説明

操作ユニットおよび電子機器

【課題】ポジションの切り替え時にバネが圧縮されると、組み付け時の傾き、くせ等により、案内溝の内部でバネが屈折変形を起こす場合がある。
【解決手段】操作ユニットは、球部材と、複数の静定位置のそれぞれに対応する凹部を有する凹部部材と、凹部へ球部材を付勢するバネ部材と、バネ部材と球部材を凹部方向へ案内する案内部材とを備え、案内部材は、球部材が他の凹部へ転移する時の、バネ部材の屈折変形に対して逃げ部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ユニットおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
バネと球を利用して、ユーザにクリック感を与える操作ユニットが知られている。バネと球は、ケースの案内溝に収容されており、ポジションの切り替え時にバネが圧縮、伸長される構造を有する。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開平08−146482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ポジションの切り替え時にバネが圧縮されると、組み付け時の傾き、くせ等により、案内溝の内部でバネが屈折変形を起こす場合がある。屈折変形したバネが伸長すると、屈折部が案内溝の壁面に衝打され、異音の原因となる。特に、操作方向の違いにより、異音の発生が異なる場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様における操作ユニットは、球部材と、複数の静定位置のそれぞれに対応する凹部を有する凹部部材と、凹部へ球部材を付勢するバネ部材と、バネ部材と球部材を凹部方向へ案内する案内部材とを備え、案内部材は、球部材が他の凹部へ転移する時の、バネ部材の屈折変形に対して逃げ部を有する。
【0005】
本発明の第2の態様における電子機器は、上記の操作ユニットを備える。なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】操作ユニットを備えるカメラの背面図である。
【図2】第1の実施形態としてのコマンドダイヤルの外観図である。
【図3】コマンドダイヤルの分解斜視図である。
【図4】ケースの構造を示す図である。
【図5】ダイヤルの背面斜視図である。
【図6】他の例のケースの構造を示す図である。
【図7】更に他の例のケースの構造を示す図である。
【図8】第2の実施形態としてのコマンドダイヤルの主要部品における分解斜視図である。
【図9】第3の実施形態としてのスライドスイッチの主要部品における分解斜視図である。
【図10】スライドスイッチの構造を示す図である。
【図11】ケースの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、操作ユニットを備えるカメラ100の背面図である。図示するように、被写体側(紙面奥側)からカメラ側(紙面手前側)へ向かう方向をz軸プラス方向と定め、z軸と直交する平面において紙面右側へ向かう方向をx軸プラス方向、紙面上方向をy軸プラス方向と定める。以降のいくつかの図においては、図1の座標軸を基準として、それぞれの図の向きがわかるように座標軸を表示する。
【0009】
本実施形態に係る操作ユニットは、典型的には、エンドレスに回転させるコマンドダイヤル130に適用することができる。コマンドダイヤル130は、例えば15度回転されるごとに1つの入力信号を発生するように構成されている。例えば、シャッター速度の設定に用いられる場合は、ユーザは、コマンドダイヤル130を30度回転させるごとに、シャッター速度の設定を1/2段ずつ増減させることができる。
【0010】
また、コマンドダイヤル130の他にもレリーズモードダイヤル140等にも適用できる。レリーズモードダイヤル140には、例えば、円周方向に沿って順にそれぞれ特定の位置に単写撮影モード、連写撮影モードおよびセルフタイマー撮影モードが割り当てられている。ユーザは、いずれか一つを、外装部材に記された指標と一致するようにレリーズモードダイヤル140を回転させることにより、特定のレリーズモードを選択することができる。このとき、連写撮影モードから使用頻度の低いセルフタイマー撮影モードへの回転角は、単写撮影モードと連写撮影モードの間の回転角よりも大きくすることができる。
【0011】
以下の説明においては、操作ユニットの代表例として、コマンドダイヤル130の構成を説明する。コマンドダイヤル130は、その一部がカメラ100の筐体を構成する外装部材101に設けられた開口から突出して設置されており、ユーザの操作を受けることができる。
【0012】
