説明

搾乳室及びそれを操作する方法

【課題】 動物を搾乳するための装置を提供する。
【解決手段】 少なくとも第一及び第二ロボット操作装置(100,200)、及びロボット操作装置(100,200)に対して可動なプラットホーム(3)上に設けられた複数の搾乳房(5)を含む搾乳室(1)であって、少なくとも第一及び第二ロボット操作装置(100,200)がプラットホーム(3)上の隣接搾乳房(5)を同時に使用可能にすることができるように配置されているものにおいて、少なくとも第一及び第二ロボット操作装置(100,200)のそれぞれ一つが、搾乳房(5)内の同じ動物(7)に、搾乳房(5)内の前記動物(7)の乳首に取り付けられる乳首カップ(21)の合計必要数の一部を、取り付けるように操作可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搾乳室及びそれを操作する方法に関し、特に、限定されないが、乳牛のような動物を搾乳するための回転搾乳室及びそれを操作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酪農産業で知られている搾乳室には多数のタイプがあり、本発明は回転搾乳室と一般的に呼ばれるものに特に関連するものである。このタイプの室は、回転環状プラットホーム上に円形形状に配置された比較的多数の搾乳房を備えており、多数の動物を取扱うのに特に使用されるものである。プラットホームは比較的一定の低速度で回転し、従って乳牛は静止保持区画からプラットホーム上に容易に踏み入れることができ、かつそれにより房に接近できる。もし作業者により必要であると思われたら、乳牛がプラットホームに入る(または出る)ために十分な時間を与えるためにプラットホームの回転運動は一時的に停止されることができる。そのときプラットホームの連続回転は、搾乳工程を開始可能にするように作業者がある仕事(例えば乳首浄化及び乳首上への乳首カップの装着)を実施して搾乳工程を開始可能にすることができる位置に房を動かす。回転速度は、房が乳牛入場位置(この位置では乳牛はプラットホーム上に入ることができる)から乳牛退出位置(この位置では乳牛はプラットホームを離れることを許容される)に動かされる時間までに搾乳工程が完了されるようなものである。乳牛入場及び退出点は、乳牛が搾乳房内で費やす時間を最大とするように互いに隣接している。
【0003】
プラットホーム回転を必ずしも停止せずに乳牛が絶えず回転室に入場かつ退出することができることは理解されるであろう。これは多数の乳牛を取扱い可能にする。また、プラットホームの動きが、乳牛が順番に作業者にもたらされる結果となることは理解されるであろう。従って、作業者は、一つの位置に留まることができ、間断なく本質的な搾乳仕事に集中することができる。
【0004】
二つの主要なタイプの回転搾乳室システムがあり、それらは平行回転システム及び杉綾模様の回転システムと呼ばれることができる。
【0005】
杉綾模様の回転システムでは、乳牛は、房内で環状回転プラットホームの外側に向いて略回転方向に斜めに面して立つ。一人より多い作業者が回転プラットホームの内側に立ち、それにより各乳牛の側面に良好な接近を与えられる。搾乳器具はプラットホームの内側縁の各乳牛の側に配置される。
【0006】
平行回転システムでは、乳牛は、プラットホームの回転中心に向いて半径方向内向きに面するように回転プラットホームの房内に立つ。回転プラットホームの外側に立つ作業者は、そのとき乳牛が順番に通過するとき各乳牛の後方から作業することができる。乳牛は並んで配置されているので、平行回転システムはより多くの乳牛が同じ空間内に収容されることができる。
【0007】
これらのタイプの回転室のそれぞれにおいて、各搾乳房は四つの乳首カップの一群を備えている。これらの乳首カップは、房内に位置された乳牛が搾乳されることができるようにその乳牛の乳首に取り付けられる。搾乳工程が完了したら、自動引き込みシステムは一般的に四つの乳首カップを同時に乳首から除去するために使用される。かかるシステムはコードを含み、それは乳首カップ群に取り付けられ、かつ乳首カップ群を乳牛から引っ張るように適切な時間に自動的に引き込められる。
【0008】
回転搾乳室と関連した問題は、搾乳房が作業者の届くところを越えて動く前に搾乳房を使用可能にするために限られた量の時間を持つだけであることである。作業者は搾乳房を多数の方法で使用可能にすることができ、例えば作業者は、一般的に乳首カップを貯蔵位置からそれらが搾乳房内に立つ乳牛の乳首に取り付けられる位置に動かすことにより搾乳房を使用可能にするであろう。乳首カップ群は、一般的に搾乳房が著しい距離を動いてしまう前に乳牛の乳首に取り付けられるが、不安定な乳牛による動きのような予知できない出来事が乳首カップ取り付け工程を著しく遅らしうる。これは、人間作業者が搾乳房を使用可能にするときに必ずしも問題ではない。なぜなら作業者は回転プラットホームと共に歩くことができ、かつ遅れを経験している特定の房と共に残ることができるからである。しかし、房を使用可能にする際の遅れは、使用可能にする活動のためにロボット腕が使用されている環境では問題でありうる。これは、ロボット腕が搾乳室内で固定位置を持ち、従って搾乳房がその届くところを越えて全く迅速に動く傾向があるからである。この問題はまた、搾乳房の速度が比較的高いときに特に問題である。これは大きな回転室で見出されることができ、そこでは比較的大きなプラットホーム半径のために所定の角速度に対して房の接線方向の線速度は比較的高いであろう。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第一態様は、少なくとも第一及び第二のロボット操作装置、及びロボット操作装置に対して可動なプラットホーム上に設けられた複数の搾乳房を含む搾乳室であって、少なくとも第一及び第二ロボット操作装置がプラットホーム上の隣接搾乳房を同時に使用可能にする(servicing)ことができるように配置されているものにおいて、少なくとも第一及び第二ロボット操作装置のそれぞれ一つが、搾乳房内の同じ動物に、搾乳房内の前記動物の乳首に取り付けられる乳首カップの合計必要数の一部を、取り付けるように操作可能であることを特徴とする。
【0010】
ロボット操作装置は、それにより乳首カップの必要合計数の予め決められた数を取り付ける。従って、どの特定の動物も少なくとも二つのロボット操作装置によりその乳首に取り付けられた乳首カップを持つことは理解されるであろう。
【0011】
