撮像装置および撮像方法
【課題】再生時において、所望する映像を容易に視聴させることができる。
【解決手段】撮像装置100は、撮像対象を撮像する撮像部120と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転した角度である傾斜角を取得する傾斜角取得部172と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると撮像対象の画像の記憶を開始するよう、傾斜角に基づいて記憶部を制御する記憶制御部174とを備える。
【解決手段】撮像装置100は、撮像対象を撮像する撮像部120と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転した角度である傾斜角を取得する傾斜角取得部172と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると撮像対象の画像の記憶を開始するよう、傾斜角に基づいて記憶部を制御する記憶制御部174とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜角に基づいて撮像する撮像装置および撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置は、解像度や記憶容量の向上もさることながら、手ぶれ補正や顔認識等、撮像を補助する機能についても、高機能化が進んでいる。例えば、撮像装置自体の姿勢を認識して撮像状態を制御する技術も存在する。
【0003】
一例として、撮像部の光軸のチルト角(ピッチ角)検出スイッチに基づいて撮像方向が上下のいずれを向いているかを判断し、撮像方向が地面(下)を向いている場合に自動的に撮像を停止し、無意味に地面を撮像しないようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−40670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、モーターバイクの運転の練習やモーターバイクのレース等において、モーターバイク(自動二輪車)の後部に撮像装置を設置し、ライダー(操縦者)のコーナリングの姿勢や、遠心力に対抗するモーターバイクの傾斜状態を撮像することがある。撮像した映像を後で視聴することであたかも自分が操縦しているかのような一体感を得ることができたり、自己の操縦姿勢を事後的に確認し操縦技能を向上するために用いたりすることが可能となる。
【0006】
上記のような撮影をする場合、コーナリングに比べて直進では、操縦自体に変化が少なく、また、ライダーの操縦技能の差も表れ難く、単調かつ興趣に乏しい映像となり易い。そのため、操縦を開始してから停車するまでを一律に撮像すると、コース形状によっては、大部分の映像がユーザの所望しない単調なものになってしまう。
【0007】
そこで本発明は、このような課題に鑑み、再生時において、所望する映像を容易に視聴させることが可能な、撮像装置および撮像方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、撮像対象を撮像する撮像部と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転した角度である傾斜角を取得する傾斜角取得部と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると撮像対象の画像の記憶を開始するよう、傾斜角に基づいて記憶部を制御する記憶制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記撮像装置は、撮像部が撮像した画像を一時的に保持する一時保持部をさらに備え、記憶制御部は、撮像装置が第1の状態となると、撮像装置が第1の状態となった時刻よりも所定の時間前の時刻以降の画像の記憶を開始するよう、記憶部を制御してもよい。
【0010】
上記記憶制御部は、撮像装置が第1の状態となった後に、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第2の角度以下の角度回転した位置に撮像装置が位置する第2の状態になると、撮像対象の画像の記憶を停止するよう、記憶部を制御してもよい。
【0011】
上記第2の角度は第1の角度よりも小さい角度であってもよい。
【0012】
上記撮像装置は、傾斜角を導出する傾斜角導出部をさらに備えてもよい。
【0013】
上記傾斜角導出部は、角速度センサと、角速度センサの出力を積分する積分回路と、積分回路の出力のオフセット成分を抑制するオフセット成分抑制部とを有してもよい。
【0014】
上記撮像装置は、水平軸および鉛直軸のいずれか一方または両方を示す指標画像を撮像部が撮像する画像に重畳する重畳部をさらに備えてもよい。
【0015】
上記重畳部は、傾斜角に応じて異なる表示形態の指標画像を、撮像部が撮像する画像に重畳してもよい。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の撮像方法は、撮像部を備えた撮像装置を用いる撮像方法であって、撮像対象を撮像し、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転した角度である傾斜角を取得し、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると撮像対象の画像の記憶を開始するよう、傾斜角に基づいて記憶部を制御することを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の他の撮像装置は、撮像装置において、撮像対象を撮像する撮像部と、撮像対象が撮像対象の進行方向軸回りに回転した角度である傾斜角を取得する傾斜角取得部と、撮像対象が撮像対象の進行方向軸回りに回転し、所定の状態から進行方向軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると撮像対象の画像の記憶を開始するよう、傾斜角に基づいて記憶部を制御する記憶制御部とを備えることを特徴とする。
【0018】
上記記憶制御部は、撮像装置が第1の状態となった後に、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第2の角度以下の角度回転した位置に撮像装置が位置する第2の状態になると、撮像対象の画像の記憶を停止するよう、記憶部を制御してもよい。
【0019】
上記撮像装置は、撮像部が撮像した画像を一時的に保持する一時保持部をさらに備え、記憶制御部は、撮像装置が第1の状態となると、撮像装置が第1の状態となった時刻よりも所定の時間前の時刻以降の画像の記憶を開始するよう、記憶部を制御してもよい。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の他の撮像装置は、撮像対象を撮像する撮像部と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転した角度である傾斜角を取得する傾斜角取得部と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると、撮像対象の画像に、第1の状態となったことを示すインデックスデータを付与する記憶制御部とを備えることを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するために、本発明の他の撮像装置は、撮像対象を撮像する撮像部と、撮像対象の画像を記憶部に記憶させる記憶制御部と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転した角度である傾斜角を取得する傾斜角取得部と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になっている間の撮像対象の画像を抽出したダイジェストデータを生成するダイジェスト生成部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明は、再生時において、所望する映像を容易に視聴させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】撮像装置の一例を示した外観図である。
【図2】撮像装置のモーターバイクへの設置を説明した説明図である。
【図3】撮像装置の他の利用形態を説明するための説明図である。
【図4】撮像装置の概略的な構成を示した機能ブロック図である。
【図5】傾斜角を説明するための説明図である。
【図6】コーナリングにおけるモーターバイクの動作を説明するための説明図である。
【図7】傾斜角導出部の概略的な構成を示した機能ブロック図である。
【図8】コーナリングと映像の記憶のタイミングを説明するための説明図である。
【図9】画像データの記憶を説明するための説明図である。
【図10】画像データにおける水平軸および鉛直軸を説明するための説明図である。
【図11】撮像方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0025】
(第1の実施形態:撮像装置100)
図1は、撮像装置100の一例を示した外観図である。図1(a)は、撮像装置100としてデジタルスチルカメラを、図1(b)は、撮像装置100としてデジタルビデオカメラを示している。撮像装置100は、携帯性を有すものもあり、静止画や動画の撮像が可能である。本実施形態において撮像装置100は一例としてデジタルビデオカメラとする。撮像装置100は、本体102と、撮像レンズ104と、操作部106と、表示部108とを含んで構成される。
【0026】
本体102には、後述する中央制御部136や映像記憶部132等が収められている。表示部108は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、記憶された画像データを表示部108を通じてユーザが視認することができる。
【0027】
図2は、撮像装置100のモーターバイク110への設置方法の例を説明した図である。図2(a)に示すように、撮像装置100は、乗物の一例であるモーターバイク110の後部に、例えばライダーの上半身の2/3を被写体として捉え得るように設置される。なお、撮像装置100を設置する位置は、モーターバイク110の後部に限らず前部でもよい。
【0028】
また、他の設置方法としては、例えば、モーターバイク110の後部上方から見た図である図2(b)に示すように、専用の固定冶具112をリアサスペンションの掛合部に固定したり、同じくモーターバイク110の後部上方から見た図である図2(c)に示すように、後部シートの二人乗り用ベルト114に、三脚の脚先116をツーリングネット118等で挟持したりする手段が可能である。
【0029】
図3は、本実施形態の撮像装置100の他の利用形態を説明するための説明図である。撮像装置100は、モーターバイク110の走行の撮像に限らず、図3(a)に示すように、スノーボードの撮像に用いたり、図3(b)に示すように、サーフィンの撮像に用いたり、図3(c)に示すように、ウィンドサーフィンの撮像に用いたりすることができ、様々な乗物の撮像に適用することができる。
【0030】
