説明

操作入力装置

【課題】操作部を所定の角度まで傾倒させるのに必要な押し込み量を容易に小さくできる、操作入力装置の提供。
【解決手段】操作入力の作用により傾倒するキー10と、キー10の中心軸C1とキー10の外縁部11との距離d2よりも中心軸C1との距離d1が短い位置に内縁21aを有する開口部21が設けられたケース20と、ケース20の内側に配置され、キー10の傾倒を検出する上ヨーク30及びコイル61,63と、キー10が開口部21の上ヨーク30側の開口周囲部24を支点に傾倒できるように、キー10を開口部21から突き出る方向に付勢するリターンバネ40とを備える、操作入力装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作入力の作用により傾倒(チルト)する操作部を備える、操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1Aは、特許文献1に開示された操作入力装置1の断面図である。図1Aは、操作入力が付与されていない初期状態を示している。操作入力装置1は、コイル271,272,273の上側に上ヨーク260を備え、コイル271,272,273の下側に下ヨーク280を備える。上ヨーク260は、コイル271に対向するコア261を有し、コイル273に対向するコア263を有する。下ヨーク280は、基板290に設置される。
【0003】
キー240は、ケース230の開口部231との嵌合により、X方向及びY方向で保持され、Z方向に移動可能に支持された操作部である。キー240は、コイル状のリターンバネ250によりZ方向へ初期荷重が与えられた状態で、ケース230の上側内面232に当接している。リターンバネ250は、その一方の端がキー240の下面中央部に当接し、もう一方の端が下ヨーク280の上面中央部に当接する。リターンバネ250は、キー240の下面に設置される上ヨーク260の中央部に設けられた孔を貫通している。上ヨーク260は、磁性体(例えば、鋼板、フェライト)によって成形され、キー240と同一の動きを伴う。
【0004】
図1Bは、キー240をXY平面に対してコイル271側に傾ける操作入力が付与された傾倒状態での操作入力装置1の正面視断面図である。このような操作入力が付与されると、カバー230の上側内面232(図上、左側の上側内面232)を傾倒支点として、上ヨーク260及びコア261がコイル271に近接する。上ヨーク260及びコア261がコイル271に近接することによって、コイル271を取り巻く周辺の透磁率が上昇し、コイル271の自己インダクタンスが増加する。キー240が他の方向に傾いた場合も同様に考えることができる。したがって、各コイルのインダクタンスを評価することによって、キー240の傾倒方向とその傾倒量が検出できる。
【0005】
また、キー240がカバー230の上側内面232を支点として傾倒する場合、その傾倒動作は、キー240の下面中央部に形成された突起部が止め具281に接触することで止まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−3536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の場合、操作部(上述の操作入力装置1の場合、キー240)の傾倒支点が操作入力の作用点よりも操作部の中心軸から離れている。そのため、操作部をXY平面に対して所定の角度まで傾倒させるのに必要な押し込み量(すなわち、操作入力の作用点における操作部のZ方向のストローク長)が長くなる。このことは、例えば、操作入力の作用点における操作部のZ方向のストローク長を精度良く検出するためには好適な特徴である。
【0008】
しかしながら、例えば操作部の傾倒方向のみを検出対象としたい場合など、操作部がZ方向にストロークできる最大長を必ずしも長くする必要がない場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、操作部を所定の角度まで傾倒させるのに必要な押し込み量を容易に小さくできる、操作入力装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る操作入力装置は、
操作入力の作用により傾倒する操作部と、
前記操作部の中心軸と前記操作部の外縁との距離よりも前記中心軸との距離が短い位置に内縁を有する開口部が設けられたハウジングと、
