撮影モード自動選択装置を備えたカメラ
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】
本発明は、複数の撮影モードを備えたカメラに関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
近年のカメラ、特に一眼レフカメラは、複数のプログラム露出モードを備えている。撮影者は自身の好みによって、あるいは被写体の条件に応じて、適切なシャッタ速度、絞り値が設定されるような露出モードを、複数の露出モードの中から選択しなければならなかった。選択操作は、押しボタンスイッチ、あるいはダイヤルスイッチによるものがある。
いずれにしても、従来は撮影者自身が操作しなければならないので操作がわずらわしく、せっかく選択しても、被写体の状態が変わるなどして選択し直す必要が生じる。再び選択するのは非常にわずらわしく、速写性も欠ける。
【0003】
【発明の目的】
本発明は、従来のカメラの問題に鑑みてなされたもので、撮影条件に応じて最適な撮影モードを自動選択できるカメラを得ることを目的とする。
【0004】
【発明の概要】
この目的を達成する本発明は、所定の撮影条件毎に対応した露出時間と絞りの組み合わせを異なるアルゴリズムで設定する複数のプログラム露出モードとして、遠距離の風景撮影に適した風景モード、近接撮影に適した近接モード、人物撮影に適した人物モード、およびノーマルモードを備え、撮影レンズの焦点距離データ及び撮影距離データに基づいて、前記複数のプログラム露出モードの中から適切なプログラム露出モードを自動選択する撮影モード自動選択手段を備え、この撮影モード自動選択手段は、撮影距離データに基づいて、撮影距離が所定範囲より遠い場合は風景モードを、近い場合は近接モードを選択し、撮影距離データが所定範囲内の場合は焦点距離データおよび撮影距離データにより演算した撮影倍率が所定範囲内のときは人物モードを選択し、撮影倍率が所定範囲外のときはノーマルモードを選択することに特徴を有する。
本発明は、撮影レンズの焦点状態を検出する焦点検出手段およびその検出結果に基づいて焦点調節レンズ群を駆動するレンズ駆動手段を備え、前記焦点検出手段およびレンズ駆動手段の駆動を所定回数繰り返しても合焦しないとき、または合焦後所定の時間内に焦点位置が変化したときには、動体モードを選択する構成とする。
また、本発明は、選択されたモードを識別表示する表示手段を備える。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係るカメラの実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の撮影モード自動選択装置を搭載した自動焦点(AF)一眼レフカメラのカメラボディの一実施の形態を背後から見た斜視図、図2は、このカメラの制御系をブロックで示す図である。
【0006】
このカメラボディ10には、着脱自在な交換レンズの一つとして、撮影レンズ51が装着される。撮影レンズ51は、詳細は図示しないが、例えばパワーズームレンズであって、焦点距離が28mm乃至80mmの間で、内蔵したズームモータ(図示せず)を介して任意に変更可能に設定されている。このカメラボディ10の上面には、ペンタプリズムおよび内蔵フラッシュを収納したペンタルーフ部13が膨出形成されている。内蔵フラッシュはポップアップ可能に形成されている。ペンタルーフ部13の右側には、メインスイッチレバー14が、カメラボディ10の前後方向にスライド自在に装着されている。メインスイッチレバー14は、OFF位置では電源および撮影モード自動選択モードがOFFし、NORMAL位置では電源のみONし、AUTO位置では電源および撮影モード自動選択モードをONする。
【0007】
本実施の形態における撮影モード自動選択モード(ピクトモード)は、プログラム露出モードを、初心者の撮影に適するノーマルモード、人物の全身または上半身撮影に適する人物モード(ポートレートモード)、遠距離の風景撮影に適する風景モード、被写体を近接状態で撮影するのに適する近接モード(マクロモード)、および動く被写体の撮影に適する動体モードの中から、撮影レンズ51の撮影距離及び焦点距離情報に基づいてカメラが自動選択するモードである。
【0008】
カメラボディ10の右端部にはグリップ部が膨出形成されていて、このグリップ部の上端面に最前部にシャッタ釦15が押し込み自在に配設されている。このシャッタ釦の直後方に隣接した位置に、指定された可変データをアップ/ダウンさせる為のアップ/ダウンレバー16が、撮影レンズ51の光軸に略平行な軸線回りに(即ち、カメラボディ10の略前後方向に沿って延出する軸線回りに)回動自在に配設されている。カメラボディ10の背面上部には、露出補正釦18が押し込み自在に配置されている。
【0009】
さらにこのカメラボディ10には、表示手段として、外部表示LCD31及びファインダ内表示LCD41を備えている。外部表示LCD31は、選択された露出モード、シャッタ速度、絞り値Av及び撮影枚数を表示する。ファインダ内表示LCD41は、選択された露出モード、シャッタ速度Tv、絞りFナンバーおよび合焦非合焦を表示する。
【0010】
外部表示LCD31の表示およびファインダ内表示LCD41の表示の態様について、図3及び図4を参照してより詳細に説明する。図3は、外部表示LCD31の一実施例を示している。この外部表示LCD31には、5個の露出モードを表示するピクチャが上部に横一列に描かれている。左から順に、ノーマルモードを示すピクチャ(スマイル顔)32a、人物モードを示すピクチャ(人物)32b、風景モードを示すピクチャ(山)32c、近接モードを示すピクチャ(花)32d、動体モードを示すピクチャ(走っている人)32eである。これらのピクチャ32a〜32eは、本実施例では液晶ではなく、印刷によって描かれている。そして、いずれのモードが選択されているかを識別する枠33a〜33eが、各ピクチャ35を囲む枠線として、液晶セグメントによって形成されている。選択されたモードに対応するピクチャ32a〜32eを囲む枠33a〜33eが点灯する。図3において、(A)はグリーンモードが選択された状態、(B)はポートレートモードが選択された状態、(C)は風景モードが選択された状態、(D)は近接モードが選択された状態、(E)は動体モードが選択された状態をそれぞれ表示している。
【0011】
ピクチャ32a〜32eの下方には、シャッタ速度Tv表示部34a、絞り値Av表示部34b、及び撮影枚数表示部34cが液晶セグメントで形成されている。
【0012】
図4は、ファインダ内表示LCD41の一実施例を示してある。このファインダ内表示LCDパネル62において表示される内容は、外部表示LCDパネル34の表示内容を実質的に簡略化したものである。ファインダ内表示LCD41は、視野の短辺の外側に見られるように配置されていて、上からシャッタ速度表示部43a、絞りFナンバー表示部43bが配置されている。この下に、順番にグリーンモードを示すピクチャ(スマイル顔)42a、人物モードを示すピクチャ(人物)42b、風景モードを示すピクチャ(山)42c、近接モードを示すピクチャ(花)42d、動体モードを示すピクチャ(走っている人)42eが配置されている。これらのピクチャ42a〜42eは液晶セグメントで形成されていて、選択されたピクチャ42a〜42eが点灯する。図4において、(A)はグリーンモードが選択された状態、(B)はポートレートモードが選択された状態、(C)は風景モードが選択された状態、(D)は近接モードが選択された状態、(E)は動体モードが選択された状態をそれぞれ表示している。なお、風景モードを示すピクチャ42cの横に設けられた六角形に表示素子は、合焦非合焦、前ピン、後ピンの別を表示する合焦表示部44である。
【0013】
本実施の形態のプログラム露出モードのプログラム線図を、図19から図24に示した。図19はノーマルモード、図20は人物モード、図21は風景モード、図22は近接モード、図23は動体モードである。fvは焦点距離のアペックス変換値、Tvfは焦点距離に応じた手ブレ限界シャッタ速度、Avfは撮影最適Av値、Avfシフトは補正値であって、それぞれ下記式によって定義される。
fv=log2 (焦点距離)
Tvf=(3/4)×fv+2
Avf=AvMIN +1+Avfシフト
Avfシフト=(5/4)×(6.5−fv)
(但し、0≦Avfシフト≦2)
TvMIN 、TvMAX は、カメラボディ10が制御できる最低速シャッタ速度Tv値、最高速シャッタ速度Tv値であって、EEPROMに書き込まれている。AvMIN 、AvMAX は、撮影レンズ51の開放絞りAv値及び最小絞りAv値に対応する値であって、レンズ側CPU53のROMに書き込まれている。TvL1は第1のTv境界値、AvL1は第1のAv境界値、AvL1は第2のAv境界値である。
【0014】
『AF一眼レフカメラの制御系』
図2を参照して、AF一眼レフカメラにおける制御系の構成を説明する。
詳細は図示しないが、撮影レンズ51のズーム光学系からカメラボディ10内に入射した被写体光束は、大部分がメインミラーによりファインダ光学系を構成するペンタミラー(図示せず。)に向かって反射され、さらに反射光の一部が測光用ICの受光素子94に入射する。一方、カメラボディ10内に入射した被写体光束のうち、メインミラーの図示しないハーフミラー部に入射した被写体光束反射されてAFセンサユニット61に入射する。AFセンサユニット61は、例えばCCDラインセンサを備えた周知の位相差式センサユニットであり、ボディ側CPU20は、AFセンサユニット61から入力した画像データに基づいてデフォーカス量を演算し、図示しないAFモータを駆動して撮影レンズ51の焦点調節レンズを、デフォーカス量が0ないし小さくなる位置まで駆動する。
【0015】
測光用ICは、被写体光束を受光する受光素子94を備えていて、この受光素子94が受光量に応じて発生する電気信号を測光回路96において対数圧縮し、A/D変換回路98においてA/D変換し、測光信号としてボディ側CPU20に出力する。ボディ側CPU20は、測光信号およびフィルム感度情報に基づいて所定の演算を実行し、露出用の適正シャッタ速度および絞り値を算出する。そして、これらのシャッタ速度および絞り値に基づいて露出装置100を駆動する。詳細は図示しないが、露出装置100は、フォーカルプレーンシャッタ装置及び撮影レンズの絞りを駆動する絞り駆動装置を備えている。更に、このボディ側CPU20は、レリーズに際して、図示しないモータドライブ回路を介して図示しないミラーモータを駆動して、メインミラーのアップ/ダウン処理を行ない、露光終了後には図示しない巻上モータを駆動してフィルムを巻上げる。また、このカメラボディ10は内蔵ストロボ回路(内蔵フラッシュ)63を備え、外付けストロボ(外部フラッシュ)65が装着されている。ボディ側CPU20は、外付けストロボ65との間でフラッシュ通信を行なってガイドナンバーなどのストロボデータを読み込み、これらのフラッシュ63、65の充電、発光、発光停止制御などを行なう。
【0016】
更に、ボディ側CPU20は、レンズマウント部に設けられた接続端子群と、撮影レンズのマウント部に設けられた図示しない接続端子群との接続を介して、レンズ側CPU53との間でデータ、コマンド等の通信を行なう。
【0017】
また、ボディ側CPU20は、カメラ全体を統括的に制御するプログラムをメモリしたROM、所定のデータをメモリするRAMを内蔵した制御部20aと、露出モード選択のための条件演算、AF(オートフォーカス)演算、AE演算等の演算処理を実行する演算部20bと、タイマカウンタ20cとを備え、制御部20aには、コントローラ104を介して外部メモリ手段としてEEPROM106が接続されている。このEEPROM106には、カメラボディ10特有の各種定数のほかに、露出モード選択のための条件演算、AF(オートフォーカス)演算、露出演算等の演算処理に必要な各種関数、定数などがメモリされている。
【0018】
更に、ボディ側CPU20には、メインスイッチレバー14のスライド位置に応じてオン/オフするメインスイッチ70およびモードスイッチ(露出モード自動選択スイッチ)71、シャッタ釦15の半押しでオンする測光スイッチ74、シャッタ釦15の全押しでオンするレリーズスイッチ76、露出補正釦17の押し込みに連動してオン/オフする露出補正スイッチ78、アップダウンレバーに連動してオン/オフするアップスイッチ80、ダウンスイッチ82、不図示のドライブスイッチに連動してオン/オフするドライブスイッチ84が接続されている。
【0019】
『撮影レンズ』
本実施の形態では、撮影レンズ51の焦点距離及び撮影距離に基づく条件および合焦状態に応じてプログラム露出モードを、ノーマル、人物、風景、近接及び動体モードの中から撮影モード自動選択(ピクチャー自動設定)処理が可能なことに特徴を有する。そこで、撮影レンズ51内には、現在設定されている焦点距離を検出する焦点距離検出機構55及び撮影距離を検出する撮影距離検出機構57を備え、検出機構55、57はレンズ側CPU53と接続されている。これらの検出機構55、57が検出した焦点距離及び撮影距離をレンズボディ間通信によってカメラボディ10に転送し、ボディ側CPU20によって所定の処理を施している。
【0020】
撮影レンズ51は、図示しないが、公知の変倍レンズ群および焦点調節レンズ群を備え、変倍レンズ群を撮影レンズ51に搭載されたズームモータまたは撮影者の手動操作によって移動させてズーミングし、焦点調節レンズ群をカメラボディ10に搭載されたAFモータによって移動させて焦点調節する構成である。焦点距離fは、変倍レンズ群の位置として、焦点距離検出機構55の焦点距離検出コード板によって検出する。
【0021】
本実施の形態では、焦点距離を、焦点調節レンズ群の位置を焦点距離コードで検出し、この焦点距離コードを、レンズROMにメモリしてあるテーブルデータによってアペックス換算の焦点距fvに変換する。焦点距離(mm)とアペックス換算の焦点距離fvとの関係を表1に示した。
【表1】
焦点距離(mm) 1 2 4 8 16 32 64 128 256 512 1024
fv 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
単焦点距離の場合は、その焦点距離fvをレンズROMにメモリしておく。
【0022】
本実施の形態では、焦点調節レンズ群の位置を、最短撮影距離を基準として、距離のアペックス換算値Dvで1ステップ単位で8ステップ分検出する構成である。表2には、撮影距離(m)とアペックス距離Dvの対応を示している。
【表2】
撮影距離(m) 1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32
