説明

撮像装置

【課題】 撮像光学系と、撮像光学系により結像される被写体光学像を光電変換する撮像素子との間を防塵部材により密閉するとともに、撮像光学系を保持収納する撮像レンズ鏡胴を支持するベース部材と撮像素子との間を確実に密閉して、しかも省スペース化を達成する。
【解決手段】 撮像レンズ鏡胴と、ベース部材35と、撮像素子17と、撮像素子17の被写体側の光学素子18と、ベース部材35に支持され、且つ撮像素子17および光学素子18を保持する保持部材41と、ベース部材35と保持部材41との間を密閉する防塵部材42と、撮像レンズ鏡胴の駆動系および撮像素子17に接続される電気的回路の一部を形成するフレキシブル基板52とを備える。フレキシブル基板52が、ベース部材35の開口部の撮像素子17側の面にほぼ沿い且つフレキシブル基板52の少なくとも一部が防塵部材42と光軸方向に重なり合って配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子を用いてスティル画像およびムービー映像等を撮像する、いわゆるデジタルカメラおよびデジタルビデオカメラ等に好適な撮像装置における防塵構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像素子を用いてスティル画像およびムービー映像等を撮像する、いわゆるデジタルカメラおよびデジタルビデオカメラ等の撮像装置において、撮像光学系と、撮像光学系を透過した被写体光束を受光して光電変換する撮像素子との間を密閉する防塵部材を備える撮像装置が既に知られている。この種の撮像装置は、例えば、特許文献1(特開2008−193574号)等に示されている。
特許文献1(特開2008−193574号)には、光学フィルタと撮像素子との間を確実に密閉構造にするために、防塵ゴムに撮影光軸中心に向けて伸びる押圧部を設け、この押圧部に撮像素子のパッケージの外周角部あるいは撮像素子のカバーガラスの外周角部を当接させて、光学フィルタと撮像素子との間を確実に密閉構造にするする構成が開示されている。
しかしながら、従来の撮像装置においては、撮像素子の被写体側に配置される光学素子と撮像素子との間を密閉するにとどまり、撮像光学系を保持収納する撮像レンズ鏡胴を支持するベース部材と撮像素子との間を密閉することはできていなかった。
【0003】
すなわち、具体的には、ベース部材には、撮像レンズ鏡胴内部に配設された駆動系のモータ等の電気的要素に通電するためのフレキシブル基板を通すための通孔や、あるいはその他の設計上必要な通孔等の開口があり、光学素子と撮像素子との間を密閉しただけでは鏡胴内部に塵埃が侵入してしまうおそれがある。また、ベース部材と撮像素子あるいは光学素子との間を密閉する防塵部材を設けることも考えられるが、その場合には防塵部材のサイズが大きくなるため、撮像レンズ鏡胴の駆動系および撮像素子に接続されて当該撮像装置を作動させるための電気的回路の少なくとも一部を形成するフレキシブル基板を配置するためのスペースが不足してしまう。
例えば、上述した特許文献1に開示された構成によって撮像素子を密閉することはできるとしても、撮像光学系を支持するベース部材に設けられた開口からゴミが侵入してしまうという問題を解消することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来の撮像装置では、たとえ防塵構造を備えているとしても、撮像素子とその被写体側に配置される光学素子との間を密閉する程度であり、撮像レンズ鏡胴を支持するベース部材と撮像素子との間は、密閉されていなかった。ベース部材には、撮像レンズ鏡胴内部に配設された駆動系のモータ等の電気的要素に通電するためのフレキシブル基板を通すための通孔や、あるいはその他の設計上必要な通孔等の開口があるため、光学素子と撮像素子との間を密閉しただけでは撮像レンズ鏡胴内部に塵埃が侵入してしまうおそれがある。また、ベースと撮像素子あるいは光学素子との間をも防塵部材により密閉しようとすれば、防塵部材のサイズが大きくなり、当該撮像装置を作動させるために撮像レンズ鏡胴の駆動系および撮像素子に接続される電気的回路の少なくとも一部を形成するフレキシブル基板を配置するためのスペースが足りなくなってしまう。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、撮像光学系と、撮像光学系により結像される被写体光学像を光電変換する撮像素子との間を防塵部材により密閉するとともに、撮像光学系を保持収納する撮像レンズ鏡胴を支持するベース部材と撮像素子との間を確実に密閉して、しかも省スペース化を達成することを可能とする撮像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明に係る撮像装置は、上述した目的を達成するために、