前記ハウジングの内側に配置され、前記操作部の傾倒を検出する検出部と、
前記操作部が前記開口部の前記検出部側の周囲を支点に傾倒できるように、前記操作部を前記開口部から突き出る方向に付勢する弾性部材とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作部を所定の角度まで傾倒させるのに必要な押し込み量を容易に小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】キー240が傾倒していない状態での従来の操作入力装置1の正面視断面図である。
【図1B】キー240が傾倒した状態での従来の操作入力装置1の正面視断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態である操作入力装置2の斜視全体図である。
【図3】操作入力装置2の斜視分解図である。
【図4A】操作入力がキー10に作用していない操作初期状態での操作入力装置2の正面視断面図である。
【図4B】操作入力の作用によりキー10が片側に傾いた状態での操作入力装置2の正面視断面図である。
【図5A】キー10と回転止め50との組み付け方向を示した図である。
【図5B】キー10と回転止め50とが組み付けられた状態を示した部分拡大図である。
【図6A】キー10と上ヨーク30との組み付け方向を示した図である。
【図6B】キー10と上ヨーク30とが組み付けられた状態を示した図である。
【図7A】操作入力がキー110に作用していない操作初期状態での操作入力装置3の正面視断面図である。
【図7B】操作入力の作用により方向キー110がZ方向に平行に押し込まれた状態での操作入力装置3の正面視断面図である。
【図7C】操作入力の作用により方向キー110が片側に傾いた状態での操作入力装置3の正面視断面図である。
【図8A】キー110と回転止め150と上ヨーク130とが組み付けられた状態を示した正面図である。
【図8B】図8Aの正面視断面図である。
【図9A】フランジ部115が上ヨーク130の十字孔131に挿入された状態を示した図である。
【図9B】図9Aの状態から、キー110と上ヨーク130が相対的にXY平面内で回転させた状態を示した図である。
【図10】図9Aにおける上ヨーク130の挿入方向aと図9Bにおける上ヨーク130の回転方向bを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。図2は、本発明の第1の実施形態である操作入力装置2の斜視全体図である。操作入力装置2は、操作入力の作用により傾倒する操作部として、キー10を備えている。
【0014】
操作入力装置2は、X,Y,Z軸によって定まる直交座標系において、XY平面の法線方向側から入力される操作入力をキー10で受ける操作インターフェイスである。操作入力は、操作者(ユーザ)の手指等によって直接又は間接的にキー10に作用する。操作入力装置2は、キー10で受けた操作入力に応じて変化する出力信号を出力する。その出力信号に基づいて操作者による操作入力が検出される。操作入力の検出によって、その検出された操作入力に対応する操作内容をコンピュータに把握させることができる。
【0015】
操作入力装置2は、例えば、所定のホストに搭載又は接続される。ホストの具体例として、携帯端末(携帯電話、携帯ゲーム機、音楽や映像の携帯プレーヤーなど)、ゲーム機、パーソナルコンピュータ、車両用コンピュータ、操作コントローラ、マウス、電化製品などの電子機器が挙げられる。操作入力装置2とホストとの接続形態は、有線接続でもよいし、無線接続でもよい。また、操作入力装置2自体が、操作コントローラやマウスなどの電子機器であってもよい。
【0016】
操作入力装置2は、例えば、そのようなホストに搭載又は接続されるディスプレイの画面上に表示されるオブジェクトを、操作者が意図した操作内容に従って、移動させることができる。画面上に表示されるオブジェクトは、例えば、カーソルやポインタなどの指示表示でもよいし、キャラクターなどの表示物でもよい。また、操作者が所定の操作入力を与えることにより、その操作入力に対応する電子機器の所望の機能を発揮させることができる。
【0017】