Dv 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
【0023】
ピントが合う被写体までの距離、つまり撮影距離は、まず、変倍レンズ群のレンズ位置として、撮影距離検出機構57の距離コード板(図示せず)によって検出し、これを撮影距離に変換する。本実施の形態では、撮影距離を、最短撮影距離からの差として求める。つまり、最短撮影距離をDvnear、焦点調節レンズ群の検知位置を、最短撮影距離からの差分の距離データをΔDvとして、撮影距離Dvを、Dv=Dvnear+ΔDv
で求める。表3には、撮影距離コードとΔDvとの関係を示している。
【表3】
撮影距離コード 7 6 4 5 1 0 2 3
ΔDv 0 1 2 3 4 5 6 7
【0024】
最短撮影距離Dv、最短撮影距離からの差分ΔDV、焦点距離fvはレンズ側CPU53からボディ側CPU20に送られる。本実施例では、最短撮影距離Dvnear、最短撮影距離からの差分ΔDVは、8ビットの撮影距離データとしてカメラボディ10に送られる。
【0025】
カメラボディ10は、撮影レンズ51から受信した最短撮影距離Dv、最短撮影距離からの差分ΔDV、焦点距離fvデータに基づいて、アペックス換算(表示)の撮影倍率Mvを下記式によって算出する。
Mv=(Dv+20)/2−fv
以下、符号「Mv」を付した撮影倍率はアペックス換算の値とする。
撮影倍率Mvと撮影倍率との関係を下記表4に示す。
【表4】
1/撮影倍率(倍) 1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32
Mv 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
【0026】
本実施の形態では、以上の撮影距離、撮影倍率をモード選択の条件として使用する。
【0027】
『カメラの制御』
次に、本実施の形態のカメラの動作について、図5〜図18に示したフローチャートを参照して説明する。この制御は、ボディ側CPU20の内部ROMにメモリされたプログラムによって、ボディ側CPU20によって実行される。
【0028】
図5は、メインルーチンであるSTART処理である。この処理には、バッテリが搭載されたときに入る。ボディ側CPU20には常時バッテリの電力が供給されている。START処理に入ると、まず割込み処理を禁止して、RAM、レジスタ、フラグなどをイニシャライズし、PH(パワーホールド)ON、つまり、バッテリの電力を周辺回路に供給する(S101、S103、S105)。そして、EEPROM106に保存されているデータをボディ側CPU20のRAMに書き込む(S107)。以上の処理が終了すると、メインスイッチ70がオフ状態のときに繰り返し実行する、POFFループへと処理は進む。
【0029】
『POFFループ』
POFFループ処理は、スイッチの状態をチェックして、オンしたスイッチ状態に応じた処理に進む待機処理である。
POFFループ処理にはいると、まず、SW操作表示処理を2回コールする(S109、S111)。SW操作表示処理においては、メインスイッチ70、露出モード自動設定スイッチ71、レリーズスイッチ76、測光スイッチ74、アップスイッチ80、ダウンスイッチ82のオン・オフの状態に応じた処理を実行する。これに基づいて外部表示LCDパネル36および内部表示LCDパネル62の表示の制御を行う。SW操作表示処理を2回実行するのは、後述のPONループのコール回数と一致させるためである。
【0030】
メインスイッチ70がオンし、かつモードスイッチ(露出モード自動設定スイッチ)72、レリーズスイッチ76、測光スイッチ74、アップスイッチ80、ダウンスイッチ82のいずれかがオンすると、図11のRESTART処理を実行する(S113、S115、S117、S119、S121)。
【0031】
メインスイッチ70がオフ状態の間は、S115〜S121をスキップし、内蔵フラッシュ充電処理をコールし、128ms タイマーをスタートし、PHOFF処理(周辺回路への電源供給を遮断)して128ms タイマーがタイムアップするのを待つ(S125、S127、S129)。そして、タイムアップしたら、S109に戻って、S109からS129の処理を繰り返す。
【0032】
『SW操作表示』
S109、S111で実行されるSW操作表示処理について、図6に示したフローチャートを参照してより詳細に説明する。このSW操作表示処理は、このカメラの状態をチェックしてその状態に応じた表示を行う処理である。
SW操作表示処理に入ると、フィルムのローディングエラーかどうかをチェックし、ローディングエラーであればローディングエラー表示処理を実行してリターンする(S201、S231)。フィルムローディングエラーでなければ、リワインドエンドであるか(フィルム巻き戻し終了かどうか)をチェックし、リワインドエンドであればリワインドエンド表示処理を実行してリターンする(S203、S233)。
【0033】
ローディングエラーでもリワインドエンドでもないときには、以下の処理を実行する。
メインスイッチ70がオフのときは、動体ピクトフラグに0を入れ、外部表示LCD31及びファインダ内表示LCD41の表示をオフしてからリターンする(S205、S207、S209)。動体ピクトフラグは、被写体が動体であるかどうかを識別するフラグであって、動体であると判断したときに1をセットする。
【0034】
メインスイッチ70がオンしていたときは、UP/DOWN 処理を実行、つまり、アップスイッチ80またはダウンスイッチ82がオンしていたときにはそれに応じた処理を実行する(S205、S211)。次にモードスイッチ72がオンしているかどうか、つまり、ピクチャー自動設定モード(露出モード自動選択モード)かノーマルモードどうかをチェックし(S213)、オフのときはノーマルモードであるから、PICTMODEにMANUPICTを入れ、動体ピクトフラグに0を入れる(S215、S217)。そして、ピクチャーモードを表示し、シャッタ速度Tv、絞り値Av、その他撮影枚数などを表示してリターンする(S221)。モードスイッチ72がオンしているとき、つまり、ピクチャー自動設定モードのときは、ピクチャー自動設定処理を実行してから表示処理を実行してリターンする(S213、S219、S221)。
【0035】
PICTMODEは、ピクトモード(プログラム露出モード)を識別する識別子である。PICTMODEは、本実施の形態では、0がノーマルモード、1が人物モード、2が風景モード、3が近接モードおよび4が動体モードを識別する。本実施の形態では、モードスイッチ72がNORMAL位置のときは、ノーマルモードを初期モードとして選択する。なお、その後、マニュアル操作によって他のモードを選択可能な構成にしてもよい。
【0036】
『ピクチャー自動設定』
次に、本発明の特徴であるピクチャー自動設定処理について、図7を参照して説明する。このピクチャー自動設定処理は、撮影距離、撮影倍率、動体か否かの条件に基づいて、最も適したプログラム露出モードを選択することに特徴を有する。このピクチャー自動設定処理は、撮影モード自動選択手段として機能するボディ側CPU20により実行される。
【0037】
ピクチャー自動設定処理に入ると、まずPICTMODEに0を入れる(S301)。次に、撮影レンズ51の焦点距離fvおよび撮影距離Dvに基づいて式、
Mv=(Dv+20)/2−fv
によって撮影倍率Mvを算出する(S303)。そして、撮影レンズ51から入力した撮影距離コードが無限遠か(3)、最短撮影距離(7)をチェックし、無限遠であればPICTMODEに2を入れ(風景モードを選択し)てリターンし(S305、S315)、最短撮影距離(7)であればPICTMODEに3を入れ(近接モードを選択し)てリターンする(S305、S307、S317)。
【0038】
撮影距離コードが3でも7でもないとき、つまり、無限遠撮影距離でも、最短撮影距離でもないときには、次の処理を実行する。撮影倍率Mvが6よりも大きいとき(撮影倍率が設定値1/8より小さいとき)は、距離コードが2であるかどうかをチェックする。距離コードが2のときには被写体がかなり遠距離に位置するので、この場合は風景を撮影している確率が非常に高いので、PICTMODEに2を入れて(風景モードを選択して)リターンする(S309、S319、S321)。距離コードが2ではなかったときには、S311に進んで動体ピクトフラグをチェックする(S309、S319)。撮影倍率が6以下のときは、そのまま動体ピクトフラグチェックを行う(S309、S313)。
【0039】
動体ピクトフラグが0のときは、撮影倍率Mvが4以上6以下であるかどうかをチェックする(S311、S313)。撮影倍率Mvが4以上6以下は、人物撮影に適した撮影倍率である。そこで、撮影倍率が4以上6以下のときは、PICTMODEに1を入れて(人物モードを選択して)リターンする。撮影倍率がこの範囲に入らないときは、そのままPICTMODE0(ノーマルモード)でリターンする(S313)。人物モードを選択するときの撮影倍率Mvの範囲はこれに限定されず、3あるいは3.5以上、6.5あるいは7以下でもよい。
【0040】
以上の処理によってPICTMODEを選択すると、LCD31、41に、選択したPICTMODEに応じた表示を行う(図3及び図4参照)。PICTMODEが0のときはノーマルモードなので図3(A)及び図4(A)の表示をおこない、PICTMODEが1のときは人物モードなので図3(B)及び図4(B)の表示をおこない、PICTMODEが2のときは風景モードなので図3(C)及び図4(C)の表示をおこない、PICTMODEが3のときは近接モードなので図3(D)及び図4(D)の表示をおこない、PICTMODEが4のときは動体モードなので図3(E)及び図4(E)の表示をおこなう。撮影者は、この表示によって、どのプログラムモードが選択されているのかを容易に知ることができる。
【0041】
『UP/DOWN 処理』
S211のUP/DOWN 処理の詳細について、図8を参照して説明する。このUP/DOWN 処理は、アップスイッチ80がオンしたときは、露出補正量など、選択可能なデータのアップ処理を行い、ダウンスイッチ82がオンしたときは選択可能なデータのダウン処理を行う。本実施の形態では、アップスイッチ80またはダウンスイッチ82が1回オンする毎にデータを1段階アップまたはダウンする。
【0042】
この処理に入ると、まずアップスイッチ80の状態をチェックして、オフしていればアップフラグ(UPフラグ)に0を入れてS409に進み、オンしていれば、アップフラグをチェックして、0がセットされていれば、データアップ処理を実行した後、アップフラグに1をセットしてからS409に進み(S408)、1がセットされていればすでにデータアップ処理を実行しているのでS407をジャンプしてS409に進む。
【0043】
S409ではダウンスイッチ82の状態をチェックし、オフしていればダウンフラグ(DOWNフラグ)に0を入れてリターンし(S411)、オンしていれば、ダウンフラグをチェックして、0がセットされていれば、データダウン処理を実行した後、ダウンフラグに1をセットしてからリターンし(S413、S415、S416)、1がセットされていればすでにデータダウン処理を実行しているのでそのままリターンする。
【0044】
『データアップ処理及びデータダウン処理』
S407、S415のデータアップ処理及びデータダウン処理について、図9及び図10を参照して説明する。本実施の形態では、露出補正量と、ピクトモードをアップダウン処理できる。露出補正量の補正は、露出補正釦18が押し込まれた状態(露出補正スイッチ78がオン)でアップ/ダウンレバー16が操作されたときに実行し、ピクトモードの変更はメインスイッチレバー14がAUTO位置にあるとき(モードスイッチ72がオンのとき)にアップ/ダウンレバー16が操作されたときに実行する。
【0045】
データアップ処理では、まず、露出補正スイッチ78がオンしているかどうかをチェックし(S451)、オンしていなければモードスイッチ72がオンしているかどうかをチェックし(S453)、オンしていればオートピクチャモードなのでそのままリターンする。露出補正スイッチ78がオンしているときは、露出補正量を0.5Ev単位でインクリメントし、リミット処理を施してリターンする(S459、S461)。露出補正値のリミット処理とは、露出補正値が限界値、例えば+2.0Evに達したら、それ以上の値は設定しない処理である。
【0046】
モードスイッチ72がオフしているときは、MANUPICTの値を1インクリメントし、リミット処理を実行してリターンする(S453、S455、S457)。つまり、ピクトモードを、0のノーマルから4の動体モードまで1段階づつ変更する。ピクトモードのリミット処理とは、MANUPICTの値が4になったら、これ以上の値は入れない処理である。
【0047】
同様にデータダウン処理では、まず、露出補正スイッチ78がオンしているかどうかをチェックし(S471)、オンしていなければモードスイッチ72がオンしているかどうかをチェックし(S473)、オンしていればオートピクチャモードなのでそのままリターンする。露出補正スイッチ78がオンしているときは、露出補正量を0.5Ev単位でデクリメントし、リミット処理を施してリターンする(S459、S461)。露出補正値のリミット処理とは、露出補正値が限界値、例えば−2.0Evに達したら、それ以下の値は設定しない処理である。
【0048】
モードスイッチ72がオフしているときは、MANUPICTの値を1インクリメントし、リミット処理を実行してリターンする(S453、S455、S457)。つまり、ピクトモードを、4の動体モードから0のノーマルモードまで1段階づつ変更する。ピクトモードのリミット処理とは、MANUPICTの値が0になったら、これ以下の値は入れない処理である。
【0049】
『RESTART処理』
次に、START処理において、レリーズスイッチ76、測光スイッチ75、アップスイッチ80、ダウンスイッチ82のいずれかがオンしたときに進むRESTART処理について、図11に示したフローチャートを参照して説明する。
【0050】
RESTART処理に入ると、まず、パワーホールドONして(S501)カメラのハードウエア全体に電源を供給し、再度EEPROMのデータを読み込みRAMに書き込む(S503)。S505では、以降に実行されるPONループの繰り返し回数(80)をカウンタPONタイマにセットして、PONループ処理に進む。
【0051】
『PONループ』
PONループ処理では、カメラボディ10と撮影レンズ51、外付けフラッシュ65との通信、測光処理、測光結果に基づいて、Tv/Av値を算出するAE演算などを実行し、レリーズ処理の制御も行なう。
