説明

摺動体及び敷設補助具

【課題】 所定の外力に対応可能な移動範囲を保持する配管構造の敷設作業を簡易化することができる敷設補助具を提供する。
【解決手段】 配管構造においては、外力が加わる場合、ハンドホール10の側壁10aに設けられたボディ管ダクトスリーブ11に対し、ボディ管13及び該ボディ管13内部に支持固定された鞘管ダクトスリーブ14が進退移動する。また、鞘管ダクトスリーブ14に対し、該鞘管ダクトスリーブ14内部に挿入された鞘管15が進退移動する。ストッパ28は、鞘管ダクトスリーブ14の基端から本体部31を突出させた状態で、該鞘管ダクトスリーブ14内に挿入されている。側壁10aの内面上には、当接部材29が設置されている。ストッパ28上に設けられたスリーブ係止部33と当接部37との間は、鞘管ダクトスリーブ14の基端の初期位置に応じて所定長さとされている。スリーブ係止部33と鞘管当接部38との間は、鞘管15の基端の初期位置に応じて所定長さとされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線ケーブル等を地中に埋設するための配管構造を敷設する際に使用する摺動体及び敷設補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電線ケーブル、光通信ケーブル等といったケーブル類を地中に埋設するための配管構造は、ハンドホールの側壁に設けられた孔に取り付けられたボディ管ダクトスリーブと、該ボディ管ダクトスリーブに接続される集束管とから構成されている。この集束管は、それぞれに鞘管が挿通される複数本の鞘管ダクトスリーブと、これら鞘管ダクトスリーブが挿通されるボディ管とを有している。そして、各鞘管にそれぞれケーブル類が挿通されることにより、ハンドホールの側壁に設けられた各孔にそれぞれ複数本のケーブル類を挿通可能な構成とされている。
【0003】
このような配管構造においては、地震等といった揺れに対応するため、ハンドホールに対してボディ管、あるいは鞘管を可動自在な構成とすることが好ましい。例えば、特許文献1に記載のものは、ボディ管(特許文献1には「外管」と記載)の内部において、固定板に可撓保護管の一端を支持固定するとともに、該可撓保護管の他端に鞘管(特許文献1には「直保護管」と記載)を接続している。従って、該特許文献1の配管構造については、ボディ管に対して鞘管を位置決めすることが可能な構成となっている。
【0004】
また、例えば特許文献2に記載のものは、まずボディ管ダクトスリーブ(特許文献2には「本体管用ダクトスリーブ」と記載)内にボディ管(特許文献2には「本体管」と記載)が摺動可能に挿入されることにより、ハンドホールに対してボディ管が可動自在とされている。さらに、ボディ管の内部においては、複数の鞘管ダクトスリーブ(特許文献2には「さや管用ダクトスリーブ」と記載)が一端部を束ねられた状態で挿入されることにより、ボディ管に対してダクトスリーブが位置決めされている。そして、該鞘管ダクトスリーブ内に鞘管(特許文献2には「さや管」と記載)が摺動可能に挿通されることにより、ハンドホールに対して鞘管が可動自在な構成とされている。
【特許文献1】特許第3605551号公報
【特許文献2】特開2004−282891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、地震等といった揺れに対応可能な上記構成の配管構造においては、管敷設時にボディ管、鞘管が任意に可動してしまう。このため、特許文献2では、管敷設時にボディ管及び鞘管の双方が任意かつ大きく可動してしまうため、作業が煩雑となり、施工性の低下が懸念される。従って、特許文献2のような配管構造においては、通線作業時におけるボディ管、あるいは鞘管の可動を見越して、敷設時におけるボディ管、あるいは鞘管の初期位置を定めておくことが望ましい。しかし、ボディ管はボディ管ダクトスリーブの内部へ、鞘管は鞘管ダクトスリーブの内部へそれぞれ挿入されてしまうため、ボディ管、あるいは鞘管の初期位置を目視によって確認することは困難であり、敷設作業に長時間を要したり、施工にばらつきが生じたり等のような不具合が生じてしまう。一方、特許文献1の配管構造においては、鞘管が可撓保護管の他端に接続されているため、管敷設時に鞘管が大きく可動することは抑えられるが、しかし鞘管の可動範囲が限られるため、大きな揺れに対応することが難しい。
