説明

撮像モジュール

【課題】 ハウジング内で移動するシャッタユニットに電気接続するためのフレキシブル基板を有する撮像モジュールの小型化を実現する。
【解決手段】 ハウジング部11内に組み込んだ光軸方向に移動するレンズ22と一体にシャッタユニット6を有し、シャッタユニット6に電気接続したフレキシブル回路基板62のリボン部621をシャッタユニット6の後側に沿って光軸方向に湾曲した状態で延設して外部に電気接続する。シャッタユニット6を光軸方向に移動させたときに、リボン部621は曲率がほぼ一定で折り曲げられないのでリボン部621を変形する力は少なく、シャッタユニット6を移動させる駆動モータ7の負荷を小さくし、小型のモータが使用でき低消費電力になる。リボン部621の変形を行うためにハウジング部11内に凹部空間を確保する必要がなく、ハウジングの外形寸法を小型化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズ及び撮像素子を具備し、デジタルカメラや携帯電話機に一体化されたカメラ等においてデジタル画像を撮像するための撮像モジュールに関し、特にレンズを光軸方向に移動して焦点距離を変化させるズーム機能や自動的に焦点合わせを行うAF(自動焦点)機能等を備えさせることが可能な撮像モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル画像を撮像するための撮像モジュールとして従来から種々の撮像モジュールが提案されている。この種の撮像モジュールは被写体を光学的に結像するためのレンズと、レンズで結像された被写体像を電気信号に変換するためのCCD素子等の撮像素子を搭載した構成となっている。また、このような撮像モジュールにおいて、撮影焦点距離を変化させるズーム機能及びAF機能を備えた撮像モジュールではレンズを光軸方向に移動させる構成がとられているが、これと同時にシャッタユニットをレンズと共に光軸方向に移動させる必要がある。シャッタユニットは電気信号により開閉動作する機械シャッタで構成されているため、シャッタユニットに対してはシャッタユニットの移動に追従して変形が容易なフレキシブル基板を用いて電気接続を行っている。
【0003】
例えば、特許文献1のレンズ鏡筒はレンズ沈胴型カメラに関する技術であるが、機械シャッタで構成されるシャッタユニットをレンズと共に光軸方向に移動させる点では前述の撮像モジュールと同じであり、シャッタユニットの移動に追従するためにシャッタユニットにフレキシブル基板を接続した構成を採用している。フレキシブル基板は板厚方向に変形が容易であるため、シャッタユニットをフレキシブル基板を用いてカメラ本体側の回路基板に電気接続することで、シャッタユニットが移動された場合でもフレキシブル基板が撓むことで両者間での電気接続状態を保持することが可能である。
【特許文献1】特開2004−334101号公報
【0004】
このようなシャッタユニットをフレキシブル基板により電気接続したレンズ鏡筒では、フレキシブル基板が撓んだときに撓んだ部分がレンズの光路内に進入して被写体像のケラレが生じることがないように撓みを規制することが必要である。そのため特許文献1ではレンズ鏡筒の一側部にフレキシブル基板の撓み部分を収納する凹部空間を設け、レンズ鏡筒が沈胴してフレキシブル基板が撓んだときに、当該撓んだ部分はレンズの光路から外れた凹部空間内に退避され、被写体像のケラレを防止することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1の技術はレンズ鏡筒の外部に凹部空間を設けているため、この凹部空間を確保するためにレンズ鏡筒の外径寸法が大きくなり、小型化を図る上での障害になる。特に、近年のデジタルカメラや携帯電話機に一体化したカメラに用いる撮像モジュールは小型化が要求されているため、レンズ鏡筒の外径寸法が大きくなる特許文献1の構造を採用することは難しい。また、特許文献1の技術はフレキシブル基板が撓んだときに折り曲げる構成であるため、折れ曲がり部分での抵抗が大きくなり、この際の抵抗力がそのままシャッタユニットを光軸方向に移動させる際の負荷となり、駆動モータを含めてレンズ及びシャッタユニットの移動機構を小型化する上での障害になる。さらに、フレキシブル基板が撓む際にレンズ鏡筒の内面と接触し易いため、この接触した部分での摩擦力によってもシャッタユニットを移動させる際の負荷を増大することになる。
【0006】