【0052】
まず、PONループの繰り返しの周期を定めるために、128msタイマをスタートさせ(S511)、外部表示LCDパネル36およびファインダ内表示LCDパネル62の表示をSW操作表示処理により制御する(S513)。メインスイッチがオンしていれば(S515:メインSW=ON)、外付けフラッシュ65からカメラボディ10へのデータ通信およびカメラボディ10と撮影レンズ51間の通信を行なう(S517、S519)。次に、測光処理を行ない(S521)、測光データに基づいてAE演算を行なう(S523)。AE演算の結果に基づいて、所定のフラッシュデータをカメラボディ10からフラッシュ65に送信(S525)した後、演算結果を含めた表示処理を、SW操作表示処理により行う(S527)。さらに、ストロボ発光のときは内蔵フラッシュ回路63の充電処理を行い、AF処理を行なう(S529、S531)。
【0053】
シャッタ釦15が全押しされてレリーズスイッチ76がオンした場合は(S533:レリーズSW=ON)、合焦フラグに1がセットされていること(合焦していること)を条件にレリーズ処理を実行する(S547:合焦フラグ=1)。レリーズスイッチ76がOFF状態の場合(S533:レリーズSW=OFF)、あるいはレリーズスイッチ76がONしていても合焦してないときには(S533:レリーズSW=ON、S547:合焦フラグ=0)、128msタイマがタイムアップするまでは、レリーズスイッチ76の状態をモニタしつつ、繰り返しAF処理を実行する(S531、S533:OFF、S535:NOまたはS531、S533:ON、S547:0、S535:NO、S531)。
【0054】
128ms経過後、測光スイッチ74、アップスイッチ80、ダウンスイッチ82が全てOFF状態のときはPONタイマを1デクリメントし、PONループ処理を繰り返す(S511〜S545:PONタイマ≠0)。PONループ処理をS505でセットした回数だけ繰り返すと、POFFループへ戻る(S511〜S545:PONタイマ=0)。
このPONループ処理中にレリーズスイッチ76がONして合焦したときには、レリーズ処理に抜ける(S533:レリーズSW=ON、S547:合焦フラグ=1)。
【0055】
『AE演算』
AE演算処理について、図12を参照して説明する。AE処理に入ると、先ず、ボディ側CPU20のRAMをイニシャライズし、測光等に関する各種フラグをイニシャライズした後、レンズ補正演算処理を実行する(S601、S603、S605)。このレンズ補正演算処理では、図11示した「RESTART」処理中のレンズ通信(S519)において、レンズ側CPU53から入力した撮影レンズの種類に応じた各種レンズデータに基づいて、レンズ補正演算処理を実行する。
【0056】
次に、A/D変換回路98から出力される分割測光用の各センサ(受光素子94)からの被写体輝度データをそれぞれ、演算に適した演算用被写体輝度Bvに変換し、さらに、この演算用被写体輝度Bvと、S605において演算したレンズ補正値により、各センサ毎の光量値Lv′を求め、この各センサ毎の光量値Lv′から、分割測光アルゴリズムに基づいてその被写体に適した1個の光量値Lv′を算出する(S607〜S611)。
【0057】
そして、予め演算に適するように変換した演算用フィルム感度Svおよび演算用露出補正値Xvに基づいて光量値Lvを求めてから(S613)、内蔵フラッシュ及び外付けフラッシュの充電完了状態を入力する(S615)。そして、充電完了状態でなければ、プログラム演算処理を実行し(S617:NO、S619)、充電完了状態であればフラッシュプログラム演算を実行する(S617:YES、S621)。
【0058】
プログラム演算が終了すると、EEパルス数を演算し、外部フラッシュデータを設定し、TTLデータを設定してリターンする(S623、S625、S627)。EEパルス数は、撮影レンズの絞りを絞り込む絞り込み機構が絞り込み時に出力するパルスであって、制御用の絞り値Avに対応させて絞りを止めるために用いる。外部フラッシュデータには、発光光量に関するデータや、先幕シンクロ、後幕シンクロのデータが含まれる。TTLデータには、フラッシュの発光を停止させるTTLダイレクト測光素子の積分値データが含まれる。
【0059】
『プログラム演算』
次に、S619で実行されるプログラム演算処理について、図13に示したフローチャートを参照して説明する。
この処理に入ると、まず、fv演算処理(fv=log2 (焦点距離f)/log2 )を実行して焦点距離fのアペックス換算値fvを求める。さらに、焦点距離に基づいた手ブレ限界シャッタ速度Tvf及び絞り値Avf を求める(S701)。手ブレ限界シャッタ速度Tvfは例えば式Tvf=(3/4)×fv+2によって求める。
【0060】
現在設定されているピクチャーモード(ナンバー)に対応する値をXに入れ、Xに対応する演算処理を実行する(S703、S705)。
本実施例では、シャッタ速度Tvは、式
Tv=a×Lv+b
によって求める。ここで、a、bは係数、Lvは、演算に適するように変換した演算用フィルム感度Svおよび演算用露出補正値Xvに基づいた光量値である。
【0061】
X=0のときはノーマルモードであるから、係数aに3/8を入れ、係数bにノーマル値を入れる(S707)。そして、下限リミットシャッタ速度TvL1に手ブレ限界シャッタ速度Tvfを代入し、第1のAv境界AvL1及び第2のAv境界AvL2には最大絞り値AvMIN をそれぞれ代入する。
【0062】
X=1のときは人物モードであるから、係数aに2/8を代入し、係数bに5+6/8を代入する。さらに第1のTv境界TvL1 に手振れ限界Tvfを代入し、第1のAv境界AvL1 に撮影最適絞り値Avfを入れ、第2の絞り境界値AvL2 に最小絞り値AvMIN を代入してS727に進む(S711、S713)。
【0063】
X=2のときは風景モードであるから、係数aに2/8を代入し、前記係数bに風景係数bを代入する(S715)。この風景係数bは式、
(6/8)×Tvf−(2/8)×(AvMIN +1)
により求める。さらに、第1のTv境界TvL1 に最小シャッタ速度TvMIN を代入し、第1のAv境界AvL1 に最小絞り値AvMIN +1を代入し、第2のAv境界AvL2 に最小絞り値AvMIN を代入してS727に進む(S717)。
【0064】
X=3のときは近接モードであるから、係数aに2/8を代入し、係数bに5+6/8を代入する(S719)。さらに、第1のTv境界TvL1 に手振れ限界Tvfを代入し、第1のAv境界AvL1 にAv6(F=8)を代入し、第2のAv境界AvL2 に最小絞り値AvMIN +1を代入してS727に進む(S721)。
【0065】
X=4のときは動体モードであるから、係数aに2/8を代入し、係数bに5+6/8を代入する(S723)。さらに第1のTv境界TvL1 に手振れ限界Tvf+1を代入し、第1のAv境界AvL1 に最小絞り値AvMIN +1を代入し、第2のAv境界AvL2 に最小絞り値AvMIN を代入してS727に進む(S725)。
【0066】
S727では、演算用のシャッタ速度Tvを式、
Tv=a×Lv+b
によって求める。
【0067】
そして、リミット処理を実行する。つまり、演算Tvを、カメラ固有の最小シャッタ速度TvMIN および最大シャッタ速度TvMAX とそれぞれ比較する(S729、S733)。そして演算Tvが、最小シャッタ速度TvMIN より小さければ、この最小シャッタ速度TvMIN を演算Tvに代入し、実際にはそれより遅いシャッタ速度を設定しなければならないのに最小シャッタ速度TvMIN を設定したことを識別するために、Tvアンダーフラグに“1”をセットして、S737に進む(S729:YES、S731)。また演算Tvが、最大シャッタ速度TvMAX より大きければ、この最大シャッタ速度TvMAX を演算Tvに代入し、実際にはそれより速いシャッタ速度を設定しなければならないのに最大シャッタ速度TvMAX を設定したことを識別するために、Tvオーバーフラグに“1”をセットして、S737に進む(S729:NO、S733:YES、S735)。
【0068】
演算Tvが、最小シャッタ速度TvMIN 以上で、最大シャッタ速度TvMAX 以下である場合はそのままS737に進む(S729:NO、S733:NO)。S737では、CAL_Av(Av演算)処理を実行して、演算Tvに基づきこの演算Tvに対応する適切な演算Avを求め、S739に進む。
【0069】
S739では、CAL_Av処理で設定した演算Avが、選択されたモードにより演算された第1のAv境界AvL1 を越える値であるか否かをチェックする。この結果、演算Avが、第1のAv境界AvL1 を越えている場合は、S763にジャンプして、演算Tvを制御用Tvに変換し、演算Avを制御用Avに変換する。
【0070】
また演算Avが、第1のAv境界AvL1 以下である場合は、S745に進んで第1のAv境界AvL1 を演算Avに代入する。これによりAv値が決まるから、CAL_Tv処理を実行して、この演算Av値に応じたTv値を求めてS745に進む(S739:NO、S741)。
【0071】
S745ではさらに、S743で求めた演算Tvを第1のTv境界TvL1 と比較する。この結果、演算Tvが第1のTv境界TvL1 を越えていればS763にジャンプし、演算Tvが、第1のTv境界TvL1 以下である場合は、S747に進んで第1のTv境界TvL1 の値を演算Tvに代入する。これによりTv値が決まるから、S749においてCAL_Av処理を実行し、この演算Tvに応じた演算Avを演算する。
【0072】
さらに、この演算Av値が第2のAv境界AvL2 より大きいか否かをチェックし(S751)、演算Avが第2のAv境界AvL2 を越えていればS763にジャンプし、越えていなければS753に進んで、第2のAv境界AvL2 の値を演算Avに代入する。これにより演算Avが決まるから、CAL_Tv処理を実行して演算Avに応じた演算Tvを求める(S755)。さらに、この演算Tvを最小シャッタ速度TvMIN と比較して、演算Tvが最小シャッタ速度TvMIN より大きければS763にジャンプし(S757:YES)、そうでなければこの最小シャッタ速度TvMIN を演算Tvに代入する(S757:NO、S759)。これによりTv値が決まるから、CAL_Avサブルーチンを実行し(S761)、この演算Tvに応じた演算Avを求めてS763に進む。
【0073】
S763では、演算Tvを実際に制御に使う制御Tvとして設定し、また演算Avを実際に制御に使う制御Avとして設定してリターンする。
なお、フラッシュプログラムは、図示しないが、撮影距離、焦点距離を考慮し、各ピクトモードにおいて、フラッシュを発光させての露光に適したプログラムラインを得るアルゴリズムとする。
【0074】
『CAL_Tv』
次に、CAL_Tv(Tv演算)処理を、図15のフローチャートを参照して説明する。CAL_Tv処理は、適正なTv値の設定およびTv値を制御可能な範囲に規制する処理である。
CAL_Tv(Tv演算)処理に入ると先ず、TvアンダーフラグおよびTvオーバーフラグに0を入れて、演算Tvを式、
光量値Lv−演算Av
によって求める(S801)。
【0075】
この演算Tvを、カメラ固有の最小シャッタ速度TvMIN と最大シャッタ速度TvMAX と比較する(S803、S807)。このチェックで、演算Tvが、最小シャッタ速度TvMIN より小さければ(S803:YES)、この最小シャッタ速度TvMIN を演算Tvに代入し、実際にはそれより遅いシャッタ速度を設定しなければならないのに最小シャッタ速度TvMIN を設定したことを識別するためにTvアンダーフラグに“1”をセットして(S805)リターンする。また演算Tvが、最大シャッタ速度TvMAX より大きければ(S803:NO、S807:YES)、この最大シャッタ速度TvMAX を演算Tvに代入して、実際にはそれよりシャッタ速度を速く設定しなければならないのに最大シャッタ速度TvMAX を設定したとして、Tvオーバーフラグに“1”をセットして(S809)、リターンする。
【0076】
演算Tvが、最小シャッタ速度TvMIN 以上かつ最大シャッタ速度TvMAX 以下である場合は、そのままリターンする(S803:NO、S807:NO)。従って、このCAL_Tvサブルーチンによって、プログラム演算で設定されるシャッタ速度を、制御可能な範囲に制限する。
【0077】
『CAL_Av』
続いて、CAL_Av(Av演算)処理を、図16のフローチャートに基づいて説明する。CAL_Av(Av演算)処理は、適正なAv値の設定およびAv値を制御可能な範囲に規制する処理である。
CAL_Av(Av演算)処理に入ると、先ず、AvアンダーフラグおよびAvオーバーフラグをクリアして、演算Avを式、
光量値Lv−演算Tv
によって求める(S851)。
【0078】
この演算Avを、最小絞り値AvMIN と最大絞り値AvMAX と比較する(S853、S857)。この結果、演算Avが最小絞り値AvMIN より小さければ(S853:YES)、この最小絞り値AvMIN を演算Avに代入し、実際にはもっと絞り込まなければならないのに最小絞り値AvMIN を設定したことを識別するために、Avアンダーフラグに1をセットして(S855)リターンする。また演算Avが最大絞り値AvMAX より大きければ(S853:NO、S857:YES)、この最大絞り値AvMAX を演算Avに代入し、実際にはそれより絞りを開けなければならないのに最大絞り値AvMAX を設定したことを識別するために、Avオーバーフラグに1をセットして(S859)リターンする。
【0079】
また、前記演算Avが、最小絞り値AvMIN 以上、最大絞り値AvMAX 以下である場合は(S853:NO、S857:NO)、そのままリターンする。従って、このCAL_Avサブルーチンによって、AE演算プログラムシフトで使用される絞り値を、制御可能な範囲に制限する。
【0080】
AF処理について、図17に示したフローチャートを参照して説明する。
『測光スイッチ74がオフの場合』
このフローチャートに入ると、まず、測光スイッチ74がオンしているかどうかをチェックして、測光スイッチ74がオンしていなければ、合焦フラグに0を入れ、AF作動中フラグに0を入れ、動体判断用カウンタ初期設定処理を実行してからリターンする(S901:測光スイッチOFF、S903、S905、S907)。合焦フラグは、合焦状態にあるかどうかを識別するフラグで、合焦状態にあるときに1をセットする。AF作動中フラグはAF動作を実行している途中かどうかを識別するフラグで、AF動作を開始したら1をセットする。動体判断用カウンタは、被写体を動体と判定するためのカウンタであって、所定回数、例えば3回、AFレンズ駆動を行っても合焦できなかったときに動体と判定する。