図3は、操作入力装置2の斜視分解図である。図4Aは、操作入力がキー10に作用していない操作初期状態での操作入力装置2の正面視断面図である。図4Bは、操作入力の作用によりキー10が片側に傾いた状態での操作入力装置2の正面視断面図である。図4Bの矢印は、キー10の外縁部11に作用する操作入力の向きを示している。操作入力装置2は、キー10と、ケース20と、上ヨーク30と、センサ60と、リターンバネ40とを備える。
【0018】
キー10は、操作入力の作用により傾倒する操作部である。キー10は、例えば、キー10の上側の操作面に直接又は間接的に作用する操作入力により押し込まれることによって、XY平面に対して任意の方向に傾倒する方向キーである。キー10は、キー10の中央部を通る中心軸C1に対して傾倒する。操作入力がキー10に作用していない状態では、中心軸C1は、Z軸に平行である。外縁部11は、キー10の操作面の周縁部である。キー10の操作面は、図示のような円盤部形状でもよいし、楕円形状、十字形状、多角形などの他の形状でもよい。
【0019】
ケース20は、開口部21が形成された上面を有するハウジングである。キー10の操作面は、中心軸C1が開口部21の軸線に一致するように、開口部21に対して操作入力が入力されてくる側(図上、上側)に配置されているとよい。また、中心軸C1と開口部21の内縁21aとの距離d2が、中心軸C1と外縁部11との距離d1よりも短くなるように、キー10は開口部21に対して配置されているとよい。開口部21は、例えば、ケース20の上面に筒状に形成されている。開口部21の形状は、円筒状でもよいし、角筒状でもよい。
【0020】
上ヨーク30及びセンサ60は、ケース20の内側空間に配置され、キー10の傾倒を検出する検出部である。上ヨーク30は、キー10の傾倒に連動して傾倒する第1の傾倒検出部である。センサ60は、上ヨーク30に対向して配置された第2の傾倒検出部である。センサ60は、複数のコイル(操作入力装置2の場合、4個のコイル61,62,63,64)を有している。
【0021】
リターンバネ40は、キー10が開口部21の上ヨーク30側の開口周囲部24を支点に傾倒できるように、キー10を開口部21からケース20に対して突き出る方向に付勢する弾性部材である。開口周囲部24は、ケース20の内側上面における環状部位である。また、開口部21からケース20に対して突き出る方向とは、図示の場合、操作入力に抗う上向きのZ方向に相当する。リターンバネ40は、例えば、キー10に操作入力が作用していない状態での初期位置に、キー10を復帰させる弾性力を、キー10に常時付与するコイルバネである。
【0022】
したがって、このような構成を有する操作入力装置2によれば、キー10の傾倒支点が外縁部11よりも中心軸C1寄りに位置するので、操作部の傾倒支点が操作部の外側に位置する上述の特許文献1のような構成に比べて、キー10を所定の角度まで傾倒させるのに必要な押し込み量を容易に小さくできる。これにより、例えば、キー10の傾倒方向の検出を確定するのに必要なストローク長は、キー10の正確なストローク長自体の検出も必要な場合に比べて短くてよいため、従来の構成に比べて、キー10の傾倒方向の検出を確定するのに余分なZ方向のストローク長を容易に小さくできる。
【0023】
その結果、例えば、キー10を傾倒させる際の操作性が向上し、操作入力装置のZ方向の高さを低くできる。
【0024】
次に、操作入力装置2の構成について更に詳細に説明する。
【0025】
キー10は、開口部21を通るように延びる軸部として、操作軸12を有する。操作軸12は、操作軸12の軸線が中心軸C1に一致するように、キー10の操作面の下側中央部から延びる支柱部であるとよい。操作軸12は、キー10の動きに一体となって連動し、キー10の傾倒方向と同じ方向に傾倒する。操作軸12は、図示のようにキー10の一部位でもよいし、キー10とは別部品でもよい。操作軸12はキー10の傾倒に連動して傾倒するので、操作軸12の側面とケース20の内縁21aとの間には予めクリアランスがあることが好ましい。操作軸12の形状は、円筒状でもよいし、角筒状でもよい。
【0026】
上ヨーク30は、操作軸12にフランジ状に取り付けられ、キー10の傾倒の検出に使用される板状部材である。上ヨーク30は、操作軸12に直接取り付けられてもよいし、操作軸12に所定の部材を介して取り付けられてもよい。上ヨーク30は、操作軸12の先端部13に取り付けられてもよいし、キー10の下側中央部と先端部13との間の中間部に取り付けられてもよい。上ヨーク30は、操作軸12の動きに一体となって連動し、操作軸12の傾倒方向(すなわち、キー10の傾倒方向)と同じ方向に傾倒する。上ヨーク30の外形は、図示のような四角形などの多角形でもよいし、円形でもよい。
