説明

操作入力装置及びそれを備える電子機器

【課題】低背化が容易な、操作入力装置を提供すること。
【解決手段】コイル11と、操作入力の作用によりコイル11の軸方向に平行なZ方向に変位する操作部12と、操作部12の変位によりコイル11の内部に挿入されるコア13とを備え、コア13は、コイル11に挿入される先端部に、Z方向に直交するXY平面内の方向の断面積が、コイル11から離れる方向に操作部12との距離が短くなるにつれて漸次単調増加する挿入部14を有し、コイル11の軸方向の長さb2は、挿入部14のZ方向の長さa2よりも短いことを特徴とする操作入力装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作入力の作用によりコイルの軸方向に変位する操作部を備える操作入力装置、及びそれを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高周波電流が流れるコイル内に、導電性部材が可動部の押操作により挿入されることによって、コイルのインピーダンスが変化することを利用して、その変化量に応じたアナログ出力信号を出力するボタンスイッチが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このボタンスイッチは、コイルのインピーダンスの変化を、可動部の押量の変化として検出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−71875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、コイル111の自己インダクタンスの変化を、操作部112の操作量(変位量)の変化として検出する従来の操作入力装置を簡略して示した断面図である。図1の操作入力装置は、コイル111と、操作入力の作用によりコイル111の軸方向に変位する操作部112と、操作部112の変位によりコイル111の内部に挿入されるコア113とを備えている。
【0005】
しかしながら、コイル111に挿入されたコア113の下端がコイル111の下端よりも下方に突き抜けた状態では、操作部112が変位してもコイル111の自己インダクタンスが変化しないため、操作部112の変位量を正しく検出することができない。したがって、コア113がコイル111に挿入されてからも操作部112の変位量を検出するためには、コイル111の長さb1を、コア113がコイル111に挿入されてからの変位量a1と等しいかそれよりも長くする必要がある。そのため、操作入力装置及びそれを備える電子機器の高さを抑えること(低背化)が難しい。
【0006】
そこで、本発明は、低背化が容易な、操作入力装置及びそれを備える電子機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る操作入力装置は、
コイルと、
操作入力の作用により前記コイルの軸方向に変位する操作部と、
前記操作部の変位により前記コイルの内部に挿入されるコアとを備え、
前記コアは、前記軸方向に直交する方向の断面積が前記軸方向に漸次変化する挿入部を有し、
前記コイルは、前記挿入部よりも前記軸方向の長さが短いことを特徴とするものである。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る電子機器は、本発明に係る操作入力装置を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、操作入力装置及びそれを備える電子機器の低背化を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来の操作入力装置を簡略して示した断面図である。
【図2】本発明の一実施形態である操作入力装置を簡略して示した断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例である操作入力装置1の斜視全体図である。
【図4】操作入力装置1の斜視分解図である。
【図5】操作入力装置1の断面図である。
【図6】操作部22が押し込まれていない状態において、コイル21の周囲に生ずる磁束Φとコア23の挿入部24との位置関係を示した図である。
【図7】操作部22が押し込まれている状態において、コイル21の周囲に生ずる磁束Φとコア23の挿入部24との位置関係を示した図である。
【図8】操作入力装置1を基板51に取り付けた状態を示した断面図である。
【図9】挿入部の形状が互いに異なるコアを示した図である。
【図10】挿入部の形状が互いに異なるコア毎に、操作部22の変位量Sとコイル21の自己インダクタンスLとの関係を示したグラフである。
【図11】本発明の第2の実施例である操作入力装置2の斜視分解図である。
【図12】操作入力装置2の断面図である。
