説明

撮像装置

【課題】 偏光板を通した被写体光を撮影して特殊効果画像を得る従来の撮像装置において、偏光板の取り付け/取り外しの操作が面倒であり、また、撮像前に偏光板を通した被写体画像の確認が必要であり、偏光板による特殊効果を撮影後に変えることができない。
【解決手段】 PBS3は被写体光に含まれるS偏光光とP偏光光とを分離し、分離したS偏光光L1とP偏光光L2をカラー撮像素子4、5に結像させて二つの被写体画像信号を出力される。これらの被写体画像信号は、画像信号処理回路6により所望の合成比率で合成されてビューファインダ7に供給される一方、記録媒体に記録される。このため、偏光板が不要となり、分離したS偏光光とP偏光光による二つの被写体画像信号の最適な合成比率を画像信号処理回路6に設定することで、撮像前に二つの偏光光の分離による特殊画像効果の確認が不要となる。また、撮影後に特殊効果画像の特殊効果を変更できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に係り、特に撮像素子を2枚使用して被写体像を撮像する2板式撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像素子を2枚使用して被写体像を撮像する2板式撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。図5は上記の特許文献1記載の2板式の従来の撮像装置の一例の概略構成図を示す。同図において、2板式撮像装置20は、撮影レンズ21の光出射側に配置されたビームスプリッタ22、ビームスプリッタ22の光入射面と2つの光出射面の一方にそれぞれ設けられた位相差板23及び24、光学ローパスフィルタ(LPF)25、ダミーガラス26、2枚の撮像素子27及び28、画像処理回路29などから構成される。
【0003】
この2板式撮像装置20においては、撮影レンズ21を透過した被写体からの光に含まれる直線偏光が位相差板23により円偏光に変換された後、ビームスプリッタ22に入射してその偏光膜で一部が反射し残りが透過することにより2分割され、偏光膜を透過した被写体光に含まれる直線偏光は位相差板24を透過する際に円偏光に変換されて光学LPF25を透過して撮像素子27の受光面に入射し、偏光膜で反射した円偏光の被写体光はダミーガラス26を透過して撮像素子28の受光面に入射する。光学LPF25の複屈折作用により撮像素子27の受光面上には2重像が形成される。
【0004】
ダミーガラス26は、撮影レンズ21から撮像素子27及び28の受光面までの空気換算光路長が互いに等しくなるように屈折率と厚さとが定められる。撮像素子27及び28で光電変換して得られた映像信号は画像処理回路29に供給されて画像処理されて、単板式撮像装置より高解像度で偽色の減じられた映像信号が生成される。
【0005】
従来の撮像装置では、被写体からの反射光を意図的に制限して撮像することが行われている。これは太陽光や一般の光源(白熱電球、ハロゲンランプ、水銀ランプ等)は不定偏光光であるが、その光源で被写体を照明したとき被写体で反射した光束は、多かれ少なかれ偏った振動を持つ光束となっており、反射による光の偏光の法則(ブリュースターの法則)により、光束の入射角と出射角が作る平面に平行な振動を持つ光束(P偏光光)は透過し易く、垂直方向の振動を持つ光束(S偏光光)は反射し易いという特徴があり、特に図6に示すように出射光(反射光)と吸収屈折光とのなす角度が90°(このとき、光束の入射角をブリュースター角と呼ぶ)になるとき出射光(反射光)は完全平面波となるため、偏光板(偏光フィルタ)を使用して反射光の中のS偏光光あるいはP偏光光を強調して取り込むことで、「見たまま」を撮像するのではなく、撮影者の意図する「絵作り」を行うための色々な効果が得られるからである。
【0006】
この場合、図7に示すように、カラー撮像素子34を内蔵する撮像装置の筐体31の前方に設けられた撮像レンズ33の光入射側レンズ表面、あるいは撮像レンズ33が大口径レンズの場合はレンズ鏡筒内に偏光板32を設置し、この偏光板32を入射光の光軸を回転軸とする回転機構(図示せず)により回転可能な構造とし、撮像前に偏光板32を回転機構により逐次回転しながら所望の被写体を撮像し、ビューファインダで偏光板32を通した被写体画像を見て、反射光のレベルを抑えるか強調するかを確認し、意図した効果が得られるところで偏光板32の回転を停止して撮像を開始するようにしている。