被写体光束を透過屈折し被写体光学像を結像する撮像光学系を保持収納する撮像レンズ鏡胴と、
前記撮像レンズ鏡胴を支持し、且つ前記撮像光学系を通った光束を導く開口部を有するベース部材と、
前記撮像光学系により結像される被写体光学像を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子の被写体側に配置される光学素子と、
前記ベース部材に支持され、且つ前記撮像素子および前記光学素子を保持する保持部材と、
前記ベース部材と前記保持部材との間を密閉する防塵部材と、
前記撮像レンズ鏡胴の駆動系および前記撮像素子に接続される電気的回路の少なくとも一部を形成するフレキシブル基板と
を備えてなり、
前記フレキシブル基板が、前記ベース部材の前記開口部の撮像素子側の面にほぼ沿い且つ該フレキシブル基板の少なくとも一部が前記防塵部材と光軸方向に重なり合って配置されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、撮像光学系と、撮像光学系により結像される被写体光学像を光電変換する撮像素子との間を防塵部材により密閉するとともに、撮像光学系を支持するベース部材と撮像素子との間を確実に密閉して、しかも省スペース化を達成することが可能な撮像装置を提供することができる。
【0007】
すなわち、請求項1に記載の本発明に係る撮像装置によれば、
被写体光束を透過屈折し被写体光学像を結像する撮像光学系を保持収納する撮像レンズ鏡胴と、
前記撮像レンズ鏡胴を支持し、且つ前記撮像光学系を通った光束を導く開口部を有するベース部材と、
前記撮像光学系により結像される被写体光学像を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子の被写体側に配置される光学素子と、
前記ベース部材に支持され、且つ前記撮像素子および前記光学素子を保持する保持部材と、
前記ベース部材と前記保持部材との間を密閉する防塵部材と、
前記撮像レンズ鏡胴の駆動系および前記撮像素子に接続される電気的回路の少なくとも一部を形成するフレキシブル基板と
を備えてなり、
前記フレキシブル基板が、前記ベース部材の前記開口部の撮像素子側の面にほぼ沿い且つ該フレキシブル基板の少なくとも一部が前記防塵部材と光軸方向に重なり合って配置されることにより、
フレキシブル基板を避けて防塵部材を配置する必要なしに、ベース部材と保持部材との間を密閉して鏡胴内へのゴミ侵入を確実に防止して、撮像光学系を保持収納する撮像レンズ鏡胴と、撮像光学系により結像される被写体光学像を光電変換する撮像素子との間を防塵部材により密閉するとともに、撮像レンズ鏡胴を支持するベース部材と撮像素子との間を確実に密閉して、しかも省スペース化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る撮像装置における撮像光学系の広角側状態におけるレンズ鏡胴、撮像素子およびそれらの周辺部分の要部の構成を示す縦断面図である。
【図2】図1のレンズ鏡胴におけるベース部材周りの形状構成を示しており、(a)は被写体側(物体側)から見た斜視図、そして(b)は撮像素子側(像面側)から見た斜視図である。
【図3】図2に示したベース部材周りの組み立て構成を示す分解斜視図である。
【図4】図2および図3に示したベース部材周りの構成における防塵部材のより詳細な形状構成を示す斜視図である。
【図5】図4に示した防塵部材と図2および図3に示したベース部材周りの構成におけるフレキシブル基板との組み立て状態における配置関係を説明するための被写体側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に基づき、本発明に係る撮像装置について詳細に説明する。
図1〜図5は、本発明の一つの実施の形態に係る例えばデジタルカメラ等の撮像装置の要部の構成を示している。
図1は、本発明の一つの実施の形態に係る撮像装置における撮像光学系の広角側状態におけるレンズ鏡胴、撮像素子およびそれらの周辺部分の要部の構成を示す縦断面図である。図2は、図1のレンズ鏡胴におけるベース部材周りの形状構成を示しており、(a)は被写体側(物体側)から見た斜視図、そして(b)は撮像素子側(像面側)から見た斜視図である。また、図3は、図2に示したベース部材周りの組み立て構成を示す分解斜視図、図4は、図2および図3に示したベース部材周りの構成における防塵部材のより詳細な形状構成を示す斜視図、そして、図5は、図4に示した防塵部材と図2および図3に示したベース部材周りの構成におけるフレキシブル基板との組み立て状態における配置関係を説明するための被写体側から見た正面図である。
