説明

撮像装置

【課題】電磁型リニアモータと像ぶれ補正装置とが干渉することなく且つ沈動時に薄型の撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、フォーカシングレンズ24を含む複数のレンズ21−24から成る撮像レンズ系を保持するレンズ鏡筒1と、撮像レンズ系を経て形成される光学像を受けて画像データを生成する撮像素子110と、撮像素子110を該撮像素子の受光面に平行な面内で変位させて像ぶれ補正動作を行う像ぶれ補正装置105と、を備える。レンズ鏡筒1は、フォーカシングレンズ24を光軸に沿って進退駆動させるフォーカス駆動ユニットである電磁型リニアモータ18含み、該電磁型リニアモータ18の一部が、像ぶれ補正装置105と干渉しないように像ぶれ補正装置105に入り込んでいることを特徴とする撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カメラなどの撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCDやCMOSセンサなどの撮像素子を用いて被写体を撮影する撮像装置が広
く普及している。これら撮像装置では、可動レンズ枠、特に、フォーカシングレンズを保
持するレンズ枠を光軸方向に進退駆動するために、モータとモータにより回転駆動される
リードスクリューと該リードスクリューに係合するナット部材とを用い、ナット部材とと
もに可動レンズ枠を進退移動やVCM駆動により可動レンズ枠を進退移動するように構成
したものが知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0003】
例えば、特許文献1には、折曲撮像光学系を備えたレンズ鏡筒を有する撮像装置が記載
されている。この撮像装置では、5群構成のレンズ群のうち二群、四群および五群レンズ
が可動レンズとなっている。このうち、フォーカシングを行う五群レンズは、スリーブと
一体形成された五群レンズ枠により支持される。スリーブは、撮像素子側に配置されたモ
ータにより回転される光軸方向に延在するリードスクリューと係合する雌ネジ部材を有す
るとともに、光軸方向に延在するガイド軸が摺動可能に貫通している。これにより、モー
タを回転させることにより、五群レンズは光軸方向に進退駆動される。
【0004】
また、特許文献2によれば、ボイスコイルモータ等のアクチュエータにより可動レンズを
光軸方向に移動させる撮像装置である。この撮像装置では、撮像地板9には、フォーカス
ベース部材6が固定(結合)されている。また、フォーカスベース部材6には、ヨーク6
1、62およびマグネット63が固定されている。第4保持枠4には角筒形状を有する空
芯コイル41が固定されている。コイル41の空芯部分は光軸方向に向かって開口してい
る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−133944号公報
【特許文献2】特開2010−72061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、多くのデジタルカメラは、撮影時の手の動き等による画像のぶれを補正する
ための像ぶれ補正機構を有している。像ぶれ補正の方法としては、撮像素子を動かして補
正を行う光学式像ぶれ補正が知られている。この、光学式の像ぶれ補正を行うためには、
撮像素子を動かすための像ぶれ補正装置を設け、この像ぶれ補正装置に撮像素子を載置す
る。
【0007】
ところが、フォーカシングレンズを駆動するフォーカス駆動ユニットと、この像ぶれ補
正装置と、が干渉するために、撮像装置の小型化の制約となる。例えば、特許文献1の撮像装置では、フォーカス駆動ユニットのリードスクリューおよびその下部に配置されたモータが、撮像素子側に突出している。このため、像ぶれ補正装置を設ける場合、モータと像ぶれ補正装置と、が干渉しないように、光軸方向に見たとき、撮像素子の外側にモータを配置しなければならず、レンズ鏡筒が大きくなってしまう。
【0008】
また、特許文献2に記載の撮像装置では、ベース部材を挟んで伸縮可能なレンズ鏡筒と
像ぶれ補正装置と、が固定配置されている。そして、フォーカシング用のモータおよびガイド軸は、背面側の像ぶれ補正装置と干渉する位置を避けて、レンズ鏡筒の固定枠の外周部で固定されている。この構成でも、レンズ鏡筒の口径を小さくすることができない。また、固定枠の外周部にモータおよびガイド軸を設けたので、さらにストロボや三脚ねじ等を配置しようとすると、配置できるスペースを確保するため装置をさらに大型にしなければならないという点で改善の余地がある。
【0009】
したがって、これらの点に着目してなされた本発明の目的は、フォーカス駆動ユニットと像ぶれ補正装置と、が干渉することなく且つ小型の撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する請求項1に係る撮像装置の発明は、
フォーカシングレンズを含む複数のレンズから成る撮像レンズ系を保持するレンズ鏡筒
と、前記撮像レンズ系を経て形成される光学像を受けて画像データを生成する撮像素子と
、前記撮像素子を該撮像素子の受光面に平行な面内で変位させて像ぶれ補正動作を行う像
ぶれ補正装置と、を備え、前記レンズ鏡筒は、前記フォーカシングレンズ(ウォーブリン
グ用レンズも含む)を光軸に沿って
進退駆動させる電磁型リニアモータを含み、該電磁型リニアモータの一部が、前記像ぶれ
補正装置と干渉しないように該像ぶれ補正装置に入りこんでいることを特徴とするものである。
【0011】
なお、ここで言う「入り込んでいる」とは、「例えば、光軸における電磁リニアモータやガイド軸支持部の最後端が干渉しないように像ぶれ補正装置の最先端より後方(像側)に位置することや像ぶれ補正装置内における可動部の一部に切り欠き凹部を形成」にするようにしても良い。