【0027】
センサ60は、キー10の傾倒の検出に使用される。センサ60は、例えば、キー10のZ方向の押し込み量を測定対象とする素子であって、キー10のZ方向の押し込み量に応じて変化するアナログ信号波形を検出回路97に対して出力するものである。検出回路97は、例えば、センサ60から出力されたアナログ信号波形を検出するADコンバータを有し、ADコンバータによってアナログ信号波形から取得されたデータを、キー10の押し込み量に対応する検出データとして、制御回路98に対して供給する。検出回路97及び/又は制御回路98は、センサ60が実装される基板80に実装されてもよいし、基板80に接続される別の基板に実装されてもよい。基板80は、フレキシブルプリント基板(FPC)でもよいし、FR−4基板でもよいし、セラミック基板でもよいし、他の形態の基板でもよい。
【0028】
センサ60は、例えば、センサ60と上ヨーク30との位置関係に応じて変化するアナログ信号波形を出力する素子であるとよい。センサ60がこのような素子であれば、センサ60と上ヨーク30との距離がキー10の押し込み量に応じて変化するようにセンサ60を配置することによって、キー10の押し込み量を非接触で測定できる。
【0029】
センサ60は、キー10の押し込み量を非接触で測定できるように、例えば、キー10の押し込み量に応じて自己インダクタンスが変化するコイルを備えるとよい。この場合、センサ60は、コイルの自己インダクタンスの変化をキー10の押し込み量の変化として感知する。例えば、上ヨーク30に対向する位置にコイルを固定することで、キー10の押し込みによりコイル周囲の透磁率が変化するため、コイルの自己インダクタンスを容易に変化させることができる。
【0030】
検出回路97は、センサ60から出力されたアナログ信号波形から、センサ60のコイルの自己インダクタンスの変化に等価的に変化する物理量を検出することで、その物理量の検出値をキー10の押し込み量に対応する検出データとして制御回路98に対して供給する。検出回路97は、例えば、センサ60のコイルにパルス信号を供給することによって、センサ60から出力されたアナログ信号波形に、コイルの自己インダクタンスの変化に等価的に変化する物理量を発生させる。
【0031】
操作入力装置2の場合、4個のコイル61,62,63,64が、原点Oとの距離が等しい点を結んでできる仮想的な円の円周方向に等間隔に並べられている。原点Oは、三次元の直交座標系の基準点である。このように、操作部11の押し込み量を互いに異なる位置に配置された複数のコイルで測定することで、操作入力によるキー10の押し込みの位置(言い換えれば、キー10の傾倒方向)を検出できる。図示の場合、各コイルは、X軸とY軸に挟まれるXY平面内の斜め45°の4方向に、円周方向に90°毎に配置されている。なお、各コイルは、X,Y軸上に90°毎に配置されてもよい。
【0032】
制御回路98は、センサ60及び検出回路97によって検出されたキー10の押し込みの位置に対応する方向に、ディスプレイの画面上のオブジェクトを移動させるための制御信号をホストに送信する制御部である。制御回路98は、例えば、中央演算処理装置(CPU)を備えるマイクロコンピュータを有する。
【0033】
リターンバネ40は、中心軸C1と外縁部11との距離よりも中心軸C1との距離が短い位置にある開口周囲部24を傾倒支点として、キー10及び上ヨーク30を傾倒可能に支持する。キー10に操作入力が作用していない状態では、操作軸12に対してフランジ状に突き出た上ヨーク30が開口周囲部24に接触するように、キー10及び上ヨーク30はリターンバネ40によって支持されている。リターンバネ40の上端部は、上ヨーク30の下面中央部に接触し、リターンバネ40の下端部は、基板80の中央部の孔を通って、下ヨーク70の上面中央部に接触する。
【0034】
下ヨーク70は、コイル61,62,63,64の自己インダクタンスの絶対値を上げる板状部材である。ラベル90は、下ヨーク70の下面に設置され、操作入力装置2を被取り付け面に接着させるシートである。
【0035】