図2は、第1の実施形態としてのコマンドダイヤル130の外観図である。コマンドダイヤル130は、筐体内部の構造物に固定されたケース240と、ケース240に対して回転するダイヤル210とを主要な構成部材として含む。ダイヤル210は、図において点線で示す外装境界よりもz軸プラス側で外部に突出しており、ユーザは、この突出した部分を例えば右手親指により矢印方向に回転させることができる。
【0013】
ダイヤル210は、ユーザが矢印方向に回転させた場合に、30度間隔で静定する。換言すれば、ダイヤル210は、周方向に設定された合計12カ所の静定位置以外では、停止しない。ユーザは、ダイヤル210を隣接する静定位置まで回転させる時に、1度のクリック感を得る。
【0014】
コマンドダイヤル130は、ユーザによる回転操作に伴って、パルス信号を出力する。具体的には、回転方向と回転角度に応じたパルス信号が、接点ブラシ270の端子部271から送出される。
【0015】
図3は、コマンドダイヤル130の分解斜視図である。特に図3(a)は、y軸プラス側からの視点による分解斜視図であり、図3(b)は、y軸マイナス側からの視点による分解斜視図である。図示するように、コマンドダイヤル130は、ダイヤル210、ケース240、接点ブラシ270の他に、鋼球220、コイルバネ230、位相板250、軸止めビス260、固定ビス280を含む。
【0016】
ケース240には貫通穴241が設けられており、ダイヤル210と一体成形された回転軸部211が当該貫通穴241に挿入され、回転軸部211の外周面が貫通穴241の内面に対して摺動嵌合する。回転軸部211の先端部は回転止めの平行カットが施されており、ここへ位相板250に設けられた長円穴251が嵌入される。そして、位相板250は、軸止めビス260により回転軸部211へ固定される。したがって、ダイヤル210と位相板250は、ケース240を挟み込んで一体的に回動する。
【0017】
位相板250の一面には回路パターン252が形成されている。また、接点ブラシ270は、固定ビス280によりケース240に固定されている。接点ブラシ270は、複数のブラシ部272を有し、それぞれのブラシ部272は、端子部271と電気的に接続されている。ブラシ部272は、回動する回路パターン252に接触して、ダイヤル210の回転動作に伴ったパルス信号を端子部271へ出力する。
【0018】
ケース240は、鋼球220とコイルバネ230を収容し、案内する案内溝242を有する。案内溝242は、回転軸部211の回転軸に対して放射方向に設けられている。本実施形態においては、案内溝242がケース240に一体的に形成された構造を成すが、案内部材として独立した構成部材がケース240に固定される構造であっても良い。案内溝242の具体的な形状については、後に詳述する。
【0019】
鋼球220は、コイルバネ230の弾性力により、放射方向へ付勢される。ダイヤル210の内周には、30度間隔で12カ所の凹部212が設けられている。隣接する凹部212との間は、曲線で構成された凸部により接続されている。鋼球220は、静定状態においていずれかの凹部212に付勢される。ユーザがダイヤル210を回転させると、鋼球220は、一旦凸部に乗り上げてコイルバネ230を圧縮し、隣接する凹部212へ転移する。このとき、コイルバネ230の抵抗力と、凸部乗り越え時の回転速度の増加により、ユーザはクリック感を得る。
【0020】
図4は、ケース240の構造を示す図である。特に、図4(a)は、正面図を示し、図4(b)は、図4(a)におけるA−Aの断面図を示す。
【0021】
案内溝242は、上述のようにコイルバネ230を収容する機能を担うので、コイルバネ230の外形よりも大きく形成されている。また、案内溝242は、同時にコイルバネ230を案内する機能を担うので、放射方向への摺動に対してコイルバネ230が大きく傾かない程度の間隙に調整されている。
【0022】
しかし、コイルバネ230は、案内溝242に組み込まれるときの傾き、製造時における自身のくせ等により、回転動作に伴う圧縮時に案内溝242の内部で屈折変形を起こす場合がある。コイルバネ230が屈折変形を起こすと、案内溝242の壁面に接触し、異音の原因となる。特に、屈折する方向に起因して、ダイヤル210をいずれの方向に回転させるかにより、種類の異なる異音が発生することもある。そこで、本実施形態においては、案内溝242に逃げ部243を設ける。
【0023】
逃げ部243は、案内溝242においてコイルバネ230が収容されたときの、コイルバネ230の中央部分付近に対応して設けられる。その大きさは、コイルバネ230の圧縮時における屈折変形に対して接触せず、また、伸長時における反動に対しても接触しない程度に定められることが望ましい。
【0024】
また、本実施形態においては、案内溝242に貫通部244を設ける。貫通部244は、逃げ部243と同様に、案内溝242においてコイルバネ230が収容されたときの、コイルバネ230の中央部分付近に対応して設けられる。
【0025】