【0006】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、所定の外力に対応可能な移動範囲を保持する配管構造の敷設作業を簡易化することができる摺動体及び敷設補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の摺動体の発明は、ハンドホールの側壁に設けられたボディ管ダクトスリーブに対し、鞘管を挿通するための鞘管ダクトスリーブが内部に支持固定されたボディ管の一端が挿入されて構成される配管構造において、該鞘管ダクトスリーブのハンドホール側となる一端部に摺動可能に嵌着されることを要旨とする。
【0008】
上記構成の配管構造は、ボディ管ダクトスリーブに対してボディ管が移動し、かつボディ管に支持固定された鞘管ダクトスリーブに対して鞘管が移動することにより、地震等といった所定の外力に対応可能な移動範囲を保持している。そして、該配管構造の管敷設時において、上記構成の摺動体は、該鞘管ダクトスリーブのハンドホール側となる一端部に摺動可能に嵌着されることにより、該鞘管ダクトスリーブの位置決め等に使用することができるようになり、配管構造の敷設作業の簡易化に貢献する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の摺動体において、該鞘管ダクトスリーブの一端に係止されるスリーブ係止部が設けられていることを要旨とする。この構成によれば、スリーブ係止部を設けることにより、摺動体に対し、鞘管ダクトスリーブの一端を明確に位置決めすることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の摺動体において、柱状又は筒状に形成された本体部と、該本体部に嵌合された筒材とを備えており、該筒材が切断されて所定長さに調整されることを要旨とする。この構成によれば、鞘管ダクトスリーブの位置決め等に使用するための摺動体の長さ調整を簡易に行うことができる。また、筒材を交換等することにより、本体部を繰り返し利用することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の摺動体において、該スリーブ係止部は、該本体部の外面上に突設されていることを要旨とする。この構成によれば、鞘管ダクトスリーブの位置決め等に使用するために摺動体の長さ調整を行う場合であっても、本体部上におけるスリーブ係止部の位置が変更されない。従って、スリーブ係止部を基準として、摺動体の長さ調整を行うことができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の敷設補助具において、該鞘管ダクトスリーブの一端を閉塞する蓋部が設けられていることを要旨とする。この構成によれば、配管構造の敷設時及び敷設後において、鞘管ダクトスリーブの内部に水、ごみ等が入り込むことを抑制することができる。
【0013】
請求項6に記載の敷設補助具の発明は、請求項2から請求項5のうち何れか一項に記載の摺動体と、ハンドホールの側壁の内面側に設置される当接部材とを備える敷設補助具であって、該摺動体には、該鞘管ダクトスリーブの一端に係止されるスリーブ係止部と、該当接部材に当接される当接部とがそれぞれ設けられており、該配管構造の敷設時における該鞘管ダクトスリーブの一端の初期位置に応じて該スリーブ係止部と該当接部との間が所定長さとされていることを要旨とする。
請求項7に記載の敷設補助具の発明は、請求項2から請求項5のうち何れか一項に記載の摺動体と、ハンドホールの側壁の内面側に設置される当接部材とを備える敷設補助具であって、該摺動体には、該鞘管ダクトスリーブの一端に係止されるスリーブ係止部と、該鞘管ダクトスリーブ内で該鞘管の一端を当接させる鞘管当接部とがそれぞれ設けられており、該配管構造の敷設時における該鞘管ダクトスリーブ内での該鞘管の一端の初期位置に応じて該鞘管当接部と該スリーブ係止部との間が所定長さとされていることを要旨とする。