また、「貫通している」とは、像ぶれ補正装置が光軸方向に貫通した開口を有し、フォーカス駆動ユニットの一部が、この開口内に少なくとも部分的に挿入された状態にあることを意味する。すなわち、電磁型リニアモータの一部が、必ずしも像ぶれ補正装置の後方まで延びている必要はない。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の撮像装置において、
前記電磁型リニアモータの一部が前記像ブレ補正装置を貫通していることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1または2の何れかに記載の撮像装置において、
前記像ぶれ補正装置は、前記レンズ鏡筒が固定されたベース部材と、該ベース部材により前記光軸と直交する第1の方向に移動可能に支持されるスライダと、該スライダにより前記光軸および前記第1の方向に直交する第2の方向に移動可能に支持される前記撮像素子を保持するセンサ保持枠と、を備え、前記電磁型リニアモータの一部は、前記光軸方向に見て、前記スライダの領域内であって前記センサ保持枠の移動領域の外側を貫通していることを特徴とするものである。
請求項4に係る発明は、請求項1または2の何れかに記載の撮像装置において、主フォーカスガイド軸の断面積が副フォーカスガイド軸の断面積より大きいことを特徴とするものである。
請求項5に係る発明は、被写体側から前記電磁型リニアモータみて、駆動コイルと磁気回路の磁束が交差する駆動作用線と主フォーカスガイド軸との距離は前記駆動作用線と副フォーカスガイド軸との距離より短いことを特徴するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前記レンズ鏡筒は、フォーカシングレンズと該フォーカシングレンズを光軸に沿って進退駆動させる電磁型リニアモータと、を含み、該電磁型リニアモータの一部が、
前記像ぶれ補正装置と干渉しないように該像ぶれ補正装置に入り込んでいるので、電磁型リニアモータと像ぶれ補正装置とが干渉することなく且つ、沈胴時に薄型の撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る撮像装置を構成するレンズ鏡筒およびセンサユニットを含む撮像ユニットの要部の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す撮像ユニットの沈胴状態における断面図である。
【図3】図1に示す撮像ユニットのワイド位置における断面図である。
【図4】図1に示す撮像ユニットのテレ位置における断面図である。
【図5】図1に示す撮像ユニットの四群レンズ、四群枠およびフォーカス駆動ユニットの断面図である。
【図6】図1に示す撮像ユニットの背面図である。
【図7a】本発明の変形例に係る撮像ユニットの四群レンズ、四群枠および電磁型リニアモ―タの背面図である。
【図7b】本発明の変形例に係る撮像ユニットの四群レンズ、四群枠および電磁型リニアモータの断面図である。
【図7c】本発明の変形例に係る撮像ユニットの四群レンズ、四群レンズ枠、フォーカスガイド軸および副フォーカスガイド軸の断面図である。
【図7d】本発明の変形例に係る撮像ユニットの四群レンズ、四群レンズ枠および電磁型リニアモータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る撮像装置について、図面を参照して説明する。
【0017】
なお、本実施の形態の説明においては、レンズ鏡筒における撮影光学系の光軸(撮影光
軸)を符号Oで表すものとする。この光軸Oに沿う方向(撮影光軸方向)において、被写
体側(物体側)を前方とし、当該レンズ鏡筒における各枠部材が、前方に向かう際の方向
を繰り出し方向というものとする。一方、光軸Oに沿う方向において結像側(像側)を後
方とし、各枠部材が後方に向かう際の方向を繰り込み方向というものとする。また、レン
ズ鏡筒における各構成部材の回転方向は、前方側から見た回転方向で表すものとする。
【0018】
本実施の形態の撮像装置は、伸縮可能な撮影光学系、すなわちレンズ鏡筒を用いたもの
である。このレンズ鏡筒は、光軸Oに沿う方向に伸長して撮像装置の筐体の前方に向けて
伸長し突出して撮影動作を行い得る形態、すなわち撮影動作を待機している形態の使用状
態である撮影待機状態(撮影可能状態)と、光軸Oに沿う方向に伸長した状態より短縮し
て撮像装置の筐体内に収納されてレンズ鏡筒が撮影動作に供しない形態の非使用状態であ
る沈胴状態との間でレンズ鏡筒の全長が伸縮自在に構成され、かつ撮影可能状態にあると
きは、短焦点位置(ワイド端)と長焦点位置(テレ端)との間で、複数の枠部材を繰り出
しまたは繰り込むことで変倍動作(ズーミング)を可能とする伸縮機構を有して構成され
る。
【0019】
先ず、図1〜図4を参照して、レンズ鏡筒の構成について説明する。
【0020】
レンズ鏡筒1は、センサユニット100のベース部材101に固定される固定枠2と、
固定枠2に支持されてズーミング動作時や沈胴動作時に回転駆動されるとともに、光軸O
に沿う方向に進退駆動されるカム枠5と、回転規制状態でカム枠5とともに光軸Oに沿う
方向に進退するフロートキー6と、回転規制状態でカム枠5とともに光軸Oに沿う方向に
進退するガイド枠7と、回転規制状態でカム枠5の回転により光軸Oに沿う方向に進退す
る一群レンズ21を保持する一群枠12と、回転規制状態でカム枠5の回転により光軸O
に沿う方向に進退する二群レンズ22を保持する二群枠11と、回転規制状態でカム枠5
の回転により光軸Oに沿う方向に進退する、三群レンズ23を保持する三群枠10および
シャッタを支持するシャッタ/三群ユニット8と、固定枠2に光軸Oに沿う方向に進退可
能に結合された、四群レンズ(フォーカシングレンズ)24を保持する四群枠13と、を有している。ここで、一群レンズ21、二群レンズ22、三群レンズ23および四群レンズ、24は、撮像レンズ系を構成している。
【0021】
このレンズ鏡筒1は、カム枠5が後方移動端と前方移動端との間を移動する際の回転に
より、沈胴状態と撮影可能状態との位置決めが実行されて、撮影可能状態で光軸Oの物体