乳首カップは、浄化カップ(動物の乳首を浄化するためのもの)、または搾乳カップ(動物を搾乳するためのもの)であることができる。従って、これらの装置は、純粋に浄化のために、純粋に搾乳のために、またはこれらの工程の組み合わせのために使用されることができる。例えば、ロボット操作装置の第一対は、浄化カップを取り付けかつ除去することにより動物の乳首を浄化するための専用とされることができ、ロボット操作装置の第二対は、搾乳のために搾乳乳首カップを取り付けるために使用されることができる。異なる組み合わせ及び操作もまた可能である。
【0012】
合計必要数の乳首カップの一部のみを取り付けるために各ロボット操作装置を必要とすることにより、各ロボット操作装置が搾乳房を使用可能にするために取られる時間が減らされる。この利益は、もし一つのロボット操作装置が動物の各乳首のための一操作当たりに設けられるなら最大であるが、この利益はまた、もし例えば一対の乳首当たり一つのロボット操作装置が設けられても与えられる。
【0013】
従来のシステムは、一対のロボット操作装置の提供により房を使用可能にすることにおける遅れの上記問題に対処することを求め、これらの操作装置のそれぞれは全ての必要な乳首カップを動物に取り付ける。使用時には、かかる従来技術のシステムのロボット操作装置は同時に隣接房を使用可能にする。これは、その使用可能にする活動を完了した一つのロボット操作装置が、まだ隣接房を使用可能にしているかもしれないさらなるロボット操作装置を過ぎて手の届くように戻らなければならないときにロボット腕の交差に導く。二つのロボット操作装置の衝突を防ぐために、幾つかの運動軸を持つ複雑な伸張性のロボット腕及び複合制御システムが必要である。
【0014】
本発明においては、第一ロボット操作装置は、乳首カップを運搬するための手段、及び前記乳首カップ運搬手段に対して乳首の位置を感知するための手段を含むことができ、第二ロボット操作装置は、乳首カップを運搬するための第二手段、及び前記第二乳首カップ運搬手段に対して乳首の位置を感知するための手段を含むことができ、第一ロボット操作装置の乳首カップ運搬手段に対する第一ロボット操作装置の前記感知手段の相対位置は第二ロボット操作装置の乳首カップ運搬手段に対する第二ロボット操作装置の前記感知手段の相対位置とは異なる。
【0015】
第一ロボット操作装置の感知手段は、第一ロボット操作装置に対して第一方向で感知するように配置されることができ、第二ロボット操作装置の感知手段は第二ロボット操作装置に対して第二方向に感知するように配置されることができ、前記第一及び第二相対方向は互いに反対である。
【0016】
理想的には、第一及び第二ロボット操作装置は、使用時に前記装置が動物の乳首に前記動物の後方から乳首カップを取り付けるようにプラットホームに対して配置され、使用時に第一ロボット操作装置の感知手段は前記装置から動物の略前方に向いた方向に感知し、第二ロボット操作装置の感知手段は前記装置から動物の略後方に向いた方向に感知する。
【0017】
第一ロボット操作装置は、動物の後部乳首の少なくとも一つに乳首カップを取り付けるように操作可能であることができる。第二ロボット操作装置は、動物の前部乳首の少なくとも一つに乳首カップを取り付けるように操作可能であることができる。
【0018】
第一ロボット操作装置の感知手段は、第一ロボット操作装置の乳首カップ運搬手段の一方側に配置されかつ前記乳首カップ運搬手段の一般的方向に感知するように配向され、第二ロボット操作装置の感知手段は、第二ロボット操作装置の乳首カップ運搬手段の一方側に配置されかつ前記乳首カップ運搬手段の一般的方向に感知するように配向されており、第一乳首カップ運搬手段の前記側が第二乳首カップ運搬手段の前記側とは異なる側である。
【0019】
搾乳室は二つの前記第一ロボット操作装置及び二つの前記第二ロボット操作装置を含むことができる。
【0020】
さらに、各感知手段はカメラを含むことができる。
【0021】
本発明では、一つのロボット操作装置は、房を使用可能にするためにさらなるロボット操作装置を過ぎて届くところに戻す必要は決してないであろう。房は、それらが各ロボット操作装置を通過するときに順に使用可能にされる。それにより、二つのロボット操作装置が互いに交差する機会は最少化される。これは、簡単な制御システムと一緒にさらにより簡単なロボット腕の使用を可能にする点で有利である。しかし、以下に述べられるようなさらなる利点を提供するためにより複雑なロボット腕を使用することもなお可能である。
【0022】
本発明の第二態様は、本発明の第一態様による搾乳室を操作する方法を提供し、この方法は、複数のロボット操作装置がプラットホーム上の異なる隣接する搾乳房を同時に使用可能にするように複数のロボット操作装置を制御する工程を含む。
【0023】
搾乳室は、以下に四つのロボット操作装置と複数の搾乳房を含むものとして述べられ、そこでは各ロボット操作装置は搾乳される動物に単一の乳首カップを取り付けるよう操作可能である。ロボット操作装置の活動に関する情報は前記装置から電子的に送られる。前記ロボット操作装置の一つに関する情報は前記ロボット操作装置の他のものに電子的に通信されることができる。理想的には、前記四つのロボット操作装置の活動に関する情報は前記装置間で電子的に変換されることができる。さらに、この情報は、ロボット操作装置の現在のリアルタイム位置及び/またはロボット操作装置により現在使用可能にされている搾乳房内に配置された乳牛に成功裡に取り付けられた乳首カップの数を記録するデータを含むことができる。理想的には、複数の搾乳房はロボット操作装置に対して可動なプラットホーム上に設けられる。
【0024】
搾乳室は、以下に第一ロボット操作装置及びこのロボット操作装置に対して可動なプラットホーム上に設けられた複数の搾乳房を含むものとして述べられ、搾乳室は、使用時に一時に一頭より多い動物のプラットホームへの入場を防ぐ入口をさらに含み、搾乳室は、第一及び第二ロボット操作装置がプラットホーム上の隣接搾乳房を同時に使用可能にすることができるように配置されている第二ロボット操作装置により特徴付けられる。
【0025】
また、以下に述べられているのは、複数のロボット操作装置、このロボット操作装置に対して可動なプラットホーム上に設けられた複数の搾乳房、及び使用時に一時に一頭より多い動物のプラットホームへの入場を防ぐ入口を持つ搾乳室を操作する方法であり、この方法は、前記ロボット操作装置がプラットホーム上の異なる隣接搾乳房を同時に使用可能にするように前記ロボット操作装置を制御する工程を含む。
【0026】
本発明の使用により、ロボット操作装置は搾乳房を使用可能にするために要求される時間を少なくすることは理解されるであろう。本発明はそれによりプラットホーム房の速度を高めることを可能にすることもまた認められるであろう。