請求項8に記載の敷設補助具の発明は、請求項2から請求項5のうち何れか一項に記載の摺動体と、ハンドホールの側壁の内面側に設置される当接部材とを備える敷設補助具であって、該摺動体は、その端部を該鞘管ダクトスリーブのハンドホール側となる一端から突出させた状態で装着されるものであり、該摺動体には、該当接部材に当接される当接部と、該鞘管ダクトスリーブ内で該鞘管の一端を当接させる鞘管当接部とがそれぞれ設けられるとともに、該当接部と該鞘管当接部の間に該鞘管ダクトスリーブの一端に係止されるスリーブ係止部が設けられており、該配管構造の敷設時における該鞘管ダクトスリーブの一端及び該鞘管ダクトスリーブ内での該鞘管の一端の各初期位置に応じて、該当接部と該スリーブ係止部の間及び該スリーブ係止部と該鞘管当接部の間がそれぞれ所定長さとされていることを要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、管敷設時においてボディ管ダクトスリーブに対してボディ管を挿入する際、鞘管ダクトスリーブに取り付けられた摺動体が当接部材に当接された場合には、該鞘管ダクトスリーブのそれ以上の移動が規制される。この鞘管ダクトスリーブの移動規制に伴い、該鞘管ダクトスリーブが支持固定されたボディ管の挿入に伴う移動が規制される。このようにボディ管の挿入に伴う移動が規制された状態において、鞘管ダクトスリーブの一端に係止されたスリーブ係止部と当接部との間が、該一端の初期位置に応じて所定長さとされており、鞘管ダクトスリーブ及びボディ管の一端が所望する初期位置に配置される。従って、ボディ管が止まるまでボディ管ダクトスリーブに挿入するのみで、該ボディ管の一端を初期位置に配置することができ、配管構造の敷設作業が簡易となる。
【0015】
また、管敷設時において鞘管ダクトスリーブに対して鞘管を挿入する際、該鞘管が鞘管ダクトスリーブに嵌着された摺動体に当接された場合には、該鞘管のそれ以上の移動が規制される。このように鞘管の挿入に伴う移動が規制された状態において、鞘管ダクトスリーブの一端に係止されたスリーブ係止部と鞘管当接部との間が、該鞘管の一端の初期位置に応じて所定長さとされているため、該鞘管の一端が所望する初期位置に配置されたこととなる。従って、鞘管が止まるまで鞘管ダクトスリーブに挿入するのみで、該鞘管の一端を初期位置に配置することができ、配管構造の敷設作業が簡易となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、所定の揺れに対応可能な可動範囲を保持する配管構造の敷設作業を簡易化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の敷設補助具を具体化した一実施形態について説明する。
まず、敷設補助具が使用される配管構造の構成について説明する。なお、以下の説明で方向をいう場合、各図中で左側となるハンドホール側を「基端側」とし、各図中で右側となるハンドホール側と反対側を「先端側」とする。
図1に示すように、ハンドホール10の側壁10aには、接続孔10bが形成されており、該接続孔10bには、ボディ管ダクトスリーブ11の基端が挿入されて接続されている。該ボディ管ダクトスリーブ11の先端には、集束管12の基端が挿入されている。該集束管12は、1本のボディ管13と、該ボディ管の内部に挿通された複数本の鞘管ダクトスリーブ14とを有している。これら鞘管ダクトスリーブ14の内部には、それぞれ鞘管15が挿通されている。そして、各鞘管15の内部には、一本又は複数本のケーブル類(図示略)がそれぞれ挿通されるようになっている。
【0018】