本発明の目的は、フレキシブル基板を用いた撮像モジュールの小型化を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ハウジングにレンズ及び撮像素子を組み込み、当該レンズを光軸方向に移動可能とし、かつレンズと一体にシャッタユニットを有する撮像モジュールにおいて、シャッタユニットと外部回路基板とを電気接続するためのフレキシブル回路基板をシャッタユニットの前側又は後側に沿って光軸方向に湾曲した状態で延設したことを特徴とする。フレキシブル回路基板は細長いリボン状に形成され、その一端がシャッタユニットの一部に接続され、その接続部からシャッタユニットの前側又は後側に沿って光軸方向に湾曲され、他端がハウジングに配設した外部回路基板に接続される構成とする。
【0008】
また、本発明は次のように構成することが好ましい。
(a)ハウジングの撮像素子を取着する壁面に設けられた撮像窓の一辺部を内側から凹ませて薄肉に形成するとともに、当該撮像窓にはマスク枠を介して撮像素子のフィルタを取着する。この場合において、マスク枠は薄肉に形成された一辺部に対応する辺を曲げ加工した曲げ片を備えることが好ましい。
(b)ハウジングのフレキシブル回路基板が接触する領域には逃げ窓が開口され、当該逃げ窓にはフレキシブル回路基板が接触したときに滑動し易い表面処理が施された蓋板が取着されることが好ましい。
(c)ハウンジグは樹脂成型により形成された樹脂ハウジング部と、金属材で形成された金属ハウジング部とで構成され、金属ハウジング部にレンズを駆動するための駆動モータを取着する。この場合において、レンズはハウジング内で光軸方向に移動される少なくとも2つのレンズで構成され、金属ハウジング部には2つのレンズをそれぞれ光軸方向に移動させるための2つの駆動モータが並んで取着される。
(d)樹脂ハウジング部には金属材で形成された固定座が固定されており、金属ハウジング部は固定座に対してネジにより固定される構成とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レンズと共にシャッタユニットを移動させたときに、光軸方向に緩やかな曲率で板厚方向に湾曲されているフレキシブル回路基板のリボン状の部分は当該曲率がほぼ一定の状態で変形されるのみであり、フレキシブル回路基板が折り曲げられる状態になることはなく、フレキシブル回路基板を変形するための力は少なくて済み、シャッタユニットを移動させるための駆動モータの負荷が増大することはなく、小型のモータが使用でき低消費電力になる。また、フレキシブル回路基板の変形を可能とするためにハウジングの側面領域に凹部空間を確保する必要がなく、ハウジングの外形寸法が増大することはない。さらに、シャッタユニットが移動してフレキシブル回路基板が外側に湾曲してハウジングの内面に接触した場合でも、この部分には内面を円滑処理した蓋板が取着されているのでフレキシブル回路基板の変形を円滑に行うとともに、磨耗等によってフレキシブル回路基板及びその回路パターンがダメージを受けることもない。さらに、シャッタユニットが移動したときにフレキシブル回路基板の一部がハウジングの撮像素子構体を取着した後側の内面に接触する状態となるが、この部分は薄肉に形成しているためフレキシブル回路基板と当該内面との接触を防止し、変形を容易なものとする。この場合、撮像素子のフィルタをマスク枠を利用してハウジングに固定することで、当該フィルタを正確な位置にかつ必要とされる強度で固定することができる。さらに、ハウジングの一部を樹脂ハウジング部で構成し、他の一部を金属ハウジング部で構成することで、ハウジング全体の軽量化を図る一方で必要な強度を確保することも可能になる。
【実施例1】
【0010】
次に、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明の撮像モジュールの一部を分解した外観図であり、箱型をしたハウジング1の前面側の端面にレンズ窓1aが開口され、ハウジング11内に内装された詳細を後述するレンズ光学系2によって被写体を結像する。また、前記ハウジング1の反対側の後面側の端面にはフレキシブルな第1の回路基板3に搭載された撮像素子5が当該第1の回路基板3によって装着され、前記レンズ光学系2で結像した被写体像を撮像して得られる電気信号を第1の回路基板3を通して外部に出力するようになっている。また、前記ハウジング1の上面から図示手前側の側面にわたる領域を覆うように本発明の外部回路基板としてのフレキシブルな第2の回路基板4が配設されており、この第2の回路基板4には前記レンズ光学系2のズーミングや合焦のために駆動するための後述する駆動モータ7,8やシャッタユニット6に対する電気接続を行うための電気回路が構成され、かつ各種電子部品41や接続端子42,43等が搭載されている。