図4は、撮像装置100の概略的な構成を示すブロック図である。撮像装置100は、操作部106と、撮像部120と、データ処理部122と、一時保持部124と、表示部108と、外部出力部126と、圧縮伸長部128と、外部書込部130と、記憶部として機能する映像記憶部132と、傾斜角導出部134と、中央制御部136とを含んで構成される。
【0031】
操作部106は、レリーズスイッチを含む操作キー、十字キー、ジョイスティック等のスイッチやタッチパネル等であり、ユーザの操作入力を受け付ける。
【0032】
撮像部120は、モーターバイク110の進行方向に光軸が固定され、撮像レンズ104を通じて被写体(撮像対象)、ここでは乗物(モーターバイク110)に乗車しているライダーを撮像し電気信号を生成する。撮像部120は、具体的に、焦点調整に用いられるフォーカスレンズ150、露光調整に用いられる絞り152、撮像レンズ104を通じて入射する光を電気信号に変換する撮像素子154、フォーカスレンズ150および絞り152を駆動させる駆動回路156、を含んで構成される。かかる撮像部120によって生成された電気信号は、データ処理部122に転送される。
【0033】
データ処理部122は、撮像部120から出力された電気信号に、ホワイトバランス調節、ノイズ軽減処理、レベル補正処理、A/D変換処理および色彩補正処理(ガンマ補正処理、ニー処理)等の所定の処理を施すことで、画像データを生成し、一時保持部124に出力する。
【0034】
一時保持部124は、例えばリングバッファやFIFO(シフトレジスタ)としての機能を有しており、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等を用いて、データ処理部122から入力された画像データを一時的に保持する。一時保持部124に画像データが保持されている状態で、一時保持部124に画像データが入力されると、一時保持部124に保持されている画像データは、時間的に後に入力された新しい画像データに上書きされる。
【0035】
表示部108は、上述したように、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等で構成され、データ処理部122が出力し、一時保持部124に保持された画像データを表示したり、撮像状態を示すOSD(On-Screen Display)等を表示したりする。
【0036】
外部出力部126は、一時保持部124に保持された画像データを、例えば、撮像装置100に接続された表示装置200に出力する。
【0037】
圧縮伸長部128は、データ処理部122から出力された画像データを、M−JPEG(モーションJPEG)やMPEG(Moving Picture Experts Group)−2、H.264などの所定の符号化方式で符号化し、その符号化した画像データを映像記憶部132および外部書込部130に出力する。
【0038】
外部書込部130は、圧縮伸長部128が符号化した画像データを任意の外部記憶媒体202に記憶する。任意の外部記憶媒体202としては、着脱可能な、DVD(Digital Versatile Disk)やBD(Blu-ray Disc)といった光ディスク媒体や、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、ポータブルHDD等の記憶媒体を適用することができる。
【0039】
映像記憶部132は、撮像装置100と一体に形成された、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等の記憶媒体であり、圧縮伸長部128から出力された画像データを記憶する。
【0040】
傾斜角導出部134は、例えば角速度センサを有して構成される。傾斜角導出部134は、図1に示したような、撮像部120の光軸回りに回転した角度である、鉛直軸(ロール軸)からの傾斜角(ロール角)を導出する。以下、傾斜角導出部134は、と撮像部120の中心軸と鉛直軸との光軸周りの角度を傾斜角として検出するものとして説明するがこれに限定されるものではない。なお、重力方向を向く軸を鉛直軸、鉛直軸と直交し、さらに光軸または進行方向軸と直交する軸を水平軸とする。
【0041】
また、傾斜角導出部134は撮像装置100が有していてもよいし、撮像対象等の撮像装置100が固定される対象、または撮像装置100が固定される対象と連動して動くものに設置されていてもよい。本実施例であれば、モーターバイク110が傾斜角導出部134を有していてもよいし、モーターバイク110を運転するライダーが傾斜角導出部134を持つようにしてもよい。
【0042】
図5は、傾斜角を説明するための説明図である。図5(a)は、モーターバイク110の傾斜角を示し、図5(b)は、図5(a)でモーターバイク110に取り付けられた撮像装置100の傾斜角を示す。
【0043】
図5(a)に示すように、ライダーは、コーナリング等ではその遠心力(図5(a)および後述する図6に矢印220で示す)に対抗するため、曲がる方向にモーターバイク110を傾斜角θ傾ける。図2を用いて説明したように、撮像装置100はモーターバイク110後部に固定されているため、図5(b)に示すように撮像装置100もモーターバイク110の傾きと一体的に傾く。傾斜角導出部134は、重力方向を向く軸である鉛直軸と、モーターバイク110または撮像装置100の中心軸との角度である傾斜角θを導出する。
【0044】
このように、本実施例においては、モーターバイク110または撮像装置100の中心軸と、鉛直軸との角度を傾斜角θとするが、傾斜角θは、所定の状態を基準として、モーターバイク110の進行方向軸と直交する所定の軸(本実施例では中心軸)が進行方向軸周りに回転した角度、または、撮像装置100の光軸と直交する所定の軸(本実施例では中心軸)が光軸周りに回転した角度であればよい。例えば、モーターバイク110または撮像装置100の中心軸と、水平軸との角度を傾斜角θとすることもできる。
【0045】
本実施例ではモーターバイク110が直進しているとき(所定の状態)にモーターバイク110の中心軸と鉛直軸とがほぼ同じ方向に向くため中心軸と鉛直軸との角度を傾斜角θとしている。また、撮像装置100は、撮像装置100の中心軸とモーターバイク110の中心軸とがほぼ同じ方向に向くようにして設置されることを想定しているため、撮像装置100の中心軸と、鉛直軸との角度を傾斜角θとしてもよい。なお、進行方向軸とは乗物の進行方向と同じ方向を向く軸である。なお、本実施例では進行方向軸の一部は乗物と地面(水面)との接点に位置するものとする。
【0046】
なお、上述したように、傾斜角導出部134は、撮像装置100に内蔵される場合に限らず、例えば、モーターバイク110に内蔵されている傾斜角の導出装置や、モーターバイク110に取り付けられた他の傾斜角導出装置から傾斜角を参照する構成でもよい。かかる構成により、既存の情報を有効利用して、傾斜角導出部134に費やす演算負荷を削減することができる。
【0047】
一方、本実施形態に記載のように傾斜角導出部134を撮像装置100と一体的に形成する場合、取り付けが容易となり、未使用時の収納もスペースを取らない。また、傾斜角が外部機器から伝達される場合に発生し得る、傾斜角の伝達経路の断線を防止し、安定して傾斜角を取得することができる。
【0048】
なお、傾斜角導出部134には、加速度センサを用いたり、角速度センサを用いたりすることができる。加速度センサを用いる場合は、検知軸にどの程度重力加速度Gが含まれているかに応じて傾斜角を導出することができる。また、角速度センサを用いる場合は、検知軸回りの角速度を時間積分することによって角度を導出する。
【0049】
図6は、コーナリングにおけるモーターバイク110の動作を説明するための説明図である。モーターバイク110が道路230を、破線の矢印で示す経路232を通りカーブにさしかかると、モーターバイク110のコーナリング中、モーターバイク110および撮像装置100には、カーブの回転中心234から遠ざかる方向への遠心力(図6に矢印220で示す)が生じる。傾斜角導出部134に加速度センサのみを用いる場合、この遠心力による加速度の影響も受けてしまうため、重力加速度Gのみを抽出できず、傾斜角を正確に導出できない恐れがあるが、おおよその傾斜角を検出することは可能である。他にも、モーターバイク110の左右水平方向に2つの加速度センサを配しその検出値の差分を用いて、傾斜角を導出することができるが、2つの加速度センサの間隔を仮に5cm離隔できたとしても、重力加速度Gに対して2%程度の差分しか検出できず、やはり傾斜角を正確に導出できない恐れがあるが、おおよその傾斜角を検出することは可能である。
【0050】
一方、角速度センサを用いれば、重力加速度Gや遠心力による加速度等、直線的な加速度の影響は受けない。また、モーターバイク110のカーブによる鉛直軸回りの回転に関しても、光軸と鉛直軸とが直交するためその影響を受けず、傾斜角導出部134は、角速度センサの測定値に基づいて、モーターバイク110の傾斜角をより精度良く導出できる。
【0051】
傾斜角導出部134としてこのような角速度センサを用いた場合、電源ON時や撮像者の操作部106を通じたリセット入力に応じて、傾斜角導出部134は、その時点の傾斜角を0度(デフォルト値)にリセットする。そして、例えば300Hz以上程度のサンプリング周期で光軸周りの角速度を検出し、検出値を積分して傾斜角を導出する。
【0052】
図7は、傾斜角導出部134の概略的な構成を示した機能ブロック図である。図7(a)は角速度センサ250のみを用いた場合、図7(b)は角速度センサ250と加速度センサ252の両方を用いた場合をそれぞれ示す。
【0053】
積分回路254は、角速度センサ250の出力を積分して傾斜角を導出する。しかし、角速度センサ250からノイズも出力される場合があり、積分回路254はそのノイズも蓄積し、角速度センサ250の検出値にオフセット成分が加算され、角速度センサ250の検出値が実際の傾斜角と異なる値を示してしまう恐れがある。そこで、図7(a)に示すように、第1減算部258は、角速度センサ250の検出値をフィルタ256によって平滑化し、その平滑化された検出値を角速度センサ250の検出値から減算する。かかる構成により、オフセット成分を排除することができる。以上のように図7(a)のフィルタ256と第1減算部258とは協働して、積分回路の出力のオフセット成分を抑制するオフセット成分抑制部として機能する。
【0054】
また、フィルタ256を用いない場合、傾斜角導出部134は、例えば、1秒間に0.1度程度、傾斜角を0度に近づける処理を施してもよい。こうすることで、直進時、傾いていない場合におけるモーターバイク110の傾斜角を0度に維持することができる。また、コーナリング等でモーターバイク110が傾いている場合に傾斜角を0度に近づける演算処理が継続したとしても、その傾いている時間(倒し込み時間)は長くとも5秒間程度なので、0.5度程度の補正にしかならず傾斜角に対して実質的な影響はない。以上のように、傾斜角導出部134の1秒間に0.1度程度傾斜角を0度に近づける処理を行う手段はオフセット成分抑制部として機能する。
【0055】