また、ヨークは、例えば、比透磁率が1よりも高い材質であればよく、比透磁率が1.001以上あると好適である。具体的には、鉄、鉄の合金(鋼など)の軟磁性体が挙げられる。鉄の比透磁率は5000である。ヨークは、例えば、鋼板から成形されるとよい。
【0036】
また、ケース20は、上ヨーク30の上面と対向する位置に、上ヨーク30が傾倒する際の逃げ部23を有する。逃げ部23によって、傾倒した上ヨーク30がケース20の内側上面にぶつからないようにできる。逃げ部23は、例えば、ケース20の内側上面のうち開口周囲部24の外側部位を肉抜きして形成されている。
【0037】
また、操作入力装置2は、キー10の可動範囲を制限するストッパーとして、ハードストップ部22を備えている。
【0038】
ハードストップ部22は、外縁部11に対向する位置に配置された、キー10の傾倒を制限する傾倒止めである。ハードストップ部22は、ケース20の上面に形成された凸状の環状部位である。ハードストップ部22は、キー10が外縁部11の直下でハードストップ部22に接触してから、その接触位置よりもキー10が下方に変位しないように規制することで、キー10の傾倒動作の終点を決める。ハードストップ部22によって、キー10のフルストローク時におけるキー10やケース20などの撓みが抑制されるため、操作入力装置を構成する各部品に作用する応力を軽減できる。その結果、操作入力装置の強度を向上でき、部品変形によるストロークの誤差を軽減できる。また、360°方向のストローク長のばらつきを軽減できる。
【0039】
また、操作入力装置2は、キー10の可動範囲を制限するストッパーとして、回転止め50を備えている。
【0040】
回転止め50は、キー10及び上ヨーク30が中心軸C1周りに回転することを制限する部材である。回転止め50は、操作軸12の先端部13に対向する位置に固定されている。回転止め50は、図示のように下ヨーク70に固定されてもよいが、基板80に固定されてもよい。回転止め50と操作軸12の先端部13との間には、キー10及び上ヨーク30が開口周囲部24を支点に傾倒しやすいように、クリアランスがX,Y,Zの各方向に予め設けられている。回転止め50が、ハードストップ部22のように、キー10の傾倒動作の終点を決めるハードストップ部として機能してもよい。
【0041】
回転止め50は、キー10及び上ヨーク30が中心軸C1周りに回転することを制限するため、操作軸12の先端部13と嵌め合わせ可能な受け部51を有している。キー10及び上ヨーク30の回転が受け部51によって制限されていない状態で、受け部51と先端部13との間には、キー10及び上ヨーク30が開口周囲部24を支点に傾倒しやすいように、X,Y,Zの各方向にクリアランスがあるとよい。
【0042】
図5Aは、キー10と回転止め50との組み付け方向を示した図である。図5Bは、キー10と回転止め50とが組み付けられた状態を示した部分拡大図である。図5A,5Bには、上ヨーク30が省略されている。
【0043】
操作軸12の先端部13には、凸部14が形成されている。凸部14は、十字状の突起部である。一方、回転止め50の受け部51には、キー10及び上ヨーク30の回転が制限されるように、凸部14と嵌め合わせが可能な十字状の溝部として、凹部52が形成されている。キー10及び上ヨーク30の回転が凹部52によって制限されていない状態で、凹部52と凸部14との間には、キー10及び上ヨーク30が開口周囲部24を支点に傾倒しやすいように、X,Y,Zの各方向にクリアランスがあるとよい。
【0044】
図6Aは、キー10と上ヨーク30との組み付け方向を示した図である。図6Bは、キー10と上ヨーク30とが組み付けられた状態を示した図である。図6A,6Bには、回転止め50が省略されている。
【0045】
上ヨーク30は、凸部14と嵌め合わせ可能な嵌合部として、十字孔31を有している。十字孔31の形状は、凸部14とほぼ同じである。十字孔31と凸部14とが嵌め合うことによって、上ヨーク30を操作軸12にX,Y方向で位置決めできるため、上ヨーク30が中心軸C1周りに回転することを制限できる。
【0046】
また、操作軸12の先端部には、複数のボス15が形成され、上ヨーク30には、ボス15と嵌め合わせ可能な複数の円孔32が形成されてもよい。ボス15と円孔32とが嵌め合うことによって、上ヨーク30を操作軸12にX,Y方向で位置決めできるため、上ヨーク30が中心軸C1周りに回転することを制限できる。また、ボス15を上ヨーク30に溶着することで、上ヨーク30を操作軸12にZ方向で位置決めできる。