案内溝242は、原則として、略円筒形を成すコイルバネ230の外形を一回り大きくした空間として形成されている。すなわち、案内溝242が、コイルバネ230の径方向に対してあまり大きな幅を有すると、コイルバネ230がダイヤル210の回転に引き摺られて、放射方向から離脱するからである。特に、コイルバネ230の端のうち鋼球220を押圧する端に対応する箇所においては、鋼球220を精確に放射方向へ押圧すべく、案内溝242の幅が制限的に狭められていることが好ましい。具体的には、例えば、案内溝242の当該箇所における幅は、コイルバネ230の直径の1.2倍未満が好ましい。
【0026】
一方で、逃げ部243は、上述のように、案内溝242の中央部分付近に対応して設けられる。したがって、逃げ部243における案内溝242の幅は、コイルバネ230が鋼球220を押圧する端に対応する箇所の幅よりも広い。図4の例において逃げ部243は、放射方向に半円筒形状を成す案内溝242の中央部分付近を、当該半円筒の直径よりも大きな直径を持つ円筒を、放射方向に直交する方向から突き刺してくり抜いた形状の側面を有する。
【0027】
このように、逃げ部243と貫通部244を設けることにより、屈折変形時においてコイルバネ230が案内溝242の壁面に接触、衝突することを軽減、回避することができる。したがって、発生する異音も軽減、回避することができる。
【0028】
図5は、ダイヤル210の背面斜視図である。コイルバネ230は、ダイヤル210側に屈折変形を起こす場合がある。そこで、本実施形態においては、ダイヤル210側にも、逃げ部213を設ける。ダイヤル210は、案内溝242に収容されたコイルバネ230に対して相対的に回転動作を行うので、逃げ部213の形状は、回転軸部211の回転軸に対して同心円状の溝となる。このような逃げ部213を設けることにより、異音の発生を更に軽減、回避することが期待できる。
【0029】
図6は、他の例のケース340の構造を示す図である。特に、図6(a)は、正面図を示し、図6(b)は、図6(a)におけるB−Bの断面図を示す。図4を用いて説明したケース240は、貫通部244を設けた。しかし、図6で示す他の例のケース340では、貫通溝を設けるのではなく、案内溝342に対して逃げ部343を球面形状に形成する。このような形状を採用することにより、異音の軽減、回避を図りつつも、組み立て時におけるコイルバネ230の抜けを防ぐことができる。
【0030】
図7は、更に他の例のケース440の構造を示す図である。図4を用いて説明したケース240は、逃げ部243と共に貫通部244を設けた。しかし、図7で示す更に他の例のケース440では、案内溝442の大部分を貫通部443として形成し、案内溝442は、鋼球220が脱落しない程度の大きさに留める。コイルバネ230は、鋼球220を押圧しない端側が、ボス445により嵌着される。貫通部443は、コイルバネ230の屈折変形に対して十分な大きさを有する。一方、案内溝442のうち鋼球220を案内する部分は、鋼球220が放射方向以外の方向へ離脱しない程度の幅に制限されている。より具体的には、案内溝442の側面は、鋼球220を案内する第1円筒面と、第1円筒面よりも径の大きな、逃げ部である貫通部443の第2円筒面と、第1円筒面と第2円筒面を接続する円錐台面とより構成される。このような形状によっても、異音の軽減、回避を期待できる。
【0031】
上述の通り、逃げ部の形状は多様である。少なくとも、逃げ部の幅は、案内溝における鋼球220を案内する箇所の幅よりも広い。特に、コイルバネ230の端のうち、鋼球220を押圧する端とは反対の端を固定しないのであれば、当該端における幅は、逃げ部の幅よりも狭いことが好ましい。
【0032】
図8は、第2の実施形態としてのコマンドダイヤル500の主要部品における分解斜視図である。図3等を用いて説明した第1の実施形態におけるコマンドダイヤル130と共通な構成部材の一部を、省略して示す。
【0033】
第1の実施形態におけるコマンドダイヤル130は、案内溝242を、固定側であるケース240に備えた。第2の実施形態におけるコマンドダイヤル500は、案内溝512を、回転側であるダイヤル510に備える。
【0034】
ケース540には貫通穴541が設けられており、ダイヤル510と一体成形された回転軸部511が当該貫通穴541に挿入され、回転軸部511の外周面が貫通穴541の内面に対して摺動嵌合する。ダイヤル510は、鋼球520とコイルバネ530を収容し、案内する案内溝512を有する。案内溝512は、回転軸部511の回転軸に対して放射方向に設けられている。鋼球520は、コイルバネ530の弾性力により、放射方向へ付勢される。ただし、本実施形態における付勢方向は、第1の実施形態における付勢方向と逆向きである。
【0035】
ケース540には貫通穴541周りに、30度間隔で12カ所の凹部542が設けられている。隣接する凹部542との間は、曲線で構成された凸部により接続されている。鋼球520は、静定状態においていずれかの凹部542に付勢される。ユーザがダイヤル510を回転させると、鋼球520は、一旦凸部に乗り上げてコイルバネ530を圧縮し、隣接する凹部542へ転移する。このとき、コイルバネ530の抵抗力と、凸部乗り越え時の回転速度の増加により、ユーザはクリック感を得る。