【0027】
本発明のさらなる有利な任意の特徴は添付の従属請求項に記載されている。
【0028】
一実施態様では、一つのロボット操作装置の活動に関する情報は別のロボット操作装置に電子的に通信され、かつ前記二つのロボット操作装置間で電子的に交換されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の一実施態様は、添付図面を参照して以下に説明されるであろう。
【0030】
【図1】図1は、本発明による平行回転室の概略透視図である。
【0031】
【図2】図2は、図1に示された回転室の回転プラットホームの概略部分平面図であり、乳首カップを動物に取り付ける前のロボット腕に隣接するプラットホームの一つの房及び乳首カップが取り付けられたプラットホームのさらなる部分を示す。
【0032】
【図3】図3は、四つのロボット腕のそれぞれがそれ自身の機能を実施している、回転時の図1に示された回転室の回転プラットホームの概略部分平面図である。
【0033】
【図4】図4は、腕が前方に面するカメラを備えているタイプのロボット腕の概略部分平面図である。
【0034】
【図5】図5は、図4に示されたタイプのロボット腕の概略部分側面図である。
【0035】
【図6】図6は、腕が後方に面するカメラを備えているさらなるタイプのロボット腕の概略部分平面図である。
【0036】
【図7】図7は、図6に示されたタイプのロボット腕の概略部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明による平行回転室1が添付図面の図1に示されている。室1は、環状形状を持ちかつプラットホーム3に沿って周囲的に並んで配置された50個の搾乳房5を備えている回転プラットホーム3を含む。室1は平行回転タイプのものであるので、房5は、搾乳される乳牛7がプラットホーム3の回転の中心9を向いて半径方向内向きに面する房5内に立つように配置される。使用時には、プラットホーム3は、好適な駆動手段により矢印11により示されたような反時計方向に回転される。
【0038】
図1を参照すると、搾乳される乳牛7は待機区画19内に集まり、房入口点20で一頭ずつプラットホーム3上に歩く。入口点20は、搾乳房5の幅に実質的に等しい幅を持つ動物通路を含む。この幅は乳牛のような動物のために十分であり、この通路を通して快適に歩いて房5中に入るが、二頭の動物が並んで通過するのを許容するほど大きくはない。このようにして、動物はプラットホーム3の房5に同時に入るのを妨げられる。プラットホーム3の回転速度は、乳牛7がプラットホーム3上に踏み入れたり、通過する房5中に歩み入るのに十分低いことは理解されるであろう。また、いったん乳牛7が房5に入ったら、乳牛7が房5から戻るのを防ぐようにプラットホーム3のさらなる回転により房5を閉じる。各房5は、ホースにより通常の搾乳システムに連結された四つの乳首カップを備えている。図2と3を参照して以下により詳細に説明されるように、これらの乳首カップ21a,21b,21c,21dは、電子制御システムにより動かされる四つのロボット腕100,200,300,400により乳牛の乳首23a,23b,23c,23dに自動的に取り付けられる。いったん乳首カップ21が乳首23に取り付けられたら、乳牛7は、プラットホーム3が回転し続ける間に通常の様式で搾乳される。いったん搾乳が完了したら、乳首カップ21は自動乳首カップ引き込みシステム(図示せず)により乳首23から除去され、この引き込みシステムは、各乳首カップ21と関連したホース20を引っ張り、乳首カップ21を乳首カップ貯蔵所27中に引き戻す。
【0039】
図2に示すように、各房5は乳首カップ貯蔵所27を備えており、それは四つの凹所を含み、この凹所中に使用されていないとき四つの乳首カップ21を位置させる。各貯蔵所27は、乳牛7による房5への接近を過度に妨げないようにかつ房内に立つ乳牛7の後方に隣接して配置されるように関連した房5の入口に隣接して設けられている。従って、貯蔵所27は、各ロボット腕100,200,300,400により容易に接近されかつ乳首カップ21の乳首23への貯蔵所27からの容易な動きを可能にするように乳牛7の乳首23に十分接近している既知の貯蔵位置内に乳首カップ21を保持することは理解されるであろう。
【0040】
いったん乳首カップ21が乳首カップ貯蔵所27中に引き込まれたら、乳牛7が位置している搾乳房5はその後すぐに房出口点29(図1参照)に動くであろう。出口点29で、房5は、その中に位置した乳牛7が房5から戻りかつ出口通路31により室1を離れることができるように開放形状に配置される。
【0041】
上述のように、本発明の回転室1は、搾乳される乳牛7の乳首23に乳首カップ21を取り付けるための自動化システムを備えている。この自動化システムは少なくとも二つ、好ましくは四つのロボット腕100,200,300,400及び電子制御システムを含む。この電子制御システムは、ロボット腕100,200,300,400の動きをプラットホーム3の回転運動と整合させることを可能にする。回転速度及び位置及びプラットホーム3の回転方向を監視するための好適な手段が設けられ(図示せず)、この情報がロボット腕100,200,300,400と関連房5の間の動きと整合する精度を確保するために制御システムにより使用される。
【0042】
添付図面の図2及び3には、ロボット腕100,200,300,400を過ぎて動いている多数の搾乳房(番号S13〜S23)が示されている。ロボット腕の代替配置が提供されることができ、図2及び3に示された概略例は本発明の操作を示す目的のためだけに与えられている。
【0043】
特に図2を参照すると、番号S15の房上に使用可能にする活動を始める準備がなされている第一ロボット腕100が示されている。図2はまた、既に全ての四つのロボット腕100,200,300,400を越えて動かされたプラットホーム3の一部からの多数の房(番号S21〜S23)を示し、従ってそこでは乳首カップ21a,21b,21c,21dは乳牛7の乳首23a,23b,23c,23dに取り付けられている。各乳首カップ21と関連したホース20もまた、番号S21,S22及びS23の房内に明らかに示されている。簡素化の理由のために図2には単一のロボット腕のみが示されている。しかし、第一ロボット腕に対して図2に示された特徴はまた、図3に示された四つのロボット腕100,200,300,400のそれぞれに存在し、それ自体、以下の特徴の説明は全ての四つのロボット腕100,200,300,400を参照してなされることは認められるであろう。