【0047】
このように、キー10及び上ヨーク30の回転止め機能を同一の部位で構成しているため、回転止め角度の精度が向上する。また、回転止め50と上ヨーク30と操作軸12とが、操作軸12の径内で組み立てられているため、その組み立て性が向上する。
【0048】
図7A,7B,7Cは、本発明の第2の実施形態である操作入力装置3の正面視断面図である。図7Aは、操作入力がキー110に作用していない操作初期状態での操作入力装置3の正面視断面図である。図7Bは、操作入力の作用により方向キー110がZ方向に平行に押し込まれた状態での操作入力装置3の正面視断面図である。図7Cは、操作入力の作用により方向キー110が片側に傾いた状態での操作入力装置3の正面視断面図である。上述の実施形態と同様の構成や効果については、その説明を省略する。操作入力装置3は、キー110と、ケース120と、上ヨーク130とを備える。
【0049】
キー110は、操作入力の作用により傾倒する操作部である。外縁部111は、キー110の操作面の周縁部である。ケース120は、開口部121が形成された上面を有するハウジングである。キー110は、開口部121を通るように延びる軸部として、操作軸112を有する。キー110の中心軸C2と開口部121の内縁121aとの距離d4が、中心軸C2と外縁部111との距離d3よりも短くなるように、キー110は開口部121に対して配置されているとよい。また、キー110及び上ヨーク130は、開口部121の上ヨーク130側の開口周囲部124を支点に傾倒する。開口周囲部124は、ケース120の内側上面のおける環状部位である。
【0050】
したがって、このような構成を有する操作入力装置3によれば、キー110の傾倒支点が外縁部111よりも中心軸C2寄りに位置するので、操作部の傾倒支点が操作部の外側に位置する上述の特許文献1のような構成に比べて、キー110を所定の角度まで傾倒させるのに必要な押し込み量を容易に小さくできる。
【0051】
また、ケース120は、上ヨーク130の上面と対向する位置に、上ヨーク130が傾倒する際の逃げ部123を有する。逃げ部123によって、傾倒した上ヨーク130がケース120の内側上面にぶつからないようにできる。逃げ部123は、例えば、ケース120の内側上面のうち開口周囲部124の外側部位を肉抜きして形成されている。
【0052】
また、操作入力装置3は、キー110の可動範囲を制限するストッパーとして、ハードストップ部122を備えている。
【0053】
ハードストップ部122は、外縁部111に対向する位置に配置された、キー110の傾倒を制限する傾倒止めである。ハードストップ部122は、ケース120の上面に形成された凸状の環状部位である。ハードストップ部122は、キー110が外縁部111の直下でハードストップ部122に接触してから、その接触位置よりもキー110が下方に変位しないように規制することで、キー110の傾倒動作の終点を決める。
【0054】
また、操作入力装置3は、キー110の可動範囲を制限するストッパーとして、回転止め150を備えている。
【0055】
回転止め150は、キー110及び上ヨーク130が中心軸C2周りに回転することを制限する部材である。回転止め150は、操作軸112の先端部113に対向する位置に固定されている。回転止め150は、図示のように下ヨーク170に固定されてもよいが、基板180に固定されてもよい。回転止め150と操作軸112の先端部113との間には、キー110及び上ヨーク130が開口周囲部124を支点に傾倒しやすいように、クリアランスがX,Y,Zの各方向に予め設けられている。回転止め150が、ハードストップ部122のように、キー110の傾倒動作の終点を決めるハードストップ部として機能してもよい。
【0056】
回転止め150は、キー110及び上ヨーク130が中心軸C2周りに回転することを制限するため、操作軸112の先端部112と嵌め合わせ可能な受け部151を有している。キー110及び上ヨーク130の回転が受け部151によって制限されていない状態で、受け部151と先端部113との間には、キー110及び上ヨーク130が開口周囲部124を支点に傾倒しやすいように、X,Y,Zの各方向にクリアランスがあるとよい。
【0057】