図2に示すように、上記ボディ管ダクトスリーブ11は、基端部に円筒状をなす管固定部21を有しており、先端部に円筒状をなす管挿入部22を有している。該管固定部21は、前記ハンドホール10の接続孔10bに挿入されて固定されている。なお、該管固定部21の基端外周面には、ボディ管ダクトスリーブ11が接続孔10bからハンドホール10の外部へ向かって抜け出すことを防止するための抜け止めフランジ21aが形成されている。該管支持部22は、その内径が前記集束管12の外径と対応しており、該管支持部22の内部に該集束管12の基端が挿入される。該管支持部22の先端内周面には、凹条22aが該管支持部22の周方向へ延びるように設けられており、該凹条22a内には、ゴム製のシールリング(図示略)が収容されるようになっている。そして、該管支持部22に該集束管12が挿入された際、該シールリングが該管支持部22と該集束管12との間を密封するようになっている。
【0019】
図2及び図3に示すように、上記集束管12において、ボディ管13は、円筒状をなす管本体部23と、該管本体部23の基端に取り付けられるカバー24とを有している。
該管本体部23において、先端部23aは、他部分に比べて拡径されており、他のボディ管13が接続可能となっている。また、該先端部23aの先端内周面には、上記ボディ管ダクトスリーブ11に設けられた凹条22aと同様の凹条23bが設けられている。該凹条23b内には、ゴム製のシールリング(図示略)が収容されるようになっており、他のボディ管13が接続された場合に、該集束管12と他のボディ管13との間を密封するようになっている。
該カバー24は、基端に設けられた管挿入部24aと、先端に設けられた接続部24bとから構成されている。該管挿入部24aは、その外径が前記管支持部22の内径と対応するように形成されており、該管支持部22内に挿入可能とされている。該接続部24bは、その外径が該管本体部23の基端の内径と対応するように形成されており、該管本体部23内に挿入可能とされている。
【0020】
該管本体部23における先端部23aの基端、及び、該カバー24における管挿入部24aと接続部24bとの間には、それぞれ固定板25が取り付けられている。該固定板25には、複数の挿通孔25aが透設されている。前記鞘管ダクトスリーブ14は、各固定板25の挿通孔25aに両端部がそれぞれ挿通されることにより、該ボディ管13の内部に支持され、固定されている。また、該鞘管ダクトスリーブ14は、その基端部が該管本体部23の基端から外部へ突出するように収容されており、この突出した該鞘管ダクトスリーブ14の基端部を外部から覆い、保護するように、該管本体部23の基端に該カバー24が取り付けられている。
【0021】
上記配管構造において、例えば地震等の外力が集束管12に及ぶ場合、該集束管12は、ボディ管ダクトスリーブ11に対し、該集束管12の軸方向に進退して移動することにより、該外力による影響を低減させる。なお、鞘管ダクトスリーブ14は、基端部及び先端部がそれぞれ固定板25によって結束されているため、集束管12内部における位置が安定に維持される。そして、当該配管構造においては、ボディ管ダクトスリーブ11に対する集束管12の進退移動を可能とするべく、該進退移動を許容する空間として、該ボディ管ダクトスリーブ11の基端と該集束管12の基端との間に隙間26を設ける必要がある(図1参照)。該隙間26を設けるためには、該集束管12の基端に位置する鞘管ダクトスリーブ14の基端が該ボディ管ダクトスリーブ11の基端に対して所定の位置に定まるように、該鞘管ダクトスリーブ14、あるいは集束管12の基端の初期位置を定める必要がある。
【0022】
さらに、該集束管12内部において、鞘管15は、鞘管ダクトスリーブ14に対し、該鞘管ダクトスリーブ14の軸方向に進退して移動することにより、該外力による影響を低減させる。そして、当該配管構造においては、鞘管ダクトスリーブ14に対する鞘管15の進退移動を可能とするべく、該進退移動を許容する空間として、該鞘管ダクトスリーブ14の内部において、該鞘管15の基端よりも該鞘管ダクトスリーブ14の基端寄りに隙間27を設ける必要がある(図1参照)。該隙間27を設けるためには、該鞘管ダクトスリーブ14の内部における該鞘管15の基端の初期位置を定める必要がある。
【0023】