【0011】
図2は前記撮像モジュールの部分分解斜視図、図3は光軸に沿った水平方向の断面図である。前記ハウジング1は長手方向の一方の端面とこれに隣接する側面が開口されて断面形状がコ字型となるように成型された樹脂ハウジング部11と、前記樹脂ハウジング部11の開口された面を覆うようにL字型に曲げ形成された金属ハウジング部12とを備えており、両ハウジング部11,12をネジ13により締結して前記ハウジング1を構成している。前記金属ハウジング部12の端面には前記レンズ窓1aが開口されている。また、前記金属ハウジング部12と樹脂ハウジング部11をネジ13で締結するために、アルミニウム合金等でダイキャスト成型したほぼ半円弧状の固定座14を別部材として設けており、この固定座14を樹脂ハウジング部11の前端部に上下方向からネジ13で固定する一方、前記固定座14に対して金属ハウジング部12を前面方向からネジ13で固定する。これによりネジ13による両者の締結強度を高めている。また、前記金属ハウジング部12をネジ13で固定する際に、金属ハウジング部12の前面にフィルタ枠15を配設し、金属ハウジング部12に一体的に固定している。このフィルタ枠15の矩形窓内には保護フィルタや赤外フィルタ等が配設される。
【0012】
前記ハウジング1内には長手方向、すなわち光軸方向に沿って3本のガイドシャフト16が平行に延設され、これらのガイドシャフト16に前記レンズ光学系2を構成する光軸を一致させた第1のレンズ21と第2のレンズ22が光軸方向に移動可能に支持されている。これら第1のレンズ21と第2のレンズ22はそれぞれレンズ枠にレンズが支持された構成であるが、ここではこれらの構成体を第1のレンズ21、第2のレンズ22と称しており、各レンズ枠に設けられたガイド片213,223がそれぞれガイドシャフト16を挟持した状態に嵌挿される。また、これらのレンズ21,22は前記ガイドシャフト16に嵌挿したスプリング17によってそれぞれ前面方向への付勢力が付与されている。ここで、前記第2レンズ22には電子制御される機械シャッタで構成されるシャッタユニット6が補助板61と共にネジ62により一体的に固定され、当該シャッタユニット6は第2レンズ22と共に移動可能とされている。前記シャッタユニット6には詳細を後述するフレキシブル回路基板63が一体に設けられている。
【0013】
前記金属ハウジング部12の側面にはステッピングモータで構成される第1及び第2の2つの駆動モータ7,8が並んで固定されている。図4は金属ハウジング部12を内面方向から見た斜視図であり、各駆動モータ7,8の回転出力軸はそれぞれ光軸方向に沿って延設されたスクリューボルト71,81として構成されている。各スクリュボルト71,81には従動ナット72,82が螺合されており、駆動モータ7,8によって軸転されたときには各従動ナット72,82はスクリュボルト71,81上で光軸方向に移動される。前記各従動ナット72,82は前記第1のレンズ21と第2のレンズ22の各レンズ枠に一体に形成された係合片211,221に対して光軸方向に一体となるように係合されており、各従動ナット72,82が移動されたときにはそれぞれ第の1レンズ21、第2のレンズ22を光軸方向に移動させる。
【0014】
また、前記樹脂ハウジング部11の上面の一部と前記金属ハウジング部12の側面の一部にはそれぞれ矩形窓111,121が開口され、それぞれフォトインタラプタ91,92が嵌入支持されている。なお、金属ハウジング部12では樹脂製の保持枠93を介してフォトインタラプタ92が矩形窓121に嵌入支持されている。金属ハウジング部12に支持されたフォトインタラプタ92は前記第の1レンズ21に設けられた検出片212と協動して第1のレンズ21の光軸方向の特定位置を検出する。また、樹脂ハウジング部11に支持されたフォトインタラプタ91は前記第2のレンズ22と一体的に取着された前記補助片61に設けられた検出片611と協動して第2のレンズ22の光軸方向の特定位置を検出する。
【0015】
