に基づいて表示するとき、屋内地図データ上で携帯端末位置と携帯端末位置から撮像方向に見える設備に対する携帯端末方向とを重畳して表示する機能と、を持つものである。
【0031】
具体的に云えば、管理サーバ2は、複数の設備の各種データに係る設備マスタデータを蓄積して格納した設備マスタデータ用データベース(DB)13と、設備マスタデータ用データベース13における設備マスタデータに含まれる各設備データについての登録・削除・更新等のデータ処理管理を行う設備マスタデータ管理手段12と、携帯端末1に対してその携帯端末1が位置する部屋の各設備に係る設備マスタデータを無線で送信する設備管理サーバ通信手段11と、を備えている。ここでの設備マスタデータには、屋内の各設備を含むレイアウトを示す屋内地図データ、各設備についての位置データ及び名称データが含まれる。
【0032】
携帯端末1は、設備管理サーバ2の設備管理サーバ通信手段11が送信した設備マスタデータを受信する携帯端末通信手段8と、携帯端末通信手段8で受信された設備マスタデータに含まれる各種設備データを設備データ用データベース(DB)10に対して管理する設備データ管理手段9と、設備データ管理手段9により各種設備データが蓄積して格納される設備データ用データベース10と、屋内に設置されている各種設備を撮像する撮像手段としてのカメラ3と、操作者がカメラ3を向けている撮像方向を地磁気を利用して検知する方向センサ5と、カメラ3による各種設備に係る撮像データを設備データ用データベース(DB)10に格納された設備マスタデータに含まれる位置データ、並びに方向センサ5で検出された撮像方向に基づいて画像データとして付設される表示部であるディスプレイ4の表示画面上に表示するとき、各種設備に設備データ管理手段9で管理される設備データ用データベース10の設備データをそれぞれ重畳して表示する設備データ表示手段6と、表示画面上で設備マスタデータに含まれる各設備を含む屋内のレイアウトを示す屋内地図データを撮像方向に基づいて表示するとき、屋内地図データ上で携帯端末位置と携帯端末位置から撮像方向に見える設備に対する携帯端末方向とを重畳して表示する携帯端末方向入力手段7と、を備えている。
【0033】
このうち、携帯端末方向入力手段7は、設備データ表示手段6で表示した表示画面上の画像データについて、各種設備に設備データが重畳されない地磁気が乱れる状況下にあって、屋内地図データ上で携帯端末方向の表示後に正しい撮像方向を示す注視点位置を操作者が入力操作したときにその注視点位置の入力に応じて携帯端末方向を正しく修正表示させる機能を有している。
【0034】
図2は、この携帯端末1に備えられる設備データ表示手段6の動作処理を示したフローチャートである。
【0035】
携帯端末1における設備データ表示手段6では、カメラ3による各種設備に係る撮像データを方向センサ5で検出された撮像方向に基づいて画像データとしてディスプレイ4の表示画面上に表示するとき、設備管理データ管理手段9が管理する各種設備データをディスプレイ4の表示画面上におけるどの位置に表示するかを設備マスタデータに含まれる携帯端末1の位置データ、並びに方向センサ5が検出した撮像方向に基づいて算出する設備データ表示位置計算処理(ステップS1)を行った後、その計算結果に従ってディスプレイ4の表示画面上にカメラ3で撮像した画像データを表示するカメラ画像表示処理(ステップS2)を行う。更に、この後は設備データ表示位置計算処理(ステップS1)で計算して得られた位置に各種設備についての設備データを重畳表示する設備データ重畳表示処理(ステップS3)を行う。
【0036】
図4は、上述した携帯端末1と同機能の携帯端末24を所有する操作者23が第1設備21、第2設備22の設置されている地磁気を乱さない非金属製扉29を閉状態にして部屋に入ったときの使用形態を例示したものである。また、図5は、こうした地磁気が乱れない状況下で携帯端末24を第1設備21に向けて撮像したときのディスプレイ4の表示画面上で表示される第1設備21、第2設備22に重畳された第1設備データ25、第2設備データ26を含む画像データを例示したものである。
【0037】
図4では、屋内環境として、携帯端末24を所有する操作者23が非金属製扉29を閉状態にして閉塞された地磁気の正常状態である部屋に居るときを示しており、こうした場合のディスプレイ4の表示画面上の画像データには、図5に示されるように、第1設備21上に第1設備データ25が正しく表示され、第2設備22上にも第2設備データ26が正しく表示される。
【0038】