そこで、当該配管構造の敷設時には、鞘管ダクトスリーブ14の基端の初期位置及び鞘管15の基端の初期位置を定めるため、鞘管ダクトスリーブ14に摺動可能に嵌着される摺動体としてのストッパ28と、ハンドホール10の側壁10aの内面上に設置される当接部材29とからなる敷設補助具を使用する(図7参照)。
以下に、該敷設補助具について説明する。
図4に示すように、敷設補助具を構成するストッパ28は、上記集束管12の鞘管ダクトスリーブ14に鞘管15が挿入される前の状態で、該鞘管ダクトスリーブ14の基端に挿入される。該ストッパ28は、該鞘管ダクトスリーブ14の基端から外部へ突出する本体部31と、該本体部31の先端部に嵌合された筒材32とから構成されている。また、該筒材32は、端部を切断することにより、鞘管ダクトスリーブ14の内部における鞘管15の基端の初期位置に応じて、予め所定長さに調整されている。
なお、集束管12をボディ管ダクトスリーブ11に装着した後でストッパ28を取り付ける(図4参照)ことに限らず、ストッパ28を集束管12に予め取り付けた後、該集束管12をボディ管ダクトスリーブ11に取り付けてもよい。また、該筒材32は、既存の管材、あるいはパイプであれば何れを使用してもよい。特に、上記配管構造の敷設時等に生じたパイプの余材等を使用した場合、該筒材32として新規の管材、あるいはパイプを用意せずともよく、また、本体部31は、繰り返し使用することができるため、コスト的に有利である。
【0024】
ここで、該ストッパ28の本体部31の構成について説明する。
図5及び図6に示すように、該本体部31は、筒状に形成されており、該本体部31の先端には筒材32を嵌合するための嵌合部31aが形成されている。該本体部31は、その先端の外径が鞘管ダクトスリーブ14の外径とほぼ同じ長さになるように形成されている。一方、該嵌合部31aは、その外径が筒材32の内径とほぼ同じ長さになるように形成されており、本体部31の外径に比べて小さくなっている。このため、該嵌合部31aと該本体部31との境界には、段差部31bが形成されており、嵌合部31aに筒材32が嵌合された場合、該筒材32の基端が該段差部31bに当接されることにより、嵌合部31aに対する筒材32の嵌合量が所定長さで留まるように構成されている。なお、本体部31は、ボディ管ダクトスリーブ11の管固定部21に入り込む寸法であればよく、また本体部31の断面形状は、円形状に限らず、三角形、四角形等の多角形状であってもよい。
【0025】
また、本体部31の外周面上には、スリーブ係止部33が該本体部31の周方向へ延びるように突設されている。該ストッパ28を鞘管ダクトスリーブ14に取り付けた場合、スリーブ係止部33には該鞘管ダクトスリーブ14の基端が係止されるようになっている。このように該鞘管ダクトスリーブ14の基端が該スリーブ係止部33に当接されることにより、鞘管ダクトスリーブ14の基端において、該本体部31の突出量が所定長さとなるように設定されている。また、該本体部31の突出量は、上記鞘管ダクトスリーブ14の基端の初期位置に応じた長さとなるように、調整されている。
【0026】
さらに、該本体部31の外周面上において、スリーブ係止部33よりも先端寄りには、シールリング34が嵌着されている。該シールリング34は、ストッパ28が鞘管ダクトスリーブ14に取り付けられた場合に、本体部31と鞘管ダクトスリーブ14との間を密封するようになっている。さらに加えて、該本体部31の内部において、先端は、蓋部35によって閉塞されている。ストッパ28が鞘管ダクトスリーブ14に取り付けられた場合、該蓋部35は、該鞘管ダクトスリーブ14の基端を閉塞し、該鞘管ダクトスリーブ14の基端からその内部へ土砂等といった異物が入り込むことを防止するようになっている。また、管敷設後において、筒材32を取り除いたストッパ28を鞘管ダクトスリーブ14に嵌着しておくことにより、該鞘管ダクトスリーブ14の内部へ土砂等といった異物が入り込むことを防止してもよい。
【0027】