側から像側に順に、一群レンズ21、二群レンズ22、三群レンズ23、および四群レン
ズ24が位置し、さらに、前方移動端でのカム枠5の定位置回転により変倍作用が実行さ
れるようになっている。
【0022】
固定枠2は、円筒状に形成されており、その内周部に光軸Oに対して傾斜する方向に形
成された複数の傾斜カム溝部と円周に沿う方向に形成される円周溝部とが連接してなるカ
ム溝2aと、光軸方向に形成された複数の直進溝2b,2cとを有している。この固定枠
2の外周部には、撮影光学系のズーミング動作を行うためのズーム駆動ユニット17が設
けられ、また、固定枠2の内部には、撮影光学系のフォーカシング動作を行うためのフォ
ーカス駆動ユニット18が配設されている。
【0023】
ズーム駆動ユニット17は、ズーム駆動源であるズームモータ17a、ズームモータ1
7aの駆動力を伝達するギヤ列(回転伝達機構)17b、カム枠5の位置を検出する位置
センサ(図示せず)、およびロングギヤ17c等を含んでいる。そして、ズームモータ1
7aにより、レンズ鏡筒1の撮影光学系のうちズーミング動作に寄与するズーム光学系(
一群レンズ21、二群レンズ22、三群レンズ23)を光軸Oに沿う方向に駆動するズー
ミング動作を行うとともに、レンズ鏡筒1を撮影可能状態から沈胴状態へと駆動させる沈
胴動作をも行う。なお、ズーム駆動ユニット17のロングギヤ17cは、固定枠2のギヤ
収納部2dに回転軸が光軸Oと平行になるように配置されて、固定枠2の内周部に露呈し
た状態で回動自在に支持されている。
【0024】
フォーカス駆動ユニット18は、モータ軸を光軸Oに平行に配置されたフォーカス駆動
源であるフォーカスモータ18a、フォーカスモータ18aの回転軸と一体として形成さ
れたリードスクリュー18b、リードスクリュー18bに螺合するナット18c、および
、レンズ鏡筒1の撮影光学系のうちフォーカシング動作に寄与するフォーカシング光学系
(四群レンズ24)の原点位置を検出するフォトインタラプタからなる位置センサ(図示
せず)等を含んでいる。そして、フォーカスモータ18aにより、四群レンズ24を光軸
Oに沿う方向にフォーカス駆動する。フォーカス駆動ユニット18の詳細な構成と動作に
ついては、後述する。
【0025】
カム枠5は円筒状に形成されており、固定枠2の内周部に回動および進退自在な状態で
嵌入している。カム枠5の外周後方部には、固定枠2の複数のカム溝2aにそれぞれ摺動
自在に嵌入する複数のカムフォロワ5aと、ズーム駆動ユニット17のロングギヤ17c
に噛合するギヤ部5bとが形成されている。
【0026】
上述したように、カム枠5のカムフォロワ5aは、固定枠2のカム溝2aに摺動自在に
嵌入しており、ギヤ部5bは、ロングギヤ17cに噛合している。したがって、ズーム駆
動ユニット17のズームモータ17aが駆動されてロングギヤ17cが回転駆動されると
、その駆動力がギヤ部5bを介してカム枠5に伝達されて、当該カム枠5を回転させるよ
うになっている。こうしてカム枠5が回転すると、当該カム枠5のカムフォロワ5aが固
定枠2の傾斜したカム溝2aの傾斜カム溝部に沿って移動することで、カム枠5は、回転
しながら沈胴状態にある位置(後方移動端)から撮影可能状態における短焦点位置である
ワイド端(前方移動端)にまで前方に繰り出される。そして、レンズ鏡筒1が撮影可能状
態にあるときには、短焦点位置であるワイド端から長焦点位置であるテレ端までの間にお
けるズーミング動作中には、当該カム枠5は、カムフォロワ5aとカム溝2aの円周溝部
とによって光軸Oに沿う方向には進退することなく、前方移動端において回転方向にのみ
駆動されるようになっている。
【0027】
また、カム枠5の外周部には、光軸Oに対して傾斜する方向に一群用カム溝5cが形成
されており、内周部には、光軸Oに対して傾斜する方向に二群用カム溝5dおよび三群用
カム溝5eが形成されている。
【0028】
フロートキー6は、円筒形状に形成されており、カム枠5の内周部において相対的に回
転自在に嵌入している。フロートキー6の後端外周部には、固定枠2の直進溝2bに嵌入
するガイド突起部6aが外方に向けて突設されている。これにより、当該フロートキー6
は、固定枠2によって回転規制された状態で、カム枠5とともに光軸Oに沿う方向への進
退移動が可能となっている。
【0029】
このフロートキー6は、バヨネット突起部6bがカム枠5のフランジ部5fに設けられ
た円形凹部の外周溝5gに嵌入した状態で、カム枠5の内周部に嵌入するように配設され
ている。これにより、フロートキー6は、カム枠5に対して相対的に回転が可能で、かつ
カム枠5に対して光軸Oに沿う方向には相対的に進退移動しないようにバヨネット結合さ
れている。
【0030】
さらに、フロートキー6は、光軸Oに沿う方向に内外周を貫通するように形成された二
群用直進溝6cおよび三群用直進溝6dを有している。
【0031】
また、フロートキー6の二群用直進溝6cに二群枠11のガイド突起部11aが嵌入し
、三群用直進溝6dに三群ユニット10のガイド突起部10bが嵌入している。これによ
り、フロートキー6は、二群枠11およびシャッタ/三群ユニット8を進退自在に支持す
るとともに回転規制している。
【0032】
ガイド枠7は、円筒状に形成されており、後端内周部にカム枠5の結合溝(図示せず)
に嵌入するバヨネット突起(図示せず)を有している。また、ガイド枠7の内周部には、
光軸Oに沿う方向に、一群枠12の後方外周部に形成されたカムフォロワ12aが嵌合す
る直進溝7bが形成されている。
【0033】
そして、ガイド枠7は、固定枠2の内周部に嵌入した状態で、カム枠5とバヨネット結
合されて配置される。このとき、ガイド枠7のガイド突起部7aが、固定枠2の直進溝2
cに嵌入している。これにより、ガイド枠7は、フロートキー6と同様に、固定枠2に対
して回転規制された状態で、光軸Oに沿う方向に対しては、カム枠5と一体に移動するよ
うになっている。
【0034】
二群枠11は、円筒状に形成されており、フロートキー6の内周部に嵌入された状態に