【図13】本発明の第3の実施例である操作入力装置3の上方からの斜視全体図である。
【図14】操作入力装置3の斜視分解図である。
【図15】操作入力装置3の下方からの斜視全体図である。
【図16】操作入力装置3の断面図である。
【図17】図16の一部拡大図である。
【図18】操作入力装置3を基板51に取り付けた状態を示した斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。図2は、本発明の一実施形態である操作入力装置を簡略して示した断面図である。
【0012】
操作入力装置は、X,Y,Z軸によって定まる直交座標系において、XY平面の法線方向側から入力される操作入力を操作部12で受ける操作インターフェイスである。操作入力は、操作者(ユーザ)の手指等によって直接又は間接的に操作部12に作用する。操作入力装置は、操作部12で受けた操作入力に応じて変化する出力信号を出力する。その出力信号に基づいて操作者による操作入力が検出される。操作入力の検出によって、その検出された操作入力に対応する操作内容をコンピュータに把握させることができる。
【0013】
操作入力装置は、例えば、所定のホストに搭載又は接続される。ホストの具体例として、携帯端末(携帯電話、携帯ゲーム機、音楽や映像の携帯プレーヤーなど)、ゲーム機、パーソナルコンピュータ、車両用コンピュータ、操作コントローラ、マウス、電化製品などの電子機器が挙げられる。操作入力装置とホストとの接続形態は、有線接続でもよいし、無線接続でもよい。また、操作入力装置自体が、操作コントローラやマウスなどの電子機器であってもよい。
【0014】
操作入力装置は、例えば、そのようなホストに搭載又は接続されるディスプレイの画面上に表示されるオブジェクトを、操作者が意図した操作内容に従って、移動させることができる。画面上に表示されるオブジェクトは、例えば、カーソルやポインタなどの指示表示である。キャラクターなどの表示物でもよい。また、操作者が所定の操作入力を与えることにより、その操作入力に対応する電子機器の所望の機能を発揮させることができる。
【0015】
図2の操作入力装置は、コイル11と、操作入力の作用によりコイル11の軸方向に変位する操作部12と、操作部12の変位によりコイル11の内部に挿入されるコア13とを備えている。図2の操作入力装置は、コイル11の自己インダクタンスの変化を、操作部12の操作量(変位量)の変化として検出するものである。
【0016】
コア13は、コイル11に挿入される先端部に、コイル11の軸方向に直交する方向の断面積がその軸方向に漸次変化する挿入部14を有している。図2の場合、コイル11の軸方向は、Z方向に平行であり、挿入部14の断面積は、Z方向に直交するXY平面内の面積である。挿入部14の断面積は、コイル11から離れる方向に操作部12との距離が短くなるにつれて、漸次単調増加している。このような構成によれば、コイル11の内周側面と挿入部14とのXY平面内の方向における距離が、挿入部14がコイル11に挿入されてからの変位量に応じて変化する。そのため、コア13がコイル11に挿入されてからも、操作部12の変位量に応じて、コイル11の自己インダクタンスを変化させることができる。
【0017】
また、挿入部14の断面積がコイル11の軸方向に漸次変化するので、コア13の下端(挿入部14の下端)がコイル11の下端よりも下方に突き抜けた状態でも、操作部12の変位量を正しく検出できる。したがって、コイル11のZ方向の長さb2を、挿入部14のZ方向の長さa2(すなわち、コア13の断面積がZ方向に漸次変化する部分の長さ)よりも短くできるため、操作部12の変位量に対してコイル11の長さb2を容易に短くできる。その結果、操作入力装置及びそれを備える電子機器の低背化を容易に実現できる。また、コイルの使用量が減少するので、操作入力装置の低価格化も容易に実現できる。
【0018】
次に、本発明の一実施形態である操作入力装置の構成について更に詳細に説明する。
【0019】
図3は、本発明の第1の実施例である操作入力装置1の斜視全体図である。図4は、操作入力装置1の斜視分解図である。図5は、操作入力装置1の断面図である。操作入力装置1は、コイル21と、ケース26と、端子27と、操作部22と、コア23と、スプリング25とを備える。
【0020】
コイル21は、円筒状に線材(導線)が巻かれた巻線コイルである。コイル21は、円筒状であるが、角筒状等の他の筒状の形状でもよい。コイル21は、ケース26の円筒部の外側側面に巻き回されて固定されている。すなわち、ケース26は、いわゆるボビンとして機能している。コイル21は、ケース26に固定された端子27に電気的に接続されていて、端子27を介して、所定の外部回路に電気的に接続されている。コイル21の一方の端部は、端子27Aに接続され、コイル21のもう一方の端部は、端子27Bに接続される。