なお、本体部31は、その先端の外径が鞘管ダクトスリーブ14の外径とほぼ同じ長さになるように形成されることに限らず、その先端の外径を鞘管ダクトスリーブ14の外径より小さくしたり、大きくしたりしてもよい。例えば、ボディ管13の内部に数多くの鞘管ダクトスリーブ14が挿通される場合、該ボディ管13の内部では各鞘管ダクトスリーブ14が隙間無く密集してしまう。このように鞘管ダクトスリーブ14が隙間無く密集してしまった場合、本体部31の先端の外径が鞘管ダクトスリーブ14の外径とほぼ同じ長さであれば、各鞘管ダクトスリーブ14に装着された本体部31同士も隙間無く密集してしまう。そこでこのような場合には、本体部31の先端の外径を鞘管ダクトスリーブ14の外径より小さくすることにより、各本体部31同士の間に隙間が形成されるため、該隙間に指を入れやすくなり、鞘管ダクトスリーブ14に対する本体部31の脱着が行いやすくなる。また、本体部31の外周面を凹凸形状とすることにより、作業者の指が滑りにくく、該本体部31を掴みやすくなるように構成してもよい。
【0028】
図7に示すように、敷設補助具を構成する当接部材29は、上記集束管12の鞘管ダクトスリーブ14にストッパ28が挿入され、かつ鞘管15が挿入される前の状態で、ハンドホール10の側壁10aの内面上で、ボディ管ダクトスリーブ11の基端開口を閉塞するように設置される。該当接部材36は、合板、木板、鉄板等の板材からなる。
【0029】
ストッパ28においては、本体部31の基端を当接部37として、該当接部37が当接部材29に当接されている。このように当接部37が当接部材29に当接された状態で、スリーブ係止部33に係止された鞘管ダクトスリーブ14は、基端側へ移動することを規制されている。すなわち、ストッパ28において、鞘管ダクトスリーブ14の基端における本体部31の突出量、つまり当接部37と該スリーブ係止部33との間の長さは、上記鞘管ダクトスリーブ14の基端の初期位置に応じた長さとなるように、予め所定長さに設定されている。従って、当接部37が当接部材29に当接され、かつスリーブ係止部33に鞘管ダクトスリーブ14の基端が係合された状態において、鞘管ダクトスリーブ14の基端は、所望する初期位置に配置されている。
【0030】
また一方、鞘管15が挿入される場合、ストッパ28においては、筒材32の先端を鞘管当接部38として、該鞘管当接部38に鞘管15の基端が当接されるように構成されている。このように鞘管15の基端が鞘管当接部38に当接された状態で、鞘管ダクトスリーブ14内に挿入された鞘管15は、基端側へ移動することを規制されている。すなわち、ストッパ28においては、筒材32の長さを調整することにより、該鞘管当接部38とスリーブ係止部33との間の長さは、鞘管ダクトスリーブ14の内部における鞘管15の基端の初期位置に応じた長さとなるように、予め所定長さに設定されている。従って、スリーブ係止部33に鞘管ダクトスリーブ14の基端が係止され、かつ鞘管当接部38に鞘管15の基端が当接された状態において、鞘管15の基端は、所望する初期位置に配置されている。
【0031】
次に、上記敷設補助具を使用した上記配管構造の敷設方法について以下に記載する。
さて、上記配管構造を敷設するとき、まずはハンドホール10の側壁10aに取り付けられたボディ管ダクトスリーブ11に対し、鞘管15を有しない状態の集束管12を挿入し、取り付ける。なお、該集束管12は、敷設現場にてボディ管13に鞘管ダクトスリーブ14を組み付けた状態としてもよく、また、予め工場等においてボディ管13に鞘管ダクトスリーブ14を組み付けた状態としておいてもよい。次いで、敷設現場、あるいは工場等にて予め用意しておいたストッパ28を、鞘管ダクトスリーブ14の基端からその内部に挿入し、スリーブ係止部33が鞘管ダクトスリーブ14の基端に係合されるまでストッパ28を押し込む。その後、ハンドホール10の側壁10aの内面に当接部材29が接触するように、該当接部材29を設置する。この後、ストッパ28の当接部37が当接部材29に当接されるように、集束管12をボディ管ダクトスリーブ11に対して進退させると、鞘管ダクトスリーブ14(集束管12)の基端が初期位置に配置される。そして、鞘管15を鞘管ダクトスリーブ14の先端から内部へ挿入し、該鞘管15の基端がストッパ28の鞘管当接部38に当接されるまで該鞘管15を押し込むことにより、該鞘管15の基端が初期位置に配置される。このように、鞘管ダクトスリーブ14の基端及び鞘管15の基端が初期位置に配置された後、ストッパ28及び当接部材29を撤去して、配管構造の敷設が完了する。また、管敷設後に筒材32を取り除いたストッパ28を鞘管ダクトスリーブ14に嵌着しておくことにより、ケーブル通線時までの該鞘管ダクトスリーブ14内への水、ごみの浸入を抑制できる。