【0081】
『測光スイッチ74がオン、かつ連続レリーズではない場合』
次に、測光スイッチ74がオンし、連続レリーズではない場合、つまり、レリーズスイッチ76がオンされると1枚のみ露光するモードの場合について説明する。なお、連続レリーズとは、レリーズスイッチ76がオンしている間、連続撮影するモードであり、不図示のドライブスイッチがオンのときに連続撮影モードに入る。
【0082】
測光スイッチ74がオンしたときは、AF作動中フラグをチェックするが、最初はAF作動中フラグはクリアされているので、動体ピクトフラグに0をいれ、AF動作中フラグに1をセットする(S901:測光スイッチON、S911:AF作動中フラグ=0、S913、S915)。そして、連続レリーズフラグをチェックして、0であれば連続レリーズではないので合焦チェックを行い(S917:連続レリーズフラグ=0、S919)、1であれば連続レリーズなので合焦チェックをスキップする(S917:連続レリーズフラグ=1、S921)。
【0083】
合焦フラグチェックにおいて、1回目は合焦フラグは0なので、AFセンサユニットにCCD積分を行わせ、積分データを入力し、デフォーカス演算を実行する(S921、S923、S925)。そして、合焦フラグチェックを行うが、1回目はクリアされているので連続レリーズフラグチェックを行う(S927:合焦フラグ=0、S929)。連続レリーズフラグが0のときは、デフォーカス(デフォーカス量の絶対値)が合焦幅よりも小さいかどうか(合焦とみなせる範囲かどうか)をチェックし、大きいときには合焦フラグに0を入れる(S935:NO、S937)。そして、焦点調節レンズの駆動方向が前回と同じかどうかをチェックし、同じであれば動体用カウンタを1減算し、動体用カウンタが0でなければS925で求めたデフォーカス量に基づいてAFモータを駆動し、リターンする(S939:YES、S941、S943:NO、S947)。
【0084】
2回目以降のAF処理では、S901、S917、S919のチェック処理を経てS921〜S925のAF演算処理を実行し、S927、S929のチェック処理を経てS935のデフォーカスチェック処理に至る。そして、このデフォーカスチェック処理において、デフォーカスが所定値よりも小さくなったときは、合焦フラグチェックを行い、最初は合焦フラグが0なので、合焦フラグに1をセットし、所定時間待ってからCCD積分処理に戻る(S935:YES、S951、S953、S921)。CCD積分処理、積分データ入力処理及びデフォーカス演算処理を実行し、合焦フラグチェック処理を経てデフォーカスが所定値よりも大きいかどうかをチェックし(S921、S923、S925、S927:合焦フラグ=1、S931:YES)、大きければ動体ピクトフラグに“1”をセットする(S933)。ここでのデフォーカスチェックは、一旦合焦した後、所定時間後、一定時間内にデフォーカス(焦点位置)に変化があったときは、被写体が動いているとみなして、動体モードを選択するためのチェックである。
【0085】
デフォーカスが合焦幅に収まっているときは、合焦チェックを行うが、合焦フラグには1がセットされているのでリターンする(S935:YES、S949:合焦フラグ=1)。次にこのAF処理に入ったときは、S901、S911、S917を経て、S919からリターンする。
【0086】
『動体モードを選択する場合』
動体モードを選択する場合について説明する。測光スイッチ74がオンして1回目の処理では、S901、S911からS919の処理を経て、CCD積分、積分データ入力、デフォーカス演算処理(S921〜S925)を行い、デフォーカスが合焦幅以内に収まっていなかったときには(S935:NO)、合焦フラグに0を入れ、前回はレンズ駆動していなかったのでS947に飛んでレンズ駆動処理を行ってリターンする(S937、S939:NO、S947)。2回目以降のAF処理では、S901、S911、S917からS935を経てS937に進み合焦フラグに0を入れる。レンズ駆動方向が前回と同一であれば(S939:YES)、動体用カウンタを1減算し、動体用カウンタが0でなければレンズ駆動処理後リターンする(S943:NO、S947)。以上、2回目以降の処理を繰り返し、動体用カウンタが0になったら、動体ピクトフラグに1をセットする(S943:YES、S945)。これによって、動体モードが選択されることとなる。なお、2回目以降の処理において、レンズ駆動方向が前回と変わったときは、動体判断用カウンタに初期値を入れる(S939:NO、S940)。
【0087】
『測光スイッチ74がオン、かつ連続レリーズの場合』
連続レリーズフラグは、ドライブスイッチ84オンかつ1回目のレリーズが終了するときに1がセットされる。連続レリーズフラグに1がセットされると、S919の合焦フラグチェック処理をスキップし、必ずS931のデフォーカスチェック処理を通ることに特徴を有する。つまり、連続撮影では、被写体が移動しているか、あるい構図が刻々と変化しているのが一般的なので、S919の合焦フラグチェック処理(S919)をスキップしてデフォーカスを求める処理(S921からS925)を継続し、未合焦でも必ず、デフォーカスが所定値よりも大きいかどうかのチェック処理を実行して、変化が大きい場合は動体ピクトフラグに1をセットし、動体モードを選択する(S931:YES、S933)。
【0088】
『レリーズ処理』
図18は、レリーズ処理に関するフローチャートである。レリーズ処理では、測光処理(S1001)、フラッシュからカメラボディへのデータ通信(S1003)、AE演算(S1005)、AE演算結果に基づくカメラボディからフラッシュへのデータ通信(S1007)、SW操作表示処理(S1009)が行なわれた後に、ミラーアップ、絞り制御(S1011)、露光処理(S1013)、フィルム巻き上げ、ミラーダウン(S1015)の一連の露出動作を実行する。そして、連続ドライブかどうかをチェックし(S1017)、連続ドライブのときには、レリーズスイッチ76がオンしていることを条件に、連続レリーズフラグに1をセットしてPONループ処理に戻り(S1019、S1021)、レリーズスイッチ76がオンしていないとき、あるいは連続ドライブでなければ連続レリーズフラグに0を入れてPONループ処理に戻る(S1019、S1023)。
【0089】
以上の通り本発明の実施の形態では、ノーマル、人物、風景、近接、動体モード(プログラム露出モード)の中から、焦点距離、撮影距離及び被写体の移動状況に応じて最も適したプログラム露出モードをカメラが自動選択するので、撮影者は撮影条件を考えて適切なプログラム露出モードを選択する、という操作をしなくても済む。
また、本実施の形態では、自動選択した露出モードに対応するピクチャ(アイコン)を表示するので、撮影者は、自動選択された露出モードを簡単確実に認識できる。
本実施の形態では5個のプログラム露出モードの中から選択可能としたが、本発明はこれらのプログラム露出モードに限定されず、プログラムラインも図示したものに限定されない。
【0090】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り本発明のカメラによれば、焦点距離、撮影距離に基づいて適切なプログラム露出モードが自動選択されるので、露出モード選択のわずらわしさがなく、かつ撮影条件に適したシャッタ速度および絞り値での撮影が簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るカメラが適用される一眼レフレックスカメラのカメラボディの一実施例の構成を背面から見て示す斜視図である。
【図2】本発明を適用した一眼レフレックスカメラの一実施の形態の制御系の主要部をブロックで示す図である。
【図3】同一眼レフカメラの外部表示手段の表示態様を示す図である。
【図4】同一眼レフカメラのファインダ内表示手段の表示態様を示す図である。
【図5】同一眼レフカメラの動作におけるメインルーチン(START)をフローチャートで示す図である。
【図6】同一眼レフカメラの動作における操作表示処理に関するフローチャートを示す図である。
【図7】同一眼レフカメラの動作におけるピクチャー自動設定処理に関するフローチャートを示す図である。
【図8】同一眼レフカメラの動作におけるUP/DOWN 処理に関するフローチャートを示す図である。
【図9】同一眼レフカメラの動作におけるデータUP(アップ)処理に関するフローチャートを示す図である。
【図10】同一眼レフカメラの動作におけるデータDOWN(ダウン)処理に関するフローチャートを示す図である。
【図11】同一眼レフカメラの動作におけるRESTART(リスタート)処理に関するフローチャートを示す図である。
【図12】同一眼レフカメラの動作におけるAE演算処理に関するフローチャートを示す図である。
【図13】同一眼レフカメラの動作におけるプログラム演算処理に関するフローチャートを示す図である。
【図14】同一眼レフカメラの動作におけるプログラム演算処理に関するフローチャートを示す図である。
【図15】同一眼レフカメラの動作におけるCAL_TV(シャッタ速度設定)処理に関するフローチャートを示す図である。
【図16】同一眼レフカメラの動作におけるCAL_AV(絞り値設定)処理に関するフローチャートを示す図である。
【図17】同一眼レフカメラの動作におけるAF(自動焦点調整)処理に関するフローチャートを示す図である。
【図18】同一眼レフカメラの動作におけるレリーズ処理に関するフローチャートを示す図である。
【図19】ノーマルモードのプログラムラインの一実施例を示す図である。
【図20】人物モードのプルグラムラインの一実施例を示す図である。
【図21】風景モードのプログラムラインの一実施例を示す図である。
【図22】近接モードのプログラムラインの一実施例を示す図である。
【図23】動体モードのプログラムラインの一実施例を示す図である。
【符号の説明】
10 カメラボディ
15 シャッタ釦
16 アップ/ダウンレバー
20 ボディ側CPU
31 外部表示LCD
41 ファインダ内表示LCD
51 撮影レンズ(パワーズームレンズ)
53 レンズ側CPU
55 焦点距離検出機構(焦点調節レンズ群位置検出手段)
57 撮影距離検出機構(変倍レンズ群位置検出手段)
61 AFセンサユニット
70 メインスイッチ
72 モードスイッチ
94 受光素子
96 測光回路
98 A/D変換回路
100 露光制御装置
102 焦点距離検出機構
104 コントローラ
106 EEPROM
【0001】
【技術分野】
本発明は、複数の撮影モードを備えたカメラに関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
近年のカメラ、特に一眼レフカメラは、複数のプログラム露出モードを備えている。撮影者は自身の好みによって、あるいは被写体の条件に応じて、適切なシャッタ速度、絞り値が設定されるような露出モードを、複数の露出モードの中から選択しなければならなかった。選択操作は、押しボタンスイッチ、あるいはダイヤルスイッチによるものがある。
いずれにしても、従来は撮影者自身が操作しなければならないので操作がわずらわしく、せっかく選択しても、被写体の状態が変わるなどして選択し直す必要が生じる。再び選択するのは非常にわずらわしく、速写性も欠ける。
【0003】
【発明の目的】
本発明は、従来のカメラの問題に鑑みてなされたもので、撮影条件に応じて最適な撮影モードを自動選択できるカメラを得ることを目的とする。
【0004】
【発明の概要】
この目的を達成する本発明は、所定の撮影条件毎に対応した露出時間と絞りの組み合わせを異なるアルゴリズムで設定する複数のプログラム露出モードとして、遠距離の風景撮影に適した風景モード、近接撮影に適した近接モード、人物撮影に適した人物モード、およびノーマルモードを備え、撮影レンズの焦点距離データ及び撮影距離データに基づいて、前記複数のプログラム露出モードの中から適切なプログラム露出モードを自動選択する撮影モード自動選択手段を備え、この撮影モード自動選択手段は、撮影距離データに基づいて、撮影距離が所定範囲より遠い場合は風景モードを、近い場合は近接モードを選択し、撮影距離データが所定範囲内の場合は焦点距離データおよび撮影距離データにより演算した撮影倍率が所定範囲内のときは人物モードを選択し、撮影倍率が所定範囲外のときはノーマルモードを選択することに特徴を有する。
本発明は、撮影レンズの焦点状態を検出する焦点検出手段およびその検出結果に基づいて焦点調節レンズ群を駆動するレンズ駆動手段を備え、前記焦点検出手段およびレンズ駆動手段の駆動を所定回数繰り返しても合焦しないとき、または合焦後所定の時間内に焦点位置が変化したときには、動体モードを選択する構成とする。
また、本発明は、選択されたモードを識別表示する表示手段を備える。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係るカメラの実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の撮影モード自動選択装置を搭載した自動焦点(AF)一眼レフカメラのカメラボディの一実施の形態を背後から見た斜視図、図2は、このカメラの制御系をブロックで示す図である。
【0006】
このカメラボディ10には、着脱自在な交換レンズの一つとして、撮影レンズ51が装着される。撮影レンズ51は、詳細は図示しないが、例えばパワーズームレンズであって、焦点距離が28mm乃至80mmの間で、内蔵したズームモータ(図示せず)を介して任意に変更可能に設定されている。このカメラボディ10の上面には、ペンタプリズムおよび内蔵フラッシュを収納したペンタルーフ部13が膨出形成されている。内蔵フラッシュはポップアップ可能に形成されている。ペンタルーフ部13の右側には、メインスイッチレバー14が、カメラボディ10の前後方向にスライド自在に装着されている。メインスイッチレバー14は、OFF位置では電源および撮影モード自動選択モードがOFFし、NORMAL位置では電源のみONし、AUTO位置では電源および撮影モード自動選択モードをONする。
【0007】
本実施の形態における撮影モード自動選択モード(ピクトモード)は、プログラム露出モードを、初心者の撮影に適するノーマルモード、人物の全身または上半身撮影に適する人物モード(ポートレートモード)、遠距離の風景撮影に適する風景モード、被写体を近接状態で撮影するのに適する近接モード(マクロモード)、および動く被写体の撮影に適する動体モードの中から、撮影レンズ51の撮影距離及び焦点距離情報に基づいてカメラが自動選択するモードである。