【0007】
なお、上記の偏光板32の効果の具体例としては、街中のショーウィンドウの中にあるマネキン人形を撮影しようとした場合、ショーウィンドウに反射して映り込む街路はS偏光光をカット(吸収)し、P偏光光を通す向きに偏光板32を合わせることで、ショーウィンドウ内のマネキン人形が強調され、同じ撮影フレーム(アングル)でもS偏光光を通しP偏光光をカットする向きに偏光板32を合わせることで、ショーウィンドウに映り込む街路映像が強調され、内部のマネキン人形は抑えられた映像となり、ショーウィンドウを含め外の街が主体となった撮影になる。また、光沢のある葉の表面からの反射光をカットし、花や鳥などの色彩を鮮やかにする撮影にも用いられる。
【0008】
【特許文献1】特開2000−354251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の撮像装置において、偏光板32は通常の撮像には不要であり、そのままでは被写体からの入射光の光量が半減してしまうため、必要に応じて取り付け/取り外しを行っている。しかし、この偏光板32は撮影レンズ33の前端のフィルタ取り付けネジを利用して取り付け/取り外しを行うため、取り付け/取り外しの操作が面倒である。
【0010】
また、従来の撮像装置では、偏光板32による特殊効果撮像では、被写体からの放射光(光源で被写体を照明したとき被写体で反射した光束)に含まれる偏光成分のバランスを崩した撮像を行うために、撮像前に偏光板32を通した被写体画像が所望の偏光光成分を強調した画像となっているかを確認しなければならない。
【0011】
また、撮像直後に撮像装置に設けられたモニタ(一般的には1〜2インチの液晶表示素子)で撮像された画像を確認できるが、周辺環境の明るさやモニタが小型であるため、画像の細部の確認ができない。更に、偏光板32により特殊効果撮像して得られた画像データを、撮像装置に内蔵又は着脱自在な半導体メモリやハードディスクメモリ、磁気テープ、光ディスク等の記録媒体に記録し、その記録媒体を他の装置で再生した場合に、偏光板による特殊効果を変えることはできないという問題もある。
【0012】
更に、特許文献1記載の撮像装置では、位相差板として1/4波長板を設け、これにより被写体に含まれる直線偏光成分を解消して円偏光とし、後段のPBSでバランスよく分離させる構成であるが、直線偏光成分が被写体光に含まれていると分離バランスが崩れてしまう。
【0013】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、偏光板の取り付け/取り外しの操作や撮像前の偏光板を通した被写体画像の確認を不要にし得る撮像装置を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明の他の目的は、大型モニタでの撮像画像確認を可能とし、また特殊効果を変更可能な撮像装置を提供することにある。
【0015】
更に、本発明の他の目的は、偏光ビームスプリッタに入射する被写体光に含まれるP偏光成分及びS偏光成分を最適に分離し得る撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するため、本発明の撮像装置は、撮影レンズを通過した被写体光を第1及び第2の撮像素子で撮像して得られた第1及び第2の画像信号に基づいて撮像画像信号を出力する2板式の撮像装置において、撮影レンズを通過した被写体光を、第1の偏光光を主体とする第1の被写体光及び第2の偏光光を主体とする第2の被写体光にそれぞれ分離して、分離した第1の被写体光を第1の撮像素子に結像すると共に、分離した第2の被写体光を第2の撮像素子に結像する偏光分離光学系と、第1の撮像素子から出力される第1の画像信号と、第2の撮像素子から出力される第2の画像信号とを所望の比率で合成処理して撮像画像信号として出力する機能と、第1及び第2の画像信号をそれぞれ記録媒体に記録する機能とを備えた画像処理手段とを有することを特徴とする。