【0010】
図1〜図5に示す撮像装置は、図示のように主として、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14、第5レンズ群15、シャッタ/絞りユニット16、撮像素子17、ローパスフィルタ等の光学素子18、直進筒21、第2レンズ保持枠22、第3レンズ保持枠23、第4レンズ保持枠24、第5レンズ保持枠25、固定枠31、第1の回転筒32、第2の回転筒33、直進ライナー34、ベース部材35、保持部材41、防塵部材42、シール部材43、フォーカスモータ51、フレキシブル基板52、ズームモータ53、ギアボックス54、ズームモータフレキシブル基板55および鏡胴駆動フレキシブル基板56を具備している。
これらのうち、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14、第5レンズ群15、シャッタ/絞りユニット16およびローパスフィルタ等の光学素子18は、撮像光学系を構成し、さらに、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14、第5レンズ群15、シャッタ/絞りユニット16、ローパスフィルタ等の光学素子18、直進筒21、第2レンズ保持枠22、第3レンズ保持枠23、第4レンズ保持枠24、第5レンズ保持枠25、固定枠31、第1の回転筒32、第2の回転筒33、直進ライナー34およびベース部材35は、撮像光学系を作動させ、且つ保持収納する撮像レンズ鏡胴を構成している。
【0011】
固定枠31およびベース部材35は、明確には図示していないボディ筐体に固定されており、撮像レンズ鏡胴全体を支持している。保持部材41は、撮像素子17を保持し、ベース部材35に固定されている。フォーカスモータ51および鏡胴駆動フレキシブル基板56は、撮像レンズ鏡胴内に配設されている。ズームモータ53、ギアボックス54およびズームモータフレキシブル基板55は、ベース部材35に設けられている。
図1に示すように、物体側から順次、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14および第5レンズ群15が配列され、第3レンズ群13と第4レンズ群14の間にシャッタ/絞りユニット16が配置されており、第5レンズ群15の像面側には、CMOS(相補型金属酸化物半導体)またはCCD(電荷結合素子)等を用いて固体イメージセンサとして構成される撮像素子17が配置される。第1レンズ群11〜第5レンズ群15からなる撮像光学系は、焦点距離可変のズームレンズを構成している。
第1レンズ群11は、1枚以上のレンズからなり、この第1レンズ群11は、レンズ保持枠部(明確には図示していない)を介して直進筒21に一体的に保持されている。直進筒21には、外周面に突出してカムフォロワ21aを設けており、このカムフォロワ21aは、第2の回転筒33の内周面に溝状の凹部として形成されたカム溝に係合している。
【0012】
第2レンズ群12は、1枚以上のレンズからなり、第2レンズ保持枠22に一体的に保持されている。第2レンズ保持枠22には、基端側(像面側端部)の外周に突出してカムフォロワ22aを設けており、このカムフォロワ22aは、直進ライナー34の貫通溝からなる直進キー溝に貫通して係合するとともに、その先端が第1の回転筒32の内周面に溝状の凹部として形成されたカム溝にさらに係合している。
第3レンズ群13は、1枚以上のレンズからなり、第3レンズ保持枠23に一体的に保持されている。第3レンズ保持枠23は、第2レンズ保持枠22に固定されたフォーカスモータ51のリードスクリュー51aにナット機構あるいはラック機構により係合して支持されており、光軸に沿う方向について、第2レンズ保持枠22とほぼ一体的に動作するとともに、焦点調節時には、フォーカスモータ51の回転によって、光軸に沿う方向に、第2レンズ保持枠22に対して相対的に駆動される。
第4レンズ群14は、1枚以上のレンズからなり、第4レンズ保持枠24に一体的に保持されている。さらに、第4レンズ保持枠24は、その先端側(被写体側)にシャッタ/絞りユニット16を一体的に保持している。また、第4レンズ保持枠24には、その基端側(像面側端部)の外周に突出してカムフォロワ24aを設けており、このカムフォロワ24aは、直進ライナー34の貫通溝からなる直進キー溝に貫通して係合するとともに、その先端が第1の回転筒32の内周面に溝状の凹部として形成されたカム溝にさらに係合している。
【0013】