【0044】
各ロボット腕100,200,300,400は、ナックル継手56,58により互いに回転可能に連結された第一、第二及び第三の腕50,52,54、及び乳首カップ運搬手段を含む。本実施態様では、乳首カップ運搬手段は、リスト継手62で第三の腕54に旋回可能に連結された乳首カップグリッパー60である。しかし、代替実施態様(図示せず)では、ロボット腕100,200,300,400は、二つ以上の乳首カップを同時に運搬するための手段を備えている。この運搬手段は、例えば、二つの凹所を持つ要素を含むことができ、この凹所のそれぞれの中に乳首カップが受け入れられることができる。各ロボット腕100,200,300,400はまた、第一腕50が延びる回転装置64を含む。第一腕50は回転装置64により中心軸66の周りに回転可能である。
【0045】
ロボット腕100,200,300,400の操作は図3に示されている。各ロボット腕100,200,300,400の回転装置64は、搾乳房5の幅に等しい距離により互いから円周的に間隔を置かれている。従って、四つのロボット腕100,200,300,400はプラットホーム3の隣接房5を同時に使用可能にするように作動することは理解されるであろう。3で示されるように、各ロボット腕100,200,300,400は、特定の乳首カップ21a,21b,21c,21dを貯蔵所27から乳牛7の対応する乳首23a,23b,23c,23dに取り付けるように動かすために操作可能である。
【0046】
これに関して、いったん特定の乳首カップ貯蔵所27が第一ロボット腕100のグリッパー60の届くところに動くと、グリッパー60は第一乳首カップ21dを掴み、前記乳首カップを第一乳首23dの推定される位置に動かす。第一乳首23dの正確な位置は次いで適切な感知装置を用いて通常の態様で決定される。いったん乳首23dが正確に位置されたら、ロボット腕100は次いで乳首カップ21dを乳首23dに取り付ける。房5及びその貯蔵所27が残りのロボット腕200,300,400のそれぞれを通過するとき、各ロボット腕200,300,400は残りの三つの乳首カップ21c,21b,21aの一つに順に取り付ける。工程は、プラットホーム3が回転するとき、図3に示されるように、第一ロボット腕100が番号S15の房内で乳牛7のそれぞれの乳首23dに乳首カップ21dを取り付けているとき、第二ロボット腕が同時に番号S16の房内で乳牛7の乳首23cに乳首カップ21cを取り付けている等々であるように連続的に行われる。従って、いったん房5が全ての四つのロボット腕を過ぎて動いたら、全ての四つの乳首カップ21はその特定の房5内で乳牛7の乳首23に付与されているであろう。
【0047】
上述のように作動する四つのロボット腕100,200,300,400の提供は、各ロボット腕が四つの乳首カップ21a,21b,21c,21dの一つを付与するために単一の操作を実施する必要があるにすぎないことを意味することは理解されるであろう。それ自体、使用可能にする活動を完了するために各ロボット腕100,200,300,400のために必要な時間は四の倍数で減らされる。これは、使用可能にする活動が完了する前に房5が範囲から外れる危険なしに各ロボット腕100,200,300,400がプラットホーム3に対して静止したままであることを可能にする。プラットホームの回転速度もまた高めることができる。
【0048】
使用可能にする時間の減少のため、各ロボット腕の作動範囲はそのすぐ近くに配置された搾乳房のみを使用可能にすることができることに十分であることだけが必要である。しかし、各ロボット腕100,200,300,400は図2及び3に示されるように隣接搾乳房を使用可能にするのに十分な距離延びることができることは有益である。特に図3を参照すると、示された搾乳房はロボット腕100,200,300,400を含み、それらは各前記腕の直ぐ前方に位置された搾乳房のみならず、前記房の両側に位置された二つの搾乳房も使用可能にするのに十分な程延びる。特に、番号S14の搾乳房は第一ロボット腕100に直ぐ隣接して配置されていることは認められるであろう。第一ロボット腕100の回転装置64は番号S14の搾乳房の延長中心線上に位置されている(すなわち房の半径方向側壁間の中ほどに位置された仮想の半径方向の線)。図3に示されたこの相対位置での第一ロボット腕100とプラットホーム3によれば、第一ロボット腕100の作業/作動範囲は、それが図3の番号S13の搾乳房の位置から番号S15の搾乳房の位置まで動くので前記腕が搾乳房を使用可能にすることができるのに十分である。実際に、第一ロボット腕100は、それが図3に示されるように矢印11の方向に番号S15の搾乳房の位置を越えて動くので搾乳房を使用可能にし続けるように延長可能である。第一ロボット腕100は三つの搾乳房(図3の番号S13,S14及びS15)の幅に及ぶ作業/作動範囲を持つことは認められるであろう。
【0049】
図2に関して、さらに明確にすると、第一ロボット腕100は、番号S15の房が第一ロボット腕100の回転装置64に到着する前にこの搾乳房を使用可能にすることを開始する準備がなされていることが分かるであろう。番号S16の房、特にその貯蔵所27はこの段階では第二ロボット腕200の範囲内にあることは理解されるであろう。従って、各ロボット腕100,200,300,400は各ロボット腕100,200,300,400のこの増加した範囲の結果として房5を使用可能にする延長した時間を持つ。この増加した作動範囲と、各腕がそれ自身の使用可能にする活動を完了するために必要な時間の減少との組み合わせは、困難な環境下であっても、房を使用可能にする際の遅れをさらに減少する。
【0050】
同時に房を使用可能にする際に、ロボット腕100,200は理論的に同時に同じ動作を引き受けることができることは認められるであろう。言い換えれば、各ロボット腕100,200,300,400は例えばそれらのそれぞれの乳首カップ21d,21c,21b,21aを乳首23に同じ瞬間に取り付けることができる。しかし、実際には、ロボット腕は、異なる房が同時に使用可能にされるけれども、ロボット腕100,200,300,400がそれらの動きを同調されないように異なる範囲に(典型的には動物の動きのため)遅延されがちである。実際に、第二ロボット腕200は、第二ロボット腕200がその使用可能にする仕事を完了してしまい、その次の房に動くことができる前に第一ロボット腕100がその次の房を使用可能にし始めるような範囲まで遅延されることができることは強調されるべきである。例えば、図3のロボット腕100,200,300,400は、それらのそれぞれの乳首カップを同時に乳首に取り付けるように示されているが、実際には第一ロボット腕100は、例えば第二ロボット腕200よりその乳首カップ取り付けにおいてより少ない遅延をうまく発生することができること、従って番号S14のその次の搾乳房を既に使用可能にし始めていることは認められるであろう。従って、二つのロボット腕100,200はそのとき同時に番号S14及びS16の搾乳房を使用可能にするであろう。