一方、図7は、上述した携帯端末1と同機能の携帯端末24を所有する操作者23が第1設備21、第2設備22の設置されている地磁気を乱す金属製扉30を閉状態にして部屋に入ったときの使用形態を例示した模式図である。また、図8は、こうした地磁気が乱れた状況下で携帯端末24を第1設備21に向けて撮像したときのディスプレイ4の表示画面上で表示される第1設備21、第2設備22に重畳されずに位置ずれされた第1設備データ25、第2設備データ26を含む画像データを例示したものである。
【0039】
図7では、別な室内環境として、携帯端末24を所有する操作者23が金属製扉30を閉状態にして閉塞された地磁気の異常状態である部屋に居るときを示しており、こうした場合のディスプレイ4の表示画面上の画像データには、図8に示されるように、第1設備21上に第1設備データ25が正しく表示されずに位置ずれされ、第2設備22上にも第2設備データ26が正しく表示されずに位置ずれされている。
【0040】
図3は、携帯端末1に備えられる携帯端末方向入力手段7の動作処理を示したフローチャートである。
【0041】
携帯端末方向入力手段7の動作処理では、表示画面上で設備マスタデータに含まれる各設備を含む屋内のレイアウトを示す屋内地図データを撮像方向に基づいて画像データから切り替えてディスプレイ4の表示画面上に表示することで屋内地図データ表示処理(ステップS11)を行った後、表示されている屋内地図データ上に携帯端末位置27を重畳して表示することで携帯端末位置表示処理(ステップS12)を行う。この後は、屋内地図データ上で携帯端末位置27に対する方向センサ5が検出した撮像方向を携帯端末方向28として重畳して表示することで携帯端末方向表示処理(ステップS13)を行う。
【0042】
図6は、図4で説明した地磁気が乱れない状況で携帯端末24の携帯端末方向入力手段7が起動されたときにディスプレイ4の表示画面上で表示される携帯端末位置27とそれに対する正しい携帯端末方向(撮像方向)28とを含む屋内地図データを例示したものである。
【0043】
図6では、地磁気が乱れていないために方向センサ5が正しい撮像方向を検出しており、これによって携帯端末方向28は正しく第1設備21の方向を示している。
【0044】
更に、携帯端末方向入力手段7の動作処理では、操作者が方向センサ5の撮像方向の変化や第1設備21、第2設備22に対する第1設備データ25、第2設備データ26の重畳の変化の具合を認知した結果に基づいて、端末方向の修正処理が必要であるか否かを判定(ステップS14)する。
【0045】
この判定の結果、端末方向の修正処理が必要なければ動作処理を終了するが、端末方向の修正処理が必要であれば、引き続いて携帯端末方向入力手段7による修正処理へ移行する。
【0046】
図9は、図7で説明した地磁気が乱れた状況で携帯端末24の携帯端末方向入力手段7が起動されたときにディスプレイ4の表示画面上で表示される携帯端末位置27とそれに対する誤った携帯端末方向(撮像方向)28とを含む屋内地図データを例示したものである。
【0047】
図9では、地磁気の乱れにより方向センサ5が正しい撮像方向を検知できず、図8に示した第1設備21上に第1設備データ25が正しく表示されず、第2設備22上にも第2設備データ26が正しく表示されない場合にそのまま携帯端末方向表示処理(ステップS13)が行われた様子を示しており、こうした場合には屋内地図データ上において、実際には第1設備21の方向を向いているにも拘わらず、第2設備22の方向を向いた誤った携帯端末方向(撮像方向)28が示されるために端末方向の修正処理が必要となる。
【0048】
そこで、携帯端末方向入力手段7では、方向センサ5が撮像方向を正しく検出できずに端末方向の修正処理が必要な場合、注視点位置入力処理機能により屋内地図データ上で注視点位置を入力操作させる携帯端末方向入力処理(ステップS15)を行わせた後、携帯端末方向更新処理機能により携帯端末方向を注視点位置の向きへと更新して表示する携帯端末方向更新処理(ステップS16)を行ってから動作処理を終了する。
【0049】
図10は、図7に示した地磁気が乱れた状況で携帯端末24の携帯端末方向入力手段7が起動されて携帯端末位置27の表示後にディスプレイ4の表示画面上で操作者23が正しい撮像方向を示す注視点位置31を入力操作したときにディスプレイ4の表示画面上に表示される携帯端末位置27とそれに対する正しい携帯端末方向(撮像方向)28とを含む屋内地図データを例示したものである。
【0050】