そして、第5レンズ群15は、1枚以上のレンズからなり、第5レンズ保持枠25に一体的に保持されている。第5レンズ保持枠25には、その基端側(像面側端部)の外周に突出してカムフォロワ25aを設けており、直進ライナー34の貫通溝からなる直進キー溝に貫通して係合するとともに、その先端が第1の回転筒32の内周面に溝状の凹部として形成されたカム溝にさらに係合している。
固定枠31の内周面には、ヘリコイド31aが形成されており、このヘリコイド31aには、第2の回転筒33の基端部外周面に形成されたヘリコイド33aが係合している。
第1の回転筒32は、直進ライナー34の物体側先端部(被写体側端部)の外周に突出して設けられているキー部34aとベース部材35とで軸方向に狭持されており、基端部(像面側端部)の外周面にはギア部32aが形成されている。
第2の回転筒33は、上述のように基端部(像面側端部)外周面のヘリコイド33aが固定枠31の内周面のヘリコイド31aに係合(螺合:ねじ結合)するとともに、該第2の回転筒33の基端部(像面側端部)の内周面に突出して設けられた駆動ピン33bが、第1の回転筒32の外周面に溝状の凹部として形成された直進溝に係合している。したがって、第2の回転筒33は、第1の回転筒32の回転に伴い、駆動ピン33bによって回転が伝達されて回転し、ヘリコイド31aおよび33aによって光軸方向に進退移動する。
【0014】
直進ライナー34は、キー部34aが直進筒21の内周面に溝状の凹部として形成された直進溝(明確には図示していない)に係合するとともに、貫通する直進溝が設けられており、この直進溝に各レンズ保持枠のカムフォロワ22a、24aおよび26aが係合することによって、各レンズ群の回転動作を規制している。
以上のような構成によって、後述するズームモータ53(図2(a)参照)の回転駆動力がギアボックス54の適宜なるギアを介して第1の回転筒32のギア部32aに伝達されて、第1の回転筒32を回動し、それによって第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14および第5レンズ群15が所定のごとく移動してズーミング動作を実現する。
保持部材41は、撮像素子17とローパスフィルタ等の光学素子18を保持しており、ベース部材35に支持されている。また、シール部材43によって、撮像素子17と光学素子18との間が密閉されている。防塵部材42はベース部材35に配置されており、ベース部材35と保持部材41との間を密閉している。また、フレキシブル基板52は、撮像レンズ鏡胴および撮像素子17に接続される電気的回路の少なくとも一部を形成している。
【0015】
次に、上述した本発明に係る撮像装置におけるベース部材35の周辺の構成についてさらに詳細に説明する。
図2および図3に示すように、ベース部材35には、光軸をほぼ中心とする開口部35aが設けられており、光軸に沿って撮像光学系を通過した被写体光束が、この開口部35aを通って導かれ、撮像素子17の受光面(入力面)上に被写体光学像を結像する。ベース部材35には、撮像素子17側、すなわち像面側から、開口部35aに嵌入するようにして、順次、保持部材41、フレキシブル基板52および防塵部材42が組み込まれる。
さらに、ベース部材35には、撮像レンズ鏡胴内の撮像光学系の各レンズ群をズーミング動作させるためのズームモータ53およびその回転出力を変速伝達するためのギアボックス54が取り付けられている。ズームモータ53には、ズームモータ53に通電するためのズームモータフレキシブル基板55が接続されている。
また、撮像レンズ鏡胴内部のシャッタ/絞りユニット16およびフォーカスモータ51に通電して、これらを作動させるための鏡胴駆動フレキシブル基板56も設けられており、この鏡胴駆動フレキシブル基板56は、ベース部材35の開口部35aに形成された切り欠き35bを通ってベース部材35の撮像素子17側の面に引き出されている。
【0016】
ズームモータフレキシブル基板55および鏡胴駆動フレキシブル基板56は、いずれもフレキシブル基板52に接続されている。フレキシブル基板52は、撮像装置の本体ボディ筐体内に収納されたメイン基板(図示されていない)に接続されており、メイン基板側からフレキシブル基板52を通して、ズームモータフレキシブル基板55および鏡胴駆動フレキシブル基板56に通電されることなどによって、各種動作を行わせる。
次に、防塵部材42の詳細を図4を参照して説明する。
図4に示すように、防塵部材42は、光軸をほぼ中心としてその周りに広がる開口を有しており、この開口の周縁に屈曲部42aが形成されている。屈曲部42aから外周に連続して延びるフランジ部42bが屈曲部42aの全周にわたって形成されるとともに、該フランジ部42bの適宜箇所に、すじ状に突出するリブ部42cおよび42dが形成されている。