【0017】
この発明では、被写体光を第1の偏光光を主体とする第1の被写体光及び第2の偏光光を主体とする第2の被写体光にそれぞれ分離して、それぞれ第1の撮像素子と第2の撮像素子に入射し、それら第1の撮像素子と第2の撮像素子から出力される第1及び第2の画像信号を所望の比率で合成処理した合成画像信号を得ることができると共に、第1及び第2の画像信号を記録媒体に記録することができる。
【0018】
また、上記の目的を達成するため、本発明は、撮影レンズと偏光分離光学系との間の光路中に、偏光分離光学系に入射する被写体光に含まれる直線偏光成分の角度を制御するための1/2波長位相差板を設置すると共に、1/2波長位相差板を、その入射光の光軸に平行な軸を回転軸として回転自在に構成したことを特徴とする。この発明では、1/2波長位相差板により入射被写体光に含まれる直線偏光成分の角度を制御することができる。
【0019】
また、上記の目的を達成するため、本発明は、上記の1/2波長位相差板を、その入射光の光軸に平行な軸を回転軸として指示された回転角だけ回転駆動する駆動手段と、上記の第1及び第2の撮像素子に入射した被写体全体のあるいは一部の光束の差を検出し、その検出した光束の差が最大となるように、駆動手段を制御して1/2波長位相板を回転制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0020】
この発明では、第1及び第2の撮像素子に入射した被写体全体のあるいは一部の光束の差を検出し、その検出した光束の差が最大となるように、駆動手段を制御して1/2波長位相板を回転制御するようにしたため、偏光分離光学系により被写体光から第1の偏光光と第2の偏光光とを最適に分離することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、偏光分離光学系により被写体光を第1の偏光光を主体とする第1の被写体光及び第2の偏光光を主体とする第2の被写体光にそれぞれ分離して、それぞれ第1の撮像素子と第2の撮像素子に入射し、それら第1の撮像素子と第2の撮像素子から出力される第1及び第2の画像信号を所望の比率で合成処理した合成画像信号を得るようにしているため、偏光板を取り付ける作業や操作する作業を行うことなく、撮影者が意図する任意の特殊効果画像を得ることができ、またその時の合成比率を画像処理手段に設定することで、撮影前の特殊効果画像の確認を不要にできる。
【0022】
また、本発明によれば、上記の第1及び第2の画像信号を記録媒体に記録することにより、その記録媒体から再生した第1及び第2の画像信号を他の装置(例えば、パソコン)で取り込んで合成し、その合成画像を大型のモニタで確認できるため、従来に比べて特殊効果画像の細部の確認ができ、また、撮影後でも上記の再生した第1及び第2の画像信号の合成比率を変更することで、特殊効果画像を変更することができる。
【0023】
更に、本発明によれば、偏光分離光学系により被写体光に含まれる偏光光を分離するようにしているため、1/4波長板を使って被写体光に含まれる偏光光成分を解消してできるだけ同じ光成分に2分割する従来装置に比べて、直線偏光光成分が被写体光に含まれていても分離バランスが崩れることなく、偏光光の分離が最適にできる。
【0024】
また、本発明によれば、1/2波長位相差板を回転調整をすることにより、第1及び第2の撮像素子に常に最適に分離した第1の偏光光及び第2の偏光光(S偏光光及びP偏光光)を導くことができ、撮像装置を傾けた時あるいは縦横を変えて撮像しても常に最適なSおよびP偏光光を撮像でき、その結果、ネイチャー写真等における水面からの反射光の抑制や強調、画像彩度の向上等の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
図1は本発明になる撮像装置の第1の実施の形態の構成図を示す。同図において、本実施の形態の撮像装置は、筐体1内に設けた2枚のカラー撮像素子4及び5を使用して被写体像を撮像する2板式撮像装置であり、筐体1内には上記のカラー撮像素子4及び5の他に、撮影レンズ2、偏光ビームスプリッタ(PBS)3、画像信号処理回路6及びビューファインダ7が設けられている。