【0021】
操作部22は、樹脂等の非磁性体で成形され、押部31と、胴部32とを有している。押部31は、Z方向の操作入力が直接又は間接的に作用する円盤状の頭頂部である。胴部32は、押部31のコイル21側の中央部から突出する円筒状部材である。
【0022】
コア23は、操作部22に作用する操作入力により、コイル21の軸方向(図の場合、操作入力装置1の上下方向)に変位する軟磁性体である。コア23は、操作入力が直接又は間接的に作用する操作部22の動きに連動して、コイル21の軸線方向に変位する。コア23は、胴部32の内部に固定されている。
【0023】
コア23は、コイル21に挿入される先端部に、コイル21の軸方向に直交する方向の断面積がその軸方向に漸次変化する挿入部24を有している。挿入部24は、コア23のコイル21側の先端に向けて次第に細くなるテーパー状の形状を有している。挿入部24の断面積は、コイル21から離れる方向に操作部22との距離が短くなるにつれて、漸次単調増加している。
【0024】
コア23は、ケース26の円筒部43の内側の空間を移動する。コア23は、胴部32の外周側面が円筒部43の内周側面44に沿ってスライドする。コア23の変位量は、コア23の上方から作用する操作入力の入力量に応じて、連続的に変化する。コア23は、コア23の上方から作用する操作入力により、コイル21の軸線上を変位することによって、コイル21の自己インダクタンスを変化させる変位部材である。コア23がコイル21の内部に挿入される方向にストロークするにつれて、コイル21の自己インダクタンスは増加し、コア23がコイル21の内部に挿入される方向に対して反対方向にストロークするにつれて、コイル21の自己インダクタンスは減少する。
【0025】
コア(挿入部を含む)は、例えば、比透磁率が1よりも高い材質であればよく、比透磁率が1.001以上あると好適である。具体的には、鉄、鉄の合金(鋼など)が挙げられる。鉄の比透磁率は5000である。コアは、例えば、鋼板からプレス成形されるとよい。これにより、例えば鋳型成形する場合に比べて、製造工程を簡略化でき、コストを削減できる。
【0026】
コイルスプリング25は、コア23が取り付けられた操作部22を、コイル21の軸線方向に変位可能に弾性的に支持する支持部材である。コイルスプリング25は、操作部22が操作入力によって押し込まれる向きとは反対向きに、操作部22を押し戻す反力を発生させる弾性体である。コイルスプリング25は、ケース26の円筒部43の外周側面を取り囲むように配置されている。
【0027】
コア23がコイル21に挿入される方向とは反対向きの復帰力が、コイルスプリング25によって操作部22に予め付与されるように、コイルスプリング25は、操作部22とケース26との間に配置されている。図示の構成の場合、コイルスプリング25の上端部は、操作部22の押部31の下面に接触し、コイルスプリング25の下端部は、ケース26の円筒部43の外周側面から突き出たフランジ部42に接触している。
【0028】
操作入力が操作部22に作用していない操作初期状態で、操作部22とケース25が係合することによって、操作部22の初期位置がコイルスプリング25の復帰力によって固定される。スナップフィット33は、操作部22の胴部32の側面に形成された係止部であり、操作部22がZ方向に変位できるように、ケース26の円筒部43の側面にZ方向に設けられた溝41と係合する。スナップフィット33は、Z方向を長手方向とする溝41に沿ってスライドする。スナップフィット33は、溝41と係合することで、操作部22がZ方向周りに回転することを規制する回転止めとして機能する。また、スナップフィット33は、スナップフィット33の爪部が溝41の上端部に引っ掛かることで、操作部22がケース26から抜けることを防止する抜け止めとして機能する。図5は、スナップフィット33Aと33Bの爪部が、それぞれ、溝41A,41Bの上端部に引っ掛かっている状態を示している。
【0029】
また、コア23が板状部材である場合、プレス加工がしやすいため、コア23を安価且つ容易に製造できる。また、胴部32の中央部に固定されるコア23を板状にすることで、コア23の板厚方向(図5の場合、X方向)において、コイル21とコア23との間隔を大きくできる。これにより、スナップフィット33等の係止部を配置する場所を容易に確保でき、操作部22のケース26への組み付け性も向上する。
【0030】
操作部22の変位によりコイル21とコア23との位置関係が変化すると、コイル21周辺の透磁率が変化するため、コイル21の自己インダクタンスが変化する。コイル21は、そのインダクタンスの変化に応じて、操作部22の変位量(コア23の変位量)に応じた信号波形を出力する。したがって、その信号波形を検出することによって、操作部22の変位量(操作量)を算出できる。