このように形成した防塵部材42は、屈曲部42aがベース部材35の開口部35aに嵌まり込み、開口部35aからベース部材35の被写体側(物体側)に露出するように組み込まれ、フランジ部42bがベース部材35の像面側(撮像素子側)の面に当接する。ベース部材35の像面側(撮像素子側)の面の開口部35aの周囲には、溝状の凹部をすじ状に形成してなるリブ溝35cが、防塵部材42のリブ部42cの形状に対応して設けられており、リブ部42cがリブ溝35cに嵌まり込むことによって、防塵部材42のフランジ部42bがベース部材35から脱落してしまうことを防止するようにしている(図1も参照されたい)。
【0017】
防塵部材42の屈曲部42aは、保持部材41の前面、すなわち被写体側の面、に当接して配置され、フランジ部42bがベース部材35の開口部35aの周縁の像面側(撮像素子側)の面に当接することによって、撮像レンズ鏡胴を支持するベース部材35と、撮像素子17および光学素子18を保持する保持部材41との間を密閉している。また、防塵部材42のリブ部42dは、開口部35aの切り欠き部35bに対応して形成されており、上述した組み込み状態で、防塵部材42のリブ部42dが、開口部35aの切り欠き部35bを塞いで、ベース部材35の開口部35aの周囲を完全に密閉して、撮像レンズ鏡胴の内部への塵埃の侵入を防止するようにしている。そして、図1に示しているように、撮像素子17と光学素子18との間はシール部材43で密閉している。
このようにして、撮像光学系を保持収納する撮像レンズ鏡胴から撮像素子17に至るまでの防塵を防塵部材42とシール部材43により達成している。
なお、フレキシブル基板52は、ベース部材35の開口部35aの撮像素子側の面に両面テープまたは接着剤等を用いて接着固定する。
【0018】
図5に示すように、フレキシブル基板52は、防塵部材42の開口の周囲の少なくとも一部と光軸方向に重なり合うように配置形成されており、ベース部材35に固定されることによって、防塵部材42のフランジ部42bがベース部材35とフレキシブル基板52とで狭時されて防塵部材42が撮像素子側に脱落することをも防止している(図1も参照されたい)。
そして、上述したように、防塵部材42のリブ部42cがベース部材35のリブ溝35cに嵌まり込むことと相俟って、防塵部材42は確実にベース部材35に組み込まれる。また、フレキシブル基板52が防塵部材42の一部と光軸方向に重なり合うように配置形成することによって、防塵部材42を避けてフレキシブル基板52を配置する必要がなくなり、ベース部材35を必要最小限の大きさとすることが可能となって、撮像装置全体の省スペース化を達成することができる。
以上、具体的な実施の形態につき説明したところをまとめて特徴的なところを作用効果を含めて説明する。
【0019】
先ず、本発明に係る撮像装置は、
被写体光束を透過屈折し被写体光学像を結像する撮像光学系を保持収納する撮像レンズ鏡胴と、
前記撮像レンズ鏡胴を支持し、且つ前記撮像光学系を通った光束を導く開口部を有するベース部材と、
前記撮像光学系により結像される被写体光学像を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子の被写体側に配置される光学素子と、
前記ベース部材に支持され、且つ前記撮像素子および前記光学素子を保持する保持部材と、
前記ベース部材と前記保持部材との間を密閉する防塵部材と、
前記撮像レンズ鏡胴の駆動系および前記撮像素子に接続される電気的回路の少なくとも一部を形成するフレキシブル基板と
を備えてなり、
前記フレキシブル基板が、前記ベース部材の前記開口部の撮像素子側の面にほぼ沿い且つ該フレキシブル基板の少なくとも一部が前記防塵部材と光軸方向に重なり合って配置されたことを特徴としている(請求項1に対応する)。
【0020】
このような構成とすることにより、
フレキシブル基板を避けて防塵部材を配置する必要なしに、ベース部材と保持部材との間を密閉して鏡胴内へのゴミ侵入を確実に防止して、撮像光学系を保持収納する撮像レンズ鏡胴と、撮像光学系により結像される被写体光学像を光電変換する撮像素子との間を防塵部材により密閉するとともに、撮像レンズ鏡胴を支持するベース部材と撮像素子との間を確実に密閉して、しかも省スペース化を達成することができる。
また、本発明に係る撮像装置は、
前記防塵部材が、前記フレキシブル基板の被写体側で且つ前記ベース部材の開口部と前記フレキシブル基板との間に配置されていることが望ましい(請求項2に対応する)。
このような構成とすることにより、防塵部材を脱落しないように保持可能で、且つ撮像装置の省スペース化が可能となる。