【0051】
従って、ロボット腕100,200,300,400は、一つのロボット腕が遅延したロボット腕とのペースを保つためにその乳首カップ取り付け速度を低下しないことで互いに完全に独立して作動することは認められるであろう。それにもかかわらず、制御システムは、ロボット腕100,200,300,400が互いに衝突しないことを確実にするようにロボット腕100,200,300,400の動きを調整する。使用可能にされている房がロボット腕100,200,300,400に互いに交差することを要求するときに衝突の危険が比較的高いことは認められるであろう。上で検討したように、本発明は、一つの腕が別のものを過ぎてさらなる房を使用可能にするために到着することを要求せず、従ってかかる動作から望ましくない腕の交差が発生しない。しかし、図3の第二ロボット腕200は実際には第一ロボット腕100より少ない乳首カップ取り付けの遅延をうまく経験することができ、従って第一ロボット腕100が同じ搾乳房を使用可能にすることを完了する前にその次の房(番号S15の搾乳房)を使用可能にすることを開始することができる。これらの環境では、二つのロボット腕100,200は同じ領域内で作動されるであろうし、番号S15の搾乳房を同時に使用可能にするために互いに交差しなければならないかもしれない。この交差は、どのロボット腕がどの乳首と組み合わされるかの適切な選択により最少化されることができる。例えば、図3では、腕100,200の交差は、第一腕100が乳首23cと組み合わされかつ第二腕200が乳首23dと組み合わされるなら、おそらく少ないであろう。しかし、貯蔵所27の関連部への接近及びチューブ20の可能なもつれのような他の問題は、理想的関係が必ずしも可能でないこと、従って幾らかの交差がなお発生するかもしれないことを意味する。二つのロボット100,200の衝突を避けるために使用される電子制御システム及び方法が以下により詳細に述べられる。
【0052】
さらなる実施態様では、電子制御システムは、一つのロボット腕100,200,300,400がさらなるロボット腕100,200,300,400により典型的に実施される使用可能にする作業を実施できるように適合されることができる。ロボット腕は、このように前記のさらなるロボット腕が、房がその使用可能にする活動の完了前にその範囲から動かされてしまうようにその乳首カップ取り付けが遅延されている環境で短い時間の間、一時的に作動することができる。例えば、もし第一ロボット腕100が所定時間内にその乳首カップ21dを取り付けるのに失敗したら、これは検出されることができ、その代わりに作業は第二ロボット腕200によりそれがそれ自身の乳首カップ21cに取り付けられる前または取り付けられた後のいずれかで実施されることができる。かかる同じ搾乳房の調整された使用可能にする作業はプラットホーム回転速度を低下する必要性を除去することができる。上述の本発明の利益を仮定すれば、この筋書きは従来技術のシステムよりおそらくより少ないが、極端な場合または一つのロボット腕が失敗した場合に発生するかもしれない。同様な作業はまた、乳牛7が乳首カップ21が取り付けられた後に乳首カップ21をけっとばした際にも有用であるであろう。この分離は検出されることができ、さらなるロボット腕がそのとき問題の乳首カップを再付与することができる。いったん特定のロボット腕により補助が与えられたら、そのロボット腕はそのときその通常の作業に復帰する。これに代えて、第一ロボット腕が破壊するかまたは修理を必要とする際には、さらなる腕が二つの乳首カップをより長い時間取り付けるように、おそらく搾乳工程を中断することなく一つのロボット腕の修理することを可能にするように構成されることができる。
【0053】
ロボット腕100,200,300,400は、ロボット腕が例えば乳牛7の脚または搾乳器具の物品に極めて接近しているときを検出する一つ以上の接近センサを備えることができる。
【0054】
ロボット腕100,200,300,400は、各一つが限られた運動の範囲及び自由度のみを必要とするので、設計が比較的簡単である。示されかつ述べられたように、各ロボット腕100,200,300,400は伸張性であるが、上述のように、これは本質的な特徴ではない。六つまたは七つの運動軸までを持つ搾乳産業で使用される従来のロボットは、本発明により提供される有益性のためにここに述べられた搾乳室では必要ではない。
【0055】
しかし、六つまたは七つの運動軸を持つロボット腕は、詳細に上述された図示ロボット腕100,200,300,400の少なくとも一つの代わりに使用されることができる。追加の運動軸は、乳牛の脚及び/またはさらなるロボット腕(ロボット腕上の近接センサにより検出されるようなもの)のような搾乳器具を避ける際の特に助けとなる。提供された運動の追加の柔軟性は、二つのロボット腕が互いに避け、調整された様式で動くことをより容易に可能にする。上述のように、本発明の配置の結果としてこの運動の自由度に対する必要性は少ない。しかし、一つ以上の後方のロボット腕、例えば第四の腕400及び/または第三の腕300がより大きな運動の柔軟性/自由度を持つことが好ましいかもしれない。なぜならこれらの腕は、他の腕と協力したり、かつ/または上述のように分離した乳首カップを再び取り付けなければならないことがありそうだからである。一例として、初めの三つの腕100,200,300は設計を非常に簡単にすることができ、一方、第四の腕400は、他の腕100,200,300により経験されたいずれかの問題に対してもより容易に補償可能にするために増加した運動の自由度を持つ六つまたは七つの軸腕であることができる。
【0056】
必須ではないけれども、図3に示されたロボット腕100,200,300,400のいずれかがレール上または伸縮自在に延長可能な要素上で矢印11の方向に可動なベース上に支持されることができることも理解されるだろう。この方法では、図3のロボット腕100,200,300,400は、使用可能にする活動を完了するために、もし必要なら追加の時間を提供するようにプラットホーム3の一般的な回転方向に動かされることができる。