図10では、携帯端末方向入力処理(ステップS15)によりディスプレイ4の表示画面上に表示されている屋内地図データ上で正しい注視点位置31を入力操作すると、携帯端末方向更新処理(ステップS16)が行われて正しい携帯端末方向(撮像方向)28が更新表示(修正表示)される様子を示している。
【0051】
また、こうした場合に携帯端末方向入力手段7からは設備データ表示手段6に対して携帯端末方向28を正しく更新表示した旨が伝送されるため、設備データ表示手段6では設備データ表示位置計算処理(ステップS1)を再度行って正しい設備データ表示位置を計算し、その結果として表示画面上の画像データには、図11に示されるように第1設備21、第2設備22上にそれぞれ正しく第1設備データ25、第2設備データ26が重畳されて表示される。
【0052】
図11は、図10に示した正しい撮像方向を示す注視点位置31を入力操作した後に設備データ表示手段6の働きでディスプレイ4の表示画面上に参照表示される第1設備21、第2設備22に重畳された第1設備データ25、第2設備データ26を含む修正画像データを例示したものである。図11では、図10で説明した正しい撮像方向を示す注視点位置31の入力操作による正しい携帯端末方向(撮像方向)28の更新表示に伴い、画像データについても修正画像データとして表示画面上に修正表示される様子を示している。
【0053】
因みに、注視点位置31の入力操作は、携帯端末方向入力手段7に備えられる屋内地図データ上で注視点位置31を特定して入力操作するための位置特定入力機能により行われるものである。ここでの位置特定入力機能は、具体的にはディスプレイ4の表示画面が例えばタッチパネル式で構築された場合には屋内地図データ上における第1設備21、第2設備22の近傍となる所定箇所へのタッチ操作(図10に示す例では第1設備21近傍へのタッチ操作)により行えば良く、座標入力指示式で構築された場合には携帯端末24に付設されるペン先で押下すれば良い。或いは、係る注視点位置31の入力操作を、屋内地図データ上に対してカーソル指示を行わせるための携帯端末24に付設される操作部における所定キーの押下操作やマウスのクリック操作により行わせても良い。
【0054】
尚、実施例1に係る携帯端末用撮像方向表示システムの撮像方向表示機能付き携帯端末1では、ディスプレイ4の表示画面上で設備データ表示手段6による画像データと携帯端末方向入力手段7による屋内地図データとを切り替えて表示する場合を説明したが、設備データ表示手段6及び携帯端末方向入力手段7に係る処理の結果である画像データと屋内地図データとを表示画面上で分割させて同時に表示させることも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1、24 携帯端末
2 管理サーバ
3 カメラ
4 ディスプレイ
5 方向センサ
6 設備データ表示手段
7 端末方向入力手段
8 携帯端末通信手段
9 設備データ管理手段
10 設備データ用データベース(DB)
11 設備管理サーバ通信手段
12 設備マスタデータ管理手段
13 設備マスタデータ用データベース(DB)
21 第1設備
22 第2設備
23 操作者
25 第1設備データ
26 第2設備データ
27 携帯端末位置
28 携帯端末方向
29 非金属製扉
30 金属製扉
31 注視点位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバ側では、屋内の部屋に設置される複数の設備の各種データに係る設備マスタデータを蓄積して管理する設備マスタデータ管理ステップを有し、
携帯端末側では、前記管理サーバから取得した前記設備マスタデータに含まれる設備データを蓄積して管理する設備データ管理ステップと、前記屋内の前記複数の設備を撮像した撮像データを前記設備マスタデータに含まれる位置データ、並びに地磁気を利用した方向センサにより撮像時に検出される撮像方向に基づいて付設される表示部の表示画面上に画像データとして表示するとき、当該複数の設備に当該設備データをそれぞれ重畳して表示する設備データ表示ステップと、前記表示画面上で前記設備マスタデータに含まれる前記複数の設備を含む屋内のレイアウトを示す屋内地図データを前記撮像方向に基づいて表示するとき、当該屋内地図データ上で携帯端末位置と当該携帯端末位置から当該撮像方向に見える設備に対する携帯端末方向とを重畳して表示する携帯端末方向表示ステップと、を有することを特徴とする携帯端末用撮像方向表示方法。
【請求項2】