【0008】
カメラボディ10の右端部にはグリップ部が膨出形成されていて、このグリップ部の上端面に最前部にシャッタ釦15が押し込み自在に配設されている。このシャッタ釦の直後方に隣接した位置に、指定された可変データをアップ/ダウンさせる為のアップ/ダウンレバー16が、撮影レンズ51の光軸に略平行な軸線回りに(即ち、カメラボディ10の略前後方向に沿って延出する軸線回りに)回動自在に配設されている。カメラボディ10の背面上部には、露出補正釦18が押し込み自在に配置されている。
【0009】
さらにこのカメラボディ10には、表示手段として、外部表示LCD31及びファインダ内表示LCD41を備えている。外部表示LCD31は、選択された露出モード、シャッタ速度、絞り値Av及び撮影枚数を表示する。ファインダ内表示LCD41は、選択された露出モード、シャッタ速度Tv、絞りFナンバーおよび合焦非合焦を表示する。
【0010】
外部表示LCD31の表示およびファインダ内表示LCD41の表示の態様について、図3及び図4を参照してより詳細に説明する。図3は、外部表示LCD31の一実施例を示している。この外部表示LCD31には、5個の露出モードを表示するピクチャが上部に横一列に描かれている。左から順に、ノーマルモードを示すピクチャ(スマイル顔)32a、人物モードを示すピクチャ(人物)32b、風景モードを示すピクチャ(山)32c、近接モードを示すピクチャ(花)32d、動体モードを示すピクチャ(走っている人)32eである。これらのピクチャ32a〜32eは、本実施例では液晶ではなく、印刷によって描かれている。そして、いずれのモードが選択されているかを識別する枠33a〜33eが、各ピクチャ35を囲む枠線として、液晶セグメントによって形成されている。選択されたモードに対応するピクチャ32a〜32eを囲む枠33a〜33eが点灯する。図3において、(A)はグリーンモードが選択された状態、(B)はポートレートモードが選択された状態、(C)は風景モードが選択された状態、(D)は近接モードが選択された状態、(E)は動体モードが選択された状態をそれぞれ表示している。
【0011】
ピクチャ32a〜32eの下方には、シャッタ速度Tv表示部34a、絞り値Av表示部34b、及び撮影枚数表示部34cが液晶セグメントで形成されている。
【0012】
図4は、ファインダ内表示LCD41の一実施例を示してある。このファインダ内表示LCDパネル62において表示される内容は、外部表示LCDパネル34の表示内容を実質的に簡略化したものである。ファインダ内表示LCD41は、視野の短辺の外側に見られるように配置されていて、上からシャッタ速度表示部43a、絞りFナンバー表示部43bが配置されている。この下に、順番にグリーンモードを示すピクチャ(スマイル顔)42a、人物モードを示すピクチャ(人物)42b、風景モードを示すピクチャ(山)42c、近接モードを示すピクチャ(花)42d、動体モードを示すピクチャ(走っている人)42eが配置されている。これらのピクチャ42a〜42eは液晶セグメントで形成されていて、選択されたピクチャ42a〜42eが点灯する。図4において、(A)はグリーンモードが選択された状態、(B)はポートレートモードが選択された状態、(C)は風景モードが選択された状態、(D)は近接モードが選択された状態、(E)は動体モードが選択された状態をそれぞれ表示している。なお、風景モードを示すピクチャ42cの横に設けられた六角形に表示素子は、合焦非合焦、前ピン、後ピンの別を表示する合焦表示部44である。
【0013】
本実施の形態のプログラム露出モードのプログラム線図を、図19から図24に示した。図19はノーマルモード、図20は人物モード、図21は風景モード、図22は近接モード、図23は動体モードである。fvは焦点距離のアペックス変換値、Tvfは焦点距離に応じた手ブレ限界シャッタ速度、Avfは撮影最適Av値、Avfシフトは補正値であって、それぞれ下記式によって定義される。
fv=log2 (焦点距離)
Tvf=(3/4)×fv+2
Avf=AvMIN +1+Avfシフト
Avfシフト=(5/4)×(6.5−fv)
(但し、0≦Avfシフト≦2)
TvMIN 、TvMAX は、カメラボディ10が制御できる最低速シャッタ速度Tv値、最高速シャッタ速度Tv値であって、EEPROMに書き込まれている。AvMIN 、AvMAX は、撮影レンズ51の開放絞りAv値及び最小絞りAv値に対応する値であって、レンズ側CPU53のROMに書き込まれている。TvL1は第1のTv境界値、AvL1は第1のAv境界値、AvL1は第2のAv境界値である。
【0014】
『AF一眼レフカメラの制御系』
図2を参照して、AF一眼レフカメラにおける制御系の構成を説明する。
詳細は図示しないが、撮影レンズ51のズーム光学系からカメラボディ10内に入射した被写体光束は、大部分がメインミラーによりファインダ光学系を構成するペンタミラー(図示せず。)に向かって反射され、さらに反射光の一部が測光用ICの受光素子94に入射する。一方、カメラボディ10内に入射した被写体光束のうち、メインミラーの図示しないハーフミラー部に入射した被写体光束反射されてAFセンサユニット61に入射する。AFセンサユニット61は、例えばCCDラインセンサを備えた周知の位相差式センサユニットであり、ボディ側CPU20は、AFセンサユニット61から入力した画像データに基づいてデフォーカス量を演算し、図示しないAFモータを駆動して撮影レンズ51の焦点調節レンズを、デフォーカス量が0ないし小さくなる位置まで駆動する。
【0015】
測光用ICは、被写体光束を受光する受光素子94を備えていて、この受光素子94が受光量に応じて発生する電気信号を測光回路96において対数圧縮し、A/D変換回路98においてA/D変換し、測光信号としてボディ側CPU20に出力する。ボディ側CPU20は、測光信号およびフィルム感度情報に基づいて所定の演算を実行し、露出用の適正シャッタ速度および絞り値を算出する。そして、これらのシャッタ速度および絞り値に基づいて露出装置100を駆動する。詳細は図示しないが、露出装置100は、フォーカルプレーンシャッタ装置及び撮影レンズの絞りを駆動する絞り駆動装置を備えている。更に、このボディ側CPU20は、レリーズに際して、図示しないモータドライブ回路を介して図示しないミラーモータを駆動して、メインミラーのアップ/ダウン処理を行ない、露光終了後には図示しない巻上モータを駆動してフィルムを巻上げる。また、このカメラボディ10は内蔵ストロボ回路(内蔵フラッシュ)63を備え、外付けストロボ(外部フラッシュ)65が装着されている。ボディ側CPU20は、外付けストロボ65との間でフラッシュ通信を行なってガイドナンバーなどのストロボデータを読み込み、これらのフラッシュ63、65の充電、発光、発光停止制御などを行なう。
【0016】
更に、ボディ側CPU20は、レンズマウント部に設けられた接続端子群と、撮影レンズのマウント部に設けられた図示しない接続端子群との接続を介して、レンズ側CPU53との間でデータ、コマンド等の通信を行なう。
【0017】
また、ボディ側CPU20は、カメラ全体を統括的に制御するプログラムをメモリしたROM、所定のデータをメモリするRAMを内蔵した制御部20aと、露出モード選択のための条件演算、AF(オートフォーカス)演算、AE演算等の演算処理を実行する演算部20bと、タイマカウンタ20cとを備え、制御部20aには、コントローラ104を介して外部メモリ手段としてEEPROM106が接続されている。このEEPROM106には、カメラボディ10特有の各種定数のほかに、露出モード選択のための条件演算、AF(オートフォーカス)演算、露出演算等の演算処理に必要な各種関数、定数などがメモリされている。
【0018】
更に、ボディ側CPU20には、メインスイッチレバー14のスライド位置に応じてオン/オフするメインスイッチ70およびモードスイッチ(露出モード自動選択スイッチ)71、シャッタ釦15の半押しでオンする測光スイッチ74、シャッタ釦15の全押しでオンするレリーズスイッチ76、露出補正釦17の押し込みに連動してオン/オフする露出補正スイッチ78、アップダウンレバーに連動してオン/オフするアップスイッチ80、ダウンスイッチ82、不図示のドライブスイッチに連動してオン/オフするドライブスイッチ84が接続されている。
【0019】
『撮影レンズ』
本実施の形態では、撮影レンズ51の焦点距離及び撮影距離に基づく条件および合焦状態に応じてプログラム露出モードを、ノーマル、人物、風景、近接及び動体モードの中から撮影モード自動選択(ピクチャー自動設定)処理が可能なことに特徴を有する。そこで、撮影レンズ51内には、現在設定されている焦点距離を検出する焦点距離検出機構55及び撮影距離を検出する撮影距離検出機構57を備え、検出機構55、57はレンズ側CPU53と接続されている。これらの検出機構55、57が検出した焦点距離及び撮影距離をレンズボディ間通信によってカメラボディ10に転送し、ボディ側CPU20によって所定の処理を施している。
【0020】
撮影レンズ51は、図示しないが、公知の変倍レンズ群および焦点調節レンズ群を備え、変倍レンズ群を撮影レンズ51に搭載されたズームモータまたは撮影者の手動操作によって移動させてズーミングし、焦点調節レンズ群をカメラボディ10に搭載されたAFモータによって移動させて焦点調節する構成である。焦点距離fは、変倍レンズ群の位置として、焦点距離検出機構55の焦点距離検出コード板によって検出する。
【0021】
本実施の形態では、焦点距離を、焦点調節レンズ群の位置を焦点距離コードで検出し、この焦点距離コードを、レンズROMにメモリしてあるテーブルデータによってアペックス換算の焦点距fvに変換する。焦点距離(mm)とアペックス換算の焦点距離fvとの関係を表1に示した。
【表1】
焦点距離(mm) 1 2 4 8 16 32 64 128 256 512 1024
fv 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
単焦点距離の場合は、その焦点距離fvをレンズROMにメモリしておく。
【0022】
本実施の形態では、焦点調節レンズ群の位置を、最短撮影距離を基準として、距離のアペックス換算値Dvで1ステップ単位で8ステップ分検出する構成である。表2には、撮影距離(m)とアペックス距離Dvの対応を示している。
【表2】
撮影距離(m) 1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32
Dv 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
【0023】
ピントが合う被写体までの距離、つまり撮影距離は、まず、変倍レンズ群のレンズ位置として、撮影距離検出機構57の距離コード板(図示せず)によって検出し、これを撮影距離に変換する。本実施の形態では、撮影距離を、最短撮影距離からの差として求める。つまり、最短撮影距離をDvnear、焦点調節レンズ群の検知位置を、最短撮影距離からの差分の距離データをΔDvとして、撮影距離Dvを、Dv=Dvnear+ΔDv
で求める。表3には、撮影距離コードとΔDvとの関係を示している。
【表3】
撮影距離コード 7 6 4 5 1 0 2 3
ΔDv 0 1 2 3 4 5 6 7
【0024】
最短撮影距離Dv、最短撮影距離からの差分ΔDV、焦点距離fvはレンズ側CPU53からボディ側CPU20に送られる。本実施例では、最短撮影距離Dvnear、最短撮影距離からの差分ΔDVは、8ビットの撮影距離データとしてカメラボディ10に送られる。
【0025】
カメラボディ10は、撮影レンズ51から受信した最短撮影距離Dv、最短撮影距離からの差分ΔDV、焦点距離fvデータに基づいて、アペックス換算(表示)の撮影倍率Mvを下記式によって算出する。
Mv=(Dv+20)/2−fv
以下、符号「Mv」を付した撮影倍率はアペックス換算の値とする。
撮影倍率Mvと撮影倍率との関係を下記表4に示す。
【表4】
1/撮影倍率(倍) 1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32
Mv 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
【0026】
本実施の形態では、以上の撮影距離、撮影倍率をモード選択の条件として使用する。
【0027】
『カメラの制御』
次に、本実施の形態のカメラの動作について、図5〜図18に示したフローチャートを参照して説明する。この制御は、ボディ側CPU20の内部ROMにメモリされたプログラムによって、ボディ側CPU20によって実行される。
【0028】
図5は、メインルーチンであるSTART処理である。この処理には、バッテリが搭載されたときに入る。ボディ側CPU20には常時バッテリの電力が供給されている。START処理に入ると、まず割込み処理を禁止して、RAM、レジスタ、フラグなどをイニシャライズし、PH(パワーホールド)ON、つまり、バッテリの電力を周辺回路に供給する(S101、S103、S105)。そして、EEPROM106に保存されているデータをボディ側CPU20のRAMに書き込む(S107)。以上の処理が終了すると、メインスイッチ70がオフ状態のときに繰り返し実行する、POFFループへと処理は進む。
【0029】
『POFFループ』
POFFループ処理は、スイッチの状態をチェックして、オンしたスイッチ状態に応じた処理に進む待機処理である。
POFFループ処理にはいると、まず、SW操作表示処理を2回コールする(S109、S111)。SW操作表示処理においては、メインスイッチ70、露出モード自動設定スイッチ71、レリーズスイッチ76、測光スイッチ74、アップスイッチ80、ダウンスイッチ82のオン・オフの状態に応じた処理を実行する。これに基づいて外部表示LCDパネル36および内部表示LCDパネル62の表示の制御を行う。SW操作表示処理を2回実行するのは、後述のPONループのコール回数と一致させるためである。
【0030】
メインスイッチ70がオンし、かつモードスイッチ(露出モード自動設定スイッチ)72、レリーズスイッチ76、測光スイッチ74、アップスイッチ80、ダウンスイッチ82のいずれかがオンすると、図11のRESTART処理を実行する(S113、S115、S117、S119、S121)。
【0031】
メインスイッチ70がオフ状態の間は、S115〜S121をスキップし、内蔵フラッシュ充電処理をコールし、128ms タイマーをスタートし、PHOFF処理(周辺回路への電源供給を遮断)して128ms タイマーがタイムアップするのを待つ(S125、S127、S129)。そして、タイムアップしたら、S109に戻って、S109からS129の処理を繰り返す。