前記2つの駆動モータ7,8と2つのフォトインタラプタ91,92はそれぞれハウジング1の外面に配設されている前記第2の回路基板(図1参照)4に電気接続される。また、同時に前記シャッタユニット6はフレキシブル回路基板62を介して当該第2の回路基板4の接続端子43に電気接続される。図5は前記樹脂ハウジング部11を除いたハウジング1の内部構造を左下方から見た斜視図であり、前記シャッタユニット6の一面にはフレキシブル回路基板62が一体に設けられており、このフレキシブル回路基板62の下端部からはハウジング1の光軸中心を外れてレンズ光学系2の光路と干渉することがないように細長いリボン部621が延長されている。このフレキシブル回路基板62のリボン部621は先端側がシャッタユニット6の下端部から後方に曲げられ、樹脂ハウジング部11の下側面に開口された光軸方向に細長い下側逃げ窓112に沿って後側の上方に向けて緩やかな曲率で板厚方向に湾曲され、シャッタユニット6の後面側を通った後、先端部622がシャッタユニット6の上側を通り、前記樹脂ハウジング部11の上側面に開口された光軸方向に細長い上側逃げ窓113に臨まされ、この上側逃げ窓113を挿通した上で前記第2の回路基板4の接続端子43に機械的及び電気的に接続されている。前記上側及び下側の各逃げ窓113,112の外側にはそれぞれ内面を円滑処理した蓋板114,115が接着等によって固定され、当該逃げ窓112,113を塞いでいる。
【0016】
図6にハウジング1を後面側から見た部分分解斜視図を示すように、前記樹脂ハウジング部1の後側の端面には矩形の撮像窓116が開口され、この撮像窓116の内側に前記第1及び第2のレンズ21,22と同軸の第3のレンズ23(図3参照)が取着されている。また、前記撮像窓116の背後には前述のように撮像素子5が取着されている。撮像素子5は図1に示したように第1の回路基板3に搭載されており、撮像素子5の前面側にはゴム製又は柔軟な樹脂製の矩形枠状をしたフィルタ保持枠51と、同様に矩形の枠状をした金属製のマスク枠52とによってLPF(ローパスフィルタ)53をこれらで挟むようにして固定される。前記フィルタ保持枠51はパッキンとして機能するものであり、LPF53をマスク枠52に対して押さえ込み、その上でフィルタ保持枠51の外側から撮像素子5が取着される。この撮像素子5は内部にCCD等の撮像素子を搭載してパッケージ化されたものであり、第1の回路基板3を補強板31と共に樹脂ハウジング部11の後面にネジ32により固定することで、撮像素子5がハウジング1に固定される。第1の回路基板3は図には表れないカメラの制御回路に電気接続される。
【0017】
ここで、図3の断面図からもわかるように、前記撮像窓116は前記シャッタユニット6に接続されているフレキシブル回路基板62のリボン部621に対向する領域の内面を厚さ方向に後退させて薄肉に形成しており、そのため前記撮像窓116の窓枠の一辺部116aが薄肉に形成された状態となっている。前記マスク枠52は視野範囲外の光がLPF53を透過することを防止するためのものであるが、このマスク枠52の一辺部521によって前記撮像窓116の窓枠の薄肉の一辺部116aにおいて窓枠を構成している。また、このマスク枠52の当該一辺部521は長さ方向に沿って板厚方向にほぼ直角に曲げ加工した曲げ片522が構成されており、この曲げ片522がLPF53の一辺に当接するストッパとして構成されている。
【0018】
以上の撮像モジュールの概略動作を説明すると、ハウジング1の前面のレンズ窓1aを通してレンズ光学系2により被写体像を結像すると、結像した被写体像はLPF53を通して撮像素子5の撮像面に結像され、撮像素子5において光電変換が行われて第1の回路基板3を通して撮像信号が出力される。このとき、シャッタユニット6に電気信号を供給してシャッタを開閉制御することで撮像素子5における電荷蓄積時間が制御でき、撮像信号の取込みが可能になる。また、第1と第2の駆動モータ7,8が駆動されてスクリュロッド71,81が軸転されると、各従動ナット72,82が光軸方向に移動され、これとともに第1のレンズ21と第2のレンズ22が光軸方向に移動される。各駆動モータ7,8を制御して第1のレンズ21と第2のレンズ22を所定の光軸方向の位置に位置制御することでレンズ光学系2における焦点距離を変化させてズーム動作を行うことが可能になる。また、同時にAF制御が可能になる。このとき、第1のレンズ21と第2のレンズ22は各レンズにおける検出片212,611をフォトインタラプタ91,92において検出することで各レンズ21,22に付いて予め設定している特定位置、すなわち初期位置を検出し、各レンズ21,22の正確な光軸方向位置の制御、すなわち正確なズーム倍率及びAF制御が可能になる。