【0031】
操作部22に操作入力が作用していない操作初期状態において、挿入部24の下端がコイル21の上端面よりも高い位置にあってもよいが、図6に示されるように、挿入部24の下端をコイル21の上端面と同じ高さにすることによって、操作入力装置及びそれを備える電子機器を一層低背化できる。なお、操作部24の下端がコイル21の上端面よりも低い位置にあってもよい。
【0032】
また、操作部22が最も押し込まれた状態で、コア23の最も太い部分(図7の場合、挿入部24の上端部)がコイル21の上端面と同じ高さになるようにコア23を形成するとよい。これにより、コイル21への挿入部24の挿入量に対してコイル21の自己インダクタンスを効率的に変化させることができる。図7において、F1は、操作部22に作用する操作入力を表し、F2は、コイルスプリング25によって操作部22を押し戻す反力を表している。
【0033】
所定の外部回路がコイル21に電流を流した際に発生する磁束Φは、理論的には、コイル21が無限長であれば、コイル21の内周部のどの部分においても等しい値となる。図6,7中の矢印は、磁束Φの方向を示している。しかし、コイル21が有限長であれば、コイル21に近いほど磁束密度は高い傾向となる。そのため、コア23の先端部を断面積が漸次変化する形状とすることで、操作部22の変位量が多くなるほど、比透磁率の高いコア23が磁束密度の高いコイル21の近傍に近づく。これにより、より多くの磁束Φが流れるため、コイル21の自己インダクタンスが増加する。したがって、コイル21の高さを操作部22の変位量(操作部22のストローク長)よりも低くしても、コイル21の自己インダクタンスを変化させることができる。コイル21の自己インダクタンスの変化を検知することで、操作部22の変位量を検出できる。
【0034】
図8は、操作入力装置1を基板51に取り付けた状態を示した断面図である。基板51には、コイル21を通過した挿入部24が基板51に接触することを防ぐ逃げ穴52が形成されている。逃げ穴52を設けることによって、操作入力装置1と基板51を合わせた全高を低くできる。基板51は、例えば、上述の携帯端末等の電子機器に搭載される基板である。
【0035】
基板51には、例えば、コイル21に電流を流すことによって操作部22の変位量を検出する外部回路50が実装されている。外部回路50は、例えば、コイル21のインダクタンスの変化を検出する検出部を備えている。
【0036】
検出部は、コイルのインダクタンスの変化を電気的に検出することで、操作部の連続的に変化するアナログ変位量に応じた検出信号を出力する検出手段である。検出部は、不図示の基板に実装される検出回路によって構成されるとよい。
【0037】
例えば、検出部は、コイルのインダクタンスの変化に等価的に変化する物理量を検出し、その物理量の検出値を操作部の変位量に等価な値として出力する。また、検出部は、コイルのインダクタンスの変化に等価的に変化する物理量を検出することによりコイルのインダクタンスを算出し、そのインダクタンスの算出値を操作部の変位量に等価な値として出力するものでもよい。また、検出部は、その物理量の検出値又はそのインダクタンスの算出値から操作部の変位量を演算し、その変位量の演算値を出力するものでもよい。
【0038】
具体的には、検出部は、パルス信号をコイルに供給することによって、コイルのインダクタンスの大きさに対応して変化する信号波形をコイルに発生させ、その信号波形に基づいてコイルのインダクタンスの変化を電気的に検出するとよい。
【0039】
例えば、コイルの上端面の上方領域における操作部の下方への変位量が増加するにつれて、コイル周辺の透磁率が増加し、コイルのインダクタンスが増加する。コイルのインダクタンスが増加するにつれて、パルス信号の供給によりコイルの両端に発生するパルス電圧波形の振幅も大きくなる。そこで、その振幅をコイルのインダクタンスの変化に等価的に変化する物理量とすることで、検出部は、その振幅を検出することによって、その振幅の検出値を操作部の変位量に等価な値として出力することができる。また、検出部は、その振幅の検出値からコイルのインダクタンスを算出し、そのインダクタンスの算出値を操作部の変位量に等価な値として出力することもできる。
【0040】
また、コイルのインダクタンスが増加するにつれて、パルス信号の供給によりコイルに流れるパルス電流波形の傾きが緩やかになる。そこで、その傾きをコイルのインダクタンスの変化に等価的に変化する物理量とすることで、検出部は、その傾きを検出することによって、その傾きの検出値を操作部の変位量に等価な値として出力することができる。また、検出部は、その傾きの検出値からコイルのインダクタンスを算出し、そのインダクタンスの算出値を操作部の変位量に等価な値として出力することもできる。
【0041】