さらに、図7(b)に示すように、加速度センサ252を併用してもよい。この場合、第2減算部260は、積分回路254の出力値から加速度センサ252の検出値を減算し、その減算した値をフィルタ254で平滑化した後、第1減算部258が、角速度センサ250の検出値から減算する。このように、加速度センサ252を用いて随時補正を行うことで、オフセット成分を抑制することができる。以上のように図7(b)のフィルタ254と第1減算部258と第2減算部260と加速度センサ252とは協働してオフセット成分抑制部として機能する。
【0056】
図4の説明に戻って、中央制御部136には、中央処理装置(CPU)や信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)等の半導体集積回路を用いることができ、中央制御部136は、撮像装置100全体を管理および制御する。
【0057】
また、中央制御部136は、撮像制御部170、傾斜角取得部172、記憶制御部174、重畳部176、指標画像生成部178、ダイジェスト生成部180、角付加部182としても機能する。
【0058】
撮像制御部170は、撮像動作時の焦点調整や露光調整を含む撮像のための制御を行う。具体的に、撮像制御部170は、撮像制御を実行するために制御指令を撮像部120の駆動回路156に伝達し、駆動回路156は、撮像制御部170からの制御指令に従って、フォーカスレンズ150や絞り152を調整する。
【0059】
傾斜角取得部172は、傾斜角導出部134が導出した、傾斜角を所定の周期で取得する。
【0060】
記憶制御部174は、撮像装置100が撮像部120の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると撮像対象の画像データ(画像)の記憶を開始するよう、傾斜角に基づいて映像記憶部132を制御する。具体的に、記憶制御部174は、傾斜角取得部172が取得した傾斜角の絶対値が、第1の角度(例えば8度)以上になると、画像データの記憶を映像記憶部132に開始させる。
【0061】
また、記憶制御部174は、撮像装置100が第1の状態となった後に、例えば、コーナリングが終了して、撮像装置100が撮像部120の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第2の角度以下の角度回転した位置に撮像装置100が位置する第2の状態になると、撮像対象の画像データの記憶を停止するよう、撮像記憶部132を制御する。
【0062】
図8は、コーナリングと映像の記憶のタイミングを説明するための説明図である。記憶制御部174は、傾斜角の絶対値が第1の角度以上となると、映像記憶部132に画像データの記憶を開始させるため、例えば、図8に示す経路264に沿ってモーターバイク110が走行する場合、直線走行部分266が排除されコーナ走行部分268のみ選択された映像が映像記憶部132に記憶される。本実施形態の撮像装置100は、モーターバイク110の中心軸が鉛直軸に対して傾いていき、モーターバイク110または撮像装置100の中心軸と、鉛直軸との角度である傾斜角の絶対値が第1の角度以上となったことを契機に映像の記憶を開始し、その後、傾斜角の絶対値が第2の角度以下となったことを契機に映像の記憶を停止することを特徴としている。
【0063】
このように、撮像装置100は、コーナリングの走行でモーターバイク110がバンクしているとき等、撮像が望まれる姿勢(状態)を、光軸周りの鉛直軸からの傾斜角に基づいて判断し、その姿勢となっているときの映像を記憶する。本実施形態においては、映像の開始時点が、傾斜角の絶対値が第1の角度以上になったことでわかる。同様に、映像の終了時点が、傾斜角の絶対値が第2の角度以下になったことでわかる。そのため、ライダーは、操縦中(撮像中)、煩わしい手動操作を行うことなく、操縦に集中することが可能となる。また、再生時には、目的の場面を選択的に再生することができ操作性が格段に向上する。
【0064】
以上により、撮像が望まれる場面、すなわち、モーターバイク110が所定の姿勢になっているときのみを映像記憶部132に記憶させることができ、記憶領域を効率的に利用することができる。
【0065】
さらに、上述した第2の角度は第1の角度よりも小さい角度であり、記憶制御部174は、傾斜角の絶対値が第1の角度より小さい第2の角度(例えば4度)以下になると、画像データの映像記憶部132への記憶を停止する、所謂ヒステリシス特性を有する。
【0066】
このように、傾斜角の絶対値が第1の角度より小さい第2の角度以下となると記憶を停止するヒステリシス特性を設けることで、第1の角度を跨った前後に傾斜角の絶対値が変動し、画像データの記憶の開始と停止が頻繁に切換わってしまうチャタリング(ハンチング)を防止し、撮像が望まれる場面の開始から終了までを確実に映像記憶部132に記憶することができる。
【0067】
ところで、コーナリングの場合、コーナリングに入る前から、コースのライン選択、減速、姿勢変更等、操縦技術によって映像に差異が表れ易いため、コーナリングに入る前の所定時間(例えば3〜5秒)も画像データの記憶が望まれる。
【0068】
そこで、記憶制御部174は、撮像装置が第1の状態となると、一時保持部124に保持された画像データに遡って、最も早くに保持された画像データから順次、圧縮伸長部128に出力させ、第1の状態となった時刻よりも所定の時間前の時刻以降の画像データの記憶を開始するよう、映像記憶部132を制御する。傾斜角の絶対値が第2の角度以下になると、記憶制御部174は、その時点から所定時間分の画像データを映像記憶部132に記憶させ、所定時間経過後、映像記憶部132への記憶を停止させる。
【0069】
図9は、画像データの記憶を説明するための説明図である。ここでは、撮像部120が画像データを生成していて、時点274において、傾斜角の絶対値が第1の角度以上となり、時点276において、第2の角度以下となったとする。
【0070】
すると、記憶制御部174は、一時保持部124に保持された、時点274から時点276までに生成された図9においてハッチングで示した画像データ272aに加えて、所定時間分前の図9においてクロスハッチングで示した画像データ272bまで、映像記憶部132に記憶する。その結果、図8においてハッチングで示すコーナ走行部分268に加えて、図8においてクロスハッチングで示す部分270を走行している映像も記憶される。
【0071】
かかる一時保持部124に一時的に画像データを保持させる構成により、傾斜角の絶対値が第1の角度になる所定時間前の画像データから映像記憶部132に記憶することができ、撮像が望まれる十分な範囲の映像を記憶することが可能となる。
【0072】
また、記憶制御部174は、傾斜角に応じて画像データの記憶を開始および停止させる代わりに、撮像中は常に画像データを映像記憶部132に記憶しておき、撮像装置100が撮像部120の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると、撮像対象の画像に、第1の状態以上となったことを示すインデックスデータを付与してもよい。また、第2の角度以下となったことを示すインデックスデータを付与することもできる。ここでは、画像データが直接映像記憶部132に記憶されるため一時保持部124を要さない。
【0073】
インデックスデータは、例えばフラグであり、撮像装置100や再生装置において、視聴者がチャプター(場面)を選択すると、画像データに付与されているインデックスデータを参照し、選択されたチャプターに対応する画像データから再生が開始される。
【0074】
かかるインデックスデータを付与する構成により、後で画像データを再生する際、撮像が望まれた場面を、インデックスデータに基づいて、簡単に頭出しして再生することができ、ユーザの操作性を向上することが可能となる。
【0075】
さらに、記憶制御部174は、傾斜角の絶対値が第1の角度以上になると、インデックスデータを、傾斜角の絶対値が第1の角度以上になった時点の所定時間前の画像データに付与してもよい。
【0076】
例えば、コーナリングの場合、上述したように、コーナリングに入る前から操縦技術によって映像に差異が表れ易く、撮像が望まれる場面となる。かかる第1の角度以上となった時点の所定時間前の画像データに付与する構成により、再生時に、第1の角度以上となった時点の映像から巻き戻しを行い所定時間前の映像をサーチせずとも、傾斜角の絶対値が第1の角度になる所定時間前の映像に直接アクセスして再生することができ、ユーザの操作性を向上することが可能となる。
【0077】
また、記憶制御部174は、画像データ自体を傾斜角分だけ回転させて水平軸基準の映像を生成してもよい。具体的に、記憶制御部174は、画像データの水平基準の映像を切り出し、その切り出し範囲の座標について例えばアフィン変換を行ってもよい。撮像素子154における、アフィン変換前の画素の座標を(Xi、Yi)、傾斜角をφ1とすると、アフィン変換後の画素の座標(Xo、Yo)は、以下の(数式1)で、算出される。
【数1】
…(数式1)
【0078】
記憶制御部174が、画像データを傾斜角分だけ回転する構成により、画像データを再生した際、水平軸が表示画面の横方向と一致し、ユーザが被写体を直接視認する場合と同様に被写体が傾斜角分だけ傾いた映像とすることができる。
【0079】
また、コーナリングにおけるモーターバイクの傾斜角をより分かり易く視認したいという需要も想定される。そこで、以下に示す重畳部176によって傾斜角の視認性を高めることができる。
【0080】
重畳部176は、例えばグラフィックジェネレータで構成され、指標画像生成部178が生成する水平軸および鉛直軸のいずれか一方または両方を示す指標画像を撮像部120が撮像した画像に重畳する。指標画像生成部178は、傾斜角取得部172が取得した傾斜角の正負の符号を反転させた角度を導出し、画像データにおいて、横軸から傾斜角の正負の符号を反転させた角度だけ回転させた直線を示す指標データを生成する。
【0081】
図10は、撮像部120が撮像した画像における水平軸および鉛直軸を説明するための説明図である。撮像装置100に対して鉛直軸、水平軸が図10(a)に示すように位置し、傾斜角が左回りにαとなっている場合、映像上においては、鉛直軸および水平軸は、傾斜角αとは逆回転方向にαだけ傾いて位置する。
【0082】
そこで、指標画像生成部178は、例えば、傾斜角が左回りにα傾いていると、画像データにおいて、図10(b)に示す表示装置200の表示画面282の横方向284を画面中央を中心に右回りにα傾けた直線286を、水平軸を示す指標画像として生成し、重畳部176は、画像データにその指標画像を重畳(オンスクリーンMIX)する。同様に、重畳部176は、表示画面282の縦方向288を画面中央を中心に右回りにα傾けた直線290を、鉛直軸を示す指標画像として撮像部120が撮像した画像に重畳する。
【0083】
このように重畳部176が撮像部120が撮像した画像に指標画像を重畳する構成により、再生時、視聴者は指標画像が示す水平軸(直線286)や鉛直軸(直線290)を基準に、ライダーやモーターバイク110等の被写体の傾きの程度を確認でき、プロのライダーの映像であれば、その操縦技能を鑑賞する際の技能評価の指標となったり、個人的な自身の映像であれば、操縦技能を客観的に評価して技能の向上のために利用したりすることが可能となる。
【0084】
撮像装置100は、撮像時、モーターバイク110に固定されて使用されるため視聴はできないが、再生時、視聴者は、重畳された指標データを通じて、ライダーやモーターバイク110の水平軸や鉛直軸からの傾きを容易に視認することができる。