配置されている。この二群枠11のほぼ中央部には二群レンズ22が保持されており、外
周部には外方に突設されるガイド突起部11aと、このガイド突起部11a上において外
方に突設されるカムフォロワ11bと、を有している。
【0035】
ガイド突起部11aは、フロートキー6の二群用直進溝6cに嵌入し、カムフォロワ1
1bは、二群用直進溝6cを挿通して、その外方に設けられるカム枠5の二群用カム溝5
dに摺動可能に嵌入する。これにより、二群枠11は、フロートキー6により回転規制さ
れた状態で、カム枠5の回転によって進退駆動されるようになっている。
【0036】
また、二群枠11は、カム枠5が後方移動端に位置する場合は、像側一部が像側のレン
ズの一部とともに、シャッタ枠30の内周側に嵌入するように構成されている。
【0037】
一群枠12は、円筒状に形成されており、カム枠5とガイド枠7との間に嵌入された状
態で配置されている。この一群枠12の物体側には、一群レンズ21が保持されている。
また、一群枠12の内周部には、カム枠5の外周部に形成された一群用カム溝5cに嵌合
するように、内周方向において等間隔に内方に向けて複数(例えば三つ)のカムフォロワ
(図示せず)が配設されている。
【0038】
また、上述したように、一群枠12の後端外周部に形成されたカムフォロワ12aは、
ガイド枠7の内周部に形成された直進溝7bに嵌合し、一群枠12の内周部に形成された
カムフォロワは、カム枠5の外周部に形成された一群用カム溝5cに嵌合する。これによ
り、一群枠12は、ガイド枠7により回転規制された状態で、カム枠5の回転によって進
退駆動されるようになっている。
【0039】
シャッタ/三群ユニット8は、シャッタ機構を保持するシャッタ枠30と、シャッタ枠
30の後方側で三群レンズ23を保持する三群枠10と、を含んで構成されている。
【0040】
シャッタ枠30は、ほぼ中央部に開口を有するほぼ円形状の板部材に、中央開口を開閉
するシャッタ羽根や、このシャッタ羽根を回動駆動させるシャッタアクチュエータ等を含
むシャッタ機構等を保持した形態で構成されている。
【0041】
三群枠10は、三群レンズ23を保持する円筒形状の保持部10aを有し、この保持部
10aが、シャッタ枠30の後方からシャッタ枠30内に嵌入した状態で、シャッタ枠3
0に固定されている。また、三群枠10は、前方外周部に外周方向において等間隔に外方
に向けて複数(例えば三つ)のガイド突起部10bが設けられており、それらのガイド突
起部10bには、さらに外方に向けてカムフォロワ10cがそれぞれ突設されている。
【0042】
また、三群枠10は、フロートキー6の内部に嵌入した状態で配置され、ガイド突起部
10bがフロートキー6の三群用直進溝6dに嵌入し、これを貫通してカムフォロワ10
cがカム枠5の三群用カム溝5eに嵌入されるようになっている。これにより、三群用直
進枠30は、フロートキー6によって回転規制された状態で、カム枠5によって進退駆動
されるようになっている。
【0043】
二群枠11とシャッタ/三群ユニット8との間には、コイルバネ35が配設されている
。これにより、二群枠11およびシャッタ/三群ユニット8は、互いに離間する方向に付
勢されている。コイルバネ35は、一端部がシャッタ/三群ユニット8のシャッタ枠30
の内周部に嵌合するように挿入され、他端部は二群枠11のレンズホルダ部分の外周部に
嵌合するように挿入されている。
【0044】
また、三群レンズの像側には、減光フィルタ(NDフィルタ)40が取り付けられてい
る。三群レンズの像側に配置することによって、他の部分、例えば二群レンズ22と三群
レンズ23との間に配置した場合と比べて、小型のNDフィルタを用いることができる。
なお、このNDフィルタ40は、設けなくても良い。
【0045】
四群枠13は、四群レンズ24を保持する中央部に円形の開口を有する略円板状の枠部
材である。四群枠13は、フォーカス駆動ユニット18により、固定枠2の内部で光軸方
向に進退可能に支持される。また、フォーカス駆動ユニット18は、フォーカス駆動ユニ
ット固定用の部材であるLD本体19およびベース部材101を介して固定枠2に結合し
ている。
【0046】
次に、フォーカス駆動ユニット18による四群枠13の支持および駆動の機構を説明す
る。図5は、図1に示す撮像ユニットの四群レンズ24、四群枠13およびフォーカス駆
動ユニット18を含む断面図である。この図は、リードスクリュー18cと後述するフォ
ーカスガイド軸18fとのそれぞれの中心軸線を同時に通る断面による断面図である。
【0047】
フォーカスモータ18aは、該フォーカスモータ18aの筐体と一体に形成された支持
枠18dを有している。支持枠18dは、フォーカスモータ18aの筐体の側部から光軸
方向へ延び、先端部がモータの回転軸側に屈曲した形状を有する。この支持枠18dの先
端部は、フォーカスモータ18aの回転軸と一体として形成されたリードスクリュー18
bの先端部を回転可能に支持する。したがって、リードスクリュー18bは、フォーカス
モータ18aと支持枠18dの先端部との2箇所で両持ち支持される。このようにするこ
とによって、リードスクリュー18bの回転に伴う振動の発生を防止し、フォーカス駆動
ユニット18を静音化することができる。また、支持枠18dにはねじ孔が設けられ、フ
ォーカスモータ取り付けネジ18eにより、LD本体19に固定されている。
【0048】
さらに、リードスクリュー18bにはナット18cが、支持枠18dにより回転を規制
された状態で螺合している。このため、フォーカスモータ18aを駆動するとリードスク
リュー18bが回転し、この回転に応じてナット18cがリードスクリューに沿って進退
移動する。
【0049】
また、LD本体19には、フォーカスモータ18aと近接した位置に、光軸方向に延び
る主フォーカスガイド軸18fが挿設され、また、フォーカスモータとは離間した位置に
も、光軸方向に延びる副フォーカスガイド軸18h(図1参照)が挿設されている。主フ