検出部は、例えば、コイルに第1のパルス信号を供給することによってコイルのインダクタンスの変化を検出する検出手段である。検出部は、コイルに第1のパルス信号に対応するパルス電流(第1のパルス電流)を供給することによってコイルの両端に発生するパルス電圧(第1のパルス電圧)に基づいて、コイルのインダクタンスの変化を検出する。コイルのインダクタンスの変化の検出結果に応じて、操作部の変位量を算出することができる。
【0042】
また、外部回路50は、コイル21に電流を流すことによって、操作部22を強制的に可動させる制御部を有してもよい。
【0043】
制御部は、例えば、コイルに第1のパルス信号に対して位相が異なる第2のパルス信号を供給することによって操作部を可動させる磁界を発生させる制御手段である。コイルに第2のパルス信号に対応するパルス電流(第2のパルス電流)が流れることによって生ずる磁界によって、操作部をコアと共にコイルに引き寄せたり引き離したりする力が発生する。コイルに第2のパルス信号が供給されることによって生ずる力の大きさ変動によって、操作部を振動させる。すなわち、第2のパルス信号は、一時的に振幅が変化する信号であるので、操作部に与える力の大きさに変動を与えることができる。
【0044】
第1のパルス信号及び第2のパルス信号は、矩形波でもよいし、三角波でもよいし、ノコギリ波でもよい。
【0045】
ところで、上述のコア23の形状は、挿入部24の形状も含め板形状であったが、錐体形状の挿入部を有する柱体形状でもよい。例えば、図9Aに示されるように、円錐形状の挿入部を有する円柱状のコア63Aでもいし、図9Bに示されるように、角錐形状の挿入部を有する角柱状のコア63Bでもよい。また、図9C,9Dに示されるように、テーパー側面がコアの軸方向に湾曲する挿入部を有するコア63C,63Dでもよい。
【0046】
図10は、挿入部の形状が互いに異なるコア毎に、操作部22の変位量Sとコイル21の自己インダクタンスLとの関係を示したグラフである。このように、挿入部の形状を変更することで、変位量Sに対する自己インダクタンスLの変化率を調整できる。したがって、例えば変位量Sが小さいときの自己インダクタンスLの変化を大きくするなど、変位量Sを検出するための自在なインダクタンスプロファイルを作成できる。
【0047】
図11は、本発明の第2の実施例である操作入力装置2の斜視分解図である。図12は、操作入力装置2の断面図である。上述の実施例と同様の構成についての説明は省略する。操作入力装置2は、図4の操作入力装置1のコア23に代えて、片側のみがテーパー状の左右非対称の挿入部74が形成された板状のコア73を有している。
【0048】
コア73は、コイル21に挿入される先端部に、コイル21の軸方向に直交する方向の断面積がその軸方向に漸次変化する挿入部74を有している。挿入部74の断面積は、コイル21から離れる方向に操作部22との距離が短くなるにつれて、漸次単調増加している。
【0049】
図13は、本発明の第3の実施例である操作入力装置3の上方からの斜視全体図である。図14は、操作入力装置3の斜視分解図である。上述の実施例と同様の構成についての説明は省略する。操作入力装置3は、図4の操作入力装置1のコイル21に代えて、パターンコイルが設けられた基板56を有し、操作入力装置1のケース26に代えて、ケース28を有している。
【0050】
パターンコイルは、基板56に平面的に形成された導体パターンを有する平面コイル(プレーナコイル)である。平面コイルを採用することによって、操作入力装置3及びそれを備える電子機器の低背化を容易に実現できる。導体パターンの材質は、例えば銅である。基板56の中央部に形成された開口部57の周囲に、パターンコイルが配置されている。
【0051】
図15は、操作入力装置3の下方からの斜視全体図である。基板56の裏面の四隅には、ランド58が設けられている。4つのランド58のうち、一対のランドは、基板56のパターンコイルにパターン配線を介して接続されている。パターンコイルは、この一対のランドを介して、所定の外部回路に接続されている。もう一方の一対のランドは、その外部回路が実装される基板に操作入力装置3を表面実装で固定するためのランドである。
【0052】
図16は、操作入力装置3の断面図である。図17は、図16の一部拡大図である。基板56は、絶縁性の基材91と、基材91と重ね合わせて配置されたパターンコイル92とを有している。パターンコイル92は、基板56の内層に層状に配置されている。なお、パターンコイル92は、基板56の表面又は裏面に片面実装されてもよいし、基板56に両面実装されてもよい。
【0053】
図18は、操作入力装置3を基板51に取り付けた状態を示した斜視断面図である。基板51には、例えば、基板56のパターンコイルに電流を流すことによって操作部22の変位量を検出する外部回路が実装されている。基板51には、基板56のパターンコイルを通過した挿入部24が基板51に接触することを防ぐ逃げ穴52が形成されている。逃げ穴52を設けることによって、操作入力装置3と基板51を合わせた全高を容易に低くできる。