請求項1記載の携帯端末用撮像方向表示方法において、前記携帯端末方向表示ステップでは、前記設備データ表示ステップにおける前記表示画面上の前記画像データについて、前記複数の設備に前記設備データが重畳されない地磁気が乱れる状況下にあって、前記屋内地図データ上で前記携帯端末方向の表示後に正しい撮像方向を示す注視点位置を操作者が入力操作したとき、当該注視点位置の入力に応じて前記携帯端末方向を正しく修正表示することを特徴とする携帯端末用撮像方向表示方法。
【請求項3】
請求項2項記載の携帯端末用撮像方向表示方法において、前記携帯端末側では、前記携帯端末方向表示ステップで前記携帯端末方向を正しく修正表示した後、前記表示画面上で前記複数の設備に前記設備データが重畳された修正画像データを表示する修正画像データ表示ステップを有することを特徴とする携帯端末用撮像方向表示方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項記載の携帯端末用撮像方向表示方法において、前記携帯端末方向表示ステップでの前記画像データと前記携帯端末方向表示ステップでの前記屋内地図データとを前記表示画面上で分割させて同時に表示することを特徴とする携帯端末用撮像方向表示方法。
【請求項5】
屋内の部屋に設置される複数の設備の各種データに係る設備マスタデータを蓄積して管理する管理サーバから取得した当該設備マスタデータに含まれる設備データを蓄積して管理する設備データ管理手段と、前記屋内の前記複数の設備を撮像可能な撮像手段と、前記撮像手段による撮像方向を地磁気を利用して検出する方向センサと、前記撮像手段による前記屋内の前記複数の設備に係る撮像データを前記設備マスタデータに含まれる位置データ、並びに前記方向センサで検出された前記撮像方向に基づいて画像データとして付設される表示部の表示画面上に表示するとき、当該複数の設備に当該設備データをそれぞれ重畳して表示する設備データ表示手段と、前記表示画面上で前記設備マスタデータに含まれる前記複数の設備を含む屋内のレイアウトを示す屋内地図データを前記撮像方向に基づいて表示するとき、当該屋内地図データ上で携帯端末位置と当該携帯端末位置から当該撮像方向に見える設備に対する携帯端末方向とを重畳して表示する携帯端末方向入力手段と、を備えたことを特徴とする撮像方向表示機能付き携帯端末。
【請求項6】
請求項5記載の撮像方向表示機能付き携帯端末において、前記携帯端末方向入力手段は、前記設備データ表示手段により表示した前記表示画面上の前記画像データについて、前記複数の設備に前記設備データが重畳されない地磁気が乱れる状況下にあって、前記屋内地図データ上で前記携帯端末方向の表示後に正しい撮像方向を示す注視点位置を操作者が入力操作したとき、当該注視点位置の入力に応じて前記携帯端末方向を正しく修正表示することを特徴とする撮像方向表示機能付き携帯端末。
【請求項7】
請求項6記載の撮像方向表示機能付き携帯端末において、前記携帯端末方向入力手段は、前記方向センサが前記撮像方向を正しく検出できないときに前記屋内地図データ上で前記注視点位置を入力させる注視点位置入力処理機能と、前記携帯端末方向を前記注視点位置向きへと更新して表示する携帯端末方向更新処理機能と、を有することを特徴とする撮像方向表示機能付き携帯端末。
【請求項8】
請求項6又は7記載の撮像方向表示機能付き携帯端末において、前記設備データ表示手段は、前記端末方向入力手段により前記携帯端末方向を正しく修正表示した後、前記表示画面上で前記複数の設備に前記設備データが重畳された修正画像データを表示することを特徴とする撮像方向表示機能付き携帯端末。
【請求項9】
請求項5〜8の何れか1項記載の撮像方向表示機能付き携帯端末において、前記携帯端末方向入力手段は、前記屋内地図データ上で前記注視点位置を特定して入力操作するための位置特定入力機能を備えたことを特徴とする撮像方向表示機能付き携帯端末。
【請求項10】
請求項5〜9の何れか1項記載の撮像方向表示機能付き携帯端末において、前記設備データ表示手段及び前記携帯端末方向入力手段は、前記表示画面上で前記画像データと前記屋内地図データとを分割させて同時に表示可能であることを特徴とする撮像方向表示機能付き携帯端末。
【請求項11】
請求項5〜10の何れか1項記載の撮像方向表示機能付き携帯端末と、前記管理サーバと、を備えて成ることを特徴とする携帯端末用撮像方向表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−195749(P2012−195749A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57898(P2011−57898)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】