【0032】
『SW操作表示』
S109、S111で実行されるSW操作表示処理について、図6に示したフローチャートを参照してより詳細に説明する。このSW操作表示処理は、このカメラの状態をチェックしてその状態に応じた表示を行う処理である。
SW操作表示処理に入ると、フィルムのローディングエラーかどうかをチェックし、ローディングエラーであればローディングエラー表示処理を実行してリターンする(S201、S231)。フィルムローディングエラーでなければ、リワインドエンドであるか(フィルム巻き戻し終了かどうか)をチェックし、リワインドエンドであればリワインドエンド表示処理を実行してリターンする(S203、S233)。
【0033】
ローディングエラーでもリワインドエンドでもないときには、以下の処理を実行する。
メインスイッチ70がオフのときは、動体ピクトフラグに0を入れ、外部表示LCD31及びファインダ内表示LCD41の表示をオフしてからリターンする(S205、S207、S209)。動体ピクトフラグは、被写体が動体であるかどうかを識別するフラグであって、動体であると判断したときに1をセットする。
【0034】
メインスイッチ70がオンしていたときは、UP/DOWN 処理を実行、つまり、アップスイッチ80またはダウンスイッチ82がオンしていたときにはそれに応じた処理を実行する(S205、S211)。次にモードスイッチ72がオンしているかどうか、つまり、ピクチャー自動設定モード(露出モード自動選択モード)かノーマルモードどうかをチェックし(S213)、オフのときはノーマルモードであるから、PICTMODEにMANUPICTを入れ、動体ピクトフラグに0を入れる(S215、S217)。そして、ピクチャーモードを表示し、シャッタ速度Tv、絞り値Av、その他撮影枚数などを表示してリターンする(S221)。モードスイッチ72がオンしているとき、つまり、ピクチャー自動設定モードのときは、ピクチャー自動設定処理を実行してから表示処理を実行してリターンする(S213、S219、S221)。
【0035】
PICTMODEは、ピクトモード(プログラム露出モード)を識別する識別子である。PICTMODEは、本実施の形態では、0がノーマルモード、1が人物モード、2が風景モード、3が近接モードおよび4が動体モードを識別する。本実施の形態では、モードスイッチ72がNORMAL位置のときは、ノーマルモードを初期モードとして選択する。なお、その後、マニュアル操作によって他のモードを選択可能な構成にしてもよい。
【0036】
『ピクチャー自動設定』
次に、本発明の特徴であるピクチャー自動設定処理について、図7を参照して説明する。このピクチャー自動設定処理は、撮影距離、撮影倍率、動体か否かの条件に基づいて、最も適したプログラム露出モードを選択することに特徴を有する。このピクチャー自動設定処理は、撮影モード自動選択手段として機能するボディ側CPU20により実行される。
【0037】
ピクチャー自動設定処理に入ると、まずPICTMODEに0を入れる(S301)。次に、撮影レンズ51の焦点距離fvおよび撮影距離Dvに基づいて式、
Mv=(Dv+20)/2−fv
によって撮影倍率Mvを算出する(S303)。そして、撮影レンズ51から入力した撮影距離コードが無限遠か(3)、最短撮影距離(7)をチェックし、無限遠であればPICTMODEに2を入れ(風景モードを選択し)てリターンし(S305、S315)、最短撮影距離(7)であればPICTMODEに3を入れ(近接モードを選択し)てリターンする(S305、S307、S317)。
【0038】
撮影距離コードが3でも7でもないとき、つまり、無限遠撮影距離でも、最短撮影距離でもないときには、次の処理を実行する。撮影倍率Mvが6よりも大きいとき(撮影倍率が設定値1/8より小さいとき)は、距離コードが2であるかどうかをチェックする。距離コードが2のときには被写体がかなり遠距離に位置するので、この場合は風景を撮影している確率が非常に高いので、PICTMODEに2を入れて(風景モードを選択して)リターンする(S309、S319、S321)。距離コードが2ではなかったときには、S311に進んで動体ピクトフラグをチェックする(S309、S319)。撮影倍率が6以下のときは、そのまま動体ピクトフラグチェックを行う(S309、S313)。
【0039】
動体ピクトフラグが0のときは、撮影倍率Mvが4以上6以下であるかどうかをチェックする(S311、S313)。撮影倍率Mvが4以上6以下は、人物撮影に適した撮影倍率である。そこで、撮影倍率が4以上6以下のときは、PICTMODEに1を入れて(人物モードを選択して)リターンする。撮影倍率がこの範囲に入らないときは、そのままPICTMODE0(ノーマルモード)でリターンする(S313)。人物モードを選択するときの撮影倍率Mvの範囲はこれに限定されず、3あるいは3.5以上、6.5あるいは7以下でもよい。
【0040】
以上の処理によってPICTMODEを選択すると、LCD31、41に、選択したPICTMODEに応じた表示を行う(図3及び図4参照)。PICTMODEが0のときはノーマルモードなので図3(A)及び図4(A)の表示をおこない、PICTMODEが1のときは人物モードなので図3(B)及び図4(B)の表示をおこない、PICTMODEが2のときは風景モードなので図3(C)及び図4(C)の表示をおこない、PICTMODEが3のときは近接モードなので図3(D)及び図4(D)の表示をおこない、PICTMODEが4のときは動体モードなので図3(E)及び図4(E)の表示をおこなう。撮影者は、この表示によって、どのプログラムモードが選択されているのかを容易に知ることができる。
【0041】
『UP/DOWN 処理』
S211のUP/DOWN 処理の詳細について、図8を参照して説明する。このUP/DOWN 処理は、アップスイッチ80がオンしたときは、露出補正量など、選択可能なデータのアップ処理を行い、ダウンスイッチ82がオンしたときは選択可能なデータのダウン処理を行う。本実施の形態では、アップスイッチ80またはダウンスイッチ82が1回オンする毎にデータを1段階アップまたはダウンする。
【0042】
この処理に入ると、まずアップスイッチ80の状態をチェックして、オフしていればアップフラグ(UPフラグ)に0を入れてS409に進み、オンしていれば、アップフラグをチェックして、0がセットされていれば、データアップ処理を実行した後、アップフラグに1をセットしてからS409に進み(S408)、1がセットされていればすでにデータアップ処理を実行しているのでS407をジャンプしてS409に進む。
【0043】
S409ではダウンスイッチ82の状態をチェックし、オフしていればダウンフラグ(DOWNフラグ)に0を入れてリターンし(S411)、オンしていれば、ダウンフラグをチェックして、0がセットされていれば、データダウン処理を実行した後、ダウンフラグに1をセットしてからリターンし(S413、S415、S416)、1がセットされていればすでにデータダウン処理を実行しているのでそのままリターンする。
【0044】
『データアップ処理及びデータダウン処理』
S407、S415のデータアップ処理及びデータダウン処理について、図9及び図10を参照して説明する。本実施の形態では、露出補正量と、ピクトモードをアップダウン処理できる。露出補正量の補正は、露出補正釦18が押し込まれた状態(露出補正スイッチ78がオン)でアップ/ダウンレバー16が操作されたときに実行し、ピクトモードの変更はメインスイッチレバー14がAUTO位置にあるとき(モードスイッチ72がオンのとき)にアップ/ダウンレバー16が操作されたときに実行する。
【0045】
データアップ処理では、まず、露出補正スイッチ78がオンしているかどうかをチェックし(S451)、オンしていなければモードスイッチ72がオンしているかどうかをチェックし(S453)、オンしていればオートピクチャモードなのでそのままリターンする。露出補正スイッチ78がオンしているときは、露出補正量を0.5Ev単位でインクリメントし、リミット処理を施してリターンする(S459、S461)。露出補正値のリミット処理とは、露出補正値が限界値、例えば+2.0Evに達したら、それ以上の値は設定しない処理である。
【0046】
モードスイッチ72がオフしているときは、MANUPICTの値を1インクリメントし、リミット処理を実行してリターンする(S453、S455、S457)。つまり、ピクトモードを、0のノーマルから4の動体モードまで1段階づつ変更する。ピクトモードのリミット処理とは、MANUPICTの値が4になったら、これ以上の値は入れない処理である。
【0047】
同様にデータダウン処理では、まず、露出補正スイッチ78がオンしているかどうかをチェックし(S471)、オンしていなければモードスイッチ72がオンしているかどうかをチェックし(S473)、オンしていればオートピクチャモードなのでそのままリターンする。露出補正スイッチ78がオンしているときは、露出補正量を0.5Ev単位でデクリメントし、リミット処理を施してリターンする(S459、S461)。露出補正値のリミット処理とは、露出補正値が限界値、例えば−2.0Evに達したら、それ以下の値は設定しない処理である。
【0048】
モードスイッチ72がオフしているときは、MANUPICTの値を1インクリメントし、リミット処理を実行してリターンする(S453、S455、S457)。つまり、ピクトモードを、4の動体モードから0のノーマルモードまで1段階づつ変更する。ピクトモードのリミット処理とは、MANUPICTの値が0になったら、これ以下の値は入れない処理である。
【0049】
『RESTART処理』
次に、START処理において、レリーズスイッチ76、測光スイッチ75、アップスイッチ80、ダウンスイッチ82のいずれかがオンしたときに進むRESTART処理について、図11に示したフローチャートを参照して説明する。
【0050】
RESTART処理に入ると、まず、パワーホールドONして(S501)カメラのハードウエア全体に電源を供給し、再度EEPROMのデータを読み込みRAMに書き込む(S503)。S505では、以降に実行されるPONループの繰り返し回数(80)をカウンタPONタイマにセットして、PONループ処理に進む。
【0051】
『PONループ』
PONループ処理では、カメラボディ10と撮影レンズ51、外付けフラッシュ65との通信、測光処理、測光結果に基づいて、Tv/Av値を算出するAE演算などを実行し、レリーズ処理の制御も行なう。
【0052】
まず、PONループの繰り返しの周期を定めるために、128msタイマをスタートさせ(S511)、外部表示LCDパネル36およびファインダ内表示LCDパネル62の表示をSW操作表示処理により制御する(S513)。メインスイッチがオンしていれば(S515:メインSW=ON)、外付けフラッシュ65からカメラボディ10へのデータ通信およびカメラボディ10と撮影レンズ51間の通信を行なう(S517、S519)。次に、測光処理を行ない(S521)、測光データに基づいてAE演算を行なう(S523)。AE演算の結果に基づいて、所定のフラッシュデータをカメラボディ10からフラッシュ65に送信(S525)した後、演算結果を含めた表示処理を、SW操作表示処理により行う(S527)。さらに、ストロボ発光のときは内蔵フラッシュ回路63の充電処理を行い、AF処理を行なう(S529、S531)。
【0053】
シャッタ釦15が全押しされてレリーズスイッチ76がオンした場合は(S533:レリーズSW=ON)、合焦フラグに1がセットされていること(合焦していること)を条件にレリーズ処理を実行する(S547:合焦フラグ=1)。レリーズスイッチ76がOFF状態の場合(S533:レリーズSW=OFF)、あるいはレリーズスイッチ76がONしていても合焦してないときには(S533:レリーズSW=ON、S547:合焦フラグ=0)、128msタイマがタイムアップするまでは、レリーズスイッチ76の状態をモニタしつつ、繰り返しAF処理を実行する(S531、S533:OFF、S535:NOまたはS531、S533:ON、S547:0、S535:NO、S531)。
【0054】
128ms経過後、測光スイッチ74、アップスイッチ80、ダウンスイッチ82が全てOFF状態のときはPONタイマを1デクリメントし、PONループ処理を繰り返す(S511〜S545:PONタイマ≠0)。PONループ処理をS505でセットした回数だけ繰り返すと、POFFループへ戻る(S511〜S545:PONタイマ=0)。
このPONループ処理中にレリーズスイッチ76がONして合焦したときには、レリーズ処理に抜ける(S533:レリーズSW=ON、S547:合焦フラグ=1)。
【0055】
『AE演算』
AE演算処理について、図12を参照して説明する。AE処理に入ると、先ず、ボディ側CPU20のRAMをイニシャライズし、測光等に関する各種フラグをイニシャライズした後、レンズ補正演算処理を実行する(S601、S603、S605)。このレンズ補正演算処理では、図11示した「RESTART」処理中のレンズ通信(S519)において、レンズ側CPU53から入力した撮影レンズの種類に応じた各種レンズデータに基づいて、レンズ補正演算処理を実行する。
【0056】
次に、A/D変換回路98から出力される分割測光用の各センサ(受光素子94)からの被写体輝度データをそれぞれ、演算に適した演算用被写体輝度Bvに変換し、さらに、この演算用被写体輝度Bvと、S605において演算したレンズ補正値により、各センサ毎の光量値Lv′を求め、この各センサ毎の光量値Lv′から、分割測光アルゴリズムに基づいてその被写体に適した1個の光量値Lv′を算出する(S607〜S611)。
【0057】
そして、予め演算に適するように変換した演算用フィルム感度Svおよび演算用露出補正値Xvに基づいて光量値Lvを求めてから(S613)、内蔵フラッシュ及び外付けフラッシュの充電完了状態を入力する(S615)。そして、充電完了状態でなければ、プログラム演算処理を実行し(S617:NO、S619)、充電完了状態であればフラッシュプログラム演算を実行する(S617:YES、S621)。
【0058】
プログラム演算が終了すると、EEパルス数を演算し、外部フラッシュデータを設定し、TTLデータを設定してリターンする(S623、S625、S627)。EEパルス数は、撮影レンズの絞りを絞り込む絞り込み機構が絞り込み時に出力するパルスであって、制御用の絞り値Avに対応させて絞りを止めるために用いる。外部フラッシュデータには、発光光量に関するデータや、先幕シンクロ、後幕シンクロのデータが含まれる。TTLデータには、フラッシュの発光を停止させるTTLダイレクト測光素子の積分値データが含まれる。