【0085】
また、指標画像生成部178は、傾斜角に応じて、異なる形態の指標画像を生成し、重畳部176は、その傾斜角に応じて異なる表示形態の指標画像を、撮像部120が撮像する画像に重畳する。
【0086】
本実施形態において、例えば、指標画像生成部178モーターバイク110の傾き角度に応じて描画線の色を変化させる。具体的に、指標画像生成部178は、傾斜角の絶対値が30度未満であれば青色、傾斜角の絶対値が30度以上、40度未満であれば黄色、傾斜角の絶対値が40度以上であれば赤色の指標データを生成する。
【0087】
このように、指標データの表示態様、例えば、指標データの形状、模様、色彩またはこれらの結合を傾斜角に応じて変化させる構成により、再生時、視聴者は表示態様を視認することで、その傾きの具体的な数値を参照しなくても直感的に被写体の傾きの程度を認識できる。
【0088】
さらに、重畳部176は、傾斜角の絶対値が所定の角度以下では指標データを重畳しない。例えば、傾斜角の絶対値が5度未満では、指標データを重畳しない。かかる構成により、例えば、画像データを記憶はしても、指標データを重畳しない傾斜角の範囲を設定できる。そのため、傾斜角の絶対値が小さいうちは指標データが重畳されていない映像で姿勢を視認し、傾斜角の絶対値が大きくなると指標データに基づいて傾斜角を視認する等、視聴者は、視認したい部分により集中して映像を視聴できる。なお、指標画像生成部178が指標画像を生成するようにしたが、指標画像生成部178が図示しない記憶部に記憶されている複数の指標画像の中から、傾斜角に応じた指標画像を選択する指標画像選択部として機能するような構成にしてもよい。その場合、重畳部176は、その指標画像選択部が選択した指標画像を撮像部120が撮像した画像に重畳する。
【0089】
また、撮像装置100には、映像の概要を把握することが可能な映像データを生成する機能を有してもよい。その場合、例えば撮像装置132は傾斜角が第1の角度以上や第2の角度以下の場合の画像も記憶するようにしてもよい。
【0090】
具体的に、ダイジェスト生成部180は、撮像装置100が撮像部120の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になっている間、または、第1の状態になってから第2の状態になるまでの間の、撮像対象の画像データを抽出したダイジェストデータを生成する。ダイジェスト生成部180は、例えば、撮像中、一時保持部124に保持されている画像データを取得してダイジェストデータを生成する。
【0091】
このように、ダイジェスト生成部180を備える構成により、再生時、視聴者は、例えば、コーナリングの映像を探さずとも、コーナリングやコーナリングの前後の映像がまとめられたダイジェストデータの映像を見ることができ、視聴者の利便性を向上することが可能となる。
【0092】
また、本実施形態の撮像装置100は、水平軸や鉛直軸を指標データとして、予め画像データに重畳して記憶する構成に限定されない。
【0093】
例えば、角付加部182は、画像データに傾斜角を付加する。角付加部182は、傾斜角を角度情報として、例えば、画像データのフォ−マットがMPEGの場合、GOP(Group Of Pictures)ヘッダのユーザーデータ領域に付加情報として書き込む。この場合、再生時に、再生装置は画像データに付加された傾斜角に基づいて、水平軸や鉛直軸を示す指標データを生成し、画像データに重畳した上で、表示装置200に表示させる。かかる構成により、視聴者は、任意の場面で水平軸や鉛直軸を表示させたり隠したりすることが可能となる。
【0094】
上記のように、本実施形態の撮像装置100によれば、頭出しが容易となる状態で所望する映像を記憶することができ、再生時に、視聴者が所望する映像を容易に見つけ出すことが可能となる。
【0095】
(撮像方法)
さらに、上述した撮像装置100を用いた撮像方法も提供される。図11は、撮像方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0096】
撮像者によって撮像を開始する旨の操作入力が行われると、撮像部120は、撮像対象の撮像を開始する(S300)。撮像部120によって撮像された画像のデータは一時保持部124で一時的に保持され(S302)、傾斜角導出部134は、光軸周りの鉛直軸からの傾斜角を導出する(S304)。そして、傾斜角取得部172は、傾斜角導出部134から導出された傾斜角を取得する(S306)。
【0097】
続いて、記憶制御部174は、現在、映像記憶部132が撮像部120によって撮像された画像のデータを記憶する動作を行っているか否かを判断し(S308)、行っていない場合(S308のNO)、傾斜角の絶対値が第1の角度以上(第1の状態)であるか否かを判断する(S310)。傾斜角の絶対値が第1の角度以上でない場合(S310のNO)、画像データ生成ステップ(S300)に戻る。
【0098】
記憶継続判定ステップ(S308)において、映像記憶部132が画像データの映像記憶部132への記憶を行っている場合(S308のYES)、記憶制御部174は、傾斜角の絶対値が第2の角度以下(第2の状態)であるか否かを例えばフラグ等を参照して判定する(S312)。傾斜角の絶対値が第2の角度以下であった場合(S312のYES)、記憶制御部174は画像データの映像記憶部132への記憶を停止させ(S314)、画像データ生成ステップ(S300)に戻る。
【0099】
傾斜角判定ステップ(S310、S312)において、傾斜角の絶対値が第1の角度以上であった場合(S310のYES)、および傾斜角の絶対値が第2の角度以下でなかった場合(S312のNO)、重畳部176は、傾斜角に基づいて、水平軸および鉛直軸のいずれか一方または両方を示す指標データを生成し(S316)、画像データに重畳する(S318)。記憶制御部174は、画像データの映像記憶部132への記憶を開始させ(S320)、画像データ生成ステップ(S300)に戻る。
【0100】
上述したように、撮像装置100を用いた撮像方法によれば、再生時、所望する映像を容易に見つけ出すことが可能となる。
【0101】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0102】
例えば、上述した実施形態では撮像装置100は動画の撮像を主として説明したが、かかる場合に限定されず、静止画を撮像する際にも用いることができる。その場合、映像記憶部132は、映像を記憶する代わりに、撮像部120が所定の時間間隔で連続して生成した静止画を記憶する。また、一時保持部124は静止画の画像データを保持し、映像記憶部132は、傾斜角の絶対値が第1の角度以上となる所定時間分前の画像データから記憶する等、上述した撮像装置100の機能を、映像から静止画に置き換えて摘要できることは言うまでもない。
【0103】
なお、本明細書の撮像方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。また、本実施形態において、第1の状態または第2の状態に応じて映像データである画像データの記憶等を制御する例を用いて説明したが、第1の状態または第2の状態に応じて静止画データである画像データの記憶等を制御するようにしてもよい。例えば撮像装置100が第1の状態となると撮像部120が撮像する静止画データを映像記憶部132に記憶するようにしてもよい。
【0104】
さらに、本実施形態において、記憶制御部174が画像データの映像記憶部132への記憶を制御する例を用いて説明したが、記憶制御部174が外部書込部130の外部記憶媒体202への記憶を制御するようにしてもよい。
【0105】
また、傾斜角0度となる基準(所定の状態)を、乗物または撮像装置100の中心軸と、鉛直軸とがほぼ同じ方向に向くときとしているが、例えば、撮像装置100の電源装置が押されたとき、撮像装置100に所定の操作入力がなされたとき、乗物が走り出したとき等を傾斜角0度となる基準(所定の状態)としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、傾斜角に基づいて撮像する撮像装置および撮像方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0107】
100 …撮像装置
110 …モーターバイク(乗物)
120 …撮像部
124 …一時保持部
132 …映像記憶部(記憶部)
134 …傾斜角導出部
172 …傾斜角取得部
174 …記憶制御部
176 …重畳部
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜角に基づいて撮像する撮像装置および撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置は、解像度や記憶容量の向上もさることながら、手ぶれ補正や顔認識等、撮像を補助する機能についても、高機能化が進んでいる。例えば、撮像装置自体の姿勢を認識して撮像状態を制御する技術も存在する。
【0003】
一例として、撮像部の光軸のチルト角(ピッチ角)検出スイッチに基づいて撮像方向が上下のいずれを向いているかを判断し、撮像方向が地面(下)を向いている場合に自動的に撮像を停止し、無意味に地面を撮像しないようにする技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−40670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、モーターバイクの運転の練習やモーターバイクのレース等において、モーターバイク(自動二輪車)の後部に撮像装置を設置し、ライダー(操縦者)のコーナリングの姿勢や、遠心力に対抗するモーターバイクの傾斜状態を撮像することがある。撮像した映像を後で視聴することであたかも自分が操縦しているかのような一体感を得ることができたり、自己の操縦姿勢を事後的に確認し操縦技能を向上するために用いたりすることが可能となる。
【0006】
上記のような撮影をする場合、コーナリングに比べて直進では、操縦自体に変化が少なく、また、ライダーの操縦技能の差も表れ難く、単調かつ興趣に乏しい映像となり易い。そのため、操縦を開始してから停車するまでを一律に撮像すると、コース形状によっては、大部分の映像がユーザの所望しない単調なものになってしまう。
【0007】
そこで本発明は、このような課題に鑑み、再生時において、所望する映像を容易に視聴させることが可能な、撮像装置および撮像方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、撮像対象を撮像する撮像部と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転した角度である傾斜角を取得する傾斜角取得部と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると撮像対象の画像の記憶を開始するよう、傾斜角に基づいて記憶部を制御する記憶制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記撮像装置は、撮像部が撮像した画像を一時的に保持する一時保持部をさらに備え、記憶制御部は、撮像装置が第1の状態となると、撮像装置が第1の状態となった時刻よりも所定の時間前の時刻以降の画像の記憶を開始するよう、記憶部を制御してもよい。