【0027】
PBS3は偏光膜3aにより図2に示す透過/反射特性を有する。同図中、二点鎖線Iは、偏光膜3aで反射した反射光中のS偏光光の特性、実線IIは偏光膜3aを透過した透過光中のP偏光光の特性、実線IIIは上記反射光中のP偏光光の特性、実線IVは上記透過光中のS偏光光の特性を示す。同図から分かるように、入射光の波長が450nm〜650nmの範囲内では、PBS3はS偏光光を反射し、P偏光光を透過する。
【0028】
次に、図1の構成の第1の実施の形態の撮像装置の動作について説明する。光源で照明され、被写体の表面で反射された被写体からの放射光(被写体光)は、撮影レンズ2を透過して入射光LとしてPBS3に入射し、その偏光膜3aにより図2と共に説明したように、入射光L中のS偏光光L1が反射されてPBS3の第一の主面から出射して第1のカラー撮像素子4に入射結像すると共に、入射光L中のP偏光光L2が透過してPBS3の第二の主面から出射して第2のカラー撮像素子5に入射結像する。
【0029】
カラー撮像素子4は入射したS偏光光L1を光電変換した後、所定の信号処理を行って第1の画像信号を生成して画像信号処理回路6に供給する。一方、これと並行してカラー撮像素子5は入射したP偏光光L2を光電変換した後、所定の信号処理を行って第2の画像信号を生成して画像信号処理回路6に供給する。画像信号処理回路6は、入力された第1の画像信号と第2の画像信号とをそれぞれ出力端子8を介して図示しない記録媒体(内蔵又は着脱自在の半導体メモリ、ハードディスクメモリ、磁気テープ、光ディスクなど)に記録したり、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略す)に供給すると共に、それら第1及び第2の画像信号を指示された合成比率で合成して合成画像信号を得た後、その合成画像信号をビューファインダ7に供給して表示させる。なお、合成画像信号を記録媒体に記録したりパソコンに供給することも可能である。
【0030】
これにより、ビューファインダ7にはS偏光光とP偏光光による二つの被写体画像信号の合成画像が表示される。このビューファインダ7の表示画像により、S偏光光とP偏光光とが最適に分離されているかの確認が、それぞれの画像が見えるか否かで確認できる。
【0031】
また、出力端子8から出力されたS偏光光とP偏光光による二つの被写体画像信号はパソコンに供給され、そのパソコンに接続された大型モニタで二つの被写体画像信号を合成した被写体合成画像の確認操作ができ、必要に応じて画像信号処理回路6におけるS偏光光とP偏光光による二つの被写体画像信号の合成比率を可変制御する制御信号をパソコンにより生成して、入力端子9を介して画像信号処理回路6に供給することにより、撮影者が意図する特殊効果画像が得られる。
【0032】
このように、本実施の形態によれば、PBS3による偏光分離光学系により被写体光に含まれるS偏光光とP偏光光とを積極的に分離し、分離したS偏光光とP偏光光による二つの被写体画像信号の合成比率を画像信号処理回路6にて可変するようにしたため、従来の撮像装置のように撮影レンズ2のレンズ表面や撮影レンズ2内に偏光板を取り付けたり、取り外したりする操作が不要であり、また、分離したS偏光光とP偏光光による二つの被写体画像信号の最適な合成比率を画像信号処理回路6に設定することで、撮像時に二つの偏光光の分離による特殊画像効果の確認が不要である。
【0033】
更に、本実施の形態によれば、撮影記録した合成画像信号をパソコンに等に取り込み、大型モニタで確認操作することができるため、画像の細部の確認ができる。更に、本実施の形態では、偏光板を用いて特殊効果撮像して得られた画像信号だけを記録媒体に記録し、特殊効果撮像に用いられない偏光光成分は捨ててしまう従来装置とは異なり、被写体光のS偏光光とP偏光光の両方を捨てることなく、PBS3で両偏光光成分を明確に分離して記録媒体に記録するため、その記録媒体を他の装置で再生して、両偏光光の合成比率を変えることで最終的に特殊効果画像を得るようにしているため、特殊効果画像の変更が撮像後にもできる。
【0034】