【0032】
なお、敷設補助具においては、上記実施形態に限らず、次のように構成を変更してもよい。例えば、ストッパ28の本体部31を、図8に示すような構成としてもよい。すなわち、該本体部31は、第1部材41と、第2部材42に分割されている。これら第1部材41及び第2部材42は、第1部材41内のツマミ43と、第2部材42内のねじ部材44とが螺合されることによって互いに接続されている。また、第1部材41と第2部材42の間には、2つのシールリング34が介設されている。そして、ツマミ43を締め付けることにより、第1部材41と第2部材42の間でシールリング34が厚み方向に圧縮され、該シールリング34が鞘管ダクトスリーブ14の内面に圧接されて、該本体部31と鞘管ダクトスリーブ14の間がシールされる。また、ツマミ43を緩めた場合には、シールリング34の圧縮及び鞘管ダクトスリーブ14の内面への圧接が解除され、該シールリング34による鞘管ダクトスリーブ14への摩擦抵抗が低減されて、鞘管ダクトスリーブ14への本体部31の装着及び脱着が容易となる。
【0033】
また、ストッパ28の本体部31において、シールリング34及び蓋部35のうち少なくとも何れか一方を省略してもよい。また、筒材32は、嵌合部31aの外周面上に嵌合されることに限らず、嵌合部31aの内側に嵌挿されてもよい。また、筒材32に限らず、棒材を用い、該棒材と本体部31とを繋いでストッパ28を構成してもよい。なお、筒材32に代えて棒材を用いる場合、該棒材は、嵌合部31aの外側、内側の何れに嵌合されてもよい。また、筒材32を切断して所定長さに調整することに限らず、例えば本体部31の先端から所定長さの筒部を延設する等して、ストッパ28を一体成形してもよい。また、当接部材29は、板材に限らず、ストッパ28の当接部37が当接可能であれば、コンクリートブロック、レンガブロック等のブロック体、鉄パイプ、樹脂パイプ等のパイプ材、あるいは作業者の手等、何れを使用してもよい。
【0034】
また、鞘管ダクトスリーブ14内における鞘管15の基端の初期位置のみを定めるのであれば、例えば、上記実施形態のストッパ28の本体部31を短くして、当接部37を省略する等のように、ストッパ28が当接部材29に当接されないように構成してもよい。また、鞘管ダクトスリーブ14の基端の初期位置のみを定めるのであれば、例えば、上記実施形態のストッパ28において、筒材32を省略する等のように、鞘管15がストッパ28に当接されないように構成してもよい。
【0035】
また、摺動体であるストッパ28、特には該ストッパ28の本体部31は、鞘管ダクトスリーブ14のハンドホール10側となる一端部に摺動可能に装着される構成であれば、上記実施形態のような鞘管ダクトスリーブ14内に挿入される構成に限らず、例えば鞘管ダクトスリーブ14の外周面上に嵌合される構成としてもよい。また、摺動体は、実施形態のストッパ28に限らず、例えばコンクリートブロック、レンガブロック等のブロック体、鉄パイプ、樹脂パイプ等のパイプ材で構成してもよい。このようなブロック体、パイプ材で摺動体を構成する場合、該摺動体を所定長さに調整し、鞘管ダクトスリーブ14の内部に挿入したり、外部に嵌合したり等して摺動可能に装着したうえで、該摺動体を当接部材29に当接させたり、鞘管を該摺動体に当接させたりすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施形態の配管構造を示す一部を破断した側面図。
【図2】ボディ管ダクトスリーブ及び集束管を示す一部を破断した側面図。