ォーカスガイド軸18fおよび副フォーカスガイド軸18hは、四群枠13を摺動可能に
貫通するので、四群枠13は、主フォーカスガイド軸18fおよび副フォーカスガイド軸
18hに沿って、光軸方向に移動が可能となる。また、主フォーカスガイド軸18fに加
え、副フォーカスガイド軸18hを設けたので、四群枠13が主フォーカスガイド軸18
fの回りに回転することが防止される。
【0050】
さらに、リードスクリュー18bは、フォーカスモータ18aとナット18cとの間で
、四群枠13の外周部を貫通している。一方、主フォーカスガイド軸18fには、LD本
体19と四群枠13との間に付勢バネが巻装され、LD本体19と四群枠13とは互いに
離間する方向に付勢されている。これによって、四群枠13はナット18cの後方の面に
常に当接される。
【0051】
なお、LD本体19には、フォーカス駆動用のフォーカスモータ18aへの駆動信号線
および撮像装置の制御回路への原点位置検出信号線を含むFPC基板117が接続されて
いる(図2〜4参照)。
【0052】
これにより、フォーカス駆動ユニット18のフォーカスモータ18aの駆動力によって
リードスクリュー18bが回動されると、ナット18cがリードスクリュー18bに沿っ
て進退駆動される。ナット18cが進退駆動されると、ナット18cの後方の面に当接さ
れた四群枠13は、フォーカスガイド軸18f,18hに沿う方向、すなわち光軸Oに沿
う方向に進退駆動され、撮影可能状態にあるときには適切なフォーカシング位置に調整さ
れ、また沈胴動作時には所定の沈胴位置に位置決めされるようになっている。
【0053】
なお、図5において、フォーカスモータ18aと主フォーカスガイド軸18fの後端部
およびこれらと嵌合するLD本体19の一部は、沈胴位置における四群レンズ24の後側
(像側)のレンズ面よりも後方に突出している。後述するように、これらの部分は、手ぶ
れ補正装置を貫通するように配置されている。一方副フォーカスガイド軸18hについて
は、手ぶれ補正装置105を貫通していない。
【0054】
次に、図6を参照してセンサユニット100の構成について説明する。
【0055】
センサユニット100は、像ぶれ補正を行う像ぶれ補正装置105と画像データを生成
する撮像素子110と、を有するユニットである。像ぶれ補正装置105は、ベース部材1
01と、ベース部材101にY方向(第1の方向)に延在して支持されるYガイド軸10
9,111、Y送りねじ112およびX方向(第2の方向)に延在して支持されるX送り
ねじ113と、Yガイド軸111およびY送りねじ112によりY方向に移動可能に支持
されるスライダ114と、スライダ114にX方向に延在して支持されるXガイド軸11
5,116と、X送りねじ113およびXガイド軸115,116によりX方向に摺動可
能に支持されるセンサ保持枠119と、センサ保持枠119に取り付けられる光学ローパ
スフィルタ118(図2〜4参照)および撮像素子110(図1〜4参照)と、ベース部
材101に支持されるYモータ(第1モータ)120およびXモータ(第2モータ)13
0(図1参照)と、を有している(図1参照)。
【0056】
なお、X方向およびY方向は、互いに直交し、かつ光軸Oに直交する方向であって、撮像
素子110の横方向(X方向)および縦方向(Y方向)に沿った方向である。
【0057】
Yモータ120は、ギヤ列121を介してY送りねじ112を回転させてスライダ114
のY方向の駆動を行うステッピングモータである。また、Xモータ130は、ギヤ列13
1を介してX送りねじ113を回転させてセンサ保持枠119のX方向の駆動を行うステ
ッピングモータである。Yモータ120およびXモータ130には、ベース回路基板に接
続されるFPC(図示せず)が接続されて駆動される。これにより、センサ保持枠119
は、Yモータ120およびXモータ130により撮像素子110の受光面と平行な面に沿
って駆動されて、レンズ鏡筒1を介して撮像素子110に形成される光学像の像ずれを補
正するようになっている。
【0058】
なお、Yガイド軸111およびXガイド軸116には、それぞれ圧縮コイルバネ122
,132が巻装されている。また、ベース部材101とスライダ114およびセンサ保持
枠119とのそれぞれの間には、引張コイルバネ123,133が懸架されている。これ
により、スライダ114およびセンサ保持枠119は、それぞれ原点位置に付勢されてい
る。
【0059】
撮像素子110は、FPC141に接続されて、センサ保持枠119に搭載されている
。この撮像素子110の裏面側には、FPC141を挟むように、センサ保持枠119に
放熱板142が取り付けられている。
【0060】
ここで、像ぶれ補正装置105のベース部材101は、レンズ鏡筒1側から見た概略投
影形状が、半円形と矩形とを半円の直線部分と矩形の一辺とが一致するように組み合わせ
た形状を有している。矩形部分の2つの隅部のうち第1隅部151には、Yモータ120
およびギヤ列121を含む第1駆動部161が搭載され、他方の隅部である第2隅部15
2には、Xモータ130およびギヤ列131を含む第2駆動部162が搭載されている。
【0061】
また、ベース部材101の半円部分の円弧は固定枠2の後端部分の外周に沿い、第2隅
部152と光軸Oを介して反対側のベース部材101の外側、すなわち、固定枠2の外側
には、ズーム駆動ユニット17が配置されている。ズーム駆動ユニット17のズームモー
タ17aは、ギヤ列17bを介して、固定枠2のギヤ収納部2d内のロングギヤ17cと
接続されている(図1参照)。
【0062】
固定枠2の内部には、光学系と干渉しない位置にフォーカス駆動ユニット18が設けら
れ、フォーカスモータ18aはモータ軸を前方に向けた状態で、LD本体19に固定され
ている後端部が像ぶれ補正ユニット105内に突出し貫通している。また、主フォーカス
ガイド軸18fの後端部も、LD本体19に固定された状態で、像ぶれ補正装置105を
貫通している。なお、フォーカスモータ18aおよび主フォーカスガイド軸18fは、セ