なお、本実施の形態では、PBS3で被写体光の光束をS偏光光とP偏光光とに2分割したが、反射型偏光板による分離でも同じ効果が得られる。更に、2つのカラー撮像素子4、5を1/2画素ずらし、画像信号処理部6で画素間補間を行うことにより高精細の画像データを得ることができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
図3は本発明になる撮像装置の第2の実施の形態の構成図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図3に示す第2の実施の形態の撮像装置は、筐体1内の撮影レンズ2とPBS3の光入射面との間の光路に、撮影レンズ2側から順に1/2波長(λ/2)位相差板11及び光学ローパスフィルタ(LPF)12を配置すると共に、PBS3の出射側の第一の主面に偏光板13を設け、かつ、PBS3の出射側の第二の主面に光路長調整板14を設けることにより、撮像性能、操作性を向上させた点に特徴がある。
【0036】
λ/2位相差板11は、被写体光に含まれる直線偏光成分の角度を(偏光膜3aに入射する)を制御するための光学部品であり、撮像装置の姿勢(横構えあるいは縦構え等)や被写体からの反射光(被写体光)の状況に応じて、その被写体光に含まれるP偏光光とS偏光光とが最適に分離されるように回転させて調整する。例えば、S偏光光を主体として受光するカラー撮像素子4では、入射する光束が一番大きくなるように回転調整をする。この回転調整は、ビューファインダ7での画像を見ながら行う。
【0037】
カラー撮像素子4、5は所定の配列ピッチで並ぶ多数の画素によって構成されているため、高い空間周波を持つ偏光光が入射すると、偽信号や色モワレが発生する。これを防止するため、光学LPF12は被写体像中の高周波成分をカットする。偏光板13は、偏光膜3aの特性をカバーするために、PBS3とカラー撮像素子4の間に挿入されている。
【0038】
前述したように、偏光膜3aを備えたPBS3の透過/反射特性は図2に示されるが、その中の透過光束はIIで示すP偏光光が主体で、S偏光光はIVで示すように透過率0%付近に張り付いており、透過光束に殆ど含まれていないが、反射光束には、Iで示すS偏光光が主体であるが、P偏光光もIIIで示すように若干含まれている。この反射光束中の不要な反射P偏光光成分を除去するために、吸収型偏光板13が反射光束が出射されるPBS3の第一主面側に設置されている。
【0039】
また、カラー撮像素子5とPBS3の間に配置された光路長調整板14は、カラー撮像素子4側に配置した偏光板13による光路長の増加に対応して光路長を調整するための光学部品であり、PBS3の透過光路長を変えても代用できる。
【0040】
この実施の形態では、ビューファインダ7の合成画像を見ながらλ/2位相差板11を、入射光の光軸方向を回転軸として回転することにより、被写体光に含まれる直線偏光成分の角度を制御し、これにより被写体光に含まれるS偏光光とP偏光光とを常に最適に分離できる。また、第1の実施の形態と同様の特長を有する。
【0041】
(第3の実施の形態)
図4は本発明になる撮像装置の第3の実施の形態の構成図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図4に示す実施の形態の撮像装置は、λ/2位相差板11を入射光の光軸方向を回転軸として回転駆動するモータ16を含む駆動系を設け、カラー撮像素子4、5から出力される画像信号が供給される画像信号処理回路15の出力信号でモータ16を回転制御し、被写体光束に含まれるS偏光光とP偏光光を最適に分離してカラー撮像素子4にS偏光光、カラー撮像素子5にP偏光光を入射させる点に特徴がある。
【0042】
ここで、画像信号処理回路15は、S偏光光とP偏光光による二つの被写体画像信号のレベル差が最大となるように、あるいは、カラー撮像素子4の信号出力が最大になるよう、あるいは、カラー撮像素子5の信号出力が最小になるように、モータ16及びλ/2位相差板11を回転制御する。
【0043】
ここで、S偏光光とP偏光光による二つの被写体画像信号を所望の合成比率で合成して所望の特殊効果画像を得るのは、静止画記録時のみと思われるので、上記モータ16及びλ/2位相差板11を回転制御するタイミングは、シャッターの半押し状態の時、あるいは撮影待機時に常に行うのが望ましい(モード設定でユーザが切り替える。)。