【0036】
案内溝512は、球面形状に形成された逃げ部513を有する。このように、逃げ部513を設けることにより、屈折変形時においてコイルバネ530が案内溝512の壁面に接触、衝突することを軽減、回避することができる。したがって、発生する異音も軽減、回避することができる。もちろん、図4を用いて説明したような貫通部を設けても良いし、図7を用いて説明したような貫通部とボスを設けても良い。
【0037】
ケース540は、逃げ部543を有する。本実施形態の場合、コイルバネ530がケース540に対して相対的に回転動作を行うので、逃げ部543の形状は、貫通穴541の中心軸に対して同心円状の溝となる。このような逃げ部543を設けることにより、異音の発生を更に軽減、回避することが期待できる。
【0038】
図9は、第3の実施形態としてのスライドスイッチ600の主要部品における分解斜視図である。第1の実施形態と第2の実施形態においては、回転ダイヤルとしての操作ユニットを説明した。第3の実施形態では、キートップ610が平行に移動されてスイッチングが行われるスライドスイッチ600を操作ユニットとして説明する。
【0039】
スライドスイッチ600は、図示するように、キートップ610、鋼球620、コイルバネ630、ケース640、位相板650、固定ビス660を含む。
【0040】
ケース640には貫通穴641が設けられており、キートップ610と一体成形されたスライド軸部611が当該貫通穴641に挿入され、スライド軸部611の外周面が貫通穴641の内壁面に対して摺動嵌合する。位相板650は、固定ビス660によりスライド軸部611へ固定される。したがって、キートップ610と位相板650は、ケース640を挟み込んで一体的にスライドする。位相板650の一面には図示しない回路パターンが形成されており、図示しない接点ブラシが接触する。接点ブラシは、キートップ610のスライド動作に伴ったパルス信号を出力する。
【0041】
ケース640は、鋼球620とコイルバネ630を収容し、案内する案内孔642を有する。案内孔642は、スライド軸部611の軸方向と平行に設けられている。案内孔642の具体的な形状については、後に詳述する。
【0042】
鋼球620は、コイルバネ630の弾性力により、キートップ610の方向へ付勢される。キートップ610の対向面には、スライド方向に沿って3カ所の凹部612が設けられている。隣接する凹部612との間は、曲線で構成された凸部により接続されている。鋼球620は、静定状態においていずれかの凹部612に付勢される。ユーザがキートップ610をスライドさせると、鋼球620は、一旦凸部に乗り上げてコイルバネ630を圧縮し、隣接する凹部612へ転移する。このとき、コイルバネ630の抵抗力と、凸部乗り越え時のスライド速度の増加により、ユーザはクリック感を得る。
【0043】
図10は、スライドスイッチ600の構造を示す図である。特に、図10(a)は、正面図を示し、図10(b)は、図10(a)におけるC−Cの断面図を示し、図10(c)は、図10(a)の底面図を示す。
【0044】
案内孔642の具体的な形状は後述するが、案内孔642の底部にはボス645が設けられており、コイルバネ630は、鋼球620を押圧しない端側が、ボス645により嵌着される。
【0045】
案内孔642は、側方空間が開放された逃げ部643を有する。逃げ部643は、案内孔642においてコイルバネ630が収容されたときの、コイルバネ630の中央部分付近に対応して設けられる。このように、逃げ部643を設けることにより、屈折変形時においてコイルバネ630が案内孔642の壁面に接触、衝突することを軽減、回避することができる。したがって、発生する異音も軽減、回避することができる。
【0046】
図11は、ケース640の構造を示す図である。特に、図11(a)は、正面図を示し、図11(b)は、図11(a)におけるD−Dの断面図を示し、図11(c)は、図11(a)の底面図を示す。また、図11(d)は、図11(a)におけるE−Eの断面図を示し、図11(e)は、図11(a)の側面図を示す。図11(f)は、斜視図である。
【0047】
図示するように、案内孔642は、四隅に設けられた柱体646に囲まれた空間として形成される。そして、隣接する柱体646間の空間が、逃げ部643として存在する。もちろん、逃げ部243としての空間が存在すれば良いので、四隅を柱体646で形成するほかにも、様々な形状を採用し得る。例えば、円筒形状に形成した案内孔の中央部に、球面状の逃げ部空間を形成しても良い。
【0048】
以上説明した実施形態においては、回転部材としての回転ダイヤル、スライド部材としてのキートップが、ユーザの操作を受けて変位する変位部材として機能する。また、各々対応するケースが、変位部材を支持する支持部材として機能する。また、それぞれに設けられた凹部は、凹部部材の一部として機能する。