ンサユニット100内において、光軸方向に見て開口を有するように、放熱板142とス
ライダ114との間に切り欠き部を設け、この切り欠き部を光軸に沿う方向に貫通してい
る。すなわち、フォーカスモータ18aと主フォーカスガイド軸18fとは、スライダ1
14とセンサ保持枠119との間の間隙を貫通している。また、フォーカスモータ18a
および主フォーカスガイド軸18fと、放熱板142およびスライダ114とは隙間を有
し、像ぶれ補正の際、放熱板142およびスライダ114がX方向および/またはY方向
に移動したとき接触しないようになっている。このような構造にすると、固定枠の外径を
小型化することができる。したがってストロボや三脚ねじが固定枠により接近させること
ができ、撮像装置の小型化が可能となる。また、レンズ鏡筒1とセンサユニット100と
を組み立てる際には、フォーカス駆動ユニット18と像ぶれ補正装置105とが干渉せず
、また、像ぶれ補正装置105の後方からフォーカスモータ18aや主フォーカスガイド
軸18fの位置を目視確認することができるので、組み立てが容易である。
【0063】
撮像素子110が接続されたFPC141は、ベース部材101の裏面側において、撮
像素子110からX方向に延在している。このFPC141は、ベース回路基板に接続さ
れて、撮像素子110により撮像された画像が、図示しない液晶パネル等の表示装置に表
示されるとともに、記録媒体に記録されるようになっている。
【0064】
以下、以上のように構成された本実施の形態に係る撮像装置の作用について、説明する

【0065】
先ず、撮像装置の起動等により撮像装置を撮影可能状態にするには、ズーム駆動ユニッ
ト17により、カム枠5が右回りに回転されて、レンズ鏡筒1が沈胴状態(後方移動端)
から前方移動端まで繰り出される。カム枠5が前方移動端に位置して短焦点位置であるワ
イド端となったときは、図3に示すように、各枠部材が光軸Oに沿う方向であって前方に
向けて移動して、レンズ鏡筒1は全体として伸長した状態となる。
【0066】
次に、ズーム調整時には、カム枠5が前方移動端において回転され、所望の像倍率とな
るように、一群枠、二群枠および三群枠の位置が調整される。例えば、長焦点位置である
テレ端においては、図4に示すように、レンズ鏡筒1が最大限に繰り出された状態となり
、二群枠おおよび三群枠の位置もそれに合わせて調整される。
【0067】
さらに、フォーカス調整時は、フォーカス駆動ユニット18を駆動して、四群枠13を
光軸方向に進退駆動し、四群レンズ24の光軸方向の位置を調整する。これによって、所
望の像倍率でフォーカス調整された画像の撮像が可能となる。
【0068】
また、撮像時には、図示しない角速度センサ等のセンサにより手ぶれの方向を検出し、
像ぶれ補正装置105の第1駆動部161および第2駆動部162を駆動することによっ
て、センサ保持枠119を手ぶれの方向とは逆方向に駆動し、像ぶれを補正する。その際
、フォーカスモータ18aおよび主フォーカスガイド軸18fが、像ぶれ補正装置105
を貫通しているが、フォーカスモータ18aおよびフォーカスガイド軸18fと像ぶれ補
正装置との間には、光軸方向から見て隙間が設けられているので、像ぶれ補正を妨げるこ
とはない。
【0069】
さらに、フォーカスモータ18aと主フォーカスガイド軸18fとは、像ぶれ補正装置
105のスライダ114とセンサ保持枠119との間の間隙を貫通しているので、フォー
カスモータ18aおよび主フォーカスガイド軸18fを、像ブレ補正装置105の配置さ
れた位置の背面側の位置を避けて配置する必要がない。このため、固定枠2の口径を小型
化することが可能になる。その結果、ストロボや三脚ねじ等を、撮像装置本体の固定枠2
に近接して配置することができ、装置全体の小型化が可能になる。
【0070】
また、撮像装置の電源がオフにされた場合など撮影可能状態が終了されると、レンズ鏡
筒1のカム枠5が左回りに回転され、カム枠5の回転に伴って、各枠部材が光軸Oに沿う
後方に移動して、図2に示す沈胴状態となる。その際、フォーカスモータ18aと主フォ
ーカスガイド軸18fとは、最も直径の大きい一群レンズ21の後方のレンズ鏡筒内に形
成されるデッドスペースを有効に利用して収納される。
【0071】
以上のように、本実施の形態によれば、レンズ鏡筒1は、フォーカシングレンズである
四群レンズ24と四群レンズ24を光軸に沿って進退駆動させるフォーカス駆動ユニット
18と、を含み、フォーカス駆動ユニット18の一部であるフォーカスモータ18aおよ
び主フォーカスガイド軸18fが、前記像ぶれ補正装置105と干渉しないように像ぶれ
補正装置105に入り込んだ状態下で、貫通しているので、固定枠2の口径を小型化する
ことができ、装置本体を小型化することができる。
【0072】
なお、像ぶれ補正装置105を貫通するのは、フォーカスモータ18aおよび主フォーカ
スガイド軸18fに限られず、副ガイド軸18hやその他のフォーカス駆動ユニット18
の構成要素とすることもできる。あるいは、フォーカスモータ18aまたは主フォーカス
ガイド軸18fの一方のみが、像ぶれ補正装置105に入り込んでいる状態「例えば、光
軸における電磁リニアモータやガイド軸支持部の最後端が干渉しないように像ぶれ補正装
置の最先端より後方(像側)に位置することや像ぶれ補正装置内における可動部の一部に
切り欠き凹部を形成」にするようにしても良い。
特に、比較的大きな部材であるフォーカスモータ18aが像ぶれ補正装置105に入り
込んだ状態下で、像ぶれ補正装置の一部に貫通穴を設けることによって、沈胴状態でのレ
ンズおよびレンズ枠の配置が容易となり、撮像装置1の小型化が可能となる。
【0073】
また、フォーカスモータ18aおよび主フォーカスガイド軸18fが、光軸方向に見て、
像ブレ補正装置105のスライダ114の領域内であってセンサ保持枠119の移動領域
の外側を貫通しているので、より撮像素子110に近い位置にフォーカス駆動ユニット1
8を配置することが可能になる。したがって、さらにレンズ鏡筒1および撮像装置全体の