【0010】
上記記憶制御部は、撮像装置が第1の状態となった後に、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第2の角度以下の角度回転した位置に撮像装置が位置する第2の状態になると、撮像対象の画像の記憶を停止するよう、記憶部を制御してもよい。
【0011】
上記第2の角度は第1の角度よりも小さい角度であってもよい。
【0012】
上記撮像装置は、傾斜角を導出する傾斜角導出部をさらに備えてもよい。
【0013】
上記傾斜角導出部は、角速度センサと、角速度センサの出力を積分する積分回路と、積分回路の出力のオフセット成分を抑制するオフセット成分抑制部とを有してもよい。
【0014】
上記撮像装置は、水平軸および鉛直軸のいずれか一方または両方を示す指標画像を撮像部が撮像する画像に重畳する重畳部をさらに備えてもよい。
【0015】
上記重畳部は、傾斜角に応じて異なる表示形態の指標画像を、撮像部が撮像する画像に重畳してもよい。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の撮像方法は、撮像部を備えた撮像装置を用いる撮像方法であって、撮像対象を撮像し、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転した角度である傾斜角を取得し、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると撮像対象の画像の記憶を開始するよう、傾斜角に基づいて記憶部を制御することを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の他の撮像装置は、撮像装置において、撮像対象を撮像する撮像部と、撮像対象が撮像対象の進行方向軸回りに回転した角度である傾斜角を取得する傾斜角取得部と、撮像対象が撮像対象の進行方向軸回りに回転し、所定の状態から進行方向軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると撮像対象の画像の記憶を開始するよう、傾斜角に基づいて記憶部を制御する記憶制御部とを備えることを特徴とする。
【0018】
上記記憶制御部は、撮像装置が第1の状態となった後に、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第2の角度以下の角度回転した位置に撮像装置が位置する第2の状態になると、撮像対象の画像の記憶を停止するよう、記憶部を制御してもよい。
【0019】
上記撮像装置は、撮像部が撮像した画像を一時的に保持する一時保持部をさらに備え、記憶制御部は、撮像装置が第1の状態となると、撮像装置が第1の状態となった時刻よりも所定の時間前の時刻以降の画像の記憶を開始するよう、記憶部を制御してもよい。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の他の撮像装置は、撮像対象を撮像する撮像部と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転した角度である傾斜角を取得する傾斜角取得部と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると、撮像対象の画像に、第1の状態となったことを示すインデックスデータを付与する記憶制御部とを備えることを特徴とする。
【0021】
上記課題を解決するために、本発明の他の撮像装置は、撮像対象を撮像する撮像部と、撮像対象の画像を記憶部に記憶させる記憶制御部と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転した角度である傾斜角を取得する傾斜角取得部と、撮像装置が撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になっている間の撮像対象の画像を抽出したダイジェストデータを生成するダイジェスト生成部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明は、再生時において、所望する映像を容易に視聴させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】撮像装置の一例を示した外観図である。
【図2】撮像装置のモーターバイクへの設置を説明した説明図である。
【図3】撮像装置の他の利用形態を説明するための説明図である。
【図4】撮像装置の概略的な構成を示した機能ブロック図である。
【図5】傾斜角を説明するための説明図である。
【図6】コーナリングにおけるモーターバイクの動作を説明するための説明図である。
【図7】傾斜角導出部の概略的な構成を示した機能ブロック図である。
【図8】コーナリングと映像の記憶のタイミングを説明するための説明図である。
【図9】画像データの記憶を説明するための説明図である。
【図10】画像データにおける水平軸および鉛直軸を説明するための説明図である。
【図11】撮像方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0025】
(第1の実施形態:撮像装置100)
図1は、撮像装置100の一例を示した外観図である。図1(a)は、撮像装置100としてデジタルスチルカメラを、図1(b)は、撮像装置100としてデジタルビデオカメラを示している。撮像装置100は、携帯性を有すものもあり、静止画や動画の撮像が可能である。本実施形態において撮像装置100は一例としてデジタルビデオカメラとする。撮像装置100は、本体102と、撮像レンズ104と、操作部106と、表示部108とを含んで構成される。
【0026】
本体102には、後述する中央制御部136や映像記憶部132等が収められている。表示部108は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、記憶された画像データを表示部108を通じてユーザが視認することができる。
【0027】
図2は、撮像装置100のモーターバイク110への設置方法の例を説明した図である。図2(a)に示すように、撮像装置100は、乗物の一例であるモーターバイク110の後部に、例えばライダーの上半身の2/3を被写体として捉え得るように設置される。なお、撮像装置100を設置する位置は、モーターバイク110の後部に限らず前部でもよい。
【0028】
また、他の設置方法としては、例えば、モーターバイク110の後部上方から見た図である図2(b)に示すように、専用の固定冶具112をリアサスペンションの掛合部に固定したり、同じくモーターバイク110の後部上方から見た図である図2(c)に示すように、後部シートの二人乗り用ベルト114に、三脚の脚先116をツーリングネット118等で挟持したりする手段が可能である。
【0029】
図3は、本実施形態の撮像装置100の他の利用形態を説明するための説明図である。撮像装置100は、モーターバイク110の走行の撮像に限らず、図3(a)に示すように、スノーボードの撮像に用いたり、図3(b)に示すように、サーフィンの撮像に用いたり、図3(c)に示すように、ウィンドサーフィンの撮像に用いたりすることができ、様々な乗物の撮像に適用することができる。
【0030】
図4は、撮像装置100の概略的な構成を示すブロック図である。撮像装置100は、操作部106と、撮像部120と、データ処理部122と、一時保持部124と、表示部108と、外部出力部126と、圧縮伸長部128と、外部書込部130と、記憶部として機能する映像記憶部132と、傾斜角導出部134と、中央制御部136とを含んで構成される。
【0031】
操作部106は、レリーズスイッチを含む操作キー、十字キー、ジョイスティック等のスイッチやタッチパネル等であり、ユーザの操作入力を受け付ける。
【0032】
撮像部120は、モーターバイク110の進行方向に光軸が固定され、撮像レンズ104を通じて被写体(撮像対象)、ここでは乗物(モーターバイク110)に乗車しているライダーを撮像し電気信号を生成する。撮像部120は、具体的に、焦点調整に用いられるフォーカスレンズ150、露光調整に用いられる絞り152、撮像レンズ104を通じて入射する光を電気信号に変換する撮像素子154、フォーカスレンズ150および絞り152を駆動させる駆動回路156、を含んで構成される。かかる撮像部120によって生成された電気信号は、データ処理部122に転送される。
【0033】
データ処理部122は、撮像部120から出力された電気信号に、ホワイトバランス調節、ノイズ軽減処理、レベル補正処理、A/D変換処理および色彩補正処理(ガンマ補正処理、ニー処理)等の所定の処理を施すことで、画像データを生成し、一時保持部124に出力する。
【0034】
一時保持部124は、例えばリングバッファやFIFO(シフトレジスタ)としての機能を有しており、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等を用いて、データ処理部122から入力された画像データを一時的に保持する。一時保持部124に画像データが保持されている状態で、一時保持部124に画像データが入力されると、一時保持部124に保持されている画像データは、時間的に後に入力された新しい画像データに上書きされる。
【0035】
表示部108は、上述したように、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等で構成され、データ処理部122が出力し、一時保持部124に保持された画像データを表示したり、撮像状態を示すOSD(On-Screen Display)等を表示したりする。
【0036】
外部出力部126は、一時保持部124に保持された画像データを、例えば、撮像装置100に接続された表示装置200に出力する。
【0037】
圧縮伸長部128は、データ処理部122から出力された画像データを、M−JPEG(モーションJPEG)やMPEG(Moving Picture Experts Group)−2、H.264などの所定の符号化方式で符号化し、その符号化した画像データを映像記憶部132および外部書込部130に出力する。
【0038】
外部書込部130は、圧縮伸長部128が符号化した画像データを任意の外部記憶媒体202に記憶する。任意の外部記憶媒体202としては、着脱可能な、DVD(Digital Versatile Disk)やBD(Blu-ray Disc)といった光ディスク媒体や、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、ポータブルHDD等の記憶媒体を適用することができる。
【0039】
映像記憶部132は、撮像装置100と一体に形成された、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等の記憶媒体であり、圧縮伸長部128から出力された画像データを記憶する。
【0040】
傾斜角導出部134は、例えば角速度センサを有して構成される。傾斜角導出部134は、図1に示したような、撮像部120の光軸回りに回転した角度である、鉛直軸(ロール軸)からの傾斜角(ロール角)を導出する。以下、傾斜角導出部134は、と撮像部120の中心軸と鉛直軸との光軸周りの角度を傾斜角として検出するものとして説明するがこれに限定されるものではない。なお、重力方向を向く軸を鉛直軸、鉛直軸と直交し、さらに光軸または進行方向軸と直交する軸を水平軸とする。