【0059】
『プログラム演算』
次に、S619で実行されるプログラム演算処理について、図13に示したフローチャートを参照して説明する。
この処理に入ると、まず、fv演算処理(fv=log2 (焦点距離f)/log2 )を実行して焦点距離fのアペックス換算値fvを求める。さらに、焦点距離に基づいた手ブレ限界シャッタ速度Tvf及び絞り値Avf を求める(S701)。手ブレ限界シャッタ速度Tvfは例えば式Tvf=(3/4)×fv+2によって求める。
【0060】
現在設定されているピクチャーモード(ナンバー)に対応する値をXに入れ、Xに対応する演算処理を実行する(S703、S705)。
本実施例では、シャッタ速度Tvは、式
Tv=a×Lv+b
によって求める。ここで、a、bは係数、Lvは、演算に適するように変換した演算用フィルム感度Svおよび演算用露出補正値Xvに基づいた光量値である。
【0061】
X=0のときはノーマルモードであるから、係数aに3/8を入れ、係数bにノーマル値を入れる(S707)。そして、下限リミットシャッタ速度TvL1に手ブレ限界シャッタ速度Tvfを代入し、第1のAv境界AvL1及び第2のAv境界AvL2には最大絞り値AvMIN をそれぞれ代入する。
【0062】
X=1のときは人物モードであるから、係数aに2/8を代入し、係数bに5+6/8を代入する。さらに第1のTv境界TvL1 に手振れ限界Tvfを代入し、第1のAv境界AvL1 に撮影最適絞り値Avfを入れ、第2の絞り境界値AvL2 に最小絞り値AvMIN を代入してS727に進む(S711、S713)。
【0063】
X=2のときは風景モードであるから、係数aに2/8を代入し、前記係数bに風景係数bを代入する(S715)。この風景係数bは式、
(6/8)×Tvf−(2/8)×(AvMIN +1)
により求める。さらに、第1のTv境界TvL1 に最小シャッタ速度TvMIN を代入し、第1のAv境界AvL1 に最小絞り値AvMIN +1を代入し、第2のAv境界AvL2 に最小絞り値AvMIN を代入してS727に進む(S717)。
【0064】
X=3のときは近接モードであるから、係数aに2/8を代入し、係数bに5+6/8を代入する(S719)。さらに、第1のTv境界TvL1 に手振れ限界Tvfを代入し、第1のAv境界AvL1 にAv6(F=8)を代入し、第2のAv境界AvL2 に最小絞り値AvMIN +1を代入してS727に進む(S721)。
【0065】
X=4のときは動体モードであるから、係数aに2/8を代入し、係数bに5+6/8を代入する(S723)。さらに第1のTv境界TvL1 に手振れ限界Tvf+1を代入し、第1のAv境界AvL1 に最小絞り値AvMIN +1を代入し、第2のAv境界AvL2 に最小絞り値AvMIN を代入してS727に進む(S725)。
【0066】
S727では、演算用のシャッタ速度Tvを式、
Tv=a×Lv+b
によって求める。
【0067】
そして、リミット処理を実行する。つまり、演算Tvを、カメラ固有の最小シャッタ速度TvMIN および最大シャッタ速度TvMAX とそれぞれ比較する(S729、S733)。そして演算Tvが、最小シャッタ速度TvMIN より小さければ、この最小シャッタ速度TvMIN を演算Tvに代入し、実際にはそれより遅いシャッタ速度を設定しなければならないのに最小シャッタ速度TvMIN を設定したことを識別するために、Tvアンダーフラグに“1”をセットして、S737に進む(S729:YES、S731)。また演算Tvが、最大シャッタ速度TvMAX より大きければ、この最大シャッタ速度TvMAX を演算Tvに代入し、実際にはそれより速いシャッタ速度を設定しなければならないのに最大シャッタ速度TvMAX を設定したことを識別するために、Tvオーバーフラグに“1”をセットして、S737に進む(S729:NO、S733:YES、S735)。
【0068】
演算Tvが、最小シャッタ速度TvMIN 以上で、最大シャッタ速度TvMAX 以下である場合はそのままS737に進む(S729:NO、S733:NO)。S737では、CAL_Av(Av演算)処理を実行して、演算Tvに基づきこの演算Tvに対応する適切な演算Avを求め、S739に進む。
【0069】
S739では、CAL_Av処理で設定した演算Avが、選択されたモードにより演算された第1のAv境界AvL1 を越える値であるか否かをチェックする。この結果、演算Avが、第1のAv境界AvL1 を越えている場合は、S763にジャンプして、演算Tvを制御用Tvに変換し、演算Avを制御用Avに変換する。
【0070】
また演算Avが、第1のAv境界AvL1 以下である場合は、S745に進んで第1のAv境界AvL1 を演算Avに代入する。これによりAv値が決まるから、CAL_Tv処理を実行して、この演算Av値に応じたTv値を求めてS745に進む(S739:NO、S741)。
【0071】
S745ではさらに、S743で求めた演算Tvを第1のTv境界TvL1 と比較する。この結果、演算Tvが第1のTv境界TvL1 を越えていればS763にジャンプし、演算Tvが、第1のTv境界TvL1 以下である場合は、S747に進んで第1のTv境界TvL1 の値を演算Tvに代入する。これによりTv値が決まるから、S749においてCAL_Av処理を実行し、この演算Tvに応じた演算Avを演算する。
【0072】
さらに、この演算Av値が第2のAv境界AvL2 より大きいか否かをチェックし(S751)、演算Avが第2のAv境界AvL2 を越えていればS763にジャンプし、越えていなければS753に進んで、第2のAv境界AvL2 の値を演算Avに代入する。これにより演算Avが決まるから、CAL_Tv処理を実行して演算Avに応じた演算Tvを求める(S755)。さらに、この演算Tvを最小シャッタ速度TvMIN と比較して、演算Tvが最小シャッタ速度TvMIN より大きければS763にジャンプし(S757:YES)、そうでなければこの最小シャッタ速度TvMIN を演算Tvに代入する(S757:NO、S759)。これによりTv値が決まるから、CAL_Avサブルーチンを実行し(S761)、この演算Tvに応じた演算Avを求めてS763に進む。
【0073】
S763では、演算Tvを実際に制御に使う制御Tvとして設定し、また演算Avを実際に制御に使う制御Avとして設定してリターンする。
なお、フラッシュプログラムは、図示しないが、撮影距離、焦点距離を考慮し、各ピクトモードにおいて、フラッシュを発光させての露光に適したプログラムラインを得るアルゴリズムとする。
【0074】
『CAL_Tv』
次に、CAL_Tv(Tv演算)処理を、図15のフローチャートを参照して説明する。CAL_Tv処理は、適正なTv値の設定およびTv値を制御可能な範囲に規制する処理である。
CAL_Tv(Tv演算)処理に入ると先ず、TvアンダーフラグおよびTvオーバーフラグに0を入れて、演算Tvを式、
光量値Lv−演算Av
によって求める(S801)。
【0075】
この演算Tvを、カメラ固有の最小シャッタ速度TvMIN と最大シャッタ速度TvMAX と比較する(S803、S807)。このチェックで、演算Tvが、最小シャッタ速度TvMIN より小さければ(S803:YES)、この最小シャッタ速度TvMIN を演算Tvに代入し、実際にはそれより遅いシャッタ速度を設定しなければならないのに最小シャッタ速度TvMIN を設定したことを識別するためにTvアンダーフラグに“1”をセットして(S805)リターンする。また演算Tvが、最大シャッタ速度TvMAX より大きければ(S803:NO、S807:YES)、この最大シャッタ速度TvMAX を演算Tvに代入して、実際にはそれよりシャッタ速度を速く設定しなければならないのに最大シャッタ速度TvMAX を設定したとして、Tvオーバーフラグに“1”をセットして(S809)、リターンする。
【0076】
演算Tvが、最小シャッタ速度TvMIN 以上かつ最大シャッタ速度TvMAX 以下である場合は、そのままリターンする(S803:NO、S807:NO)。従って、このCAL_Tvサブルーチンによって、プログラム演算で設定されるシャッタ速度を、制御可能な範囲に制限する。
【0077】
『CAL_Av』
続いて、CAL_Av(Av演算)処理を、図16のフローチャートに基づいて説明する。CAL_Av(Av演算)処理は、適正なAv値の設定およびAv値を制御可能な範囲に規制する処理である。
CAL_Av(Av演算)処理に入ると、先ず、AvアンダーフラグおよびAvオーバーフラグをクリアして、演算Avを式、
光量値Lv−演算Tv
によって求める(S851)。
【0078】
この演算Avを、最小絞り値AvMIN と最大絞り値AvMAX と比較する(S853、S857)。この結果、演算Avが最小絞り値AvMIN より小さければ(S853:YES)、この最小絞り値AvMIN を演算Avに代入し、実際にはもっと絞り込まなければならないのに最小絞り値AvMIN を設定したことを識別するために、Avアンダーフラグに1をセットして(S855)リターンする。また演算Avが最大絞り値AvMAX より大きければ(S853:NO、S857:YES)、この最大絞り値AvMAX を演算Avに代入し、実際にはそれより絞りを開けなければならないのに最大絞り値AvMAX を設定したことを識別するために、Avオーバーフラグに1をセットして(S859)リターンする。
【0079】
また、前記演算Avが、最小絞り値AvMIN 以上、最大絞り値AvMAX 以下である場合は(S853:NO、S857:NO)、そのままリターンする。従って、このCAL_Avサブルーチンによって、AE演算プログラムシフトで使用される絞り値を、制御可能な範囲に制限する。
【0080】
AF処理について、図17に示したフローチャートを参照して説明する。
『測光スイッチ74がオフの場合』
このフローチャートに入ると、まず、測光スイッチ74がオンしているかどうかをチェックして、測光スイッチ74がオンしていなければ、合焦フラグに0を入れ、AF作動中フラグに0を入れ、動体判断用カウンタ初期設定処理を実行してからリターンする(S901:測光スイッチOFF、S903、S905、S907)。合焦フラグは、合焦状態にあるかどうかを識別するフラグで、合焦状態にあるときに1をセットする。AF作動中フラグはAF動作を実行している途中かどうかを識別するフラグで、AF動作を開始したら1をセットする。動体判断用カウンタは、被写体を動体と判定するためのカウンタであって、所定回数、例えば3回、AFレンズ駆動を行っても合焦できなかったときに動体と判定する。
【0081】
『測光スイッチ74がオン、かつ連続レリーズではない場合』
次に、測光スイッチ74がオンし、連続レリーズではない場合、つまり、レリーズスイッチ76がオンされると1枚のみ露光するモードの場合について説明する。なお、連続レリーズとは、レリーズスイッチ76がオンしている間、連続撮影するモードであり、不図示のドライブスイッチがオンのときに連続撮影モードに入る。
【0082】
測光スイッチ74がオンしたときは、AF作動中フラグをチェックするが、最初はAF作動中フラグはクリアされているので、動体ピクトフラグに0をいれ、AF動作中フラグに1をセットする(S901:測光スイッチON、S911:AF作動中フラグ=0、S913、S915)。そして、連続レリーズフラグをチェックして、0であれば連続レリーズではないので合焦チェックを行い(S917:連続レリーズフラグ=0、S919)、1であれば連続レリーズなので合焦チェックをスキップする(S917:連続レリーズフラグ=1、S921)。
【0083】
合焦フラグチェックにおいて、1回目は合焦フラグは0なので、AFセンサユニットにCCD積分を行わせ、積分データを入力し、デフォーカス演算を実行する(S921、S923、S925)。そして、合焦フラグチェックを行うが、1回目はクリアされているので連続レリーズフラグチェックを行う(S927:合焦フラグ=0、S929)。連続レリーズフラグが0のときは、デフォーカス(デフォーカス量の絶対値)が合焦幅よりも小さいかどうか(合焦とみなせる範囲かどうか)をチェックし、大きいときには合焦フラグに0を入れる(S935:NO、S937)。そして、焦点調節レンズの駆動方向が前回と同じかどうかをチェックし、同じであれば動体用カウンタを1減算し、動体用カウンタが0でなければS925で求めたデフォーカス量に基づいてAFモータを駆動し、リターンする(S939:YES、S941、S943:NO、S947)。
【0084】
2回目以降のAF処理では、S901、S917、S919のチェック処理を経てS921〜S925のAF演算処理を実行し、S927、S929のチェック処理を経てS935のデフォーカスチェック処理に至る。そして、このデフォーカスチェック処理において、デフォーカスが所定値よりも小さくなったときは、合焦フラグチェックを行い、最初は合焦フラグが0なので、合焦フラグに1をセットし、所定時間待ってからCCD積分処理に戻る(S935:YES、S951、S953、S921)。CCD積分処理、積分データ入力処理及びデフォーカス演算処理を実行し、合焦フラグチェック処理を経てデフォーカスが所定値よりも大きいかどうかをチェックし(S921、S923、S925、S927:合焦フラグ=1、S931:YES)、大きければ動体ピクトフラグに“1”をセットする(S933)。ここでのデフォーカスチェックは、一旦合焦した後、所定時間後、一定時間内にデフォーカス(焦点位置)に変化があったときは、被写体が動いているとみなして、動体モードを選択するためのチェックである。
【0085】
デフォーカスが合焦幅に収まっているときは、合焦チェックを行うが、合焦フラグには1がセットされているのでリターンする(S935:YES、S949:合焦フラグ=1)。次にこのAF処理に入ったときは、S901、S911、S917を経て、S919からリターンする。
【0086】
『動体モードを選択する場合』
動体モードを選択する場合について説明する。測光スイッチ74がオンして1回目の処理では、S901、S911からS919の処理を経て、CCD積分、積分データ入力、デフォーカス演算処理(S921〜S925)を行い、デフォーカスが合焦幅以内に収まっていなかったときには(S935:NO)、合焦フラグに0を入れ、前回はレンズ駆動していなかったのでS947に飛んでレンズ駆動処理を行ってリターンする(S937、S939:NO、S947)。2回目以降のAF処理では、S901、S911、S917からS935を経てS937に進み合焦フラグに0を入れる。レンズ駆動方向が前回と同一であれば(S939:YES)、動体用カウンタを1減算し、動体用カウンタが0でなければレンズ駆動処理後リターンする(S943:NO、S947)。以上、2回目以降の処理を繰り返し、動体用カウンタが0になったら、動体ピクトフラグに1をセットする(S943:YES、S945)。これによって、動体モードが選択されることとなる。なお、2回目以降の処理において、レンズ駆動方向が前回と変わったときは、動体判断用カウンタに初期値を入れる(S939:NO、S940)。