小型化をすることができる。
【0074】
(変形例)
図7aから図7dは、本実施の形態であるフォーカス駆動ユニットの変形例に係る可動コイル型リニアモータの背面図および断面図である。
図7aから図7dに示すように、フォーカスモータ18aに変えて可動コイル型リニアモータ(電磁型リニアモータともいう)を用いたフォーカス駆動ユニットについて説明する。
【0075】
次に、空芯コイルを用いた電磁型リニアモータを駆動源とする四群レンズ24の駆動機構(フォーカス駆動ユニットの駆動源である電磁型リニアモータ18)について説明する。
【0076】
図7aは四群レンズ24、四群枠13およびフ電磁型駆動ユニット18の背面図である。図7bから図7dは四群レンズ24、四群枠13および電磁型リニアモータ18の断面図である。電磁型リニアモータ18の構成について説明する。
【0077】
3つの外ヨーク18ca〜18ccは光軸方向に延在する矩形形状で、外ヨーク18caはLD本体19の垂直部19aに取り付けネジ18eで固定される。そして3つの外ヨークは四隅が矩形形状の補助部材18cg(磁性材料)により結合されて凹部を形成して一体化する。内ヨーク18bは光軸方向に延在する矩形形状で、両端が補助部材18cgの側面壁18ce、18cfに固定される。3つの永久磁石18aa〜18acは厚み方向に磁化され、光軸方向に延在する矩形形状で、3つの外ヨーク18ca〜18ccの平坦面に固定される。
【0078】
また、補助部材18cgの側面壁18cfと永久磁石18aa〜18acは光軸方向に見て像側には隙間を有し、被写体側は永久磁石18aa〜18acの端面と補助部材18cgの側面壁18ceに当接させる。そして永久磁石18aa〜18acと内ヨーク18bとは磁気隙間を形成する。補助部材18cgの開口部18chに四群枠13の突起部13aが組み込まれ、駆動コイル18dは被写体側からみて光軸方向に直交した平面内で「ロの字」で空芯な形状とし、四群枠13の突起部13aに接着固定される。そして上記磁気隙間の中に配置される。また、副フォーカスガイド軸18hはLD本体19に固定され、組み込まれたときは軸方向に平行な配置とする。副フォーカスガイド軸18hは四群枠13の摺動部13cに挿入され、四群枠13は主フォーカスガイド軸18fと副フォーカスガイド軸18hとの光軸方向に平行な2本のガイド軸によって支持される。この支持により四群枠13が光軸方向に移動したときの回転止め(四群枠13の回転モーメントの発生防止)となる。
【0079】
このように図7b〜dに示すように補助部材18cgの先端部が像ぶれ補正装置を貫通するように構成する。これにより、電磁型リニアモータ18の一部と像ぶれ補正装置とが干渉することなく且つ小型の撮像装置を提供することができる。
【0080】
さらに四群枠13の駆動コイル18dの3面に対して3つの永久磁石18aa〜acを対向配置にすることで、四群枠13の四群レンズ24を光軸方向に駆動する際に駆動感度を向上することができる。
【0081】
なお、外ヨーク18ca〜18ccは磁性材料の補助部材18cgおよび補助部材18cgの側面壁18ce.18cfで一体化した板金加工としてもよい。
次にフォーカス駆動ユニットの駆動源である電磁型リニアモータ18の動作について説明する。
【0082】
図示していないフォーカス駆動回路から駆動コイル18dに印加電圧が与えられる。電磁型リニアモータ18の永久磁石18aa、18ab、18acと外ヨーク18ca、18cb、18ccと内ヨーク18bと磁気隙間により磁気回路が形成されている。駆動コイル18dに印加された電圧とこの磁気回路の推力(磁束とコイルの電流が交差する駆動作用線ともいう)によって、四群レンズ24を保持した四群枠13が光軸方向に移動する。
【0083】
このとき、四群枠13は主フォーカスガイド軸18fと副フォーカスガイド軸18hに案内される。また、LD本体19には、電磁型リニアモータを用いたフォーカス駆動ユニット18と近接した位置に、光軸方向に延びる主フォーカスガイド軸18fが挿設され、また、電磁型リニアモータ18とは離間した位置にも、光軸方向に延びる副フォーカスガイド軸18h(図1参照)が挿設されている。主フォーカスガイド軸18fおよび副フォーカスガイド軸18hは、四群枠13を摺動可能に貫通するので、四群枠13は、主フォーカスガイド軸18fおよび副フォーカスガイド軸18hに沿って、光軸方向に移動が可能となる。
【0084】
また、主フォーカスガイド軸18fに加え、副フォーカスガイド軸18hを設けたので、四群枠13が主フォーカスガイド軸18fの回りに回転することが防止される。
なお、図7bにおいても、電磁型駆動ユニット18と主フォーカスガイド軸18fの後端部およびこれらと嵌合するLD本体19の一部は、沈胴位置における四群レンズ24の後側(像側)のレンズ面よりも後方に突出している。後述するように、これらの部分は、手ぶれ補正装置を貫通するように配置されている。一方副フォーカスガイド軸18hについては、手ぶれ補正装置105を貫通していない。ここでは電磁型リニアモータは可動コイル型について説明したが、可動部に3つの可動磁石を固着した可動磁石型リニアモータに置き換えてもよい。
【0085】
また、LD本体19には、フォーカス駆動源の電磁型リニアモータ18の可動コイル18dへの駆動信号線および撮像装置の制御回路への原点位置検出信号線を含むFPC基板117が接続されている。
【0086】
請求項4に係る発明は、請求項1または2の何れかに記載の撮像装置において、主フォーカスガイド軸の断面積が副フォーカスガイド軸の断面積より大きいことを特徴とするものである。
【0087】
請求項5に係る発明は、被写体側から前記電磁型リニアモータみて、駆動コイルと磁気回路の磁束が交差する駆動作用線と主フォーカスガイド軸との距離は前記駆動作用線と副フォーカスガイド軸との距離より短いことを特徴するものである。
【0088】
主フォーカスガイド軸は4群レンズを光軸からずれることなくガイドする必要が有り、十分な剛性を持たせている。剛性不足で軸がたわむ場合、4群レンズに傾きや偏心が発生し、光学性能の劣化につながる。