【0041】
また、傾斜角導出部134は撮像装置100が有していてもよいし、撮像対象等の撮像装置100が固定される対象、または撮像装置100が固定される対象と連動して動くものに設置されていてもよい。本実施例であれば、モーターバイク110が傾斜角導出部134を有していてもよいし、モーターバイク110を運転するライダーが傾斜角導出部134を持つようにしてもよい。
【0042】
図5は、傾斜角を説明するための説明図である。図5(a)は、モーターバイク110の傾斜角を示し、図5(b)は、図5(a)でモーターバイク110に取り付けられた撮像装置100の傾斜角を示す。
【0043】
図5(a)に示すように、ライダーは、コーナリング等ではその遠心力(図5(a)および後述する図6に矢印220で示す)に対抗するため、曲がる方向にモーターバイク110を傾斜角θ傾ける。図2を用いて説明したように、撮像装置100はモーターバイク110後部に固定されているため、図5(b)に示すように撮像装置100もモーターバイク110の傾きと一体的に傾く。傾斜角導出部134は、重力方向を向く軸である鉛直軸と、モーターバイク110または撮像装置100の中心軸との角度である傾斜角θを導出する。
【0044】
このように、本実施例においては、モーターバイク110または撮像装置100の中心軸と、鉛直軸との角度を傾斜角θとするが、傾斜角θは、所定の状態を基準として、モーターバイク110の進行方向軸と直交する所定の軸(本実施例では中心軸)が進行方向軸周りに回転した角度、または、撮像装置100の光軸と直交する所定の軸(本実施例では中心軸)が光軸周りに回転した角度であればよい。例えば、モーターバイク110または撮像装置100の中心軸と、水平軸との角度を傾斜角θとすることもできる。
【0045】
本実施例ではモーターバイク110が直進しているとき(所定の状態)にモーターバイク110の中心軸と鉛直軸とがほぼ同じ方向に向くため中心軸と鉛直軸との角度を傾斜角θとしている。また、撮像装置100は、撮像装置100の中心軸とモーターバイク110の中心軸とがほぼ同じ方向に向くようにして設置されることを想定しているため、撮像装置100の中心軸と、鉛直軸との角度を傾斜角θとしてもよい。なお、進行方向軸とは乗物の進行方向と同じ方向を向く軸である。なお、本実施例では進行方向軸の一部は乗物と地面(水面)との接点に位置するものとする。
【0046】
なお、上述したように、傾斜角導出部134は、撮像装置100に内蔵される場合に限らず、例えば、モーターバイク110に内蔵されている傾斜角の導出装置や、モーターバイク110に取り付けられた他の傾斜角導出装置から傾斜角を参照する構成でもよい。かかる構成により、既存の情報を有効利用して、傾斜角導出部134に費やす演算負荷を削減することができる。
【0047】
一方、本実施形態に記載のように傾斜角導出部134を撮像装置100と一体的に形成する場合、取り付けが容易となり、未使用時の収納もスペースを取らない。また、傾斜角が外部機器から伝達される場合に発生し得る、傾斜角の伝達経路の断線を防止し、安定して傾斜角を取得することができる。
【0048】
なお、傾斜角導出部134には、加速度センサを用いたり、角速度センサを用いたりすることができる。加速度センサを用いる場合は、検知軸にどの程度重力加速度Gが含まれているかに応じて傾斜角を導出することができる。また、角速度センサを用いる場合は、検知軸回りの角速度を時間積分することによって角度を導出する。
【0049】
図6は、コーナリングにおけるモーターバイク110の動作を説明するための説明図である。モーターバイク110が道路230を、破線の矢印で示す経路232を通りカーブにさしかかると、モーターバイク110のコーナリング中、モーターバイク110および撮像装置100には、カーブの回転中心234から遠ざかる方向への遠心力(図6に矢印220で示す)が生じる。傾斜角導出部134に加速度センサのみを用いる場合、この遠心力による加速度の影響も受けてしまうため、重力加速度Gのみを抽出できず、傾斜角を正確に導出できない恐れがあるが、おおよその傾斜角を検出することは可能である。他にも、モーターバイク110の左右水平方向に2つの加速度センサを配しその検出値の差分を用いて、傾斜角を導出することができるが、2つの加速度センサの間隔を仮に5cm離隔できたとしても、重力加速度Gに対して2%程度の差分しか検出できず、やはり傾斜角を正確に導出できない恐れがあるが、おおよその傾斜角を検出することは可能である。
【0050】
一方、角速度センサを用いれば、重力加速度Gや遠心力による加速度等、直線的な加速度の影響は受けない。また、モーターバイク110のカーブによる鉛直軸回りの回転に関しても、光軸と鉛直軸とが直交するためその影響を受けず、傾斜角導出部134は、角速度センサの測定値に基づいて、モーターバイク110の傾斜角をより精度良く導出できる。
【0051】
傾斜角導出部134としてこのような角速度センサを用いた場合、電源ON時や撮像者の操作部106を通じたリセット入力に応じて、傾斜角導出部134は、その時点の傾斜角を0度(デフォルト値)にリセットする。そして、例えば300Hz以上程度のサンプリング周期で光軸周りの角速度を検出し、検出値を積分して傾斜角を導出する。
【0052】
図7は、傾斜角導出部134の概略的な構成を示した機能ブロック図である。図7(a)は角速度センサ250のみを用いた場合、図7(b)は角速度センサ250と加速度センサ252の両方を用いた場合をそれぞれ示す。
【0053】
積分回路254は、角速度センサ250の出力を積分して傾斜角を導出する。しかし、角速度センサ250からノイズも出力される場合があり、積分回路254はそのノイズも蓄積し、角速度センサ250の検出値にオフセット成分が加算され、角速度センサ250の検出値が実際の傾斜角と異なる値を示してしまう恐れがある。そこで、図7(a)に示すように、第1減算部258は、角速度センサ250の検出値をフィルタ256によって平滑化し、その平滑化された検出値を角速度センサ250の検出値から減算する。かかる構成により、オフセット成分を排除することができる。以上のように図7(a)のフィルタ256と第1減算部258とは協働して、積分回路の出力のオフセット成分を抑制するオフセット成分抑制部として機能する。
【0054】
また、フィルタ256を用いない場合、傾斜角導出部134は、例えば、1秒間に0.1度程度、傾斜角を0度に近づける処理を施してもよい。こうすることで、直進時、傾いていない場合におけるモーターバイク110の傾斜角を0度に維持することができる。また、コーナリング等でモーターバイク110が傾いている場合に傾斜角を0度に近づける演算処理が継続したとしても、その傾いている時間(倒し込み時間)は長くとも5秒間程度なので、0.5度程度の補正にしかならず傾斜角に対して実質的な影響はない。以上のように、傾斜角導出部134の1秒間に0.1度程度傾斜角を0度に近づける処理を行う手段はオフセット成分抑制部として機能する。
【0055】
さらに、図7(b)に示すように、加速度センサ252を併用してもよい。この場合、第2減算部260は、積分回路254の出力値から加速度センサ252の検出値を減算し、その減算した値をフィルタ254で平滑化した後、第1減算部258が、角速度センサ250の検出値から減算する。このように、加速度センサ252を用いて随時補正を行うことで、オフセット成分を抑制することができる。以上のように図7(b)のフィルタ254と第1減算部258と第2減算部260と加速度センサ252とは協働してオフセット成分抑制部として機能する。
【0056】
図4の説明に戻って、中央制御部136には、中央処理装置(CPU)や信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)等の半導体集積回路を用いることができ、中央制御部136は、撮像装置100全体を管理および制御する。
【0057】
また、中央制御部136は、撮像制御部170、傾斜角取得部172、記憶制御部174、重畳部176、指標画像生成部178、ダイジェスト生成部180、角付加部182としても機能する。
【0058】
撮像制御部170は、撮像動作時の焦点調整や露光調整を含む撮像のための制御を行う。具体的に、撮像制御部170は、撮像制御を実行するために制御指令を撮像部120の駆動回路156に伝達し、駆動回路156は、撮像制御部170からの制御指令に従って、フォーカスレンズ150や絞り152を調整する。
【0059】
傾斜角取得部172は、傾斜角導出部134が導出した、傾斜角を所定の周期で取得する。
【0060】
記憶制御部174は、撮像装置100が撮像部120の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると撮像対象の画像データ(画像)の記憶を開始するよう、傾斜角に基づいて映像記憶部132を制御する。具体的に、記憶制御部174は、傾斜角取得部172が取得した傾斜角の絶対値が、第1の角度(例えば8度)以上になると、画像データの記憶を映像記憶部132に開始させる。
【0061】
また、記憶制御部174は、撮像装置100が第1の状態となった後に、例えば、コーナリングが終了して、撮像装置100が撮像部120の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第2の角度以下の角度回転した位置に撮像装置100が位置する第2の状態になると、撮像対象の画像データの記憶を停止するよう、撮像記憶部132を制御する。
【0062】
図8は、コーナリングと映像の記憶のタイミングを説明するための説明図である。記憶制御部174は、傾斜角の絶対値が第1の角度以上となると、映像記憶部132に画像データの記憶を開始させるため、例えば、図8に示す経路264に沿ってモーターバイク110が走行する場合、直線走行部分266が排除されコーナ走行部分268のみ選択された映像が映像記憶部132に記憶される。本実施形態の撮像装置100は、モーターバイク110の中心軸が鉛直軸に対して傾いていき、モーターバイク110または撮像装置100の中心軸と、鉛直軸との角度である傾斜角の絶対値が第1の角度以上となったことを契機に映像の記憶を開始し、その後、傾斜角の絶対値が第2の角度以下となったことを契機に映像の記憶を停止することを特徴としている。
【0063】
このように、撮像装置100は、コーナリングの走行でモーターバイク110がバンクしているとき等、撮像が望まれる姿勢(状態)を、光軸周りの鉛直軸からの傾斜角に基づいて判断し、その姿勢となっているときの映像を記憶する。本実施形態においては、映像の開始時点が、傾斜角の絶対値が第1の角度以上になったことでわかる。同様に、映像の終了時点が、傾斜角の絶対値が第2の角度以下になったことでわかる。そのため、ライダーは、操縦中(撮像中)、煩わしい手動操作を行うことなく、操縦に集中することが可能となる。また、再生時には、目的の場面を選択的に再生することができ操作性が格段に向上する。
【0064】
以上により、撮像が望まれる場面、すなわち、モーターバイク110が所定の姿勢になっているときのみを映像記憶部132に記憶させることができ、記憶領域を効率的に利用することができる。
【0065】