【図3】集束管を分解した状態を示す一部を破断した側面図。
【図4】ストッパを取り付ける状態を示す一部を破断した側面図。
【図5】(a)はストッパの本体部を基端側から見た状態を示す正面図、(b)はストッパの本体部を示す一部を破断した側面図、(c)はストッパの本体部を先端側から見た状態を示す正面図。
【図6】ストッパの本体部に筒材を嵌合する状態を示す一部を破断した側面図。
【図7】集束管に鞘管を装着する状態を示す一部を破断した側面図。
【図8】別形態のストッパの本体部を示す一部を破断した側面図。
【符号の説明】
【0037】
10…ハンドホール、10a…側壁、11…ボディ管ダクトスリーブ、12…集束管、13…ボディ管、14…鞘管ダクトスリーブ、15…鞘管、28…ストッパ、29…当接部材、31…本体部、32…筒材、33…スリーブ係止部、35…蓋部、37…当接部、38…鞘管当接部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドホールの側壁に設けられたボディ管ダクトスリーブに対し、鞘管を挿通するための鞘管ダクトスリーブが内部に支持固定されたボディ管の一端が挿入されて構成される配管構造において、該鞘管ダクトスリーブのハンドホール側となる一端部に摺動可能に装着されることを特徴とする摺動体。
【請求項2】
該鞘管ダクトスリーブの一端に係止されるスリーブ係止部が設けられている請求項1に記載の摺動体。
【請求項3】
柱状又は筒状に形成された本体部と、該本体部に嵌合された筒材とを備えており、該筒材が切断されて所定長さに調整される請求項1又は請求項2に記載の摺動体。
【請求項4】
該スリーブ係止部は、該本体部の外面上に突設されている請求項3に記載の摺動体。
【請求項5】
該鞘管ダクトスリーブの一端を閉塞する蓋部が設けられている請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の摺動体。
【請求項6】
請求項2から請求項5のうち何れか一項に記載の摺動体と、ハンドホールの側壁の内面側に設置される当接部材とを備える敷設補助具であって、
該摺動体には、該鞘管ダクトスリーブの一端に係止されるスリーブ係止部と、該当接部材に当接される当接部とがそれぞれ設けられており、該配管構造の敷設時における該鞘管ダクトスリーブの一端の初期位置に応じて該スリーブ係止部と該当接部との間が所定長さとされていることを特徴とする敷設補助具。
【請求項7】
請求項2から請求項5のうち何れか一項に記載の摺動体と、ハンドホールの側壁の内面側に設置される当接部材とを備える敷設補助具であって、
該摺動体には、該鞘管ダクトスリーブの一端に係止されるスリーブ係止部と、該鞘管ダクトスリーブ内で該鞘管の一端を当接させる鞘管当接部とがそれぞれ設けられており、該配管構造の敷設時における該鞘管ダクトスリーブ内での該鞘管の一端の初期位置に応じて該鞘管当接部と該スリーブ係止部との間が所定長さとされていることを特徴とする敷設補助具。
【請求項8】
請求項2から請求項5のうち何れか一項に記載の摺動体と、ハンドホールの側壁の内面側に設置される当接部材とを備える敷設補助具であって、
該摺動体は、その端部を該鞘管ダクトスリーブのハンドホール側となる一端から突出させた状態で装着されるものであり、
該摺動体には、該当接部材に当接される当接部と、該鞘管ダクトスリーブ内で該鞘管の一端を当接させる鞘管当接部とがそれぞれ設けられるとともに、該鞘管ダクトスリーブの一端に係止されるスリーブ係止部が該当接部と該鞘管当接部の間に設けられており、
該配管構造の敷設時における該鞘管ダクトスリーブの一端及び該鞘管ダクトスリーブ内での該鞘管の一端の各初期位置に応じて、該当接部と該スリーブ係止部の間及び該スリーブ係止部と該鞘管当接部の間がそれぞれ所定長さとされていることを特徴とする敷設補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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