【0044】
本実施の形態によれば、撮像装置を傾けた時、あるいは縦横を替えて撮像しても、常に最適なS偏光光とP偏光光とを最適に分離して撮像できる。ところで、被写体からの反射光である被写体光のS偏光光やP偏光光は、反射面が比較的平滑な被写体の場合に顕著に現れ、光束が乱反射する反射面では起こり難い。通常の撮像において、上記の偏光の影響は、比較的光沢のある面、池、湖等の凪いだ水面、街中のショーウィンドウ、椿、楠、樫等の照葉樹林の葉表、乗用車・壁面等の塗装表面に強く現れる。従って、本実施の形態では、第1の実施の形態の効果に加えて、更にネイチャー写真等における水面等の上記の偏光の影響を強く受ける被写体からの反射光の抑制や強調、画像彩度の向上等の効果を得ることができる。
【0045】
なお、本実施の形態では、カラー撮像素子4及び5の出力画像信号に基づき、画像信号処理回路15の出力信号でモータ16を回転してλ/2位相差板11を回転制御したが、撮像素子の替わりに専用の光束受光素子を設けてλ/2位相差板11を回転制御するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明装置の第1の実施の形態の構成図である。
【図2】偏光ビームスプリッタの一例の特性図である。
【図3】本発明装置の第2の実施の形態の構成図である。
【図4】本発明装置の第3の実施の形態の構成図である。
【図5】従来の撮像装置の一例の構成図である。
【図6】ブリュースターの法則の説明図である。
【図7】被写体光を意図的に制限して撮像する従来の撮像装置の一例の概略構成図である。
【符号の説明】
【0047】
1 筐体
2 撮影レンズ
3 偏光ビームスプリッタ(PBS)
4、5 カラー撮像素子
6、15 画像信号処理回路
7 ビューファインダ
11 λ/2位相差板
12 光学ローパスフィルタ(LPF)
13 偏光板
14 光路長調整板
16 モータ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズを通過した被写体光を第1及び第2の撮像素子で撮像して得られた第1及び第2の画像信号に基づいて撮像画像信号を出力する2板式の撮像装置において、
前記撮影レンズを通過した前記被写体光を、第1の偏光光を主体とする第1の被写体光及び第2の偏光光を主体とする第2の被写体光にそれぞれ分離して、分離した前記第1の被写体光を前記第1の撮像素子に結像すると共に、分離した前記第2の被写体光を前記第2の撮像素子に結像する偏光分離光学系と、
前記第1の撮像素子から出力される第1の画像信号と、前記第2の撮像素子から出力される第2の画像信号とを所望の比率で合成処理して前記撮像画像信号として出力する機能と、前記第1及び第2の画像信号をそれぞれ記録媒体に記録する機能とを備えた画像処理手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮影レンズと前記偏光分離光学系との間の光路中に、前記偏光分離光学系に入射する前記被写体光に含まれる直線偏光成分の角度を制御するための1/2波長位相差板を設置すると共に、前記1/2波長位相差板を、その入射光の光軸に平行な軸を回転軸として回転自在に構成したことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記1/2波長位相差板を、その入射光の光軸に平行な軸を回転軸として指示された回転角だけ回転駆動する駆動手段と、前記第1及び第2の撮像素子に入射した被写体全体のあるいは一部の光束の差を検出し、その検出した光束の差が最大となるように、前記駆動手段を制御して前記1/2波長位相板を回転制御する制御手段とを有することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−28224(P2007−28224A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207756(P2005−207756)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】