【0057】
この後者に関して、各ロボット腕100,200,300,400の回転装置64は、それ自身がベース装置により室床に取り付けられている伸縮自在に延長可能な要素上に取り付けられることができる。プラットホーム3は室1内で固定位置のままにある各ベース装置を過ぎて回転することは理解されるであろう。各延長可能な要素は、プラットホーム3に対して略接線方向に伸縮自在に延長可能である。各ロボット腕100,200,300,400はそれにより、特定の搾乳房5に対してロボット腕100,200,300,400の位置がプラットホーム回転の予め決められた角度を通して維持されることができるようにプラットホーム3による部分円形経路に沿って動かされることができる。この角度は部分的には伸縮自在な要素が延長されることができる範囲により決定されることは理解されるであろう。さらに、各ロボット腕100,200,300,400(特に回転装置64)と関連した房5の間の一定の相対位置を維持するのを補助するために、関連ベース装置は、延長可能な要素34が室床と平行な面内で回転することを可能にするように回転可能であることができる。
【0058】
ロボット腕が互いに極めて接近して作動するように配置されている上述の実施態様では、腕間の衝突が可能であるような各ロボット腕の作業/作動範囲内にある共通容積が存在することは理解されるであろう。この共通容積は、複数の副容積(例えば副容積のマトリックス)として電子制御システムにより考慮される。もしロボット腕がこれらの副容積の一つ以上内に位置するように動かされるなら、そのとき制御システムは、他のロボット腕がこれらの副容積内に位置されないような方法で動かされることを確保するであろう。この方法では、一つより多いロボット腕が同時に所定の副容積内に位置するのを防がれる。ロボット腕間の適切なクリアランスを確保するために、電子制御システムは、ロボット腕が別のロボット腕により占有された副容積に隣接した副容積中に動くのを防ぐことができる。
【0059】
各ロボット腕がその活動に関する情報を授ける電子信号を送ることができることは理解されるであろう。この情報は、典型的には使用可能にする仕事を完了するためになされる進行に関する。この情報の通信はロボット腕により中央電子制御システムになされることができ、この中央電子制御システムは上述のように幾つかのロボット腕の動きを制御する。これに代えて、この情報は、ロボット腕から一つ以上の他のロボット腕に直接送られることができ、従ってこれらの他のロボット腕のそれぞれは受けた情報を考慮して必要と思われるようにそれら自身の活動を個々に修正することができる。例えば、ロボット腕により送られた情報はその腕の現在の位置に関することができる。かかる情報を隣接ロボット腕から受けると、さらなるロボット腕は、それ自身の動きが隣接ロボット腕との衝突を避けるために修正されるべきであるかを決定することができる。
【0060】
本発明は上述の特定の実施態様に限定されない。代替配置は当業者の読者には明らかであるであろう。例えば、本発明は上述のような平行回転室でのみならず、また杉綾模様の回転室でも使用されることができる。いずれの場合でも室は停止/開始または連続プラットホーム運動システムを採用することができる。また、上の好適実施態様は各乳首に対して一つずつ、四つのロボットの使用を記載するが、二つのロボットだけを使用することもできる。二つのロボットだけが設けられるとき、一つは乳首カップ21dと21cを乳牛の前部の乳首に取り付けるために使用されることができ、他は乳首カップ21bと21aを乳牛の後部の乳首に取り付けるために使用されることができる。しかし、二つだけのロボットを持つ代替実施態様では、ロボットの一つは乳首カップ21dと21bを乳牛の左乳首に取り付けるために使用され、ロボットの他方は乳首カップ21cと21aを乳牛の右乳首に取り付けるために使用される。
【0061】
追加的にまたは代替的に、乳首カップ運搬手段は一つより多い乳首カップ(例えば二つの乳首カップ)を同時に運搬することができてもよく、一方、乳首カップを個々に(即ち一時に一つ)拾い上げ及び/または取り付け/降ろすことができてもよい。この方法では、二つのロボットが使用される場合、ロボット腕によりなされる乳首カップ貯蔵所から動物への動きの数が二つから(乳首カップが個々に拾い上げられかつ動かされるとき)一つへ(乳首カップが対として貯蔵所から動物へ動かされるとき)減らされる。乳首カップ運搬手段は、乳首カップを受けるための複数(例えば二つ)の乳首カップ受け具を備えることができる。各受け具はグリッパーであることができ、または他の受け具と関連した電磁石から独立して操作可能な電磁石を含むことができる。
【0062】
さらなる代替配置では、各ロボット腕は、搾乳される動物の乳首の位置を感知するための手段を備えている。この感知手段は通常のビデオカメラ501,502及び/または走査レーザー位置決めシステムのような幾つかの他の光学センサであることができる。理想的には、感知手段は飛行時間カメラのような3D(三次元)カメラである。このタイプのカメラは奥行知覚を備え、すなわち風景内の対象物の距離を測定することができる。従って、中央制御システムは、ロボット腕、特に乳首カップ運搬手段の近くの領域に関する感知手段からの情報を与えられることは理解されるだろう。乳首感知手段及び乳首カップ運搬手段の相対位置は中央制御システムに知られているので、中央制御システムは、乳首カップ運搬手段を乳首感知手段により感知された乳首に向けて動かすように容易に適合されることができ、それにより乳首カップの感知された乳首への容易な取り付けを可能にする。
【0063】
乳首感知手段がロボット腕及び関連した乳首カップ運搬手段に対して配向される方法は、使用時にロボット腕が使用可能にする仕事を課されている動物の特定の乳首に依存している。典型的には、乳牛の後部の二つの乳首は前部の二つの乳首よりわずかに低く配置されている。従って、前部の二つの乳首は特に動物の後方から見たとき他の二つの乳首により隠される傾向があることが認められるだろう。これは、動物の後方の位置から前部の乳首を感知する際に乳首感知手段に困難性を与えうる。従って、乳首感知手段は、この潜在問題を考慮に入れるようにロボット腕に対して配向されることができる。
【0064】
特に、乳首カップを後部の乳首に取り付ける仕事を課されたそれらのまたは各ロボット腕100,200(第一タイプのロボット操作装置)は、乳首カップが関連した動物の後方から適切な位置に動かされかつ乳首に取り付けられるときに前方に面する乳首感知手段501を備えることができる(図4及び5参照)。また、乳首カップを前部の乳首に取り付ける仕事を課されたそれらのまたは各ロボット腕300,400(第二タイプのロボット操作装置)は、乳首カップが関連した動物の後方から適切な位置に動かされかつ乳首に取り付けられるときに後方に面する乳首感知手段502を備えることができる(図6及び7参照)。