【0019】
第2のレンズ22を光軸方向に移動すると、第2のレンズ22に一体化されているシャッタユニット6も光軸方向に移動する。このとき、フレキシブル回路基板62のリボン部621は光軸方向に緩やかな曲率で板厚方向に湾曲されているので、シャッタユニット6の移動によってもほぼ同じ曲率での状態が保持される。すなわち、図7(a)のようにシャッタユニット6が光軸方向の前方に移動した場合でも、図7(b)のように後方に移動した場合でも湾曲した部分の曲率はほぼ同じである。そのため、リボン部621は曲率半径が極めて小さい状態で湾曲されることはなく、換言すればリボン部621の一部が折り曲げられる状態になることはなく、当該リボン部621、すなわちフレキシブル回路基板62を変形するための力は少なくて済み、シャッタユニット6及び第2のレンズ22を光軸方向に移動させるための力が少なくて済むことになる。したがって、シャッタユニット6と第2のレンズ22を移動させる第2の駆動モータ8の負荷が増大することはなく、小型のモータが使用でき低消費電力になる。
【0020】
また、フレキシブル回路基板62のリボン部621の変形を行うために特許文献1のような凹部空間をハウジングの側面領域に確保する必要がないため、ハウジング1の外形寸法が増大することはない。さらに、シャッタユニット6及び第2のレンズ22が前後方向に移動したときにリボン部621が外側に湾曲して一部が樹脂ハウジング部11の上側の内面に接触する状態となるが、このときリボン部621は樹脂ハウジング部11内において下側逃げ窓112と上側逃げ窓113において円滑処理されている蓋板114,115のそれぞれの内面に摺接されるため、リボン部621が移動する際の摩擦力が小さくなり、リボン部621の変形を円滑に行うとともに、磨耗等によってリボン部621やフレキシブル回路基板62に形成されている回路パターンがダメージを受けることもない。さらに、シャッタユニット6と第2のレンズが後方に移動したときにリボン部621が樹脂ハウジング部11の光軸方向の後側端面の内面に接触する状態となるが、この部分では撮像窓116の1辺部116aが薄肉に形成されているためリボン部621が樹脂ハウジング部11の内面に干渉することもなく、リボン部621の変形を容易なものとする。
【0021】
なお、前述のように樹脂ハウジング部11の後側端面の撮像窓116の一辺部116aは薄肉に形成されているが、この部分にはマスク枠52の一辺部521が存在しているため、撮像窓116を画成し、LPF53を撮像窓116に対して正しく固定することができる。また、マスク枠52の一辺部521にストッバとしての曲げ辺522を設けることで、当該マスク枠52の機械的な強度を高め、LPF53の安定した固定が可能になる。さらに、その後面側に取着するフィルタ保持枠51や撮像素子5を樹脂ハウジング部11に対して高い信頼度で固定することが可能になる。
【0022】
また、実施例では、ハウジング1を樹脂ハウジング部11と金属ハウジング部12とで構成しており、特にハウジングの6面を樹脂で成形した樹脂ハウジング部11で構成しているので、ハウジング1の軽量化、低価格化を図る上で有利である。その一方で、駆動モータ7,8を固定するために所要の強度が要求される部分を金属ハウジング部12で構成しているので、ハウジング1に要求される強度を満たすことができる。また、金属ハウジング部12を樹脂ハウジング部11にネジ13で固定する際には、合金製の固定座14を予め樹脂ハウジング部11にネジ止めしておき、金属ハウジング部12をこの固定座14に対してネジ止めすることで、金属ハウジング部12に大きな負荷が加えられた場合でも樹脂ハウジング部11に対するネジ止め強度を確保することができる。
【0023】
前記実施例ではシャッタユニット6に接続したフレキシブル回路基板62のリボン部621をシャッタユニット6の後側に沿って上下方向に湾曲させた状態で延長しているが、リボン部621の先端側622をハウジング1に対して接続する位置とが実施例と異なる場合にはリボン部621をシャッタユニット6の前側に沿って湾曲して延長するようにしてもよい。あるいは、水平方向に湾曲して延長するようにしてもよい。
【0024】