さらに、上述した第2の角度は第1の角度よりも小さい角度であり、記憶制御部174は、傾斜角の絶対値が第1の角度より小さい第2の角度(例えば4度)以下になると、画像データの映像記憶部132への記憶を停止する、所謂ヒステリシス特性を有する。
【0066】
このように、傾斜角の絶対値が第1の角度より小さい第2の角度以下となると記憶を停止するヒステリシス特性を設けることで、第1の角度を跨った前後に傾斜角の絶対値が変動し、画像データの記憶の開始と停止が頻繁に切換わってしまうチャタリング(ハンチング)を防止し、撮像が望まれる場面の開始から終了までを確実に映像記憶部132に記憶することができる。
【0067】
ところで、コーナリングの場合、コーナリングに入る前から、コースのライン選択、減速、姿勢変更等、操縦技術によって映像に差異が表れ易いため、コーナリングに入る前の所定時間(例えば3〜5秒)も画像データの記憶が望まれる。
【0068】
そこで、記憶制御部174は、撮像装置が第1の状態となると、一時保持部124に保持された画像データに遡って、最も早くに保持された画像データから順次、圧縮伸長部128に出力させ、第1の状態となった時刻よりも所定の時間前の時刻以降の画像データの記憶を開始するよう、映像記憶部132を制御する。傾斜角の絶対値が第2の角度以下になると、記憶制御部174は、その時点から所定時間分の画像データを映像記憶部132に記憶させ、所定時間経過後、映像記憶部132への記憶を停止させる。
【0069】
図9は、画像データの記憶を説明するための説明図である。ここでは、撮像部120が画像データを生成していて、時点274において、傾斜角の絶対値が第1の角度以上となり、時点276において、第2の角度以下となったとする。
【0070】
すると、記憶制御部174は、一時保持部124に保持された、時点274から時点276までに生成された図9においてハッチングで示した画像データ272aに加えて、所定時間分前の図9においてクロスハッチングで示した画像データ272bまで、映像記憶部132に記憶する。その結果、図8においてハッチングで示すコーナ走行部分268に加えて、図8においてクロスハッチングで示す部分270を走行している映像も記憶される。
【0071】
かかる一時保持部124に一時的に画像データを保持させる構成により、傾斜角の絶対値が第1の角度になる所定時間前の画像データから映像記憶部132に記憶することができ、撮像が望まれる十分な範囲の映像を記憶することが可能となる。
【0072】
また、記憶制御部174は、傾斜角に応じて画像データの記憶を開始および停止させる代わりに、撮像中は常に画像データを映像記憶部132に記憶しておき、撮像装置100が撮像部120の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると、撮像対象の画像に、第1の状態以上となったことを示すインデックスデータを付与してもよい。また、第2の角度以下となったことを示すインデックスデータを付与することもできる。ここでは、画像データが直接映像記憶部132に記憶されるため一時保持部124を要さない。
【0073】
インデックスデータは、例えばフラグであり、撮像装置100や再生装置において、視聴者がチャプター(場面)を選択すると、画像データに付与されているインデックスデータを参照し、選択されたチャプターに対応する画像データから再生が開始される。
【0074】
かかるインデックスデータを付与する構成により、後で画像データを再生する際、撮像が望まれた場面を、インデックスデータに基づいて、簡単に頭出しして再生することができ、ユーザの操作性を向上することが可能となる。
【0075】
さらに、記憶制御部174は、傾斜角の絶対値が第1の角度以上になると、インデックスデータを、傾斜角の絶対値が第1の角度以上になった時点の所定時間前の画像データに付与してもよい。
【0076】
例えば、コーナリングの場合、上述したように、コーナリングに入る前から操縦技術によって映像に差異が表れ易く、撮像が望まれる場面となる。かかる第1の角度以上となった時点の所定時間前の画像データに付与する構成により、再生時に、第1の角度以上となった時点の映像から巻き戻しを行い所定時間前の映像をサーチせずとも、傾斜角の絶対値が第1の角度になる所定時間前の映像に直接アクセスして再生することができ、ユーザの操作性を向上することが可能となる。
【0077】
また、記憶制御部174は、画像データ自体を傾斜角分だけ回転させて水平軸基準の映像を生成してもよい。具体的に、記憶制御部174は、画像データの水平基準の映像を切り出し、その切り出し範囲の座標について例えばアフィン変換を行ってもよい。撮像素子154における、アフィン変換前の画素の座標を(Xi、Yi)、傾斜角をφ1とすると、アフィン変換後の画素の座標(Xo、Yo)は、以下の(数式1)で、算出される。
【数1】
…(数式1)
【0078】
記憶制御部174が、画像データを傾斜角分だけ回転する構成により、画像データを再生した際、水平軸が表示画面の横方向と一致し、ユーザが被写体を直接視認する場合と同様に被写体が傾斜角分だけ傾いた映像とすることができる。
【0079】
また、コーナリングにおけるモーターバイクの傾斜角をより分かり易く視認したいという需要も想定される。そこで、以下に示す重畳部176によって傾斜角の視認性を高めることができる。
【0080】
重畳部176は、例えばグラフィックジェネレータで構成され、指標画像生成部178が生成する水平軸および鉛直軸のいずれか一方または両方を示す指標画像を撮像部120が撮像した画像に重畳する。指標画像生成部178は、傾斜角取得部172が取得した傾斜角の正負の符号を反転させた角度を導出し、画像データにおいて、横軸から傾斜角の正負の符号を反転させた角度だけ回転させた直線を示す指標データを生成する。
【0081】
図10は、撮像部120が撮像した画像における水平軸および鉛直軸を説明するための説明図である。撮像装置100に対して鉛直軸、水平軸が図10(a)に示すように位置し、傾斜角が左回りにαとなっている場合、映像上においては、鉛直軸および水平軸は、傾斜角αとは逆回転方向にαだけ傾いて位置する。
【0082】
そこで、指標画像生成部178は、例えば、傾斜角が左回りにα傾いていると、画像データにおいて、図10(b)に示す表示装置200の表示画面282の横方向284を画面中央を中心に右回りにα傾けた直線286を、水平軸を示す指標画像として生成し、重畳部176は、画像データにその指標画像を重畳(オンスクリーンMIX)する。同様に、重畳部176は、表示画面282の縦方向288を画面中央を中心に右回りにα傾けた直線290を、鉛直軸を示す指標画像として撮像部120が撮像した画像に重畳する。
【0083】
このように重畳部176が撮像部120が撮像した画像に指標画像を重畳する構成により、再生時、視聴者は指標画像が示す水平軸(直線286)や鉛直軸(直線290)を基準に、ライダーやモーターバイク110等の被写体の傾きの程度を確認でき、プロのライダーの映像であれば、その操縦技能を鑑賞する際の技能評価の指標となったり、個人的な自身の映像であれば、操縦技能を客観的に評価して技能の向上のために利用したりすることが可能となる。
【0084】
撮像装置100は、撮像時、モーターバイク110に固定されて使用されるため視聴はできないが、再生時、視聴者は、重畳された指標データを通じて、ライダーやモーターバイク110の水平軸や鉛直軸からの傾きを容易に視認することができる。
【0085】
また、指標画像生成部178は、傾斜角に応じて、異なる形態の指標画像を生成し、重畳部176は、その傾斜角に応じて異なる表示形態の指標画像を、撮像部120が撮像する画像に重畳する。
【0086】
本実施形態において、例えば、指標画像生成部178モーターバイク110の傾き角度に応じて描画線の色を変化させる。具体的に、指標画像生成部178は、傾斜角の絶対値が30度未満であれば青色、傾斜角の絶対値が30度以上、40度未満であれば黄色、傾斜角の絶対値が40度以上であれば赤色の指標データを生成する。
【0087】
このように、指標データの表示態様、例えば、指標データの形状、模様、色彩またはこれらの結合を傾斜角に応じて変化させる構成により、再生時、視聴者は表示態様を視認することで、その傾きの具体的な数値を参照しなくても直感的に被写体の傾きの程度を認識できる。
【0088】
さらに、重畳部176は、傾斜角の絶対値が所定の角度以下では指標データを重畳しない。例えば、傾斜角の絶対値が5度未満では、指標データを重畳しない。かかる構成により、例えば、画像データを記憶はしても、指標データを重畳しない傾斜角の範囲を設定できる。そのため、傾斜角の絶対値が小さいうちは指標データが重畳されていない映像で姿勢を視認し、傾斜角の絶対値が大きくなると指標データに基づいて傾斜角を視認する等、視聴者は、視認したい部分により集中して映像を視聴できる。なお、指標画像生成部178が指標画像を生成するようにしたが、指標画像生成部178が図示しない記憶部に記憶されている複数の指標画像の中から、傾斜角に応じた指標画像を選択する指標画像選択部として機能するような構成にしてもよい。その場合、重畳部176は、その指標画像選択部が選択した指標画像を撮像部120が撮像した画像に重畳する。
【0089】
また、撮像装置100には、映像の概要を把握することが可能な映像データを生成する機能を有してもよい。その場合、例えば撮像装置132は傾斜角が第1の角度以上や第2の角度以下の場合の画像も記憶するようにしてもよい。
【0090】
具体的に、ダイジェスト生成部180は、撮像装置100が撮像部120の光軸回りに回転し、所定の状態から光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になっている間、または、第1の状態になってから第2の状態になるまでの間の、撮像対象の画像データを抽出したダイジェストデータを生成する。ダイジェスト生成部180は、例えば、撮像中、一時保持部124に保持されている画像データを取得してダイジェストデータを生成する。
【0091】
このように、ダイジェスト生成部180を備える構成により、再生時、視聴者は、例えば、コーナリングの映像を探さずとも、コーナリングやコーナリングの前後の映像がまとめられたダイジェストデータの映像を見ることができ、視聴者の利便性を向上することが可能となる。
【0092】
また、本実施形態の撮像装置100は、水平軸や鉛直軸を指標データとして、予め画像データに重畳して記憶する構成に限定されない。
【0093】
例えば、角付加部182は、画像データに傾斜角を付加する。角付加部182は、傾斜角を角度情報として、例えば、画像データのフォ−マットがMPEGの場合、GOP(Group Of Pictures)ヘッダのユーザーデータ領域に付加情報として書き込む。この場合、再生時に、再生装置は画像データに付加された傾斜角に基づいて、水平軸や鉛直軸を示す指標データを生成し、画像データに重畳した上で、表示装置200に表示させる。かかる構成により、視聴者は、任意の場面で水平軸や鉛直軸を表示させたり隠したりすることが可能となる。
【0094】
上記のように、本実施形態の撮像装置100によれば、頭出しが容易となる状態で所望する映像を記憶することができ、再生時に、視聴者が所望する映像を容易に見つけ出すことが可能となる。
【0095】
(撮像方法)