【0087】
『測光スイッチ74がオン、かつ連続レリーズの場合』
連続レリーズフラグは、ドライブスイッチ84オンかつ1回目のレリーズが終了するときに1がセットされる。連続レリーズフラグに1がセットされると、S919の合焦フラグチェック処理をスキップし、必ずS931のデフォーカスチェック処理を通ることに特徴を有する。つまり、連続撮影では、被写体が移動しているか、あるい構図が刻々と変化しているのが一般的なので、S919の合焦フラグチェック処理(S919)をスキップしてデフォーカスを求める処理(S921からS925)を継続し、未合焦でも必ず、デフォーカスが所定値よりも大きいかどうかのチェック処理を実行して、変化が大きい場合は動体ピクトフラグに1をセットし、動体モードを選択する(S931:YES、S933)。
【0088】
『レリーズ処理』
図18は、レリーズ処理に関するフローチャートである。レリーズ処理では、測光処理(S1001)、フラッシュからカメラボディへのデータ通信(S1003)、AE演算(S1005)、AE演算結果に基づくカメラボディからフラッシュへのデータ通信(S1007)、SW操作表示処理(S1009)が行なわれた後に、ミラーアップ、絞り制御(S1011)、露光処理(S1013)、フィルム巻き上げ、ミラーダウン(S1015)の一連の露出動作を実行する。そして、連続ドライブかどうかをチェックし(S1017)、連続ドライブのときには、レリーズスイッチ76がオンしていることを条件に、連続レリーズフラグに1をセットしてPONループ処理に戻り(S1019、S1021)、レリーズスイッチ76がオンしていないとき、あるいは連続ドライブでなければ連続レリーズフラグに0を入れてPONループ処理に戻る(S1019、S1023)。
【0089】
以上の通り本発明の実施の形態では、ノーマル、人物、風景、近接、動体モード(プログラム露出モード)の中から、焦点距離、撮影距離及び被写体の移動状況に応じて最も適したプログラム露出モードをカメラが自動選択するので、撮影者は撮影条件を考えて適切なプログラム露出モードを選択する、という操作をしなくても済む。
また、本実施の形態では、自動選択した露出モードに対応するピクチャ(アイコン)を表示するので、撮影者は、自動選択された露出モードを簡単確実に認識できる。
本実施の形態では5個のプログラム露出モードの中から選択可能としたが、本発明はこれらのプログラム露出モードに限定されず、プログラムラインも図示したものに限定されない。
【0090】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り本発明のカメラによれば、焦点距離、撮影距離に基づいて適切なプログラム露出モードが自動選択されるので、露出モード選択のわずらわしさがなく、かつ撮影条件に適したシャッタ速度および絞り値での撮影が簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るカメラが適用される一眼レフレックスカメラのカメラボディの一実施例の構成を背面から見て示す斜視図である。
【図2】本発明を適用した一眼レフレックスカメラの一実施の形態の制御系の主要部をブロックで示す図である。
【図3】同一眼レフカメラの外部表示手段の表示態様を示す図である。
【図4】同一眼レフカメラのファインダ内表示手段の表示態様を示す図である。
【図5】同一眼レフカメラの動作におけるメインルーチン(START)をフローチャートで示す図である。
【図6】同一眼レフカメラの動作における操作表示処理に関するフローチャートを示す図である。
【図7】同一眼レフカメラの動作におけるピクチャー自動設定処理に関するフローチャートを示す図である。
【図8】同一眼レフカメラの動作におけるUP/DOWN 処理に関するフローチャートを示す図である。
【図9】同一眼レフカメラの動作におけるデータUP(アップ)処理に関するフローチャートを示す図である。
【図10】同一眼レフカメラの動作におけるデータDOWN(ダウン)処理に関するフローチャートを示す図である。
【図11】同一眼レフカメラの動作におけるRESTART(リスタート)処理に関するフローチャートを示す図である。
【図12】同一眼レフカメラの動作におけるAE演算処理に関するフローチャートを示す図である。
【図13】同一眼レフカメラの動作におけるプログラム演算処理に関するフローチャートを示す図である。
【図14】同一眼レフカメラの動作におけるプログラム演算処理に関するフローチャートを示す図である。
【図15】同一眼レフカメラの動作におけるCAL_TV(シャッタ速度設定)処理に関するフローチャートを示す図である。
【図16】同一眼レフカメラの動作におけるCAL_AV(絞り値設定)処理に関するフローチャートを示す図である。
【図17】同一眼レフカメラの動作におけるAF(自動焦点調整)処理に関するフローチャートを示す図である。
【図18】同一眼レフカメラの動作におけるレリーズ処理に関するフローチャートを示す図である。
【図19】ノーマルモードのプログラムラインの一実施例を示す図である。
【図20】人物モードのプルグラムラインの一実施例を示す図である。
【図21】風景モードのプログラムラインの一実施例を示す図である。
【図22】近接モードのプログラムラインの一実施例を示す図である。
【図23】動体モードのプログラムラインの一実施例を示す図である。
【符号の説明】
10 カメラボディ
15 シャッタ釦
16 アップ/ダウンレバー
20 ボディ側CPU
31 外部表示LCD
41 ファインダ内表示LCD
51 撮影レンズ(パワーズームレンズ)
53 レンズ側CPU
55 焦点距離検出機構(焦点調節レンズ群位置検出手段)
57 撮影距離検出機構(変倍レンズ群位置検出手段)
61 AFセンサユニット
70 メインスイッチ
72 モードスイッチ
94 受光素子
96 測光回路
98 A/D変換回路
100 露光制御装置
102 焦点距離検出機構
104 コントローラ
106 EEPROM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の撮影条件毎に対応した露出時間と絞りの組み合わせを異なるアルゴリズムで設定する複数のプログラム露出モードとして、遠距離の風景撮影に適した風景モード、近接撮影に適した近接モード、人物撮影に適した人物モード、およびノーマルモードを備え、
撮影レンズの焦点距離データ及び撮影距離データに基づいて、前記複数のプログラム露出モードの中から適切なプログラム露出モードを自動選択する撮影モード自動選択手段を備え、
この撮影モード自動選択手段は、撮影距離データに基づいて、撮影距離が所定範囲より遠い場合は風景モードを、近い場合は近接モードを選択し、撮影距離データが所定範囲内の場合は焦点距離データおよび撮影距離データにより演算した撮影倍率が所定範囲内のときは人物モードを選択し、撮影倍率が所定範囲外のときはノーマルモードを選択すること、を特徴とする撮影モード自動選択装置を備えたカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影モード自動選択装置を備えたカメラにおいて、前記撮影距離データの所定範囲は、最短撮影距離と無限遠の間であって、前記撮影モード自動選択手段は、撮影距離データが前記所定範囲内にある場合であっても、撮影倍率が設定値より小さく、かつ撮影距離データが前記所定範囲内における遠距離側である場合は風景モードを選択すること、を特徴とする撮影モード自動選択装置を備えたカメラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮影モード自動選択装置を備えたカメラは、撮影レンズを介して焦点状態を検出し、撮影レンズの焦点調節レンズ群を合焦位置まで駆動する自動焦点装置、焦点調節レンズ群の位置に基づいて撮影距離データを検出する撮影距離検出手段を備えていることを特徴とする撮影モード自動選択装置を備えたカメラ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の撮影モード自動選択装置を備えたカメラは、撮影レンズの焦点状態を検出する焦点検出手段およびその検出結果に基づいて焦点調節レンズ群を駆動するレンズ駆動手段を備え、前記焦点検出手段およびレンズ駆動手段の駆動を所定回数繰り返しても合焦しないとき、または合焦後所定時間内に焦点位置が変化したときには、動体モードを選択すること、を特徴とする撮影モード自動選択装置を備えたカメラ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撮影モード自動選択装置を備えたカメラは、前記撮影モード自動選択手段が選択したモードを識別表示する表示手段を備えたこと、を特徴とする撮影モード自動選択装置を備えたカメラ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の撮影モード自動選択装置を備えたカメラにおいて、前記撮影レンズはズームレンズであって、ズーミングによって変動した焦点距離データを検出する焦点距離検出手段を備えていること、を特徴とする撮影モード自動選択装置を備えたカメラ。
【請求項1】
所定の撮影条件毎に対応した露出時間と絞りの組み合わせを異なるアルゴリズムで設定する複数のプログラム露出モードとして、遠距離の風景撮影に適した風景モード、近接撮影に適した近接モード、人物撮影に適した人物モード、およびノーマルモードを備え、
撮影レンズの焦点距離データ及び撮影距離データに基づいて、前記複数のプログラム露出モードの中から適切なプログラム露出モードを自動選択する撮影モード自動選択手段を備え、
この撮影モード自動選択手段は、撮影距離データに基づいて、撮影距離が所定範囲より遠い場合は風景モードを、近い場合は近接モードを選択し、撮影距離データが所定範囲内の場合は焦点距離データおよび撮影距離データにより演算した撮影倍率が所定範囲内のときは人物モードを選択し、撮影倍率が所定範囲外のときはノーマルモードを選択すること、を特徴とする撮影モード自動選択装置を備えたカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影モード自動選択装置を備えたカメラにおいて、前記撮影距離データの所定範囲は、最短撮影距離と無限遠の間であって、前記撮影モード自動選択手段は、撮影距離データが前記所定範囲内にある場合であっても、撮影倍率が設定値より小さく、かつ撮影距離データが前記所定範囲内における遠距離側である場合は風景モードを選択すること、を特徴とする撮影モード自動選択装置を備えたカメラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮影モード自動選択装置を備えたカメラは、撮影レンズを介して焦点状態を検出し、撮影レンズの焦点調節レンズ群を合焦位置まで駆動する自動焦点装置、焦点調節レンズ群の位置に基づいて撮影距離データを検出する撮影距離検出手段を備えていることを特徴とする撮影モード自動選択装置を備えたカメラ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の撮影モード自動選択装置を備えたカメラは、撮影レンズの焦点状態を検出する焦点検出手段およびその検出結果に基づいて焦点調節レンズ群を駆動するレンズ駆動手段を備え、前記焦点検出手段およびレンズ駆動手段の駆動を所定回数繰り返しても合焦しないとき、または合焦後所定時間内に焦点位置が変化したときには、動体モードを選択すること、を特徴とする撮影モード自動選択装置を備えたカメラ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撮影モード自動選択装置を備えたカメラは、前記撮影モード自動選択手段が選択したモードを識別表示する表示手段を備えたこと、を特徴とする撮影モード自動選択装置を備えたカメラ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の撮影モード自動選択装置を備えたカメラにおいて、前記撮影レンズはズームレンズであって、ズーミングによって変動した焦点距離データを検出する焦点距離検出手段を備えていること、を特徴とする撮影モード自動選択装置を備えたカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【特許番号】特許第3869487号(P3869487)
【登録日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【発行日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−89579
【出願日】平成8年4月11日(1996.4.11)
【公開番号】特開平9−281541
【公開日】平成9年10月31日(1997.10.31)
【審査請求日】平成14年11月14日(2002.11.14)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【参考文献】
【文献】特開平03−233435(JP,A)
【文献】特開平04−360134(JP,A)
【文献】特開昭59−228636(JP,A)
【文献】実開平07−001441(JP,U)
【文献】特開昭59−105620(JP,A)
【登録日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【発行日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成8年4月11日(1996.4.11)
【公開番号】特開平9−281541
【公開日】平成9年10月31日(1997.10.31)
【審査請求日】平成14年11月14日(2002.11.14)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【参考文献】
【文献】特開平03−233435(JP,A)
【文献】特開平04−360134(JP,A)
【文献】特開昭59−228636(JP,A)
【文献】実開平07−001441(JP,U)
【文献】特開昭59−105620(JP,A)
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