【0049】
以上説明した実施形態においては、操作ユニットの適用例について、カメラ100を説明したが、操作ユニットの適用例はこれに限らない。回転ダイヤル機構、スライド機構など、球部材とバネ部材を用いてクリック感を発生させる機構を有する操作ユニットであれば、物理的なロックを解除する鍵ユニットの一部に組み込む等の適用が考えられる。この場合は、電気的なパルス信号を発生させることが無いので、位相板等を備えない。しかしながら、本実施形態における操作ユニットは、特に、電気的なパルス信号を発生させる操作部として電子機器に組み込まれた場合に、感触の良い操作感を提供する。適用される電子機器としては、コンパクトデジタルカメラ、ミラーレスカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置に止まらず、携帯電話、ゲーム機器などの携帯端末、その他据え置き型の各種装置などが挙げられる。
【0050】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0051】
100 カメラ、130 コマンドダイヤル、140 レリーズモードダイヤル、210 ダイヤル、211 回転軸部、212 凹部、213 逃げ部、220 鋼球、230 コイルバネ、240 ケース、241 貫通穴、242 案内溝、243 逃げ部、244 貫通部、250 位相板、251 長円穴、252 回路パターン、260 軸止めビス、270 接点ブラシ、271 端子部、272 ブラシ部、280 固定ビス、340 ケース、342 案内溝、343 逃げ部、440 ケース、442 案内溝、443 貫通部、445 ボス、500 コマンドダイヤル、510 ダイヤル、511 回転軸部、512 案内溝、513 逃げ部、520 鋼球、530 コイルバネ、540 ケース、541 貫通穴、542 凹部、543 逃げ部、600 スライドスイッチ、610 キートップ、611 スライド軸部、612 凹部、620 鋼球、630 コイルバネ、640 ケース、641 貫通穴、642 案内孔、643 逃げ部、645 ボス、646 柱体、650 位相板、660 固定ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球部材と、
複数の静定位置のそれぞれに対応する凹部を有する凹部部材と、
前記凹部へ前記球部材を付勢するバネ部材と、
前記バネ部材と前記球部材を前記凹部方向へ案内する案内部材と
を備え、
前記案内部材は、前記球部材が他の前記凹部へ転移する時の、前記バネ部材の屈折変形に対して逃げ部を有する操作ユニット。
【請求項2】
ユーザの操作を受けて変位する変位部材と、
変位可能に前記変位部材を支持する支持部材と
を備え、
前記凹部部材は、前記変位部材と一体的に形成され、前記案内部材は、前記支持部材と一体的に形成される請求項1に記載の操作ユニット。
【請求項3】
前記変位部材も、前記バネ部材の前記屈折変形に対して逃げ部を有する請求項2に記載の操作ユニット。
【請求項4】
ユーザの操作を受けて変位する変位部材と、
変位可能に前記変位部材を支持する支持部材と
を備え、
前記凹部部材は、前記支持部材と一体的に形成され、前記案内部材は、前記変位部材と一体的に形成される請求項1に記載の操作ユニット。
【請求項5】
前記支持部材も、前記バネ部材の前記屈折変形に対して逃げ部を有する請求項2に記載の操作ユニット。
【請求項6】
前記変位部材は、回転部材であり、
前記凹部方向は、前記回転部材の回転方向に対する径方向である請求項2から5のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項7】
前記変位部材は、スライド部材であり、
前記凹部方向は、前記スライド部材のスライド方向に直交する方向である請求項2から5のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項8】
前記案内部材は、前記バネ部材と前記球部材を前記凹部方向へ案内する案内溝を有し、前記案内部材に設けられた前記逃げ部の幅は、前記案内溝における前記球部材を案内する箇所の幅よりも広い請求項1から7のいずれか1項に記載の操作ユニット。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の操作ユニットを備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−105101(P2013−105101A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250009(P2011−250009)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】