さらに、上述した撮像装置100を用いた撮像方法も提供される。図11は、撮像方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【0096】
撮像者によって撮像を開始する旨の操作入力が行われると、撮像部120は、撮像対象の撮像を開始する(S300)。撮像部120によって撮像された画像のデータは一時保持部124で一時的に保持され(S302)、傾斜角導出部134は、光軸周りの鉛直軸からの傾斜角を導出する(S304)。そして、傾斜角取得部172は、傾斜角導出部134から導出された傾斜角を取得する(S306)。
【0097】
続いて、記憶制御部174は、現在、映像記憶部132が撮像部120によって撮像された画像のデータを記憶する動作を行っているか否かを判断し(S308)、行っていない場合(S308のNO)、傾斜角の絶対値が第1の角度以上(第1の状態)であるか否かを判断する(S310)。傾斜角の絶対値が第1の角度以上でない場合(S310のNO)、画像データ生成ステップ(S300)に戻る。
【0098】
記憶継続判定ステップ(S308)において、映像記憶部132が画像データの映像記憶部132への記憶を行っている場合(S308のYES)、記憶制御部174は、傾斜角の絶対値が第2の角度以下(第2の状態)であるか否かを例えばフラグ等を参照して判定する(S312)。傾斜角の絶対値が第2の角度以下であった場合(S312のYES)、記憶制御部174は画像データの映像記憶部132への記憶を停止させ(S314)、画像データ生成ステップ(S300)に戻る。
【0099】
傾斜角判定ステップ(S310、S312)において、傾斜角の絶対値が第1の角度以上であった場合(S310のYES)、および傾斜角の絶対値が第2の角度以下でなかった場合(S312のNO)、重畳部176は、傾斜角に基づいて、水平軸および鉛直軸のいずれか一方または両方を示す指標データを生成し(S316)、画像データに重畳する(S318)。記憶制御部174は、画像データの映像記憶部132への記憶を開始させ(S320)、画像データ生成ステップ(S300)に戻る。
【0100】
上述したように、撮像装置100を用いた撮像方法によれば、再生時、所望する映像を容易に見つけ出すことが可能となる。
【0101】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0102】
例えば、上述した実施形態では撮像装置100は動画の撮像を主として説明したが、かかる場合に限定されず、静止画を撮像する際にも用いることができる。その場合、映像記憶部132は、映像を記憶する代わりに、撮像部120が所定の時間間隔で連続して生成した静止画を記憶する。また、一時保持部124は静止画の画像データを保持し、映像記憶部132は、傾斜角の絶対値が第1の角度以上となる所定時間分前の画像データから記憶する等、上述した撮像装置100の機能を、映像から静止画に置き換えて摘要できることは言うまでもない。
【0103】
なお、本明細書の撮像方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。また、本実施形態において、第1の状態または第2の状態に応じて映像データである画像データの記憶等を制御する例を用いて説明したが、第1の状態または第2の状態に応じて静止画データである画像データの記憶等を制御するようにしてもよい。例えば撮像装置100が第1の状態となると撮像部120が撮像する静止画データを映像記憶部132に記憶するようにしてもよい。
【0104】
さらに、本実施形態において、記憶制御部174が画像データの映像記憶部132への記憶を制御する例を用いて説明したが、記憶制御部174が外部書込部130の外部記憶媒体202への記憶を制御するようにしてもよい。
【0105】
また、傾斜角0度となる基準(所定の状態)を、乗物または撮像装置100の中心軸と、鉛直軸とがほぼ同じ方向に向くときとしているが、例えば、撮像装置100の電源装置が押されたとき、撮像装置100に所定の操作入力がなされたとき、乗物が走り出したとき等を傾斜角0度となる基準(所定の状態)としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、傾斜角に基づいて撮像する撮像装置および撮像方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0107】
100 …撮像装置
110 …モーターバイク(乗物)
120 …撮像部
124 …一時保持部
132 …映像記憶部(記憶部)
134 …傾斜角導出部
172 …傾斜角取得部
174 …記憶制御部
176 …重畳部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置において、
撮像対象を撮像する撮像部と、
前記撮像装置が前記撮像部の光軸回りに回転した角度である傾斜角を取得する傾斜角取得部と、
前記撮像装置が前記撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から前記光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると前記撮像対象の画像の記憶を開始するよう、前記傾斜角に基づいて記憶部を制御する記憶制御部と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像部が撮像した前記画像を一時的に保持する一時保持部をさらに備え、
前記記憶制御部は、前記撮像装置が前記第1の状態となると、前記撮像装置が前記第1の状態となった時刻よりも所定の時間前の時刻以降の前記画像の記憶を開始するよう、前記記憶部を制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記記憶制御部は、前記撮像装置が前記第1の状態となった後に、前記撮像装置が前記撮像部の光軸回りに回転し、前記所定の状態から前記光軸回りに第2の角度以下の角度回転した位置に前記撮像装置が位置する第2の状態になると、前記撮像対象の画像の記憶を停止するよう、前記記憶部を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2の角度は前記第1の角度よりも小さい角度であることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記傾斜角を導出する傾斜角導出部をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記傾斜角導出部は、
角速度センサと、
前記角速度センサの出力を積分する積分回路と、
前記積分回路の出力のオフセット成分を抑制するオフセット成分抑制部と
を有することを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
水平軸および鉛直軸のいずれか一方または両方を示す指標画像を前記撮像部が撮像する画像に重畳する重畳部をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記重畳部は、前記傾斜角に応じて異なる表示形態の指標画像を、前記撮像部が撮像する画像に重畳することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像部を備えた撮像装置を用いる撮像方法であって、
撮像対象を撮像し、
前記撮像装置が前記撮像部の光軸回りに回転した角度である傾斜角を取得し、
前記撮像装置が前記撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から前記光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると前記撮像対象の画像の記憶を開始するよう、前記傾斜角に基づいて記憶部を制御することを特徴とする撮像方法。
【請求項1】
撮像装置において、
撮像対象を撮像する撮像部と、
前記撮像装置が前記撮像部の光軸回りに回転した角度である傾斜角を取得する傾斜角取得部と、
前記撮像装置が前記撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から前記光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると前記撮像対象の画像の記憶を開始するよう、前記傾斜角に基づいて記憶部を制御する記憶制御部と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像部が撮像した前記画像を一時的に保持する一時保持部をさらに備え、
前記記憶制御部は、前記撮像装置が前記第1の状態となると、前記撮像装置が前記第1の状態となった時刻よりも所定の時間前の時刻以降の前記画像の記憶を開始するよう、前記記憶部を制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記記憶制御部は、前記撮像装置が前記第1の状態となった後に、前記撮像装置が前記撮像部の光軸回りに回転し、前記所定の状態から前記光軸回りに第2の角度以下の角度回転した位置に前記撮像装置が位置する第2の状態になると、前記撮像対象の画像の記憶を停止するよう、前記記憶部を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2の角度は前記第1の角度よりも小さい角度であることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記傾斜角を導出する傾斜角導出部をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記傾斜角導出部は、
角速度センサと、
前記角速度センサの出力を積分する積分回路と、
前記積分回路の出力のオフセット成分を抑制するオフセット成分抑制部と
を有することを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
水平軸および鉛直軸のいずれか一方または両方を示す指標画像を前記撮像部が撮像する画像に重畳する重畳部をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記重畳部は、前記傾斜角に応じて異なる表示形態の指標画像を、前記撮像部が撮像する画像に重畳することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像部を備えた撮像装置を用いる撮像方法であって、
撮像対象を撮像し、
前記撮像装置が前記撮像部の光軸回りに回転した角度である傾斜角を取得し、
前記撮像装置が前記撮像部の光軸回りに回転し、所定の状態から前記光軸回りに第1の角度以上回転した第1の状態になると前記撮像対象の画像の記憶を開始するよう、前記傾斜角に基づいて記憶部を制御することを特徴とする撮像方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図10】
【公開番号】特開2011−166371(P2011−166371A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25746(P2010−25746)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]