図8Aは、キー110と回転止め150と上ヨーク130とが組み付けられた状態を示した正面図である。図8Bは、図8Aの正面視断面図である。
【0058】
操作軸112の先端部113には、凹部114が形成されている。凹部114は、十字状の溝部である。一方、回転止め150の受け部151には、キー110及び上ヨーク130の回転が制限されるように、凹部114と嵌め合わせが可能な十字状の突起部として、凸部152が形成されている。キー110及び上ヨーク130の回転が凸部152によって制限されていない状態で、凸部152と凹部114との間には、キー110及び上ヨーク130が開口周囲部124を支点に傾倒しやすいように、X,Y,Zの各方向にクリアランスがあるとよい。
【0059】
また、凸部152と凹部114は、図8Bに示されるように、互いに同じ曲率の表面を有してもよい。これにより、凸部152と凹部114とが互いに接触したときの接触面積を最大限に増やすことができる。その結果、キー110のZ方向の押し込み操作に対して、回転止め150の強度が向上する。また、受け部151は凸形状であるため、凹形状である場合に比べて、回転止め150のZ方向の最低肉厚を厚くできる。その結果、キー110のZ方向の押し込み操作に対して、回転止め150の強度が向上する。
【0060】
また、操作軸112の先端部113には、中心軸C2に対して直角な方向に延在するフランジ部115が形成されている。フランジ部115は、上ヨーク130との嵌め合わせによって、上ヨーク130を操作軸112に固定する。
【0061】
図9Aは、フランジ部115が上ヨーク130の十字孔131に挿入された状態を示した図である。図9Bは、図9Aの状態から、キー110と上ヨーク130が相対的にXY平面内で回転させた状態を示した図である。図10は、図9Aにおける上ヨーク130の挿入方向aと図9Bにおける上ヨーク130の回転方向bを示した図である。
【0062】
操作軸112の側面にL字状の溝116を4箇所形成することによって、操作軸112は、4つのフランジ部115を有する十字状の先端部113を有している。一方、上ヨーク130の中央部には、十字状の孔131が形成されている。操作軸112のフランジ部115を孔131に挿入後、相対的に上ヨーク130とキー110とを回転させるだけで、上ヨーク130を操作軸112に固定できる。これにより、上ヨーク130の組み立て性が向上する。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形、改良及び置換を加えることができる。上述の実施例それぞれの各部の構成を組み合わせてもよい。
【0064】
例えば、上述の実施例では、操作部の傾倒を検出する検出部が、コイルの自己インダクタンスの変化を操作部の押し込み量の変化として感知する素子を有する場合を例示した。しかしながら、そのような検出部は、静電容量の変化を操作部の押し込み量の変化として感知する素子を有するものでもよいし、抵抗値の変化を操作部の押し込み量の変化として感知する素子を有するものでもよいし、その他の物理量の変化を操作部の押し込み量の変化として感知する素子を有するものでもよい。
【0065】
また、上述の実施例では、操作部の傾倒を検出する検出部として、キーと一体となって傾倒する上ヨークと、上ヨークに対向する位置に固定されたコイルとを例示した。しかしながら、このような検出部は、キーと一体となって傾倒するコイルと、そのコイルに対向する位置に固定されたヨークとから構成されてもよい。また、傾きセンサなど、これら以外の検出手段によって、操作部の傾倒を検出してもよい。
【0066】
また、上述の実施例では、操作部を開口部から突き出る方向に付勢する弾性部材として、リターンバネを例示した。しかしながら、このような弾性部材は、例えば、ゴム部材でもよいし、スポンジ部材でもよいし、空気や油が充填されたシリンダーでもよい。
【0067】
また、本発明の操作入力装置は、手指に限らず、手のひらで操作するものあってもよい。また、足指や足の裏で操作するものであってもよい。また、操作者が触れる面は、平面でも、凹面でも、凸面でもよい。
【符号の説明】
【0068】
1〜3 操作入力装置
10 キー
11 外縁部
12 操作軸
13 先端部
14 十字状凸部
15 ボス
20 ケース
21 開口部
21a 内縁
22 ハードストップ部
23 逃げ部
24 開口周囲部
30 上ヨーク