【0054】
コア23は、ケース28の円筒部83の内側の空間を移動する。コア23は、操作部22の胴部の外周側面が円筒部83の内周側面84に沿ってスライドする。コア23は、コア23の上方から作用する操作入力により、基板56のパターンコイルの軸線上を変位することによって、パターンコイルの自己インダクタンスを変化させる変位部材である。コア23がパターンコイルの内部に挿入される方向にストロークするにつれて、パターンコイルの自己インダクタンスは増加し、コア23がパターンコイルの内部に挿入される方向に対して反対方向にストロークするにつれて、パターンコイルの自己インダクタンスは減少する。
【0055】
コイルスプリング25は、ケース28の円筒部83の外周側面を取り囲むように配置されている。コア23がパターンコイルに挿入される方向とは反対向きの復帰力が、コイルスプリング25によって操作部22に予め付与されるように、コイルスプリング25は、操作部22とケース28との間に配置されている。図示の構成の場合、コイルスプリング25の上端部は、操作部22の押部の下面に接触し、コイルスプリング25の下端部は、ケース28の円筒部83の外周側面から突き出たフランジ部82に接触している。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形、改良及び置換を加えることができる。上述の実施例それぞれの各部の構成を組み合わせてもよい。
【0057】
例えば、上述の実施例のコアは、操作部との距離が近くなるにつれて断面積が漸次単調増加する挿入部を有するものであるが、操作部との距離が近くなるにつれて断面積が漸次単調減少する挿入部を有するものでもよい。また、コアと挿入部は、同一部品で構成されずに、別部品で構成されてもよい。
【0058】
また、操作部を弾性的に支持する支持部材は、コイルスプリングに限らず、ゴム部材でもよいし、スポンジ部材でもよいし、空気や油が充填されたシリンダーなどの弾性体でもよい。
【0059】
また、本発明の操作入力装置は、手指に限らず、手のひらで操作するものあってもよい。また、足指や足の裏で操作するものであってもよい。また、操作者が触れる面は、平面でも、凹面でも、凸面でもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 操作入力装置
11,21,111 コイル
12,22,112 操作部
13,23,113 コア
14,24 挿入部
25 スプリング
26,28 ケース
27 端子
31 押部
32 胴部
33 スナップフィット
41 溝
42 フランジ部
43 円筒部
44 内周側面
50 外部回路
51 基板
52 逃げ穴
56 基板
57 開口部
58 ランド
63A,63B,63C,63D コア
73 コア
74 挿入部
81 溝
82 フランジ部
83 円筒部
84 内周側面
91 基材
92 パターンコイル
Φ 磁束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、
操作入力の作用により前記コイルの軸方向に変位する操作部と、
前記操作部の変位により前記コイルの内部に挿入されるコアとを備え、
前記コアは、前記軸方向に直交する方向の断面積が前記軸方向に漸次変化する挿入部を有し、
前記コイルは、前記挿入部よりも前記軸方向の長さが短い、操作入力装置。
【請求項2】
前記コアは、板状である、請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項3】
前記軸方向に設けられた溝を有するケースを備え、
前記コアは、前記操作部の内部に配置され、
前記操作部は、前記コアの板厚方向の側面に、前記溝と係合する係止部を有する、請求項2に記載の操作入力装置。
【請求項4】
前記コイルは、平面コイルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項5】
前記平面コイルは、基板に形成されたパターンコイルである、請求項4に記載の操作入力装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の操作入力装置を備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−69169(P2013−69169A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208046(P2011−208046)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】