軸に振動が発生する場合、AF性能が劣化する。また、動画等ではユーザーに不快感を与えることになる。
副フォーカスガイド軸はたわみが発生しても4群レンズに傾きが発生しない。また、主フォーカスガイド軸
と距離をとって配置することで、軸のたわみによる偏心の発生を低減できる。そのため、主フォーカスガイド軸より細くすることが出来、レンズ鏡筒および撮像装置全体の小型化することができる。
電磁型リニアモータは主フォーカスガイドの近くに配置する。主フォーカス軸のから離れた位置で駆動させようとした場合、びびりが発生したり、こじりが生じて駆動できない場合がある。
【0089】
この場合、電磁型リニアモータを複数個配置することで駆動可能であるが、コストアップや制御の複雑化を招く。レンズ鏡筒および撮像装置全体の大型化につながる。
図7aに示すように四群枠13の一側面にはMRセンサ取付け部18iが設けられている。(MRセンサおよび磁気スケールは不図示)このMRセンサ取付け部18iは四群枠13に一体化接合されたホール素子(またはカー効果検出用のフォトリフレクタ)を配置する。そして、MRセンサの検出面は補助部材の外面と近接し、対向する位置とする。四群枠13とMRセンサは一体で光軸方向に移動する。MRセンサに近接し、対向する位置にはNS極の小片が一列に多数接合配列(所定ピッチで形成)された磁気スケールが固定された補助部材18gの外面に配置する。MRセンサ(ホール素子)の移動により所望の振幅信号を出力する。制御回路(CPU)はMRセンサの信号の変化をカウントや目標位置近傍のゼロクロス付近で補間信号を生成することで、四群枠13に一体に配置された駆動コイル18dに通電することで光軸方向に高速移動動作を行い、四群枠13の四群レンズ24を目標位置へ高速および高精度に移動停止させる。この場合、このMRセンサと磁気スケールを用いて、撮影時におけるフォーカス駆動により至近端と無限遠端との間で移動する範囲内で四群枠13に保持された四群レンズ24の所望する位置に位置決めを行う。また、沈動時においては四群枠13の四群レンズ24が最も撮像素子側に移動して停止する。さらに、沈動位置からカメラの起動によって最初に停止する待機位置(初期位置ともいう)に位置決めを行う。四群枠13の四群レンズ24(図7a-図7dに2点鎖線で示す)は撮影範囲における最も被写体側の位置が四群枠13に保持された四群レンズ24の最大繰り出し位置である。
変形例として、不図示の磁気スケールを磁性材の外ヨーク18cbに直接的に取り付けた(接着剤または両面テープで貼り付け)場合、ホール素子は外ヨークの漏れ磁束の影響で誤検出となるので、磁気スケールと外ヨーク18cbとの間に非磁性材(例えば、SUS材)の平板を介在するとよい。
【0090】
その他変形例は以下である。
例えば、特開2005−234075の図5および図10に示す4群レンズ16または3群レンズ54を光軸方向に沿って微小距離往復移動(ウォーブリング)に用いることが可能である。
また、本願発明の変形例は可動コイル型の電磁型リニアモータで説明したが、可動磁石型リニアモータ(電磁型リニアモータともいう)としてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0091】
1 レンズ鏡筒
13 四群枠
13a 突起部
13b 摺動部
18 電磁型リニアモータ(フォーカス駆動ユニットの駆動源)
18aa、18ab、18ac 永久磁石
18b 内ヨーク
18ca、18cb、18cc 外ヨーク
18cg 補助部材
18ch 補助部材の開口部
18d 駆動コイル
18f 主フォーカスガイド軸
18h 副フォーカスガイド軸
19 LD本体
105 像ぶれ補正装置
119 センサ保持枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーカシングレンズを含む複数のレンズから成る撮像レンズ系を保持するレンズ鏡筒
と、
前記撮像レンズ系を経て形成される光学像を受けて画像データを生成する撮像素子と、
前記撮像素子を該撮像素子の受光面に平行な面内で変位させて像ぶれ補正動作を行う像
ぶれ補正装置と、を備え、
前記レンズ鏡筒は、前記フォーカシングレンズを光軸に沿って進退駆動させる電磁型リ
ニアモータを含み、該電磁型リニアモータの一部が、前記像ぶれ補正装置と干渉しない
ように該像ぶれ補正装置に入り込んでいることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
上記電磁型リニアモータの一部が、前記像ぶれ補正装置に入り込んでいるとは該像ぶれ
補正装置の一部に貫通穴や切り欠きを形成していることを特徴とする請求項1に記載
の撮像装置。
【請求項3】
前記像ぶれ補正装置は、前記レンズ鏡筒が固定されたベース部材と、該ベース部材により
前記光軸と直交する第1の方向に移動可能に支持されるスライダと、該スライダにより
前記光軸および前記第1の方向に直交する第2の方向に移動可能に支持される前記撮像素
子を保持するセンサ保持枠と、を備え、前記電磁型リニアモータの一部は、前記光軸方向
に見て、前記スライダの領域内であって前記センサ保持枠の移動領域の外側を貫通してい
ることを特徴とする請求項1または2の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項4】
主フォーカスガイド軸の断面積が副フォーカスガイド軸の断面積より大きいことを特徴と
する請求項1または2の何れかに記載の撮像装置
【請求項5】
被写体側から前記電磁型リニアモータみて、駆動コイルと磁気回路の磁束が交差する駆動作用線と主フォーカスガイド軸との距離は前記駆動作用線と副フォーカスガイド軸との距離より短いことを特徴する請求項4記載の撮像装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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