なお、前記実施例では第1のレンズ及び第2のレンズを光軸方向に移動するズーム機能を有する撮像モジュールに適用しているが、電気接続が必要なシャッタユニットをレンズと共にあるいは単独で光軸方向に移動する撮像モジュールであれば本発明を同様に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1の撮像モジュールの一部を分解した斜視図である。
【図2】撮像モジュールの部分分解斜視図である。
【図3】撮像モジュールの光軸に沿う水平方向の断面図である。
【図4】金属ハウジング部を内面下側から見た斜視図である。
【図5】樹脂ハウジング部を除いた状態の下方から見た斜視図である。
【図6】ハウジングの後端面側の分解斜視図である。
【図7】シャッタユニット及びフレキシブル回路基板の動作を説明するための模式的な図である。
【0026】
1 ハウジング
11 樹脂ハウジング部
112,113 逃げ窓
114,115 蓋板
12 金属ハウジング部
2 レンズ光学系
21 第1のレンズ
22 第2のレンズ
23 第3のレンズ
3 第1の回路基板
4 第2の回路基板
5 撮像素子
51 フィルタ保持枠
52 マスク枠
522 曲げ片
53 LPF(ローパスフィルタ)
6 シャッタユニット
62 フレキシブル回路基板
621 リボン部
7,8 駆動モータ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングにレンズ及び撮像素子を組み込み、前記レンズを光軸方向に移動可能とし、かつ前記レンズと一体にシャッタユニットを有する撮像モジュールにおいて、前記シャッタユニットと外部回路基板とを電気接続するためのフレキシブル回路基板を前記シャッタユニットの前側又は後側に沿って光軸方向に湾曲した状態で延設したことを特徴とする撮像モジュール。
【請求項2】
前記フレキシブル回路基板は細長いリボン状に形成され、その一端が前記シャッタユニットの一部に接続され、その接続部から前記シャッタユニットの前側又は後側に沿って光軸方向に湾曲され、他端が前記ハウジングに配設した前記外部回路基板に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュール。
【請求項3】
前記ハウジングの前記撮像素子を取着する壁面に設けられた撮像窓の一辺部を内側から凹ませて薄肉に形成するとともに、当該撮像窓にはマスク枠を介して前記撮像素子のフィルタを取着していることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像モジュール。
【請求項4】
前記マスク枠は、前記薄肉に形成された一辺部に対応する辺を曲げ加工した曲げ片を備えることを特徴とする請求項3に記載の撮像モジュール。
【請求項5】
前記ハウジングの前記フレキシブル回路基板が接触する領域には逃げ窓が開口され、当該逃げ窓には前記フレキシブル回路基板が接触したときに滑動し易い表面処理が施された蓋板が取着されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の撮像モジュール。
【請求項6】
前記ハウンジグは樹脂成型により形成された樹脂ハウジング部と、金属材で形成された金属ハウジング部とで構成され、前記金属ハウジング部に前記レンズを駆動するための駆動モータを取着したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の撮像モジュール。
【請求項7】
前記レンズは前記ハウジング内で光軸方向に移動される少なくとも2つのレンズで構成され、前記金属ハウジング部には前記2つのレンズをそれぞれ光軸方向に移動させるための2つの駆動モータが並んで取着されていることを特徴とする請求項6に記載の撮像モジュール。
【請求項8】
前記樹脂ハウジング部には金属材で形成された固定座が固定されており、前記金属ハウジング部は前記固定座に対してネジにより固定されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の撮像モジュール。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−33699(P2007−33699A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214990(P2005−214990)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】