31 十字孔
32 円孔
40 リターンバネ
50 回転止め
51 受け部
52 十字状凹部
60 センサ
61〜64 コイル
70 下ヨーク
80 基板
90 ラベル
97 検出回路
98 制御回路
110 キー
111 外縁部
112 操作軸
113 先端部
114 十字状凹部
115 フランジ部
116 L字溝
120 ケース
121a 内縁
122 ハードストップ部
123 逃げ部
124 周囲部
130 上ヨーク
131 十字孔
150 回転止め
151 受け部
152 十字状凸部
163 コイル
170 下ヨーク
180 基板
230 ケース
231 開口部
232 上側内面
240 キー
250 リターンバネ
271,272,273 コイル
260 上ヨーク
261,263 コア
280 下ヨーク
281 止め具
290 基板
C1,C2 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力の作用により傾倒する操作部と、
前記操作部の中心軸と前記操作部の外縁との距離よりも前記中心軸との距離が短い位置に内縁を有する開口部が設けられたハウジングと、
前記ハウジングの内側に配置され、前記操作部の傾倒を検出する検出部と、
前記操作部が前記開口部の前記検出部側の周囲を支点に傾倒できるように、前記操作部を前記開口部から突き出る方向に付勢する弾性部材とを備える、操作入力装置。
【請求項2】
前記操作部の可動範囲を制限するストッパーを備える、請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項3】
前記ストッパーは、前記操作部が前記中心軸周りに回転することを制限する回転止めを有する、請求項2に記載の操作入力装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記開口部を通るように延びる軸部を有し、
前記回転止めは、前記軸部と嵌め合わせ可能な受け部を有する、請求項3に記載の操作入力装置。
【請求項5】
前記軸部は、凸部を有し、
前記受け部は、前記凸部と嵌め合わせ可能な凹部を有する、請求項4に記載の操作入力装置。
【請求項6】
前記検出部は、
前記凸部と嵌め合わせ可能な嵌合部を有する第1の傾倒検出部と、
前記第1の傾倒検出部との位置関係に応じて変化する信号を出力する第2の傾倒検出部とを有する、請求項5に記載の操作入力装置。
【請求項7】
前記軸部は、凹部を有し、
前記受け部は、前記凹部と嵌め合わせ可能な凸部を有する、請求項4に記載の操作入力装置。
【請求項8】
前記凹部及び凸部は、互いに同じ曲率の表面を有する、請求項7に記載の操作入力装置。
【請求項9】
前記軸部は、フランジ部を有し、
前記検出部は、
前記フランジ部と嵌め合わせ可能な嵌合部を有する第1の傾倒検出部と、
前記第1の傾倒検出部との位置関係に応じて変化する信号を出力する第2の傾倒検出部とを有する、請求項7又は8に記載の操作入力装置。
【請求項10】
前記ストッパーは、前記操作部の傾倒を制限する傾倒止めを有する、請求項2から9のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項11】
前記ハウジングが、前記操作部と対向する位置に、前記傾動止めを有する、請求項10に記載の操作入力装置。
【請求項12】
前記検出部は、
前記操作部の傾倒に連動して傾倒する第1の傾倒検出部と、
前記第1の傾倒検出部との位置関係に応じて変化する信号を出力する第2の傾倒検出部とを有し、
前記ハウジングが、前記第1の傾倒検出部と対向する位置に、前記第1の傾倒検出部が傾倒する際の逃げ部を有する、請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項13】
前記第1の傾倒検出部は、ヨークを有し、
前記第2の傾倒検出部は、コイルを有する、請求項6,9,12のいずれか一項に記載の操作入力装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−48035(P2013−48035A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185615(P2011−185615)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】