また、本発明に係る撮像装置は、
前記防塵部材が、フランジ部および屈曲部を有してなり、前記フランジ部が前記ベース部材に当接し、且つ前記屈曲部が前記保持部材に当接していること望ましい(請求項3に相当する)。
このような構成とすることにより、撮像光学系を支持するベース部材と、撮像素子と光学素子を保持する保持部材との間を確実に密閉することができる。
【0021】
また、本発明に係る撮像装置における前記ベース部材には、前記防塵部材が当接する面に複数の溝が設けられており、これらの溝に前記防塵部材の前記フランジ部に設けられたリブ部が嵌まり込む構成とすることが望ましい(請求項4に相当する)。
このような構成とすることにより、防塵部材の脱落を防止して、より確実に防塵することが可能となる。
また、本発明に係る撮像装置における前記フレキシブル基板は、その少なくとも一部が前記ベース部材の前記開口部周縁の一部に沿って前記光束を取り囲むように配置されていることが望ましい(請求項5に対応する)。
このような構成とすることにより、フレキシブル基板を防塵部材から避けて配置する必要が無くなり、ベース部材を必要最小限の大きさとすることで、省スペース化を実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0022】
11 第1レンズ群
12 第2レンズ群
13 第3レンズ群
14 第4レンズ群
15 第5レンズ群
16 シャッタ/絞りユニット
17 撮像素子
18 ローパスフィルタ等の光学素子
21 直進筒
22 第2レンズ保持枠
23 第3レンズ保持枠
24 第4レンズ保持枠
25 第5レンズ保持枠
31 固定枠
32 第1の回転筒
33 第2の回転筒
34 直進ライナー
35 ベース部材
41 保持部材
42 防塵部材
43 シール部材
51 フォーカスモータ
52 フレキシブル基板
53 ズームモータ
54 ギアボックス
55 ズームモータフレキシブル基板
56 鏡胴駆動フレキシブル基板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2008−193574号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体光束を透過屈折し被写体光学像を結像する撮像光学系を保持収納する撮像レンズ鏡胴と、
前記撮像レンズ鏡胴を支持し、且つ前記撮像光学系を通った光束を導く開口部を有するベース部材と、
前記撮像光学系により結像される被写体光学像を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子の被写体側に配置される光学素子と、
前記ベース部材に支持され、且つ前記撮像素子および前記光学素子を保持する保持部材と、
前記ベース部材と前記保持部材との間を密閉する防塵部材と、
前記撮像レンズ鏡胴の駆動系および前記撮像素子に接続される電気的回路の少なくとも一部を形成するフレキシブル基板と
を備えてなり、
前記フレキシブル基板が、前記ベース部材の前記開口部の撮像素子側の面にほぼ沿い且つ該フレキシブル基板の少なくとも一部が前記防塵部材と光軸方向に重なり合って配置されたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記防塵部材は、前記フレキシブル基板の被写体側で且つ前記ベース部材の開口部と前記フレキシブル基板との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記防塵部材は、フランジ部および屈曲部を有してなり、前記フランジ部が前記ベース部材に当接し、且つ前記屈曲部が前記保持部材に当接していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ベース部材には、前記防塵部材が当接する面に複数の溝が設けられており、これらの溝に前記防塵部材の前記フランジ部に設けられたリブ部が嵌まり込む構成としたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記フレキシブル基板は、その少なくとも一部が前記ベース部材の前記開口部周縁の一部に沿って前記光束を取り囲むように配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−90075(P2013−90075A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227636(P2011−227636)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】