【0065】
添付図面の図4〜7に示されるように、第一タイプのロボット操作装置100,200の感知手段は、第一タイプのロボット操作装置100,200の乳首カップ運搬手段503(単一乳首カップのためのグリッパー)に対して所定位置に位置されており、それは第二タイプのロボット操作装置300,400の乳首カップ運搬手段504(単一乳首カップのためのグリッパー)に対する第二タイプのロボット操作装置300,400の感知手段502の位置とは異なっている。二つのタイプのロボット操作装置の感知手段501,502の異なる相対位置は、感知手段501,502が乳首カップのその乳首への取り付け前かつ取り付け時に特定の乳首を感知するための最良の位置を与えられることを可能にする。例えば、感知手段501,502の位置は、使用可能にされる乳首が(例えば搾乳される動物の別の乳首により)感知手段501,502から隠される度合いを最少にするように最適化されることができる。
【0066】
第一タイプのロボット操作装置100の感知手段501は、第一タイプのロボット操作装置100,200に対して第一方向(図4に矢印505により示される)に感知するように配置され、第二タイプのロボット操作装置300の感知手段502は、第二ロボット操作装置300,400に対して第二方向(図7に矢印506により示される)に感知するように配置され、そこでは前記第一及び第二相対方向は互いに反対である。添付図面を参照すると、第一タイプの操作装置では、第一感知手段のカメラは前記第一タイプの装置の腕をある方向で見下ろすが第二タイプの装置では、第二感知手段のカメラは前記第二タイプの装置の腕を反対方向に見上げることは理解されるであろう。
【0067】
図3に示された態様では、ロボット操作装置100,200,300,400は、使用時に、前記装置100,200,300,400が乳首カップを動物の乳首に前記動物の後方から延ばすことにより取り付けるようにプラットホーム3に対して位置される。使用時に、関連した乳首カップ運搬手段に対する感知手段の位置及び配向は、第一タイプのロボット操作装置100,200の感知手段501が動物の乳首の後方の位置から動物の前方を向いた方向に感知し、第二タイプのロボット操作装置300の感知手段502が動物の乳首の前方の位置から動物の後方を向いた方向に感知するようなものである。ロボット操作装置は、動物の脚間に延びるコース内の一つの位置から別の位置に明らかに機動しかつ乳首カップを取り付けるための好適な位置を取得するが、感知手段は上述の一般的な方向の感知を続けるであろう。なぜならロボット腕のかかる感知を可能にする位置からの動きが取り付け時に起こる傾向がないからである。
【0068】
図4及び5からわかるように、第一タイプのロボット操作装置100,200の感知手段は、第一タイプのロボット操作装置の乳首カップ運搬手段503の一方側(本実施態様では後方に)配置され、かつ前記乳首カップ運搬手段503を見るように配向される。図6及び7からわかるように、第二タイプのロボット操作装置300,400の感知手段502は第二タイプのロボット操作装置300,400の乳首カップ運搬手段504の一方側に(本実施態様では前方に)配置され、第二タイプのロボット操作装置300,400の前記乳首カップ運搬手段を見るように配向される。従って、第一乳首カップ運搬手段の前記側が第二乳首カップ運搬手段の前記側とは異なる側にあることは理解されるであろう。第一感知手段501は、第一タイプのロボット操作装置100,200の腕上に直接取り付けられ、もちろん、乳首カップ運搬手段503の後方にも取り付けられる。しかし、第二感知手段502を乳首カップ運搬手段504の前方に配置するために、第二感知手段502は、それ自身がロボット操作装置300,400の腕上に取り付けられかつ乳首カップ運搬手段504を過ぎて前方に延びるブラケットまたは第二腕508上に取り付けられる。
【0069】
明確化のため、搾乳室は二つの前記第一タイプのロボット操作装置及び二つの前記第二タイプのロボット操作装置を含むことができる。また、感知方向という用語は、感知手段から感知手段により感知される領域への方向を言及するために使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第一及び第二ロボット操作装置(100,200)、及びロボット操作装置(100,200)に対して可動なプラットホーム(3)上に設けられた複数の搾乳房(5)を含む搾乳室(1)であって、少なくとも第一及び第二ロボット操作装置(100,200)がプラットホーム(3)上の隣接搾乳房(5)を同時に使用可能にすることができるように配置されているものにおいて、少なくとも第一及び第二ロボット操作装置(100,200)のそれぞれ一つが、搾乳房(5)内の同じ動物(7)に、搾乳房(5)内の前記動物(7)の乳首に取り付けられる乳首カップ(21)の合計必要数の一部を、取り付けるように操作可能であることを特徴とする搾乳室。
【請求項2】
四つのロボット操作装置(100,200,300,400)が設けられ、前記プラットホーム(3)の動きで前記房(5)が各ロボット操作装置(100,200,300,400)を過ぎて動くときにロボット操作装置のそれぞれ一つが搾乳房内の動物の乳首に一つの乳首カップ(21)を連続的に取り付けるように操作可能であることを特徴とする請求項1に記載の搾乳室。
【請求項3】
各ロボット操作装置(100,200,300,400)の腕が、各ロボット操作装置に少なくとも二つの搾乳房(5)の幅に及ぶ作業範囲を与えるように十分に延長可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の搾乳室。
【請求項4】
ロボット操作装置(100,200)が、プラットホーム(3)の移動方向に延びる搾乳房(5)の寸法に実質的に等しい距離により互いに間隔を置かれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搾乳室。
【請求項5】
各ロボット操作装置(100,200)の動きを制御するための電子制御システムをさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の搾乳室。
【請求項6】
乳首カップ(21)が動物を搾乳するためのものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の搾乳室。
【請求項7】
搾乳室(1)が、使用時に一時に一頭より多い動物のプラットホーム(3)への入場を防ぐ入口をさらに含み、このプラットホーム(3)への入口が好ましくはたった一つの搾乳房(5)に及ぶことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の搾乳室。
【請求項8】
ロボット操作装置(100,200)の活動に関する情報が前記装置から電子的に送られることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の搾乳室。
【請求項9】
前記情報が、ロボット操作装置(100,200)の現在のリアルタイム位置及び/またはロボット操作装置(100,200)により現在使用可能にされている搾乳房内に配置された乳牛に成功裡に取り付けられた乳首カップ(21)の数を記録するデータを含むことを特徴とする請求項8に記載の搾乳室。
【請求項10】
電子制御システムが、各ロボット操作装置(100,200)の位置を決定し、かつ前記装置が互いに衝突するのを避けるように各ロボット操作装置の動きを決定することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の搾乳室。
【請求項11】
第一及び第二ロボット操作装置(100,200)の両方の作業範囲内の共通容積が複数の副容積として電子制御システムにより考慮され、前記制御システムが、一つより多いロボット操作装置が同時に同じ副容積内に位置するのを防ぐことを特徴とする請求項10に記載の搾乳室。
【請求項12】
各ロボット操作装置(100,200)が互いのロボット操作装置の機能を実施することができることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の搾乳室。
【請求項13】
第一ロボット操作装置(100)が、乳首カップを運搬するための手段、及び前記乳首カップ運搬手段に対する乳首の位置を感知するための手段を含み、第二ロボット操作装置(300)が、乳首カップを運搬するための第二手段、及び前記第二乳首カップ運搬手段に対する乳首の位置を感知するための手段を含み、第一ロボット操作装置(100)の乳首カップ運搬手段に対する第一ロボット操作装置(100)の前記感知手段の相対位置が第二ロボット操作装置(300)の乳首カップ運搬手段に対する第二ロボット操作装置(300)の前記感知手段の相対位置と異なることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の搾乳室。
【請求項14】
第一ロボット操作装置(100)の感知手段が第一ロボット操作装置(100)に対して第一方向に感知するように配置され、第二ロボット操作装置(300)の感知手段が第二ロボット操作装置(300)に対して第二方向に感知するように配置され、前記第一及び第二相対方向が互いに反対であることを特徴とする請求項13に記載の搾乳室。
【請求項15】
第一及び第二ロボット操作装置(100,300)が、使用時に前記装置(100,300)が動物の乳首に前記動物の後方から乳首カップを取り付けるようにプラットホーム(3)に対して配置され、使用時に第一ロボット操作装置(100)の感知手段が前記動物の乳首の後方の位置から動物の略前方に向けての方向に感知し、第二ロボット操作装置(300)の感知手段が前記動物の乳首の前方の位置から動物の略後方に向けての方向に感知することを特徴とする請求項13または14に記載の搾乳室。
【請求項16】
第一ロボット操作装置(100)が動物の後部乳首の少なくとも一つに乳首カップを取り付けるように操作可能であり、第二ロボット操作装置(300)が動物の前部乳首の少なくとも一つに乳首カップを取り付けるように操作可能であることを特徴とする請求項15に記載の搾乳室。
【請求項17】
第一ロボット操作装置(100)の感知手段が、第一ロボット操作装置(100)の乳首カップ運搬手段の一方側に配置されかつ前記乳首カップ運搬手段の一般的方向に感知するように配向され、第二ロボット操作装置(300)の感知手段が、第二ロボット操作装置(300)の乳首カップ運搬手段の一方側に配置されかつ第二ロボット操作装置(300)の前記乳首カップ運搬手段の一般的方向に感知するように配向され、第一乳首カップ運搬手段の前記側が第二乳首カップ運搬手段の前記側と異なる側であることを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の搾乳室。
【請求項18】
二つの前記第一ロボット操作装置及び二つの前記第二ロボット操作装置を含むことを特徴とする請求項13〜17のいずれかに記載の搾乳室。
【請求項19】
各感知手段がカメラを含み、好ましくは前記カメラが飛行時間カメラであることを特徴とする請求項13〜18のいずれかに記載の搾乳室。
【請求項20】
搾乳室(1)を操作する方法であって、搾乳室(1)が請求項1〜19のいずれかに記載されているものであるものにおいて、複数のロボット操作装置(100,200)を制御して前記装置がプラットホーム(3)上の異なる隣接する搾乳房(5)を同時に使用可能にする工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
搾乳房(5)を使用可能にすることを完了した後、前記搾乳房と関連したロボット操作装置(100,200)が、別のロボット操作装置が搾乳房(5)を使用可能にすることを完了することを待つことなくさらなる搾乳房(5)を使用可能にすることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記さらなる搾乳房(5)が、別のロボット操作装置(100,200)により使用可能にされている前記搾乳房(5)であることを特徴とする請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−523827(P2012−523827A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505161(P2012−505161)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054911
【国際公開番号】WO2010/119079
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(500215931)デラヴァル ホルディング アーベー (13)